トップ >都議会ネットリポート>平成19年 >第3回定例会 一般質問 >伊藤まさき(民主党)

第3回定例会 一般質問

中小・ベンチャー企業育成支援
区市町村の動物愛護事業支援を

中小企業振興
動物行政
まちづくり
伊藤まさき
伊藤まさき(民主党)
■中小企業振興

質問1
 まず、中小企業の振興についてお伺いいたします。
 中小企業白書の二〇〇六年度版によりますと、年間の廃業企業二十九万社のうち、実に四分の一はその廃業理由の第一に後継者難を挙げております。相続税においても、中小企業のオーナー経営者の株を相続する場合、優秀な中小企業ほど、相続税の納付額が一千万単位になる事例が多く、事業承継の妨げになっております。
 事業承継円滑化の観点からの税制措置については、これまでも、主要な事業用資産である土地や株式について、相続税負担の軽減措置が講じられ、順次、拡大をされているところでありますが、特にオーナー経営者が親族内で承継を行う場合の非上場株式に係る相続税負担については、ヨーロッパ諸国に比べて軽減措置が十分でなく、依然として円滑な事業承継の障害になっているとの指摘が多くございます。
 我が国の産業を支えているのは、もとより中小企業であります。東京にはすぐれた技術を持つ中小企業が集積をしておりますが、このままではすぐれた技術の継承が危惧されます。中小企業にとって、早期かつ円滑に事業承継できる体制を整備することが重要だと考えます。例えば後継者やMアンドAなどの情報を仲介する仕組みができれば、多くの企業が適正に存続できると思います。
 都として、事業承継についてどのような認識をし、そして対応していくのか、ご所見を伺います。

答弁1
 ▼産業労働局長
 中小企業の事業承継についてでありますが、中小企業の円滑な事業承継は、東京の中小企業の活性化や産業基盤を維持するためにも重要であると認識しております。
 都が昨年度実施をいたしました都内中小企業の事業承継に関するアンケート調査では、後継者の候補が決まっていない、候補がいないと回答いたしました企業が合わせて約二七%となっておりまして、事業承継に悩んでいる企業が多いというのが実態であります。
 このため、都は、現在、研究会を設置いたしまして、事業承継の問題点や事例研究を行うなど、施策の方向性を検討しているところであります。



質問2
 知事は、「十年後の東京」の中で、東京の将来を支える創造的都市型産業を重点的かつ戦略的に育成していくと述べております。今後とも、東京の活力を維持育成していくためには、創造的都市型産業の創出に向けて、中小・ベンチャー企業のチャレンジを活性化していかなくてはなりません。
 そのためには、それらの企業が開発したすぐれた新製品や新技術が世間に認められ、評価される環境をつくっていくことが重要であります。新製品やサービスを開発し、その事業化にチャレンジしている中小・ベンチャー企業の中には、せっかく開発した新製品や新技術が評価されず、埋もれたまま事業化に至らないというケースも多くあります。こうした課題に積極的に対応すべきと考えますが、知事のご所見を伺います。

答弁2
 ▼知事
 中小・ベンチャー企業の育成支援についてでありますが、都内には、ほかに類を見ないすぐれた新製品や新技術を生み出す力を持った中小企業、零細企業が数多く存在しますが、こうした企業が開発した製品や技術は、決して十分には評価されず、日の目を見ないことも少なくございません。
 こうしたことから、平成十二年度からベンチャー技術大賞を創設しまして、中小企業によるすぐれた新商品、新技術を率先して評価、表彰し、光を当てて、広く情報発信するとともに、販路開拓等の支援を行ってきました。
 これまで表彰した六十一件は、多くが極めて規模の小さな企業でありまして、この受賞をきっかけに、市場の評価が高まるとともに販路開拓も進み、そのうちの四社が、その後に株式上場を実現するなど、着実に成果を上げてきております。
 今後とも、中小企業やベンチャー企業のチャレンジを積極的に支援していきたいと思っております。
 ちなみに、ことしの技術大賞は、たしか社員が五人足らずの企業でありまして、そこで、キンバエの幼虫、ウジですね、これを無菌培養しまして、糖尿病で血行不良を起こして、主に足ですけど、壊死を起こしたその患部にこの虫をつけまして、腐った肉を食べさせて、健全な部分に侵食が進まないようにプロテクトする。成功率も八八%という非常に画期的な、そういう技術が、とにかく五名足らないちっちゃな企業で開発されていることを、やっぱり私たちは大いに評価しなくちゃいけないと思います。



