中嶋義雄(公明党) |
■財政施策 |
▼中嶋委員 都議会公明党を代表しての総括質疑をさせていただきたいと思います。 何かと話題の多い本会議でございました。きょうは予特もストップまでして、にぎやかな出だしになりまして、オリンピックが最大の話題になっております。しかし、考えてみれば、オリンピックが話題になっているのも、その背景には都の財政の、まあ、健全化しつつあると、こういう背景があると私は考えております。 都はこれまで七年間、二度にわたり財政再建推進プラン、これを策定して、都財政の立て直しに全力で臨んできたと、我々都議会公明党も議会において行財政改革に全力を傾注してきたと、こういう思いがございます。しかし、最近、都財政は確かに健全になった、また一方で、都税収入も増大した、その二つから、都の財政再建は達成できたなどと判断する向きも一部にある、こういわれております。私はまだそうは思いませんが、そこで最初に、都の財政再建の現在の状況認識を明らかにしていただきたいと思います。 ▼財務局長 平成十八年度予算でございますけれども、特別な財源対策を行うことなく編成することができ、巨額の財源不足を解消するというプランで掲げた数値目標につきましては実現ができたと考えてございます。 ただし、財政再建の最終的な目的は、単なる収支の均衡にあるのではなく、中長期的に安定した行政サービスを提供できる持続可能な財政を実現することにあると考えてございます。 こうした目的に照らしまして、さらに今後の少子高齢、人口減少といった社会構造の大きな変化が財政運営にもたらすさまざまな影響を考えれば、現在の状況は一区切りがついた段階にすぎず、財政再建の取り組みはまだまだ進めていく必要があると考えてございます ▼中嶋委員 現段階はあくまでも区切りである、こういう判断でありました。確かに、人口減少あるいは少子高齢社会の本格化、あるいは都市の更新経費の増加、今後、都財政には懸念材料が多数存在すると思います。また一方で、税の増収があれば、ある程度は基金に積み立てて、将来の変動に備えていく。これは財政運営のイロハであります。ところが、一部に、再びばらまきに戻すかのような発言があります。こうした都の財政再建に対する取り組みに水を差す動き。 共産党はこれまで、実は、私は、予算委員会のたびに共産党に物を申しておるわけで、いいかげんもうやめたいんですが、相変わらずおかしな批判をするものだから、これはいわざるを得ない。今回も、福祉切り捨て、弱者いじめ、大型開発の拡大などと、都民に誤解を与える誤った宣伝をしていると私は思います。 そこで、二問目、都の財政再建の取り組みは、共産党が主張するように都民サービスの切り捨てなのかどうか、具体的な事例、数字を挙げて明確に反証すべきであると思います。答弁を。 ▼財務局長 東京都には、都民福祉の増進に向け、さまざまな施策の充実発展に努めていく責任がございます。今後、かつてのような経済成長が見込めない中、時代や社会状況の変化に合わせ施策を見直すことは当然の対応であり、こうした財政再建の取り組みが、新たな施策の展開に必要となる財源を生み出すことになります。 具体的には、例えば介護保険の導入等を踏まえ、老人福祉手当の見直しを行う一方で、痴呆性高齢者グループホーム整備や都独自の認証保育所の設置などの施策の充実を図っております。また、投資的経費は、財政再建推進プラン着手前の平成十一年度と十八年度を比較すると、九千七十四億円から六千四百七十三億円へ、二千六百一億円を削減しております。 財政再建の取り組みは、中長期的に安定して都民サービスを充実するために行うものでありまして、都民サービスの切り捨てであるとは考えてございません。 ▼中嶋委員 投資的経費が、平成十一年度と比較すると十八年度予算は二千六百億円も削減。大型開発優先どころではありません。そしてまた、もう一方で、十八年度予算における福祉関係費の予算額と構成比、その水準について、従来との比較、これも明確にしていただきたいと思います。 ▼財務局長 平成十八年度の歳出目的別内訳における福祉と保健の予算額は七千六百億円、構成比は一八・二%でございます。これは十七年度予算と比べると、額にいたしまして三百二十五億円、率にして四・五%増加しており、さらにさかのぼる中で比較を申し上げますと、十八年度の福祉と保健は、予算額、構成比ともに過去最高の水準となってございます。 ▼中嶋委員 予算書を見れば明らかであるにもかかわらず、いいがかりをつける。これも本当に困ったものだと思います。 福祉の充実は、単に予算の額だけではなく、中身が重要であることも十分に承知しておりますが、まあ、それでも、額、構成比ともに過去最高であることは明らかであります。(発言する者あり)ちょっと聞いてなさいよ。 共産党もその点は認めざるを得ないのか、代表質問ではこんなことをいっている。三位一体改革の影響を除くとなどと、自分たちの都合のいい結果が出るよう、数字をいじって、福祉予算が実質減額された、こんな主張を展開した。しかし、これは節操がないといわざるを得ません。 かつて、共産党は、平成十五年の予算特別委員会で、当時の木村委員がこういっている。議会で議決した数字というのは、勝手に動かすわけにはいかないんです、福祉費として、こう発言している。つまり、議案の数字が重要と強調している。そうであるならば、今回も、議案における福祉関係費の増を尊重して議論すべきであります。にもかかわらず、なぜ、三位一体関連を除けばなどと、議案の数字に操作を加えるのか。平成十五年の主張と全く逆のことをいっている。共産党は、その時々によって数字を都合よく使い分けている。 そういう指摘の上で、福祉保健局長に伺うが、共産党は、福祉関係費は三位一体改革による増を除くと減になっている、こう主張していますが、これは事実かどうか、答弁していただきたいと思います。 ▼福祉保健局長 三位一体改革などの制度改正による予算への影響は、予算が増額となる、いわゆる当然増だけではございません。予算が減額となる当然減とがございます。したがって、一方の当然増のみを取り上げるのは正確ではございません。 平成十八年度の福祉保健局の予算案におきましては、当然増として国民健康保険財政調整交付金や児童手当負担金などがございまして、当然減としては介護予防地域支え合い事業や社会福祉施設の整備費補助などがございます。これらのことをすべて加味した場合、私ども福祉保健局の予算額は実質的に約三十五億円の増となってございます。 ▼中嶋委員 当然減と当然増がある、当たり前の話であって、それを計算に入れても、福祉保健局だけでも三十五億円の増。さらに、病院会計等を加えて、福祉保健関連では三百二十五億円の増。一体どこをとって福祉切り捨てなどとたわ言をいえるのか。大変に不思議であります。 さて、共産党は、さらに老人保健施設や特養ホームの整備状況のみを取り上げて、東京の高齢者の福祉水準が大後退などと勝手に結論づけております。 再び福祉保健局長に伺うが、都における高齢者の在宅サービスの状況について、具体的な指標を示して明らかにしていただきたいと思います。 ▼福祉保健局長 介護保険制度は、すべての高齢者が介護を必要とする状態になりましても居宅で自立した生活を実現するという在宅重視の理念を掲げております。こうした中、介護給付費総額に占める在宅サービスの給付額が全国ではいまだ五割未満であるのに対しまして、東京都では約六割となっておりまして、高齢者の地域生活を支える在宅サービス提供基盤の整備が着実に進んでいると考えております。 具体的な内容を見ますと、例えば在宅サービスの核ともいえる訪問介護の費用は、平成十六年度では利用者一人当たり年間で約五十万円となってございます。これは全国平均である約二十九万円を大きく上回り、全国第一位でございます。 ▼中嶋委員 高齢者の福祉水準が大後退、こんな共産党の主張は、在宅サービスの充実を全く無視した一面的なものであり、欺瞞的であるといわざるを得ないと思います。 さて、共産党は、先日の清水ひで子議員の代表質問でこんなことをいっていました。