都区のあり方について
砂町運河の水質改善を |
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 米沢正和(自民党) |
■都区のあり方 |
質問1
気管支炎のため、途中で大変お聞き苦しい点が出る可能性がありますので、あらかじめご了承賜りたいと思います。
初めに、都区のあり方について伺います。
現在、東京都と特別区は、都区財政調整の協議の結果を踏まえて、事務の移管、区域のあり方などについて、都区のあり方検討委員会を設置し、協議を行っていると聞いております。私は、この協議結果が、今後の東京のみならず、国全体の行方を左右する可能性があると考えているものであります。
知事もかねてから、東京は日本の心臓部であり、二十三区はその基幹部分であると位置づけておられます。したがって、この問題に無関心であることは許されず、都民の福祉向上の観点から、建設的な議論、そして、都区双方が納得した取りまとめがなされることを期待するものであります。
ただ、現在の都区協議の経過を拝見していますと、根本的な問題として、大都市経営を都区がどのように役割分担をしていくのかという論点が不要領であります。もちろん、高度集積のメリットを生かした都による大都市経営が重要であることは申し上げるまでもありませんが、しかしながら、効率性だけで判断することは危険な場合もあるわけであります。集積にはデメリットもありますし、都が東京市役所の役割を果たしていることの是非、大都市に複数の基礎自治体が存在することの是非等々、多角的に議論していかなければなりません。
江戸以降、平成まで、大都市経営の内容は大きく変化をいたしておるわけであります。大都市経営の成否は、行政の取り組みのみならず、住民の共同体意識の高揚、自治・自立意識の確立等によるところが大きくかかわります。そこで、大都市経営の担い手に関する基本的認識をまずお伺いいたしたいと思います。
答弁1
▼総務局長
大都市経営の担い手に関する基本的な認識についてでございます。
都は、特別区を包含する広域の自治体として、大都市東京全体の活力を維持向上させる役割を担い、特別区は、大都市東京の基礎的自治体として、住民に第一義的な責任を負い、住民に身近な地域の事務を広範に提供する役割を担っております。
ご指摘の大都市経営を的確に行うためには、都と特別区がそれぞれの役割を果たすだけではなく、住民の自治意識を踏まえつつ、両者が連携、協力することが極めて重要であると認識しております。
今後、都は、特別区との連携、協力をこれまで以上に深めまして、大都市東京のさらなる発展に向けて取り組んでまいります。
質問2
私は、特別区が何とか自治権を拡充したいと模索をしていた昭和三十四年、江東区議会議員となりまして、その間、五十年間近く……(笑声)江東区のみならず──いや、笑い事じゃありませんよ。本当ですよ。二十三区、また都区間の懸案解決に微力ながら努力をしてきたつもりであります。平成十二年、都区制度改革が実現し、区が基礎的な自治体として認知されるに至っては、過去の苦難の歴史から考えますと、隔世の感があります。感慨無量でありました。
現在の都区のあり方検討委員会における議論で気になることは、その意気込みがいかがなものかということであります。十二年度改革は、当時は、町会、自治会等も巻き込んだ草の根からの運動であったと思います。現在の区のあり方の中、事務の配分、区域のあり方の方向性をまとめることができるか。検討委員会では決められても、いざ実現へ向けてというときには足踏みをすることも考えられるわけであります。それは、都民、区民の関心の薄さが原因なのではありませんか。
都民、区民世論の喚起、もちろん特別区にも求められるものではありますが、都の役割も重要であります。お考えをお伺いいたしたいと思います。
答弁2
▼総務局長
都民、区民世論の喚起についてでございます。
都区のあり方の検討は、住民自治の主体である都民、区民の理解と協力を得て進めていくことが必要でございます。このため、都区のあり方検討委員会の会議を原則として公開とし、議事の要旨や会議の資料もホームページ上で広く公表しております。
