あいさつで地域の関係づくりを 都営交通の利便・安全性確保を |
村上英子(自民党) |
■心の東京革命 |
質問1 教育についてお伺いいたします。 かつて、学校、家庭、地域社会において、人と出会ったらお互いにあいさつをすることが当然のことと教えられておりました。おはよう、こんにちはと気持ちよくあいさつすることで人間関係がつくられ、地域を愛する気持ちも自然とはぐくまれたのです。 ところが、最近は、登下校中に子どもたちの命が奪われるという痛ましい事件が全国各地で相次いで発生し、つい先日も、秋田県の豪憲君が殺害されたことは、全く常識では考えられない犯行であり、これを阻止することは大変難しいことだと思います。保護者や学校の先生方は、知らない大人から声をかけられたら大声を上げて逃げましょうと教えなければならないような状況になっております。 確かに、子どもたちのとうとい命が奪われることは絶対にあってはなりません。けれども、地域の大人、例えば腕章をつけている安全ボランティアの方々があいさつをしても、子どもたちは返事もしないで通り過ぎてしまう。これは行き過ぎではないでしょうか。 こうした問題を解決するためには、何よりも、子どもたち自身が地域の方々の顔と名前を知る機会を多くすることが必要です。よく知っている大人たちから声をかけられれば、子どもたちも自然とあいさつをするようになるでしょうし、地域の方々が好きになり、ひいては地域に強い愛着を持つようになると思います。 そのためには、これまで以上に地域の多くの方々に学校に来てもらい、先生方と一緒になって子どもたちの教育にかかわっていただくことが大切ではないでしょうか。例えば、学校で行う行事に子ども一一〇番の家の方々に参加してもらうなど、学校においては、子どもたちと地域の方々とがともに過ごし、顔の見える関係づくりを推進することが大変重要であると考えますが、ご所見をお伺いいたします。 答弁1 ▼教育長 子どもたちと地域の大人との人間関係づくりについてでございます。 学校が教育活動に地域の人々の参加を呼びかけ、子どもたちと触れ合う機会を設けることは、子どもの人間形成、地域における人間関係づくりを進める上で極めて重要でございます。 現在、多くの小学校では、本の読み聞かせや地域安全マップづくり、生活科におきます昔遊びやものづくりなどに保護者や地域の人々が参加し、子どもとともに活動する機会を数多く設けております。 今後とも、こうした機会を通して地域の大人と子どもが顔見知りになり、互いに安心してあいさつができる人間関係が一層形成されますよう、区市町村教育委員会と連携を図り、学校に指導助言してまいります。
質問2 私は、石原知事が推進する心の東京革命で提案している「心の東京ルール・七つの呼びかけ」を地元の方々に訴え続けております。都があいさつ運動を推進することは、心の東京ルールの一番目にある、子どもに毎日あいさつをさせように特化して取り組むという意味で評価しております。けれども、学校での、知らない大人から声をかけられたら逃げましょうという指導と、地域の方々のあいさつ、声かけがすり合わない中で、その溝をどのように埋めていくのかが問題です。 子どもたちを見守り、はぐくんでいくのは、保護者はもちろんのこと、地域の方々なのです。核家族化が進み、おじいちゃん、おばあちゃんとのかかわりが少なくなった現在、地域の役割が大きくなっているのです。 そこで、あいさつ運動に具体的にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 答弁2 ▼青少年・治安対策本部長 あいさつ運動への具体的な取り組みについてでございますが、地域社会の人間関係が希薄化しつつある中で、多くの人があいさつの大切さを再び実感できるような機運を醸成することが重要と考えております。 そのため、都としましては、心の東京革命推進会議のもとに、先般、あいさつ運動推進委員会を設置いたしました。そして、心の東京革命推進協議会とともに、七月には、多くの都民の方々の参加を呼びかけて第一回あいさつフェスタを開催するほか、十一月に推進月間を設定しまして、あいさつ運動のキャンペーンを全都的に展開したいと考えております。 また、各地域におきまして、町会、自治会、商店街、学校などが行うあいさつ運動を支援するため、先進的な事例を積極的に紹介しますとともに、区市町村に対しまして、あいさつ運動に係る事業の補助を行ってまいりたいと考えております。
