橘 正剛(公明党) |
■中小企業支援 |
▼橘委員 初めに、知事に伺います。 先日、日銀は量的緩和策を解除いたしました。また、当面は継続するとしているゼロ金利政策も、いずれは解除されるとの見方が専らであり、都内中小企業への影響も懸念され始めております。 いうまでもなく、東京の産業の屋台骨を支えているのは中小企業であり、東京の活力をさらに高めていくためにも、この大きな転換期には、都内中小企業に対する的確な支援が必要だと思います。 量的緩和策の解除については、一昨日の総括質疑でも取り上げられ、出納長から、中小企業の資金調達に影響が出る可能性も考えられるとの見解が示されました。そこで、今後大事なことは、その影響を最小限に食いとめるためにどう手を打っていくかという点であります。 きめ細かな対応がこれまで以上に求められる中小企業金融政策などに対する基本的な姿勢について、知事の見解を伺います。 ▼知事 景気回復の足取りは、本来の力強さが戻りつつあるように見えますものの、都内の中小企業は、原油高やアジア諸国を初めとした国際的な競争の中で、依然として厳しい経営環境に置かれていると思います。 私も、国会議員のときの選挙区は大田区、品川区でありまして、非常にたくさん中小企業がございました。そこで痛感しましたことは、景気がよくなるといい風が吹いてくるのが一番遅いのが中小企業で、不景気の風が吹いてくると真っ先に風が当たるのが中小企業だという、そういう強い認識を持ちました。 今回の量的緩和の解除に続き、今後、金融政策の展開によっては、再び中小企業への資金供給の減少や借り入れ金利の上昇などの影響が懸念されております。 都はこれまでも、中小企業の円滑な資金調達を目指して、CLOとかCBO等、債券市場をつくりました。新銀行東京の創設など、独自の施策を全国に先駆けて実施してまいりましたが、いずれにしろ、経済の動向というのはまだまだ予断を許しませんが、それを見きわめながら、多角的な手を打って、中小企業を盛り立てていきたいと思います。 ▼橘委員 ただいまの知事の答弁を踏まえまして、具体的な中小企業施策について何点かお伺いいたします。 まず、中小企業の信用保証についてであります。 中小企業金融における信用補完制度の見直しの一環として、ことし一月に、過去に信用保証協会の保証つき融資を返済できなくなった、そういう経験を持つ中小企業であっても、新規保証が受けられるようになりました。これは、公明党がかねてから主張してきた敗者復活を可能とする社会システムの一つとして一歩前進したものといえます。 ところが、国は、この新規保証を認める対象を、国が主導する再生支援機関が取り扱う案件、あるいは国の基準に合致する案件に限定しております。 そこで、この制度見直しを一層実効あるものとし、中小企業の敗者復活を後押ししていくために、自治体が支援する企業再生への取り組みについても新規保証の対象としていく必要があると考えます。所見を伺います。 ▼産業労働局長 ご指摘のように、この新規保証の対象は、国の整理回収機構や産業再生機構が関与した案件などに限定されております。これら、国の再生支援機関が取り扱うのは、規模が比較的大きな中小企業の再生案件が多く、小規模企業への対応は不十分なものでございます。 このため、都の中小企業再生支援事業における小規模企業の再生案件などにつきましても新規保証の対象とするよう、その早期実現について、引き続き国に対し強く働きかけてまいります。 ▼橘委員 企業の再生に向け、実情をよく知っている自治体が支援しようといろいろ工夫し、そして努力しているのに、国が壁となるのはちょっと不可解に私は思います。この問題は中小企業にとって切実な願いでもありますので、都の要望に沿った対応を国が決断するように引き続き取り組んでいただきたいと思います。 同じく中小企業支援策として、制度融資の拡充について伺います。 中小企業経営者の皆さんと懇談しますと、資金調達には大変苦労されているようであります。その時々の状況で金融機関による融資が厳しくなる場合が多々ありますし、融資を受ける際には不動産を中心とした担保を求められるケースがほとんどであります。 さて、最近の融資状況を見ますと、運転資金に加え、設備投資などの前向きな資金需要も少しずつふえる傾向にあるようです。