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第3回定例会 代表質問

地方税財政制度の再構築を
格差是正策を早急に具体化せよ

今後の都政運営
築地市場の移転問題
中小企業対策
医療行政
介護保険制度
障害者自立支援法
震災対策
新しい建築確認制度
緑の保全
犯罪被害者施策の推進
再質問
土屋たかゆき
土屋たかゆき(民主党)
■今後の都政運営

質問1
 私は、都議会民主党を代表して、都政の主要課題について知事並びに関係局長に伺います。
 初めに、新潟県中越沖地震について申し上げます。
 三月の能登半島地震に続き、七月には同じ震度六強を記録する新潟県中越沖地震が発生しました。ここに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復興を祈念するものであります。
 まず、今後の都政運営について伺います。
 国政の現状について伺います。
 代表質問には答えられない、これは安倍前総理の辞意報道の際に報じられた発言です。この七月の参議院選挙で敗北を喫したにもかかわらず、続投を宣言し、内閣改造を行い、ブッシュ米大統領に給油活動継続を約し、国会における所信表明を行ったその二日後に辞任表明を行うという、前代未聞、異例の事態が生じました。
 そして昨日の両院協議会を経て、福田康夫元官房長官が新総理に選出されました。現在の衆議院与党体制は、小泉元総理のもとで行われた総選挙の結果生まれた体制であり、その後総理となった安倍晋三氏、そして福田新総理と、総選挙での信任を経ない二人目の総理が誕生することになりました。いかに議院内閣制とはいえ、民意の信任を得ることなくして新総理の正統性は担保されません。早い段階で衆議院の解散・総選挙を行い、民意を問うべきと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁1
 ▼知事
 衆議院の解散・総選挙についてでありますが、さきの参議院選挙の勝利で、民主党がヒートアップし、舞い上がっているのはわかりますけれども、それにしても、議会の代表質問でこうした質問はちょっと筋違いじゃないかと思います。
 あくまでも参議院は、衆院の判断をチェック・アンド・バランスする第二院でありまして、私自身も在籍しておりましたが、その機能の本質というのは理解しているつもりでございます。
 あえてお答えしますけれども、新首相のもとで政府は、まずもってしっかり行政の体制を立て直して、一刻の猶予も許されない焦眉喫緊の国内外の難題を着実に処理してもらいたいと思っております。
 例えば、私の認識している限り、選挙中までのことであります、その後どう変わったかわかりませんが、あの問題の多い、でたらめな公務員の組織の社保庁を民主党は存続するんでしょう。自民党、公明党はこれをとにかく解体して民営化しようというのに、こういった本質的な問題が棚上げされて、私は、選挙、選挙といってはしゃぐ必要はないと思います。
 第二院とはいえ、参議院で多数を得た以上は、民主党はこれまでとは比較にならない重い責任を負ったのでありまして、いたずらに解散・総選挙を急いで、国民を置き去りにしたり対外関係をおろそかにすれば、結果として、国家、国民の利益を大きく損なうことになるのではないかということを肝に銘じて行動されることを期待しております。



質問2
 福田新総理も安倍前総理と同じ自民党の総裁とはいいながらも、内政、外交に臨む姿勢は安倍前総理とは明らかに違っているといえるのではないでしょうか。一見、古きよき自民党に戻ったとも見えますが、政権公約の基本理念には自立と共生を掲げ、我が党と基本理念を共有されてもいます。
 福田新総理のこうしたスタンスについて、都知事はどのように受けとめておられるのか、また、今後の都政への影響についてどのようにお考えなのか、見解を伺います。

答弁2
 ▼知事
 福田政権誕生の都政への影響についてでありますけれども、ご指摘のように、福田さんは、自立と共生というものをしんに据えた政治を行いたいとおっしゃるようで、これは大変結構なことであります。情報の流通がスムーズになって、時間的、空間的に世界が狭くなった、こういう時代に、私はやはり、自立と共生というものをしんに据えた政治のかじ取りというのは不可欠だと思っております。
 しかし、まだ具体的にどういう政権運営されるか、所信表明をされていない次元でありますから、これから新政府の財政のかじ取りを見守る必要があると思っております。



質問3
 こうした国政の変化にもかかわらず、東京都には自治体としての主体的なあり方が常に問われています。知事は、弁慶橋風致地区における参議院議員宿舎建設について、時代の変化や国民意識の変化を踏まえ、再度議論すべきことを指摘し、再考を求められました。さきの所信表明においても、国に唯々諾々と従うのではなく、主張すべきを主張し、分権の時代にふさわしい地方の姿を示したとされました。
 平成十二年の地方分権一括法によって機関委任事務が廃止され、国と自治体が対等平等な関係と位置づけられたにもかかわらず、国の過剰な関与が続き、自治体の側にも対等平等を主張し切れない関係が続いています。改めて、国と自治体との役割分担明確化の観点から、国の過剰な関与を改めさせ、役割分担に基づいた地方税財政制度の再構築を働きかけていく必要があると考えますが、見解を伺います。

答弁3
 ▼知事本局長
 地方税財政制度の再構築について申し上げます。
 都はこれまでも、真の分権改革の実現には、まず国と地方の役割分担を明確にした上で、地方の事務と権限に見合う税源を配分すべきであると主張してまいりました。しかし、依然として国のさまざまな関与や補助金等が残されておりますために、地方が主体的に判断ができず、独自の施策展開が困難となっております。また、このことが責任の所在をあいまいにしております。
 こうした中にありまして、現在、国の地方分権改革推進委員会におきまして新たな分権改革の議論が進められております。都といたしましては、この動向も踏まえまして、まずは国の関与の実態を具体的に示して、過剰な関与を廃止し、国と地方の責任を明確にすることを求めてまいります。さらに、地方の自主的な判断を阻害しております補助金を廃止いたしまして、地方の責任に見合った財源が配分されるよう、地方税財政制度の再構築を求めてまいります。
 今後、地方分権改革推進委員会における検討状況を見据えながら、適宜、都としての見解をまとめまして、国に強く働きかけてまいります。



質問4
 さて、七日、石原知事は、知事選直前に発表した都民税所得割の軽減措置を撤回しました。
 そもそもこの措置は、低所得者の自立支援や所得向上策と結びつく一貫した政策体系に基づくものではなく、単に税体系の一部に軽減措置を行うだけの理念なき公約であり、撤回は当然の判断と考えます。
 石原都知事は今回の撤回を公約の進化だと述べられておりますが、この政策を打ち出すに至った経過や、今回の撤回に至るまでの過程について明らかにし、素直に公約の撤回を認めるべきであります。同時に、知事が時として批判を受けるトップダウンの弊害や、それに目を閉ざしてきた都庁の体制を検証し、正してこそ、真の意味での進化が始まると考えます。知事の見解を伺います。