二〇〇〇年度は福祉関係費の方が土木関係費より多かったのに、二〇〇四年度には土木関係費の方が百二十六億円も多くなった、まさに予算の逆立ち、などといっている。そして、翌日の赤旗の記事で、こんなグラフを載せている。コストがかかったけれども、カラーコピーをつくってまいりました。これが拡大。(パネルを示す)赤が土木関係費。住宅費を除く土木関係費と、こういっている、赤旗で。このグラフ。財務局長、このグラフ、正しいかどうか、きちんと検証してください。 ▼財務局長 結論から先に申し上げると、私どもは、このグラフには事実と異なる点があると考えてございます。それはグラフの注書きの中で、都市計画費を用いる旨を表記してございますが、二〇〇四年度は都市計画費ではなく、都市整備費を用いているという点でございます。平成十六年四月の組織改正によりまして、旧住宅局と旧都市計画局とが再編統合され、都市整備局が設置されましたけれども、この再編に伴い、財政上の科目も都市計画費と住宅費などを統合し、都市整備費を設定してございます。グラフの注書きでは土木関係費には住宅費は含まれていないものと記載されてございますけれども、確かに二〇〇〇年度、二〇〇二年度は住宅費が除かれているものの、二〇〇四年度の土木関係費は都市整備費をもとに集計されているため、旧住宅局の決算額が加えられた状態になってございます。その結果、注書きに反し、二〇〇四年度だけに住宅費が加算されたため、二〇〇二年度よりも二〇〇四年度の方が土木関係費が増加しているようになってございます。 ▼中嶋委員 これには都営住宅経営分を初め住宅費が入っているんですね。間違いです。それで、我々で計算したら、財務局長、全く答弁どおり、計算したらこうなった。(パネルを示す)この赤旗のグラフは大間違いであります。真っ赤なうそ。これはピンクだけども。 再び共産党と「しんぶん赤旗」が、故意かミスかわかりませんが、間違いだらけのグラフを掲載している。もしも故意であったら、大問題だ。昨年も指摘しましたが、こうしたやり口はいい加減にしてもらいたいと思います。 さて、知事は、都の財政状況に関して、徳俵から中央に押し返したとおっしゃいました。共産党の誤った喧伝に惑わされることなく、都民に真実を伝えながら、財政構造改革を最後まで実現していただきたいと思います。改めて知事の決意、あるいは思いをぜひともお聞かせ願いたいと思います。 ▼知事 都が進めてまいりました都政の改革は、一連の福祉改革に代表されるように、大都市東京の特性に合った都民サービスを充実させるため、積極的かつ前向きな取り組みであると思っております。この間の取り組みは、都議会を初め多くの都民のご理解を十分に得ているものと思っております。 ただ、相変わらず根拠のない非難が、一部というか、共産党で喧伝されているのは、残念というより、もはやうんざりでありまして、共産党が数字のレトリシャンか、マジシャンか知りませんが、共産党のいじくる数字の手品からはハトも一匹も出てこないと私は思います。一犬が幾ら虚をほえても、万犬は決して虚をほえ立てないと私は信じております。これはもう都民の良識であると思います。 それから、新たに会計のシステムも稼働いたしまして、都の財政状況など、これまでよりも速やかに、よりわかりやすく都民に示すことができるようになります。こうした財政の上での運営のツールなど活用し、あくまで事実にのっとり、正々堂々と議論しながら、引き続き財政構造改革を強力に進める覚悟であります。 ▼中嶋委員 それでは、財政に関連しまして、臨海副都心開発について質問したいと思います。 ちょうど開発着手から十八年、来年度からいよいよ総仕上げの十年間。先日もこんな「臨海副都心開発の今後の取組み-総仕上げの十年間」という資料がつくられました。行間から港湾局の若干の自信がにおってくるような文書で、頼もしく思いました。 この中で、都はこういっています。臨海副都心開発にかかわる五千二百億円の都債残高の償還に当たっては山が二つある。その一つが五年後の平成二十一、あるいは二十二年度。そこで二千四百億円の償還をしなければならない。これを乗り越えて、さらにその第一の山までに都債の七割、一番大きな問題だった都債の七割を償還して、平成二十六年度までには完済を目指すと、こう宣言された。 しかし、これはまだ試算の段階。本当に今から五年後に都債の七割を償還し、あるいは今後十年間、土地処分を前倒しで行って、会計収支の安定は間違いなく図れるのかどうか、改めて局長の所見を伺いたいと思います。 ▼港湾局長 今回の試算におきまして、土地処分収入は、企業の引き合い状況などから具体的に処分が見込めるものを手がたく積算しております。また、今後、区画の弾力化や転売禁止期間の撤廃などの処分促進策を検討し、臨海副都心へ企業がより進出しやすい条件を整えていくことによりまして、土地の処分が一層進むものと考えております。 さらに、新たな起債の抑制による金利負担の軽減や、収入、支出のさらなる見直しに取り組むことによりまして、今後五年間で都債七割を償還することは十分達成可能であると考えております。 また、都債の完済予定年度でございます平成二十六年度におきまして、約七百億円の黒字を目指しており、会計収支の安定については今後十年間を通じて十分な見通しと展望を持っております。 ▼中嶋委員 力強い答弁ではありますが、総事業費は、臨海副都心開発は二兆三千六百億円、大変なビッグプロジェクトであります。一部には、大規模開発のためにむだに税金を使っているなんという批判もございます。 ところが、平成十三年度の調査では、経済波及効果として約十四兆八千億円、これは総事業費のおよそ六倍という試算が出ている。また一方で、都民への還元ということでは、税収効果、ここにもやはり着目すべきであると思っております。 改めて伺いますが、最新の推計による経済波及効果の見通し、そして、臨海副都心開発への一般財源の投入額、そしてさらには、その結果による都税、国税の税収効果、これを都民に明らかに提示すべきであります。所見をお示し願いたいと思います。 ▼港湾局長 今回改めて経済波及効果等の調査をいたしました結果、景気の動向等も反映し、経済波及効果は十七兆三千億円、雇用創出効果は七十七万人となりまして、いずれも前回調査を上回っております。 また、投入事業費と税収効果との関係でございますが、臨海副都市開発の総事業費は、ご指摘のように、二兆三千六百億円でございまして、そのうち一般財源の投入計画額は三千七百億円でございます。 これに対して、税収効果は、まちが概成する平成二十七年度までの国税を含めた税収は約三兆円、そのうち都税は約八千億円と見込んでおりまして、いずれも開発の総事業費及び一般財源の投入計画額を大幅に上回っております。 また、今年度までの税収効果を実績値などに基づき積算した結果、国税を含めると一兆円、うち都税は一般財源の既投資額を上回る二千億円に達しており、既に投資した以上の効果が都民に還元されてきたものと考えております。 ▼中嶋委員 計画ベースでも総事業費や一般財源の投入計画額を上回っていると。さらに、実績ベースでも上回っていると。これが今の答弁でありました。 五年後には都債の七割について償還の見通しが立ち、また、既に一般財源投入額を上回る税収を実績ベースでも上げることができた。さらに、経済波及効果や雇用効果も拡大している。知事が、進むも地獄、引くも地獄と本会議でおっしゃった。よく覚えております。そのころとはまさに事態は変わりつつある。 もちろん気を緩めてはなりませんが、今後の臨海部のあり方について、また、東京における臨海副都心の今後の可能性について、改めて知事の所見を伺いたいと思います。 ▼知事 おっしゃいましたように、私が知事に就任した当時の臨海副都心開発は、バブル崩壊の試練を受けた最も厳しい時期にありました。