このため、制度融資への期待が一段と高まると思われますけれども、都における最近の制度融資の実績についてお伺いします。 ▼産業労働局長 本年二月末までの制度融資の融資実績でございますが、約一兆六千百二十億円となっておりまして、前年同月比で二三%増加しているところでございます。 ▼橘委員 実績は伸びているようですけれども、中小企業者からは、担保不足で信用保証協会の保証が受けられないケースも少なからずあると聞いております。しかも、求められる担保の大部分は不動産であり、資産の乏しい小規模零細企業や創業間もない企業などは資金調達に支障を来す場合もあります。 東京都は、不動産担保に過度に頼らない新たな融資手法の一つとして、売り掛け債権担保融資、つまり商品やサービスの代金を請求する権利、これを担保として活用する融資を平成十三年度に創設しました。また、融資手法の多様化にもさまざまに取り組んでいると聞いております。国レベルでも、昨年十月に動産譲渡登記制度が創設されまして、動産を担保として活用する融資環境が徐々に整ってきたといえます。 この動産譲渡登記制度の創設が今後の中小企業金融において持つ意味について、所見を伺います。 ▼産業労働局長 動産譲渡登記制度創設の意義でございますが、製品在庫や機械設備などの動産を担保として活用する際、動産自体は引き続き中小企業の占有下に置かれ、利用されるのが通常のケースでございます。 このため、その動産が担保に供されているかどうかを第三者が外形上判断することは難しく、重複して担保が設定されてしまう二重担保のおそれがございました。 今回、登記による公示制度が整備されたことにより、担保提供の有無が明確になり、二重担保といった不測の事態を回避できることから、動産を担保として活用した資金調達が促進されるものと考えております。 ▼橘委員 不動産担保に過度に依存しない新しい融資手法というのは、多くの中小企業者の強い願いでもあります。ここに東京都の十七年度の中小企業制度融資案内というのがございますけれども、ここには十七ぐらいでしょうか、十七の制度融資の内容が書いてあります。 その中で、融資の条件となるものが書いてありますけれども、連帯保証人は当然としても、物的担保という項がございまして、この項を見ますと、物的担保が必要であるというのが軒並み並んでおります。物的担保を必要としないというのは、個人事業者向け無担保・無保証人融資、それから創業融資、この程度でありまして、ほとんどはこの物的担保を求めております。この物的担保は当然ながら不動産のことであります。 このように東京都の制度におきましても、この物的担保がある程度必要条件というふうになっております。 そこで、不動産担保に過度に依存しない融資制度を整備していくための一つの手法として、都の現在の制度融資の担保要件、今説明しましたけれども、この担保要件の中に、一定条件を満たす製品在庫であるとか、それから製造機械であるとか、あるいはトラック等の車両であるとか、IT機器であるとか、そういった動産も担保として認めるとの要項、項目、これを組み入れることによって、そういう方式によって、動産を担保にすることも可能になるかと思います。そうすれば、不動産がなくても、動産を担保にした融資が受けられますし、あるいは動産担保分が融資額に上乗せできるという、そういうメリットも出てくると思います。 こういった融資の対象となるのは小規模企業が多いかと思いますけれども、例えば、不動産はほとんどない、けれども動産としての価値のあるものはたくさんある、そういった企業もあるかと思います。 不動産の価値として、融資としては、例えば、仮の話ですけれども、五百万しか借りることができない。けれども、動産価値のあるものが結構あるとすれば、それによって、動産担保の分として、あと二百万、あと三百万融資できますと。プラスアルファの二百万、三百万出たら、これは中小企業にとっては非常にうれしいことなんです。 私もいろいろ中小企業の皆さんと懇談しましたけれども、こういう方法があったらどうしますかといったら、それはうれしいと。もう我々みたいな零細企業は、不動産といったって、そんなに価値のあるものじゃない。