▼曽根委員 日本共産党都議団を代表して質問します。 初めに、日本の平和と都民の安全にかかわる米軍横田基地の再編計画について伺います。 全国の米軍基地、自衛隊基地を抱える自治体で、米軍再編計画による新たな基地機能の強化、永久化を許さない住民ぐるみ、自治体ぐるみの闘いが広がっています。 沖縄県では、海兵隊のための新基地計画に反対の運動が広がり、県知事も議会で容認できないと表明しています。 山口県岩国市では、米艦載機の移転に対し住民投票が行われ、市民の過半数のノーの意思に基づいて、県知事は改めて政府に容認できないと申し入れました。 キャンプ座間への米陸軍司令部の移転が計画されている神奈川県では、自治体ぐるみの反対運動が広がり、県知事も先頭に立って、座間市、相模原市と共同で近く政府に申し入れることが計画されています。 平和を脅かし、周辺住民の犠牲をさらに将来にわたって負わせようとする計画に対し、自治体の長として当然の行為だと思います。ところが、石原知事は、早々と米軍再編計画に容認の態度を表明し、国会でも、全国で石原知事だけが容認であると防衛施設庁から紹介されました。驚くべきことです。 知事に伺います。米軍再編計画によって、横田基地の軍事的機能と役割はどのように変化すると認識しているのですか。 ▼知事本局長 米軍再編の目的は、冷戦終結後の世界情勢の変化を踏まえ、核兵器拡散やテロなどの新たな脅威に対抗できるようにすることであるといわれております。 昨年十月公表された米軍再編協議の中間報告では、横田基地において、航空自衛隊航空総隊司令部の移駐や共同統合運用調整所の設置が掲げられており、在日米軍と自衛隊との連携により、我が国の防衛力の強化が図られるものと認識しております。 ▼曽根委員 今、我が国の防衛力の強化といいましたが、昨年十月に打ち出された日米安全保障委員会、2プラス2の共同文書は、大体イラク戦争のような先制攻撃の戦争に日米が共同で対処することが共通の戦略目標とされているんです。米軍と自衛隊が一体となって地球規模で海外での共同作戦を可能にする体制をつくる、これが今度の計画の目的なんです。 その中で横田基地は、自衛隊航空総隊司令部が移駐し、米第五空軍司令部と一体の司令部体制をつくります。そして、今お話のあった米軍と自衛隊との共同統合運用調整所を設置し、ミサイル防衛の通信、指揮、統制の中枢拠点になることが盛り込まれています。これまでの米軍司令部機能、兵たん機能にとどまらず、米軍と自衛隊が一体となって地球規模で戦争する、その司令部としての役割を横田が担わされようとしているんです。明らかに横田基地が軍事的に新たな段階に入ろうとしていることを意味します。こうした米軍再編の方向は、横田基地を将来にわたって最重要拠点として確保しようとするものであり、基地の永久化を図ろうとするものです。 知事は、横田基地の返還を公約に掲げ、都の基本方針も基地の整理、縮小、返還です。しかし、再編計画を許せば、基地返還に近づくどころか、さらに遠のかせることは明らかです。知事、基地機能の強化、永久化につながる再編計画を容認したということは、事実上、返還の公約、方針を投げ捨てることにつながるのではありませんか。知事、お答えください。知事です。 〔発言する者あり〕 ▼知事本局長 ヨーロッパでは、冷戦の終結を受け、米陸軍を約六割に削減するなど、在欧米軍の規模が大幅に縮小することになりました。ドイツのフランクフルト空港は、五十五年間の軍民共用化後、昨年、全面返還されております。このような例に見られますように、基地の機能は軍事的な情勢に合わせて変更されるものであり、永久化などと単純に論じることはできません。 東京都の米軍基地に対する基本姿勢は、整理、縮小、返還の促進であり、横田基地につきましては返還までの対策として軍民共用化を目指すものでございます。 ▼曽根委員 ヨーロッパで冷戦終結から六割に減ったと、米軍基地は。フランクフルトは返還されたと。全く日本の横田基地と情勢が違うんですよ。大体、横田と違ってフランクフルトというのは民間というか、地元の方が管理しているわけですね、航空管制は。横田のように米軍が管理しているんじゃないんですよ。ですから、返還は非常に楽だったんです。 横田の場合は、改めていいますけれども、昨年、座間市を訪問した防衛庁長官は、再編計画について、これは百年の計だとまで強調しました。二十一世紀にわたって米軍基地を継続するということなんです。