教育正常化に向け綱紀粛正を 行政連携し障害者就労支援を |
田代ひろし(自民党) |
■教育正常化に向けて |
質問1 足立十六中事件とは、平成九年六月に起きた増田都子教員による人権侵害事件です。 増田教員は、紙上討論なる授業形式を導入しており、これは、生徒たちが先生に与えられたテーマについて意見を書き、それを次の授業で先生が紹介をしながら討論形式で授業を行うものであります。増田教員が取り上げるテーマは、在日米軍、従軍慰安婦、南京虐殺、天皇の戦争責任などで、一部の沖縄反戦地主の主張や「赤旗」の記事を教材として引用するなど、特定の政治的方向に生徒を誘導しようとするものでした。 当時、この教員の担当クラスにアメリカ人を父親に持つ女生徒がおり、在日米軍基地問題を取り上げた授業の中で、執拗に繰り返される感情的ともいえる一方的反米授業について、女生徒の母親が区教育委員会に相談をしました。それを知った増田教員は、その母親を激しく攻撃するビラを、授業中、何と教材として配布したわけであります。 配布されたビラは、あなたたちの親の一人が、増田先生はけしからぬ教育をしているというような内容の電話を教育委員会にしたそうですという文章で始まり、事実をきちんと教えている私を偏っているというのは、この親が偏っている証拠だと決めつけ、さらに、教師の教育内容に介入しようなど笑止千万な、余りにも浅はかな思い上がりと、母親を罵倒いたしました。教材における母親への攻撃はさらに続き、区教委に相談したことは密告、つまりチクリであって、この母親の思想は偏狭であるといい切ったわけであります。 この教材は全クラスに配布され、読み上げられたそうですが、自分の母親のことを罵倒され非難された女生徒は、想像を絶する強迫感のため神経衰弱となり、登校拒否にまで陥り、転校せざるを得ない状況にまで追い込まれました。 保護者を一方的に誹謗し、生徒の人権をじゅうりんする者が教員として教壇に立ち続けていたこの事件は、足立区議会で公明、民主の区議が、また都議会でも取り上げられ、さらに国会で江本猛紀議員も追及したほど問題となりました。 その後、この教員は、この事件で減俸十分の一、一カ月を二回、研修命令を三回受けております。しかしながら、この教員は、自分の行った人権侵害について反省するどころか、都教委を相手に処分取り消し訴訟を五度起こし、産経新聞を相手にも名誉毀損訴訟を起こしましたが、そのすべてに増田元教員は敗訴しております。また、この事件を市民の視点から追及した市民運動家や土屋都議を訴えましたが、裁判では、逆に、偏向教育であること、人権侵害事件を起こしたことなどが認定されました。 この事件を明らかにした古賀、土屋両都議と私の共著も訴えられておりますが、議会活動や言論を封じることを目的に、いまだに乱発される不当な訴訟癖や、無知ゆえに本末転倒な愚見を振りかざす都議会議員に対して、良識的な都民の皆さんとともに、教育正常化を進めるためにも堂々と闘ってまいります。(発言する者あり)ありがとうございます。 反省心のないこの増田教員は、研修終了後配属された千代田区の中学校で、古賀俊昭都議の、光輝ある我が国の歴史を再認識すべしと主張した文教委員会での発言をとらえて、古賀都議は歴史偽造主義と教材の中で批判をしたのです。都教委は即時懲戒処分を行い、続いて研修命令を発令しました。 ところが、増田教員や支援者は、ビラやホームページなどで、増田教員の偏向授業を指摘した保護者をまたもや誹謗し、さらに東京都教育委員会を犯罪都教委と呼び、みずから研修を受けている研修センターのことを人権侵害常習センターと呼んで誹謗中傷いたしました。ここに至り、ようやく都教委は、三月三十一日、彼女を分限免職にしましたが、私は、遅きに失した処分だと思っております。 そこでお尋ねしますが、増田元教員が受けた分限処分とは、一般的にどのような処分なのでしょうか。また、従前から文教委員会などでも問題になっている指導力不足等の教員は、東京都にこの五年間何人いたのか。また、その教員に支払われている給与総額は幾らか。また、不良行為で処分される教員の数は、この五年間で総計何名に及ぶのか、お答えいただきたいと思います。 答弁1 ▼教育長 分限処分の意味合いについてでありますけれども、分限処分とは、公務の能率の維持等の目的から、職員がその職責を果たし得ない場合に、任命権者が本人の意に反して行う処分でございます。 地方公務員法上、分限免職することができるのは、勤務実績不良、心身の故障、職の適格性を欠く場合等でございまして、適格性を欠くとは、端的に申し上げれば、教員として不適格であるということでございます。 次に、指導力不足教員についてでありますけれども、平成十三年度から十七年度までの間に、指導力不足等教員として決定した者は五十二名でございます。 次に、給与の総額ですけれども、指導力不足等教員の研修決定期間は一年間であり、教員の平均年間給与額から計算いたしますと、五年間で支払われた給与総額はおおむね九億四千万円余りになります。 次に、懲戒処分を受けた教員の数についてですが、平成十三年度から平成十七年度までの間に戒告以上の懲戒処分を受けた者は七百六十名でございます。