質問3 知事は、著書の中で、あいさつは人間関係の入り口だと教えようと書かれておりますが、あいさつをどのように考えているのか、知事の思いをお伺いいたします。 答弁3 ▼知事 あいさつについてでございますが、あいさつは、他人に対する思いやりや心遣いの表現でありまして、自分と他者を結ぶ第一のきずなであると思っております。 日本は、もともと非常に礼節の国でありまして、非常に、あいさつを含めた礼儀正しい国家社会というものを築いてまいりましたが、大分それも変わってきたような気がいたします。地域社会の変容や自己中心主義の蔓延などによりまして、地域の人間関係や家族のきずなが希薄化する中で、あいさつの大切さがだんだん見失われているような感じがいたしまして、非常に残念であります。 ただ、日本に長くおりますある外国人がこの間書いておりましたが、それでもなお、西欧の社会に比べると、言葉でなくて、あいさつというかボディーランゲージで、日本人は電車の中とか何かで、エレベーターの中で、先を譲り合うときにどうぞといったり、自分が先に行きますときは、空手チョップといいましたかね、片手でこうやってお先にというあいさつをする、これはやはり西欧にない一つの美風だと思いますが、いずれにしろ、そういったものを私たちはまだ残しているわけでありまして、親や地域の大人たち自身が、あいさつを身をもって子どもたちに示すとともに、子どもに対して、そういうしつけをしていく責任があると思います。 都は、今年度、心の東京革命推進協議会とともに、あいさつ運動を全都的に展開するつもりでございます。
ところで、警察庁の発表資料によれば、平成十七年度中の自殺者は、全国で三万人を超えています。思い余っての行為とはいえ、みずからの命を絶つ行為に救いの手を差し伸べることができなかったのかと思うと、心が痛みます。あいさつが自然に交わされ、心の通い合う地域社会をつくることによって、そういう不幸な事態を少なくすることにつながると思います。 今、国会では自殺対策基本法案が審議されており、国を挙げた自殺対策が講じられようとしています。都においても、自殺予防対策をより一層強化していただくよう、あわせて強く要望をいたします。 |
■繁華街対策 |
質問1 次に、渋谷地区などの盛り場対策について質問いたします。 盛り場は、都民の方々が安心して楽しめ、くつろぐことのできる空間であるべきです。そのためには、自治体が中心となって、どのようなまちにしていくのかという将来ビジョンを示した上で、そこに住む人、商う人、働く人、訪れる人たちと、行政、警察が協力して安全対策を講ずるべきであることは論をまちません。 渋谷区では、ラブホテルの性的産業進出を規制する条例を今の区議会定例会で審議中であります。地元の渋谷センター街では、商店会役員がパトロール隊を結成して既に三年を経過しております。自分のまちは自分たちで守ろうという意気が伝わり、路上での不法物品販売や置き看板なども少なくなってきております。また、たむろしていた不良外国人もいなくなったといわれております。 私も、先日来の商店会パトロールに数回参加をし、そのご苦労を知りました。繁華街の地元商店会、町会などの対応策には限界もあります。 昨今、新しい形態の業種として、風俗案内所が目立ち始め、著しく環境を損なう現象が見られます。少年犯罪発生の危険性が懸念されるところです。渋谷地区は、昨年十二月に、警視庁において環境浄化の特別対策地区に指定されたと伺っております。 そこで、現在までの渋谷地区における警視庁の取り組み状況と今後の対策について、警視総監のご所見をお伺いいたします。 答弁1 ▼警視総監 渋谷地区におきます盛り場対策の取り組み状況と今後の対策についてお答え申し上げます。 警視庁では、昨年の十二月二十日から、渋谷地区を、新宿歌舞伎町地区、池袋地区及び六本木地区の三地区に加え、新たに特別対策地区として盛り場環境の浄化に努めているところであります。 これまでの取り組みについてでございますけれども、取り組みの重点を、悪質な客引きや違法風俗店などの迷惑違法行為に対する防圧検挙、暴力団、国際犯罪組織の資金源の取り締まり、それに青少年の健全育成を阻害する有害環境の浄化として掲げまして、本部捜査員を投入した一斉摘発や周辺警察署との共同捜査、あるいは入管との合同摘発などを、集中的かつ波状的に推進しているところであります。 この結果、これまでに、違法個室マッサージ店、わいせつビデオ店などの違法風俗店四十五店舗、約百七十人を、また、暴力団員などを賭博、覚せい剤等で約百二十人、不法滞在等の不良外国人を約百七十人検挙したほか、迷惑防止条例や改正風適法を適用しました強力な取り締まりによりまして、これまで相当数徘回しておりました客引きが減少している状況にあります。 加えて、新たに制定していただきました風俗案内所条例による取り締まりや、不良行為少年に対する補導活動を実施するとともに、地元商店街等と協働しまして、立て看板、置き看板のたぐいの排除等にも努めた結果、状況は着実に改善されているものと考えております。 警視庁といたしましても、引き続き強力に取り締まりを推進するとともに、東京都を初め関係機関、団体及び地元商店街等との連携を図りながら、まちぐるみの環境浄化活動や効果的な違法駐車、駐輪対策の推進など、より安全で安心なまちづくりにも積極的に参画してまいりたいと考えております。 |
■都児童会館 |