都市の開発は長期的な観点から取り組むものでありますが、あのころ、国そのものがバブルに浮かれて、いろいろな間違いをしましたけど、東京都も結局その巻き添えで、えらい投資をしたわけでありますが、臨海副都心も、これまでの社会経済の変化に弾力的に対応しながら、さまざまな困難を何とか乗り越え、開発を進めてまいりました。その結果、今では年間四千万人を超える人々が訪れる魅力のあふれるまちに成長いたしました。 今後、臨海副都心を、多様な企業が活動する躍動感や、日本を牽引する最新の技術が集積する先進性、また、すぐれた水辺環境のもたらす潤いなど、さまざまな顔を持った世界に誇れる東京の有力な部分に育てていきたいと思っております。引き続き英知を集結して、時代の要請にこたえながら、着実に開発を進めてまいりたいと思います。 ただ、小さなことでありますけど、バスのストップなどが非常に不便にできていまして、ある部分は、大して満員でいつも走っているわけじゃありませんから、お客さんが声をかけたら、例えば毛利さんが館長をしているみらい科学館などは、バスストップがないから、あの前を車が過ぎてしまって、非常におりにくいので、そんなものも改良しようと思いますし、それから、今、かなり人が集まっております大江戸温泉村も、これは仮設でありますから、やがてあそこは立ち退くわけですけど、これもやっぱり非常に暗示的でありましてね。フジテレビが、去年の夏ですか、やりました、一種の遊園地のようなものも、また違った、形を変えて、この間、日枝社長に、私、知恵を授けるというと大げさですけど、あるアイデアを出しましたら、それは非常によろしい、ありがたいということで、奨学金をそれに優勝すれば獲得できるような、非常に簡単な、ただ、重力だけで坂を走る、昔、アメリカではやったんですけど、そういうものもあそこでフジテレビがやるようでございまして、そういうことで、若い人から、それを応援するお父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃんが集まるようになる、そういうまちにしていきたいと思っております。(中嶋委員「箱レース」と呼ぶ)箱レース、そうです。ソープボックスカー・レースだ。 ▼中嶋委員 私はF1レースを考えていたんですけれども、その前に、そっちの方がいいですね。ぜひ。 まあ、景気のいい話だけではないでしょうから、これからも局を初め、知事がおっしゃったとおり、細かなところにも気を配って開発を進めていただきたい。これは要望しておきたいと思います。
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■震災対策 |
▼中嶋委員 さて、次に、震災対策に触れたいと思います。 首都直下地震における被害想定の中間報告が公表されました。今回の被害想定では、国と異なり、マグニチュード六・九の被害も想定いたしました。これは我が党の提案でもございました。この地震は頻度と切迫性が高い地震であるだけでなく、建物の倒壊や延焼する地域、これが鮮明となり、地震に弱い地域の特性が浮き彫りになる。これが特徴であります。 まだ中間報告の段階ではありますが、今回の想定で明らかになった地域ごとの震度の違い、あるいは被害の相違などからわかる地域の特性などについて、できれば具体的に区名を挙げて現状での分析を示していただきたいと思います。答弁をお願いします。 ▼総務局長 中間報告の段階ではございますが、区市町村別のデータからは、地域特性として幾つか判明しております。 例えば、昭和五十五年以前に建てられた旧耐震基準の建物が多い台東区などは、震度六強を記録する面積が少なくても、建物の全壊率が高いことが明らかとなっております。また、震度分布がほぼ同じ荒川区と江戸川区を比較いたしますと、全面積に対する焼失面積の割合が小さい江戸川区は、道路・公園率が高いことも判明いたしました。 今後、最終報告が出され次第、さらに多方面から分析を加えまして、それをもとに対策を検討し、地域防災計画の見直しに反映させてまいります。 ▼中嶋委員 あくまでも想定ですから、何も被害が起きることをその区に望んでいるわけじゃないので、区の関係者の方は誤解をなさらないでいただきたい。 しかし、区別のこういう特性、被害の実態がわかって初めて意味のある対策ができるわけですから、さらに防災部、取り組んでもらいたいと思います。 そして、想定手法では国は一キロメートルメッシュでやったのに対して、都は二百五十メートルメッシュ。はるかに細かい。都全体が約二万八千に区分されております。はるかに詳細で正確なデータが出る。残念ながら、中間報告では地図情報のみで、データが発表されておりません。まさに今後区内の、あるいは市内の地域単位の対策を立てるためには詳細なデータが不可欠であります。 いつ公表するのか明らかにしていただきたいことと、それをもとにして、区市と共同して地域単位の対策の確立、検討、これを開始すべきであります。所見を伺いたいと思います。 ▼総務局長 最終報告は、区市町村別に整理をした内容といたしまして、今月末に報告をいたします。お話の二百五十メートルメッシュのデータは、最終報告後に整理をすることになりますが、できるだけ速やかに作業を進めまして、四月中には取りまとめていきたいと考えております。また、データがまとまり次第、各局や区市町村とともに、さらに地域特性を分析した上で、必要な対策について検討してまいります。 ▼中嶋委員 期待をして待っております。相当効果的できめ細かな対策が期待できそうです。 また、今回の中間報告の特徴は、外出者の行動に関するアンケートを行ったことであります。その結果、外出者約一千百四十四万人、そのうち何としても自宅に帰ろうとする人が約三百七十万、しばらくその場にとどまって様子を見る人が約四百二十万人、近くの駅に行って様子を見る人が九十五万人などとなっており、この結果は大変に興味深いと思います。 家族との安否確認、駅に集まった人たちの混乱防止、駅だけではなくて、駅の周辺も含めて。また、例の帰宅困難者問題など、さまざまな問題がすけて見えてまいります。 そこで、このアンケート調査の結果を踏まえて、新宿や東京などのターミナル駅、駅だけではなくて、駅周辺の広いゾーンも含めた外出者対策、これを早急に検討していくべきだと思いますが、あわせて所見を伺いたいと思います。 ▼総務局長 都は、これまで帰宅困難者対策といたしまして、事業者に対し、事業所防災計画に従業員やお客様の安全確保を盛り込むよう指導いたしますとともに、徒歩帰宅者の支援に取り組んでまいりました。 今回、新たに外出者の行動予測を行った結果、七百万人以上の滞留者の発生が見込まれております。このため、適切な行動を選択できる情報の提供や、一時収容場所の確保、ターミナル駅周辺の混乱防止など、外出者全体をとらえた幅広い対策の取り組みが必要でございます。 現在、帰宅困難者対策につきまして、東京商工会議所やJRを初め鉄道事業者などと検討しておりますが、今後は放送通信事業者や駅ビル、地下街の管理者、駅前周辺の主要ビルの管理者などの参加も得まして、検討内容を拡大し、地域防災計画に盛り込んでまいります。 ▼中嶋委員 中間報告の段階ではありますが、これからしっかりと対策編の検討をお願いしたいと思います。 実は、これは震災関連の最後で知事にお伺いいたしますが、自民、公明でアメリカ、ニューオーリンズに行かせていただきました。消防庁、警視庁を初め六局の方も一緒に行っていただいて、大変意味のある視察になったと、こう報告を受けております。いろんなことがわかりましたが、一つはFEMA。FEMAがいろいろな事情でなかなか機能できなかったという指摘があったそうでございます。そこで、阪神・淡路大震災でも、村山内閣の失敗で、非常に大きな被害が出た。今後、東京の一千三百万人都民の生命、財産を守るためには、都がやはり強いリーダーシップを発揮するしかないと思います。 そこで、これまで都は区市町村との連携、あるいは警察、消防、自衛隊との連携、さらには危機管理監を設置して、さまざまな対策に取り組んでまいりました。しかし、テロ、集中豪雨、直下地震、すさまじい守備範囲の広さがあります、危機管理には。 