セーフティーネットの確保を 駅ナカビジネスに適正課税を
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吉野利明(自民党) |
平成十八年第二回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問いたします。 二期七年にわたる石原都政を振り返りますと、ディーゼル車排ガス規制の実施、中小企業向け債券市場であるCLO、CBOの創設、民間活力導入による認証保育所の創設、そして公会計改革と、ほぼ掲げた公約を国に先駆けて見事に達成されました。中でも、徳俵に足がかかっていた都財政を見事に土俵の真ん中に押し戻し、健全化を達成したことはさすがであります。残るは、横田飛行場から実際に民間機の定期便を飛ばすことでありましょうか。 しかしながら、今後本格化する少子高齢化社会を見据えれば、決して油断は許されません。都は、財政再建に向けたこれまでの成果を十分に活用し、都民の安全確保、都市機能の一層の拡充、福祉、保健、医療の充実などの緊急課題に正面から取り組んでいかなければなりません。 我が都議会自由民主党は、これからも石原知事と力を合わせ、これらの課題解決に努め、都民サービスの向上に全力を尽くすことをお約束し、質問に入ります。
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■都政運営の主要課題 |
質問1 今後の都政運営について伺います。 昨今、小泉改革の成果ばかりでなく、いわば陰の部分が指摘され、所得格差を初めとする格差拡大の風潮もあって、社会のセーフティーネットのあり方が重要な政治課題となってきました。 今必要なことは、都市のダイナミズムや社会の活力を伸ばしつつ、同時に万一の場合のセーフティーネットを確保し、再チャレンジが可能となる社会を構築することであります。また、高齢者、障害者、子育て世帯など、社会的支援を最も必要とする人々が安心して暮らしていけるような社会の実現が求められています。 こうしたことが都政運営に当たっても基本であるべきと考えますが、知事の所見を伺います。 答弁1 ▼知事 安心して暮らせる社会の実現についてでありますが、都はこれまで、高齢者や障害者あるいは子育て世帯を初めすべての都民の生活を守り、都民サービスの向上を図るため、さまざまな手立てを講じてまいりました。 認証保育所の創設やグループホームの拡充、しごとセンターの開設はもとより、治安の回復や大気汚染の改善、さらには都市再生などに積極的に取り組んできたつもりでございます。こうした一連の方策は、都民生活の向上のための取り組みにほかなりません。 都政運営の基本は、自助、共助、公助の精神に基づいて、東京に住んで働く人々が意欲を持って活動できるようにすることでありまして、これからも東京のダイナミズムの発揮と安心して暮らせる社会の実現を目指し、都政のかじ取りを担っていきたいと思います。 これから先、非常にふえる高齢者、しかも元気な高齢者も重要な都民でありまして、こういった方々にこれから都としてどういう活躍の場を与えるかというのはやっぱり喫緊の問題だと思いますが、例えば、来年から行われます東京大マラソンでありますとか、この間視察してまいりましたが、二つの島の首長さんそれぞれ非常に乗り気でありまして、島という特異な条件の中、公道を使って行えるようなオートレースが実現しましたら、やっぱり高齢の方々に、数多い方々に、何というんでしょうか、マーシャルと向こうで呼んでいましたけれども、監督者として積極的に働いていただくようなことも、東京全体の活力のためにも、また、楽しんで安心して暮らせる東京の造成のためにも必要ではないかと思っております。
質問2 東京オリンピック及びパラリンピックについて伺います。 都は、二〇一六年オリンピック及びパラリンピックの招致に向けて、正式に立候補の意思を表明し、大会開催の基本方針なども明らかにするなど、いよいよ本格的な動きを開始しました。 先日、都議会オリンピック招致議員連盟が、オリンピック及びパラリンピックの主要施設の建設予定地を視察しました。現地の十分な広さと水辺に囲まれた景観のすばらしさを実感し、十年後の東京オリンピック及びパラリンピックの開催に思いをはせました。 知事も、オリンピック及びパラリンピック招致に向け、今月の初め、ロンドンを視察しました。現地では、組織委員会会長のセバスチャン・コー氏と会談したことなどを聞き及んでおりますが、競争に打ち勝ち開催準備を進めている都市に実際に足を運んでみて、知事はどのような感想を持たれたのか、伺います。 答弁2 ▼知事 ロンドンを視察しての感想でありますが、まず感じましたことは、ロンドンのオリンピックの運営なるもの、企画運営なるものは、もちろん理念的なものは必要でありましょうけれども、まず非常に実利的で、ゆえにも現実的な視点で考えられ企画され運用されているという点でありました。 ロンドンは、東京にも増して成熟した古い都市でありまして、一方、老化も目立っておりますが、それだけにオリンピックを契機として、開発のおくれた地域に光を当て、都市全体を改造しようとする明確な意思を強く感じました。 また、今回会談を行ったオリンピック組織委員会の会長のセバスチャン・コー氏の存在も大変大きかったのではないかと思いますが、東京も同様に、オリンピック開催をてこに、都市としての体裁あるいは機能をもう一度迅速に整え直す必要があると痛感いたしました。今回の視察で得たさまざまな示唆を十分に生かして、東京への招致を成功させたいと思っております。
質問3 この間、福岡市との比較がさまざまな形でされています。都は基本方針を発表したところですが、出足の早かった福岡市と比べると、都が公表している情報がいまだ少ないことは否めません。 福岡では、財政の問題が大きくクローズアップされ、反対運動も起きていると聞いていますが、都の基本方針では、財政の基本的な考え方は述べられているものの、具体的な金額などが示されていません。大会運営に関する経費についても触れられていないため、都民も漠然とした不安を感じていると思います。 そこで、現在積算中であることは承知していますが、大会運営に関する経費や施設整備費など、オリンピック及びパラリンピック関連経費をどのように考えているのか、伺います。 答弁3 ▼東京オリンピック招致本部長 大会運営費は、競技会場の仮設費用、選手村の管理経費など、オリンピック及びパラリンピック大会を運営するために必要な経費でございまして、今月の三十日までにJOCに提出いたします開催概要計画書への記載事項でございます。現在、二〇一二年開催予定のロンドンと同程度の三千億前後を見込んでございます。 なお、この経費の財源は、主にスポンサー企業からの協賛金やIOCからの配分金により賄われ、税金は投入しないこととしてございます。 また、オリンピックの関連施設整備費につきましては、既存施設の活用を基本として現在積算しているところでございますが、おおむね五千億円程度、そのうち都の負担額は、民間資金の活用や国庫補助金の獲得などにより、約その一割、五百億円程度にとどまる見込みでございます。
質問4 今後、国内での候補都市となり、さらには海外諸都市との厳しい競争を勝ち抜いていくためには、東京プランともいうべき将来の東京都の都市像を描き、都民に示すことが重要です。そして、都民、国民が一体となって、招致に向けてあらゆる活動をしていくことが必要です。さまざまな盛り上げ事業を展開するなど、都民、国民全体でオリンピック及びパラリンピックを招致しようという機運の醸成を図るべきだと思いますが、所見を伺います。 答弁4 ▼知事 オリンピック及びパラリンピック招致を成功させるには、十年後を見据えて東京の都市像を明らかにするとともに、東京をさらに機能的で魅力的な都市につくりかえていく必要があります。 例えば、都市基盤が整備された効率的な都市、あるいは超高齢社会においても、安心・安全で質のいい生活が確保された世界に誇れる福祉都市、あるいは環境負荷を抑制し、澄んだ空気、豊かな緑と水に囲まれた環境都市といったイメージを目指していくべきだと思います。 また、招致に向けてさまざまな団体にも働きかけ、多くの都民の参加を得て、七月二十日の都民集会などで機運を盛り上げてまいりますが、さらに、国際的なスポーツ大会を大いに活用するなどして、国内はもとより海外においても広範な手段を講じ、世界の都市との競争に打ち勝っていきたいと思っております。 しかし、しょせん最後は日本のオリンピック協会、JOCが決めるわけでありまして、JOCの持っている見識というものがいかなるものか私存じませんが、一部の国会議員が、自分が会長をしている会の投票を、東京や福岡が正式に計画書を提出する前に、何の情実に構えてか、票を取りまとめたなどということを揚言するということは、これはやはり国家的なイベントでありますから、国会議員ともあろうものが国全体の利益というものを考えずに、そういう軽率なというか、まあ何にかまけた発言かわかりませんけれども、そういう動きを見せるということは、国民全体にとっても、JOCにとっても、特に都民にとっても迷惑な話でありまして、この間、私、個人の名前を挙げて記者会見で指摘しましたが、こういったものは皆さんもやはり監視して、こういう、何ていうんでしょう、妨害に近い、配慮を欠いた発言というものを牽制もし、チェックしていただきたいと思います。
自民党都連でも、先月、オリンピック競技大会及びパラリンピック大会の東京招致に関する特別決議を採択しました。東京が世界との競争にも打ち勝ち、二〇一六年にオリンピック及びパラリンピックを実現するために、都議会自民党も全力で支援していくことを申し述べて、次の質問に移ります。
質問5 横田基地の軍民共用化について伺います。 先月、日米安全保障協議委員会、2プラス2が開催され、在日米軍再編協議に関する最終取りまとめ、再編実施のためのロードマップが公表されました。横田基地の軍民共用化に関しては、具体的な条件や態様に関する検討を実施し、開始から十二カ月以内に終了することが日米間で合意されました。検討の期限が明確に区切られたことは、軍民共用化が現実のものとなってきたということであり、大きな前進であります。 先日、都と国の関係省庁との連絡会も開かれたようですが、軍民共用化の早期実現を図るためには、ロードマップに位置づけられた具体的な条件や態様に関する日米協議の進展が大きなかぎになると考えられます。 また、地元では、商工団体が中心となって、軍民共用化推進協議会や横田基地の民間機利用促進市民の会がつくられるなど、軍民共用化の早期実現を求める声が大きくなってきています。 知事は、先月二十五日に、日本航空及び全日空両社から、軍民共用化の実現を求める要望書を受け取ったとのことですが、こうした航空会社の意向も十分に生かしていくべきであります。 まさに軍民共用化は大きく動き出しております。これまで先頭に立って進めてこられた知事の率直な思いと、今後いかなる戦略を持って早期実現を図ろうとしているのか、伺います。 答弁5 ▼知事 本来別物でありますトランスフォーメーション、米軍再編の流れに巻き込まれまして、ちょっと回り道をさせられましたけれども、先月、米軍再編のロードマップ、つまり日程表が日米両政府によって合意されました。軍民共用化は名実ともに実務的な段階に入りました。ことし十月までにどれくらいの空域を開放するかということを日米双方で決めることになりまして、これは非常に大事なことであります。 先般開催された都と国の関係省庁の連絡会でも、軍民共用を専管するスタディーグループを直ちに立ち上げ、早急に結論を出すように、国に強く申し入れをいたしました。 都は、米側との協議を加速するために、首都大学東京と連携して、一橋大学の杉山学長、これは交通経済学の泰斗でありますが、杉山さんをヘッドとする軍民共用具体化検討委員会を設置いたしました。 