けれども、私たちが融資を受けたいと思ったときには、やはり百万でも二百万でもプラスアルファできたらというふうな要望が多々ございました。 こうした手法で、中小企業の新たな信用創造のために、都の制度融資において動産担保の活用を図るべきだと私は思いますけども、どうでしょうか。 ▼産業労働局長 都はこれまでも、制度融資における無担保融資枠の拡大などの取り組みに加えまして、CLO、CBOによる債券発行やファンドの創設による直接金融的な手法の活用、さらには新銀行東京の設立など、中小企業金融の多様化に積極的に取り組み、資金供給の円滑化に努めてまいりました。 動産を担保として活用する融資につきましても、金融手法の多様化を促進するものと考えております。 このため、担保価値の評価方法や担保の管理及び処分の手法の確立などを含め、制度融資における動産担保の活用につきまして、金融機関による取り組み状況等も見きわめながら適切に対応してまいります。 ▼橘委員 ただいまの答弁は、実現に向けて取り組んでいきますよという、そういう気持ちが十分込められていると受けとめました。特に経営基盤の弱い中小企業にとっては、これは力強い支援策となりますので、どうか早期実現に向けて取り組んでいただきたいことを要望しておきます。
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■産業振興 |
▼橘委員 次に、ものづくり産業の支援について伺います。 来年度の都の重点事業の一つに、戦略的産業力強化プロジェクトが盛り込まれております。この中で、産業支援拠点の再整備について、区部及び多摩地域に新たな産業支援拠点を整備するとし、区部では産業技術研究所の北区西が丘庁舎と世田谷区にある駒沢庁舎を整理統合し、新たな産業支援拠点をつくるとしております。 まず、産業支援体制の再編整備の必要性が、今この段階で生じた理由について伺います。 ▼産業労働局長 世界的な技術競争にさらされている中小企業の切実なニーズにこたえるべく、産業技術研究所では専門職員や高度な機器を集中し、環境、デザイン、ITなど、今後の成長が期待される分野を中心に、高度な支援サービスを提供する体制づくりが喫緊の課題となっております。 また、西が丘庁舎や駒沢庁舎は、建築後約四十年が経過し、施設設備の老朽化が進み、維持管理費が増大しており、早急な建てかえや、新たな機器の整備が必要となっております。このため、分散している各庁舎の機能を見直して整理統合し、産業技術研究所の再編整備を行い、効率のよい支援対策を構築してまいります。 ▼橘委員 再編統合によって施設、機器の一新と効率のよい支援体制を構築するという、そういった趣旨でございますけれども、その点には私は大いに期待しますし、賛成でございます。 新たな支援拠点においては、支援機能が変わるのか、区部の新たな拠点の設置場所はどこになるのか、現在あるところに建てかえするのか、また別のところになるのか、そういった不安が中小企業者の中に少なからずあります。 私の地元である板橋区を含めた城北地域のものづくり産業は、工場数、従業員数、製造品出荷額においても都内有数の地域となっております。それを支えてきたのは、企業努力によるものであることは当然として、城北地域にある北区西が丘にある産業技術研究所の存在も見逃すことはできません。 この研究所の施設を活用している中小企業者に聞いてみますと、こんな声が寄せられていました。技術相談、検査、実験などで大きな成果を得たといった評価や、産業技術研究所で行われる異業種交流、情報交換、セミナー等は、製品開発の新たな発想、販売ルートの開拓に大いに役立っているとの感想、さらには、中小企業者同士の交流の場を頻繁に持つことができるのも、仕事を終えて駆けつけることができる距離に産業技術研究所があるおかげですといった声もありました。 こうした生の声というのは、産業技術研究所が地域のものづくり産業にとって大きな支えとなっていることを如実に物語っております。現在、区部の城南、城東地域には中小企業振興センターが配置されて、地域の産業振興の大きな支えになっていると聞いております。 