平成18年第1回定例会 一般質問

監査委員民間枠広げ制度改革を
都庁舎の夜間セキュリティーは

後藤雄一(無(行革110番))
■監査機能の充実強化と公用車
 
質問1
 監査制度について調べてみました。
 監査制度は、昭和二十二年、地方自治法の中に制定され、その後、時代の要請を得て、平成九年には外部監査の条項が追加され、外部の目が導入されました。
 石原知事が、二月三日の記者会見で述べられた、内部監査なんか限界があるからね、外部監査を入れるようになった、とにかく監査はでたらめだよ、でたらめとはいわないよ、かなりずさんだよとの見解に、私も二十年間のオンブズマン活動の経験から同感です。
 行革一一〇番は、平成八年、監査事務局の架空の会議を裁判で明らかにし、都庁の幹部から八億一千万円を返還させたのがきっかけです。都庁内部でも、平成十二年七月三十一日に出された、都における監査委員監査のあり方についての検討委員会報告書の最後に、職員が都全体の人事ローテーションに組み込まれているから、事務局職員の実施している監査対象を委託する方法が挙げられると指摘していることからもわかります。
 内部監査と外部監査の経費を十六年度決算で比べると、内部監査は、監査委員が四名、事務局員が四十五名で経費が十億七百万円です。外部監査は、監査委員は一名、補助監査人が十一名で事務局員が二名、経費は三千五百二十八万円です。
 外部監査は一定の評価を得ています。さらなる、さらなる成果を上げるためには、内部監査の予算の一部を外部監査に回すのも一つの方法です。しかし、石原知事が、外部監査委員として実績を上げた委員の方を、内部監査委員になっていただいたことは、大きな進歩、改革だと思います。しかし、この監査委員の方だけではさらなる成果は上げられません。補助をするために、民間の会計監査のプロに入ってもらう必要があります。
 代表質問の答弁で、監査事務局職員に会計監査のプロを任期付職員として導入を検討していると聞きました。監査事務局職員の定員は、現在九十一名です。三分の一の三十名ほど採用してはいかがでしょうか。もちろん管理職も含めてです。見解を伺います。
 
答弁1
 ▼監査事務局長
 任期付採用の職員についてであります。
 先ほどのご質問をお聞きしていますと、後藤議員のご質問の前提には、監査委員監査に対する偏見がおありのように思います。
 平成十七年の監査結果につきましては、本定例会の開会日に樺山監査委員がご報告されましたが、一年間の膨大な報告書をぜひ一度じっくりとごらんいただきまして、ご理解をいただければと思います。
 任期付職員の採用は、監査において今後ますます専門性が求められる中で、職員を実践的に指導してもらうためでありまして、事務局で想定している人員は一名であります。
 

 
質問2
 監査委員について、東京都は条例で、監査委員四人のうち二人を議員選出として規定しています。しかし、地方自治法は、議員選出は二人または一人となっています。条例を改正すれば、議員選出の監査委員を一人にすることができます。
 また、監査委員に天下りなどとんでもない話です。内部に甘い監査から脱皮するためにも、自治体OBの採用をやめるべきです。
 石原知事は、国に先駆けて公会計制度に民間並みの複式簿記・発生主義を四月から導入します。監査委員の民間枠を広げ、都民の生命、財産を守るため、外部の、そして民間の視点に立って、東京発の監査制度改革を確立するのに絶好のチャンスです。知事のお考えをお聞かせください。
 
答弁2
 ▼知事
 監査機能の充実強化についてでありますが、さきの代表質問でもお答えいたしましたが、私はかねてより監査機能の充実強化、そのための専門家の活用を訴えてまいりました。現に外部監査も大きな成果を上げております。
 同様の趣旨で、専門家の監査委員を条例で増員できるようにする自治法の改正の準備が行われております。これは大変結構なことだと思います。
 また、都では、新たに複式簿記・発生主義会計が導入されることから、監査においてもコストやストックの情報を有効に使いこなす専門性が必要であると思っております。
 法改正を踏まえ、都としても監査機能の充実強化に取り組んでまいるつもりです。
 