最初は、これ非常に充実した委員会でやってきましたので、アメリカの代表もこれに入れてひとつグレードアップして日米で討論したらどうだといいましたら、向こうは向こうでこけんがあるんでしょう、いや私たちは別個に委員会をつくってその委員会で議論をしたいということで、それも結構だろうということで、私がよく知っておりますワインシュタインという男が議長になりましたハドソン研究所が主体になった検討組織ができるようで、それと意見交換を行いながら軍民の両立性など具体的な検討を進めて、スタディーグループによる協議に反映させていきたいと思いますが、現にもう既に向こう側の内々の意向で、ターミナルをどこにしたいとか、どういう資本構成でターミナルをつくったらどうかとかいう向こう側のオファーもありまして、事はかなり具体化してきたと思います。 先日も我が国の代表的な航空会社二社から、軍民共用化の実現を──軍民共用化といいますと、とにかく横田を使わせろという要望書が都と国に提出されました。こうした航空会社の意見も米軍にしっかり伝えまして、軍民共用化を認めるように迫ってまいります。 今後、国と連携して日米協議を迅速に進め、一刻も早く、とにかく横田から、我々の国土の中にあり、一番長い、使われていない滑走路から日本の飛行機を飛ばすということでありまして、そのための十全の努力を今後も重ねていきたいと思います。 ご記憶でしょうけれども、冷戦構造が一番厳しかったころの青森の三沢という空港、これ、今の青森空港がなかったんです。青森に行くにはあそこしかなかったんです。そのときも年じゅうソビエトの飛行機が侵犯してきて、日本とアメリカの戦闘機がスクランブルをかけて飛び立っている間にも、あそこには粗末なターミナルビルしかありませんでしたけれども、とにかく青森に行く人たちは三沢を利用して、民間機が飛んでおりました。こういった事実を踏まえて、私たちはとにかく横田を、今後、はるかに三沢より大きなユーティリティーのある空港でありますから、活用すべきだと思っております。
質問6 横田飛行場の軍民共用化と並んで、横田空域の返還も知事が積極的に進めてきた施策であります。二〇〇九年の羽田空港再拡張など、今後増大が予想される航空需要に的確に対応するためにも、空域の返還は不可欠なものです。 ロードマップでは、横田空域の一部を日本に返還すること、また、米軍が使わないときには一時的に日本に管制業務を移すこと、横田空域全体のあり方についても検討することにはっきりと言及しています。しかし、返還される空域の範囲などは今後の検討作業にゆだねられています。また、横田空域全体の返還を実現していくための検討も今後の大きな課題であります。 そこで、今回のロードマップにおける横田空域にかかわる内容について、知事はどのように受けとめ、今後どのように取り組んでいくのか、所見を伺います。 答弁6 ▼知事 我が国の航空政策を自分の手で進めるとともに、安全で合理的な航空路を確保するためには、横田空域の返還は不可欠であります。空域の返還により、飛行時間の短縮や燃料の削減及びこれに伴う排出ガスの削減など多くの効果が期待できます。 今回合意された米軍編成のロードマップ、時間表によりまして、一部にしろ空域返還の道が開いたことは、一定の前進であると思います。 再拡張した羽田空港の利用性というものを最大限に生かすためにも、これを積極的に国際化もしまして、日米協議の中で返還される横田の空域の範囲や、移管される管制権の具体的な内容などを早急に明らかにするとともに、全面返還の実現に向けた検討を前進させることが必要であると思います。 ご存じでしょうが、横田の空域というのは非常に広範囲に及んでおりまして、ほとんど使われておりませんが、その南端の伊豆半島の先端近くまではみ出している管制空域というものは非常に邪魔になりまして、羽田から大阪あるいは博多あるいは韓国に向かう飛行機もそれを迂回しなくちゃなりません。 ということで、数年前、渋々相手側はその一部を日本の飛行機にも割愛しましたが、これはいってみると、幹線道路ではありますけれども、本来なら要するに四車線の幅が確保されなくちゃいけないのに、わずか一車線ということで、五年前ですか、そこで管制のミスもありましたけれども、非常に大型の飛行機が正面衝突しそうになって、片方が急上昇し、乗務員等がけがをしたというような事故がございましたけれども、こういった非常に不自然な状況が空路において、目にはっきり見えませんが、あるということも、ひとつ議会にご認識いただきたいと思っております。
質問7 ところで、今回、空域返還について示された内容は、羽田空港の発着容量が現在の約一・四倍に増大し、国際定期便も就航するという羽田空港再拡張事業をにらんでのものであるといえます。 再拡張事業は、現在、環境影響評価の手続がほぼ終わり、国際線地区整備事業のPFI事業者も決定するなど、具体的な整備の段階に入っていると聞いています。再拡張事業の完成により、現在も日本一の発着回数、利用客数を誇る羽田空港は、さらなる飛躍を遂げ、世界有数のすばらしい空港となります。再拡張後の羽田空港をより一層活用するために、どのような課題があり、今後どのように対応しようとしているのか、伺います。 答弁7 ▼都市整備局長 羽田空港は再拡張・国際化により、日本の表玄関として、これまで以上に社会経済の活性化や国際競争力の向上に資することが期待されます。 羽田空港の持つポテンシャルを十二分に生かすためには、空港アクセスの強化や空港跡地等の土地利用転換の促進とともに、広域的には三環状道路を初めとする首都圏全体にわたる都市基盤のネットワークを構築していくことが重要でございます。 こうした課題に的確に対応するため、都は、国や関係自治体と連携した取り組みを強化し、羽田空港の機能が最大限に発揮できるよう、関連する社会資本の整備を推進してまいります。
質問8 アジア大都市ネットワーク21における中小型ジェット旅客機の開発促進について伺います。 この四月にアジア大都市ネットワーク21の総会が台北市で開催されました。我が党も、これに合わせ、日台友好議員連盟の有志が台湾を訪問し、陳水扁総統と会談するなど、日台の友好を一層深めるとともに、このネットワークの取り組みが着実な成果を上げられていることを確認してまいりました。 知事が提唱して始まったこのネットワークは、アジアの大都市が政治的立場を超えて産業振興や環境対策など共通の課題に取り組み、その成果をアジアの繁栄につなげていこうとする新たな試みです。その取り組みの一つである中小型ジェット旅客機の開発促進プロジェクトは、今後増大するアジア地域の航空需要に対応し、百人乗りのジェット旅客機をアジアが協力してつくるものです。 現在、世界の空は欧米の旅客機に独占されています。日本はかつて、YS11という世界に誇れる旅客機を開発し、四十年余を経た現在でも世界の空を飛んでおります。日本にはそれだけの技術があるのです。 今日、日本の重工メーカーは、ボーイングの主翼部分の製造を任されるなど高い評価を得ていますが、共同開発という名のもとに欧米の下請に甘んじているのが実情であり、このままでは、YS11というすばらしい国産旅客機にかかわるさまざまなノウハウが失われてしまいます。 また、東京には既に航空機部品の製造を請け負っている多くの中小企業があります。彼らが、欧米の下請だけではなく、アジアブランドのジェット旅客機の製造にも貢献するようになれば、中小企業の一層の発展が期待できます。 そこで、改めて、アジア独自のジェット旅客機開発の意義とこれまでの成果について知事に伺います。 答弁8 ▼知事 このアジアの数カ国によります、決して戦闘機ではない、平和利用の旅客機が実現しますと、アジアの存在感を高めるとともに、アジアの繁栄と発展に大きく寄与するものと思います。 これまでアジア大都市ネットワークでは、日本を含むアジアの航空機メーカー、エアライン、商社などが一堂に会する国際会議を毎年開催してまいりました。アジアの可能性の高さと意欲を確認してまいりました。私も、台湾、インド、インドネシアの各航空機メーカーを視察し、その水準の高さを認識して、その意を強くいたしました。 日本がイニシアチブを発揮してアジアと協力することで、アメリカの鼻を明かすようなすばらしいジェット機はすぐにもできると思っております。 ご指摘のように、日本はいまだにボーイングとかいった大型の旅客機のパーツメーカーに甘んじているわけですけれども、アメリカが一番嫌がっているのは、かつて第二次大戦の経験のトラウマが尾を引いていまして、日本が航空機産業に進出していくことを一番嫌っているわけであります。それを明かすものが今日の日本の自動車の世界に対する席巻でありまして、そういう点では、前に申しましたが、アメリカに今飛ばしている宇宙船のコックピットにある頭脳部分というのは、表はアメリカのメーカーのラベルが張ってあっても、中身はほとんど日本製だということを、かつてのアストロノーツ、宇宙飛行士の毛利さんが申しておりました。 そういった日本の技術の持っているポテンシャルというものを生かせば、これは本当に、国さえその気になれば、瞬間的にもすばらしいジェット機ができ、何もここから、東京からジャカルタへ飛んでいく必要はない。ジャカルタからニューデリー、あるいはニューデリーを中心としてインドという亜大陸の中で中距離を飛び回る飛行機が必要なんでありまして、石破君が防衛庁の長官をしているときに、私、彼と会いまして、ちょうど彼のときに日本もようやくアメリカの禁が解けたんで、どうですか、C1の後続機とP3Cの後続機、対潜哨戒機を自前でつくるという決定をしましたので、そういった技術というものを大いに開放して民間にも情報を伝えて、日本がYS11に続くすばらしい飛行機をつくれるようにとにかく国が協力してくれといいましたが、通産省が及び腰でありまして、アメリカにその意向があるというので、せいぜい三十人か五十人の小型の旅客機ということをいい出しましたが、とても採算が合わないということがわかって、このごろ軌道修正して、アメリカと競合しても百人前後の中小型の旅客機が望ましいという認識には至ったようでありますが、その後の日本の外交のへっぴり腰を見れば、どこまでこれが遂行できるか。 やはり、アジアというものを背景にして、アジアの飛行機をつくるのだという、そういう大きな意図というものが、私はこれからこういう問題を積極的に動かしていくことになると思っております。
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■行財政運営 |
質問1 財政問題について伺います。 二〇一一年のプライマリーバランス均衡を目指す国は、既に黒字となっている地方財政をやり玉に上げ、地方の歳出削減を求めるさらなる見直しを強く主張しています。中でも、自治体間の税源の偏在性が大きな争点となり、全国の法人二税の約四分の一を占める東京都の財源が俎上に上がっています。端的にいえば、東京を初めとする都市部の自治体から財源を吸い上げ、財政力が脆弱な地方の自治体へ移転すべきであるとの主張が日に日に勢いを強めているのです。住民一人当たりの税収額などを単純に比較し、あたかも、東京都の財源には余裕があり、余った分は他の困っている自治体に譲り渡すべきだといわんばかりの議論がなされています。 この背景には、東京を初め、愛知、大阪など大都市圏の経済状況がおおむね堅調に推移する一方、一部の地域では経済に明るさを取り戻せない焦燥感が生まれ、国民の間に漠然と広がる格差感とも相まって、勝ち組の代表格とされる東京にその矛先を向けていることがあると思われます。 ところで、都民は本当に生活の豊かさを実感しているのでしょうか。我々は、決して満足できる状況ではないだろうと考えます。こうした現状を直視したとき、本当に今、東京の財源を地方に配分することが必要なのでしょうか。都としての見解を伺います。 答弁1 ▼財務局長 首都東京には、交通渋滞の慢性化、犯罪の多発、環境問題など多くの課題が山積してございます。都民の暮らしは、決してすべてが満足できる水準にあるわけではございません。税収の規模や増加のみを一面的にとらえて主張される東京富裕論は、根本的に大きな誤解があると考えております。 また、税収の偏在ばかりが指摘されてございますが、税収に地方交付税を加えた一人当たりの一般財源総額を見れば、東京は全国平均並みでございまして、この点からも自治体間の財源配分は既に適切に行われているものと認識してございます。 東京から地方にさらに財源を移転することは、こうした実態を無視するものであり、到底その必要性を認めることはできないと考えております。