答弁4
 ▼知事
 低所得者の方々に対する支援についてでありますが、先ほども申し上げましたけれども、近年、額に汗して懸命に働いているにもかかわらず、低所得の状況から抜け出せないまま不安定な生活を余儀なくされている方々が増加しております。低所得者への支援が重要であると認識しております。
 その中で都民税の軽減を検討してきましたが、税による一律の軽減よりも、きめの細かい施策として手当てをする方が公平で効果的であるということが明らかになりましたので、方針を転換いたしました。
 これは、あなたのおっしゃるように、決して私の思いつきのトップダウンではございません。選挙の前に、新しい政策、公約について何か建言してほしいといって、出てきた案でありまして、私も、大変結構だな、東京も財政再建できましたので余裕もできましたから、そのことはしようじゃないかといいましたが、その後、発信元から、その後、熟慮したら、結果としてばらまきになりかねない、これでは決して本当の福祉行政にならないから、もうちょっときめの細かい施策を講じたいということで、修正の建言がありました。それを詳細聞きまして、私もその方が妥当だと思って、その案を採用した。つまり、公約は決して取り消されたんじゃございません。あくまで進化したわけでございます。



質問5
 私たちは、これまでにも職業訓練等を初めとした低所得者の所得向上策を求めるとともに、ことしの予算議会では、若年者・年長フリーター対策として、奨学金制度や教育訓練給付金制度の創設、あるいは非正規勤労者の待遇改善に取り組む企業へのインセンティブの充実などを提案してきました。また、さきの定例会においては、生活保護受給者に、就労、保障、医療面での自立促進を行う自立支援プログラムを積極的に推進するよう求めてきました。
 石原都知事には、私たちのこれまでの提案を踏まえて、格差是正策を早急に具体化するよう求めるものですが、見解を伺います。

答弁5
 ▼知事
 格差是正についてでありますが、格差のない社会はあり得ません。個人の能力や努力あるいは成果が正当に評価され、意欲のあるだれもがチャレンジできる社会の実現に取り組んでいくことが重要であります。だからこそ、額に汗して懸命に働いているにもかかわらず低所得の状況から抜け出せない方々への支援を充実させることといたしました。
 今後、こうした方々に対して、一人一人の状況に合った、きめの細かい、また将来に向かって明るい展望が開けるような、これは個々人によって方策も違うでしょうけれども、いずれにしろ、生活改善や職業能力の向上など、多様な施策を講じていくつもりであります。

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■築地市場の移転問題

質問1
 次に、築地市場の移転問題について伺います。
 東京都が設置した豊洲新市場予定地における土壌汚染対策等に関する専門家会議について、まず移転ありきの議論だとか、調査内容が不十分だといった疑問や不満の声が少なくないことは石原都知事もご存じのことだと思います。
 また、国においては土壌汚染対策法の見直しに向けた取り組みが始まっており、今後、汚染土壌に対する調査、対策については、より厳しい対応を求められることが予想されます。
 さらに、昨今では中国の輸入食品問題など、食の安心・安全に対する都民、国民の関心は極めて高くなっており、世界の食糧事情を勘案すれば、この傾向は今後ますます強くなるものと思われます。首都圏の食を支える東京の中央卸売市場が一度豊洲に移ってしまえば、五十年後、百年後、あるいはもっと先の時代まで、豊洲にあり続けることになるのです。私は最低限、今の法律レベルでの調査を実施した上で、汚染土壌の全面的な除去や地下水の管理徹底など、だれが見ても納得のできる対策を講じていくことが必要であると考えます。
 また、このまま汚染土壌の残る土地へ市場を移転すれば、将来に著しい禍根を残すことになりかねないかと懸念するものですが、石原都知事の見解を伺います。

答弁1
 ▼知事
 豊洲新市場予定地の土壌汚染対策についてでありますが、豊洲新市場予定地については、生鮮食品を扱う市場として、食の安全・安心に万全を期すため、本年五月から専門家会議において、東京ガス株式会社及び都の調査、対策の評価、検証を進めております。
 専門家会議では、科学的知見をもとに広範な角度から議論が行われておりまして、その検討に基づいて、現在、必要な追加調査を敷地全面で実施しております。また、これと並行して、追加の対策についても議論が進められています。
 今後、専門家会議から、市場用地という特性を踏まえた具体的な提言がなされる予定でありまして、都としてこの提言を確実に実施していくことで、都民や市場関係者が安心できる市場として開場させていきたいと思っております。



質問2
 私たちは、東京都が全面的な汚染土壌の調査を実施しないのであれば、法的な対応を講じるべきだと考え、八月七日、民主党本部に対して、土壌汚染法の改正に関する申し入れを行いました。これは法施行前の適用除外を規定している附則三条を見直し、現行法レベルの調査の実施を法的に担保しようというものです。
 もちろん、このような法改正によらずとも、東京都がみずから率先して土壌汚染対策法のレベルに基づく調査、すなわち敷地全域にわたる十メートルメッシュの測定点を設けるとともに、液状化現象を考慮して、深さ二十メートル以上のボーリング調査を実施することが最も好ましいことは当然のことです。八月二十七日には、東京都が実施しているボーリング調査や水質調査の現状を視察したことで、その思いをますます強くしてきました。
 私は、改めて、今の土壌汚染対策法のレベルに基づく全面的な調査を求めるものですが、知事の見解を伺います。

答弁2
 ▼中央卸売市場長
 現行の土壌汚染対策法に基づく調査についてでございます。
 専門家会議の役割は、東京ガス株式会社が実施をいたしました調査を評価の上、生鮮食料品を扱う市場用地として必要となる調査や対策について検討することにあります。
 会議では、豊洲新市場予定地の地盤を地下水面から上の部分と地下水部分とに分けて検討してございます。地下水面から上の部分は、これまで考えてきましたように、計画地盤面から四・五メートル下までを健全土とすることに加え、コンクリートまたはアスファルトで覆うこととしてございます。地下水部分につきましては、水位が上昇した場合、その上の健全土への影響が懸念され、また、揮発性物質であるベンゼンが地下水によって移動し、ガス化して地表面に出てくる可能性があることから、適切な対応が重要としてございます。
 こうした観点から、地下水の状況や土壌ガス濃度を測定するため、豊洲新市場予定地全面にわたって二百四十三カ所で現在追加調査を実施しているところでございます。今後、調査結果を踏まえた専門家会議からの提言を受け、必要な措置を確実に実施してまいります。



質問3
 専門家会議について、私たちは、そもそも専門委員の数が四名では少ないのではないかなどと指摘してきました。私たちの質問に、東京都は、密度の濃い実質的な議論が行われるよう、各分野から一名ずつの構成としたと答弁してきましたが、逆に、各分野の専門家が一名ずつしかいないため、その人の意見に専門的な立場で異議を唱えたり、同調したりする人もいないというような結果となり、会議の議論は極めて低調だといわれています。
 また、専門家会議ではようやく傍聴者からの質問を受け付けるようになりましたが、質問回数が一人一回に制限されることなどから、不満の声も聞かれます。
 このようなことから、私は、少なくとも専門家会議において公聴会を開催するなど、東京都として責任を持って委員以外の専門家や都民の意見を聞き、これらの意見に懇切丁寧に答えていくべきと考えますが、見解を伺います。

答弁3
 ▼中央卸売市場長
 専門家会議での都民意見の聴取と回答についてでございます。
 専門家会議においては、各委員の科学的知見をもとに、公正中立な立場から精力的に議論をいただいているところでございます。専門家会議での議論につきましては、その内容を幅広く理解してもらえるよう、会議を公開するとともに、わかりやすい要約版を作成し、ホームページへの掲載や市場関係者への提供を行ってございます。さらに、八月の第三回専門家会議から、傍聴者と委員との質疑応答の時間を設け、傍聴者からの意見や疑問に対して丁寧に回答しております。
 今後とも、都民要望を踏まえて、こうした方策を積極的に進め、豊洲新市場予定地における土壌汚染対策について理解と安心が得られるよう努めてまいります。