質問3
 現存している企業の支援も大切ですが、創業支援の推進は、東京の経済を活性化するためにも重要であります。若者の中には、自分で事業をやってみたいと夢を持つ人も多くいますし、また団塊の世代の方々の中にも、定年退職後は自分の会社を立ち上げて新しいチャレンジをしてみたいと考えておられる方がたくさんおられます。
 しかし、創業して事業を軌道に乗せていくためには、事業計画の作成、場所の確保、資金調達、製品開発、販路開拓など、クリアしなければならない課題がたくさんございます。
 こうしたことから、創業を効果的に支援するためには、ノウハウの提供、場所の提供、資金面の支援など、多様な支援策を総合的に講じていくことが重要だと考えますが、ご所見を伺います。

答弁3
 ▼産業労働局長
 創業支援についてでありますが、東京の経済活性化のためには、高い志と旺盛な意欲を持って創業に挑戦する人々を支援していくことが大変重要であると考えております。
 このため、都におきましては、創業に必要な知識の習得を支援するセミナーの開催、空き庁舎を活用したインキュベーション施設の整備、創業資金の融資やベンチャーファンドからの出資、また製品開発や販路開拓への支援など、創業に対する各種の支援策を講じてまいりました。
 今後とも、こうした多角的な支援策によりまして、創業に挑戦する方々を積極的に支援してまいります。

▲ページのトップへ
■動物行政

質問1
 次に、動物行政についてお聞きします。
 私は、特段愛犬、愛猫家ではございませんけれども、家族の一員として動物を飼う都民がかなり多くなってきている状況の中で、動物を社会の一員としていかに迎えるかという視点が必要と思います。さまざまな価値観が錯綜する現代社会において、お互いを理解し共生していく社会づくりの推進という点から質問したいと思います。
 近年、少子高齢化、核家族化が進行し、飼育動物への志向が高まっていることを背景に、例えば都内の犬の飼育数は、昭和五十五年と比較して平成十七年には約二倍の四十一万頭と増加の傾向にあります。動物を飼うことが当たり前となり、都民生活において動物の存在が大きなものとなっている一方、飼い主のモラルの欠如やマナー不足による問題が多く発生しております。
 動物関係の事故発生届け出件数は、平成十七年度に三百四十三件と、ほぼ一日に一件の割合で事故が起きております。また、捨て犬、放し飼い、悪臭など動物をめぐる近隣トラブルについての相談、苦情は、平成十七年度末に約一万八千件も寄せられております。動物の好きな人、苦手な人が混在する地域社会の中で動物が受け入れられていくためには、まず飼い主が、それぞれの動物の習性等に応じて適正に飼育するとともに、社会ルールに対する規範意識の向上を図っていくことが必要であります。
 都では、動物愛護管理法改正を受けて、本年四月に東京都動物愛護管理推進計画を策定し、飼い主の責任の徹底を初めとする各種の取り組みを進めておりますが、飼い主への普及啓発は、都民の身近な地域で実施することが効果的であり、市区町村が果たす役割は重要であります。
 また、動物のしつけなど専門的な知識の普及においては、各地域で熱心に活動するボランティアが多数存在しており、そのような方々との連携は、区市町村との取り組みと相まって、より一層の問題の解決が図られるものと考えます。
 そこで、区市町村とボランティアが連携し、飼い主の適正な飼育や意識向上に取り組んでいけるよう、都は、区市町村への支援を積極的に行っていくべきと考えますが、ご所見を伺います。

答弁1
 ▼福祉保健局長
 動物の適正な飼育にかかわる区市町村への支援についてでございますが、これまでも、区市町村が行います飼い主の意識向上を図るための取り組みにつきまして、啓発用パンフレットの提供や、講習会への講師派遣などを通じて支援をしてまいりました。
 加えて、本年度から、ボランティアと協力して実施いたします飼い主のいない猫対策など、地域における動物の適正飼育の推進を目的といたしました区市町村の事業に対しまして、包括補助事業を活用した支援を開始しております。
 さらに、今後、都が委嘱しております動物愛護推進員の人材情報や、ボランティア団体を活用した普及啓発の事例などの提供を行いまして、ボランティアと連携した区市町村の取り組みを支援してまいります。