質問2 都は既に、過去に強行された法人事業税の分割基準見直しにより、毎年一千七百億円もの減収となっています。さらには昨年末にも、法人住民税の分割基準見直しなど、東京の財源をねらうさまざまな動きがあったことは記憶に新しいところです。 今回は、新たに人口を基準として法人二税を配分する案や、地域間の偏在性の低い地方消費税の比重を高める案などあらゆる検討が進められており、見直しに対する圧力は以前にも増して強まっています。そもそも、法人事業税や法人住民税を都から奪い、地方に配分することは、税制の観点からも多くの問題があると考えますが、所見を伺います。 答弁2 ▼主税局長 法人は、事業活動を行うために地方自治体からさまざまな行政サービスを受けておりまして、個人と同様、地域の構成員として応分の負担をすべきものでございます。 地方法人課税を、課税根拠と何ら関係のない人口により税収配分することは、全くの誤りでございます。もはや独立税源であります地方税として存続できなくするものでありまして、また、地方自治体間の課税権の配分の基準でございます分割基準を財源調整手段として用いることも、税制の姿をゆがめるものでございます。 法人二税の税収の偏在性を殊さら問題視することは、企業活動等に伴う大都市の財政需要を無視した一方的な議論でございまして、このような誤った認識に基づく不合理な動きに対しましては、断固として反対をしてまいります。
質問3 ようやく財政再建に一区切りをつけ、東京の将来像を真剣に議論していこうとしているまさにこの時期に、こうした流れに逆行するような動きが顕著となってきたことには強い憤りを感じます。万が一にも数千億円規模の財源が現実に東京から奪われるような事態になれば、都財政は非常な打撃を受け、都民サービスの低下を招く結果となるのはだれの目にも明らかです。 こうした国の不合理な動きに対する我々の怒りについて、国は全く鈍感であるといわざるを得ません。例えば、財務省の財政制度等審議会では法人二税の見直しが審議されていますが、そこでは国の財政再建が最優先され、地域で生活する人々の暮らしを尊重する地方分権の視点、現場の視点はなおざりにされています。 現在、この審議会の会長は、日本を代表する大企業の元会長であります。かつて、同氏が議長を務めた政府の会議の方針に異を唱えた鳥取県知事が、その企業製品の不買運動の検討を表明したことがありました。東京の財源を奪う動きが明らかになるにつれ、東京都もこうした行動を真剣に検討すべきではないかという声すら聞こえてきます。 いうまでもなく、都政が直面する課題を着実に解決し、都民福祉のさらなる向上を図るため、都の貴重な財源を確保していくことは我々の最も重要な使命であります。先般、我が党は、国の税財政制度の見直しに関する意見書を提案し、反対の強い決意を明らかにしました。今後とも、我が党の国会議員を含め、あらゆる機会をとらえながら働きかけを行ってまいります。 都の財源をめぐる国の不合理な動きには徹底して対抗することが必要だと考えますが、改めて知事の決意を伺います。 答弁3 ▼知事 国には、財政再建という大義を振りかざすことで東京の財源を吸い上げようとする発想が相も変わらず根強く残っております。 ともかく、この国債依存度をこれだけ高めて、かつて私たち随分イタリアに同情しましたが、とんでもない、もうそれをはるかに抜いて、かつてのイタリアの最悪の状況の倍ぐらいのつまり借金を子孫につくったという、この放漫というか無知というか、実に投げやりな財政再建、財政運営というものが、今日このていたらくになったわけであります。 中で東京は、皆さんのご努力で財政再建して都債への依存率もはるかに低いところでとどまっておりますが、そこで結局国が財政再建の大義という中で、東京の財源というものを吸い上げろという、これはもう非常に国の放漫経営の帳じりを合わせるための、何というんでしょうか、人の懐に手を突っ込むやり方で、まさに貧すれば鈍という感じが強くいたします。 とりわけ地方法人課税の見直しは乱暴というか稚拙というしかいいようがなくて、この理念のない発想は地方分権にも明らかに逆行するものでありまして、東京以外の県の知事にもこういう発想はおかしいという意見があるようでありますが、今後とも都議会並びに東京都選出の与党国会議員の方々と力を合わせ、また他の地方自治体とも共同しながら、国の理不尽な動きには、地方の自主自立を守る立場で徹頭徹尾反対の姿勢を貫くつもりでございます。
質問4 次に、民設公園の固定資産税について伺います。 知事は、さきの所信表明において、東京オリンピック開催をにらみ、東京のまちを観光の視点から見直していくとともに、民有地を活用した民設公園の整備など、緑豊かで潤いのある街並みを形成していくと力強く述べられました。 この民設公園制度は、いわば民有地の有効活用であるため、都にとっては、当面の財政支出を伴わないで公園整備を早期に進めることができるという大きな長所がありますが、民有地のため、現状では固定資産税等が課税されることにならざるを得ません。 そこで、民設公園制度の普及促進を図っていくために、民有地の所有者が協力しやすい条件整備を行う一環として、固定資産税等の減免を積極的に検討していくべきと考えますが、知事の所見を伺います。 答弁4 ▼知事 オリンピック開催をにらんで東京を緑豊かな潤いのある街並みとするためには、民有地を活用した緑の創出が有効であることから、民設公園制度を創設いたしました。 民設公園は、都市公園に準じた高い公共性を有していることから、東京の緑づくりを税制面から後押しし、支援していくことが必要であると思います。 今後、民設公園に対する固定資産税などの減免措置を講じることによりまして、民設公園の整備促進を図っていきたいと思います。 これはむしろ環境局よりも主税局の方からこういうオファーがありまして、東京の主税局は、マリナーズのイチローのごとく、日本に冠たる四割打者でありますけれども、決して鬼の四割打者ではなくて、やっぱり環境にも配慮する、こういう柔軟性を持った局であるということをひとつご評価願いたいと思います。
質問5 次に、鉄道事業用地に対する課税の適正化について伺います。 近年、都内の主要ターミナル駅等で、駅構内に有名ブランド店等の商業テナントを進出させる、いわゆる駅ナカビジネスが活発化しております。鉄道各社が駅のあいた空間を有効活用する経営努力のあらわれということだと思いますが、デパートの名店街と区別がつかない駅ナカ施設に顧客を奪われた地元の商店街にとっては大きな打撃となっています。 駅舎等の敷地については、付近の一般住宅と比べ、固定資産税の評価が相当低く、税負担に差が生じていると聞いています。こうした駅ナカビジネスの活発化に伴う税負担の格差については我が党も指摘してきたところですが、今回、商工団体からも不公平の是正を求める要望を行ったものであります。早急な是正に向け、今後どのような取り組みをしていくのか、所見を伺います。 答弁5 ▼主税局長 現在、商業施設のある駅舎の敷地と周辺の宅地との間で、場所によりましては、固定資産税の評価に十倍を上回る格差が生じております。したがいまして、税負担の公平の観点から見直しが必要と考えております。 具体的には、商業施設のある駅舎の敷地等につきまして、商業施設の占める割合を勘案しながら、付近の土地と均衡のとれた評価に改めていく方針でございます。 見直しに当たりましては、鉄道事業者にも十分な説明をした上で、早急に適正化を図ってまいります。
質問6 都区のあり方検討について伺います。 先般の都区合意に基づき、都区共同で設置された検討組織で今後の都区のあり方についての議論が開始されたと伺いました。 市町村合併の急速な進展や道州制に関する議論など自治制度の変革の動きが強まる中、都と特別区が、事務配分、特別区の区域のあり方、税財政制度などを主体的に検討していくことの必要性はかねてから我が党が主張してきたところであります。 国では、東京が富裕であるとして、都と特別区の財源をねらい撃ちしようとする動きが加速しており、さきの地方制度調査会における道州制の検討の中では、国による都心区などの直轄化の議論すら出ている状況であります。 こうした動きも踏まえ、ともに東京の自治の担い手である都と特別区が共通の認識に立って、都区制度の抜本的な見直しに向けた議論を行っていくことが必要であると考えますが、知事の所見を伺います。 答弁6 ▼知事 大都市が国全体を引っ張っていく時代の中で、日本の首都であり頭脳部、心臓部である東京の潜在力を最大限に発揮できる自治の仕組みが必要であります。しかし、国には、東京ひとり勝ち論や、地方分権を無視した直轄論といった誤った認識がありまして、都と特別区は協力して対応していかなくてはならないと思います。 東京の力が日本全体の発展を大きく左右するという共通認識を持ち、将来を見据えて、都と特別区が主体的に都区制度について大きな視点から見直すことが必要となっていると思います。 先般、都の三副知事と区長会の正副会長を中心とする都区のあり方に関する検討会を設置いたしました。これまでの発想にとらわれずに、都区の新しい関係を構築するため、行政区分の再編も含めて根本的かつ発展的に議論をしていきたいと思っております。 なお、今後の都区のあり方については、行財政改革基本問題特別委員会における議論を踏まえるとともに、都議会とも十分な意思疎通を図りながら検討を進められることを最後に要望して、次の質問に移ります。
質問7 先月十二日、東京テレポートセンター等の臨海三セク三社が民事再生手続の開始を申し立てました。思い起こせば、世界都市博覧会の開催中止が決定されてから十年余りたちますが、今こうした事態を目の当たりにしますと、当時、博覧会の開催を強く主張した我が党としてはじくじたる思いに駆られるところであります。 ところで、平成十年から十カ年の計画で実施している経営安定化策によって経営指標も改善の傾向を示してきただけに、計画期間をあと二年残しての今回の申し立ては極めて残念なことであります。金融情勢の変化など、やむを得ない事情もあったのでしょうが、抜本的見直しになれば、テナントなどに多大な迷惑をかけるばかりでなく、債権放棄など都民への負担が伴うことから、臨海三セク及びこれを指導監督する立場である都は、まずこうした事態に至ったことを厳粛に受けとめ、謙虚に反省すべきであります。 しかしながら、臨海三セクは、民事再生手続により都民への負担を最小限とすることを念頭に、できる限り負担を圧縮して再生を目指し、事業を継続するとしております。多くの民間企業の努力に支えられ、総仕上げまであと十年となった臨海副都心開発を今後とも着実に推進していく上で、臨海三セクの活用はますます重要になってきます。 バブル崩壊を背景とした多額の負債の処理が、臨海三セクの安定的な経営を行う上で長年の懸案であったことを考えれば、今回の民事再生手続の申し立ては、現段階でとり得る最善の選択肢であると考えますが、今回申し立てに踏み切ったことに対する都の考え方について、改めて所見を伺います。 答弁7 ▼港湾局長 臨海三セクは、現在の収支を前提とすると、借入金の完済に五十年以上要することや、今後の金利上昇が懸念されることなどから、これまでと同様の改善策を続けることは困難と判断し、早期に債務を圧縮して再生を目指すことといたしました。都民への負担を伴う事態に至ったことについては、都として厳粛に受けとめております。 これまで、都は、経営安定化策に沿って全力で経営改善を指導してまいりましたが、今後とも都が責任を持って臨海副都心開発を推進していくためには、臨海三セクを適切に活用していくことが必要であり、そのためには、臨海三セクが経営の安定化を図る抜本的見直しを選択することが、都としても現時点で最善の方策と考えております。
