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第3回定例会 一般質問

太陽光発電普及で環境意識改革
産科医療に助産師の活用を

地球温暖化対策
産科医療の確保
石毛しげる
石毛しげる(民主党)
■地球温暖化対策

質問1
 このたび知事は、フィジー、ツバルへと視察に行かれました。世界地図を広げてみますと、ニュージーランドの上にフィジーがあり、その上にツバルがあります。赤道直下に韓国料理の名前のようなナウルという国がございます。
 そして、その上に行きますと、北緯二十度、東経百三十六度、無人島でありますが、実は郵便番号までついている、我が国にとって大変重要な沖ノ鳥島がございます。北小島、東小島の二つの島から成り、満潮時には十六センチしか海面から頭が出ておりません。
 今後、百年間の間に、海面が最大五十九センチ上昇し、早ければ今世紀の半ばには沈むと予想されております。ツバルが沈むということは、沖ノ鳥島も同じ運命をたどることになるでしょう。沖ノ鳥島が仮に水没をすれば、日本の国土面積を上回る約四十万平方キロメートルの排他的経済水域が失われることになります。
 赤道直下のナウルは、燐鉱石の島といわれております。その燐は、大昔、鳥のふんが堆積してできたといわれております。
 沖ノ鳥島という名前ですので、私は、ナウルのように鳥の楽園にして、どんどんふんをしてもらい、島を隆起させ、燐鉱石の島にしたらいかがかと考えたわけでありますが、岩になるまでは相当時間がかかるということで、いつしか現代の科学をもって、ふんを岩にする物質ができるかもしれません。
 また、沖ノ鳥島にサンゴ礁を増殖させ、陸地をかさ上げするという取り組みについても期待をするところであります。
 さて、知事は以前、産経新聞の「日本よ」の中で、沖ノ鳥島は岩礁の補強、その保全に多額の国費を投じ、東京都も百十億円を負担した、しかし、国はせっかくあれだけ施設をつくりながら、その維持と活用を怠ってきたと述べております。
 さて、このたび知事は視察を──地球規模の深刻な温暖化を一人でも多くの都民に伝えるための視察だと私は理解をしております。
 そこで、南太平洋の島々は、知事に何を見せ、何を訴えたのか、お聞かせ願いたいと思います。

答弁1
 ▼知事
 地球温暖化についてでありますが、今回視察しましたツバルでは、海面上昇により主食のタロイモの栽培が不可能になっている、そういう状況などを目にするとともに、満潮時には水浸しになります集会所の庭も、これは満潮時の二時間前でしたけど、既に水がひたひた押し寄せていましたが、それも目にしてまいりました。地球温暖化により、国そのものが水没の危機に瀕していることを改めて感じたわけでございました。
 私がかつて参りましたことのあります、有名な景勝地でありますローヌ川の源流のローヌ氷河も、数十年前に行きましたら、オーバールック、展望台からはもう氷河が見えません。この間テレビでやっていましたが、さらに上流に行きますと、辛うじて残っている氷河が一年に一メートル溶けて流れている。あるいは北極点の氷も薄くなってきている。バングラデシュの北側にありますヒマラヤの氷河湖も決壊寸前であるということで、そういった水が海に流れ出す総量というのが刻一刻ふえているわけでありまして。
 地球は自転しているわけでありますから、大きな球体にも遠心力がかかりますね。その遠心力が一番かかるのは、一番しんから遠い赤道の近辺でありまして、その水域というものが膨張しているのは、これはもう原理的にそのとおりのことだと思いますが。
 日本の援助でできましたフィジーの気象台に行きましても、これは南太平洋でオーストラリアを除く他の地域を唯一カバーする技術を持った気象台でありましたが、そこの所長も、統計的にはまだまだ時間をかけて正確な把握をする必要があるが、明らかにこの水域の水が膨れ上がって気象が狂ってきているということはもう間違いないということもいっておりました。
 地球温暖化の問題は南太平洋の遠い国の話にとどまりませんで、日本にとっても喫緊の課題だということを改めて認識いたしました。そういう認識に立って、都はCO2排出量の劇的な削減に向けた取り組みを着実に推進し、日本の地球温暖化対策をリードしていきたいと思っております。