そこで、そろそろプロフェッショナルの能力と経験をいかに生かすか。そこで考えを進めていく必要があると僕は思っておりますが、危機管理、プロフェッショナルの能力をいかに生かせるか、知事の所見をやはり伺いたいと思います。 ▼知事 ご指摘のように、災害はテロも含めて、いつ、どんな形で突発するかわかりません。今日この時代に、果たしてそういった危機に対する本当の専門家がどこにいるかということになると、まことに難しい。結局、私たちはいろんな可能性というものを推測、分析しながら、それが突発したときにどういう連絡網をとり合って、力を合わせ合うかという、そのことが肝要だと思います。 そういう点で、たまたま私は九・一一のときに親友の佐々淳行氏とワシントンにおりまして、彼と現実にアメリカの--あのときはFEMAがありました。さらに大きな組織をつくったわけですけど、その対処を見て非常に感銘を受けましてね、帰って、政府に日本もFEMAのようなものをつくるべきだと建言しましたが、余り反応がございませんでしたので、首都圏だけのFEMAをつくりましてね。例えば神奈川県とか東京で問題が起こったときに、官邸との連絡網はあるんですけど、隣接した神奈川県と東京都の連絡網というのはないんです。埼玉県もないです。それを首都圏に関してつくりました。 そういう点で、いろいろなシミュレーションをやっておりますけれども、なおかつ、おっしゃったように専門家が要ると思いますので、就任してすぐ始めました自衛隊の三軍を使っての総合対策演習も、かつて北海道で日本で初めてこの演習をやって、クーデター計画だなんてばかな誤解を受けて、結局統合参謀本部の議長のいすを滑ったようですけれども、志方さんという非常にすぐれた元陸将を今参与に迎えて、いろいろアドバイスを受けながらやっておりますが、そういう点で自衛隊との連絡も非常に緊密、迅速になりましたので、そういう点では、神戸の地震のようなばかな過ちはせずに済むと思っております。 いずれにしろ、今後ともさまざまな専門的な能力や経験を一層活用しまして、いざというときに、いろいろな形で事故が起こるでしょうが、各部署、部署の迅速、緊密なネットワークを、とにかく連絡網をつくるということを心がけていきたいと思っております。 ▼中嶋委員 国では、内閣府で警視総監経験者を起用してやっているという話も聞いております。今の東京の危機管理監、大変頑張っていらっしゃいます。自宅にも帰らないで何年間も何年間も家族と離れて生活している、これは実は大変な激務なわけでございます。そういうことも勘案した上で、今後どういう人材を育て、どういう人材をどこに当てはめるかということで、ぜひ知事、いろいろお考えいただきたいと思います。 次に、震災に関連しまして、民設公園、さっき自民党から質問が出てしまったので、これ以上いえないんだけれども、私、世田谷区なんですが、祖師谷で、都立祖師谷公園の計画区域内で某総合商社のグラウンドがございました。ある日突然、戸建て住宅がばっと並んで、風景が一変してしまいました。その総合商社を責めるつもりはございませんし、そこに戸建ての家を買った人々に何か文句をいう気は全くございませんが、しかし結果的に、防災にもオープンスペースがなくなってしまった。さっきの答弁では、緑の空間、緑の空間とおっしゃいますが、このオープンスペースは大変防災効果も高いと思うんです。民設公園の一つの効用として防災効果、これもぜひ局では検討してもらいたいと思います。 同時に、先日六本木ヒルズに行って、開発についての説明を受ける機会がございました。広いゾーンで開発をしたために、ヒートアイランド対策も防災機能も向上したと説明を受けました。それから、隣接した防衛庁の跡地では、隣接公園との連携で緑の空間を確保したやはり開発が行われております。 一方、汐留では、単体のビルがばらばらに建ったために、風の道が遮られたなどと批判されていることもございます。 そこで、より広いゾーンで都市の開発を進めて、防災性能、さらにはオープンスペースを確保していく。ちょうど品川駅周辺でかなり広いゾーンにわたる開発が構想されていると情報をいただきました。だったら、その構想の中で、環境の視点に防災の視点を入れて総合的な開発を推進すべきであります。 今後の民間開発の東京におけるあり方、狭い地域ではなくて、一定程度の広いゾーンを指定して、整合的で合理的な民間開発を進めるべきだ。局の見解を求めたいと思います。 ▼都市整備局長 今お話しの内容は、品川駅周辺地域についてのお話だろうと思いますが、今後大規模な開発が品川では見込まれております。現在、快適な環境の確保だとかにぎわいの創出、基盤の整備など、総合的なまちづくりのための指針の策定に取り組んでいるところであります。この指針の中では、開発により創出いたしますオープンスペースと既存の運河などが一体的ネットワークを形成する方向で検討しております。 このような水と緑の空間というか、環境やにぎわいの創出に寄与するだけでなく、震災時には災害対策の面からも有用なものと考えています。 今後とも、大規模な、いわゆる東京における大規模な開発に際しましては、こうした防災対策なども含めた総合的なまちづくりに取り組んでまいります。 ▼中嶋委員 実は震災対策のところで触れようと思って、時間がないので省いたんですが、要するに住宅の耐震化もさることながら、中間報告でも約五千七百棟のビルが全壊する、こう指摘しているんですね。そんなものじゃ済まないだろうというのが専門家の見方です。何万、何十万というビル、マンションが崩れる。瓦れきの処理すらできない。大変な人的、経済的な被害が出てまいります。そういう問題に対処するためにも、広いゾーンを指定した上でのまちの更新、再開発は不可欠であると思っております。
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■福祉施策 |
▼中嶋委員 さて次に保健福祉の問題に移りたいと思いますが、最初に緊急課題が一つございます。 福祉保健局長、軽費老人ホームA型の入居者、利用料金が急増しちゃうんです。先日、東村山にある軽費老人ホーム、サンホームの森岡正代園長さんと公明党の谷村議員が面談してまいりました。その際、国の税制改正によって、収入が変わらないにもかかわらず、利用料が急増する問題があると、うちの谷村議員が園長から指摘されました。 そこでまず、軽費老人ホームの利用料の決定方法、それから国の税制改正の影響を簡潔に説明してください。 ▼福祉保健局長 軽費老人ホームA型は都内に十カ所ございますが、定員が七百十人でございます。六十歳以上の低所得の方が入居されておりまして、その利用料は、入居者の所得税額等に基づき、都が定める基準により決定されております。 今回、国の税制改正によりまして老年者控除の廃止等が行われ、所得税額がふえることにより、収入が変わらないにもかかわらず、利用料が増額となるケースがあるのは事実でございます。現在の入居者の収入を前提に試算いたしますと、約百四十人に影響があるものと予測しております。 例えば、一番影響の大きいケースについて申し上げれば、収入が年額二百五十万円の入居者の場合、月額七万七千七百八十円の利用料が十七万百八十円となりまして、年額に換算すると百十万円以上の増額となってしまいます。 ▼中嶋委員 おっしゃるとおりで、サンホームに行って谷村議員が聞いてきましたら、Aさんは現在月額六万二千七百八十円、これが二万円増の八万二千七百八十円。Bさんは、現在八万二千七百八十円が八万円増の十六万三千七百八十円。Cさんに至っては、六万二千七百八十円から、何と十万円増の十六万三千七百八十円。これは放置できません。 局長、次に、我々は先日この問題の申し入れを行いました、局長自身に。一週間以上もたっております。この利用料問題、どう対処するか、はっきりと答弁をお願いしたいと思います。 ▼福祉保健局長 軽費老人ホームA型の利用料は、家賃や食費等、生活全般にかかわるものでございまして、その大幅な増額は入居者への影響が大きいということは十分認識しております。