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■中小企業対策

質問1
 次に、中小企業対策について伺います。
 東京都は、ことし三月に取りまとめた産業振興基本戦略をもとに、今年度中にも、今後三年間で展開すべき施策を盛り込んだ産業振興指針を発表する予定です。
 基本戦略の戦略の第一は、重点産業を育成し、東京の産業を牽引することとなっていますが、この九月に私たちが行った関係団体からのヒアリングでは、むしろ商取引や人材確保の面などにおいて、大企業と公正な条件のもとで競わせてほしいという要望が強く寄せられました。
 例えば、この間の原材料価格の上昇分を販売価格に転嫁できなかった中小企業は約六割に達するという調査もあるなど、経済のグローバル化や原材料価格の高騰等を背景とした取引上の優越的地位の乱用などが指摘されています。
 また、人材確保の面では、学生の就職先として、中小企業より大企業を希望する風潮がある上、この間、大企業を中心とする若年層の採用が活発化する中で、中小企業の人材確保がますます困難になっているといわれています。私は、中小企業の振興を図っていくためには、東京の産業を牽引するようなすぐれた中小企業に着目するだけでなく、多くの中小企業が大企業と公正、公平な立場で競争できる条件を整備することにも力を注いでいくべきと考えますが、石原都知事の基本姿勢について伺います。

答弁1
 ▼知事
 中小企業の競争条件の整備についてでありますが、企業といえども、やっぱり競争の社会に身を置いているセクターでありまして、これは努力次第、能力次第ということは原則に、避けられないと思います。
 つい最近、毎年やっております東京のベンチャーテクノロジーの大賞の候補企業の内訳の報告がございましたが、非常に感心するような画期的な発明が幾つもございました。そういうものが数多く羅列できる東京というものは、すばらしい可能性を秘めた中小企業の世界だと思いますけれども、いずれにしろ、これは東京のみならず、日本全体の産業を支える基盤として重要な役割を果たしておりまして、これらの中小企業が競争力を発揮できる、あくまでもその能力、潜在力というものを発揮できる条件を整備することは必要だと思います。
 東京はこれまで、CLO、CBOによって資金供給の円滑化を図るとともに、区部と多摩において幅広い技術、経営支援のニーズに対応する産業支援拠点の整備に着手するなど、先進的かつ多面的な政策を講じてまいりました。このCLO、CBOのサポートによって、既に今限りで六十六社が上場を果たしております。 今後とも、東京の産業力を支える中小企業が十分にその力が発揮できるように条件整備を進めてまいります。



質問2
 次に、ものづくり産業の中核をなす工場の集積、再生について伺います。
 既に大阪府など幾つかの府県では、工場の集積に向けて不動産取得税の税率を軽減したり、設備整備に助成金を出したりするなど、税財政の面からの支援策を講じています。
 また一方で、都内自治体に目を転じてみれば、府中市や三鷹市のように、特別用途地区の指定など、都市計画的な手法を用いて工場の建設を緩和したり、住宅の建設を抑制するなどして産業集積を図ろうとしている自治体もあります。
 東京都としても、工場の建てかえや拡張に向けて、区市町村への情報提供などを通じて特別用途地区の指定などを促していくとともに、広域的な視点から、空き工場の情報提供を初め、税財政的な支援策を講じて、工場の集積、再生に積極的に取り組んでいくべきだと考えます。東京都の工場の集積、再生に向けた取り組みについて見解を伺います。

答弁2
 ▼産業労働局長
 東京の工場の集積、再生に向けた取り組みについてでありますが、都はこれまで国に強く働きかけ、都内の工場立地を規制する工業等制限法や工業再配置促進法の廃止を実現してまいりました。また、産業集積の形成に向けまして、都におきましては、集積や企業ネットワークを生かす中小企業グループを支援するものづくり新集積形成事業を実施しているほか、都内の区市町村の中にも先進的な取り組みを展開しているところがございます。
 地域工業のさらなる活性化を図るため、今年度の重点事業として、ものづくり産業の集積を図る区市町村に対する支援策の検討を現在進めております。



質問3
 次に、中小企業における人材確保について伺います。
 ニートやフリーターなど、若年者の就業対策が求められている一方で、中小企業では人材確保に苦慮しています。現在、東京都ではインターンシップや職場体験の受け入れなどを実施する若者ジョブサポーター企業の組織化などに取り組んでいますが、現在までの登録数は三百三社にとどまっています。また、若者ジョブサポーター企業に対しては、産業力強化融資などを通じて支援しているところですが、都内自治体にはインターンシップの受け入れそのものに補助金を出している自治体もあり、東京都としても助成制度の創設など、支援の充実を図っていくべきと考えます。中小企業の人材確保に向けた若者ジョブサポーター企業への支援について、東京都の見解を伺います。

答弁3
 ▼産業労働局長
 若者ジョブサポーター企業への支援についてでありますが、都におきましては、インターンシップの受け入れなど若者の職業的自立を積極的に支援する若者ジョブサポーター企業を募集しております。これらの企業につきましては、都のホームページや冊子、新聞で企業名や活動状況を広く周知するとともに、直接若者へのPRを行う場としてジョブパーティーを開催するなど、その人材確保に資する取り組みを行っております。
 今後とも、ジョブパーティーの開催回数をふやすとともに、高校や大学などに対しましてインターンシップの情報を提供するなど、若者ジョブサポーター企業を支援してまいります。



質問4
 次に、新銀行東京について伺います。
 新体制での運営が始まった新銀行東京は、七月三十一日、店舗外に設置しているATM全百二十六台の稼働停止を発表しました。今では地下鉄各駅でシャッターがおりたままのATMを多く見かけます。また、八月十日には店舗統合を発表し、既に八王子出張所を廃止したほか、今定例会中には蒲田出張所と錦糸町出張所もそれぞれ統合される予定です。ATMの問題はこれまで都議会民主党が取り上げてきましたし、また、店舗については、一昨年の予算議会で自民党議員が早期開設を求めていたものを統合するわけです。
 石原都知事は、これまでの新銀行東京に対しては、全くといっていいほど情報が入ってこなかったと不満をぶつけていましたが、新体制になったことでコミュニケーションはとれるようになったのでしょうか。
 また、この間のATM撤去や店舗の統合などに知事の意向は反映されているのでしょうか、見解を伺います。

答弁4
 ▼知事
 新銀行東京についてでありますが、新銀行東京では、現在、新経営陣のもとで、デフォルトの圧縮や営業経費の削減などを柱とした思い切った経営改善の取り組みを進めております。店舗外のATMの撤去や店舗の統廃合などもその一環でありまして、取り組みが着実に進展しているものと認識しております。また、新経営陣から適宜業務に関する報告を受けておりまして、都としては、今後とも適切な経営が行われるように働きかけてまいります。



