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第3回定例会 一般質問

ひきこもり問題解決への取組は
東大農場移転見直しへの対応は

こども・若者問題
東京型物納システム
まちづくり
山田忠昭
山田忠昭(自民党)
■こども・若者問題

質問1
 昨今、フリーター、ニートなど、将来への希望や見通しを持てないまま日々の生活を送る若者の問題が重大な社会問題となっております。
 先日、厚生労働省が実施した実態調査においても、住居がなく、ネットカフェや漫画喫茶などに寝泊まりする、いわゆるネットカフェ難民が、全国で約五千四百人に上り、そのうち二六・五%が二十代の若者であるという実態が明らかになりました。
 このように、就労しながらも生活設計が立てられない若者への支援については、早急に対策を講じていくべきですが、それとあわせ、ひきこもりやニートなど、就労、就学まで至らない若者への対応も喫緊の課題であります。
 特に、ひきこもりは、全国で三十二万人から百六十万人との推計もありますが、実態の把握が困難であり、要因等の解明も進んでいないため、有効な対策が講じられておりません。実際にひきこもりを抱えている家庭では、医療機関などに連れていこうとしても本人が応じなかったり、ひきこもりの長期化を心配しても有効な手だてがなく途方に暮れたりするなど、家庭内では解決が難しい深刻な状況があります。
 こうした若者をめぐる問題は、これまで行政が余り対策を講じてこなかった分野でありますが、このような状況を放置することは、若者の自立や社会参加をおくらせるばかりではなく、社会的負担の増大など、将来の社会経済にも深刻な影響を与えるおそれがあり、早急に対応すべき課題であります。
 そこで都は、ひきこもりなど若者の問題をどのように認識し、どのような対策を講じてきたのか、伺います。

答弁1
 ▼青少年・治安対策本部長
 ひきこもりなどの若者の問題についてでございますが、近年、社会とうまく関係が築けず、非社会的な行動をとる若者への対応が大きな課題となっております。とりわけ、ひきこもりは、長期化するほど回復にも時間を要するといわれており、早期の対応が重要であると考えております。
 都はこれまでも、ひきこもりの本人や家族などへの支援の一環として、インターネットによるメール相談を行ってまいりましたが、これに加え、本年七月から電話相談も開始するなど、相談機能の拡充を図ったところであります。また、精神保健福祉センター、教育相談センターなど、ひきこもりに係る相談機関により構成する連絡調整会議において、相談現場の実務的な連携強化を図っております。



質問2
 また、こうした問題の抜本的解決には、単なる対症療法にとどまることなく、これまで把握が困難とされ、ほとんど手つかずの状態である、ひきこもりの実態や要因等を少しでも明らかにするよう努め、さらに、それらを踏まえ、有効な対策を講じていくことが重要であると考えます。
 都は、ひきこもりの問題解決に向け、今後どのように取り組むのか、お伺いをいたします。

答弁2
 ▼青少年・治安対策本部長
 ひきこもりの問題解決に向けての今後の取り組みについてでございます。
 ひきこもりの状況にある人は、長期にわたって社会参加していないことから、実態の把握が難しく、これまで、この問題の解決に必要なデータ等が十分に得られていない状況であります。このため、都では、研究機関や相談機関などの関係機関と連携しながら、ひきこもりの実態調査を開始したところであり、今年度末を目途に、人数の推計や要因分析等を行ってまいります。
 さらに、実際にひきこもり支援を行っているNPO法人の取り組みを調査し、それらの結果を踏まえ、効果的な支援プログラムを開発するなど、今後、必要な対策を講じてまいります。



質問3
 家庭に引きこもっている若者を、家庭の外で自立的な活動を行うことができるよう支援していく一方、屋外においても子どもが安心して遊び、活動できる環境の確保も依然として重要な問題であります。東京の治安は、行政や警察が強力に治安対策を講じたことに加え、町内会を中心とした防犯活動の活性化など、地域の防犯能力が向上したことにより回復傾向にあります。
 しかし、この七月に宮城県で小学生が登校時に校門で刺されるという事件が起きました。いつ自分の子どもが犯罪に巻き込まれるかわからないという不安を抱いている親は多いと思われます。次世代を担う子どもたちを卑劣な犯罪から守らなければなりません。
 都は、これまでも警察や区市町村などと連携して、子どもの安全を確保するためにさまざまな施策を実施しておりますが、子どもの安全をより確かなものとするために、取り組みをさらに推進していくべきと考えます。
 そこで、子どもの安全確保について、知事の決意をお伺いをいたします。