質問2
 また、動物の専門家である獣医師との連携も強化していかなければなりません。獣医師会との連携を図った教育現場における動物愛護について、既にさきの都議会で我が会派が取り上げてきたところですが、子どもたちの飼育動物と接する体験は、生命の大切さや思いやりの心や責任感など、豊かな人間性をはぐくむ上でとても重要と考えますので、改めてお伺いいたします。
 現在、多くの学校で、教育の一環として動物を飼育しております。学校において飼育動物の管理の徹底など、専門的な知識や技能を有する獣医師等に直接子どもに指導していただくことは有意義と考えます。既に獣医師会と連携して事業を行っている地域もあると聞いておりますが、全都での実施を目指し、さらなる努力が必要と思います。これまでの都教委はどのような取り組みをしてきたのか、ご所見を伺います。

答弁2
 ▼教育長
 学校での動物飼育に関する獣医師との連携に関するご質問にお答え申し上げます。
 飼育動物の管理の仕方や動物とのかかわり方についての指導を充実するためには、獣医師との連携が非常に重要でございます。
 都教育委員会では、獣医師を動物飼育に関する研修会の講師として招聘するとともに、動植物を大切にする心を育てる指導資料を作成、配布しまして、その中で、獣医師会等への相談など、関係機関との連携を図った指導を取り上げてきたところでございます。
 今後とも、飼育動物の管理の仕方など、獣医師と連携しながら区市町村教育委員会や各学校を支援してまいります。



質問3
 動物は、当然生き物ですから年をとりますし、病気をすることもあります。ただかわいいから、ただ欲しいからと動物を飼うのではなく、飼い主が動物を終生にわたり適正に飼育していくということを、飼い始める際に責任として強く自覚していただくことが必要です。
 獣医師、ブリーダー、ペットショップなど動物に関する職業のすべての人は、飼い主に誤解のないよう、動物の育て方、飼い方を説明、指導しなければなりません。多くの都民は、動物をペットショップから購入しているのが実情であり、動物の販売業者は、購入者に対し飼い主としての責任を周知するという大きな責務があります。
 昨年、動物愛護法の改正により、インターネット販売を含む動物取扱業者については、購入者への適正飼育に関する説明が義務づけられるなど、規制の強化が行われております。都内の動物取扱業は、登録制度導入当初の平成十三年度末の千百九十六件から、毎年百五十件程度ふえ続け、平成十八年五月末時点では二千三十四件にまでなっております。
 さらに、ペット喫茶やペットのホテルなどさまざまな業態が次々と展開しており、市場規模も全体で一兆円を超えて、今後も成長し続けるといわれております。
 こうした状況を踏まえ、ペット業者による説明義務の徹底などについて、都はどのような具体策を講じていくのか伺います。

答弁3
 ▼福祉保健局長
 動物販売業者による購入者への説明義務の徹底についてであります。
 動物愛護管理法の改正に伴いまして、平成十八年六月より、動物が生涯にわたって適正に飼育されるよう、販売業者が動物の特徴や飼育上の留意点を購入者に文書で説明することが義務づけられました。
 都では、動物販売業者に対しまして定期的に立入検査を行う中で、こうした説明文書の内容や説明を行った際の記録などを確認し、必要な指導を行っております。
 今後は、説明の実施が不十分な販売業者に対しまして重点的に監視を行うとともに、動物取扱責任者を対象とする研修を一層充実するなど、説明義務の徹底を図ってまいります。



質問4
 また、先日、石川県において、無許可で飼われていた体長約一メートルのワニが逃げ出すという事件が発生しました。このワニは、インターネットオークションで購入したと報道されております。昨今、ネット上でペットの販売を行っているサイトを数多く見かけますので、インターネットでの動物の購入もふえているようであります。
 実際の店舗を持たずに営業を行っている事業者の中には、病気の動物を売りつけたり、詐欺まがいのことを行う悪質な業者もいると聞きます。法律で規制されたとはいえ、チェック体制の強化は今後の課題であると思います。
 このようなネット販売業者に対し、都はどのように監視指導を行っていくのか、ご所見を伺います。
 私は、七月に東京都動物愛護センターを視察してまいりましたし、先日も、上野で行われました動物愛護週間中央行事を見てまいりました。当日は三十度を超える大変暑い中、多くの方が熱心に参加されておりました。現場では、限られた人員と予算で大変なご苦労をされている様子がとても印象的でした。今後、動物愛護法の適正な運用を可能にするために、都の積極的な取り組みを期待しております。