質問1 児童の健全育成事業に係る児童会館の運営と今後の対応についてお伺いいたします。 児童に健全な遊びを与え、健康を増進し、豊かな情操をはぐくむために、さきの東京オリンピック開催に合わせるように、昭和三十九年に大型の東京都児童会館が天皇陛下のご台臨を仰いで開設いたしました。 その後、区市にあっても、着実に地区児童館が整備され、今日では六百二十二館に達していると伺っております。まさに、東京都児童会館の果たした役割の成果であると敬意を表するものです。 そこで、これまでの東京都児童会館の役割についてお尋ねをいたします。 答弁1 ▼福祉保健局長 東京都児童会館は、児童の健全な育成及び地区児童館の設置促進を目的といたしまして、昭和三十九年に開設されたものでございますが、同会館では、体験型の遊びを通じて創造力をはぐくむ機会を児童に提供するとともに、児童館運営などに関する技術的援助や指導員研修を実施するなど、地区児童館を総合的に支援してまいりました。 現在、お話のように、都内全域で地区児童館の整備が進みまして、二つの小学校区に一つという設置目標はおおむね達成しております。こうしたことから、東京都児童会館は、地区児童館の設置を促進するという役割を十分に果たし、児童の健全育成に貢献してきたものと考えております。
質問2 さらに、当時の厚生省児童家庭局が力を入れて設置した青山にあるこどもの城も、運営も含め、内容、用途についても大転換を図っております。 そこで、東京都児童会館にあって、これからの改革、役割についてご所見をお伺いいたします。 答弁2 ▼福祉保健局長 東京都児童会館のこれからの役割についてでございますが、地区児童館の増加によりまして、遊びを通じて児童の健全な育成を図る場はおおむね整備された一方で、自然と触れ合う機会や世代間の交流が減少した今日、地区児童館には、学校や家庭では体験できない、遊びを通じて豊かな感性や社会性をはぐくむための工夫がこれまで以上に求められていると考えております。 このため、都といたしましては、これまでの成果を踏まえ、新たな遊びの開発などに関する情報発信や指導員の人材の育成など、センター的な機能に重点化を図り、地区児童館の支援を強化してまいる考えでございます。 |
■都公共交通 |
質問1 地下鉄十三号線平成十九年度開業に伴う都営バス路線の見直しについてお伺いいたします。 バスは、地下鉄に比べ停留所の間隔が短く、窓からまちの景観が見え、地域をきめ細かく回り、また、乗りおりが楽で便利な公共交通機関です。地下鉄十三号線と並行する都営バスが今後廃止されるのではとの大きな不安の声が上がっております。 これからの高齢社会と障害を持つ方々に対応するための優しい環境づくりなど、都営バスの利便性について堅持していただけるようご配慮をと思いますが、ご所見をお伺いいたします。 答弁1 ▼交通局長 ご質問にお答えする前に、一言申し上げさせていただきます。 昨日の午前九時三十七分、都電荒川線におきまして列車の追突事故が発生いたしました。この事故によりましておけがをされた方、そのご家族の方を初め、ご利用のお客様、都民の皆様に対しまして深くおわびを申し上げます。今後このような事故が二度と起こらぬよう、早急に原因の究明と再発防止に取り組んでまいります。 地下鉄十三号線開業に伴う都営バス路線の見直しについてでございますが、渋谷と池袋を結ぶ地下鉄十三号線の開業に伴い、これと並行、交差しております現行の都営バス路線につきましては、乗客数の減少によりまして、採算面で大きな影響を受けることが予想されるところでございます。 しかしながら、都営バスは、地下鉄が整備された場合におきましても、鉄道駅や公共施設等をきめ細かく結び、だれもが利用しやすい身近な公共交通機関としての役割を果たしていく必要があると考えております。 したがいまして、バス路線の見直しに当たりましては、地下鉄十三号線開業時の乗客需要も見据えながら、ご指摘のとおり、高齢者や障害者など、利用者の方々の利便性に十分配慮して検討してまいります。
質問2 次に、都営地下鉄の地震災害時の対応についてご質問いたします。 昨日、都電荒川線で追突事故が発生し、多数の負傷者が出ました。私は、さきの予算特別委員会で地下鉄の安全対策についてお伺いをしたところですが、都営交通の安全運行の確保について、より一層厳しく取り組むよう強く求めておきます。 さて、昨今、国内外で大きな地震が起きております。輸送の安全確認を厳格に行うことはもちろん必要でありますが、運転再開をするために、長時間かけて全線を徒歩により点検をしなければならないというやり方については、見直すことも必要ではと思いますが、今後どのように取り組む方針をお持ちになっているのか、ご所見をお伺いいたします。 答弁2 ▼交通局長 都営地下鉄の地震災害時の対応についてでございますが、現在、都営地下鉄では、地震が発生した際、震度五強以上を検知しますと直ちに運転を中止し、全線で徒歩点検による安全確認を行うこととしておりまして、こうした方式は、ご指摘のとおり、運転再開まで長時間を要し、お客様への影響が大きいものになっております。 このため、地震計を大幅に増設いたしまして、地域ごとの震度を的確に把握し、徒歩点検が必要な区間を絞り込むとともに、点検後は試運転列車による安全走行の確認を行う方式に今後改めていくことが必要と考えております。 こうした取り組みを行うことによりまして、震度五強レベルでの地震発生時には、これまで以上に安全性を十分に確保しつつ、点検時間の短縮が図られ、早期運転再開が可能となりますので、できるだけ早急に実施してまいります。 |