質問8 今後、裁判所の関与のもと、再生計画が作成され、都議会の議決を経て再生手続を完了した後、三社は合併して新会社として発足するとのことですが、重要なのは、同じ轍を二度と踏まないということです。 そこで、再生手続後に設立されるこの新会社が、その後、確かに自立した安定的な経営を営めるのか、その見込みについて所見を伺います。 答弁8 ▼港湾局長 新会社は、これまで経営の重荷になっていた借入金につきまして大幅な債務免除を受けることにより、年間約六十億円の支払い利息が半減いたします。 また、都が実質的な負担のない形で底地の現物出資を行うことによりまして、新会社の資産価値が高まり、地代負担も軽減されます。 さらに、組織の見直しや事業再構築に取り組む一方、ビル事業におきましては、不動産業者との業務提携など戦略的な営業展開を図り、収入の確保に努めてまいります。 こうした抜本的な収益改善を図ることで、新会社の安定的な経営が十分見込めるものと考えております。
質問9 臨海地域における監理団体改革について伺います。 昨年十一月の行財政改革の新たな指針を踏まえ、全国主要港に先駆けた東京港埠頭公社の民営化と、臨海地域の監理団体を経営統合する持ち株会社構想が発表されました。 埠頭公社の民営化は、我が国港湾の国際競争力の強化のためには、規制の多い現在の公社制度を抜本的に転換するべきであるとの我が党の主張に沿うものであります。この間、国から規制緩和に向けたさまざまな譲歩を引き出したとも聞いていますが、ぜひ成功させることを願っています。 そこで、東京港にとってどのような効果をねらって民営化を決断したのか、伺います。 答弁9 ▼港湾局長 アジア諸港の躍進によりまして、日本港湾の相対的地位の低下が続く中、首都圏の産業と生活を支える東京港の国際競争力の強化とサービス向上が喫緊の課題となっております。 このため、東京港の外貿コンテナ貨物の約七割を扱う公社を民営化することで、規制の多い制度からより柔軟な対応が可能な体制に移行し、一層の企業性の発揮を通じて経営効率化を進めていくことといたしました。 これによりまして、第一に、港湾コストの低減や利用者ニーズに対応した迅速なサービスを提供すること、第二に、事業拡大や多角化を図り、東京港における国際物流機能の向上に貢献することを目指してまいります。 今後、公社民営化を着実に進め、首都圏のメーンポートとしての機能のさらなる充実強化に取り組んでまいります。
質問10 また、持ち株会社構想ですが、自治体でこのような手法を活用して経営統合を図るという取り組みは全国でも例のない試みであります。しかし、幾ら先駆的な取り組みであろうとも、あくまで自治体が持ち株会社方式の採用を通して得ようとする実質的な効果を明確にして都民の理解を求めていく必要があります。持ち株会社構想にはどのような意義や効果を見込んでいるのか、所見を伺います。 答弁10 ▼港湾局長 東京港の国際競争力の強化と、臨海副都心開発を一層推進していくためには、公社を民営化するだけでなく、臨海地域の開発整備を進めてきた監理団体を一体として効果的に活用する必要があり、そのため持ち株会社方式による経営統合を行うことといたしました。 これにより、グループの信用力を背景とした有利な資金調達や経営資源の相互融通などを通じまして、各団体の経営基盤強化が可能となります。 さらに、各団体個別の事業目標の達成にとどまらず、臨海地域全体の戦略的経営を一体的に行うことで、港湾コストの低減による東京港の国際競争力強化や、連携したサービスの提供による臨海副都心の魅力向上を一段と図ることができるものと考えております。
質問11 さて、臨海副都心は、オリンピック及びパラリンピック誘致に向け選手村が予定されるなど、この地域に対する都民の期待は非常に高まっています。臨海三セクの民事再生申し立てをもって、臨海副都心開発そのものが失敗だったとする一部の誤った声もあるようですが、第一回定例会で我が党がただしたように、臨海副都心開発が着実に成果を上げてきたことについては疑いの余地がありません。 そこで、今回の持ち株会社構想による監理団体の経営統合など、新たな取り組みに支えられる臨海副都心開発の将来展望について知事の所見を伺います。 答弁11 ▼知事 臨海副都心は、かつて国の口車に乗せられて走り出しちゃって、万博中止などという思いがけぬ挫折もありまして、その後バブルも崩壊して、そういう試練を通じて困難に陥りましたが、今や年間四千万の人が訪れる首都東京の新しい魅力を発信するまちに成長してまいりました。交通アクセスも充実し、開発は今年度から総仕上げの十年間という重要な段階に入りました。持ち株会社のもとでゆりかもめやビッグサイトなどを効果的に連携させ、エリアマネジメント機能を強化する取り組みは、まちの活力やポテンシャルを一層高めるものと思います。 二〇一六年、オリンピックの主要な舞台となる臨海地域で、臨海副都心は、成熟した東京を象徴する都市の姿を世界にアピールできるものと確信しております。 この臨海副都心は、都心といいますが、既存の特別区に属してはおりますけれども、しかし地政学的に三多摩と同じように都心部から離れた、ともに将来性に非常に満ち満ちた大事な大事な東京の財産であると思っております。ゆえにもこれを、策を講じながら、これから先、失地を回復して健全に育て直していく必要があると思っております。
質問12 次に、民主政治の根幹である選挙について伺います。 来年の四月には東京都知事選挙を初めとする統一地方選挙と、七月には参議院議員選挙が予定されています。また、衆議院の総選挙はいつ行われても不思議ではありません。これらの選挙は都政、国政にとって極めて重要であり、公正で公平な選挙の管理執行が求められています。短い期間に既に決定している重要な選挙が重なるわけですが、選挙管理委員会の役割と、来年春の統一地方選挙に向けた準備について伺います。 答弁12 ▼選挙管理委員会事務局長 選挙管理委員会は、発足して以来、本年で六十周年を迎えますが、戦前の選挙干渉という苦い歴史を教訓に、知事の行政執行権からの独立性を特に強く担保するため、他の行政委員会とは異なり、地方自治法に基づき、議会において選挙された四人の委員によって構成されております。 東京都選挙管理委員会は、全国最大の地方議会である百二十七名の都議会議員及び首都東京の知事、さらには全国で最も多い衆議院議員と参議院議員の選挙を管理執行するほか、区市町村の議員や長の選挙についても必要な助言等を行っております。民主政治の基盤であるこれらの選挙を、公正、公平かつ円滑に管理執行することが、選挙管理委員会の主要な役割でございます。 さらに、政党の本部が所在する首都東京において、政治資金規正法に基づき、六千余の政治団体の届け出及び政治資金収支報告書の受け付け、公表などを公正、適正に実施することも重要な役割でございます。 来年の統一地方選挙の準備のため、区市町村の選挙管理委員会や明るい選挙推進協議会と連携しながら、都民の選挙への関心を高め、投票参加を呼びかけるなど啓発活動を進めてまいります。 また、投票や開票の正確で迅速な情報提供のための速報システムを更新するとともに、選挙事務に従事する職員の研修を、今年度スタートした東京都選挙アカデミーにおいて一層充実してまいります。
質問13 選挙の投票率では、昨年の衆議院議員選挙を除くと低下傾向にあります。低い投票率は民主主義の基盤を危うくするものであり、憂慮にたえません。特に、投票率の低い二十代、三十代の若年層有権者の投票率を高めるために、選挙管理委員会はどのように取り組んでいくのか、伺います。 答弁13 ▼選挙管理委員会事務局長 若い世代の投票率を高めるための取り組みについてでございますが、将来の日本を中心で担う二十代から三十代の世代が政治や社会に関心を持ち投票に参加することは大変重要でございますが、この世代の投票率は、近年の選挙では平均投票率と比べると一五から二〇ポイント程度低い数値を示しております。 このため、昨年の都議会議員選挙では、若い世代に人気のダンスコンテストなどのイベントの実施や、レンタルショップ、居酒屋での手ぬぐい、コースターの配布などによる選挙のPRを行い、これらはマスコミでも大きく取り上げられました。来年の統一地方選挙におきましても、若年層向けの啓発活動をさらに工夫し、実施してまいります。 また、若い世代が多く利用しているインターネットを活用して、日常的に啓発に取り組むとともに、大学生等を対象に、選挙について学び、啓発活動を企画し、街頭啓発に実際に参加する体験学習コースを九月から新たに開始いたします。 投票率は、地域ごとにも異なるものでございますので、地域別、年代別投票行動調査や世論調査の結果を分析し、区市町村と連携して、地域や年代の特性に応じた投票率向上策に取り組んでまいります。 次に、けさほど九時四十分ごろ、都電荒川線で、追突事故により二十七人の乗客がけがをしたとの報道がありました。さきの「ゆりかもめ」の事故もあり、公共交通の安全には一層厳しく取り組むよう強く求めておきます。
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■都民の安心・安全・治安対策 |
質問1 総合防災訓練の実施について伺います。 先月二十七日にインドネシアのジャワ島で大きな地震が発生し、建物倒壊などにより、約六千人のとうとい人命が奪われました。 災害はいつどこで起きるかわかりません。私たちが住んでいる東京も、首都直下地震の発生が切迫していると指摘されています。安全なまちづくりを進めることはもちろん重要ですが、これとあわせて、災害がいつ起きても対応できるよう、常日ごろから防災対応能力を高めておく必要があります。 その手段として、総合防災訓練は極めて有効であると考えます。毎年、八都県市の連携のもとで総合防災訓練が実施されてきましたが、ことしは都がメーン会場となると聞いています。この機をとらえ、都としてどのような訓練を実施していくのか、伺います。 ところで、先般、港区のマンションのエレベーターで高校生が死亡する痛ましい事故が発生しました。この事故を受け、都は、直ちに都施設のエレベーターの緊急点検を行うとともに、民間施設のシンドラー社製エレベーターについて緊急点検を要請するなど迅速な措置をとられました。現在、警察の捜査も入り、一刻も早い原因究明が待たれますが、都としても、都民の不安の解消に向けた対策に万全を期されるよう強く要望しておきます。 答弁1 ▼総務局長 災害から都民を守るには、発災時に迅速かつ的確に対応できるよう日ごろからの訓練が重要でございます。 本年九月一日の総合防災訓練は、足立区との合同で実施をいたしますが、ことしは八都県市のメーン会場ともなるため、政府や他県市も参加する大規模な実動訓練といたします。 初めての訓練として、陸上自衛隊の部隊が大型輸送艦で東京港まで海上移動した後、被災地へ進出をして行う救援活動や、ソウル市緊急災害救助チームの参加による国外からの支援部隊受け入れなどを行います。 また、八都県市の連携訓練として、帰宅困難者の海上輸送や広域医療搬送などを行います。都民の生命、財産、そして首都東京を守るため、一層の訓練を重ね、防災対応能力の向上に取り組んでまいります。