質問2
 次に、昨日の代表質問でも出ました温暖化に関連いたしまして、ソーラーなどの太陽光発電についてお伺いいたします。
 猛暑となったこの八月二十二日、電力需要がピークとなり、東京電力は特別の契約をしていた大工場などへ電気の使用を抑えるように要請をし、何とかこの夏は乗り切りましたが、今後も安心はできません。「十年後の東京」には、百万キロワットと目標を掲げた太陽光発電の普及が挙げられております。
 私は先日、太陽光発電システム、通称ソーラーシステムの販売店に行ってまいりました。そこで、太陽光発電システムを普通の家屋に設置すると、どのくらい費用がかかるのかと聞いたところ、三キロワットの大きさで二百万円ぐらいかかるといっておりました。
 ソーラーシステムは、一度つけてしまえば半永久的に使用できます。その日の電力状況が一目でわかり、余った電気は売り、足りない電気は買うということができます。それによって、温暖化対策や節電について家族で語り合う機会もできます。
 例えば、団らんの場でこんな光景が見られるかもしれません。お父さん、先月は暑かった分、大分電気代が安くなったわ。お父さんは、そうか、もうかるなら温暖化も悪くないかな。何をとんちんかんなことをいっているのよと、こんな温かい会話が聞かれるかもしれません。ソーラーシステムをつけることによって、環境問題を熱っぽく、口角泡を飛ばすかもしれません。
 びっくりするかもしれませんが、この家族の温かさや熱っぽさのエネルギーを電力会社は買ってはくれません。ですが、こうしたことは生活者の意識の改革につながると確信しております。そこで、一点突破全面展開、都民の環境の意識を育てるツールになるのではないかと思います。
 そこで、環境対策全般に占める太陽光発電の意義について、都の見解をお伺いいたします。

答弁2
 ▼環境局長
 太陽光発電の意義についてでありますが、太陽光発電などの再生可能エネルギーは、その利用を拡大することにより、エネルギー使用に伴うCO2を削減することができます。加えて、自宅に太陽光発電を設置した方々で構成されているNPOによれば、太陽光発電の設置を契機に、多くの家庭で節電が進んだとの報告があり、省エネルギー型のライフスタイルへの転換にも寄与するものと考えられます。
 これらのことから、太陽光発電の利用拡大は、東京における地球温暖化対策に重要な意義を有するものと認識しております。



質問3
 日本での太陽光発電の普及は、国の補助金廃止を契機として伸び悩んでいます。一方、ドイツでは二〇〇五年、日本を抜いて世界一位、太陽光発電の国となりました。
 その背景には、ソーラーなど太陽光発電の設置と、自分のところで生まれたエネルギーを電力会社が高く買う固定価格買い取り制度が定着しているからです。市民の中には、老後を余剰電力を売って生活する人たちもいます。
 さて、ドイツの太陽光発電の容量は、二〇〇六年の一年間で見ると、百十五万キロワットふえたのに対して、日本は二十五万キロワットです。
 また、世界一の技術を持つ日本の企業は約五割、シェアを占めております。しかし、この王座も、ドイツや中国が背後に迫り、危うくなっております。
 また、阪神・淡路大震災や新潟での大震災時に太陽光発電を使用したところは、ライフラインが停止されても、一部の電気を使用できました。こうした効果を生む太陽光発電の普及を都がリードし、全国に広まるような形で対策を打ち出していただきたいと思います。
 そこで、太陽光発電装置普及に向けた都の取り組み状況をお伺いいたします。

答弁3
 ▼環境局長
 太陽光発電の普及についてでありますが、太陽光発電及び太陽熱の利用を拡大し、「十年後の東京」に掲げた目標を達成するために、本年三月に太陽エネルギー利用拡大会議を設置いたしました。
 この会議におきましては、住宅、設備機器メーカーや電気、ガス事業者、学識経験者などとともに、都内への太陽エネルギーの導入を目指す方策について議論を重ねております。
 今後、こうした議論も踏まえ、太陽エネルギーの具体的な利用拡大方策について取りまとめてまいります。