城北地域のものづくり産業の重要性と、地域内の企業や区の要望を踏まえ、産業支援拠点の整備に当たっては、ものづくり産業支援の空白地域を生じさせない、そして、ものづくり産業に携わっている人たちの気持ちの支えとなるような基本軸が重要であると私は考えております。この点について、基本的な認識を伺います。 ▼産業労働局長 東京のものづくり産業は、東京の産業を支え、日本の経済を牽引する重要な役割を果たしておりまして、その九九%が都内各地の中小企業によって担われております。 一方、ものづくり企業は日進月歩の技術革新や製品開発が求められておりまして、こうした中小企業の一層高度化するニーズに的確にこたえていくためには、産業技術研究所を整理統合し、より機能を強化した中核的支援拠点を整備する必要がございます。 また、同時に、区市町村との連携のもと、地域特性に応じた技術、経営支援体制も重要でございます。現在、外部の有識者から成る検討委員会の意見などを踏まえまして、拠点整備のあり方や立地について検討を行っているところでございます。 ▼橘委員 現在検討中ということで、詳しくはもうお話しできないと思いますけれども、いずれにしても、城北地域を産業支援の空白地域にしないという、そういったことを前提にして、拠点整備を進めていただくようにお願いいたします。
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■住宅等の災害対応 |
▼橘委員 次に、災害対策に関連して、住宅関連の問題、それから建築物の耐震問題などについて幾つか質問いたします。 まず、災害時における公営住宅の目的外使用についてであります。 先月、都が発表した首都直下地震による被害想定の中間報告によりますと、東京湾北部でマグニチュード六・九の地震が発生した場合、家屋に限っていえば二十四万棟が全壊すると想定され、それが現実となれば避難生活を余儀なくされる被災者の住宅確保が大きな課題となります。 そこで、まず震災も含め大きな災害が発生した場合に適用される災害救助法に基づいて、避難した住民の一時的な居住場所として、東京都が確保できる住宅には何がありますでしょうか、お答えください。 ▼都市整備局長 災害救助法では、災害に際して救助の種類の一つとして、収容施設の供与を挙げております。その内容は、厚生労働省の告示において、避難所や応急仮設住宅と定められております。都では、これに基づき避難住民の一時的な居住場所として応急仮設住宅を設置することとしております。 なお、応急仮設住宅につきましては、その設置にかえて、民間賃貸住宅の借り上げによることもできるとされております。都でも活用しているところであります。 ▼橘委員 今の説明によりますと、災害時に提供されている都営住宅や公社住宅、これが含まれておりません。しかし実際は、災害時には一時的な居住場所として、都営住宅や公社住宅などを都が確保し、無償で提供してきております。 記憶に新しいものでも、平成七年一月の阪神大震災の被災者受け入れで、都営住宅、公社住宅三百九十四戸、平成十二年六月の三宅島噴火による全島避難の島民受け入れでは、都営住宅、都民住宅、公社住宅など千八十七戸、この数字は、平成十六年八月末現在の数字でありまして、入れかえが結構あったそうですのでこういう数字になっておりますけれども、それから、平成十六年十月の新潟県中越地震の際の受け入れで都営住宅五戸、昨年九月の都内の水害の際の受け入れでも、公明党の提案で初めて水害被害者に対して都営住宅十四戸を提供した実績がございます。 ところが、それらの公営住宅の提供は法律に基づいたものではなくて、人道的な立場から、災害時の緊急避難措置、つまり公営住宅の目的外使用であります。つまり、任意にその都度の判断で提供しているという、そういうふうな受けとめ方になってよろしいんでしょうか。 ▼都市整備局長 公営住宅等の一時提供は、法に基づく応急仮設住宅ではなく、また本来の公営住宅等としての使用でもなく、行政財産の目的外使用に当たります。用地確保の手間が不要であること、居住性にすぐれていること、長期間の避難生活に耐えられるという特性を備えていることから、都ではこれまでも災害が発生した場合に可能な範囲で戸数を確保し、被災者に提供してまいりました。 ▼橘委員 今答弁にありましたように、災害時の公営住宅などの提供というのは、実態としては、それが行政対応としては当たり前のように普遍化しておりますけれども、災害時の目的外使用した場合、その制約、課題というのはどんなものがあるか、具体的に示していただけますでしょうか。 ▼都市整備局長 災害時における公営住宅等の一時提供は、災害救助法に位置づけられていないため、財政面における保障がない状態に置かれております。このため、応急仮設住宅の建設の場合は、最大九割の国費が支出されるのに対して、公営住宅等の一時提供につきましては、家賃並びに退去後の修繕費などについて、すべて提供した自治体の負担となっております。 ▼橘委員 今の答弁でも明らかでありますけれども、法律で規定されていないということは、東京都だけでなくほかの自治体も同じ課題を抱えていると思われます。例えば、都民が被災して隣接する県の公営住宅に入居した場合、その負担というのは、すべて県の負担となると。そういった現状というのは、困っているときはお互いさま、それから人道的措置であるといった日本人的な感性、これで判断されているように思いますけれども、ところが、この災害時というのは、そういった対応だけでは済まされない事態も懸念されてきます。 例えばの話ですけれども、うちの県ではこの程度の住宅を確保できるんだけれども、費用の負担、その後の修繕費とかさまざまなことを考えると、ちょっと負担が大き過ぎるなと。少し抑えた数で勘弁してもらおうかとか、そういったこともなきにしもあらずだと思います。こういった災害時の対策の課題にあいまいさを残しておくと、結果的には被災者を苦しめることにもなりかねません。 そこで、災害時の目的外使用には、法的な規定あるいは一定のルールを整備する必要があると思います。都の対応について伺います。 ▼都市整備局長 都は、三宅島噴火、新島・神津島近海地震災害に伴い、平成十二年十月から、国に対して災害のために提供いたしました公営住宅等に関する財政支援を要望してまいりました。さらに、平成十七年六月からは、災害時における公営住宅等の一時提供の法的な位置づけの明確化について強く要望してきております。 これを受け、平成十七年七月には、政府中央防災会議におきまして防災基本計画が修正され、公営住宅等の活用の位置づけについて一部前進が見られました。 ▼橘委員 防災基本計画の一部修正で、国の対応は一歩前進したといった趣旨の今の答弁だったと思いますけれども、実際は、負担の面では実態として変わらないわけです。知事は常々、国と調整して、国がまずやらなければ進まない問題がたくさんあるんだという趣旨の話をよくされておりますけれども、この問題も国の判断がネックになっている、その問題の一つであります。 災害時の応急住宅対策は、安全・安心につながる重要な課題であります。いつまでも慣習的に対応できるものではありません。大きなほころびが出ないように、早急に国との調整を決着させ、いざというときには迅速に、予算の面でもちゅうちょなく提供できるようにすべきであります。改めて都の方針を伺います。 ▼都市整備局長 災害時における公営住宅等の一時提供の位置づけの明確化は、災害時において都民の居住の安定を図るという観点から、非常に重要であると認識しております。 これまでも私自身、機をとらえて国土交通省住宅局長に強く要請してきましたし、国においても検討をしていると聞いております。今後も国と調整を図りつつ鋭意検討を重ね、課題の解決に向けて努力してまいります。 ▼橘委員 よろしくお願いします。 災害への対応に関連して、建物の耐震化について若干伺います。 都内の企業経営者からは、旧耐震基準のビルやマンションの倒壊を危惧する声がたくさん出されております。今回の被害想定の中間報告でも、およそ五千七百棟のビルが倒壊するとありますが、一部の専門家からはとてもそんなものでは済まないんじゃないかという、そういった指摘もございます。 そこで都は、業務ビル、マンションなどの耐震診断、耐震化の促進に向けて、民間も含めてプロジェクトチームや検討会を立ち上げて取り組むべきであると考えます。見解を伺います。 ▼都市整備局長 建築物の耐震化を推進するためには、関係各局や民間事業者などさまざまな関係者との連携が必要であります。