答弁3
 ▼知事
 子どもの安全確保についてでありますが、都内では最近、子どもが被害者となるさまざまな事件が増加するなど、子どもを取り巻く環境は引き続き憂慮すべき状況にあると思います。次代を担う子どもたちは、東京の、国の宝でありまして、社会全体で守る必要が絶対にございます。
 幼稚園に行っているような、あるいは保育園に行っているような子どもは、幼過ぎて、お母さん方がよく自転車に乗っけて、ママチャリで通園、退園させているのを見ますが、その少し上の小学校に通うような子どもになりますと、子どもの人格に任せて、一人で登校、下校というケースが多いようですけれども、いずれにしろ、そういった子どもたちも含めて、都は、子どもが自分を守る能力を高める、その地域安全マップづくりや青色防犯パトロール車の倍増など、地域の防犯力を高めて、子どもたちを守る取り組みを現在推進しております。
 今後とも、行政、警察、学校、地域住民の総力を結集して、子どもたちを卑劣な犯罪から守っていくつもりでございます。

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■東京型物納システム

質問1
 次に、東京型物納システムについてお伺いいたします。
 先ごろ平成十八年度の都税収入の決算状況が発表されました。主税局のさまざまな徴収努力の取り組みが、都政を支える都税の確保、徴収率の向上に寄与したものと考えます。しかしながら、高齢化社会を迎え、資産はあるが納税資金に余裕がないという納税者もふえております。このような納税者の皆さんにとって、簡単に財産を売却し、現金化できるシステムがあれば大変便利であり、大いに助かるものであります。
 都では、新たな納税資金確保策として、東京型物納システムの導入を検討していると聞いておりますが、このシステムの意義と現在の検討状況についてお伺いをいたします。

答弁1
 ▼主税局長
 東京型物納システムについてお答え申し上げます。
 このシステムは、インターネットオークションを活用いたしまして、納税者の持つ資産を資金化することにより、納期内納税を推進するものでございます。滞納発生の未然防止に大きく寄与するものと考えてございます。
 現在、事業の実施主体となります東京納税貯蓄組合総連合会と、出品に関する利用規約等の作成、システム構築など、実施に向けた準備を着々と進めております。十一月には出品物の募集を開始いたしまして、来年一月下旬に最初のオークションを開催する予定でございます。

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■まちづくり

質問1
 次に、まちづくりについてお伺いいたします。
 まず初めに、東大農場と共存したまちづくりについてお尋ねをいたします。
 東大農場は、西東京市内の中心に位置し、東京ドーム五個分、二十二ヘクタールもの広大な緑の空間であり、多くの市民に親しまれる憩いの場所となっております。この東大農場の緑を核として、道路整備とあわせて歩道に配置する街路樹や、民間により創出されるさまざまな緑が一体となって、緑のネットワークに広がりと厚みを加えていくことにより、ヒートアイランド対策や二酸化炭素の削減にも大きく寄与するものと考えられます。
 東京大学は、これまで千葉県の検見川キャンパスに農場を移転する計画を持っていましたが、先月、その移転を見直し、神奈川県の果樹園や千葉県にある緑地植物実験所などを現在の東大農場に移転、集約をし、新たな大学の科学の拠点として整備するとの新聞報道がなされました。地元は、これまで、農場の移転により、緑が失われるのではないかという危機感を持っていただけに、ほっとしているところであります。
 今後は、文部科学大臣の承認が得られた段階で、正式な決定になるとのことでありますが、農場の再編整備には、農場の一部を売却をし、財源を捻出する必要があるとも聞いております。
 一方、農場の中には、北原交差点等、周辺の渋滞緩和対策に大きく寄与する都市計画道路西東京三・四・九号線が計画をされており、第三次事業化計画の都施行予定の優先整備路線に位置づけられております。
 大学は、単に農場内部だけに着目したキャンパス再編整備計画を立案するのではなく、周辺市街地のまちづくりや、農場内を横断する西東京三・四・九号線の早期整備に配慮した計画づくりを行い、周辺を含め広く都市環境を向上させるために協力すべきと考えるものであります。現在、市がまちづくりについて検討しているとのことでございますが、今後は、都が広域的な観点からかかわりを持つことが必要になってくると考えられます。
 そこで、都は、東京大学の方針の見直しを契機に、農場と共存したまちづくりについてどのように対応していくのか、お伺いをいたします。

