グリーン電力証書の積極的導入
有害化学物質情報を市民へ提供 |
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 大西由紀子(生活者ネット) |
■温暖化対策 |
質問1
まず初めに、温暖化対策とエネルギー施策について私からも伺います。
ことしの春、国連のIPCC、気候変動に関する政府間パネルが気候変動の待ったなしの深刻さと世界的な対策の必要性について、科学的な知見を明らかにしました。
石原知事も、ツバルでの見聞をもとにその深刻さを警鐘しておられるところですが、何よりも、ことしの猛暑は、人々に地球温暖化の進行を実感させました。
一方、新潟県中越沖地震により柏崎刈羽原発がストップし、地震国日本においては、原発は、一つ間違えば取り返しのつかない被害をもたらすリスクと隣り合わせにあることを思い知らされました。
また、原発は、ここ何年かの間にも数々の不祥事でとまり、エネルギーを原発へ依存することの危うさがもはや明らかになったと考えます。
現在、大量に消費するエネルギーの多くを他県に依存している東京は、高い目標を持って温暖化対策を進めると同時に、エネルギー自立都市を目指し、省エネを進め、再生可能エネルギーを推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
答弁1
▼知事
地球温暖化対策についてでありますが、都は「十年後の東京」で、CO2排出量を二〇二〇年までに二〇〇〇年比で二五%削減するという目標を掲げ、戦略的、集中的に地球温暖化対策を実施しております。
今後とも、省エネの促進や再生可能エネルギーの導入など、具体的で実効性のある対策をきめ細かく取り組むことで、CO2の削減を強力に推進してまいります。
質問2
都は、これまでも都有施設でのエネルギーのグリーン調達を図ってきましたが、再生可能エネルギー戦略で打ち出した、二〇二〇年までに二〇%という高い目標を達成するためには、導入の枠組みを思い切って広げることが必要です。
ことし、佐賀で行われた高校総体では、運営にかかるエネルギーの一部について、グリーン証書の導入によってカーボンオフセットが行われました。民間でも、環境に貢献する事業への融資を行っているap bankが行った、賛同アーチストによるコンサートでグリーン電力証書が導入されています。川崎市で行われたアメフトの国際大会、小平市が開催したエコフェスティバルでの導入など、自治体の行うイベントでの導入事例も出てましたが、新しい政策であるだけに、まだまだグリーン電力の導入が再生可能エネルギーを育てることにつながるということが人々に理解されているとはいいがたい状況です。
東京都が行うイベントにもグリーン電力証書を積極的に導入し、普及啓発に努めるべきと考えます。グリーン電力証書を取り扱っている企業やNPO団体との連携を図り、新たな導入のスキームを構築する必要があると思いますが、どのように進めていくのか伺います。
答弁2
▼環境局長
グリーン電力証書等を活用した再生可能エネルギーの推進についてでありますが、都は、これまでも大田市場、東村山ナーシングホーム等の都施設においてグリーン電力の調達を進めるなど、率先して再生可能エネルギーの導入に取り組んでまいりました。
また、こうした取り組みを全国の自治体や企業に普及させるため、本年六月にグリーンエネルギー購入フォーラムを発足いたしました。
当初十三団体で発足したこのフォーラムは、北海道から九州までの自治体を中心に、企業やNPO団体の参画も得て、現在四十六団体まで広がっております。
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■防災 |
質問1
次に、防災について伺います。
ことし、東京都防災会議の被害想定の見直しを受け、地域防災計画を修正しました。これをベースに、市区町村でも防災計画の見直しが行われています。
関東大震災では火事で、阪神・淡路大震災では家屋の倒壊、新潟中越地震では土砂崩れやエコノミークラス症候群等で多くの命が奪われたことを見れば、震災対策はあらゆる状況を想定し、対策を立てなければなりません。
特に東京では、超高層ビルを初めとする巨大建造物が出現している現在、建物、その他人工物の倒壊による被害を最小にすることが課題です。
都は、震災対策として、自助、減災を打ち出しています。そうであるならば、学校、駅、鉄道等、公共公益施設の耐震補強を含めた、あらゆる面での財政的支援が不可欠です。都として、広域的視点で地域防災計画の見直しについて市区町村と協議し、早期に実効性ある震災対策を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
答弁1
▼総務局長
震災対策についてでございます。
都は、昨年公表した被害想定や実災害の教訓を踏まえ、本年五月に地域防災計画を全面的に見直し、新たに減災目標を盛り込みますとともに、駅前滞留者対策やエレベーター対策など、都市型災害への対応を強化いたしました。
減災目標の達成など、震災対策の推進には、都と区市町村の連携した取り組みが必要でございます。このため、都は、区市町村の計画見直しに当たり、広域計画である都の計画との整合性が図られるよう十分協議を行いますとともに、住宅の耐震化、不燃化などの事業の実施につきましても、引き続き区市町村と連携して取り組んでまいります。
質問2
都の防災計画では、避難所の設置は市区町村の責務となっています。避難所の指定基準は、耐震、耐火、鉄筋構造を備えた学校、公民館等の公共建設物を利用し、避難所に受け入れる被災者は三・三平方メートル当たり二人という計画です。