質問2 地域力の向上に関連して伺います。 都営住宅では、平成十六年に三百九人もの方々がだれにもみとられずに亡くなる、いわゆる孤独死を遂げており、その約八割が六十五歳以上の高齢者であるとの報道がありました。孤独死は、高齢化する社会の実態に加えて、地域コミュニティの脆弱化、いわゆる地域力の低下、またプライバシー保護意識の高まりなど、都市に住む人々の行動様式全般の問題としてとらえる必要があると思います。このような現実について知事の所見を伺います。 答弁2 ▼知事 孤独死についてでありますが、ひとり暮らしの方がだれにもみとられずに亡くなるケースは、都営住宅に限らず、また東京に限らず、世界の大都市で、先進国の大都市では頻発している現象であると思います。 向こう三軒両隣というかつての地域社会の緊密性がなくなりまして、これは非常に残念でありますが、私は数十年前に初めてパリへ行きましたときも、夜中に歩いておりましたら、何か叫びながら歩いているおばあさんを何人も見まして、友人にいったら、気が変になった人かと聞いたら、いや違う、あれは孤独な老人で、ああやってひとりで住んでいるので、夜中になって叫ばないとストレスがたまって、それこそ精神に異常を来すからああやって発散しているんだろうという同情をしておりました。しかし何年前ですか、非常にパリが猛暑に襲われたとき、あのまちは冷房なんかありませんから、気がついてみたら腐臭が漂って、高層のビルの中にひとりで住んでいる老人が暑さのために衰弱して死亡していたというような例がたくさんございました。 これは、進んだ文明社会の、しかもそれに沿って家族のあり方が変容し、都市での生活様式が、地域の人間関係も非常に乾いたドライなものになってきたことの証左といえるのではないかと思います。 この問題は非常に痛ましい問題で、あすは我が身になるかもわからないことでありますが、これは一種の文明批判として取り組まない限り、こういう悲劇はますます数をふやすのではないかと危惧いたします。これは、東京都だけじゃなしに、政府もその気になって、日本全体の問題としてとらえることが必要だと思っております。 この間もある座談会で、これからの国にとっての一番の問題は都市に集中した人口をいかに地方に移すかということを主題にしておりましたが、私もそのとおりだと思いますけれども、これを具体的にどう展開していくかは、今後の大事な問題であると思っております。
質問3 こうした問題に対応するため、我が党は、地域力が脆弱になりつつある現状をとらえ、既に関連する議連を立ち上げ、取り組んでいます。 そして、この地域力は何も高齢者だけの問題ではありません。昨今の子育て力の低下を背景に、児童虐待など子どもをめぐる課題にも深くかかわりがあります。また、子どもが被害者、加害者になる事件が多発するなど、子どもの安全、そして健全育成への強い要望が寄せられています。 こうした声にこたえるためにも、町会、自治会、商店街などの地域力を結集した取り組みを展開していくことが必要です。例えば、現行の民生・児童委員のすそ野を広げ、児童健全育成のための新たな制度を創設し、子育て家庭の不安に対応していくべきです。 こうした取り組みを契機として、地域社会に真の魂を吹き込むことこそが重要と確信していますが、見解を伺います。 答弁3 ▼福祉保健局長 児童健全育成についてでございますが、お話のように、子育て不安や虐待等に加えまして、子どもが犯罪の被害者、加害者になる事件が多発しており、子どもたちの日常生活を見守る地域の多様な力の結集は、極めて重要でございます。 子どもたちの安全の確保と健やかな成長を実現するためには、行政の取り組みはもとよりでございますが、日ごろから住民と身近に接しておられます、また地域の実情にも詳しい都内約一万人の民生・児童委員との連携が不可欠と考えており、先般、地域代表など約二千人の参加をいただいた連絡会におきましても、直接協力をお願いしたところでございます。 今後、地域の子育て力のさらなる充実のため、こうした連携協力を一層推し進めるとともに、ご提案の地域力の向上に向けた新たな取り組みにつきましても検討してまいります。
質問4 新たに実施された違法駐車取り締まりについて伺います。 都心部を中心に増加の一途をたどる違法駐車は、時には重大な交通事故の要因となる一方、深刻な交通渋滞を引き起こすなど、都民生活に著しい弊害をもたらしております。 この六月一日から、改正道路交通法の施行により放置車両確認事務の民間委託が導入され、短時間の放置駐車に対する取り締まりも強化されることになりました。このことにより、交通の安全と円滑を確保し、快適な生活や事業活動の実現が期待できます。 しかしながら、取り締まり形態などが正確に伝わっていないため、運送事業者を初め、都民や中小企業の多くの方々からは、いまだに誤解や不安の声が上がっており、また商店などへの客足が遠のくなど、大きな打撃を受けております。それぞれの道路事情に即した駐車取り締まりが肝要であり、都民の理解と協力も必要不可欠です。 この新たな施策をどのように具体的に周知していくのか、また、今後の取り締まりの方針について見解を伺います。 答弁4 ▼警視総監 新制度の周知方策と今後の取り締まり方針についてでありますが、これまで新制度について広く都民に理解していただくため、マスコミを通じた広報を行うとともに、当庁独自に作成したポスター、リーフレット等の活用を初め、ホームぺージへの掲載、「広報けいしちょう」及び「広報東京都」の新聞折り込み、さらに路線バスの車内広告、携帯電話サイトからの情報提供、また、取り締まり活動ガイドラインに定める最重点路線への立て看板の設置等、あらゆる媒体を活用した広報に努めてまいりましたほか、物流・輸送関係団体等に対して直接説明を行うなど周知を図ってまいりました。 今後も引き続き町会や自治会に対する交通安全教育や各種講習会等のあらゆる機会を通じて、きめ細かな広報活動に努めてまいりたいと思っております。 また、駐車規制は交通の安全と円滑を確保するために必要な規制でありますが、物流を初めとする社会活動に深くかかわりを持つものでもあります。このため、今後の取り締まり方針といたしましては、管内の駐車実態や地域住民、地元企業、商店等の意見、要望を踏まえた上で、地域の実態等を勘案して、新制度を適切に運用するとともに、公平でめり張りのある指導取り締まりを推進し、良好な駐車秩序の確立に努めてまいります。
質問5 また、近年、全国で子どもが被害者となる犯罪が多く発生するなど、いまだに治安情勢は予断を許さない状況にあります。今回、民間の駐車監視員の導入により、これまで駐車取り締まりに従事していた警察官を他の緊急対応分野に振り向けることによる治安上の効果、さらに民間委託の拡充等、今後の展望について見解を伺います。 答弁5 ▼警視総監 民間委託による治安上の効果についてでありますが、民間委託を行うことにより、最終的に合理化できる総人員を確定的にこの時点で申し上げることは困難でございますが、このたびの四十三警察署における民間委託の導入により新たに生じる警察事務に要する人員を差し引いて、交通部門から四十九名の削減が可能となったところであります。 また、従来、地域警察官が駐車取り締まりに充てていた時間をパトロール等に充てることができるようになり、地域警察部門において、より密度の濃い執行務が行われることとなったと考えております。 民間委託の拡充につきましては、放置車両確認事務の運用状況や駐車実態の変化等を検証した上で、民間委託の導入地域を拡大する方向で検討するとともに、交通部門から他部門への定員の振りかえ等についても行ってまいりたいと考えております。
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■中小企業・就労対策 |
質問1 次に、中小企業対策について伺います。 中小ものづくり企業は、厳しい国際競争の中で、依然として長期的な衰退に歯どめがかからないのが現状であります。こうした状況を打開していくためには、行政による技術、経営両面にわたる支援の強化とともに、例えば知事がかねてからおっしゃっている航空機産業など、新たな産業の創出も必要です。 都は、本年四月に、産業支援拠点の再編整備に関する基本構想を発表いたしました。この構想は、中小企業の高度化、多様化するニーズにこたえ、現在の分散化した支援体制を、区部と多摩の拠点に再編することにより効率的かつ効果的な支援体制を構築するものであり、まさに我が党が求めてきた産業支援体制の強化を具体化するものであります。 そこで、産業支援拠点はどのような機能を有し、今後の中小企業支援策の充実をどう図っていくのでしょうか、所見を伺います。 また、都内中小企業に対するきめ細かな支援を行っていくため、地元区市町村との連携を一層密にして、都内ものづくり産業の振興を一体となって進めていくことを要望します。 答弁1 ▼産業労働局長 新産業を創出するなど、熾烈な国際競争に対応していくためには、最先端の技術開発とそれを支える競争力ある基盤技術の維持など、一層高度で多様な支援が必要でございます。このため、区部拠点では、超精密技術分野の支援や企画から試作、販売までのトータルなデザイン支援、最新評価機器による基盤技術支援等の機能充実を図ってまいります。 また、多摩拠点では、技術、経営相談のワンストップサービスを実施するほか、エレクトロニクス分野など多摩の産業特性に対応した新たな支援機能や、産学公連携のコーディネート機能等を整備いたします。 こうした両拠点の支援機能を中心として、区市町村とも十分に連携しながら、地域の中小企業ニーズを生かした新たな技術開発や競争力の向上を強力に支援してまいります。
質問2 若年者の就業支援について伺います。 近年、若者を取り巻く雇用情勢は回復傾向にはあるものの、ニートと呼ばれる若者や、フリーターを続けている若者が多数存在することは、本人及び社会にとって大きな損失であります。若者が雇用の場において能力を発揮できなければ、将来、我が国の活力衰退といった事態を招きかねません。 今定例会で知事は、来月から若者しごとホットラインを開設すると表明しています。これは、ニートやフリーターなどの若者が求職活動に踏み出すきっかけとなるものであります。これを機に、従来の施策からさらに踏み出し、NPOとの連携などにより、これらの若者に積極的にアプローチする施策を実施すべきと考えますが、見解を伺います。 答弁2 ▼産業労働局長 若者に対しては、働く意欲の喚起や働きたいという気持ちを行動につなげてもらうことが重要でございます。このため、若者自身が企画、実施に当たるNPO事業に都が助成を行う若年者就業支援プロジェクト等を活用いたしまして、これらの若者に働きかけるとともに、社会人としての基礎学習や職場体験の機会を提供しながら就業への不安を取り除くワークスタート支援プログラムを、来月からしごとセンターで開始いたします。 今後は、若者が求職活動に踏み出せるよう、学校やNPO、区市町村などと連携した総合的な若年者就業支援のネットワークづくりを検討してまいります。
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■都市政策 |
質問1 首都圏三環状道路、外かく環状道路について伺います。 我が党は、東京から日本を再生するため、人や物の流れを円滑化する首都圏三環状道路の整備促進に全力で取り組んでまいりました。 三環状道路のうち、中央環状品川線や圏央道につきましてはまさに進行中でありますが、残る外環については、早期整備を望むものの、いつ事業化されるのか不透明でありました。今般、知事の強いリーダーシップのもと、地下化への都市計画変更の手続に着手したことは、外環の一日も早い完成を望む我が党の要望に沿ったものであります。 ここで改めて、外環整備の推進に向け、知事の決意を伺います。 答弁1 ▼知事 外環道などの三環状道路は、日本の社会全体のダイナミズムを高め、我が国の国際競争力の向上、国家の繁栄、東京の発展に不可欠な道路であります。そのうち中央環状と圏央道は早期完成に向けて事業を進めております。 共産党は、こういった道路なんて国の計画のテーブルにのっていないじゃないかといわれますけれども、のっていないでしょう、これは。とにかく共産党が支持した美濃部さんがすべての公共事業を中止して、自民党もばかなことに凍結宣言してしまって、それが扇大臣を呼び出して見てもらうまで国は動こうとしなかったんですから。やっとこれが凍結解除になったので、これから、これをはっきりと国の計画のテーブルにのせて優先順位を高めるためにも、私は、オリンピックもそのための一つの大きな大きな引き金であると思っております。 外環道についても、就任以来一貫してその意義を主張してきましたが、今般、日本の技術というものを大いに活用して、大深度地下への都市計画変更に着手いたしました。引き続き外環道の早期完成に向け、国を動かし、総力を挙げて一日も早い完成を目指します。