病院、百貨店など不特定多数の人が利用いたします民間建物、建築物につきましては、既に耐震改修促進連絡会を設置し、関係団体に対し改修の促進を要請してまいりました。 また、都は、平成十八年度に耐震改修促進計画を策定する予定であり、そのため、昨年設置いたしました関係各局で構成する建築物の耐震化促進検討会を発展拡大してまいります。今後とも、これらの場を活用して、耐震化の促進に取り組んでまいります。 ▼橘委員 次に、病院の耐震化について伺います。 厚生労働省は、今後、民間病院の耐震診断、工事の補助をしていく動きがあります。また、災害拠点病院については、今までの基準を厳しくして、すべての建物の耐震化を検討していくようであります。 都内の状況を考えるときに、まず何よりも都立施設が民間に先駆けて対応できていかなければならないと考えます。 そこで、まず都立病院の耐震状況と対応についてお伺いします。 ▼病院経営本部長 都立病院では、新耐震基準施行前に建設された建物の耐震診断を既に平成五年度から十二年度にかけて実施しております。その結果、総合病院につきましては、すべて望ましい耐震性能を有しており、安全性は十分確保されていると考えております。 その他の病院では、老朽化等により耐震性能にやや問題がある建物が一部存在しておりますが、患者の安全を確保するために必要な維持補修を行いながら、今後、順次計画的に整備していくつもりでございます。 ▼橘委員 公明党は、昨年の第四回定例会におきまして、病院の防災対策について実態調査すべきであると主張し、東京都医師会の協力のもとに調査を実施するとの答弁をいただいております。 調査の結果に基づいて、災害拠点病院の耐震化の状況と、耐震化促進の支援策を明らかにしていただければと思います。 ▼福祉保健局長 都内全病院の調査結果につきましては集計中で、さらに精査が必要でございますが、災害拠点病院六十五病院について申し上げますと、すべての建物が新しい耐震基準を満たしているものが三十五病院でございます。一部の建物が基準を満たしていないものが二十六病院、すべての建物が基準を満たしていないものが四病院となっております。 都では、民間の災害拠点病院に対しまして、耐震補強等に要する経費について補助を実施しておりまして、基準を満たしていない病院に対しましては、この制度を活用するよう働きかけてまいります。 ▼橘委員 これは確認でございますけれども、耐震改修促進計画の中で、民間病院の耐震化はどのように位置づけられているのか、簡単にご説明をお願いします。 ▼都市整備局長 公共の病院と同様、民間の病院も震災時には救護などの面で重要な役割を担うと考えております。このため、今後、耐震改修促進計画を策定する中で、民間病院の耐震化の取り組みについて、関係団体や区市町村などと協議しながら検討を進めてまいります。 ▼橘委員 先ほど補助金の話が出ましたけれども、耐震化のポイントは、どうしてもその資金にあります。民間病院への補助金については、国土交通省や厚生労働省でも補助金を用意する方針のようです。これを東京都でも活用すべきと思いますけれども、都の所見を伺います。 ▼福祉保健局長 災害拠点病院を除く民間病院につきましては、これまで医療施設近代化施設整備費補助を通じ、耐震化を促進してまいったところでございます。 このほど建築物の耐震改修の促進に関する法律が改正されたことに伴いまして、国は新たな補助制度を設けることとしておりますが、現時点では、その詳細が明らかではございません。 都は、今後、これら国の動向もとらえながら、民間病院における耐震化促進について適切に対処してまいります。
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■水道水の安全管理体制 |