横田基地の機能を強化し、返還が遠のくということは、我々だけでなく、軍事安全保障の専門家が共通していっていることです。 例えば、軍縮安全保障が専門の前田哲男東京国際大学教授は、横田基地の共同統合運用調整所について、日米の共同司令部、連合司令部となり、憲法九条が禁ずる集団的自衛権の行使につながりかねないと指摘しています。 また、軍事評論家の江畑謙介氏は、横田基地の軍事的な価値は高まっていると述べて、新聞でも、これは昨年の読売ですけれども、返還の可能性遠のくというふうに報道され、江畑氏はこの記事の中で、横田基地の返還は、アメリカの世界戦略が変わらない限りないだろうといっています。 米軍再編計画を容認するのではなく、きっぱりと反対することこそ、公約を守り、また、東京を含めて、これは関連の自治体が一致している返還を求めるというこの共同の目標にまさに近づくことじゃないですか。知事、もう一回、知事のお答えを聞きたいんです。 〔発言する者あり〕 ▼知事 サービスだね、これは本当に。不勉強な学生に教えるみたいなもので。 あのね、アメリカはもともと基地を返すつもりは毛頭ないんですよ。だからね、ワールドカップをやっているときに私は韓国の政府と話をしてね、CIQ抜きにして、とにかく向こうも金浦空港をつくって、在来の空港をドメスチックにしたので、それじゃやっぱり横田とCIQ抜きにしてシャトル便を飛ばしましょうと。向こうも非常に喜んで、やろうと思ったら、アメリカが、ご存じでしょうけども、五十年耐用年数がある滑走路をつくり直すと、突然あそこの空港を閉鎖した、使わせないために。アメリカはそういうことすべて嫌なんだ。 私たちはね、それをひっくり返そうと思ったけど、森政府が何かしっかりせずにやられちゃったんだけども、いきなりなかなか返還は難しいですから、とにかくともかく、要するにあの管制空域というものを日本に取り戻して、だれが管制してもいいけど、自衛隊が管制するならそれで結構ですよ。それでですね、とにかくあの日本で一番長いランウエーを使おう、共同使用しようと、軍と。そうしたら、アメリカが--まあ、トランスフォーメーションかなんか、外務省がぼんやりしているものだから、本当はこれに関係なかったんですが、巻き込まれましてね、何かあそこに軍軍共用すると。これはさんざんいったじゃないですか、今まで委員会の中で。自衛隊はだね、そんなものやりたくないんだ。アメリカに……(「容認するんですか」と呼ぶ者あり)それは自衛隊にいってこいよ、自衛隊にいって。国防省に何回もいっているよ。おまえら、共産党、もっと頑張ってやれ、国会で。 それでね、まあ、軍軍民共用化も結構だろうけど、機材一切持ってまいりません、あそこに日本の防衛のウオーニングシステムの本拠を置きますというけど、ウオーニングシステムの本拠を置いたって、仮に北鮮なり中共からミサイルが飛んできたって、撃ち落とす手段って持っているんですか、日本もアメリカも。そういう状況の中で、私たちはとにかく--黙って見てください。必ずあそこから飛行機を近日飛ばせますから。民間、要するに民間機を。そうすりゃいいんでしょう。それがまず返還のための一歩のステージですよ。 ▼曽根委員 知事、これは全く地方自治体の長としてあってはならない態度だと思うんですよ。まず第一に、共同使用を何とかしたいと。当面、アメリカ軍は返す気がないと。だから、返すという目標をもう事実上放棄して、自分がやりたい軍民共用化だけに突き進むと。そういうやり方は、ほかの自治体ではとっていませんよ。(発言する者多し)いや、いわせてくださいよ。首都圏規模での問題を見ましても(石原知事「今までのここの議会での議論を聞いてないよ」と呼ぶ)横須賀市は新たな原子力空母が配備されようとしているんですよ。 ▼知事 私は、とにかく返還が最終目的だと。にわかにいかないから共同使用といってきたんだよ。それが外交の交渉の実利というものでしょう。 ▼曽根委員 だから、私は、今度の横田の再編を認めることが最終的な目標だといってきた返還に近づくのかと。近づくことじゃないじゃないですか。基地の永久化ですよ。しかも、アメリカ軍の世界戦略が変わらない限り、横田は重要な基地として永久に残ってしまうということが軍事専門家でも共通していっているんですよ。これは我々だけじゃないんですよ。 