■地方法人課税の見直し |
質問1 地方法人課税を見直す動きについてお伺いいたします。 今後、少子高齢社会の推進に伴い、地方自治体が地域住民に果たす役割はますます重要なものとなっております。地方自治体みずからの意思と責任において、地域住民の求めに応じた施策を推し進めていくためには、財政的な裏づけとなるさらなる地方税源の充実確保が必要不可欠です。 こうした状況にもかかわらず、昨日、我が党の吉野総務会長の一般質問でも指摘したように、国などにおいては、人口割合で単純に法人二税の徴収を配分しようとする乱暴な議論や、単に企業の税負担の軽減のために、地方法人所得課税を撤廃しようとする動きすらあります。 このような地方法人課税の意義を全く無視した国などの動きについては、全国の地方自治体と連携するなどして、反対の意見を明確に表明していくべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。 答弁1 ▼主税局長 法人は、事業活動を行うために地方自治体からさまざまな行政サービスを受けておりまして、個人と同様、地域の構成員として応分の負担をすべきものというふうに考えております。 法人二税の課税の根拠を無視して、人口による配分を求めたり、諸外国との制度の違いを無視して、代替財源を示すことなくその撤廃を求めることなどは、無責任きわまりない主張でございます。 また、地方の独立税源の充実確保が不可欠な中で、こうした動きは地方分権の流れに逆行するものでございます。 都といたしましては、都議会並びに都選出国会議員の皆様方のご協力をいただきながら、全国の地方自治体とも連携して、こうした不合理な動きを断固阻止する覚悟でございます。 |
■オリンピック招致 |
質問1 東京オリンピック及びパラリンピック誘致実現と競技施設づくりについてお伺いいたします。 まずは、八月にJOCの決定があり、IOCの決定は二〇〇九年といわれておりますが、これに対し、都民総意の東京招致の大運動、デモンストレーションを進めるべきと思います。 そこで、今からでも東京都の施設や電車、バスなどに、横断幕や下げビラなど効果的なPR活動を積極的に展開し、都民の中に招致に向けた機運の種を醸成させていくことが重要と考えます。それらの取り組み、方策についてお伺いいたします。 答弁1 ▼東京オリンピック招致本部長 PRの取り組み方法についてでございますが、オリンピック及びパラリンピックの招致機運を盛り上げていくには、都民、国民の幅広い支持が必要でございまして、適宜適切に広報、PRを行っていくことが重要だと考えております。 当面、国内立候補都市の選定に向けましては、大会計画を記載したリーフレットの配布や各種団体への働きかけなどを行うとともに、七月二十日には、多くの都民の参加を得まして、二〇一六年東京オリンピック都民集会を開催いたします。 また、東京が日本の立候補都市に決まった後には、ご提案いただきましたように、都立施設はもとより、バスや地下鉄などの公共機関を広報媒体といたしまして効果的に活用するなど、幅広くPRを行い、広く都民、国民の招致機運を盛り上げていきたいと考えております。
質問2 競技施設づくりについてですが、さきの昭和三十九年の東京オリンピック競技場が、今日なお国際的な競技大会や市民スポーツの会場として使用され、多くの国民に愛され親しまれているのです。 そこで、二〇一六年の東京オリンピック及びパラリンピックを開催するに当たっては、現在のオリンピック基準に対応するよう、またバリアフリーをしっかりと視野に入れ、これらの競技施設の改修、改築をすることで大いに活用するべきと考えますが、ご所見をお伺いし、私の質問を終わらせていただきます。 ご清聴ありがとうございました。 答弁2 ▼東京オリンピック招致本部長 既存の競技施設の活用についてでございます。 二〇一六年の東京大会では、東京に集積する既存の競技施設、コンベンション施設を必要に応じて改修、改築して最大限活用するとともに、施設の新築を極力抑え、経費の抑制や環境負荷の低減を図る方針でございます。 一九六四年の東京オリンピックで使用した国立代々木競技場あるいは日本武道館等につきましても、この方針に基づきまして有効に活用してまいります。
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