質問2 先日の報道で、埼玉県では、職務遂行能力を十分に発揮できない職員に対して、具体的処置をして、それでも改善が見られない場合は早期に退職を勧告することになったとあります。良質な都職員のためにも、まず教育公務員に対して、至急埼玉県と同様な措置をとるべきと考えます。制度の検証などに時間がかかると承知しておりますが、教員の綱紀粛正を図るべきは必要不可欠なことと確信します。知事並びに教育長のご見解を伺います。 同時に、増田元教員が保護者を誹謗した教材をお読みになっての感想、そして驚くべき人権侵害教育について、知事並びに教育長のご見解、ご感想を伺います。 答弁2 ▼知事 まず、生徒の母親を誹謗した教材等についてでありますが、市民全体の奉仕者であるべき公務員、ましてや生徒の教育をつかさどる教員が、保護者を誹謗するという不適切な教材を生徒に配布したということは、本当に驚きを禁じ得ません。 ヤスパースがいったように、歴史というものはすべて重層的なものでありまして、現に行われている在日の米軍の存在にしろ、あるいは過去の戦争にしろ、いずれにしろそういったものに対する価値というものは人によって違いまして、あくまでも価値というのは相対的なものだと思いますが、自分の思い込みを絶対化して教材として生徒に押しつけるというのは、これはまあ愚かというか、まさに愚かだと思いますけれども、教師としての資格が全くないと思います。 聞くところ、その生徒は学校にいづらくなって転校したということでありますが、これは本当に痛ましい話だと思います。教育公務員としての適格性に欠ける教員に対しては、都教育委員会において厳正に対応していると認識しております。 それから、教員の綱紀粛正についてでありますけれども、非違行為を行う教員や指導力が不足する教員などが存在することは、このごろ日常茶飯になってきまして、これは本当に遺憾なことでありまして、児童生徒の教育をつかさどる教員の綱紀粛正及び資質、能力の向上については、都教育委員会において適切に処置していると認識しております。
▼教育長 教員の綱紀粛正についてでありますが、非違行為を行う教員や指導力が不足する教員等の存在につきましては、大変大きな課題であると認識しております。都教育委員会といたしましては、これらの教員に対して、研修等によりまして資質、能力の向上を図るとともに、非違行為を行った教員については、懲戒処分を含め厳正に対処しているところでございます。 研修を経ても成果の見られない指導力不足等の教員につきましては、退職の勧告及び分限処分等、必要な措置を講じております。今後とも、非違行為を行う教員や指導力が不足する教員等につきましては、より厳正に対処し、都民の公立学校に対する期待にこたえてまいります。 次に、お話の生徒の母親を誹謗した教材等の配布についてですが、教育をつかさどる教員が保護者を誹謗する教材を生徒に配布したことに対しましては、実に不適切でありまして、東京都教育委員会は厳正に対処してまいりました。
東京都の男女平等参画行動計画の改定を前提に、このたび新しい審議会が招集されました。しかしながら、審議会に招集されたメンバーを見ると、その著作の中で、家庭はリスクである、専業主婦はリスクであると主張し、神奈川県教職員組合の講演の中で、離婚の仕方を教科書に記載する必要があると力説している人物も含まれており、恣意的に偏向して選出されるなど、担当職員の見識を疑わざるを得ません。 知事の目指す男女共生理念とは全く離反した審議会構成のあり方について、多くの良識的都民は憂慮しております。今後の審議会運営については、都民と議会の確かな監視が必要であると警告をいたします。 |
■介護施策の充実 |
質問1 特別養護老人ホームがついの住みかといわれていた時代は過ぎ去り、中重度のケアと在宅復帰、在宅支援に取り組む施設として、機能が見直されております。そのために、介護職が必要な知識を習得するとともに、他の施設ではどのような介護が行われているのか認識するために、介護という共通の現場で介護実習が必要となります。 そこで、都が、スキルアップの研修参加のための代替職員の確保や、特養ホーム間での実習生の受け入れなどの仕組みを構築するなど、具体的な支援が必要と考えますが、ご所見を伺います。 答弁1 ▼福祉保健局長 特別養護老人ホームの人材育成についてでございますが、ご指摘のとおり、新しい介護ニーズに対応するため、専門的人材の養成確保に取り組むことが大変重要でございます。 こうした取り組みの一つとして、都は、従来の画一的な集団ケアから少人数の生活単位による個別ケアへの移行を図るため、平成十五年度からユニットリーダーなどを養成する研修を実施しているところでございます。この研修の実施に当たりましては、先進的にユニットケアを実践している施設への実習生の派遣を行い、効果を上げているところでございます。今後とも、効果的な福祉人材政策のあり方を検討してまいります。