質問5
 次に、新銀行東京の経営情報の公開についてですが、前回の私たちの代表質問に対して、東京都は、企業運営上秘密としているものを除いて、積極的かつわかりやすい情報開示を行っていくよう働きかけていくと答弁していました。
 しかしながら、いまだに四半期情報さえ公開されていません。四半期情報は各事業年度及び中間期の決算発表とは別に公開されているもので、七月三十一日前後には多くの銀行で公開されています。また、新銀行東京は、昨年八月四日に一度だけ第一・四半期の決算状況を公開したことがあり、これを拒む企業運営上の秘密はないはずです。それ以降、四半期情報が公開されてないことも不可解ですが、少なくとも、進むも地獄、引くも地獄といわれている新銀行東京の経営状況を適切に管理していくことは、株主としても当然の責務ではないでしょうか。
 前回の答弁を踏まえるのであれば、最低限、四半期情報などは公開していくべきと考えますが、新銀行東京の情報公開について、改めて見解を伺います。

答弁5
 ▼産業労働局長
 新銀行東京の情報公開についてでありますが、新銀行東京では、新経営陣のもとで、今年度は、融資業務を行う上で不可欠な債務者実態の把握や、それに基づく貸し倒れ引き当ての見直しを行っており、その結果を反映した中間及び期末決算を開示することとしております。
 今後とも、新銀行東京が、他の金融機関との競争にかかわるものなど企業運営上秘密としているものを除き、業務等に関する情報を積極的かつわかりやすく開示するよう、都として働きかけてまいります。

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■医療行政

質問1
 次に、医療行政について伺います。
 まず、リタリンなど薬物乱用の問題について伺います。
 我が会派は、昨年の第四回定例会で、リタリン乱用の実態や、十分な診察なしに安易に処方する、リタリン販売所と呼ばれるクリニックについて問題を指摘し、早急な対応を求めていました。今月十八日に、都と新宿区が合同で、新宿区歌舞伎町の診療所、東京クリニックに対して立入調査を行い、多くのマスコミに報道されました。
 これらの動きを受けて、製造元は、急遽リタリンの適応症からうつ病を外す方針を示しました。安易にうつ病と診断し、処方するケースが後を絶たなかったわけですから、うつの適応症を外すのは画期的な前進と評価しております。
 しかしながら、覚せい剤と同じ効果を持つ薬剤はリタリンに限りません。リタリンの安易な処方に歯どめがかかっても、類似薬剤が安易に処方され続ければ、薬物乱用の問題は根絶できません。都としては、薬剤の不適切な処方を行う医療機関に対しては厳しく指導を行っていくべきと考えますが、所見を伺います。

答弁1
 ▼福祉保健局長
 リタリンなど薬剤の不適切な処方についてでございます。
 都は、これまでも処方せんを偽造し、リタリンを不正に入手した事件を摘発するなど指導取り締まりを行ってまいりました。さらに、今般、医師が行いました不適切な処方について立入検査を実施し、これを契機としまして、国も医療機関及び薬局に対して、向精神薬の適正使用について通知を行ったところでございます。
 今後とも、医師会や薬剤師会とも連携をいたしまして、その周知徹底を図るとともに、不適切な処方を行っている医療機関について通報があれば、直ちに立入検査を実施し、厳正な指導を行ってまいります。



質問2
 次に、産科医療確保について伺います。
 先日、奈良県において、搬送先の病院が見つからず、死産する痛ましい事件が起きました。産科医不足が叫ばれる中、千葉県でも妊婦受け入れ拒否が百四件あったという報道もなされています。たらい回しへの懸念が高まる一方で、現場の医師からは、手いっぱいで、新たに診られる状態にない病院が、他を探してくださいというのがたらい回しといえるのかとの指摘もあります。確かに産科医が不足しており、断らざるを得ない状況になっているというのが現実ではないでしょうか。
 一般的に、医師は外来診療、入院病棟、救急への対応を行っていますが、一人しかいない産科医が、病棟の急変者や他の救急患者の処置中であれば、救急搬送の打診をされても無責任に受け入れることはできません。産科医療の現状についてどのように認識しているのか、見解を伺います。

答弁2
 ▼福祉保健局長
 産科医療の現状についてでございますが、産科医療におきましては、昼夜を問わない分娩への対応などの勤務条件の厳しさや、出産、育児に伴う女性医師の離職などを理由に全国的に医師が減少しており、都内でも同様の状況にございます。その結果、産科医療の現状は厳しい状況にあると認識をしてございます。



質問3
 また、平成十九年四月一日から八月三十一日までに限った数字ですが、東京消防庁によれば、周産期救急搬送事案における、現場到着から病院への出発までは平均約十六・三分、病院到着までは平均約四十・六分であり、搬送先が決まるまで六カ所以上の病院に連絡した事案は約三%とのことです。
 医師が一人前になるには十年、十五年かかるといわれ、医師不足の根本解決には長い時間がかかります。都においては、二次救急における病床の確保、多くを占める正常分娩を担う診療所、病院、さらに高度な医療を担う各医療機関の役割分担医に基づくネットワーク化など、今ある資源をどのように有効活用するかという視点が重要であると考えますが、都はお産の安全・安心を確保するためにどのように取り組むのか、見解を伺います。

答弁3
 ▼福祉保健局長
 お産の安全・安心を確保する取り組みについてでございますが、安全・安心なお産を確保するため、都はこれまでに、危険性の高いハイリスク分娩に対応可能な周産期母子医療センターを二十二施設まで拡大をしてまいりました。しかし、一方で地域の産科医の減少が進み、本来高度医療を担う周産期母子医療センターに一般医療機関で対応可能な分娩が集中し、負担が大きくなっております。
 こうした状況を受けまして、限られた医療資源を有効に活用するため、今年度、周産期医療協議会において新たに部会を設置いたしまして、分娩リスクに応じた医療機関の役割分担や連携を進め、安全な周産期医療を提供できるよう検討を進めております。この検討結果を今年度末の改定を予定しております東京都保健医療計画に反映させ、着実な実現を図ってまいります。



