五輪で都市のバリアフリー化を 子どもが芸術に触れる機会を |
橘 正剛(公明党) |
■東京オリンピック招致 |
質問1 初めに、二〇一六年の東京オリンピック招致への取り組みについて伺います。 今定例会の所信表明で石原知事は、二〇一二年の招致をかち取ったロンドンの視察を踏まえ、東京への招致に強い手ごたえを得たとの感想を述べ、強い自信を示されました。非常に頼もしく思うとともに、私自身、招致議連の一員として、さらに積極的に取り組むとの決意を新たにいたしました。 過日、招致議連の一員として、メーンスタジアム、選手村、メディアセンターなどの建設予定地を視察しましたが、現地に立ってみると、交通アクセス、周辺の緑の整備、エネルギーの確保など、今後取り組むべき課題を現実味を持って実感いたしました。しかし、その取り組みも、誘致が実現しての話であります。 いうまでもなく、招致活動はこれからが本番であり、八月のJOCにおける国内候補地の選考、二〇〇九年七月のIOC総会での開催都市決定という大きなハードルを越えなければなりません。 そこで、東京が今後の選考に勝ち抜くための施策について、以下具体的に伺います。 一点目は、施設整備などに要する財政の一助として、主な競技施設などに、いわゆるネーミングライツ・ビジネス方式の導入を検討すべきであります。 既に、各地の自治体ではネーミングライツが導入されております。横浜国際総合競技場の日産スタジアム、宮城県営競技場のフルキャストスタジアム宮城などが定着し、国も国立競技場、レインボーブリッジ、明石海峡大橋などへの導入を検討していると聞いております。 オリンピックにおける企業広告については、IOC、JOCの規定がありますが、ネーミングライツを導入した東京都の第三セクターである味の素スタジアムがサッカーの試合会場候補地となっていることから、同じ手法で導入することは十分可能と考えます。 これまでの多くの大会が、大会終了後、大きな赤字に悩まされてきたことを考えると、こうした手法で民間資金を効果的に活用して財政負担を抑制するとの方針は、招致への大きなインセンティブになると思います。都の見解を伺います。 答弁1 ▼東京オリンピック招致本部長 ネーミングライツでございますが、オリンピックの招致、開催に当たりましては、民間の活力、資金等を積極的に導入する方針でございます。ネーミングライツもその一つの手法であると考えております。 しかしながら、オリンピック大会におけます競技施設へのネーミングライツの導入に当たりましては、個々の施設の特性、経営主体、経営状況等を十分に勘案する必要があることから、今後その可能性について検討をさせていただきます。
質問2 二点目は、もう一つのオリンピックといわれるパラリンピックに焦点を当て、その概念を大きく転換させる大会方針を打ち出し、誘致への推進力とすべきであります。 一九六四年の東京大会は、オリンピックとパラリンピックが同じ都市、同じ施設で開催された最初の大会であると同時に、パラリンピックと呼ばれるようになったのも東京大会が最初でありました。 同様に、二〇一六年の東京大会において、新たな理念に基づいたパラリンピックを開催すると宣言することは、東京大会の大きな特徴づけとなります。 そこで第一に、二〇一六年までを、例えば二十一世紀におけるノーマライゼーション十年と定めるなど、都が先頭を切ってハード、ソフト両面にわたる都市のバリアフリー化に取り組むべきであります。知事の所見を伺います。 答弁2 ▼知事 都市のバリアフリーについてでありますが、東京は非常に正確な公共交通網、世界一安全で清潔な都市空間など、他の都市にない魅力を有しております。 また、数千年に及ぶ歴史の中で培われてきた日本独自の文化を背景に、江戸しぐさという言葉にもあらわれておりますが、他人を思いやる伝統、もてなしの精神に満ち満ちております。 オリンピック、そしてパラリンピックの開催に向けた十年を、障害者とともに生きる社会を実現するための好機ととらえ、世界じゅうから集う人々が快適かつ有意義に過ごせるよう、お話のバリアフリーの観点も含めて、ホスピタリティーに満ちた都市としていきたいと思っております。 先般、ITも含めた先端技術の専門家たちに会合願いまして、そういう技術をオリンピックにいかに活用できるかという話が出ましたが、ある専門家から、私たちの認識の不足か、ロボットを使えば非常に思いがけない多岐にわたるサービス活動ができると聞きまして、ロボットというと無機的な感じがいたしますけれども、これを日本で初めてパラリンピックなど、人間的に使うことで、一つの日本のプレゼンテーションも行えたらと、また思っているわけであります。
