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第3回定例会 一般質問

温暖化防止で経済の活性化を
踏切問題は一刻も早く解消を

温暖化対策
地域の底力再生事業助成
東武東上線の踏切対策
教育支援コーディネーター

菅東一
菅 東一(自民党)
■温暖化対策

質問1
 まず初めに、地球温暖化対策について質問をいたします。
 今、確実に地球に異変が起きているとだれもが実感をいたしております。そうした温暖化がもたらす危機のただ中、石原知事は先日、ツバルを訪問されました。侵食される海岸、満潮時に浸水する集会場の状況など、知事が現地から直接伝えた映像に私も戦慄を覚えたところであります。
 地球温暖化は、産業革命以降の化石燃料を消費する文明によって引き起こされたものでありますが、そうした文明に一番遠いはずの南太平洋の島しょ国家が温暖化の影響を一番深刻に受けることになるとは、何と不条理なことであるとしかいいようがありません。
 文明の恩恵を受けてきた先進諸国は、率先して温暖化対策に全力を傾ける必要があるにもかかわらず、米国など、環境と経済が両立しないなどとの理由で京都議定書から離脱し、一方、日本では議定書に定める六%の削減が履行できない可能性が指摘されております。このままでは地球温暖化は加速度的に進行し、手の施しようのない事態を招きかねません。
 私は、環境と経済が両立しないなどという考えは、極めて時代おくれのものと思います。地球温暖化が進行すれば、我々の社会の存在そのものが危ぶまれることになり、経済の発展を望むべくもありません。
 今なすべきことは、省エネの促進と再生可能エネルギーの普及拡大であります。日本の技術力をもってすれば、設備の徹底した省エネ化も十分可能であり、こうした省エネ技術の活用や再生可能エネルギーの導入は、新たなビジネスチャンスをもたらします。このように温暖化を防止することによって、経済の活性化を図ることは十分可能であると考えます。
 所信表明にもございましたし、また、類似の質問もありましたが、発信力のある方でありますので、改めて知事に、地球温暖化の深刻な影響を受けているツバルの現状を視察した感想と温暖化対策に取り組む決意について伺っておきます。

答弁1
 ▼知事
 地球温暖化対策についてでありますが、現況、顕著なこの温暖化現象も、学者によっては、地球の大きな、何というのでしょう、変遷の中での、次の氷河期が何番目になるか知りませんが、次の氷河期の到来の前の予兆でしかないという人もいるようでありますけども、しかし、それがいつごろ到来するか知りませんが、私はとてもそんな長期のスパンで物を考える問題ではないという気がつくづくいたします。
 今まさに海に沈みつつある、これは国でありますから、小さくとも、このツバルでは、海面の上昇による作物の被害など生活基盤だけではなしに、人命そのものが毀損されつつある現況でありまして、主食のタロイモが取れなくなったために、オーストラリアから多くの食物を輸入しておりますが、全く食体系が違って、血糖値が上がったり、糖尿病の病人ができているという現況であります。
 また、運び込まれる、今まで食べていなかった種類の食べ物、缶詰、瓶詰その他、その包装が、焼却炉がないものですから、空き地に山積されておりまして、非常に悪い循環そのものが、あそこの島で進んでおります。
 私は、こういった島が埋没、水没したときに、どこへ、どうして、人たちは救出されるんだろうかと思っていましたら、ニュージーランドが引き受けるということを声明したと聞いておりましたが、これは違っておりまして、ニュージーランドはただ、そういう人たちを一部難民として期限つきで労働力として受け入れる余地はあるが、国民全体がエクソダスしたその受け入れは考えていないということでありました。
 私は、日本の技術力、国力をもってすれば、その気になれば、この国は救えると思います。これは、はるかに、原爆つくったり、水爆つくったりするよりも、私にとっては、国のプレゼンテーションにとって好ましい一つの、人はパフォーマンスというかもしれませんけども、この環境問題が先鋭化している時代に、日本として国威というものを示し、国力を示し、日本の存在感を示す一つの象徴的なプロジェクトになるんじゃないかという気がしてまいりました。
 これは、政府の環境省と国土庁がその気になれば、わずかな予算で、日本の技術力をもってすればできることでありまして、それを政府に建言しようと思っておりましたが、ツバルが沈む前に肝心の総理大臣が水没してしまいましたので、新しい総理に建言しようと思っていますけども。
 都は、世界でもトップクラスにある日本の環境技術をフルに活用して、省エネの促進や再生可能エネルギーの導入など、今後とも具体的で実効性のある対策に取り組むことによりまして、一歩一歩CO2の削減を推進していきたいと思っております。