質問2 また、今後は速やかに都市計画手続を進めるとともに、外環を国土開発幹線自動車道建設会議で建設すべき路線として位置づけ、一日も早く事業化することが重要であると考えますが、今後の取り組みについて伺います。 答弁2 ▼都市整備局長 外かく環状道路の今後の取り組みについてでございますが、外環は首都圏の交通の円滑化、環境の改善、都市再生に不可欠な道路でございます。都はこれまで、地元と三百四十回以上の話し合いを重ねるとともに、沿線区長、市長との意見交換も行ってまいりました。 こうした積み重ねの結果、外環整備の意義や本線の地下化などに対して、おおむねの理解が得られたものと判断し、今般、都市計画変更の手続に着手いたしました。引き続き地元に対して丁寧に説明し、着実に都市計画変更を進めるとともに、国に対し、外環を高速自動車国道法の整備計画に位置づけ、早期整備を実現できるよう強く働きかけてまいります。
質問3 道路整備について伺います。 首都東京の交通渋滞を解消することは、日本経済の高コスト構造の是正を図り、我が国の国際競争力を高める効果があります。加えて、被災時に緊急輸送路となる道路の防災性を向上させ、また二酸化炭素削減にも大きな効果があるなど、東京の渋滞解消は緊急に解決すべき重要な課題であります。 さらに、オリンピック及びパラリンピック招致に向けても、世界各国の多くの来訪者が都内の施設間を移動することが予想されることから、円滑な道路交通の確保が求められています。 そこでまず、道路整備を早急かつ着実に進めていくため、今後どのように取り組んでいくのか伺います。 答弁3 ▼建設局長 首都東京の道路整備は、渋滞解消、環境改善、防災性の向上にとって必要不可欠でありまして、幹線道路ネットワークの早期完成が喫緊の課題でございます。 このため、今後十年を東京の道路整備の正念場としてとらえ、中央環状品川線など首都圏三環状道路や都内の骨格幹線道路、連続立体交差などを集中的に整備してまいります。 また、二〇一六年のオリンピック及びパラリンピック招致も視野に入れ、成熟した都市を世界にアピールするため、広く快適な歩行空間の整備や電線類の地中化など、景観にもすぐれた道路空間の形成を図ってまいります。 整備に当たりましては、事業の重点化、コスト縮減、徹底した時間管理に努め、十年で確実に成果が得られるよう積極的に取り組んでまいります。
質問4 一方で、道路特定財源の見直しに関する基本方針が昨年度に出され、道路整備のための財源である道路特定財源の一般財源化という動きがあります。しかし、東京の道路はいまだ整備の途上にあるため、安定した財源確保が不可欠で、この道路特定財源を一般財源化し、他へ流用する余裕はないと考えます。 そこで、財源確保に向けた今後の取り組みについて伺います。 答弁4 ▼建設局長 東京の道路整備を着実に進めるためには、道路財源の確保が極めて重要でございます。 これまで都は、道路特定財源を一般財源化することなく、道路整備など本来の目的に充当し、まだまだ整備が必要な東京への配分を拡大するよう国に要請するとともに、道の日のイベントなど、さまざまな機会をとらえまして、道路特定財源の必要性を訴えてまいりました。 今後は、東京の道路整備をより一層進めるため、ポスターやパンフレットなどを活用し、道路特定財源の仕組みや必要性を納税者や都民にわかりやすく説明するなど、広報活動を積極的に展開し、財源の確保と配分の拡大に努めてまいります。
質問5 次に、小笠原諸島の振興について伺います。 先般、我が党は現地調査を実施し、小笠原村の現状把握を行ってまいりました。 先月二十三日、国は、TSLの就航が困難な状況になったことを踏まえ、小笠原諸島振興開発基本方針の変更を発表しました。そこでは、高速交通アクセス手段の確保が国にとっても喫緊の課題との認識を明らかにするとともに、航空路の検討に当たっては、関係者間の円滑な合意形成を図ることとしています。我が党が最重要課題と主張してきた航空路の問題が取り上げられたことは、極めて当然であります。 航空路の開設については、これまで都は、洲崎地区活用案、水上航空機案などの四案を検討してきたと聞いていますが、今後は国の基本方針を踏まえ、自然環境の保全や村民の合意形成など、関係者間の協議を十分に行いながら、これまで以上の着実な取り組みを期待いたします。 そこで、交通アクセス改善が喫緊の課題とした基本方針の変更を受け、小笠原への航空路開設にどのように取り組むのか、改めて知事の所見を伺います。 答弁5 ▼知事 小笠原への航空路の開設についてでありますが、小笠原諸島は、人類にとって貴重な固有の自然の宝庫であるとともに、沖ノ鳥島を含め、我が国の排他的経済水域確保の観点から、国益を維持する上で枢要な地域であります。 国が航空路の開設を喫緊の課題として踏み込んだ認識を示したことは一歩前進でありますが、実現に向けては多くの課題を解決していかなくてはならないと思います。 私もかつて自分の選挙区であったのでこの問題に随分取り組みましたが、やはり、あの洲崎を活用する以外に私はないと思います。そして、特にあそこには珍しい植物も動物もいないようでありまして、あとは自然をどうトリムするかという景観の問題での環境問題だと思いますけれども、これはやはり観光の振興とか、ああいう貴重な、要するに自然というものをもっと多くの日本人に満喫してもらうためにも、そういうルートを開拓するということとのこれはトレードオフの問題でありまして、まあ環境庁がいかに頭がかたいかやわらかいかわかりませんが、私たちも力を合わせて環境問題についての説得というものを、島民を含めて国や役所にも続けていかなくちゃならないと思っております。
質問6 また今後、都は、小笠原諸島振興開発計画の変更が必要と考えますが、その基本的な考え方、スケジュールを伺います。 答弁6 ▼総務局長 小笠原諸島振興開発計画についてでございます。 先般、国は、都や小笠原村も参画している振興開発審議会の答申を受けまして、平成二十年度までの振興開発基本方針を変更いたしました。 都といたしましては、新たな基本方針で示されたとおり、今後の小笠原振興の柱として、高速交通アクセス手段の確保と観光客増加に向けた振興策が重要であると考えております。今後、国の基本方針を踏まえ、振興開発計画を変更してまいりますが、まず、小笠原村が計画案を作成し、今月中には都に提出をすることになってございます。 都は、村の作成した計画案の反映に努めながら、年内に振興開発計画の見直しを行い、小笠原諸島の振興に向け、引き続き積極的に取り組んでまいります。
質問7 小笠原にとって欠かせないのが観光振興です。 本年三月末まで小笠原村が緊急に実施した小笠原自然体験モニターキャンペーンでは、二千人を超える観光客を誘致しました。この事業は、村、地元観光事業者、運航事業者が一体となって実施した初の試みであると聞いています。このように、地元が一丸となって観光客増加に向けた取り組みを行っていくことが何より重要であります。 そこで、今後、小笠原の観光振興に関する地元の主体的な取り組みに対し、都としてもさらに積極的に支援していくことが必要と考えますが、所見を伺います。 答弁7 ▼産業労働局長 ご指摘のように、村と地元の観光事業者等が一体となって観光客を増加させる取り組みは、観光振興を図る上で極めて重要であると認識しております。 これまでも、都は、地元と一体となって観光事業者への観光ルートの売り込みなどを実施してきたところでございます。今後は、修学旅行客や観光客の増大が見込まれるシニア層などをターゲットにしたモニター調査を実施するとともに、観光客誘致促進のための具体的な仕組み、例えば、専門のプロデューサーの派遣などについて検討してまいります。 今後とも、小笠原の主体的な観光振興への取り組みを積極的に支援してまいります。
質問8 環境対策について伺います。 東京はこれまでも、環境問題を解決するため、自動車公害対策や地球温暖化対策について、我が国のみならず、世界の模範となる施策を進めてきました。しかしながら、環境に優しく、豊かで安全な成熟した都市東京を実現していくには、克服すべき課題がまだ多くあります。 折しも都は、二〇一六年の東京オリンピック及びパラリンピック招致に向けた行動を議会と一丸となって進めておりますが、二十一世紀のオリンピックは、オリンピック憲章に明記されているとおり、開催都市が環境対策にどれだけ力を入れているかが高く評価されます。 先般、都は、環境審議会に対して新たな環境施策のあり方について諮問を行いましたが、今後、中長期的な課題に向けた環境施策の構築について、知事はどのような考え方で取り組んでいくのか、所見を伺います。 答弁8 ▼知事 東京の環境は、異常気象の頻発など地球温暖化の影響が顕在化するとともに、ヒートアイランド現象の改善が進まないなど、依然として重い課題に直面しております。 十年後のオリンピック開催も見据え、これらの課題に果敢に挑み、東京をさらに快適で安心して住み続けることのできる都市としていくために、環境基本計画を改定いたします。 改定に当たっては、世界の最大都市で最もきれいな大気環境の実現を目指して、最新鋭の環境対応車の普及や自動車交通量の総合的抑制策などに取り組むとともに、世界最高水準の地球温暖化対策として、より厳しい二酸化炭素の排出抑制や再生可能エネルギーの飛躍的拡大など新たな方策を検討していくつもりでございます。いずれにせよ、二十一世紀は、都市の未来が地球の未来を規定する世紀となります。 先般、首都大学東京の西澤学長のお話をちょっと聞きましたが、CO2の問題に限っていえば、これをこのまま野放図に抑制せずに続けると、物理的、科学的というんでしょうか、人類、哺乳類の生命はあと二百年はもたないだろうというのが専門家の結論だそうでありまして、やはり、ならばこそ今からどんな微細な努力でも積み重ねていくと。まさにちりも積もれば山となるというその志で、私たちは、前にも申しましたゲオルグの、地球があす滅びるとも、君はきょうリンゴの木を植えるという志で東京から世界の範となる先進的な環境政策を展開することによって、都市と地球の未来を切り開いていきたいと思っております。
質問9 ロンドンで二〇一二年に開かれるオリンピックは、ワン・プラネット・オリンピックを標榜し、最も持続可能な大会にすると宣言しており、オリンピック公園の電気をすべて再生可能エネルギーで供給し、観客には一〇〇%の公共輸送を提供することなどが計画されています。このロンドンをしのぐ大会を開催するためにも、必要な環境施策を今から推進していくべきであります。 都においても、先般、再生可能エネルギー戦略を策定し、他の先進的な国や地域と並ぶ、高い再生可能エネルギーの利用目標を提起しましたが、今後どのように利用拡大を図っていくのか伺います。 答弁9 ▼環境局長 都はこれまで、臨海部での風力発電施設の設置など、パイロット的な事業を進めてまいりましたが、さらに再生可能エネルギーの利用を拡大するため、本年三月に東京都再生可能エネルギー戦略を策定いたしました。 今後、都は、浄水場での大規模な太陽光発電施設の設置など、率先導入をさらに進めるとともに、都民や事業者等との連携による導入プロジェクトの実施、大規模開発計画等において一定量の利用を促す仕組みの検討など、再生可能エネルギーの利用拡大に向けた取り組みを強力に推進してまいります。