 
質問3
 財務局の所管する公用車は、現在六十台ほどあります。この公用車の運行管理について監査を行ったことがありますかと監査事務局に尋ねると、財務局の定例監査は行っているが、過去十年、公用車に関する記述、指摘はないということです。
 しかし、行革一一〇番には、局長、副知事、出納長、議会が使用する公用車についての告発が多く寄せられています。
 そこで、出納長の公用車を調べてみました。一月十六日、神田イタリアンレストランの前の路上で、十八時二十二分から二十二時三十分まで、四時間以上も出納長専用車が駐車をしていました。
 また、二月三日、出納長専用車は十八時二十七分に都庁を出てから五分ほど走り、台湾料理店のそばまで行き、出納長をおろし、一たん都庁の駐車場に戻り、四時間後に再び出納長を迎えに台湾料理店まで行き、出納長を乗せて帰途につきました。運転日誌には、出納長を自宅に送り届けた時間が書かれています。
 運転手の残業時間を調べるため、十七年七月から十八年一月の七カ月の間の運転日誌を集計してみました。公用車が稼働した百四十一日間のうち、二十三時以降に出納長を送り届けたのは四十八日間、全体の三分の一です。そのうち二十四時を過ぎて出納長を送り届けたのは十八日間もあります。九月二日の運転日誌には二十八時、つまり翌朝四時に出納長を送り届けたという記載もあります。残業時間をトータルすると、実働で五百十時間です。一カ月当たり七十二時間です。運転手の健康管理をどのように行っているのか、伺います。
 
答弁3
 ▼財務局長
 専用車の運行についてでございますが、専用車は、都政において重要な職責を担う者がその職責を全うするため、各所への移動時にあっても、常に連絡をとれるなど万全を期す必要があることから、運行しているものでございます。危機管理の一環でもございます。
 次に、自動車運転職員の健康管理についてでございますが、自動車運転職員につきましては、定期健康診断、産業医による助言指導など、日ごろよりその健康管理について十分配慮しております。
 一方、利用する側におきましても、運転職員の健康管理が安全運行の確保に欠かせないことを踏まえまして、その利用方法について意を用いていただいていると考えております。
 

 
質問4
 平成十八年二月二十三日、多摩センター駅前のホテルの前に十台以上の都庁公用車が並び、駐車場に入らず、道路にまで並んでいました。都議の新春の集いに出席した都庁幹部、議員が使用したものです。
 これらは行革一一〇番が追跡調査をして事実を確認しています。レストランの会食、新春の集いが、仮に公用、または公用に準じるとしても、公用車が待機している時間は運転手の残業代が支払われます。タクシーチケットに変更すれば、残業代はカットできます。見解を伺います。
 
答弁4
 ▼財務局長
 専用車の待機時間についてでございますが、専用車は、先ほどもお話ししましたとおり、職責の全うに万全を期す必要があることから運行しているものでございます。専用車の待機時間は、やむを得ないものと認識しております。
 

 
質問5
 現在、公用車運転手の民間委託が進んでいますが、公用車のあり方から抜本的に考えるときではないでしょうか。
 そこで、局長公用車の運転日誌を調べると、都庁から自宅まで片道八十キロを公用車で送迎をさせている局長から、たった片道五キロを送迎させている局長までいます。緊急時に対応するために公用車が必要というのですが、本当でしょうか。行政委員会の事務局長、各局長、副知事、そして出納長を専用の公用車で送迎する必要があるでしょうか。具体的な理由を伺います。
 
答弁5
 ▼財務局長
 専用車の必要性についてでございますが、公用車による副知事、出納長、局長等の送迎は、都政における重要な職責を担う者が、緊急時等において迅速かつ適切な行動がとれるなど、その職責を全うする必要から行っているものでございます。
 

 
質問6
 監査委員は、なぜ今まで監査を行わなかったのでしょうか。理由を伺います。
 
答弁6
 ▼監査事務局長
 公用車に関する監査についてであります。
 公用車に関する監査は、毎年、財務局に対する定例監査の中で行っており、車両の借り入れなど百二十件余りの契約を中心に監査しております。
 何をどのように監査するかは、監査委員が決めることではありますが、通常、重要と思われるものを中心に監査しております。
 