このため、早期に検討を進め、新規入居者の利用料の設定方法や継続入居者の利用料の据え置きなどについて、必要な措置を講じてまいります。 ▼中嶋委員 据え置きを含めて必要な措置を講じると。ぜひ局長、関係者に早く周知を図っていただきたいと思います。皆さん不安ですので、ぜひともその点はよろしくお願いしたいと思います。 さて、オリンピックの招致決議が採択されました。いよいよすべてはこれからでございます。 本会議代表質問で、我々公明党はパラリンピックに触れました。それは、来るべきオリンピックは、バリアフリーのまちづくり、あるいはユニバーサルデザインのまちづくりにつながるものであるべきだ、こういう考えからでございます。しかし、実際はまだまだ課題は大変多い。まず、最も初歩的なバリアフリーである視覚障害者用誘導ブロック、いわゆる点字ブロックです。ようやく平成十三年にJISの規格統一がなされましたが、それまではすべて業者任せで、形状から色まですべてばらばら、統一がない。視覚障害者から苦情が出ております。 次に、やはり初歩的な歩道の段差解消。最初、段差のスロープ化に取り組んだのですが、これは狭い歩道で行うとスロープにゆがみが生じて、子どもが転ぶ、車いすも転ぶ、大変危険で、どうするかというと、東京都は例のセミフラット化、歩道と車道の高さを一緒にして段差をなくす、このセミフラット化。世田谷区内下北沢周辺でも何度も歩きました。なかなかぐあいはいいと思いますが、このセミフラット化も、歩道が整備されている都道は都内で千四百三十五キロメートル存在いたします。ところが、セミフラット化されている道路延長はわずか二十二キロメートルにすぎない。ほかにスロープ、段差解消はありますけれどもね。したがって、最も初歩的なバリアフリーである点字ブロックにしても、歩道の段差解消にしても、まだほんの序の口にすぎない、こういわざるを得ません。 したがって、今触れた点字ブロックと歩道のセミフラット形式への改善、バリアフリーの第一歩として今後どう取り組んでいくのか、まず最初に所見を伺いたいと思います。 ▼建設局長 都道における歩道のバリアフリー化は、福祉のまちづくりを推進する上で大変重要でございます。 いわゆる点字ブロックですが、これは、お話しのとおり、平成十三年に日本工業規格で形式の統一がなされております。このため、都は平成十四年から新規格により整備を進めておりまして、旧規格のブロックにつきましては、歩道の改善などの工事にあわせて順次更新を行っております。 また、歩道のセミフラット形式は、平成十二年の交通バリアフリー法により、駅と主要な公共施設などを結び、高齢者、障害者などが多く利用する道路で推奨されてきた構造でありまして、都では新設道路の一部において採用してきております。このたび国がセミフラット形式を道路構造の基本として定めるとともに、都におきましても平成十八年度から基準を改定し、セミフラット形式の歩道整備の促進を図ってまいります。 今後とも、安全で快適な歩行空間の確保に向けた道路整備に積極的に取り組んでまいります。 ▼中嶋委員 ぜひご努力をお願いしたいと思います。 実は、都内の公道の八八%は区道、市道なんですって。だから都道だけでは全然足りない、区道、市道も改善しなければいけない。これは、局長、答弁結構です、時間の関係で。ぜひ区市と連携して都内の公道の整備を進めていただきたいと思います。 ちょっと表通りを外れると、車いすも通れない、あるいは障害者用のトイレもない、こんなのではまるで映画のセットか張りぼてになってしまいますから、ぜひ八八%を占める区道、市道をどうするか、これも考えてもらいたいと思います。 したがって、区市の協力を得るためにも、東京が新たな福祉社会の都市のモデルを発信するという目標が必要だと思います。これは知事に伺いますが、したがって、知事は本会議でオリンピック施設はすべてバリアフリー化するとおっしゃいました。次は施設へのアクセス、あるいは施設を結ぶネットワーク、外国人であれ、だれであれ、一目で東京のバリアフリー化が進んだと、こういう構想のもとに、改めてオリンピックを契機に、ハード、ソフトにわたる東京の社会基盤全体のバリアフリー化を推進すべきであると考えます。 この項の最後に知事の所見を伺いたいと思います。 ▼知事 オリンピック招致に関しまして、東京がキャンペーンすべき東京の特性、美点というのはいろいろあると思います。その一つはやはり、まだまだ失われていない日本人独特のもてなしの精神だと思います。やはりそれは口だけではなしに、まちの対応として示さなければならないと思いますので、今おっしゃったハンディキャップを負うような人たち、あるいは言葉の不自由な外国人も割と自在に東京を行き来できる、そういう努力をすべきだと思いますが、今ご指摘のように、目抜きの大通りとかそういうところではなくて、一つモデル地域をつくって、ごくごくありふれたどこかの区のどこかの一角にそういうバリアフリーのゾーンをつくってみて、やはりそういうものを体験することでそれが東京全体に普遍していくのではないか。 しからばどこを選ぶかということは、皆さんそれぞれ、おれのところでやるということになるかもしれませんが、いずれにしろそういう試みをしてみたいなと思っております。 ▼中嶋委員 今の知事の答弁を受けて、担当局長はだれになるのかな、局でもしっかりと検討してもらいたいと思います。よろしく--多分お二人がやるんでしょう--違うのかな。 さて、バリアフリーに関連しまして、障害者福祉なんですが、障害者手帳です。 うかつにも私は知らなかったんですね。うちの松葉議員が発見したんですが、先ほど知事が答弁で触れた平成十二年の地方分権一括法で、これは見本ですけれども、障害者手帳、都道府県の裁量でつくれるようになっていたんですって。 以前からこの障害者手帳、不便だという声があったんです。つまりこれ、開かないと顔写真とか名前が出ないですね。考えてみれば当たり前なんですが、指の不自由な方に開けといってもこれは無理な話なわけで、表紙を見せれば済んでしまう、あるいはカード化してあげれば本当の意味でユニバーサルデザインですよ、これは。しかも、分権法で都道府県でできるとなっているんですから、だったら改善すべきだと思うんです。 ぜひこれ、検討だけではなくて実現してもらいたい。局の所見を伺いたいと思います。 ▼福祉保健局長 障害者の手帳は、各種の福祉サービスなどを受けるための証明となるものでございまして、その様式につきましては、ご提案のように利用者の利便性を考慮して、中を開かなくても障害者であることがわかるようにすべきというご意見も伺っております。その一方、プライバシーなどへの配慮から、表紙には障害の種別等を記載しない方がよいなど、障害者の中にもさまざまな考え方がございます。 都といたしましては、利用者や関係機関からのご意見を十分伺いながら、より使いやすいものとなるように、今後広い角度から手帳のあり方を総合的に検討させていただきたいと思っております。 ▼中嶋委員 小さなことだけれども、こういう都の努力が皆さん本当に喜んでくれるんです。ぜひ局長お願いしたいと思います。お願いというか、やってください。 次に、重症難病患者対策について伺いたいと思います。 ALS、筋萎縮性側索硬化症、以前、予算の復活要望のときに、知事のご友人がこれになったという話をお聞きしました。意識は明敏でありながら身動きがとれないという、一面大変つらい病気でございます。あるいは進行性筋ジストロフィー、筋ジスですね。人工呼吸器を利用して在宅で大変な療養生活を行っており、介護する家族も大変な思いをしていらっしゃる。 こういう在宅で人工呼吸器などを使用して療養している重症の難病の患者さんの実態、東京都はどのように把握しておられるのか、まず現状を明らかにしていただきたいと思います。 ▼福祉保健局長 都では、おおむね二年ごとに在宅で人工呼吸器使用の患者実態調査を実施しているところでございます。