東部低地帯の水害対策を進めよ 万人が水に親しむ空間づくりを |
宇田川 聡史(自民党) |
■防災及び災害対策 |
質問1 最初に、防災及び災害対策という観点から質問をさせていただきます。 今回、首都直下地震による東京の被害想定が取りまとめられ、今後は各自治体との連携により震災対策が講じられることと思います。震災への対応は重要なことでありますが、私の印象として、水害への対応という点において、まだまだ不足している感が否めません。 近年は異常気象が叫ばれており、多大なる被害をもたらす水害が地球規模で多発していることは紛れもない事実です。平成十六年には、七月に福井における豪雨による大きな被害があり、十月には台風二十三号の影響によって被災が各地に及びました。京都府内でバスの屋根で救助を待つという報道は印象に残るものだと思います。 昨年九月の杉並、中野における一時間一一〇ミリを超える集中豪雨や、ニューオーリンズでのハリケーン・カトリーナによる大災害などは、特に記憶に新しいものです。 今月二日には、小泉首相が会長を務める国の中央防災会議においても、首都圏が被災した場合の総合対策を整備することが決定されたことを初めとして、水害への関心は非常に高まっているところであります。 私の地元江戸川区では、河川の堤防などは十分な高さを確保しているといわれておりますが、国土交通省の被害想定では、荒川などの大河川の堤防決壊等により発生する被害は、百万人を超える被災者が予想され、その被害総額は三十兆円を優に超えるという試算が出されております。地球規模の温暖化が進行している中での海面水位上昇等の危惧も払拭できない今日、高潮なども含めたあらゆる災害に対し、心配は募る一方です。 一たび水害に見舞われますと、地盤が低いことから被害は面的な広がりを見せ、極めて広範囲に及び、人命にかかわることはもちろんのこと、冠水、地下施設への浸水、IT化が進んだ中での電子機器の被害による都市機能の停止など、震災と変わらぬ規模での損害は免れることができないと考えます。このような大水害のおそれがある東部低地帯に対しての知事のご所見をまずお伺いさせていただきます。 答弁1 ▼知事 東部の低地帯の水害対策についてでありますが、東京の東部低地帯は、明治以降の日本の近代化の過程で地下水を非常に多量にくみ上げたことによりまして、広範囲に地盤が沈下した地域であります。この地域には多くの人口と資産が集積しておりまして、中でも満潮面以下の区域に百五十万人の都民が生活しております。 このため、高潮などに対する水害対策が極めて重要でありまして、都は、これまで長年にわたり防潮堤や水門の整備に力を注いでまいりました。その結果、例のルイジアナですか、ハリケーン・カトリーナの被害の際、あのハリケーンに匹敵する伊勢湾台風級の高潮に対する安全性を確保しております。 しかしながら、自然現象には人知の及ばぬところがありまして、自助、共助、公助の精神にのっとった避難などのソフト対策も必要であります。 加えて、先日、私の友人の治安対策の専門家から指摘を受けましたが、ご当地の水門は一カ所にコンピューター管理されていまして、これが満潮時や台風襲来の際に、もしテロのターゲットになったとき、水門が、管理が集約されているために、すべての水門が機能しなくなるおそれもあるので、これは新たな問題として、都は、治安対策というものをああいう施設に対して施さなくちゃいけないと思っております。 今後も、防潮堤などの老朽化対策や耐震強化を一層推進するとともに、地元区と連携し、浸水予想区域図の活用を図るなど都民生活の安全確保に万全を期してまいります。
質問2 現在、白鬚西地区やいわゆる亀・大・小などにおいて防災再開発という名のもとに、防災拠点の整備を進めていただいております。各地区においても自治体の協力を得て、公園や公共施設の広場等を利用して被災後の避難場所等を確保しているところです。 都民のかけがえのない生命と財産を守るためには、もちろんそうしたハード面の整備に加えて、ソフト面での対策も重要です。もしもの災害発生時には、住民への迅速なる情報提供から始まり、避難路誘導や被災者支援など総合的な災害対策をする必要があると思います。 また、浸水被害が広域に及んだ際には、住民の殺到等により避難所として機能し切れない場面も出てくることが予想されます。都内隣接区や他県へ避難せざるを得ない状況になれば、近隣の各自治体としっかり連携がとれた体制ができていなければなりません。今後、都は、どういった対応、取り組みをしていくのか、お伺いさせていただきます。 答弁2 ▼総務局長 大規模な水害発生時の避難体制についてでございますが、想定を超える巨大な台風などによりまして、区部東部の低地帯に大規模な水害が発生した場合には、行政区域を越えた広域的な避難が必要となります。 災害対策基本法におきましては、隣接区市に応援を求めることができることとされておりまして、これを円滑、迅速に行うため、特別区におきましては、相互応援協定が結ばれております。 一方、都県境を越えた避難につきましては、区市間の協定がなく、新たな仕組みが必要となっております。このため、都は、首都圏の県市と連携いたしまして、広域避難の受け入れ体制などを定める八都県市広域防災プラン・風水害編を本年十一月までに策定することとしております。このプランが実効性あるものとなるよう鋭意検討を進めまして、水害に対する都民の安全確保に万全を期してまいります。