質問3 第二に、これまでのパラリンピックにおける取り組みは、競技会場のバリアフリー化やボランティアによる支援など、どちらかといえば競技、運営に的を絞った内容が中心でありました。 しかし、今回招致を目指す東京大会では、従来からの取り組みの強化はもとより、大会後、住宅として活用される予定の選手村の構造の工夫、あるいはすべての施設やアクセスへのユニバーサルデザインの導入など、社会全体のノーマライゼーションにつながる取り組みを行うべきであります。所見を伺います。 答弁3 ▼東京オリンピック招致本部長 パラリンピックにおける取り組みについてでございます。 二〇一六年の東京大会では、パラリンピック村を、さまざまな障害を持った方が支障なく生活できるよう、すべての施設、設備をユニバーサルデザインに基づき整備したモデル都市として建設する予定でございます。 また、各競技会場では、最新の福祉機器を陳列し、ガイドの案内により来場者に体験してもらうなど、障害者への理解を深め、技術開発を促していく機会としたいと考えております。 こうした取り組みを通じまして、東京大会を社会全体のノーマライゼーションを進める契機としてまいります。 |
■文化芸術振興策 |
質問1 このほど公表された東京都文化振興指針は、文化芸術振興の基本的な方針を定めるべきであるとの平成十六年第二回定例会での公明党の主張を受けて策定されたものであります。 特に、今回の指針では、創造的な文化を生み出す都市の実現を目指し、若手・新進アーチストへの新たな支援策としてアートヴィレッジIN東京を開設し、国内外のアーチストの発掘、育成を本格的に進めたいとしております。 そこで、新たな振興策と従来の事業をよく組み合わせ、またトーキョーワンダーサイトなどの施設とも連携して、新進・若手アーチストの支援策を総合化、体系化すべきです。見解を伺います。 答弁1 ▼生活文化局長 都はこれまで、現代美術館やトーキョーワンダーサイトにおきまして、若手作家を中心とした展覧会を開催するなど、発表の機会を提供してまいりました。 これに加え、この秋には、才能あふれる新進・若手アーチストが集い、創造活動を行うための滞在、交流、制作の拠点として、青山にアートヴィレッジIN東京、これは仮称でございますが、を開設する予定でございます。 この拠点を中心に、トーキョーワンダーサイトや内外のアーチスト支援施設などとも連携しながら、作品の発表、各種セミナーや交流イベントなどを行うことによりまして、総合的に新進・若手アーチストへの支援を図ってまいります。
質問2 本指針では、美術館、博物館による芸術作品や資料の収集について、文化遺産を次世代に継承していく未来社会への投資と位置づけ、今年度は七年ぶりに美術作品等の購入が再開されることになりました。 芸術作品の収集は、収蔵、保管、展示などとともに、文化施設の重要な機能であります。今後は、長期的な視点を持って、計画的な作品の購入を行っていくべきであります。見解を伺います。 答弁2 ▼生活文化局長 都立文化施設における美術作品等の購入についてでございます。 都立の美術館や博物館が、人類の文化遺産である芸術作品や歴史的価値のある資料の収集、保存、展示を行い、文化の継承と発展に努めていくことは、公立の文化施設の基本的な役割であると考えております。 今後とも明確な収蔵方針のもと、美術作品等の計画的、継続的な購入に努め、次世代へ着実に継承してまいります。