質問2
 また、温暖化対策を強力に推進していくためには、技術活用の範を民間に示し、その効果をわかりやすく都民に伝えるという意味においても、都庁みずからが省エネ促進や再生可能エネルギーの導入などのCO2削減に率先して取り組む必要があると考えますが、ご所見を伺います。

答弁2
 ▼環境局長
 CO2削減に向けた都庁みずからの取り組みについてでございますが、都はCO2排出量の大幅な削減を着実に推進するため、都内最大規模のCO2排出事業者として、みずから徹底した削減に取り組んでまいります。
 具体的には、本年五月に策定いたしました世界最高水準の省エネ仕様である省エネ東京仕様二〇〇七を、都施設の新築、改築時に全面適用していくとともに、太陽光発電設備など再生可能エネルギーの導入についても積極的に推進してまいります。

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■地域の底力再生事業助成

質問1
 次に、地域の底力再生事業助成について伺います。
 東京では、集合住宅の増加や人口の流動、核家族化などにより、地域のつながりが希薄になってきております。かつては、地域の中でお互いに協力し、助け合うよき伝統がありましたが、現在では地域の支え合う力が弱体化しております。
 私どもの党は、これまで地域力向上の必要性について提言してまいりましたが、平成十九年度重点事業として、都が地域力向上事業に取り組んでいることを高く評価するものであります。
 特に、従来、地域が有していた地域住民のつながり、地域の課題を解決する力の再生を目指し、地域の担い手である町内会、自治会が連携して取り組むさまざまな事業を支援する地域の底力再生事業助成は、地域力の向上を図る上で重要な事業と考えております。
 私の地元、板橋区においても、高齢者と子どもの人と人のつながり、地域連携を深める町内会の事業が第一回の助成対象となり、地域の活性化に寄与することが期待されております。
 そこで、まず、今年度第一回、地域の底力再生事業助成の実績についてお尋ねをいたします。

答弁1
 ▼生活文化スポーツ局長
 事業助成の実績についてでありますが、第一回の募集では、町内会、自治会から五十団体の応募がございました。このうち、十九区九市、四十四団体の事業に約二千五百万円を助成しております。
 助成事業の具体例としては、地域住民及び昼間その地域で働いている会社員や学生が協同して実施する新たな祭りや、地域の住民がまちを実際に歩いて危険箇所などを点検、確認して作成する防災マップづくりなどがございます。
 このように、町内会、自治会の多様な活動に助成を行う本事業は、それぞれの地域の課題の解決や住民の連携強化につながり、地域の活性化に資するものであると認識しております。



質問2
 また、私は、地域の再生のかぎは町内会、あるいはまた自治会の活発な活動だと思っております。地域の課題の効果的な解決につながる町内会、自治会の活動を支援する地域の底力再生事業助成については、地域力の向上に向けて今後さらに拡充させていくことが強く望まれております。
 町内会、自治会が積極的にこの事業に取り組んでいけるよう、都は広く都民に周知し、浸透させていくことが不可欠であります。この事業の普及について、都はどのように今後取り組んでいくのか、伺います。