避難場所について申し上げます。 現在整備されつつある避難場所は、基本的には地震による災害を前提にしたものであります。水害に対応するべき拠点は皆無といっても過言ではありません。したがって、水による被害を受ける可能性が高い地域、特に区部東部地域にはそういった意味合いを含んだ避難所が必要であると考えます。 繰り返し申し上げますが、江戸川区は、江東区などとともに、水害に対する危機感が大変に募っている地域です。台風などによる高潮、集中豪雨等による河川上流部の決壊などの際には、ゼロメートル地帯という地域性もあわせ持ち、高台部分が皆無である上、昨年区部西部で起きた浸水被害とは全く異なり、河川流域にとどまらず、広域での冠水被害となること必至です。加えて、荒川、江戸川といった大河川に挟まれた環境は都内では他に類を見ない特異性であります。したがって、住民の多くが避難できる場所を切望してやみません。 現在、東京都により都立篠崎公園の整備を進めているところでございますが、最終的な完成までは、まだまだほど遠いと聞いております。災害時の拠点としての位置づけが大きなウエートを占めている公園でありますから、着実に進めていただきたいことはもちろん、先ほど申し上げた水害避難場所としての意義をあわせ持つ整備をしていくよう強く要望しておきます。 |
■水辺空間の魅力向上 |
質問1 次に、現在都が進めている東京の水辺空間の魅力向上に関する全体構想を受けて、幾つかお尋ねいたします。 隅田川や江東内部河川及び臨海運河地域において、緑化、景観形成、コミュニティの提供などのために親水テラス整備などを計画していることは、未来に向かって潤いのある東京を創造するに大変意義のあることと受けとめており、積極的に取り組んでいただきたいと思っております。 五月には、我が党におきまして河川並びに運河を視察した上で、「水の都東京」再生議員連盟を立ち上げ、将来構想をより膨らませた中で全面的に協力をしてまいります。さまざまな水辺を実際に見てきた中で、私からは、特に河川についてのお尋ねをいたします。 まず、小名木川整備について伺います。 小名木川周辺は観光資源となり得るものが豊富であり、江戸情緒をいまだにあわせ持つ、外国人観光客に対しても大変魅力的な地域だと認識しております。せっかくの既存資源を有効に活用し、万人が水に親しめる空間をつくり上げるためにも、早期に耐震護岸整備とともに、修景の整備を進めるべきだと思います。今後の整備計画をお伺いいたします。 答弁1 ▼建設局長 小名木川の整備計画についてでありますが、小名木川はかつて行徳から江戸まで塩を運ぶために使われた歴史ある河川でありまして、護岸の耐震化とともに、観光振興の観点からも、江戸情緒を醸し出す修景を行う必要があると考えております。 護岸の耐震化は、平成十四年度から進めておりまして、計画延長三キロのうち、番所橋から丸八橋までの一キロが今年度末までに完成いたします。 また、この区間は、護岸の耐震化に引き続き、今年度から重点事業として修景整備を実施し、二十年度までに順次完成させる予定でございます。残る二キロにつきましても、国費等の財源確保に努め、着実に整備を進めてまいります。
質問2 この小名木川は航路として利用されているため、当然に船舶が航行しておりました。視察した際に、航行する船が護岸に向かって大きく波をかぶせる場面を何度も目にしてきましたが、完成後のテラス利用者の安全確保といった点についても十分に配慮すべきと考えます。所見をお伺いいたします。 答弁2 ▼建設局長 小名木川におけるテラス利用者の安全確保についてでございますが、河川の魅力を高め、水辺のにぎわいを創出していくには、船舶の航行に伴う引き波対策など安全確保が必要であります。 このため、都は、昨年十月に江東内部河川の船舶通航ルールを施行し、引き波の発生を防止するため小名木川を減速区域に指定しております。 また、護岸整備に当たりましては、転落防止さくや波返しを設置するなど利用者の安全を確保してまいります。 今後、より一層通航ルールの周知を図るとともに、都民が安全で利用しやすい水辺空間の創出に努めてまいります。