▼橘委員 次に、東京の水道水の安全管理体制についてお伺いします。 東京の水道水は、かび臭くてまずいといった声もたまに耳にしますけれども、私はそうではないと思います。結構おいしいなというふうに思っております。知事の机の上に置かれている水も結構おいしいかなと思います。 水道水の安全性確立については、公明党が一貫して取り組み、今ではペットボトルで販売されるほどの水道水をつくる、そういった水準になっております。その強力な後押し役を公明党が担ってきたなというふうに自負しております。 さて、水道の安全性、水質については、水道局の水質センター、ここで厳重に管理しているわけですけれども、ここでは国際規格も取得しているということですけれども、この取得した検査対象項目の、これはまだ一部にすぎないというふうに聞いております。 そこで、水質センターの検査は、チェックする物質について国際規格の対象をもっと拡大すべきであると私は思います。また、それと同時に、家庭の蛇口に近い浄水場においても、この国際規格を取得するなどの品質管理の強化が必要であると考えますが、見解を伺います。 ▼水道局長 水質検査につきましては、検査結果を高いレベルで客観的に保証する国際規格の認定を、全国の水道事業体に先駆けまして平成十六年三月に水質センターで取得をしております。 この認定は金属類の検査についてのものでございますが、ご指摘を踏まえまして、今後は平成十八年度中にトリハロメタンなどの揮発性有機化合物の検査につきましても認定を取得してまいります。 また、多摩地区二十五市町の水質検査を担当しております多摩水質試験室におきましても、同様の認定を取得してまいります。 さらに、水質検査に加えまして、浄水過程における品質管理の国際規格につきましても、平成十八年度中に三郷浄水場において認証を取得するとともに、他の浄水場におきましても同等の管理を行うなど、浄水過程の品質管理に引き続き万全を期してまいります。 ▼橘委員 国際規格の取得というのは、非常に水の安全・安心にとっては客観的な証明となりますので、大変重要かと思います。 世界保健機関、WHO、これは水の安全計画というものをやっておりますけれども、この計画に対する考え方、今後の取り組み、これを簡単にお願いいたします。 ▼水道局長 水安全計画は、WHOが平成十六年九月に改訂しました水道水質ガイドラインの中で提唱されたものでございます。この計画は、水源から蛇口までのすべての過程におきまして管理の向上を図るため、予測可能な事故等の対応策をあらかじめ整理することで未然に危害を回避するという、米国NASAのアポロ計画で宇宙食の製造過程管理の手法として考案されたHACCPの考え方を取り入れたものでございます。 この計画を策定し、実行していくことで、安全性のより一層の向上や技術レベルの維持を図ることが可能となります。また、これにより、東京水道に対する都民の信頼をより確かなものとしていきたいと考えております。 このため、平成十八年度から東京版の水安全計画策定に向けた準備を行い、十九年度中に計画を策定してまいります。 ▼橘委員 今、答弁さまざまございましたけれども、東京の水道水というのは、これは本当に世界水準、世界トップクラスの安全、それからおいしさを誇っているかと思います。けれども、それでもまだ都民の中には、本当に大丈夫かなといった声もあります。これはやはり宣伝をしていく必要があるかと思います。これだけの努力をなさっているんですが、大いに誇りを持って宣伝していった方がいいと思います。 実は、これは私の家の水道使用量の検針票なんですね。今月の分でございます。これに、裏には、引っ越しの際はご連絡くださいという、こういった印刷がしてあります。ここの部分を使って、東京の水は国際規格にのっとって、これだけの安全性を誇っているんですよ、おいしいんですよということを、これを使って宣伝していってはどうかと思います。多くの方が、家庭の主婦の方、いろんな人が大勢見てくれると思いますので、そういったちょこっとした工夫ですけれども、安全・安心につながると思いますので、どうでしょうか、これは工夫できませんでしょうか。 ▼水道局長 検針票は、水道メーターの検針を行った際に、使用水量をお知らせするため、すべてのお客様にお渡ししているものでございます。こうした検針票を使用いたしまして、国際規格の取得についてお知らせするなど、水道水の安全性をPRすることは、安心して水道水を飲んでいただくために大変有効な方策と考えております。 このため、検針票の活用について、ご指摘のとおり、よりわかりやすい工夫をした上で、早急に実施できるよう準備に取りかかってまいります。
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