しかも、知事は何かミサイルの話とかされましたけれども、ミサイル攻撃から日本を守るための機能が強化されると何が悪いかというような話でしたけれども、米軍のミサイル防衛システムというのは、基本的に米軍基地と司令部を守るためであって、日本全体の国民に対するミサイル攻撃の防衛力を高めるものじゃないんですよ。 中国の脅威の問題だって、大体中国の--中国にだってもちろんいろいろ問題ありますよ。しかし、中国の問題をどう解決するかというときに、やはり中国とインド、インドとパキスタン、それぞれアジアの各国が敵対から和解に動いているという中で、中国とインドは二〇〇五年四月に長年懸案となってきた国境問題の解決に向けて本格的に踏み出しました。アジア全体が今ASEANなどを中心にして、紛争の平和的な解決に努力を始めているわけですよ。こういう流れの中で日本が本来の役割を果たす、このことが必要だということを改めて申し上げておきたいと思います。 首都圏の規模を見ても、横須賀に米軍原子力空母が配備されようとしていますし、座間市、相模原市にまたがるキャンプ座間には米陸軍の司令部と陸上自衛隊司令部が移駐される。横田と一体となって海外での作戦指揮を行う体制がとられようとしているんです。首都圏が米軍の陸軍、海軍、空軍の司令部の拠点になろうとしているんですよ。異常な事態ですよ。だからこそ相模原市長は、再編計画に対し、負担の強化だと、基地の恒久化以外の何物でもないとして、全く受け入れられないと表明しました。神奈川県知事も二月の会議で、基地の整理、縮小、返還が基本だと表明し、先週金曜日、三月二十四日には神奈川県と座間市、相模原市の三者で到底受け入れられないとの認識で一致しているんです。 関係自治体と連携して、米軍基地の強化、永久化に毅然としてノーをいうのが本来の知事の姿勢である、責務であるということを強く申し述べておきたいと思うんです。 しかも、横田基地の再編で避けて通れないのは騒音問題です。米軍再編による基地機能の強化は、今までも受忍の限度を超えた周辺住民への騒音被害をさらに深刻化させるものです。事実、新たに自衛隊航空総隊が移駐することで新たな騒音がもたらされるのではないかと、周辺自治体からの強い懸念が寄せられています。 知事に伺いますが、自衛隊航空総隊司令部の横田基地移駐による航空機騒音の影響をどう認識しているのですか。 ▼知事本局長 国は、航空自衛隊航空総隊司令部の移駐により、司令官等の移動用航空機の飛来はあるものの、軍用機が常駐されることはないとしており、航空機騒音の影響が拡大することはないと認識しております。 ▼曽根委員 そんないい方は極めて無責任ですよ。我が党の参議院議員の文書質問に対して政府は回答していますが、この回答は極めて限定的なものです。つまり、航空機の常駐がないことは見込まれるという表現なんです。しかも、騒音の増大についても、現時点においてほとんどないと考える。しかし、現時点での判断であって、将来にわたって常駐や騒音増大は否定していません。なぜなら、新聞で報道されていますけれども、航空総隊司令部の移駐と連動して、入間にある第二輸送航空隊を移駐する案が示された経緯があるといわれておりまして、今後これが実行される可能性が否定できないからなんです。 しかも、防衛施設庁からの周辺自治体への回答によれば、航空総隊司令部の移駐によって航空機の飛来がふえることに触れているんです。もし読んでないとすれば、空自航空総隊司令部の移駐に当たり、司令部を初めとする自衛隊員の移動などのためにCH47JなどのヘリやU4、T4またはC130Hなどの輸送機の往来はあり得ると回答しています。これが実績では昨年、年間四百回と紹介されているんです。飛行場のない府中から横田に移駐すれば、利用回数がさらに上回ることは十分考えられることじゃありませんか。事実、昭島市はこのことを危惧しています。 こうした事実や経過を無視して、騒音が拡大しないかのように断言することは実に無責任であり、厳に慎むべきだと思います。 さらに重大なことは、軍軍民共用化問題です。知事、軍軍民共用化を進めれば、騒音被害は、この軍軍共用化だけじゃなくて、さらにこれは深刻化するというふうに考えますが、どう認識していますか。知事の認識をお聞きしたい。 ▼知事本局長 国は、自衛隊との共同使用によりまして軍用機が常駐されることはないとしており、軍軍共用によって騒音の影響が拡大することはありません。また、民間機の騒音は米軍機と比べて極めて小さいことから、騒音に配慮した軍民共用化は可能であります。 