平成18年第2回定例会 一般質問

多摩サービス補助施設の返還を
臨海副都心開発事業の総括を

原田恭子(ネット)
■多摩サービス補助施設
 
質問1
 昨年合意に至った日米安全保障協議での最終文書がことしの五月一日に発表されました。横田基地の管制空域の一部返還と共用化が進められていますが、生活者ネットワークは、あくまでも全面返還に向けての知事の強い姿勢を示すことが必要と考えております。
 さて、多摩市、稲城市にまたがる豊かな自然が残る多摩サービス補助施設は、米軍のレクリエーション施設であり、軍事的な目的がないにもかかわらず、今回の合意の中でも返還については何も言及されていません。
 多摩サービス補助施設の全面返還に向けて、改めて知事の決意をお聞かせください。
 
答弁1
 ▼知事
 多摩サービス補助施設の返還についてでありますけども、これは外交の駆け引きの問題でして、やはりカードの出し方なんですよ。これは任せておいていただきたい。
 私、就任早々、こいそ明議員と二人であの施設を視察しました。あのクラブハウスの前の山頂に立ったとき、僕は本当に苦々しく、何だ、大したものじゃないかといったら、何か、要するに言葉の気配に向こうの司令官が気にしまして、くっついてきた通訳に、石原は何といった、何といったと聞いた。そうしたら通訳はばかだから、ヒー・セッド・マーベラス─すばらしいといったんじゃない。これはツー・マッチといわなくちゃいけないんだよ。
 結局、私もその後いろいろ内々交渉して、サウンディングしましたが、やっと横田がめどがついてきましたので、大事なことは、あの緑を取り戻す前に、日本で一番長い滑走路が使われていないんです、これを国力の維持のために使うことです。これが要するに発足したら、あの土地は返ってきます。
 ただ、彼らの意向は、これも彼らの勝手なわがままですけれども、陸海空三軍がそれぞれ自分のゴルフ場を持ちたいんですよ。ですから、あのあたりにはゴルフ場がたくさんありますから、別にあそこを返してもらわなくて、勝手に使わせておきゃいいんで、ゴルフ場以外のものは必ず返ってきます、横田が動き出したら。
 そういうことでひとつご期待願いたいし、また議会としてもせっかくの土地ですから、あなたがおっしゃったみたいにいろんな形であの緑を使えますので、大いに活用していこうと思いますが、その前にやっぱりあの滑走路を取り戻して使うことなんです。
 

 
質問2
 また、返還までの期間にあっては、都民が活用できるよう開放を強く願うものです。自然観察、バードウオッチング、弾薬庫跡地見学など、一定の目的を持った団体への開放を積極的に進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 
答弁2
 ▼知事本局長
 現在、地元市民のため、市主催事業など一部に開放されていることは承知しておりますが、この施設は、本来、直ちに返還され、全面的に都民の利用に供すべきものでございます。
 このため、都はこれまでも、渉外知事会や国への提案要求を通じまして、即時返還を国に求めておりますが、今後とも都民への全面開放の実現に向けまして粘り強く働きかけてまいります。
 
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■森林事業
 
質問1
 森林事業について伺います。
 東京都の総面積の約三分の一は森林が占めています。平成十四年度に都が行った河川・森林に関する世論調査では、五〇%以上の都民が、森林が持つ大気の浄化作用、山崩れ・洪水の防止効果、水資源を蓄える役割、温暖化防止への貢献などに期待感を示しています。
 さらに今年度は、花粉症対策の取り組みが開始されたことで、森林行政が大きく注目され、一層の展開が期待されています。
 ところで、奥多摩の杉林の杉を広葉樹や花粉の少ない杉に植えかえる際に伐採される年間百二十ヘクタールの木材は、全部利用できるわけではなく、相当の端材や樹皮が生じます。こうした端材は、十分に利用していくことで資源循環型社会への転換の一助となり、地球温暖化防止の有効な一歩になるはずです。
 そもそも木材は再生可能な資源であり、またエネルギーとして利用しても、化石燃料とは違い、大気中の二酸化炭素を一方的に増加させることのない、環境に優しい資源です。今回の対策を契機として木材利用を進めるとともに、端材や樹皮の利用拡大を図ってほしいと考えています。
 今回の花粉症対策の杉伐採に伴って発生する端材、樹皮について、発生量の見込みと今後の活用についてお伺いします。
 