直近の平成十六年度の調査によりますと、患者数は二百十二名で、前回、十四年度の調査より五十一名、約三割増加いたしました。また、このうち人工呼吸器使用期間が五年以上の方は七十八名で、前回より十七名増加しております。 ▼中嶋委員 ともに三割増加、ふえているということですね。 それで、従来はこういう重症患者さんは病院等での生活を余儀なくされてきましたが、今後は医療ケアも提供されるようになり、在宅療養の方がふえてくると思われます。したがって、本人のみならず、家族の介護負担もだんだん増大していくことが十二分に予測されます。今のうちに、こうした現状を踏まえて、在宅療養の支援策をはっきりと打ち出すべきであると思いますが、いかがでしょうか。 ▼福祉保健局長 在宅療養を望む患者さんやその家族の方々が安心して地域で暮らせるためには、訪問診療を初め、訪問看護や訪問介護など、福祉、保健、医療の各分野にわたります在宅療養支援を充実させ、患者さんの生活の質の向上を図るとともに、家族の方々にも過重な負担がかからないよう療養環境を整備することが必要でございます。こうした観点から、引き続き在宅難病患者の支援体制の整備に努めてまいります。 ▼中嶋委員 そうなんですね。支援が必要だと。 では、具体的にまず第一に何が必要かというのが問題なんです。こうした重症難病患者の多くの方々は、訪問看護やホームヘルプサービスは受けることが可能だったんです。ところが、従来は通所系のサービス、いわゆるデイサービス、デイケア、これがだめだった。ところが、今回、去年の国の介護保険制度の改正で、医療ニーズと介護ニーズが必要な在宅の中重度の患者の方、この方たちも通所サービスを受けられるように、療養通所介護費を新たに設定したんです。したがって、今後は介護保険のサービスとして受けることが可能になった。今後は、こういう介護保険の改正を受けて、通所サービスを都は充実させてもらいたい、これが強い要望です。 公明党が復活予算要望をやりました。そうしたら、在宅難病患者通所サービス利用支援モデル事業、予算化を復活でしていただきました。この中で今後の通所サービスのあり方を考えるといっているんですが、できるだけ早くこのモデル事業を実施して、どこでやるかも含めて、さらにはモデル事業から制度の普遍化、全都でやってもらいたい、こう思っておりますが、ご答弁をお願いしたいと思います。 ▼福祉保健局長 本事業は、医療の必要性の高い重症難病患者の通所サービスのあり方を検討するため、介護保険など既存制度の通所サービス事業所に専任の看護職員を追加配置するなど、都独自の方法により実施するものでございます。来年度は都内二地区での実施を予定しており、早急にモデル地区を決定し取り組んでまいります。 都民が身近な地域で通所サービスを利用できる環境の整備に資するよう、今後、モデル事業の効果を十分に検証した上で、国に対し必要な提案要求を行っていくこととしております。 ▼中嶋委員 ぜひ一歩一歩、サービス、支援を前進させていただきたいと思います。 もう一点、例えばこうした難病患者の中には、筋ジストロフィーというのは小児期に発症するんですね。そうすると介護保険の対象にならないんです。これは大変な話でありまして、こういう小児期で発症する患者の方も、こうした事業で支援の対象とすべきであると。できることなら、介護保険の給付がないならば、都でも何らかの給付を考えてもいいと僕は思っておりますが、局長、いかがでしょうか。 ▼福祉保健局長 ご指摘のとおり、主に小児期に発症する進行性筋ジストロフィーなどの患者さんの中には、介護保険によるサービスが受けられない方もおられます。都としては、重症難病患者への支援の観点から、本モデル事業の対象にこうした方も含めることとしております。 ▼中嶋委員 続いて少子化、子育て支援に入りたいんですが、その前に男女平等参画について、ジェンダーという言葉の使い方をめぐって議論がございました。いろいろな議論がありますが、最低限、現代社会、現代の民主主義社会では、男女には生物学的には相違がある、あるいは物の発想や受けとめ方にも差異があるかもしれない。ただしかし、社会的、経済的、あるいは政治的な権利や立場は平等である、最大公約数でこういう認識は定着していると思います。 また、これは、女性の社会進出が極めて自然であり、かつまた当然である、もしも日本がそういう社会であったならば、今の少子社会における日本の出産のあり方とか考え方とは少しは違った形になっていたかもしれない、これはわかりませんが、そういう可能性もある。したがって、男女共同参画社会の実現は、二十一世紀の日本社会の大きな課題の一つであることは間違いない、こう思います。 そこで一点目は、国は第二次男女共同参画基本計画を閣議決定して、それに基づいて東京都も計画の改定が必要になります。これ、きちんと改定できるのかどうかが一点。 もう一点は注文です。二問あわせて質問いたしますが、もしもこの行動計画を策定するのであれば、男女共同参画の計画の中に、少子化対策あるいは子供を産み育てやすい社会の実現、そうした今日的な問題のアプローチもぜひとも組み込むべきであると思います。 この二点、局長答弁をお願いしたいと思います。 ▼生活文化局長 ご指摘のとおり、男女平等参画のための東京都行動計画は、平成十八年度までを計画期間として策定したものでございます。国において昨年十二月に基本計画を改定したことから、都においても、国の第二次基本計画の改定内容を勘案しまして、男女平等参画審議会の答申を踏まえ、来年度中に行動計画を改定する考えであります。 次に、行動計画の改定に当たっては少子化対策の視点を十分に踏まえるというお話でございますが、行動計画の改定に当たっては、現在の都の行動計画の進捗状況や国の改定内容を勘案した見直しを行う予定でございます。 国においては、女性の再チャレンジ支援、仕事と家庭の両立支援と働き方の見直しなど、男女が安心して子供を産み育て、家族としての責任を果たすことができる社会を形成するための施策等が重点事項として挙げられております。都としても人口減少、少子社会への対応は喫緊の課題であり、男女平等参画施策の推進は、少子社会・次世代育成支援にも貢献するものと認識しております。 ご指摘の趣旨を踏まえ、積極的に対応してまいります。 ▼中嶋委員 二問目も本格的な子育て支援の入り口の質問になりますが、子育て支援では、いうまでもなく育児休業制度が重要です。先日も、働く妻の職場に育児休業制度があれば出生率は三倍という発表、また新聞報道があったばかりであります。ところが、ある都の外郭団体では、育児休業をとった職員は人事評価が下がるとされて、育児休業をとりづらい雰囲気があるという話があります。これがもしも事実なら、これはほうっておけません。それじゃ意味がないわけですから。 今回の事例、これは監理団体の職員の問題ではありますけれども、監理団体を指導監督する立場にある都総務局ですか、都も、各職場で職員が育児休業などを取得しやすい、そういう環境をぜひつくっていただきたいと思います。 総務局長、答弁を。 ▼総務局長 次世代育成支援対策推進法の趣旨を踏まえまして、次代の社会を担う子どもたちが健やかに生まれ育つための環境を整備することは、特定事業主としての重要な責務と認識をしております。 これまでも都は、職員の子育てを支援するための取り組みを積極的に進めてまいりましたが、昨年三月には、五年間を期間とする東京都職員次世代育成支援プランを策定いたしました。このプランに基づきまして、育児休業制度等につきましても各職場の職員に適切に活用されるよう周知を図りますとともに、今後さらにこれらの制度の定着を目指して、職場環境の整備や雰囲気づくりに努めてまいります。 ▼中嶋委員 さて、公明党は、児童虐待の問題をほぼ毎年予算特別委員会で取り上げてまいりました。いうまでもなく、虐待問題は、発見、保護あるいは家族の再統合、三要素があります。 ここで、現在は保護にちょっとした課題がございます。