東京湾北部地震が発生した場合、耐震性のない避難所の倒壊まで想定すると、最も被害の大きい二十三区では、避難所に入れない人が約六十万人に達する見込みという結果を国の中央防災会議が発表しました。
耐震性のある安全な避難所確保に向けて、避難所の実態調査を市区町村に対し行うべきと考えますが、見解を伺います。
答弁2
▼総務局長
避難所の実態調査についてでございます。
避難所の指定、開設、運営は区市町村の役割でございますが、都は、これまでも広域的な観点から、避難所を含む区市町村防災事業の現況調査を実施してまいりました。
耐震化の状況につきましては、避難所全体を大くくりに調査をしてまいりましたが、近年、集会所など、さまざまな施設が避難所として指定されてきており、これら施設の耐震性の確保が重要になってきております。
このため、今後、区市町村の避難所の現況調査についても、より詳細に行ってまいります。なお、中央防災会議は、都全体では避難所は充足するということもあわせて発表しております。
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■化学物質対策 |
質問1
次に、化学物質対策について伺います。
有害化学物質削減については、欧州ではREACHと呼ばれる化学物質の登録や評価などの制度がことし六月から開始されており、世界的な大きな流れとなっています。
また、二〇〇三年七月に国連から勧告された、化学物質の危険性や有害性などをわかりやすく分類、表示するGHSという仕組みも、二〇〇八年を目標に各国での運用努力が求められています。
我が国においては、平成十一年にPRTR制度が導入されましたが、この制度の目的や効果が市民生活の中で全く実感できないことも問題です。例えば、家庭用の合成洗剤で一部使われているLAS、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩も、生態系への有害性が懸念されるとしてPRTRの対象物質とされていますが、これを知る一般市民はほとんどいません。
下水道の普及によってLASの河川への放出は減っているものの、水生生物に与える影響は、石けんなどに比べ、決して無視できるものではありません。
このような市民生活の中で使われる化学物質の削減に向けては、市民みずからも使用削減を行う必要があると思います。
こうした中で、都は、化学物質の年間取扱量一トン以上の事業所を対象としている国のPRTR制度に加えて、小規模の事業所に対しても、人の健康に有害な物質の排出抑制を図るため、環境確保条例による独自の化学物質適正管理制度を設けています。
まず、都の制度の特徴とこれまでの成果について伺います。
答弁1
▼環境局長
化学物質適正管理制度についてでありますが、環境確保条例に基づく本制度は、人の健康への障害があるなどの性状を持つ化学物質について、特に適正な管理を事業者に求めているものでございます。
その特徴は、国の制度に比べ、環境への排出抑制、有害性の少ない代替物質への転換、事故の防止などを目的とし、国の制度で求める排出量などに加え、適正管理に欠かせない使用量や製造量などの把握や報告も義務づけていることであります。
この制度の実施により、設備の改善や化学物質の使用の合理化などが図られた結果、約三千の対象事業所からの排出量は年々減少しており、平成十七年度の化学物質の排出量は平成十四年度に比べて約三割削減されました。
今後とも、条例の実施機関である区市と密接に連携しながら、化学物質の適正管理に努めてまいります。
質問2
また、都は、今年度から、市民、事業者、行政が連携してリスクコミュニケーションを推進する地域モデル事業を実施することとしています。このモデル事業においては、市民に対して化学物質の情報をわかりやすく提供することによって、市民みずからが有害性の少ない製品を使用するなど、市民による有害な化学物質の使用削減を促していく必要があると考えますが、見解を伺います。
答弁2
▼環境局長
化学物質に関するリスクコミュニケーションのモデル事業についてでありますが、都は地域における環境リスクの低減を図るため、モデル地域を選定して、都民、事業者、専門家及び地元の区市町村とともに、リスクコミュニケーションの推進のための事業を今年度実施いたします。
本事業を通じて、化学物質に関する正しい情報を共有化することにより、事業者による化学物質の適正管理だけでなく、都民も日常生活において有害性の少ない製品を購入するなど、地域において化学物質を適正に使用する機運を高めてまいります。
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■基礎自治体への分権 |
質問1
次に、基礎自治体への分権について伺います。
地方分権の流れは確実に認知されているものの、九月、全国知事会、市長会がさらなる地方財政に対する国の関与、権限移譲を求めたことに対して、中央省庁は分権にいまだに消極的な意見が大半を占めたと報道されています。
石原知事は、小泉首相の時代の分権を指して、国や地方の役割分担も明確にせず、帳じり合わせの分権と非難し、国に対して役割を明確にした上の地方分権の必要性を強く主張していますが、同じことが都から基礎自治体への分権についてもいえます。
しかしながら、私には、都から基礎自治体への分権について、知事の熱意がほとんど、いや、全く感じられません。東京都と基礎自治体の役割分担をどう考え、東京都から基礎自治体への分権についての基本的な考えをまずは伺います。