 
質問7
 議会公用車を含め、必要最低限の台数に減らすべきです。知事の見解を伺います。
 
答弁7
 ▼財務局長
 公用車の台数についてでございますが、公用車につきましては、これまで順次見直しを図ってきております。現在、専用車を含め五十九台を効率的、効果的に運行しており、台数が過大であるとは考えておりません。
 今度とも、公用車の安全かつ効率的な運行に努めてまいります。
 
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■災害・大規模テロの幹部対応
 
質問1
 東京都は、大災害や国民保護計画での武力攻撃、大規模テロを想定してさまざまな計画を策定していますが、災害、テロはいつ起こるかわかりません。本部長の知事が自宅にいて交通機関が麻痺しているときは、ヘリコプターで迎えに行くといいますが、知事が不在のとき、副本部長である副知事はどのように迎えに行くのか、お伺いをします。
 
答弁1
 ▼総務局長
 災害発生時における副知事等の参集方法についてでございますが、都では、災害対策本部条例等によりまして、災害時における組織や体制、運用方針を定めております。
 災害対策本部の本部長である知事が出張等で不在のときは、副本部長である副知事、出納長、警視総監が、職務代理順位に従いまして本部長の職務を代理することになっております。
 この場合における職務代理者の参集手段は、警視庁パトカー等を基本としておりますが、被害状況や緊急性を勘案し、ヘリコプターによる参集も必要と考えております。
 

 
質問2
 また、局長の自宅を調べてみました。災害対策のかなめである局長の家が、都庁から七十キロ以上も離れている方が何人もいらっしゃいます。どのように都庁まで来るのか、お伺いをします。
 
答弁2
 ▼総務局長
 局長級職員の参集方法でございますが、災害の発生が平日で、通常どおり庁有車が配車可能な場合にはこれを利用いたしますが、休日あるいは深夜など、庁有車の利用が困難な場合には、自家用車を初めあらゆる手段で参集することとしておりまして、このための緊急車両通行証が交付されております。
 なお、局長が参集するまでの間は、あらかじめ指定している幹部職員が代理として対応いたします。
 
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■都庁セキュリティー対策
 
質問1
 幹部職員は、緊急対応として公用車に乗っています。しかし、都庁本体のセキュリティーは大丈夫なんでしょうか。東京都が大規模テロを受けたとき、司令塔になるのが都庁第一庁舎八階にある防災センターです。この防災センター司令室が、大規模テロの指揮命令系統の混乱をねらった標的になる可能性もあります。
 都庁の玄関には、十八時三十分から守衛さんが入り口に立って部外者の入場を規制しています。これで十八時三十分以降のセキュリティーは万全のはずです。しかし、都庁第一庁舎三十二階には職員食堂があり、この食堂は十七時三十分から二十一時までは居酒屋に変身をします。
 二月三日の金曜日、食堂わきの喫茶室が貸し切りの宴会場になっていて、酒が進み、盛り上がっている集団がありました。○○ファイナンス、○○同窓会と書かれた民間の方々が宴会をしているんです。もちろん宴会だけではなく、食堂内では多くの民間の方たちがお友達とお酒を飲み交わしています。
 確かに十八時三十分からは部外者は入りません。しかし、宴会をやっている民間の方がおくれて来たらばどうするのかと聞くと、三十二階の食堂から、担当者が一階受付までわざわざ迎えに行くというのです。お酒を飲みに来る部外者をわざわざ迎えに行くのです。これがセキュリティーといえるでしょうか。お答えください。
 
答弁1
 ▼総務局長
 都庁舎のセキュリティーについてでございますが、都庁舎は一日二万人以上が訪れる都民に開かれた庁舎であり、建物の構造も複雑であることから、多岐にわたるセキュリティー対策が必要でございます。
 現在、巡視及び警備員の常時庁内巡回、出入り口の一部閉鎖、手荷物検査、防犯カメラの設置など、二十四時間体制で警備をしております。また、必要に応じまして、警視庁と緊密に連携して警戒に当たるなど、庁舎の安全確保に努めております。
 一般都民の庁舎への入室につきましては、午後六時三十分以降は、面会先の承諾がある場合や展望室を除き制限をしております。過去におきまして、職員食堂を利用する一般都民の方が午後六時三十分以降に入庁していた事例もございましたが、直ちに是正するとともに、セキュリティー対策の徹底に努めております。
 