質問3 さらに、本指針で触れている子どもたちの感性の育成について伺います。 子どもの時代からさまざまな文化、芸術に触れることが、豊かな心と感性をはぐくみ、将来、数多くのすぐれた芸術家や鑑賞者、支援者を生み出す土壌になります。 都はこれまでも、子ども向け舞台芸術参加・体験プログラムなどを実施して、子どもたちに身近な施設で本物の舞台芸術に触れる機会を提供しております。今後も子どもたちの豊かな感性の育成のために、さらに多様な子ども向けの事業を推進すべきと考えますが、見解を伺います。 答弁3 ▼生活文化局長 子どもたちが文化芸術に直接触れ、感動や共感を覚えることは、創造力、コミュニケーション能力などを向上させ、豊かな感性の育成に大きな役割を果たすと考えております。このため、都は、ご指摘の子ども向け舞台芸術参加・体験プログラムのほか、東京文化会館における夏休み子ども音楽会など、さまざまな事業を実施しております。 今後は、東京都交響楽団による小学校への音楽アーチスト交流教室を拡充するとともに、参加・体験プログラムの多摩地域への展開など、子どもたちに身近な場所で本物の芸術文化に触れる機会を拡充してまいります。 |
■既存都営住宅への住宅用火災警報器の設置 |
質問1 都営住宅の安全対策として、住宅用火災警報器の設置について伺います。 六月一日の改正消防法の施行により、新築住宅への住宅用火災警報器設置が義務化されました。一方、既存住宅については自治体の条例で定めることになっており、東京都はことし三月に改正した火災予防条例によって、平成二十二年三月末までと期限を定めて、居室、台所及び内階段への設置を義務づけました。 都火災予防条例は、当然、都営住宅も対象となります。都営住宅には、ひとり暮らしの高齢者や障害者が大勢居住しております。災害に弱い入居者を火災被害から守るために、都営住宅全世帯に住宅用火災警報器を設置すべきと考えます。見解を伺います。 さらに、設置を進めるに当たっては、不公平感のないように十分配慮した年次整備計画を定め、老朽化した団地、高齢者占有率の高い団地を優先するよう要望しておきます。 答弁1 ▼都市整備局長 既存都営住宅の住宅用火災警報器の設置についてでございますが、住宅は都民が日々の生活を営むための基盤であり、火災から生命や財産を守るための安全対策を進めることは重要でございます。 これまで、都営住宅におきましては、建設に際して、法令に基づき必要な消防設備等を設置してまいりました。 本年三月の火災予防条例の改正に伴い、平成二十二年度から既存住宅にも火災警報器の設置が義務づけられるため、設置方法や維持管理のあり方などについて幅広く検討してまいります。 |
■都営交通 |
質問1 都営交通のサービス向上のため、都営バスの内部障害者への配慮について伺います。 人工透析のため週三回通院している知人から、通院に都営バスを利用しているが、透析が終わった後は全身がだるく、バスの中で立っているのがつらい、運転手さんが車内放送で席を譲るよう呼びかけていただければありがたいのだがという切実な声を聞きました。 内部障害は、外見からはわかりにくいのが特徴です。心臓、呼吸器、膀胱、腸の機能障害などを持つ方も、同じような悩みを抱えております。 現在、都営バスでは、内部障害などで体調が悪くなったときに、その旨を乗務員に伝えれば、他の乗客に呼びかけるようにしているとのことですが、乗務員のこうした対応を知らない人が圧倒的多数であると思います。 申し出があれば乗務員が対応することを、内部障害を持つ人だけでなく、都営交通を利用する一般の人たちにも広く周知を図っていくべきであります。今後の具体的な対応を伺います。 また、他のバス会社にもこうした配慮が広がるよう、共同歩調での取り組みを呼びかけるべきでありますが、所見を伺います。 答弁1 ▼交通局長 都営バスでの内部障害者に対する配慮についてのご質問にお答えいたします。 都営バスでは、外見からは障害の状況がわかりにくい内部障害者の方からお申し出があった場合には、他社に先駆けまして車内放送により座席をお譲りいただく呼びかけを徹底しているところでございます。 こうした取り組みにつきまして、さらに実効性を上げるためには、ご指摘のように内部障害者の方々を初め、広くお客様に周知し、ご理解、ご協力をいただくことが不可欠であると考えております。 このため、今後、交通局のホームページやポスターなど、さまざまな媒体を活用しまして幅広く広報活動を行っていくとともに、こうした都営バスの取り組みが他のバス事業者にも広がっていくよう、東京バス協会を通じて積極的に働きかけてまいります。 |