質問2 次に、介護職マイスター制度の導入を提案いたします。 実習生や介護職を指導できる職員を特別にマイスターと位置づければ、専門職としての目標になり、やる気を引き出す効果が期待できます。指導者、マイスターとなる職員は、介護の実習試験と指導者としての適性の認定や、職場責任者からの推薦状などを条件として、介護職マイスターとして認められる制度はいかがでしょうか。 また、介護職マイスターが、子どもの教育現場で高齢者に対する配慮や接し方などを実体験に即して教えれば、より効果が期待できると考えます。 答弁2 ▼福祉保健局長 介護職マイスター制度の導入についてでございますが、今日の介護従事者は、高齢者の認知症のケアや在宅復帰支援など、都民によりよい介護サービスを提供するため、高い専門性が求められているものでございます。 現在、国におきましては、介護サービスの中核を担う介護福祉士制度のあり方及び質の向上に関する検討が行われております。都におきましても、ただいまの議員のご意見も参考とさせていただきまして、国の検討の方向を見定めながら、熟練者の育成など、介護従事者のさらなる資質の向上について、鋭意検討してまいります。
質問3 認知症高齢者グループホームのスプリンクラー設置について質問します。 グループホームは、新たな施設建設ばかりではなく、住宅を改修する設備促進も必要です。グループホームは新しい概念であるため、建築基準法上は、寄宿舎や共同住宅として取り扱いを受け、厳しい制約があるため、古い家を利用して使う場合など改造に時間や費用がかかります。都民の安全を守るという立場から、既存施設に対してもスプリンクラー設置などの消防設備や安全対策のための費用の助成はぜひとも必要です。ご所見を伺います。 答弁3 ▼福祉保健局長 都は、平成十六年度から実施している認知症高齢者グループホーム緊急整備支援事業によりまして、新設のほか既存の建物の改修も整備費補助の対象としておりまして、その中で、スプリンクラーなどの防火設備の設置についても支援しているところでございます。 本年一月の長崎県でのグループホーム火災により、とうとい命が失われたことは大変重く受けとめておりまして、ご指摘のとおり、都民の安全・安心を守ることは極めて重要でございますから、さらに他制度の活用も含めまして、区市町村とも協力し対応を検討してまいります。
質問4 長年にわたり都職員の福利厚生施設として使用されてきた大原会館が、このたび老朽化のために取り壊されることになりましたが、その跡地である水道局用地については、高齢社会を視野に入れ、真に都民の役に立つ利活用を図るべきと考えますが、ご所見を伺い、次に移ります。 答弁4 ▼水道局長 大原会館の跡地の利活用に関するご質問にお答えいたします。 水道事業は、独立採算により事業運営を行っており、常に経済性の発揮が求められております。このため、事業用として利用計画がない土地につきましては、貴重な経営資源として積極的な利活用を図っております。 老朽化や防災上の見地から、取り壊し予定の大原会館の跡地につきましても、局事業による利用計画がなく、都市計画道路予定地であることから、道路事業が実施されるまでの間、暫定的な利活用について検討してまいります。 |
■障害者施策 |
質問1 本年四月、障害者施策における戦後最大の改革ともいうべき障害者自立支援法が施行されました。同法では、障害者の就労を自立のための重要課題と位置づけておりますが、今後、障害者就労を大きく伸ばしていくためには、民間企業の協力が欠かせません。そのためには、福祉部門だけではなく、労働、教育行政などが幅広く連携して、例えば報奨制度を創設するなど、企業に障害者雇用のインセンティブを与えるような制度を都独自に検討していくべきと考え、ご所見を伺います。 答弁1 ▼産業労働局長 障害者就労の促進は重要な課題でありまして、これまで雇用ハンドブックの配布や第三セクター方式による重度障害者雇用企業の設立を通じての普及啓発に努めてきたところでございます。 また、雇用の促進には、企業みずからが取り組む意欲を喚起していただくことが重要でございます。本年度から、都独自に障害者職域開拓支援事業を創設いたしまして、他の企業にとってもモデルとなるような取り組みを行う企業等に対しまして支援を行ってまいります。 ご指摘のように、今後はさらに、モデル企業として認定した企業につきまして、企業名も含め、その先進的な取り組みを広く周知することにより、障害者の職域と就業機会の拡大に向けた取り組みを奨励してまいります。