質問3 次に、新川についてお尋ねいたします。 新川は、かつて小名木川とともに、塩の道と呼ばれた、江戸期には行徳から塩を運ぶための水運用に掘削された河川の一つであります。既に中川から新渡橋までの約一・五キロメートルは都の親水護岸整備や区の修景整備が行われ、親水テラス化も完了しております。地域住民の憩いの場として定着をしており、季節ごとに花が咲き、夏場はハゼ釣りを楽しむ人々が多数おり、朝夕には犬の散歩道として、また子どもから高齢者までが集うコミュニティの場として活用されています。 しかし、護岸整備が本年度予算で三角橋上流まで整備が予定されているにとどまり、旧江戸川までの約一・三キロメートルについては整備が進んでおりません。水辺の観光資源の一つとして区も位置づけをしており、護岸整備を早急かつ着実に進めていただきたいと思っております。今後の整備予定を具体的にお示しください。 答弁3 ▼建設局長 新川の整備についてでございますが、新川は流域の地盤が低く、かつ軟弱であり、地震による水害の危険性が高いことから、昭和五十一年に平常時の水位を低下させた結果、安全性が飛躍的に向上いたしました。 さらに、平成五年からは、親水性や自然環境にも配慮した、耐震護岸の整備を進めております。 これまで中川合流点から順次整備を進めておりまして、今年度三角橋付近を整備することによりまして、計画延長二・九キロのうち、一・六キロが完成いたします。引き続き、残る一・三キロについて早期完成を目指し、整備を進めてまいります。
質問4 今申し上げたように、地域内では十分に認知された親水である上に、地元としては一観光資源として活用すべく進めていこうとしているところでございます。駅からのアクセスなどを整備し、沿岸に緑をふやし、環境を整え、地域特産物の販売等も視野に入れながら、一大観光地としてアピールしていきたいという思いが強くございます。 近隣遊休地も有効に利用しつつ、今以上ににぎわいのある交流の場とするためには、早期整備とともに、観光資源としての取り組みに対しても、都として積極的に支援すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。 答弁4 ▼産業労働局長 都は、東京の水辺空間の魅力向上に関する全体構想において、観光まちづくりの推進を掲げ、人材の育成や、浅草・両国が一体となった推進組織設立などの地域の取り組みに対しましての支援を実施してまいりました。 また、今年度は、水辺を活用した観光まちづくりの機運を醸成するために、シンポジウムの開催や水辺活用マニュアルの作成などを行っていく予定でございます。 お話の新川周辺につきましては、今後、地域における取り組みを待ちまして、その状況を踏まえながら効果的な支援について検討してまいります。 |
■商店街振興 |
質問1 東京の商店街は、地域住民やまちを訪れる人々のニーズにこたえ、魅力ある品ぞろえをし、潤いや安らぎを提供できるよう、創意工夫を凝らしたさまざまな取り組みを行っております。商店街がこうした取り組みを通じてコミュニティの核として地域の活性化に十分な役割を果たせるよう、我が党はこれまで全力で支援をしてまいりました。その結果、空き店舗を活用した新たな取り組みが生まれるなど地域の方々に喜ばれている例も数多く見受けられます。 しかし、残念ながら一方では、経営者の高齢化や後継者不足などさまざまな課題を抱え、社会構造の変化や地域の特性に応じた特色ある取り組みができない商店街が少なくないことも事実です。 こうした中での我が党の主張を受け、東京都はこれまでの施策に加え、商店街パワーアップ基金を新設し、NPOや株式会社等の活用による商店街組織の枠を越えた新たな支援策を実施することとしています。この支援策は、これまでにない画期的な取り組みであり、商店街を活性化する上で大きな効果をもたらすものと大いに期待しているところであります。 そこで、この事業のねらいと商店街活性化に向けた都としての取り組みに対する決意をお伺いいたします。 答弁1 ▼産業労働局長 都内の商店街は、地域のニーズにこたえ、創意を凝らした活動を展開しております。例えば、江戸川区では複数の商店街の若手有志が集まり、楽市を開催するなど意欲的な取り組みが行われていると聞いております。 商店街のこのような活動をより安定的かつ持続的なものにするためには、会社等の組織の活用が有効であると認識しております。このため、新たに商店街パワーアップ基金事業を創設し、商店街による会社、NPOの設立など商店街をサポートする取り組みを支援してまいります。 その際、複数年にわたる支援も可能とするなど、商店街の取り組みを強力に支援し、商店街の一層の活性化を図ってまいります。 |