答弁4
 ▼福祉保健局長
 動物のネット販売業者に対する指導についてであります。
 インターネット上での動物の販売につきましては、動物愛護管理法の改正に伴いまして、販売業の登録並びに広告への事業者の名称、事業所所在地、登録番号等の掲載が義務づけられました。
 都では、こうした販売広告サイトにおきます法定事項の掲載状況を確認し、不適切な広告を行っている事業者に対しましては、改善を指導しております。
 ネット販売では、事務所と動物の保管場所が異なる場合もありますことから、今後とも、立入検査等を通じまして動物の流通や保管、輸送の状況等の実態把握を進めまして、必要に応じて他の自治体とも連携しながら、業態に合わせた適切な指導を実施してまいります。

▲ページのトップへ
■まちづくり

質問1
 次に、まちづくりについてお尋ねします。
 京成立石駅周辺は、葛飾区の都市計画マスタープランにおいて、地域生活拠点として、周辺の住環境と調和した地域密着型の商店街整備と居住空間の確保により、地区再生を図る地区と位置づけられております。駅の東側を南北につながる商店街は、人通りもあり活気もあるのですが、わき道に入ると道幅も狭く、老朽木造建物が軒を連ねている地域も見かけます。都市計画マスタープランにもあるように、葛飾区では、京成立石駅周辺を再開発事業により整備するとしております。
 そこで、京成立石駅周辺の再開発事業について、都はどう認識しているのか、ご所見を伺います。

答弁1
 ▼都市整備局長
 京成立石駅周辺地区は、老朽化した住宅や商店が混在する密集市街地を形成しておりまして、防災面などの課題を抱えております。
 市街地再開発事業の実施によりまして商業の活性化を図るとともに、交通広場などの基盤整備を進め、災害に強い良好な住宅市街地の整備を促進すべきであると考えております。



質問2
 また、この事業は、平成八年の地区再生計画に位置づけられ、平成九年三月には立石駅北口地区再開発研究会が組織され、再開発の勉強を行ってきました。その研究会が、平成十八年度に新たに施設計画案を策定し、権利変換試算を行い、権利者に個別説明を行うなど、積極的に働きかけをしていると聞いております。まちづくりの事業を円滑に進めるためには、地元の機運だけでなく、行政の積極的な関与と支援が必要と考えます。
 そこで、都は、この事業に対する地元の状況を現在どのように把握しているのか伺います。

答弁2
 ▼都市整備局長
 地元の状況でございますが、ご指摘にもありましたように、本地区では再開発に関する勉強会等が組織されておりまして、中でも北口の地区におきましては、近く準備組合を設立すると聞いております。
 今後、事業化に向けまして、地元区が主体となって関係住民へ十分な説明を行うことなどによりまして、より多くの権利者の理解が得られ、再開発事業の促進が図られるものと考えております。



質問3
 地元の再開発への機運が高まっているとされる一方で、地元の権利者の中には、再開発事業を急ぎ過ぎるのではないかという不安の声も上がっております。区は、京成押上線の連続立体交差事業にあわせて駅周辺のまちづくりを行うことは、連立の事業効果を高める観点からふさわしい事業の進め方だといっております。
 確かに京成押上線の連続立体交差事業の早期実現は、平成八年に約十八万人の署名を集めた葛飾区民の悲願であります。しかし、再開発事業は多くの権利者の生活に大きな影響を与えます。地域のさまざまな声にしっかり耳を傾けるのは当然でありますが、都は、京成立石駅周辺の再開発事業に今後どのように取り組んでいくのか、ご所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。

答弁3
 ▼都市整備局長
 都としての取り組みでございますが、お話のように京成立石駅付近では、京成押上線の連続立体交差事業が進められております。これにあわせまして再開発事業を施行することによりまして、地域全体の交通利便性が向上するなど、相乗的な効果が期待できるものでございます。
 都といたしましては、この機会をとらえ、地元の状況などを踏まえながら、再開発事業の実現に向けて、区の取り組みを支援してまいります。

▲ページのトップへ

戻る