今後、都といたしましては、同委員会の検討経過につきまして、都議会はもとより、マスコミ等にも十分な説明を行うとともに、一定の取りまとめを得た場合には、その内容をわかりやすく解説した資料を公表するなど、改革の推進に向けた都民、区民の世論喚起に努めてまいります。
質問3
この質問の最後に、現在の事務のあり方、財源の行方、区域のあり方を、必要とする以上に検証すべきではないかと思いますが、それは、都区双方の官僚の方々がきちっと知恵を出せばできるわけであります。しかしながら、私は、江戸から東京への歴史を虚心坦懐に振り返った上で、政治家としての歴史観、歴史認識に基づいて、都をどうするのか、区をどうするのかを、知事、各区長が判断することが最も重要かつ望ましく、透徹した歴史観に基づく判断は官僚にはできないと思いますので、知事のお考えをお伺いいたしたいと思います。
答弁3
▼知事
都区のあり方についてでありますが、東京は、江戸開府以来四百年の長い歴史の上に築かれた大都市でありまして、この日本の発展を支え続けてまいりました。今日、東京の財源ねらい撃ちなど、東京が果たしてきた役割に対する認識を欠いた議論が横行しておりますが、東京の発展こそが将来も日本を牽引していく力となることを自覚すべきだと思います。
こうした認識に立ちまして、大都市東京の機能性、効率性を最大限に発揮できるよう、現在の都区のあり方を、各区が備えているそれぞれの機能性の濃淡、特性、あるいは共通性を踏まえて積極的に見直し、都民の意見も聞きつつ、新たな都区の関係を構築していくべきだと思っております。
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■地下鉄八号線の整備 |
質問1
次に、オリンピック招致と地下鉄八号線整備について伺います。
オリンピックは、有形無形の大きな財産を国民に残す世界最大のイベントのため、都の招致活動を全面的に支援するものであります。また、先般、二〇一六年のオリンピック東京招致が閣議で了解されましたことは、知事みずからの努力により、国内に賛同の輪が確実に広がっていることを示すものであります。深甚の敬意を払うものであります。
さて、オリンピック招致を実現するためには、現在立候補を表明しているシカゴ、マドリードなどとの厳しい競争に打ち勝つ強い計画を世界に示さなければなりません。メーンスタジアムなどすぐれた施設計画はもとより、開催中の円滑な交通の確保こそ、計画の評価を左右することはいうまでもありません。全世界から集まる選手、マスコミ関係者や観客の安全、快適な移動を保障することが大変重要なことはいうまでもございません。
都市の交通問題解決の要点は、フル規格の地下鉄ネットワークの充実でありますが、オリンピック招致を視野にこの問題を考えてみますと、地下鉄八号線豊洲─住吉間の整備が極めて有効であります。この路線は、平成十二年の運輸政策審議会答申第十八号において、平成二十七年までに整備着手することが適当な路線と位置づけられたものであります。既に豊洲駅、住吉駅の駅舎には乗り入れ可能とするホームが整備されておりまして、延長約五・一キロメートル、おおむね一千二百億円の建設経費が見込まれております。この路線を整備することによって、埼玉、千葉方面から、メーンスタジアムなど主要施設の建設が予定されている臨海部へのアクセスが飛躍的に改善されるものであります。多額な建設費が見込まれておりますが、新たに制定された都市鉄道等利便増進法の事業スキームを適用すれば、地元自治体の資金負担は事業費の三分の一であり、地元区等の負担が可能であれば、東京都の負担はさらに低減をされるわけであります。
さらには、この路線は、新タワーの建設が決まった墨田区業平・押上地区と臨海部との連携を支えるなど、センター・コア・エリア東側の開発拠点を結ぶ交通ネットワークとして、東京の発展を牽引するものではないでしょうか。
このように、今後も発展著しい東京センター・コア・エリア東部、臨海地区を支える動脈として極めて重要な交通網である地下鉄八号線豊洲─住吉間の整備は、オリンピック招致の成功にとっても決定的な意味を付与できるものと考えておりますが、ご所見を伺いたいと思います。