答弁1
▼総務局長
基礎的自治体への分権についてでございます。
区市町村の役割は、地域の実情などに応じて、住民に身近な行政サービスを総合的に提供していくことでございます。
一方、都の役割は、広域的な行政課題への対応や高度で専門性が求められる事業の実施など、広域的な自治体としての責任を果たすことでございます。
こうした視点に立ちまして、都はこれまでも事務権限の移譲を積極的に進めてまいりました。
今後も、区市町村がみずからの責任と権限により、地域の実情に即した行政運営ができるよう、分権を進めてまいります。
質問2
国の補助金は大幅に見直され、一般財源化される中で、基礎自治体では、従来、補助金でその存在が保障されてきた事業が不安定になっています。しかし、地方分権はまさに地方自治体の主体的な事業展開を可能にするためのものであり、今後、基礎自治体は市民とともに自分たちのまちづくりを考え、実践していくことが問われます。
東京都も、基礎自治体の裁量を広げる施策として、包括補助金化、交付金化を実施してきました。自治体の独自性を引き出す仕組みになっていることで、段階的な分権の手法として評価したいと思います。
そこで、先行して試行してきた福祉保健局の交付金、包括補助金について現状を伺います。
答弁2
▼福祉保健局長
交付金、包括補助金についてでございますが、子育て推進交付金は、市町村が地域の実情に応じて、創意工夫により施策を行うことができるよう、子育て支援全般の充実を図るものであり、昨年度から実施しております。
また、福祉保健区市町村包括補助事業は、区市町村の主体的な施策を支援する仕組みとして、今年度新たに創設したものであり、現在、各区市町村から申請を受け付け、内容の審査を行っております。
今後とも、区市町村の自主的な取り組みを支援する制度により、地域からの発想を生かしながら東京の福祉保健施策の充実を図ってまいります。
質問3
これから基礎自治体が主体的に事業展開できる体制づくりは喫緊の課題です。最終的な分権は、ひもつきでない財源と権限の移譲ということになりますが、その過程として、東京都は包括補助金化、交付金化を進め、自治体の裁量の可能性を広げていくことが大切と考えます。見解を伺います。
答弁3
▼総務局長
区市町村への都の補助金についてでございます。
本来、地方自治体が主体的に施策を展開するには、それに見合う自主財源の確保が必要でございます。このため、都では、国に対し、税財政制度の抜本的改革について強く働きかけております。
一方、区市町村への補助制度につきましては、その意義、役割を踏まえつつ、自治体の自主性、自立性の向上を図るという視点に立ちまして、少額補助金の統合や補助金のメニュー化、包括化などの見直しを進めております。
この結果、福祉等の分野で、地域の実情や区市町村の創意工夫を生かした事業展開が可能となっております。
今後とも、地方分権を推進する観点から、都と区市町村との役割分担の明確化を図りつつ、補助金の見直しを進めてまいります。
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■DV被害者支援 |
質問1
最後に、DV被害者支援について伺います。
全国の配偶者暴力相談支援センターや警察が対応した配偶者暴力に関する相談等の件数は年々増加し、過去最高になっています。
ことし三月、政府の男女共同参画会議は配偶者暴力防止の見直し等に向けた報告書を作成し、これを受けて七月、改正DV法が国会で全会一致により成立しました。
これまで都では、東京ウィメンズプラザと東京都女性相談センターが配偶者暴力相談支援センターとしての機能を担ってきましたが、DV法の改正により、市区町村も相談センターの設置が努力義務になりました。身近な地域での相談や支援体制は求められており、今後は、市区町村における配偶者暴力相談支援センターの機能整備に向けて、都はどのように支援を行っていくのか伺います。
答弁1
▼生活文化スポーツ局長
配偶者暴力相談支援センター機能の整備に向けた都の支援についてでございますが、都では、区市町村の相談支援機能の整備促進に向け、昨年度から、地域における関係機関の連携を推進するためのモデル事業を実施しております。
今年度は、区市町村における連携会議の設置、強化に係る助言や、関係職員等に対する研修への講師派遣などの支援を行っております。
コメント
今回のDV法改正で、保護命令制度を拡充し、生命等に関する脅迫を受けた被害者に係る保護命令が出せるようになったほか、従来の接近禁止命令にあわせて、電話、メール等の禁止、被害者の親族等への接近禁止などが対象になりました。
DVは犯罪であり、大きな事件に発展しないよう未然に防いでいくためにも、相談を受ける警察の対応は重要です。二次被害や対応のおくれがないように、女性警察官の配置、職員研修などをさらに進めるよう要望します。
ことしの夏、私の地元で起きた、警察官が女性を殺害し、けん銃で自殺した事件は、市民に衝撃を与えただけではなく、警察に対する信頼も揺らぎました。DVやストーカーなど、被害に遭っている当事者にとっては、警察は頼りにしたい相談窓口であり、被害者を犯罪から救う任務を背負っています。
二度とこのような事件が起こらないようにするとともに、DVやストーカーなどの対応に万全を期することを求め、質問を終わります。
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