三月三日付のこれは東京新聞ですけれども、保護、支援する児童養護施設が実は満杯、パンク状態にあると。都は定員を超える受け入れを要請している、こういう報道がございました。 そこで、都内の児童養護施設の実情はどうなのか、また、現在の保護の需要の動向と原因、この二点について局長答弁をお願いしたいと思います。 ▼福祉保健局長 都の児童養護施設では、その半数以上の施設が一〇〇%以上の受け入れを行っておりまして、本年二月一日現在における全施設の入所率は平均で約九八%となっております。このように施設入所の需要が高まっている要因といたしましては、家庭や地域の子育て力の低下を背景とした児童虐待の増加などが考えられます。 ▼中嶋委員 虐待の発生原因なんていう前に、だったら施設をふやさなくちゃいけない。平成十七年四月、次世代育成支援東京都行動計画というのをつくって、平成十九年度までにグループホームを六百人分、つまり百カ所つくると発表しております。本当につくれるのかというか、これは断じてつくるべきです。 そこで、現在の設置状況及び十八年度における整備を明らかにしていただきたいと思います。 ▼福祉保健局長 児童養護施設が設置運営するグループホームでございますが、本年三月一日現在、三十の児童養護施設が五十六カ所を設置しております。都は国に先駆けてグループホーム制度を創設いたしまして、これまでも家賃補助による支援を行うなど、拡充に向けた積極的な取り組みを進めておりまして、来年度には新たに二十カ所の設置を見込んでいるところでございます。 また、児童養護施設長会などあらゆる機会を通じて設置を要請しておりまして、未実施の施設に対しては個別に働きかけも行っているところでございます。 今後、こうした取り組みをさらに促進し、目標とする百カ所の設置に向けて努力してまいります。 ▼中嶋委員 グループホームが設置しづらい条件の一つが、職員の勤務体制。三人程度の職員が交代で六人の子どもと生活をともにしながらさまざまなことをやって、大変きつい、こういう話です。結局、例えば常勤二名、非常勤一名、そこにさらに補助要員をつけるとかそういう工夫をしないと、これ以上はなかなかグループホームがふえないというのが現場の実情だそうでございます。 そういう職員体制の強化、都の支援、これについてはいかがでしょうか。 ▼福祉保健局長 グループホームを運営している施設が、日ごろから工夫を凝らしまして児童の健全な育成に尽力されていることは十分承知しており、都としては、ご指摘の点について、グループホームのさらなる実態把握にも努めながら、運営体制の強化に資するよう、今後十分検討していくこととしております。 ▼中嶋委員 それから、これは国の問題ですが、家庭復帰などに取り組む専従職員の配置や、平成十八年度から心理職の常勤化などの措置が講じられておりますけれども、子どもと生活をともにする職員の配置は、例えば小学生以上については子ども六人に職員一人という基準が何と三十年間も据え置かれたまま、こういう状態だそうです。 都は、時代の変化に対応した職員配置とするよう国に強く求めてもらいたい、これが一点。 もう一点、学校で虐待を発見することがふえてきた。これは教育長、うれしい話なんです。学校は家庭訪問もやる、出欠もとる、身体測定もやる。ある意味で学校こそ発見しやすいんです。その学校で実は虐待を発見して、いろいろな問題処理につなげるケースがふえてきたそうです。改めて学校力を強化するために、虐待児に対する支援マニュアル、あるいは指導マニュアルなどをつくって学校に配布して、学校で活用して、学校力を生かす。この二点、福祉局長と、これは教育長になるのかな、答弁をお願いします。 ▼福祉保健局長 都では、児童養護施設の望ましい処遇水準を確保する観点から、これまでも職員配置につきまして、例えば三歳児の場合、四人の子どもに対して国は職員一人としているところを、都は二人とするなど、国基準を上回る措置を講じてまいりました。 今後、児童養護施設の職員配置について関係団体とも連携し、入所児童の状況を踏まえまして、きめ細かな対応が可能となるよう、国基準の改善について積極的に国に働きかけてまいります。 ▼教育長 虐待を受けました児童生徒に対しましては、心理的な安定を図りまして、学習のおくれを取り戻すことができるようにするなど、さまざまな支援を行っていくことが必要でございます。これまでも、学校におきましては、担任や養護教諭等がスクールカウンセラーや都の教育相談センター等の専門職と連携を図りまして、虐待を受けた児童生徒の不安や悩みを受けとめ、カウンセリングなどを行ってきたところでございます。 今後、都教育委員会は、ご提案の趣旨を踏まえまして、平成十八年度に、虐待を受けました児童生徒への支援のあり方に関する指導マニュアルを作成いたしまして、都内の公立学校のすべての教員にその内容の周知徹底を図りまして、虐待を受けた児童生徒を支援してまいります。 ▼中嶋委員 ぜひ学校力を生かしてください。 あと、関連しまして、子どもの不慮の事故対策について、公明党の伊藤興一議員、やはり一年生議員が本会議で取り上げたところ、幼児視野体験眼鏡に知事は大変関心を示された。中には、皆さん本会議場で見たんだけれども、余りふだんと変わらないといった局長がいるんですね。実は、子どもと高齢者の視野はほぼ同じだと。だから、変わらないといった人は高齢化が進んでいるんだから、だれだかいわないけれども。これはいいです。 しかし、この問題、眼鏡に関心が集まるだけでは意味がないと思っております。十二日の日曜日の夜、何とNHKが、私もよく見ている「NHKスペシャル」で子供の不慮の事故の特集番組まで組みました。さっきオリンピックに絡めてユニバーサルデザインということをいいましたけれども、当然ここには子どもたちにとっての移動、行動の安全・安心も含みます。これも子育て支援に関連し、あるいは福祉にも関連し、オリンピックにも関連した東京の新たなまちづくりの取り組みにもつながっていきます。 そこで、ちょっと強引なんですが、眼鏡に最も関心を示された知事に、ぜひ答弁を願いたいと思います。 ▼知事 先日の箱眼鏡は、非常に単純なつくりでありますけれども、我々が日ごろ気づいていない点をついた、非常に示唆に富んだものだと思いました。早速ですが、親子が集う児童施設に見本を置き、保護者への注意喚起を行うこととしたと答弁に書いてありまして、こんなものは紙一枚に印刷して配れば五円か十円なんですから、僕はただで配れといいますから。それで、組み立て方を書いて、一枚紙から親が切り抜いて、親が自分でのりづけしてつくれば、要するに親にも実感が伝わってくるでしょうし、早速そういうことにいたします。大してお金はかかりませんから。 このように、我々大人が当然と思って毎日を過ごしているまちのそこかしこに、実は子どもにとってならではの生命にかかわる危険が多々存在しているわけでありまして、これまでも子どもの安全を確保するため、安心して暮らせるまちづくりに取り組んではきましたが、ご指摘の内容を真摯に受けとめ、各局が連携しながら必要な施策を展開し、子どもたちが安心して成長できる社会の実現を目指していきます。 例の眼鏡は、早速、子供のいる家庭にただで配るようにいたします。 ▼中嶋委員 それから、これはちょっと先の話なんですが、認定こども園を実は文部科学省と厚生労働省が考えている。国は、認定こども園、幼児教育と保育を一元化した統合施設を考えています。今通常国会で、多分六月ごろに法案を通して、秋には法の施行に持ち込みたい、こんな意向だそうであります。いわば、従来からその必要性が指摘されてきた幼保一元化にいよいよ国もその一歩を踏み出す、こういっても決してオーバーではないと思います。 東京都は、この認定こども園をどのようにとらえておられるのか、まず所見を伺います。 ▼福祉保健局長 認定こども園は、親の就労の有無にかかわらず、就学前の児童に保育・教育を一体的に提供する機能と、地域における養育相談などの機能をあわせ持つ施設でございます。 