質問10 東京の農地の保全について伺います。 東京の農地は、新鮮な農産物を我々に提供してくれるとともに、都市化の進んだ市街化区域においては、雨水の涵養や環境保全、防災空間、さらには自然景観としての安らぎなど、さまざまな機能をあわせ持っています。まさに農地は、都市においても欠かせない貴重な都民共有の財産であります。 一方、昨年九月四日、首都圏で記録的な豪雨があり、私の住む三鷹市でも、床下浸水や車が水没するなど被害が発生しました。三鷹市では、雨水の浸透を回復するため、これまで四万基近くの雨水浸透ますが設置され、一定の成果を上げてきました。しかしながら、なお、このような災害が起こるのは、農地の減少が少なからず影響しているのではないかと考えております。減少した農地の機能を補完する意味でも、雨水浸透ますの役割はますます重要になってくるものと思われます。 東京の農地は、昭和四十年二万七千七百ヘクタール、それが平成七年には一万ヘクタールを切り、わずか三十年間で区部の四分の一の面積に相当する農地が失われました。 三鷹市では、青年農業者が、市街化が進む困難な環境の中においても、都市農業と農地を守っています。しかし、この青年たちも、いざ相続が起これば、ある程度農地を手放さざるを得ないと覚悟しており、東京の農業の未来が危惧されます。こうした事情は、三鷹市だけにとどまらず、東京の農家全体に共通しております。 知事は、こうした東京の農地の危機的状況についてどのように認識しているのか伺います。 答弁10 ▼知事 東京の農地の現況に関する認識についてでありますけれども、都市における農地は非常に非常に貴重な重要なものであります。そう認識しております。 東京では、近年、局所的な集中豪雨が頻発しておりますが、都市化の進展によって、本来土地の持つ浸透性や排水性が低下してしまって、都市型水害が発生しております。 都では、河川や下水道整備、浸透ますの設置など治水対策に取り組んでおりますが、その中で農地や緑地は、浸透性や保水性能を持つ自然のダムとして注目されております。 さらに、農地は人々の生活に潤いをもたらすとともに、最近では食育の一環として生産体験の場を提供するなど、多様な機能をあわせて持っております。 東京の農地は都民の貴重な財産でありますが、相続のたびに農地が失われ、その減少に歯どめがかかっていないのも現況であります。 こうした農地の減少に伴い、潤いやゆとりのみならず、保水や防災といった都民にとって喫緊の大切な機能が失われてまいりました。残された農地をどうやって後世に引き継いでいくかということは非常に重要な問題でありまして、これは税法での措置も講じて、こういった問題も都の都税調にもちょっと相談してみようと思いますが、いずれにしろ、私たちは貴重な東京都の未来的な財産というものをやはり農地としてしっかり保ち続けていくということの努力を多角的にしなくてはならないと思っております。
質問11 また、東京の農業を活性化させるとともに、貴重な農地の維持保全が都の重要な責務であると考えますが、どのような対策を講じようとしているのか伺います。 答弁11 ▼産業労働局長 宅地化が急速に進展する中、平成三年には生産緑地法が改正され、市街化区域の農地は、保全すべき生産緑地と宅地化すべき農地に区分されたところでございます。 都では、生産緑地に対し、農地保全の観点から、その指定を促進するとともに、農業を活性化するための土地改良、生産施設の整備などを積極的に支援してきたところでございます。 こうした取り組みにもかかわらず、地価の高い東京では、相続税などの税負担が大きいことから、相続を契機として保全すべき生産緑地の減少が進んでおります。このため、減少に歯どめをかけられない農地の現状に対しまして、農地や税の制度などに係る東京固有の課題を整理した上で、保全策を検討し、国に対しても対応を求めてまいります。
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■文化・教育施策 |
質問1 文化振興策について伺います。 今般策定された東京都文化振興指針は、東京の持つポテンシャルをさらに発揮させるため、おおむね十年間を展望した都の文化振興の考え方や方向性を示すもので、オリンピック及びパラリンピックの東京招致を見据えたものと考えます。 指針では、我が党が提案した新進・若手アーチストの支援、芸術文化を支える人材の育成等が施策の大きな柱となっております。本指針にも盛り込んだ施策を着実に推進し、国内外の才能ある若いアーチストの交流の中から世界に羽ばたく人材が数多く育つことを期待しています。 知事は、本指針を発表したことによって、今後、東京の文化振興をどういう方向に進めていくのか、改めて所見を伺います。 答弁1 ▼知事 文化の進歩というものの本質は、私は、混交、つまり物がまじるということであると思います。すぐれた芸術様式ほど他のすぐれた様式と容易に混交してさらに高揚されていくものでありまして、ちなみに、例えばかつてアンドレ・マルローが日本に来たときにいっておりましたけれども、日本の仏教美術、仏像の完成度というものは世界に比類がない。これは、アレキサンダーの東征でギリシャの美術様式がガンダーラに伝わり、さらにそれが中国を経て日本に伝わってきて、日本で収れんされて極度なものに結集されたと。こういった、物事が伝播しながら混ざり合っていくということが、まさに文化の本質だと思っております。 この文化の伝播と混交が首都東京の文化的魅力を高め、日本全体の魅力を牽引していくものと思います。行政は文化芸術振興のサポート役に徹しまして、芸術家の自由な発想を尊重することで、新たな文化芸術が開花することと思います。 今後、外部の専門家によります評議会、いわばアートカウンシルというようなものを新たに設置しまして、自由な提言をいただきながら、創造的な文化を生み出す、東京から生み出す施策を展開していきたいと思っております。
質問2 また、指針でも触れていますが、蓄積された伝統や歴史は、次代における創造の源です。歴史に耐えてきたものは普遍的な価値と訴える力を持っており、グローバル化が進む中、世界に向けた固有の文化の発信とアイデンティティーの礎ともなるものです。 文化の継承、発展のためには、公演や発表の機会の確保などのほか、子どもたちが伝統文化を体験する機会の充実も重要です。都においては、都立文化施設を活用するなどして、都民やその子どもたちが伝統文化に触れ、身近に感じる機会の提供に積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。 答弁2 ▼生活文化局長 都民や子どもたちが伝統文化に触れ、身近に感じる機会の提供についてでございます。 都では、都民芸術フェスティバルにおいて、能楽や日本舞踊、民俗芸能などさまざまな伝統文化を鑑賞する機会を広く都民に提供しております。特に、次代を担う子どもたちには、伝統文化を体験する機会として、能楽などの子ども向け舞台芸術参加・体験プログラムを実施しているほか、江戸東京博物館におきまして、江戸東京の文化を体験できるふれあい体験教室など多様な催しを開催しております。 また、本年秋には、江戸東京博物館を主体としまして、江戸の歴史や文化に関する知識を問い、江戸の伝統からあすへの活力を学び取る江戸文化歴史検定事業を開始する予定でございます。 今後とも、都立文化施設の機能を最大限に活用しまして、都民が伝統文化に触れ、身近に感じる機会の充実を図ってまいります。
質問3 都立高校改革の推進と教育環境の改善について伺います。 都立高校改革は計画策定以来十年目を迎え、進学指導重点校を中心に進学実績が大幅に向上するとともに、各学校においてきめ細かい生徒指導を徹底することにより、都立高校全体の中退率も低下するなどの成果を上げつつあります。このようなことから、都立高校人気は確実に高まってきておりますが、こうした改革の歩みをとめることなく、さらに推進していくことが重要です。 都立学校の改革の一環として、本年四月には学校経営支援センターが設置されました。今後一層の学校改革を進めていく上で、支援センターの果たす役割は大変重要であると考えます。この設置により、どのように学校教育の充実が図られるのか、その効果について伺います。 答弁3 ▼教育長 都教育委員会は、本年四月、都内六カ所に学校経営支援センターとその支所を設置し、適時、機動的に学校訪問を行い、学校の実態を的確に把握して、教育活動や学校経営、人事、予算などの面で必要な支援を行っております。 このような支援により、各学校では、学校の特色を生かした教育課程の編成などが進み、教育内容が充実するとともに、校内研修を初め、授業改善の取り組みが着実に推進され、教員の指導力向上が期待できるなど、学校教育の一層の充実が図られるものと考えております。
質問4 都立高校改革の成果の一つとして、進学実績の向上が挙げられると思います。これまで以上に生徒が学習に集中していける環境を整備していくことが必要です。 現在、都立高校以外の都内の学校では、暑さ対策を目的として普通教室への冷房の設置が進んでいます。都内の私立高校では、民間調査によると二百七校中二百三校が、都内の国立高校では六校すべてに、区立小中学校では八三%が冷房を設置している状況です。また、他県では、三十七府県で冷房を設置している状況です。 こうした状況を踏まえて、都立高校においても冷房化を考える時期と考えますが、都教育委員会では、冷房化について今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。 答弁4 ▼教育長 都立学校の冷房化の取り組みについてであります。 お話しのように、都立高等学校以外の学校で冷房化が進んでいることや、また、夏季期間中におきます都立高校の教育活動が活発化していることは十分に承知しております。 このため、都教育委員会は、教室環境改善につきまして総合的に調査検討するため、学識経験者や保護者、学校関係者から成る都立高校教育環境改善検討委員会を本年四月に設置し、鋭意、検討を行っているところでございます。 この検討委員会では、教室環境改善を進めるに当たっての基本的な考え方や、冷房化を含めた多様な方策、費用負担のあり方などを検討課題としておりまして、都教育委員会は、今後この検討委員会での議論やご指摘の点を踏まえまして、環境改善に積極的に取り組んでまいります。
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■医療・福祉・保健施策 |
質問1 多摩地域における医療の充実について伺います。 都では現在、府中病院の改築とあわせて小児総合医療センターの建設を行うPFI事業を進めています。多摩地域の医療の充実の観点からも、この事業を着実に推進していただきたいと考えます。 一方、地域医療における中核的な役割を果たす地域医療支援病院は、これまで都内では、保健医療公社が所管する東部地域病院と多摩南部地域病院の二病院だけでしたが、本年五月に新たに四病院が承認されました。このうち、多摩北部医療センターなど三病院は多摩地域にあり、多摩地域の地域医療支援病院は、多摩南部地域病院と合わせて一気に四病院へと飛躍的に拡大されました。 府中キャンパスの整備に呼応して地域医療機能が着実に充実されていくことについて、期待は大きいものがあります。 今回の地域医療支援病院承認を契機に、多摩北部医療センターは多摩地域の医療の充実にどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。 答弁1 ▼病院経営本部長 今回、地域医療支援病院の承認を受けた多摩北部医療センターは、昨年四月の公社移管を契機に、地域の中核病院として診療対象年齢を拡大し、新たに小児科を設置いたしますとともに、二次救急医療を開始いたしました。 さらに、地域の小児科医と協力して初期救急医療を積極的に実施するなど、医療内容の充実に努めてまいりました。今後とも、都立清瀬小児病院や府中病院はもとより、民間医療機関と連携しながら、地域の医療体制を一層強化してまいります。