質問4
 都立病院でも、医師の確保困難から、豊島は産科が新規取り扱いを休止中、墨東は外来診療を縮小しています。多摩地域でも医師不足は深刻で、産科医は人口十万人当たりの病院数が四・〇と、二十三区より二以上も少ないのが現状です。私たちが把握している範囲でも、産科の取り扱いをやめた病院、高齢の医師一人が頑張っている病院があります。五年後、十年後を考えると、東京でお産ができなくなってしまうのではないかという危機感を持たざるを得ません。
 その一方で、東京では新たに産科医院、病院を開業することが非常に難しい環境となっています。その大きな原因は、国の病床規制です。東京には全国から患者の集まる高度医療施設が集積していること、実態的には稼働していない病床までカウントされていることなどから、地域によりますが、ほぼ限度に近い病床を持っています。国は総病床数で人口当たりの基準病床数を定めており、現に足りない産科や小児科を開設しようとしても、それを超えては開設できないという理不尽な状態なのです。
 これに追い打ちをかけたのが、新たに二十床以下の診療所もこの基準病床にカウントするという基準変更です。医師不足の最中、多くを占める正常分娩を担うべき地域の診療所の役割が高まる中でのこの変更は、不足する診療科への新規参入が必要な状況に対し、逆効果をもたらすものです。
 しかし、医療法には特例規定があり、医療計画に明記すれば、産科、小児科など、不足している科目については診療所を開設させることができます。この規定を活用し、必要な地域医療の確保の一助とすべきです。
 また、病院の開設に係る都の手続も問題があります。
 病院開設の手続には短くても六カ月以上かかりますが、この間、予定地を押さえておく必要があり、相当な資金がなければ開設が不可能な仕組みであることがまず一つの問題です。
 そして肝心の許可は、国の規制の範囲内であきが出た分だけですが、いつ、どこで出たのかはオープンにされていません。これが二つ目の問題点です。
 こうした事務手続の面でも、住民ニーズにこたえる医療を提供しようという意欲のある医師を歓迎する環境整備をすべきです。こうしたことを含め、都は産科医療の確保のため、細かな点もすべて総点検し、できることは何でもやるべきだと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁4
 ▼福祉保健局長
 産科医療の確保でございますが、母子の安全に十分配慮した産科医療の確保は重要と考えてございます。
 有床診療所における医療法の特例規定の活用につきましては、地域における安全な産科医療を確保する観点から、先ほど述べました東京都保健医療計画改定の中で取り扱いを検討することとなってございます。
 また、病院、有床診療所の開設許可において、構造設備及び資金計画を確認することは、医療の安全と経営の安定を確保するために必要な手続であると考えております。
 なお、開設許可申請の参考となる病床の状況については、必要な方には情報提供しておりますが、さらに福祉保健局ホームページでの公開を検討してまいります。

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■介護保険制度

質問1
 次に、介護保険制度について伺います。
 介護保険制度が始まり、八年目を迎えました。しかし、国は制度導入時の理念から大きく後退し、給付を抑えることに力を入れています。そのため、介護従事者の給与は、平成十四年をピークに減少傾向にあり、それに伴う介護従事希望者の減少と、本格的な高齢化社会を目前にして、不安な状態が続いています。
 その一方、現在審議中の介護福祉士法の改正案では、実務経験三年以上のヘルパーも、養成施設に一定時間通った上で国家試験を受けることになります。しかし、養成施設が偏在し、学費もかかることから、果たして国の思惑どおりに事が運ぶか疑問視されています。
 また、国が昨年行った制度改正で、中小の事業所であっても事業量が膨大となり、事業運営、人材確保に大きな負荷をかけています。
 さらに、ケアマネジャーについては、受け持ち人数が制限されたことにより所得は頭打ちとなり、その反面、包括支援センターとの連絡など仕事量は逆に増大しました。その結果、事業者が広告を出して募集しても、人材確保が困難な状況です。
 ヘルパーや介護福祉士にしろ、ケアマネジャーにしろ、要介護者がふえることが予想される今後、ニードがふえこそすれ、減ることは考えにくい状況です。このままでは介護の現場から人材が枯渇してしまうことが懸念されます。これらの点について都の所見を伺います。

答弁1
 ▼福祉保健局長
 介護を担う人材の確保についてでございますが、経済の回復基調とともに民間企業の求人が活発化する中で、介護分野における人材の確保は厳しい状況にあると認識をしてございます。
 このため都は、本年五月、国に対し、大都市の特性を踏まえた望ましい介護報酬のあり方について提言を行い、また八月には、東京都社会福祉審議会から、研修を充実するなどの人材育成に取り組み、人材の確保、定着を図る旨の意見具申が出されました。こうした中で、国は今般、労働環境の整備やキャリアアップの仕組みを構築することなどを柱といたします人材確保の新たな指針を示したところでございます。
 引き続き、国への働きかけを行うとともに、人材育成の充実、就労あっせんや相談機能の強化等に取り組んでまいります。

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■障害者自立支援法

質問1
 次に、障害者自立支援法について伺います。
 自立支援法の全面施行から一年がたとうとしています。この間、与党による激変緩和措置が行われましたが、自立阻害法ともいわれるその問題自体は解決されていないままです。
 限られた障害年金で余裕のない生活を強いられている障害者家庭もあります。多くの介護サービスを受けざるを得ない重度障害者に経済的余裕があるとは限りません。応益負担ではなく、応能負担を基本とする利用者負担の仕組みとすべきです。また、自立と題しながら、所得の判断に当たって世帯単位として、結局、老親や兄弟といった経済的な家族依存制度となっているのは、やはり個人単位へ変えるべきと考えますが、都の所見を伺います。

答弁1
 ▼福祉保健局長
 障害者自立支援法の利用者負担についてでございますが、定率負担は、障害者自身もサービスを利用する対価として一定の費用を負担し、都民、国民みんなで安定的、継続的な制度運営を支え合う仕組みでございます。また、低所得者に対しては、所得に応じた負担上限額の設定や個別減免など、さまざまな負担軽減措置が講じられております。
 なお、所得を判断する際の世帯の範囲が、生計を一にする住民基本台帳上の世帯であることは、介護保険など他の社会保障制度とも整合性があるというふうに考えてございます。



質問2
 自立支援法における訪問介護の事業所への報酬単価は、一時間千六百円程度です。実際には、訪問における移動時間があるために、一時間の介護で一時間半必要とする上に、事務費も含まれています。この報酬単価は介護保険よりもさらに低く、有能な人材の他業種への流出や、官製ワーキングプアと評される無理な労働を強いる結果となっています。これではまるで、国が率先して、福祉だからボランティア的でよいのだと考えているかのごとき報酬体系です。
 現行制度では、報酬額を今よりも上げるには利用者負担を上げなくてはならないという問題があり、これを改善するための研究、提言を期待します。
 自立支援法は就労への支援に重点を置いています。これ自体は、これまで重視されてこなかった支援であり、必要な施策と考えます。しかし、その一方で、現実に障害の程度により就労ができない障害者もいます。すべての障害者にとって就労だけがゴールでないことを念頭に置いて、施策を構築すべきです。
 その就労支援策に着目すれば、国は、小規模授産施設等を、自立支援法に基づく就労継続支援事業、就労移行支援事業に移行を進めていますが、ためらう事業所が数多くあり、スムーズな移行ができるよう、しっかりと支援していく必要があります。
 さらには、就労といっても、まだまだ企業の理解は進んでおらず、小規模な事業者は、企業と接点を持つことは大変ハードルが高いのが現実です。都庁を含めた多くの事業体、企業が本気になって積極的な障害者雇用をするよう就労支援をすべきであり、企業の理解を得るよう努力すべきです。これこそ東京都だからこそできる事業と考えますが、所見を伺います。

答弁2
 ▼産業労働局長
 障害者の雇用についてでありますが、都は障害者雇用を促進するため、東京障害者職業能力開発校などにおける職業訓練や、企業等を活用した委託訓練を行うとともに、障害者雇用ハンドブックの配布や、本年度新たに始めました企業向けセミナー等を通じて普及啓発に努めております。
 また、障害者の就労支援拠点であります区市町村障害者就労支援センターにおきまして、本年度から地域開拓促進コーディネーターを配置し、企業等への就労を促進しております。
 さらに、経済団体や企業を初め、関係機関との連携を強化し、障害者雇用に対する企業等の理解と関心を高めていくため、現在、庁内関係局が共同して障害者就労支援協議会の設置を準備しております。