利用形態は、利用者と施設が直接契約し、利用料も設置者が自由に設定する仕組みとなっております。この点は、都がこれまで国に対して提案してきました保育所制度改革と軌を一にするものと一定の評価はできると考えておりますが、認可保育所制度そのものの抜本的改革にはいまだに至っていないものでございます。 制度の施行は平成十八年十月を予定しており、今国会での法案成立後、国が定める指針をもとに都道府県知事が基準を定めて認定を行うこととなることから、今後関係局とも連携し、適切に対処してまいります。 ▼中嶋委員 我々も、これは文科省の担当課長を呼んで話を聞いたんですが、類型を四つに分けていると。四番目が地方裁量型、こういう話らしいんです。これはちょっと注目しているんですが、現状でこの地方裁量型、つまり、東京なら東京が自由にできる、その施設に国は財政措置を考えているのかどうか、簡単に。 ▼福祉保健局長 認定こども園には、幼稚園と保育所が一体的な運営を行うもの、幼稚園で保育も行うもの、保育所で幼児教育も行うもののほかに、幼稚園、保育所と同等の機能を有し地方の裁量で実施するいわゆる地方裁量型の四類型がございます。 このうち、幼稚園または保育所の認可を受けた三つの類型は、それぞれの施設の運営に係る経費についてこれまでと同等の財政措置が講じられますが、四つ目の類型の地方裁量型に対しては、国の財政措置は予定されておりません。 ▼中嶋委員 これ、実は多分、都独自の認証保育所が普及しています。国も法的に位置づけをしなくちゃいけないと思ったので、この地方裁量型を入れたんだと僕は想像します。これはこれでいいんだけれども、そこに財政措置をしないというのは、これは国の手落ちです。我々公明党もいいますが、ぜひ都も財政措置を求めてもらいたい。 それから最後の一点、区市が大変に関心を持っています。都に問い合わせても、どこに聞いていいかわからないというのが区市の担当者の声です。したがって、局の壁を超えて対応窓口をつくってください。これはいかがでしょうか。 ▼福祉保健局長 認定こども園に係る国の所管は、保育所については厚生労働省、幼稚園については文部科学省とされたままでございまして、それぞれ個別の手続が必要とされております。都は、関係局との密接な連携のもと、区市町村に対し適切な情報提供を行うとともに、事業に関するさまざまな相談に応じるなど、円滑な制度運営に努めてまいります。
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■地球温暖化対策 |
▼中嶋委員 さて、時間が迫ってきましたので、環境問題、地球温暖化について伺いたいと思います。 都は、昨年の第一回定例会で環境確保条例を改正し、地球温暖化対策、具体的にいえば地球温暖化対策計画書制度を強化すると。改正前の計画書制度によって提出された三年間のCO2の削減目標は、二%にとどまっていたと。これを強化したい、こういっておりました。改正後の各業者から出してもらう計画書の提出に当たっては、CO2削減目標の引き上げを指導したはずです。 そこで、新たな計画書の今後五年間の温室効果ガスの削減目標を数値で示していただきたいと思います。 ▼環境局長 改正後の新たな計画書制度に基づき事業者に指導した結果、温室効果ガスの今後五年間の削減率の目標は約六%となり、改正前の計画書より削減率が高くなっております。 ▼中嶋委員 局長、六%じゃよくわからないんで、具体的にCO2総量、その量はどんな量かというのをわかりやすく例示してくれますか。 ▼環境局長 六%のCO2削減率は、排出量でいえば約六十六万トンの削減に相当いたします。これは、一般家庭二十二万世帯から排出されるCO2の量に相当するものでございます。 ▼中嶋委員 この地球温暖化対策計画書制度、だんだん効果を発揮してきたように思えます。ぜひこの制度を洗練させていっていただきたいと思います。 それから、着目すべきはコンビニです。一つ一つのコンビニ店は小さい。小さいけれども、セブンイレブン全体で考えれば--これ、出しちゃいけないのか。まあ……。全体で考えれば大規模事業所なわけですから、個別のコンビニは対象にならなくても、チェーン店全体なら対象になるわけです。(「二十四時間営業だから」と呼ぶ者あり)そう、今いいこといった。二十四時間営業だから、なおのこと効果は上がります。これもこの計画書制度に組み入れるべきだと思いますが、見解はいかがですか。 ▼環境局長 ただいまお話しのような店舗は、照明や冷凍設備の効率性の向上など、省エネの取り組みの余地があると考えております。今後都は、業態に応じた省エネ対策メニューを作成し、提供していくとともに、これらの店舗における温暖化対策を促進する仕組みづくりを検討してまいります。 ▼中嶋委員 もう一点、提案があります。再生可能エネルギーに転換すると。よくグリーン購入といいますね。リサイクルを購入した購入。電気のグリーン購入というのがあってしかるべき。東京都は、昨年度から五%以上の再生可能エネルギーの利用を求める電気のグリーン購入を打ち出しました。ところが義務規定がない。義務規定がない。したがって、余り効果は期待できない、こういう声も聞いています。 そこで、改めて各事業所で再生可能エネルギーによる電力の購入、義務づけか何か、効果があるよう検討してください。見解はいかがでしょうか。 ▼環境局長 ご指摘のように、二酸化炭素排出量を削減するためには、省エネ対策の推進とともに、再生可能エネルギーの利用拡大を進めていく必要がございます。 今後、都の大規模施設への再生可能エネルギーの導入を強力に推進するため、電気のグリーン購入の明確なルール化を進めてまいります。 ▼中嶋委員 ぜひその明確なルール化のもとで、電力のグリーン購入を拡大していってください。ありとあらゆる手を総動員して地球温暖化に取り組んでいく、これが東京都のあるべき姿勢であると思います。
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■都民住宅 |
▼中嶋委員 それから、多分最後になっちゃいますが、本会議代表質問で民間施行型の都民住宅の問題点を取り上げました。空き家が多い。ここでは、都施行型の都民住宅、やはり空き家が多いんです。三宅島の人、それから耐震偽装の人にも一部提供されておりますが、空き家が多い。これも放置できません。 したがって、都施行型の都民住宅の空き家の状況をまずご答弁願いたいと思います。 ▼都市整備局長 空き家の状況につきましては、平成十七年十二月末の空き家率は二一・九%、前年度末の二三%に比べて若干の改善が見られます。 ▼中嶋委員 そこで、空き家解消のため、家賃の再検討、あからさまにいえば値下げですよ。やってください。答弁を。 ▼都市整備局長 都民住宅を適切に運営していくに当たって、住宅の使用料と市場家賃との均衡を保つことは重要なことだと認識しております。市場家賃との均衡を保つためには、住宅の使用料を定期的に見直す必要があることから、来年度、全団地について市場家賃調査を行い、その結果を踏まえて適切に対応してまいります。 都民住宅の募集については、現在「広報東京都」や新聞折り込みチラシなどによりPRを行っておりますが、今後は電車やバスの車内広告やオープンルーム開設団地の拡充などの工夫を行い、都民にPRを行ってまいります。 ▼中嶋委員 空き部屋を放置しておいてはもったいないわけです。もちろん、国の補助が切れたら都の持ち出しの部分が出てきますけれども、私は、ファミリー住宅、子育て支援のファミリー住宅に空き家を活用できないか、こう思っております。これはまだ詰めねばならない財政問題もたくさんありますし、恐らく財務は渋い顔をするでしょうから、今すぐ答弁は求めませんが、ぜひ都が持っている空き家を支援住宅に使っていただきたいことを最後に要望して、質問を終わります。ありがとうございました。
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