質問2 もう一方で、東京障害者職業能力開発校を初めとする学校や施設における就労支援の充実も大切です。現在、同校ではさまざまな障害を持った方々が学んでおられますが、支援法の施行を契機として、雇用、就業を希望する障害者に対して、求人ニーズに即した訓練カリキュラムを提供するとともに、地域において訓練が受けられるよう機会の確保に取り組むべきと思い、お考えを伺います。 答弁2 ▼産業労働局長 ご指摘のとおり、障害者が自立していくための職業訓練の充実は大変重要であると認識しております。都はこれまでも、東京障害者職業能力開発校などでの職業訓練の実施とともに、企業や民間教育機関等を活用した委託訓練など、訓練機会の拡大に努めてきたところでございます。 今後も、障害者自立支援法の施行を踏まえ、求人ニーズに応じた知識技能が習得できるよう、カリキュラムを工夫するなど、訓練内容の充実に努めてまいります。 また、障害者が身近な地域で職業訓練を受講できるよう、施設等の状況を勘案しながら、新たな取り組みといたしまして、都立の他の技術専門校での訓練科目の展開を検討してまいります。
質問3 また、都立養護学校の教育課程の中でも一般就労への取り組みを行っておりますが、親御さんの意識改革をも含め、卒業後の就労を見据えた取り組みの強化や就労後のフォローアップ体制の確立など、さらに多様な取り組みが必要です。そのためには、都庁みずからが率先して知的障害者の方などのインターンシップ制に取り組むことも有効な施策と考え、ご所見を伺います 答弁3 ▼教育長 障害のある生徒の企業等での一般就労を促進するために、実際に企業等で就労を体験し、望ましい勤労観、職業観を身につけていくことは、ご指摘のとおり極めて重要でございます。 都教育委員会では、企業向けセミナーの開催や、今年度より就労サポーターを導入いたしまして、学校と連携した実習先や雇用先の確保に努めているところです。今後は、より多くの実習先の確保をしていくため、ご提案のように、都教育委員会みずからも知的障害養護学校生徒のインターンシップ受け入れの実施を検討してまいります。
▼福祉保健局長 障害者の企業等での一般就労を促進するためには、ご指摘のとおり、障害者が企業や官公庁での就労を実際に体験するインターンシップ制を導入することなどにより、一般就労に向けた不安を解消することや、企業側の障害者に対する理解の促進を図ることが大切でございます。 都は従来から、企業等への通所による授産事業を実施するなど、障害者の企業実習の場の拡大を図ってまいりましたが、今後は、障害者を対象としたインターンシップ制導入についての企業等への働きかけや、都庁内における職場体験実習の機会の拡大等を検討してまいります。
質問4 障害者自立支援法施行に当たり、今までどおり事業が継続されるのかどうか、不安を抱いている障害者の方や事業者がたくさんいます。新たな事業体系への移行に当たり、市区町村とどのように調整を図っていくのか、都の考え方を伺います。 答弁4 ▼福祉保健局長 障害福祉サービスにつきましては、障害者自立支援法に基づき、本年十月から新しいサービス体系が導入されまして、既存施設の事業者は平成二十三年度までに新体系への移行を求められております。 都や各区市町村では、利用者の状況や地域のニーズを踏まえ、今後のサービス基盤整備の目標数値を盛り込んだ障害福祉計画を今年度中に策定する予定となってございます。 都は、サービス提供事業者に対し、新事業体系への移行希望調査を実施する一方、区市町村の計画策定に当たって相談、助言を行うなど、各事業者や区市町村と調整を図り、新事業体系への円滑な移行を進めてまいります。 |
■医療提供体制の確保 |
質問1 仮称医師登録バンクの設置について提案いたします。 全国的に小児科、産科、麻酔科などの医師不足が懸念される今、将来の東京で十分な医療体制を確保するために、例えば都立病院や公社病院の医師が中心となって人材登録を行い、必要な病院で必要な期間、自由な交流ができるような制度の構築を検討すべきと考えますが、ご所見を伺います。 答弁1 ▼福祉保健局長 都における医療提供体制の確保についてでございますが、全国的に医師不足が叫ばれる中、都内においても小児科、産科等において医師の確保が困難となっている医療機関がございます。このような状況におきまして、将来にわたって都民の期待にこたえられる医療提供体制を維持していくためには、地域に必要な医師の確保が不可欠でございます。 都としては、医療機関が連携しながら、限られた人材を有効に活用できますように、お話のような制度も含めまして、さまざまな視点から対策を検討し、都民が安心して医療を受けられる医療提供体制の確保に努めてまいります。
さきの予算特別委員会において、視覚障害の方々のための音声案内について警視庁に要望いたしましたところ、素早く対応していただいたことに対しまして、衷心より御礼申し上げます。 最後に、私の友人であります全盲の大竹博君が苦労して作成いたしました災害時区民行動マニュアル点字版を知事にごらんいただき、その普及にご尽力賜りますようにお願い申し上げ、質問を終わります。 |