答弁2
 ▼生活文化スポーツ局長
 地域の底力再生事業の都民へのPR、普及についてでありますが、事業の募集に当たりましては、区市町村や都内の町会、自治会連合会を通じて都民への周知に努めております。これに加えて、今後、助成事業の具体的な事例を都のホームページで紹介し、地域活動の意義や魅力について積極的に情報発信してまいります。
 これらの具体的な事例を参考に、他の地域においても、その地域の活性化に資する新たな取り組みが提案されることを期待しております。
 今後とも、町内会、自治会を初め、広く都民へ、この事業の周知、浸透を図り、地域力の向上に努めてまいります。

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■東武東上線の踏切対策

質問1
 次に、踏切対策についてお尋ねをいたします。
 都内にはいまだ約千二百カ所の踏切が残されており、東京の最大の弱点である交通渋滞だけでなく、地域の分断や踏切事故の危険性など、都民の日常生活にさまざまな問題が発生しております。
 首都東京の魅力向上や国際競争力の強化を図り、快適で利便性の高い都市を実現するためには、踏切問題の解消を進めることが重要と考えます。
 東京都において、既に平成十六年六月に踏切対策基本方針を策定し、踏切対策の早期実現の取り組みを進めているのは大変歓迎すべきことでありますが、今後もさらなるスピードアップを図っていくことが何よりも重要であります。
 国においても、今年四月に公表した踏切交通実態総点検の結果を踏まえ、踏切対策を積極的に促進しており、連続立体交差事業などの抜本対策について、今後の踏切除去のペースを加速させていくと聞いております。
 さて、こうした状況の中、私の地元である板橋区内を東西に横断する東武東上線においても、区内に三十七カ所の踏切が残されており、地域で生活する区民に大きな不安と不満を与えております。
 中でも、東武東上線の大山駅付近については、駅を挟んで都内でも有数の商店街があり、毎日大変なにぎわいを見せておりますが、一方、大山駅の踏切は、朝のラッシュ時には一時間のうち約五十分も閉まっている、いわゆるあかずの踏切であるため、歩行者や自転車の回遊性、利便性を阻害し、まちの一体感が損なわれているのも事実であります。
 また、ときわ台駅付近につきましても、ことし二月に踏切に侵入した女性を助けようとした警察官が電車にはねられ、殉職するという痛ましい事故も発生いたしております。その後、警報ボタンの設置が順次進められているようでありますが、将来的には踏切の解消が強く望まれるところであります。
 いずれにいたしましても、こうした踏切問題を一刻も早く解消することが、不便で不安な生活を強いられております地域の住民の切実なる願いであり、区民の総意ともいえるものであります。
 踏切問題は地域に根差した課題でありますが、仮に鉄道の立体化ともなれば、将来的にまちの姿が大きく変わっていく大事業であり、そこに至るまでには都として積極的にかかわっていただくことが必要と考えております。
 そこで、東武東上線の大山駅付近及びときわ台駅付近の踏切対策の推進に向けた都の取り組みについて伺います。

答弁1
 ▼都市整備局長
 東武東上線の踏切対策についてでございますが、大山駅付近及びときわ台駅付近につきましては、お話にもございましたけれども、平成十六年に策定いたしました踏切対策基本方針の中で鉄道立体化の検討対象区間とされております。
 道路と鉄道の立体化につきましては、地域におけるまちづくりと連動させていくことが効果的でございます。
 このためには、まず、まちの将来像やその整備方策を検討することが必要でございまして、都も、区の行うまちづくりの検討に対しまして技術的支援などを行ってまいります。
 また、大山駅周辺におきましては、震災時に延焼遮断帯としての役割を果たす補助第二六号線が計画されておりまして、この区間は第三次事業化計画の中で優先整備路線として位置づけられております。
 したがいまして、都といたしましても、地域のまちづくりと連携を図りながら、整備に向けて取り組んでまいります。