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■産科医療の確保

質問1
 次に、産科医確保についてお伺いいたします。
 昨日も質問が出ましたように、緊急搬送での事件が相次いでいます。私も昨年、父親の緊急搬送に立ち会う経験をいたしました。救急隊が懸命に搬送先を探してくれましたが、一時間以上も病院が決まりませんでした。これは小児科、産婦人科を初めとする医師不足という問題が挙げられます。
 そこで、まず東京都における妊産婦、新生児、小児科救急医療についてお伺いいたします。
 産科医は、全国で二〇〇四年まで、過去十年間に七%減少しております。それは、勤務医の超過労働時間が過労死ラインといわれている月八十時間を優に超え、それに加え、医療過誤で訴えられるケースが後を絶たないことも要因となっております。
 これに伴い、産科を廃止する病院が相次ぎ、高度医療が可能な中核病院で普通分娩がふえ、緊急時に受け入れができないという悪循環が生じております。妊娠、出産、育児環境の極めて深刻な状況にある昨今、こうした不安を取り除くことが急務であろうと思います。
 その対策の一つとして、私は助産師の活用を提案したいと思います。
 私は三人の子どもがおります。そのうち二人は助産所で、ラマーズ法で出産いたしました。
 私がしばらく住んでいたフランスでは、ヨーロッパで一、二位を争う少子対策が行われております。一九九四年に出生率一・六だったのが、現在は二・〇まで回復いたしました。その背景には、フランス語でサージュ・ファムと呼ばれる助産師の役割が大きいといわれております。サージュとは賢い、ファムとは女性を意味します。村で何でも知っている長老的女性がその役目を担っていたからこう呼ばれております。
 また、オランダでは妊婦の三〇%が自宅で出産しております。
 昭和二十八年に産科医ができるまで、七十四年間も産婆さんが単独で子どもを取り上げてきました。産婆、助産婦、助産師と呼び名を変え、現在に至っています。ちなみに、私の義理の祖母は戸越で産婆をしていました。
 さて、日本で出産は病院と開業医で九九%、わずか一%が自宅及び助産所です。
 昨年、第三回定例会において、葛飾の赤十字病院での助産師の話が出ました。今後、こんにちは赤ちゃん事業で母子訪問など助産師の活躍の場も拡大すると思います。
 また、医療法第十九条改定を含めて、助産所を開設しやすい環境づくりを支援することが必要だと考えます。
 そこで、行政の力で助産所を抱合した地域周産期医療ネットワークを実施し、緊急搬送体制の確立を望むものであります。そして、正常妊婦の管理を助産師が受け持つことにより、産科医の負担が軽減され、いわゆる救急車による、たらい回しのような悲劇も緩和されるでしょう。
 ところで、こうしたネットワークも、病院勤務の医師の確保があってこそ成り立ちます。そのために、診療報酬の改定や働きやすい環境づくりが重要だと考えます。妊産婦や産科医の叫びともとれる現状を解決するために、ぜひ国に先駆けて早急に対応すべき問題だと考えます。
 そこで、助産師の活用を含め、都において産科医の確保、育成についてどう取り組んでいくのかお伺いいたします。

答弁1
 ▼福祉保健局長
 産科医療についてお答えを申し上げます。
 まず、妊産婦等の救急医療体制の現状についてでございますが、都では、出産前後の母体、胎児や新生児の救急患者に高度専門的な医療を提供いたします周産期母子医療センターを二十二施設整備するとともに、各施設や東京消防庁がベッドの空き状況などを把握できるシステムを整備してございます。
 また、小児救急につきましては、入院が必要とされる患者に的確に対応するため、三百六十五日二十四時間、小児科医師の診療が可能な救急医療機関を四十七施設確保しているほか、重篤な救急患者に対応できる救命救急センターを二十二施設認定しているところでございます。
 続きまして、産科医師の確保、育成についてでございますけれども、都といたしましては、産科などの病院勤務医師の不足に対して、実効性のある取り組みが急務であると考えてございます。このため、産科医師の代表を含め、都内の医療関係者から成ります東京都地域医療対策協議会を設置し、都における医師確保対策について協議を行っております。
 今後、本協議会での検討も踏まえ、病院勤務医師の負担軽減に向けて、勤務環境の改善、助産師や医療補助者の活用などの取り組みを進めるとともに、専門医の育成等についても積極的に取り組んでまいります。

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