答弁1
 ▼産業労働局長
 花粉症対策では、向こう十年間の平均で年間十八万本の杉を伐採する予定であります。これは現行の約八倍の伐採量に当たりまして、概算ですが、端材は年間四千二百トン、樹皮は千六百トン程度と、発生量の増大が見込まれます。
 端材等につきましては、製紙原料としての利用のほか、製材所の木材乾燥機の燃料や、粒状に加工しましてペレットとしてストーブ等で利用されておりますが、製紙原料等につきましては、さらに十分な需要が見込まれますので、その供給を拡大するなど、利用促進に努めてまいります。
 

 
質問2
 東京都には約五万ヘクタールの豊かな森林資源が存在します。片や、大消費都市として大量の生ごみや下水汚泥なども抱えています。持続可能なエネルギー政策を考えるとき、使われていないバイオマスに着目し、その活用を進めていくことがこれからの課題と考えますが、東京都のお考えをお聞かせください。
 
答弁2
 ▼環境局長
 都はこれまで、廃棄物埋立処分場や下水処理の過程で発生するメタンガスを活用した発電を行うなど、未利用バイオマスの有効活用に率先して取り組んでまいりました。
 また、スーパーエコタウン事業において、食品廃棄物を利用したバイオガス発電が行われるなど、民間事業者による取り組みも積極的に進められております。
 東京には、こうした下水汚泥や食品廃棄物、さらには樹木の枝葉など、多様なバイオマス資源が存在しており、今後ともこれらの活用方策について検討してまいります。
 
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■障がい者の雇用
 
質問1
 障害者の就労について伺います。
 障害者の地域における自立した生活を支援する体制づくりを進めるとして、障害者自立支援法がスタートし、身体、知的、精神障害という三障害に対応するサービス体系が一元化されました。同時に、改正障害者雇用促進法が施行になり、障害者雇用率の算定に精神障害者が加えられるとともに、在宅就業の促進と福祉施策との連携が盛り込まれました。ノーマライゼーションの進展を踏まえ、地域でともに学び、ともに働く社会の実現のための施策を早急に展開しなければなりません。
 従来の福祉的就労にとどめない障害者の一般就労に向けて、東京都はどのような取り組みを行っているのか、福祉保健局並びに産業労働局にお伺いします。
 
答弁1
 ▼福祉保健局長
 都では、身体、知的及び精神障害者の就労機会の拡大を目指し、平成十五年度から、身近な地域で就労面と生活面の支援を行います区市町村障害者就労支援事業を実施してまいりましたが、昨年度は二十八の区市において事業を実施いたしまして、七百人を超える障害者の就労を実現することができました。
 今後は、新たに策定した障害者地域生活支援・就労促進三か年プランによりまして、この就労支援事業をすべての区市で実施するとともに、企業内通所授産事業を大幅に拡大するなど、希望する障害者が一般就労へ移行することができますように、積極的に支援してまいります。

 ▼産業労働局長
 都はこれまで、障害者雇用ハンドブックの配布や、第三セクター方式による重度障害者雇用モデル企業の設立を通じて普及啓発に努めるとともに、東京障害者職業能力開発校等における職業訓練や、企業や民間教育機関等を活用した委託訓練を実施してきたところでございます。
 また、本年度からは、他の企業のモデルとなるような障害者雇用の取り組みを行う企業等を支援する障害者職域開拓支援事業を開始いたしましたが、今後とも障害者の一般就労の拡大に向けた取り組みを行ってまいります。
 

 
質問2
 ところで、事業者として都における障害者の雇用は、平成七年、都における身体障害者に関する基本方針を策定し、身体障害者を対象に雇用率の目標を三%として実践してきました。
 この基本方針には、採用試験、選考方法について、点字試験の範囲拡大、ワープロ試験及び拡大文字試験の導入などが明記されていますが、一部の実施にとどまっています。なぜすべてに点字対応できないのか、お伺いします。
 
答弁2
 ▼総務局長
 現在、都におきましては、視力に重度の障害がありましても従事可能な業務といたしまして、相談業務、指導業務などがございます。これらの業務につく職員を採用するための試験区分といたしましては、事務のⅠ類、Ⅱ類、また社会福祉施設におきます相談業務に従事する福祉Cなどがございます。こうした従事可能なすべての試験区分につきまして、点字受験を導入しているところでございます。
 