質問2 多摩地域における医師数は、区部と比べて不足していますが、医療の充実を図るに当たっては、医師の十分な確保と育成が不可欠です。医師の臨床研修の必修化等に伴い、深刻な勤務医不足が起こるなど、医師を取り巻く環境も大きく変化していますが、高水準で専門性の高い医療を安定的に提供していくためには、それを担う優秀な医師の確保、育成が必要です。 今後は、医師の確保、育成面でも、都立病院と公社病院の協力、連携強化が期待されます。都立病院は、多摩地域における医療の充実のためにも、これまで以上に医師の確保、育成に努めていくべきと考えますが、所見を伺います。 答弁2 ▼病院経営本部長 都立病院及び公社病院における医師の確保、育成についてでございますが、これまで、それぞれが臨床研修医を受け入れながら、初期臨床研修におきましては、都立病院が公社病院の研修医を受け入れるなどの協力をしてまいりました。 今後は、それぞれの医療機能の特徴を生かしまして、専門性の高い医療分野におきましても、相互の連携を一層強化することによって、優秀な医師の確保、育成に努めてまいります。
質問3 次に、後期高齢者医療制度について伺います。 人口減少時代を迎え、将来にわたって安心、信頼の医療サービスを確保することを目指す医療制度改革関連法案が、現在、国会で審議中であります。これには、医療費の適正化に向けた総合的な対策とともに、平成二十年度から新たに七十五歳以上の高齢者を主な対象とする後期高齢者医療制度を導入することが盛り込まれております。 さきの第一回定例会においても、我が党の佐藤裕彦議員が、こうした医療制度改革の必要性を十分に踏まえつつも、財政的な側面ばかりが優先された議論について苦言を呈したところであり、真に都民の、高齢者の健康と安心を支える改革となるよう取り組んでいくことが必要です。 そこでまず、この新たな後期高齢者医療制度について、都としてどのように受けとめておられるのか、所見を伺います。 答弁3 ▼福祉保健局長 人口減少社会が現実となった今、国民皆保険を実現し、平均寿命世界一という成果を上げました我が国の医療制度につきましても、時代に見合った社会システムへと変革することは不可欠でございます。今回の後期高齢者医療制度も、改革の柱の一つとして打ち出されたものでございまして、財政的リスクの分散や、負担と給付のバランスのとれた制度構築を目指すものと受けとめております。 都は、今後、医療制度全体の安定性のみならず、健康づくりや在宅医療の一層の充実に取り組み、都民が真に豊かさを実感し、安心できる医療の実現に努めてまいります。
質問4 さて、この後期高齢者医療制度ですが、都道府県の区域ごとにすべての区市町村が加入する広域連合を今年度中に設立し、保険料の設定、賦課等の事務を行うものとされています。都内六十二区市町村すべてが加入する広域連合というのは、過去に例がありません。それぞれの区市町村は人口も財政規模も大きく異なり、広域連合設立に向けた団体間の調整は容易ではないと予想されます。 平成十八年度末という期限が定められている状況において、都は、広域連合設立のスケジュールをどのように想定し、具体的にどのような役割を果たしていこうとされているのか、所見を伺います。 答弁4 ▼福祉保健局長 広域連合設立に向けた取り組みについてでございますが、法案可決から設立までの期間が短く、準備が急がれることから、去る六月一日に、後期高齢者医療制度発足に向け、区市町村などによる検討会が設置されたところでございます。 今後は、本年九月を目途に、区市町村の代表による広域連合設立準備委員会を立ち上げまして、区市町村議会における広域連合規約の議決を経て、来年一月ごろには知事に設置許可の申請がなされると聞いております。 広域連合は、区市町村が主体的に設立するものでございますが、都としても、新制度の円滑な実施に向けて、情報の収集や提供、国、区市町村、国民健康保険団体連合会など、関係者間の調整等の役割を果たしてまいります。
質問5 子育て支援策について伺います。 今回、新たな枠組みである認定こども園の整備を目的とした、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律が今国会で成立しました。新たな施策の特色として国が掲げている、保育に欠けない子への対応、利用者との直接契約、施設における利用料の設定、徴収など、いずれも都が認証保育所において既にその効果を実証しているものであります。 このように、認定こども園という新たな形態ではありますが、都が目指してきた保育所制度改革の一部が実現したことは、都の取り組みを一貫して支持してきた我が党の要望に沿ったものであります。 この認定こども園については、国の指針に基づき、都道府県知事が基準を定めて認定を行うことになると聞いています。新たな基準の設定に当たっては、認証保育所の成果を踏まえ、これまでの保育所改革の取り組みをさらに推進し、東京における子育てサービスのより一層の充実を図るものとすべきと考えますが、所見を伺います。 答弁5 ▼福祉保健局長 都はこれまで、従来の認可保育所だけでは十分対応できていない都市型保育ニーズにこたえるとともに、保育所制度の抜本的改革を目指して独自の認証保育所制度を創設し、その拡充に取り組んでまいりました。 認定こども園では、親の就労の有無により区別せず、また、利用者と施設が直接契約する方式となっておりまして、これらの仕組みは、都がこれまで進めてきた保育所制度改革と軌を一にするものとして、一定の評価をしているものでございます。 認定こども園の認定基準の設定に当たりましては、これまでの認証保育所の成果を生かし、大都市東京のニーズに的確に対応するとともに、在宅も含めたすべての子育て家庭の支援に資するものとなるよう、関係局と連携しながら検討を進めてまいります。
質問6 一方、認定こども園は、既設の幼稚園も対象です。幼稚園は幼児教育の中核を担っており、これまで大きな役割を果たしてきました。特に都内では九割の園児が私立幼稚園に通っており、各園独自の教育理念に基づく個性あふれる幼児教育の実践によって、私立幼稚園は都民の厚い信頼を得ているものと考えます。 私立幼稚園においては、地域のニーズを踏まえ、子どもが豊かにはぐくまれることを第一に考えた教育活動を行っており、このことは認定こども園にも生かされなければなりません。こうした私立幼稚園の取り組みを受けとめ、基準づくりを初めとした都の制度設計に当たっては、子どもが豊かにはぐくまれることを第一に考慮すべきと考えますが、所見を伺います。 答弁6 ▼生活文化局長 法律の定める認定こども園の類型には、幼保連携型、幼稚園型、保育所型、地方裁量型、この四つがございまして、保育所待機児童の解消とともに、児童養育の機会拡大が期待されるところでございます。 幼稚園が認定を受ける類型は、保育所と連携し一体的に運営する幼保連携型及び幼稚園が保育に欠ける子どものための保育時間を設ける幼稚園型でございます。今後、これら幼稚園が対象となる二類型を初め、認定こども園全体の仕組みづくりに当たりましては、ご指摘のように、地域のニーズを踏まえ、子どもが豊かにはぐくまれることを第一に教育活動を行っている私立幼稚園の教育実践が生かせるよう、関係局及び関係団体と調整を図りながら、認定基準等を検討してまいります。
質問7 次に、福祉保健施策についてであります。 現在、審議会において、約三万人の利用者を抱える心身障害者扶養年金制度のあり方が議論されています。その扶養年金が危機的状況にあることが明らかになりました。平成五年から始めた基金の取り崩しにより、このままでは平成二十三年度中には基金が消滅し、毎年四十億円もの巨費が必要となるとのことです。 扶養年金制度は、都単独の制度として現在に至っています。現在、毎年二百人近くの新規加入者がおり、都として障害者を持つ保護者の不安解消を今後とも図っていく必要があります。 一方、他の道府県は、都に追随し創設された全国制度へ加入し、制度を設けています。都制度が財政的に立ち行かなくなったからといって、都民の加入希望者に道を閉ざしてしまうことは許されません。仮に現行制度を見直すのであれば、新規に制度利用を希望する人のため、都民も全国制度に加入できるようにすることが必要と考えますが、所見を伺います。 答弁7 ▼福祉保健局長 心身障害者扶養年金制度についてでございますが、扶養年金は、平成五年度以降、支出が掛金等の収入を上回り、基金を取り崩して年金給付の財源に充てる状況が続いております。このまま推移いたしますと、平成二十三年度には基金が枯渇してしまう状況にございます。 こうしたことから、現在、東京都心身障害者扶養年金審議会におきまして、扶養年金制度の社会的役割の変化を踏まえたあり方についてご審議をいただいているところでございます。今後、制度を見直す場合でありましても、年金加入者にも配慮した上で、ご指摘のとおり、新規の利用希望者につきましては、全国制度への加入も含め、適切に対処していく必要があると考えております。
質問8 我が党はこれまでも、障害者の社会参加や障害者施策の充実を進めてきました。確かに制度発足時の昭和四十四年当時と比べると、障害者福祉の充実ぶりは隔世の感がありますが、まだ決して十分とはいえません。都の障害者施策の基本的あり方として、グループホームなどの居住の場の整備など、障害者の地域で自立した生活を支えるサービスの充実を図るべきと考えますが、所見を伺います。 答弁8 ▼福祉保健局長 都の障害者施策についてでございますが、施策の推進に当たりましては、障害のある人が必要なサービスを利用しながら地域の中で主体的に生活できる社会を実現することが重要であり、都が本年二月に策定いたしました福祉・健康都市東京ビジョンでは、在宅サービスの充実や居住の場の整備など、障害者一人一人のライフステージと生活全体をとらえた支援策の充実を図ることとしております。 今後とも、このビジョンの理念にのっとり、民間、地域、行政の持つ力を最大限に生かしながら、障害者地域生活支援・就労促進三か年プランに基づき、グループホームの整備を着実に実施するなど、障害者の自立した生活を支援してまいります。
さて、日本に住む我々が外国人と接したときに最も痛感するのは、みずからをはぐくんできた伝統文化に対する理解不足だという話はよく聞くところであります。自分が生まれ育った国を十分理解することなく、他の国の人々との真の意味での交流を行うことはできません。ましてや、国際社会において尊敬される存在とはなり得ないことは当然であろうと思います。 先般、知事は、若い特攻隊員たちの姿を描いた映画の脚本と制作総指揮をみずから手がけることを発表されました。陸軍の特攻隊基地のある鹿児島県知覧町を舞台に、実話をもとにした物語が展開されると聞いております。 特攻隊として散っていった若者たちの貴重な犠牲の上に今の平和が築かれていることを再認識するとともに、当時の若者たちが抱いていた志のとうとさを思わずにはいられません。 改めていうまでもなく、二度と悲惨な戦争を繰り返さないためには、日本の歴史や文化を深く理解した人材を育成し、諸外国との国際協調を推進していくことが何より大切であります。 折しも国会では教育基本法の改正案が審議されております。日本の歴史や伝統・文化を将来を担う世代に正しく伝え、我が国に生まれたことを誇りに思えるような教育を推進することは、我々に課された重要な使命です。 我が党は、これからも石原知事とともに未来を背負う人材を育て、東京そして日本の再生を果たすべく尽力することを申し上げ、代表質問を終わります。
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