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■震災対策

質問1
 次に、震災対策について伺います。
 まず、住宅の耐震化促進について伺います。
 七月の新潟県中越沖地震では、全壊住戸が約一千戸、半壊や一部損壊は約三万八千戸に上る被害が引き起こされました。被害を受けたのは古い木造住宅が多かったと報告されています。
 一方、都は、住宅の耐震化率九〇%以上という目標を掲げ、昨年度から、木造住宅の耐震化促進のため、耐震診断と耐震改修に対する助成を行っていますが、私たちがたびたび指摘したように、その利用はまだまだ少ないのが実情です。特に耐震改修は、昨年度予算では四百八十件分を用意したにもかかわらず、わずかに二十二件の利用しかなかったという事実は重く受けとめるべきです。
 制度の利用促進のためには、例えば、既に墨田区などで実施されているように、簡易補強についても助成の対象とすることも有効ではないかと考えます。都では、既存の建物内に設置する耐震シェルターなど、安価で信頼できる耐震技術の紹介を行っていますが、それらの耐震技術による耐震化も助成対象とすべきです。また、適用地域を限定せず、都内全域で制度の活用を認める必要もあります。さらに、これらの措置によって国の補助の対象から外れてしまう分に対しては、都として独自に上積み補助をすることも検討すべきです。
 このような耐震改修促進制度の適用範囲の拡大について見解を伺います。

答弁1
 ▼都市整備局長
 耐震改修促進制度の適用範囲の拡大についてでございます。
 都が実施しております木造住宅の耐震化助成は、自助、共助、公助の原則を踏まえ、公共的な観点から、住宅の倒壊による道路閉塞を引き起こすおそれの高い地域を対象としてございます。
 本制度は、昨年度創設したものでございまして、これを契機として、区における取り組みが急速に進み、今年度からはすべての区で助成が実施されております。これに伴い、今年度の助成件数は昨年度に比べて大幅に増加するものと見込まれておりまして、当面、制度の周知徹底など普及啓発に力を注いでいくことが重要と考えております。



質問2
 住宅の耐震化を進めるためには、まず、適切な耐震診断が実施され、住宅の耐震性能が正しく評価されなければなりません。そのために、都では昨年度から、一定の要件を満たす耐震診断事務所を登録し、公表することにより、住宅の耐震化に取り組もうとする都民が安心して耐震診断を実施できる制度を実施しています。
 住宅の耐震化率九〇%以上という目標を達成するためには、単純計算で一年当たり三万戸を超える耐震改修を行う必要があります。しかし、一方で、本制度での登録事務所数は、平成十九年八月現在、わずか三十九事務所にすぎません。これでは、耐震診断でさえ目標の戸数をこなし切ることは不可能であり、登録事務所をふやしていくことも重要と考えます。
 都で登録している建築士事務所以外にも、木造住宅の耐震診断を適切に実施している建築士事務所は数多くあるはずです。住宅の耐震化の目標と耐震診断の実務的な受け皿の現状との乖離についてどのようにとらえ、また今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

答弁2
 ▼都市整備局長
 耐震診断事務所の登録制度についてでございます。
 この制度は、都民が安心して耐震診断を依頼できる環境を整備するため、耐震診断技術者の育成を図るとともに、技術力の高い建築士事務所を登録し、都民に情報提供するものでございます。昨年度は三十九の事務所を登録しましたが、今年度も追加登録を予定しておりまして、登録総数は三倍程度にふえる見込みでございます。
 今後とも、技術者に対する講習会の充実、区市や関係団体との連携強化などによりまして登録事務所数の増大を図り、都民の耐震化への取り組みを支援してまいります。



質問3
 次に、新潟県中越沖地震に起因する電力供給にかかわる首都圏の危機管理について伺います。
 今回の地震では、原子力発電所の耐震設計基準値を大幅に超える揺れが観測され、柏崎刈羽原発が被災、原子炉を全面停止し、現在も復旧、点検中です。この停止によって、東京電力では供給力の確保と節電への協力を訴え、都も省エネ・節電緊急対策本部を設置し、さまざまな取り組みを行ってきました。
 しかし、八月二十二日には、東電の当初予測を超える六千百四十七万キロワットの電力供給が必要となったため、一部企業に電力供給を抑制し、生産ラインを停止せざるを得ない事態が発生しました。
 来年以降も首都圏における夏の電力供給の課題が継続すると予想される一方、電力を供給する原子力発電所の耐震安全性についての再評価が必要であると考えます。
 そこで、都は、電力の安定供給の確保とともに、生産、消費地の視点などから、福島第一、第二原発など、すべての原子力発電所の海域を含めた立地調査や、周辺施設を含めた耐震安全性の確保、防災対応の強化、情報の迅速な提供など、危機管理体制の強化を国や電力会社などに求めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。

答弁3
 ▼知事
 電力供給に係る危機管理についてでありますが、柏崎刈羽原発の被災に際しては、地元住民の安全を確保することはもとより、都民生活や経済活動に大きな影響を与えるおそれがあるために、都は直ちに東京電力に対し、原因究明や安全対策の実施、電力の安定供給を要求してまいりました。
 また、省エネ・節電緊急対策本部を設置し、都みずからの節電に加え、都民、事業者などへの協力を呼びかけました。今後とも、国及び東京電力に対して電力の安定供給を要請するとともに、今回の地震を踏まえた原子力発電所の危機管理体制の強化を求めてまいります。

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■新しい建築確認制度

質問1
 次に、新しい建築確認制度について伺います。
 一昨年の耐震偽装事件を受けて建築基準法が改正され、本年六月二十日から、建築確認や検査の厳格化が図られた新しい建築確認制度が始まっています。関連する政省令、告示などの整備が施行直前にずれ込んだこともあり、建築確認手続が滞るなど、関係実務者間で混乱が生じています。
 法改正によって、構造の専門家による第三者チェックを義務づける構造計算適合性判定制度が創設され、それに伴い、法定審査期間が最大七十日間に延長されたことや、改正前には認められていた設計図書の訂正や差しかえができなくなり、設計図書に不備があった場合には、再度手数料を払って申請し直さなければならなくなったことなどから、設計段階での、建築確認がおりるまでのスケジュールが不透明になってしまったといわれています。
 建築確認の審査そのものが厳しくなったことと、建築確認のスケジュールの不透明さとが相まって、建築確認申請を手控える動きもあります。国土交通省の統計では、ことし七月の民間居住用建築物の着工床面積は前年同月比二三・三%減、非居住用建築物では二一・三%減となっており、建築確認制度の変更の影響であると分析されています。このような建築投資の冷え込みは、景気に対して大きなマイナス影響があると指摘する投資家もいます。
 このようなことからも、都は、審査を行う特定行政庁としての立場から、新しい建築確認制度を円滑に進めるための取り組みを行っていくことが極めて重要であると考えます。景気に与える影響も含め、基本認識を伺います。

答弁1
 ▼都市整備局長
 新たな建築確認制度に対する取り組み姿勢についてでございます。
 今回の建築基準法改正は、構造計算書の第三者チェックの導入や図面審査の強化など、耐震偽装事件の再発を防止し、建築物の安全・安心に対する信頼を回復するための必要な措置であると認識してございます。
 しかし、新たな制度の内容の確定から施行までに十分な時間がなかったため、設計者等が的確に対応できず、建築確認申請が円滑に進まない状況が生じているものと思われます。このような状況が継続することによりまして、社会経済活動や都民生活に支障を来すことのないよう、都としても適切に対応してまいります。