 
質問3
 東京都は、一つの事業体として、民間に先駆け、積極的に障害者の職員雇用を進める立場にあると考えます。しかし、東京都が雇用する障害者は身体障害者のみに限定されています。知的障害者は、就労の機会を提供するに努めるとのみ記載され、精神障害者とともに雇用の対象になっていません。
 都は、今議会で、都庁内の障害者のインターンシップ導入に積極的に取り組むことを明言しております。障害者の一般就労を推進する自治体として、パートや嘱託など雇用形態にも創意工夫し、職域を広げることを検討すべきときと考えますが、見解を伺います。
 
答弁3
 ▼総務局長
 都におきます知的障害者等の雇用についてでございますが、都職員の職務は多様な業務が複合的に組み合わさっておりまして、その中から知的障害者等に適する業務だけを抜き出して、一つの新たな職として成立させることはなかなか困難な状況にございます。
 都といたしましては、都の関連団体を通じた知的障害者等の雇用や作業所等への業務委託を進めることなどによりまして、引き続き障害者の就労促進に取り組んでまいります。
 
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■臨海副都心開発
 
質問1
 五月連休明け、東京都は、臨海三セクの民事再生手続の開始申し立てを発表しました。昨年、ファッションタウンとタイム二十四の民事再生手続が開始され、ことし三月にビッグサイトによる吸収合併が成立した直後の出来事に、やはりという思いです。
 この時点で、東京都の債務免除と出資金の減資を合わせて八十四億円を負担していますが、今回は合わせて三百八十億円というさらに莫大な損失を出した上に、民事再生法申請による法的処理という事態を招いたことは、当然、経営責任が問われるものと考えます。
 これまでに至る臨海三セクへの対応とその総括を伺います。
 
答弁1
 ▼港湾局長
 臨海三セクは、平成十年に策定した経営安定化策に沿って経営改善に着実に取り組んでまいりました。その結果、平成十七年度では七年連続の営業黒字を達成し、借入金残高も減少するなど、一定の成果を上げてまいりました。しかし、臨海三セクは借入金の完済に五十年以上を要することから、金融情勢の変化が今後の経営に与える影響等を勘案し、民事再生により早期に債務を圧縮して、経営基盤の強化を図ることとしたものでございます。
 都といたしましては、この開発を着実に推進するため、引き続き臨海三セクを活用する必要があることから、民事再生を選択することが現時点では最善の方策と考えております。
 

 
質問2
 もともと臨海副都心は、スタート時からさまざまな問題指摘がありました。生活者ネットワークは、都民不在のまま、おおよそ事業費八兆円といわれた副都心開発において、一挙に資金を投資し、一挙に開発するという手法が問題と指摘してきました。
 しかし、この十八年間、都はその課題に本質的に取り組むこともせず、大丈夫ですを議会答弁で繰り返し、関連会計の統合で七千億近くの現物出資をするなど、都民の財産を浪費して、危機を隠して問題をわかりにくくしてきました。そこにこの臨海三セクの破綻処理です。
 都は、これは臨海副都心事業と関係なく、単なる三セクの問題であるとしていますが、到底納得できるものではありません。今こそ謙虚に臨海副都心開発事業の収支と開発計画全体を根本的に総括し、今後の十年に向けてのスタートにすべきと考えますが、見解を伺い、質問を終わります。
 
答弁2
 ▼港湾局長
 臨海副都心開発事業の収支と計画全般の総括についてでございますが、臨海副都心はこれまで、バブル崩壊という試練に直面しながらも、現在では交通アクセスも充実し、来訪者が年間四千万人を超えるまちとして着実に成長しており、今年度からまちづくり総仕上げの十年という重要な段階に入ったところでございます。
 こうした中で、本年三月、都は臨海副都心の開発を着実に進めるため、今後のまちづくりと財政基盤強化のための取り組みに関する考え方をまとめた臨海副都心開発の今後の取り組みとして公表したところでございます。
 具体的には、職・住・学・遊の均衡のとれた複合的なまちづくりの考え方に加えまして、新たに観光と交流の視点を取り入れるとともに、財政基盤の強化に向けて収支両面からのさらなる取り組みを行うこととしております。
 都としては、この中で示したさまざまな増収増益策や経費縮減策を引き続き着実に進めることにより、開発の一層の進展を図りたいと考えております。
 
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