答弁1
 ▼都市整備局長
 東大農場と共存したまちづくりについてでございますが、東京大学は、今お話にもございましたように、これまで西東京市にある多摩農場を千葉県の検見川キャンパスへ移転するとしていた計画を見直しまして、現在の場所に、神奈川県の二宮にあります果樹園などの機能も集約して再編整備する旨、公表いたしました。
 こうした動きを受けまして、今後、農場の緑を生かした地域のまちづくりの促進や、農場内を東西に横断します、ご指摘ありました都市計画道路西東京三・四・九号線の整備などにつきまして、関係者間で調整を図っていく必要がございます。
 地元市では、このための協議の場を設置したいとしておりますので、都といたしましても、広域的観点から必要な協力を行ってまいります。



質問2
 次に、調布保谷線についてお伺いをいたします。
 現在、都は、三環状道路の整備や区部環状、多摩南北方向の道路整備を重点的に推進しており、東京の最大の弱点である渋滞解消と、それに伴う環境改善のためにも、一日も早い幹線道路ネットワークの構築が待たれております。
 多摩地域における南北道路の一つであります調布保谷線は、西東京市から稲城市までの区間で、青梅街道、東八道路、甲州街道等の東西方向の幹線道路と接続をし、この地域のアクセス向上に寄与する道路であり、早期完成が強く望まれているところでございます。
 特に西東京市は、都心方向へのアクセスに比べ、武蔵野市、三鷹市、調布市などの南北方向の移動に多くの時間を要しておりまして、これらを結ぶ交通アクセスの改善に寄与する調布保谷線に地元は大きな期待を寄せております。
 そこで、調布保谷線全線の整備状況についてお伺いをいたします。

答弁2
 ▼建設局長
 調布保谷線全線の整備状況についてでありますが、本路線は、交通の円滑化、多摩の自立性の向上、地域の活性化に不可欠な骨格幹線道路であります。川崎街道から埼玉県境に至る延長十四・二キロメートルのうち、五キロメートルが完成または概成しております。残る九・二キロメートルについて、調布三鷹区間、三鷹武蔵野区間、西東京区間の三区間で、沿道環境に配慮するため、車道の両側に歩道や街路樹などの植樹帯で構成される幅十メートルの環境施設帯を設けた道路整備を進めております。昨年度末までに七六%の用地を取得し、調布三鷹区間から順次工事を進めております。東八道路の南側八百七十メートルの区間では、環境施設帯が完成し、供用をしております。



質問3
 また、西東京市内におきましても、用地買収が大きく進み、本格的な工事に移行する時期だと思いますが、西東京市内の進捗状況につきましてもお伺いをいたします。

答弁3
 ▼建設局長
 西東京区間の進捗状況についてでありますが、延長三・九キロメートルのうち、用地については昨年度末で八八%を取得しております。工事については、平成十八年度から石神井川にかかる東伏見橋下部工事を進めており、引き続き今年度内に上部工事に着手いたします。
 また、鉄道との立体交差部につきましては、今年度内に西武新宿線でトンネル工事に着手し、西武池袋線においても、平成二十年度に予定しているトンネル工事着手に向け、搬入路工事を進めてまいります。
 今後とも、地元の理解と協力を得ながら、多摩地域の発展に寄与する調布保谷線の早期完成に向け、積極的に整備を進めてまいります。



質問4
 次に、石神井川、東伏見公園の整備と水と緑のネットワークについてお伺いをいたします。
 東伏見公園が計画されております西東京市は、多摩地域の中でも一人当たりの公園面積が少ない地域であり、快適で安全なまちづくりを進める上で、公園の確保は重要な課題であります。また、水と緑のネットワークを形成する上で、東伏見地区におきます緑の拠点として、東伏見公園の果たす役割は大きいものと考えます。
 そこで、東伏見公園をどのような公園にしていくのか、整備計画の内容についてお尋ねをいたします。

答弁4
 ▼建設局長
 東伏見公園の整備計画についてでありますが、東伏見公園は、西東京市の南東部に位置する十三・七ヘクタールの都市計画公園であります。公園の整備においては、計画地を南北に貫く調布保谷線及び南側を流れる石神井川の整備と相互に連携させ、道路、公園、河川事業の相乗効果を高めることで、水と緑にあふれた魅力的な都市空間を整備してまいります。
 具体的には、調布保谷線のトンネル上部に、道路の歩道機能も備えた安全で快適な園路などを整備し、歩行者や自転車利用者のアクセス向上を図ってまいります。また、石神井川に沿って、人々が多様な生物や水と触れ合えるように、親水広場を整備いたします。さらに、南東部に隣接している東伏見稲荷の森一・三ヘクタールと公園の樹林を連続させることで、緑豊かで潤いのある空間を創出してまいります。
 今後とも、こうした総合的な取り組みにより、北多摩地域における水と緑のネットワークの拠点となる公園を目指してまいります。