質問2
 新しい建築確認制度を円滑に進めるためには、建築設計事務所の業務改善はもちろん必要ですが、審査をする側も、申請に当たって、提出図書のチェックリストの作成を求める、意匠、構造、設備の図面内容を説明できる担当者の立ち会いを求める、申請書類の事前審査を行うなどの独自ルールを定めるといったことなども有効と考えます。また、実務上生じた新制度の課題について、国に対して再度の法改正の働きかけも行っていく必要があります。
 新しい建築確認制度を円滑に進めるため、都は具体的にどのような取り組みを行っていくのか、見解を伺います。

答弁2
 ▼都市整備局長
 新たな建築確認制度の円滑な施行に向けた具体的な取り組みについてでございます。
 都では、改正法の施行前から、説明会の開催や申請窓口における事前相談の実施など、新たな制度の周知徹底に努めてまいりました。また、施行後におきましても、国とも連携して制度の運用についてのQアンドAを作成、公表するとともに、電話相談窓口を開設し、設計事務所などからの問い合わせに対応してございます。さらに、今後は区市と連携して、実務者向けの講習会をきめ細かく開催するなど、新たな制度の円滑な運用を図ってまいります。

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■緑の保全

質問1
 次に、緑の保全について伺います。
 まず、緑の東京募金基金条例について伺います。
 今定例会に提案されている緑の東京募金基金条例の目的は、海の森や街路樹など、緑の保全と創出を強力に推進していくことにありますが、これに加えて、緑のムーブメントを広範に起こしていくこととされています。
 私は、緑のムーブメントを広範に起こしていくというのであれば、ただ単にお金を募るだけでなく、都民の活動を募り、緑の管理などといった面でも都民との協働を広く展開していく必要があると考えています。
 海の森では、平成十七年二月の港湾審議会答申において海の森のパークマネジメントを打ち出し、その中で、都民、企業、NPOなどの参加を得ながら、公園整備の初期から植樹を中心とした協働活動を行い、さらに、段階的な整備の進展に伴い協働活動も発展させていくという考え方が示されています。
 また、昨今は、いわゆるアダプト制度という取り組みも進み、例えば、企業と自治体とが協定を結び、企業が歩道の清掃や街路樹の剪定などを行っている例もあるようです。
 このような緑に対する都民の関与を積極的に進めていくべきと考えますが、都民等との協働による緑のムーブメントの展開について見解を伺います。

答弁1
 ▼環境局長
 緑のムーブメントの展開についてでありますが、緑あふれる東京を実現するためには、都民、企業など幅広い層からの賛同を得て行う募金事業とあわせて、それらさまざまな主体と協働し、緑を植え、育て、守っていくことが重要であります。
 そこで、緑の東京十年プロジェクトでは、緑のムーブメントの展開を第一の方針に掲げ、都民や企業等との協働の取り組みをさらに強化していくことといたしました。例えば、苗木づくりから管理運営まで幅広い世代が参画できる仕組みを導入する海の森整備のほか、公園、里山、森林の維持管理におけるボランティア活動など、緑をつくり、触れ合い、親しむ機会を拡充してまいります。こうした都民等との協働の取り組みにより、緑化機運を高め、緑のムーブメントを広範に展開してまいります。



質問2
 次に、緑の保全について伺います。
 基金条例による緑の創出も重要ですが、昔からある貴重な緑を保全していくための努力も欠かせません。
 この間、石原都知事は、参議院議員宿舎の建設問題に関して、森をつぶすのは許さないとして、国と戦う姿勢を示しています。しかし問題は、参議院であっても、国有地の払い下げを受けた民間事業者であっても、仮に条例の基準内の建物であれば建築が許可され、あの森も簡単につぶされてしまうことにあるのではないでしょうか。
 私は、今回の件を教訓にするのであれば、都内にある二十八カ所、三千五百七十ヘクタールの風致地区についても、保全に向けた総合的な対策を講じていくべきだと考えています。例えば、それぞれの風致地区における良好な風致や目指すべき姿を保全方針として定めるとともに、条例の運用に当たっては、地域の現状や特性をさらに踏まえて、風致の維持に取り組んではいかがでしょうか。
 風致地区の緑の保全に向けた取り組みついて見解を伺います。

答弁2
 ▼建設局長
 風致地区の緑の保全に向けた取り組みについてでありますが、風致地区制度は、指定区域内の緑や水辺など良好な自然的景観を保持することにより、都市環境の保全を図る役割を担っております。都は平成十一年に、風致保全の方針である保全育成方策を明らかにすることや、制度の運用を見直すことなどを盛り込んだ、東京における風致地区の見直し基本方針を公表いたしました。この基本方針を踏まえ、保全育成の方策も示した風致地区条例の運用のためのきめ細かな審査基準を定め、風致地区における良好な風致の維持を図っております。
 具体的には、風致地区内を地域の状況や特性、風致の状況に応じて五つに区分し、その区分ごとに建物の建ぺい率及び壁面後退距離などの規制を行うとともに、樹木の保全を含め、一定割合以上の緑地の確保を義務づけているほか、道路沿いの緑化や屋上緑化など新たな緑の創出を行うよう指導しております。
 今後とも、許可の審査に当たっては、風致の維持に関する関係局と連携して、条例を適切に運用してまいります。

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■犯罪被害者施策の推進

質問1
 次に、犯罪被害者施策の推進について伺います。
 思いがけず犯罪被害者になった皆さんは、多くの場面でその権利が保護されずに苦しんできました。そこで、国では、平成十六年十二月に犯罪被害者等基本法を制定し、翌年には基本計画を策定しています。
 国とともに施策実施の責務を負う自治体では、条例や推進計画などを策定し始めました。都においても現在、推進計画の中間のまとめを公表、パブリックコメントを行っています。当計画は、国の基本計画と役割を分担して策定されるとともに、今年度の、第一回定例会で、我が会派の提案に対して知事が計画の作成を明言して、実現するものです。
 そこで、まず、全国犯罪被害者の会を支援するフォーラムの発起人代表でもあった知事に、犯罪被害者等支援推進計画に対する見解を伺います。

答弁1
 ▼知事
 犯罪被害者等の支援推進計画についてでありますが、犯罪被害者やその遺族の方々が、社会的にも非常に不遇な状況に置かれていることはまことに理不尽であります。そもそもこの運動が展開した発端は、私の親友であります某大証券の顧問弁護士をしておりました岡村勲さんの奥様が身がわりになって殺害されまして、その結果、彼は、現代刑法の中での犯罪被害者というのがいかに人間的に不遇な立場にさらされたままでいるかということに気がつきまして、自分としては得がたい体験をしたと自戒しておりましたが、彼が私に申しますに、こういう自分の最愛の妻が被害に遭わなかった限り、おれはひょっとしたら今でも加害者の方の弁護を熱心にしたかもしらぬということを自戒しておりました。
 これは端的に申しまして、近代刑法というのはもともと、中世、近世にあったあだ討ちを禁止するということから構築された、ある意味で現代的というんでしょうか、しかしある意味では偏った、それを主宰する司法の当事者が同じ人間でありますから、司法にいろんな問題が出てくる。それから同時に、時代の風潮として、人間性とか人権というものが過剰に加害者の中にしんしゃくされて、大きなゆがみが生じてきて今日の問題になったと思います。
 今後、都は、犯罪被害者の切実な思いにこたえて、途切れることなく支援を行っていくことができますように、実効性のある施策を総合的に推進してまいります。