答弁1
▼都市整備局長
地下鉄八号線豊洲─住吉間の整備についてでございます。
本区間を含む地下鉄八号線の延伸は、ご指摘にもございましたように、運輸政策審議会答申第十八号におきまして、平成二十七年までに整備着手することが適当である路線として位置づけられております。
本路線の実現に向けましては、事業主体の確立や事業採算性の向上、また、多額な事業費の確保などの課題がございます。
都といたしましては、本路線の沿線区などで構成される促進協議会に引き続き参画いたしますとともに、将来の輸送需要の動向などを見据えながら、さきの課題などにつきまして、関係者とともに検討してまいります。
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■築地市場の豊洲地区への移転問題 |
質問1
次に、築地市場の豊洲地区への移転問題について伺います。
まず、移転経過の都民への説明責任についてであります。
築地市場の移転につきましては、平成十一年度に、現在地での再整備は困難である、移転整備への方向転換をすべきであるという、築地市場再整備推進協議会での意見集約を受けて、都は平成十三年度に、移転先を江東区の豊洲地区と打ち出したわけであります。
その後、受け入れ区である江東区では、都からの再三にわたる強い要請を受けて、さまざまな問題がありましたが、認識しながらも、全都民的立場から受け入れることを表明したわけであります。
現在、一部の政党が、移転整備に至った経過を棚に上げ、先般の都議選以降、土壌汚染問題のみを大々的に取り上げ、それに加担する形で市場内の団体が反対している中で、都が勝手に移転を決めたかのような、事実をゆがめた形で世論を誘導し、都民の不安をあおることに終始いたしております。
都は、地元江東区民はもちろんのこと、都民に対しても、移転に至った経緯について、いま一度正確かつ詳細に説明する責任があるのではないでしょうか。所見を伺いたいと思います。
答弁1
▼中央卸売市場長
築地市場が移転に至った経過の都民への説明についてでございます。
築地市場の現在地再整備については、平成三年から工事を進めてまいりましたが、その過程で、ローリング工事用の種地が乏しく、業界調整が難航をきわめ、工事が事実上停止をいたしました。このため、業界団体から移転の可能性を検討するよう要請を受け、協議を重ねてまいりました。
その結果、築地市場の移転先として、一つには、広い駐車場などを配置できる大規模用地の確保が可能なこと、二つには、既成市街地の外周地域で交通条件が良好な位置であること、三つ目には、築地市場との継続性が保てる位置であることなどの考え方に基づき、東京都卸売市場審議会からの答申を受け、平成十三年十二月に豊洲地区への移転を決定したものでございます。
現在、築地での再整備が一部で主張されておりますが、過密狭隘で種地がないことに加え、アスベスト対策を相当慎重に行う必要があることから、現在地再整備は不可能であると考えております。
お話のように、こうした移転に至った経緯や移転の必要性等について、都民や市場関係者に理解していただくことは重要でございまして、今後、より詳しくホームページに掲載するとともに、パンフレットを作成して幅広く配布するなど、一層の理解が得られるよう努めてまいります。
質問2
次に、移転予定地周辺のまちづくりとの整合性についてであります。
現在、移転予定地の周辺では、ウオーターフロントの特性を生かした潤い豊かなグレードの高いまちづくりが進められておりますが、特に豊洲地区の開発は目覚ましく、大型マンションの立地や商業施設の進出を受けて、今では都内有数の観光スポットに成長するなど、居住人口はもとより、来訪者数も日を追うごとにふえてきておるわけであります。
移転先における市場づくりについては、こうした周辺まちづくりとの整合性を保つことは当然のことながら、住民や来訪者などにとっても有益なものとすべきであることはいうまでもありません。都はこうしたことを踏まえてどのように対応していくつもりなのか、その見解をお伺いいたしたいと思います。
答弁2