■都立病院 |
質問1 次に、都立豊島病院について伺います。 豊島病院に関しては、板橋区への移管を目指して都と区が一年半にわたり協議を重ねてきましたが、昨年十月に都区双方が移管を断念しました。 そこで、さきの第一回定例会本会議で公明党が豊島病院に関する質問を行ったところ、病院経営を取り巻く環境の変化なども踏まえ、幅広く検討しているとの答弁がありました。以来、三カ月以上が経過しておりますが、いまだに豊島病院の今後の方向性が伝わってきません。地元板橋区民や利用者から、豊島病院はどうなるのか、従来どおり診察してもらえるのかといった不安の声が寄せられております。 さらに、豊島病院と良好な連携関係を築き上げている地域の医療機関も、今後の行方について不安を抱いております。 これまで長年にわたって培われてきた豊島病院に対する地域の信頼にこたえていくことが重要です。そのためには、住民、利用者の不安感を早期に解消し、引き続き地域医療の充実に努めていくべきです。豊島病院が地域医療の中で果たしてきた役割を尊重し、今後のあり方を早期に明らかにすべきであります。改めて所見を伺います。 答弁1 ▼病院経営本部長 豊島病院の今後のあり方についてでございますが、豊島病院は、地元板橋区の患者比率が入院、外来ともに半数を超え、地域の医療機関からの紹介率も約六割に達するなど、地域医療における拠点として大きな役割を果たしております。 こうした豊島病院が現在現実に果たしている役割や機能を踏まえました上で、地域住民が引き続き安心して医療を受けられるよう関係局と検討し、今後のあり方について早急に結論を出してまいります。
質問2 また、板橋区は、豊島病院の区立病院化を断念した後、豊島病院のあり方に関して都に要望書を提出しております。そこでは、地域のニーズが高い小児医療やリハビリテーション医療のほかに、女性専門外来など専門外来の充実なども求めております。こうした地元の要望を十分考慮し、病院の医療機能の充実について明示すべきであります。見解を伺います。 答弁2 ▼病院経営本部長 豊島病院の医療機能の充実についてでございますが、平成十七年十一月、板橋区から提出された要望書では、地域医療の充実に向けた区の姿勢を明らかにするとともに、区民の視点からの具体的な医療ニーズへの対応を求めてきております。 今後の豊島病院の医療機能につきましては、これからのあり方も見据えた上で、リハビリテーション医療や女性専用外来など、地域の要望にも配慮しながら検討してまいります。 |
■卸売市場の効率化 |
質問1 卸売市場の効率化について伺います。 現在の卸売市場の荷さばき場や保管施設は、近年の流通の変化に対応できない旧式なものが多く、また多様なニーズに迅速に対応できる情報システムなどの整備が立ちおくれております。 そこで、板橋市場では、青果物に関して、業者が商品調達から顧客への配送まで一貫して行うことができる物流システム、つまりロジスティクスの構築に取り組むとしておりますが、それによって期待される効果を明らかにするとともに、都の支援について所見を伺います。 以上で私の質問を終わります。 答弁1 ▼中央卸売市場長 卸売市場の効率化についてでございますが、板橋市場のロジスティクス構築は、情報技術を活用し、卸売業者が市場に隣接する自社地に整備いたします物流センターと市場施設との連携を図り、立地やアクセスのよさを生かして、物流の効率化、高度化を目指すものでございます。 これによりまして、輸送時間の短縮、コスト低減、加工、パッケージへの対応のほか、入荷、出荷情報、顧客の販売動向などの生産、消費に関するデータを、卸、仲卸業者双方がリアルタイムで情報交換ができるようになり、小売店等に対する的確な販売支援が可能となります。 このため、都としては、場内の情報基盤となるLAN回線の整備や場内動線の改善などを進め、ロジスティクスの機能が十分に発揮できるよう支援をしてまいります。 |