質問2
 この中間のまとめには、計画の位置づけや現状把握、施策の内容、目標に不十分な点も見受けられます。
 国の基本計画の位置づけは、具体的な設計図と工程を示し、個別具体的な施策の着実な実施を図っていくこととしています。施策に関しては、新たに取り組むものと既存の取り組みをさらに充実させるものを列挙し、既存の取り組みは今後も継続していくことで基本計画には盛り込んでいません。
 一方、都の推進計画では、既存の取り組みを列挙する中で、新たに取り組むテーマは今後検討予定としています。また、検討結果を具体化するスケジュールや施策の実施状況の検証、評価、監視については一切示されておらず、仕組みの構築のみをうたっている点が推進計画としては不十分と考えます。計画の文章も、犯罪被害者や一般都民に理解され活用されるよう、よりわかりやすい記述にすべきです。見解を伺います。

答弁2
 ▼総務局長
 犯罪被害者等支援推進計画の内容についてでございますが、今回公表いたしました計画は中間のまとめでございまして、今後、都議会、都民などからのご意見を伺いながら、さらに内容、施策の具体化に向けたスケジュールなどについても明らかにしてまいります。この計画が、犯罪被害者の方々や都民の皆さんにとって、より効果的でわかりやすいものとなるよう、来年一月を目途に最終的に取りまとめてまいります。



質問3
 次に、東京都の状況に応じて適切な計画策定に取り組むことが重要です。計画の策定趣旨では、都内の刑法犯の認知件数が全国トップで推移し、都民の治安に対する不安は依然として高いとしています。また、犯罪被害者の多くは、都市における家族関係や近隣関係が希薄な状況の中で、地域社会の中で孤立することを余儀なくされてきたともしています。
 一方、都内の犯罪被害者の人数や相談、保護件数などの実態など、都における現状把握と分析は少なく、不十分であるといわざるを得ません。既存の取り組みもさらに充実させ、関係機関が連携して総合的施策に取り組んでいくことが必要です。見解を伺います。

答弁3
 ▼総務局長
 関係機関との連携などについてでございますが、昨年十月には犯罪被害者団体などのご意見やご要望を調査し、本年六月にはインターネット都政モニターアンケートを実施しており、最終的なまとめにおきましては、これらの内容を詳細にお示ししてまいります。
 また、施策の推進に当たりましては、関係機関と連携して総合的に取り組んでいくことは重要であると考えておりまして、相互の情報の共有化、連絡体制の整備など、支援ネットワークのさらなる充実強化についても盛り込んでまいります。



質問4
 次に、推進計画がより犯罪被害者の視点に立ち、来年一月に確定する本計画においてより充実したものとなるよう、何点か提言いたします。
 損害回復、経済的支援では、国は、犯罪被害者給付金の最高額を自賠責並みの金額に引き上げる方向にあります。都においても、犯罪被害者が被害直後に当面必要となる資金について支援する制度を検討、創設していくべきです。
 精神的、身体的被害の回復、防止の取り組みでは、救急医療に連動した精神的ケアとともに、犯罪発生直後から、普通の生活を目指した軽度なサポート体制の整備も行っていくべきです。
 支援のための体制整備を進めるには、警察と被害者団体との連携協力も不可欠です。都民の理解を増進させるには、学校教育における生命の大切さの教育のほかに、被害に遭った場合の対応についての教育も進めるべきです。
 そして、計画を策定した後には、都として、犯罪被害者等支援推進の姿勢を、都民のみならず全国に向けて発信していくため、都条例を制定すべきと考えます。都の見解を伺います。

答弁4
 ▼総務局長
 計画の充実などについてでございますが、犯罪被害者支援に関しては、お話のようにさまざまなご意見があることは承知をしております。今回策定する計画については、犯罪被害者の方々の尊厳にふさわしい処遇を保障するものとなるよう、今後さらに検討を進めてまいります。
 都として、犯罪被害者等支援推進計画を策定し、その施策を着実に実施していくことにより、犯罪被害者の方々やそのご家族を支援してまいります。

コメント
 最後に、二点述べさせていただきます。
 さきの矢代警視総監の就任あいさつの中で、立川警察署警察官の殺人及び自殺事件について、謝罪と今後の取り組みに向けた決意の表明がありました。
 二十四時間三百六十五日交代で活動する治安系公務員の職務、生活は、時間的な流れや活動の流れが、その職務内容ゆえにどうしても散漫になりがちです。それゆえに、職員同士が勤務のルールにのっとって活動することで、節度と緊張感のある職務、生活を送ることが可能となります。つまりは、このようなルールを無視する職員が一人いることで、組織やチームの節度が崩れていくわけです。
 中堅の世代の職員のとったこのような逸脱行為が、職員研修で幾ら許されない行為だと教えられていても、ベテラン先輩職員が行っていれば、若手の職員が、現場の雰囲気の中で注意できないということもあったのではないかと思われます。
 職務倫理教養や人事管理、勤務管理の徹底について、私たちからも改めて求めておきたいと思います。
 また、本年八月一日より駐車禁止規制からの除外措置の一部が変更となり、除外する車両を特定せず、駐車禁止等除外標章の交付を受けた身体障害者等本人が現に使用中の車両が除外対象となることになりました。この結果、身体障害者等は、タクシーや福祉車両等を幅広く使用することができるようになりました。
 しかし、その一方で、三級の二または三級の三の下肢機能障害者は、交付対象から外れることになってしまいました。新規則施行後三年という経過措置があるため、今すぐ対象外ということではありませんが、当事者にとっては厳しい措置です。
 今後、当事者の現状を十二分に把握し、こうした除外措置については配慮されるよう求めます。

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■再質問

質問1
 先ほど知事の答弁の中で、民主党は社会保険庁を残すとの誤解に基づく発言がありました。
 民主党は、さきの選挙で示したマニフェストの中で、社会保険庁は解体して国税庁に統合し、社保庁の組織体質を抜本的に改めて消えた年金の再発を防ぐとともに、重複する仕事を整理することによって効率的な体制をつくりますとしており、知事の指摘は当たりません。誤解に基づく発言の撤回を求め、改めて石原都知事の見解を伺います。

答弁1
 ▼知事
 今、日本の社会全体が変わろうとしている。どう変わろうとしているかというと、やはり実質的な官僚統制国家だった日本が、そういうくびきを断って、民間の力というものをフルに利用した行政の体制をとらなくちゃいかぬということで改革しているわけでしょう。国税庁だっていろんな問題がありますよ。結局、同じ役人にこのがたがたの組織をまた預けて、そんなもの国民が納得できますか。私は、それを正面から議論すればよろしいんです。そのために時間が要るから、解散・総選挙なんて先の先の話だということを申し上げたわけであります。

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