質問5
 東伏見公園につきましては、かねてより、地元市や市議会からも、その早期実現を求める要望が出されておりました。公園の計画地を歩いてみますと、用地買収も進み、空き地が目立つようになってまいりました。また、先般、地元におきまして、東伏見公園の事業認可説明会があったとも聞いております。
 そこで、東伏見公園におきます事業の進捗状況についてお尋ねをいたします。

答弁5
 ▼建設局長
 東伏見公園の事業の進捗状況についてでありますが、平成八年度に計画区域内の都営住宅跡地約一・九ヘクタールを取得し、現在、千駄山広場として西東京市が暫定利用をしております。平成十三年度から、調布保谷線の計画地と重なる二ヘクタールについて用地取得を進め、現在、約一・七ヘクタールの用地を確保しております。今年度は、調布保谷線のトンネル上部について、園地整備の基本設計を実施してまいります。また、公園の東側部分の一・九ヘクタールの区域について、年内に事業認可を取得し、用地取得をさらに進めてまいります。
 今後とも、早期開園に向け、東伏見公園の整備に積極的に取り組んでまいります。



質問6
 次に、石神井川の整備についてお伺いいたします。
 去る九月六日から七日にかけて東京に上陸いたしました台風九号は、全国各地で甚大な被害をもたらし、日本を縦断いたしました。東京におきましても、多摩西部で観測史上まれに見る大雨を降らせ、檜原村の数馬では、総雨量六〇〇ミリを超える降雨を観測しました。石神井川流域でも総雨量一六九ミリという大きな雨でありましたけれども、幸いにも時間最大が二七ミリにとどまったことなどから、大きな被害は発生しませんでした。
 しかし、台風のコースや雨の降り方が違っていれば、石神井川沿川でも大きな被害が発生していた可能性があります。こうしたことからも、一日も早く河川整備を進め、洪水から都民の命と暮らしを守っていくことが大事だと考えます。特に石神井川では、下流部の区部から整備が進められており、上流部に位置する西東京市内の整備が完了するまでには、まだかなりの時間がかかると考えられております。
 そこで、石神井川の現在の整備状況と今後の見通しについて伺います。

答弁6
 ▼建設局長
 石神井川の整備についてでありますが、都は、中小河川の整備に当たり、過去に水害をもたらしたものと同規模の降雨による溢水の九割を今後十年間で解消することを目標に事業を進めております。
 このうち石神井川では、平成十八年度末で、延長二十四・五キロメートルのうち十六キロメートルの護岸整備が完了しており、これに向台調節池などの貯留効果を加えた治水安全度は八四%となっております。現在、練馬区の山下橋から扇橋まで、西東京市の溜渕橋から弥生橋まで、及び東伏見橋付近の三区間、合わせて二・八キロメートルで事業を進めております。
 今後とも、昨日事業認可を取得いたしました西東京市の弥生橋上流から東伏見橋下流までの区間を整備するなど、石神井川の治水安全度向上に積極的に取り組んでまいります。



質問7
 さて、東伏見地区では、石神井川の整備とともに、さきに述べました東伏見公園や調布保谷線の整備が一体となって進められております。河川の整備におきましては、治水対策が第一でありますが、豊かな都市景観の形成を図るため、水と緑のネットワークを目指した整備を進める必要があると考えます。
 そこで、こうした観点から石神井川の整備を今後どのように進めていくのか、お伺いし、質問を終わります。

答弁7
 ▼建設局長
 石神井川における水と緑のネットワークを目指した整備についてでありますが、石神井川については、治水機能を確保しつつ、あわせて景観や環境に配慮した整備を進めております。とりわけ西東京市区間においては、川沿いの豊かな自然を生かし、東伏見石神井川緑地などとの一体的な整備による親水化や、魚や昆虫、水鳥などにも優しい多自然川づくりに取り組んでおります。
 今回、東伏見橋下流付近を新たに事業化することで、練馬区の武蔵関公園から東伏見公園までの連続した区間を石神井川沿いの緑豊かな遊歩道で結ぶことにより、水と緑のネットワークを実現してまいります。
 今後とも、道路や公園の事業とも連携し、安全で都民に親しまれる石神井川の整備に努めてまいります。

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