 
質問2
 また、十八時三十分までに入れば、宴会の帰りに酔っぱらって、知事が執務をする七階へ、都民の個人情報が詰まっている執務室のある各階へ、八階にある防災センターにまで、階段、エレベーターを使い自由に行くことができるのです。ゲリラが簡単に紛れ込むこともできるんです。都民の個人情報が詰まっている都庁舎の居酒屋をオープンすること自体が異常です。国民保護計画の本部長として、知事のお考えをお聞かせください。
 
答弁2
 ▼知事
 職員食堂と都庁舎のセキュリティーについてでありますが、職員食堂は、職員の福利厚生と公務能率の増進の観点から都庁舎内に設けているものでありまして、開かれた都庁として、一般都民にも利用していただいております。
 現在、勤務終了後においてアルコールの提供が行われておりますが、都民の心身のリフレッシュや職員同士の歓談を促進する上で、一杯やるのは有効なことじゃないですか。社会通念上も認められるものと考えます。
 もとより、都庁舎には個人情報や都政に関する重要な情報が蓄積、保存されております。今後も、職員食堂については庁舎のセキュリティー体制に十分配慮して、適正な運営に努めてまいります。
 
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■病院の検査システムの契約
 
質問1
 病院の検査システムの契約です。
 平成十七年十二月、都立老人医療センター検査システムの入札があり、業者がかわったがトラブルが多く困っているという告発です。契約書を調べると、契約相手はファイナンス会社です。リース契約だったのです。
 検査システムの契約は、パソコンなどのIT機器のハード部分、そしてデータの管理、プログラムの修正、機器の運用などのソフトの部分があり、システム設計をしたシステム管理会社が作業を行っています。しかし、契約書、仕様書にも、実際に作業しているシステム管理会社の社名は記載されていないのです。
 歌舞伎町にある福祉保健局が所管する都保健医療公社の大久保病院で、検査システムで事故がありました。事故報告書を抜粋すると、平成十六年六月、○○さんの検体について、本来検査していないにもかかわらず、AB型の検査が登録され、登録ボタンを押して医事システムに送信されており、ドクターからの指摘により発覚をした、今後の処置、このたび不注意により大久保病院検査科及びドクターに対しまして多大な迷惑をおかけしました、まことに申しわけなく、おわびを申し上げますと、システム管理会社の担当者の印鑑が押された事故報告書です。
 このシステム管理会社と病院は契約していないにもかかわらず、事故報告書が存在するんです。都民の生命にかかわる病院の検査業務を、このような実態とかけ離れている契約を行ってよいものなのか。また、都立病院の検査システムでトラブルが起きたときに、業者と取り交わす障害票も、契約していないシステム管理会社の社名で提出されています。
 監査委員は、契約手続や契約金額の監査を対象にしているようですが、契約の内容についても監査の方針を伺います。
 
答弁1
 ▼監査事務局長
 契約に関する監査についてであります。
 契約は、重要な監査対象の一つであります。定例監査、工事監査、出資団体監査など、ほとんどの監査で対象としております。
 当然ながら、病院の検査システムにつきましても、契約の手続、金額、内容に至るまで、監査の対象となっております。
 

 
質問2
 また、病院の契約方法を見直すべきと考えます。病院、そして契約をまとめる財務局の見解をお伺いいたします。
 質問は以上です。ありがとうございます。
 
答弁2
 ▼病院経営本部長
 都立病院の検査実施システムの契約方法についてお答えします。
 検査実施システムの賃貸借契約は、東京都契約事務規則等に定める手続にのっとり、適正に実施してまいりました。今後とも必要な改善を行いながら、引き続き適正な契約に努めてまいります。
 
 ▼財務局長
 病院における契約方法についてでございますが、定められた手続に従って契約され、所管局において適切に履行されていると聞いております。
 今後とも、適切な契約事務の確保に努めてまいります。
 
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