▼中央卸売市場長
移転予定地周辺のまちづくりとの整合性についてでございます。
豊洲地区では、地権者が主体となって策定をいたしました豊洲地区まちづくりガイドラインに基づき、三方を水辺に囲まれた地区の特性を生かし、水辺に親しみ、豊かな緑が感じられ、にぎわいのあるまちづくりを進めております。
そのため、市場の整備に当たりましては、快適に市場の外周を散策できるよう、護岸と一体となった幅の広い緑道を設置いたします。また、幹線道路に接する敷地には植栽を施し、緑豊かな景観を形成いたします。
さらに、食を中心とした東京の新たな観光名所として、千客万来施設を整備することにより、豊洲新市場を、地域住民、国内外からの来訪者にとって、開かれた親しみのある市場としてまいります。
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■下水道事業 |
質問1
最後に、下水道について伺います。
江東区は、東京湾や江東内部河川など、豊かな水辺に囲まれておりますけれども、昭和三十年代の河川は、今から想像もできないほど汚れておりました。しかしながら、下水道整備が進み、水辺環境は著しく改善され、私の事務所の近くの横十間川にはコイが泳ぐ親水公園ができるなど、都民が水辺に親しめるようになったわけであります。
ところで、江東区は合流式下水道で整備されております。大雨が降りますと、雨水で希釈された汚水の一部が川や海に越流するため、これまでも下水道局は改善対策を講じてまいりましたが、今後さらに都民が親しめる水辺とするためには、一層の対策が必要ではないでしょうか。
そこで、下水道局は江東区でどのように合流式下水道の改善対策を進めていくのか、お伺いいたしたいと思います。
答弁1
▼下水道局長
江東区における合流式下水道の改善対策についてでございます。
下水道局では、雨水で希釈された汚水の一部が川などに放流される量を減らし、水再生センターでの処理量をふやすため、幹線管渠の増強や、降雨初期の下水を一時的にためる貯留池の整備を図るなどの対策を進めております。
江東区におきましても、これまで、東陽幹線など幹線管渠の増強を行うとともに、砂町水再生センターや木場ポンプ所などで、貯留池の整備やごみなどの流出を抑制するためのスクリーンの目幅縮小、オイルフェンスの設置などを実施してまいりました。
今後も、砂町水再生センターや小松川第二ポンプ所の貯留池を整備、増強するなど、合流式下水道の改善対策を進めてまいります。
質問2
次に、江東内部河川の水辺環境は随分と改善されてまいりましたが、砂町水再生センターの放流先である砂町運河は閉鎖性水域で、水の流れが少なく、一度水質が悪化しますと、なかなか改善しないという課題が残されております。この運河は、マリーナが整備されるなど、さまざまなレクリエーションの場となっていることから、一層の水質改善が望まれます。そのために、水再生センターの放流先を運河の外に変更するよう要望してまいりましたが、いよいよ着手が近いと聞いております。
そこで、砂町水再生センターの放流先を変更する事業の内容についてお伺いいたします。
この事業は、長い時間と多くの費用がかかり、非常に大変だと思っておりますけれども、下水道局の高い技術力を生かし、事業を着実に進めていくことを期待いたしております。
以上をもちまして私の一般質問を終わりますが、お聞き苦しい点をご寛容賜りたいと思います。ありがとうございました。
答弁2
▼下水道局長
砂町水再生センターの放流先を変更する事業についてでございますが、下水道局では、砂町運河の水質を改善するため、水再生センターの放流先を、閉鎖性水域である砂町運河などから水門外側の荒川河口付近に変更することといたしました。
現在、事業を実施するために必要な法的な手続を進めており、全長約四キロメートルに達する放流管の整備工事に早期に着手する予定でございます。
今後、本事業を着実に推進するとともに、合流式下水道の改善対策を進め、都民の皆様が水辺に親しめる環境の創出に貢献してまいります。
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