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■教育支援コーディネーター

質問1
 次に、教育についてお尋ねをいたします。
 教育委員会では、全国に先駆けて教科「奉仕」を設置し、平成十九年度からすべての都立高校で奉仕体験活動が始まっております。
 多感な時期にある高校生の規範意識や公共心を育てていくためには、守るべき社会のルールやマナーを単に言葉で教えるだけではなく、地域や社会の中で、自分が社会の一員であり、社会に役立つ喜びを体験的に学ぶことこそ重要であると考えます。
 しかし、都立高校の教員の現状を見ると、授業、部活動、進路指導など多忙な公務を担っており、地域との連携に細やかな対応をすることは実際には困難であります。
 そのために、都立高校と地域の橋渡しを行い、都立高校の要請に応じた効果的な体験学習の場をつくり出していく人材が必要であります。都教育委員会では、平成十九年度から都立高校に教育支援コーディネーターを導入いたしました。
 そこで、この都立高校教育支援コーディネーターの導入の趣旨と活用状況について伺います。

答弁1
 ▼教育長
 導入の趣旨と活用状況についてであります。
 教育支援コーディネーターは、お話しのとおり、地域や社会と都立高校との連携の橋渡し役として導入いたしたものでございます。
 コーディネーターの支援によって、より効果的な体験活動を実施することを通じまして、地域や社会に貢献する都立高校生を育成することを目指しております。
 平成十九年の九月現在、都立高校二百八十課程中、百十一課程で教育支援コーディネーターの活用がなされておりまして、「奉仕」やキャリア教育の分野で、授業計画づくりの支援、それから体験活動先の開拓、事前・事後学習への助言などの役割を担っております。



質問2
 私の地元である板橋区では、今年度開設した都立板橋有徳高校を初めとして三校で、教育支援コーディネーターによる活動を実施しております。各校においては、荒川河川敷の清掃活動を実施するほか、コーディネーターの支援を受け、区内の障害者や高齢者の福祉活動に取り組むなど、あるいはまた今後、小学生への学習指導や中学生への部活動の指導もとり行うという予定と聞いております。
 こうした取り組みを意義のあるものと考えますが、教育委員会は教育支援コーディネーターをどのように評価し、また、今後どのように活用していくのか、伺います。

答弁2
 ▼教育長
 その評価と今後の活用についてでございます。
 教育支援コーディネーターは、NPOや企業、地域の活動団体等と学校との橋渡し役として有効なだけではなくて、教員の力だけでは取り組むことができない多彩かつ効果的なプログラムづくりに寄与するなど、多くの成果を上げつつあります。
 今後は、教育支援コーディネーターを活用する学校をさらにふやすとともに、コーディネーターの積極的な活用によりまして、体験活動に関する教員の指導技術の向上や意識改革を図るなど、都立高校生が実社会とかかわる体験学習をさらに活性化させてまいります。



質問3
 このように都立高校生が、地域や社会の中で効果的な体験活動を進めていくことは大変大切なことでありますし、さらに重要なことは、コーディネーターによる体験活動の支援にとどまらず、地元の企業や商店街、青年会議所など地域の機関や団体も、都立高校生を初めとした青少年の育成活動に主体的に取り組んでいくことであると考えております。
 地域社会を構成する者みずからの責任を自覚し、地域で青少年を育成する取り組みが活発になされるように、都教育委員会も役割を果たしていくべきだと考えていますが、見解を伺います。
 以上をもって私の質問を終わります。

答弁3
 ▼教育長
 地域で青少年を育成する取り組みにおきます都教育委員会の役割についてでございますが、ご指摘のとおり、次代を担う青少年を育成するために、都民、地域団体、企業等、地域社会を構成するものすべての教育参加が期待されておりまして、昨年改正されました教育基本法にも、学校、家庭及び地域住民等の相互連携協力という条文が新設されたところでございます。
 都教育委員会といたしましては、都レベルでの教育支援ネットワーク組織であります地域教育推進ネットワーク東京都協議会を活用いたしまして、企業やNPO等による取り組みの促進や地域人材の育成を図るなど、地域における青少年の育成活動を活性化させてまいります。

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