今後とも地元の理解と協力を得ながら軍民共用化の早期実現を目指してまいります。 ▼曽根委員 しかし、よくそういうことがいえますね。 知事、そもそも横田基地の騒音は、既に受忍限度を超えるものです。違法状態なんですよ。最近発表された二〇〇四年度の航空機騒音調査でも、瑞穂町での固定調査では、年間の騒音回数が一万百七十一回、年間平均のWECPNL、つまり、うるささの実感をあらわす指数ですが、これは環境基準の七〇を大幅に超す八四ですよ。一日のピークレベルの平均が一〇〇デシベルという、いわば電車のガード下みたいな、大変な音の出ている騒音の日が三十八日もあったと報告されているんです。飛行経路の真下にある小学校では、米軍機の進入で授業は中断され、授業に集中できなくなるなど、子どもたちにも深刻な影響を及ぼしています。しかも、一過性ではなく、環境基準を超える騒音のもとでの生活が常態化しているんです。 私、訴訟団の方に拝島の方に行って会ってきましたけれども、訴訟団の代表者は、いまだに騒音被害を解決できないだけでなく、軍民による新たな騒音被害を押しつけることは絶対に許せないと訴えていました。 しかも、先ほど民間機の音が小さい低騒音機を導入しているというようなお話がありましたが、しかし、それでも騒音被害は解消されないんですよ。成田空港の騒音調査でもこれは明白です。 最近、千葉県がことしの二月に発表した平成十六年度成田国際空港周辺航空機騒音測定結果報告書では、低騒音機になったにもかかわらず、固定測定局八十三局中、環境基準達成はわずか三十九局、半数以上の地点が基準オーバーなんです。成田空港の騒音影響区域は、さっきのW値七〇を超えるコンターは、南は太平洋、北は利根川まで、差し渡し五十キロ近く広がっているんですよ。こういう民間の航空機でも騒音被害が大きく出ている。これが今の違法状態に上乗せされるということなんですよ。それでも、民間機を導入しても騒音被害はふえない、問題はないということなんですか。もう一度お答えいただきたい。 ▼知事本局長 先ほど答弁しましたように、特に民間機の騒音は米軍機と比べて極めて小さいことから、騒音に配慮した軍民共用化は可能であります。 今後とも地元の理解と協力を得ながら、軍民共用化の早期実現に努めてまいります。 ▼曽根委員 私のいったこと、全然聞いていないじゃないですか。民間機の、例えば単体の飛行機の騒音だって、軍用機を上回るものはいっぱいあるんですよ。例えば、今、国内線でドル箱路線、大体ジャンボを使っていますよ。ボーイング747、このジャンボの騒音というのは一〇〇デシベルを超えているんですよ、単体の騒音が。さっきいった自衛隊機のC1だとか、こういうものは九四とか九七デシベルですから、それよりも上回る民間機が飛んでいるんですよ、成田はいっぱい。ですから、こういう問題を上乗せすることは許されないということを私はいっているわけです。 大体横田の騒音問題というのは、昨年十一月三十日に東京高裁で判決が出されています。恐らく知事は、この判決、読まれていないでしょうから、これが極めて異例の判決だということを、ちょっと原文を読ませていただきますよ。 この判決文の最後には、横田基地の騒音について、最高裁判所において受忍限度を超えて違法である旨の判断が示されて久しいにもかかわらず、騒音被害に対する補償のための制度すらいまだに設けられず、救済を求めて再度の提訴を余儀なくされた原告がいる事実は、法治国家のありようから見て異常の事態で、立法府は適切な国防の維持の観点からも怠慢のそしりを免れない。ここまでいっている判決、今までなかったですよ。第五次訴訟ですけど、これは。これだけ厳しいことがいわれて、その上に騒音を重ねると。こんなことはあってはならないわけです。 地元の八王子市長である黒須市長は、この知事の軍民共用化構想について質問されて、これは内陸部にある空港でありますし、旅客機がふえるということは当然騒音がふえるわけですし、いずれにしても内陸部の空港としては問題があるなと、こういうふうに認識しているというふうに答弁しているんです。これは市議会の答弁。これは自治体として当たり前だと思います。 知事、軍民共用化は中止すべきなんです、やっぱり。現在の騒音のための対策こそ最優先で講ずることを強く指摘して、次の質問に進みたいと思います。
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