横田基地軍民共用化早期実現を 名勝小金井桜を復活すべき |
高橋信博(自民党) |
■空港問題 |
質問1 昨日、羽田空港に関する質問がございましたが、最初に、羽田空港の再拡張・国際化について伺います。 羽田空港は、都心から至近の距離にあり、しかも二十四時間運用が可能であるため、利便性の非常に高い空港でございます。しかも、国内航空旅客の六割が利用する国内航空ネットワークのかなめとしての役割を果たすだけでなく、貨物専用便が深夜に運航されるなど、物流においてもその役割が大であります。 国の推計では、平成十四年に約六千万人だった羽田空港の国内航空旅客が、平成二十四年には約七千三百万人に増加するとされており、我が国の航空需要の高まりに対応するためには、羽田空港の再拡張が必要不可欠であります。したがって、羽田空港再拡張事業の早期完成を推進すべきでありますが、所見を伺います。
答弁1 ▼都市整備局長 まず、羽田空港再拡張事業の推進についてでございますが、首都圏の逼迫する航空需要への対応を図るため、都は、平成十六年度から国に対し無利子貸付による資金協力を行うこととし、これにより再拡張事業がスタートいたしました。それ以降、国は、新滑走路の工法選定や工事コストの縮減、事業契約の締結などを行い、現在、着工を目前に控え、実施設計や環境影響評価手続などを進めております。 この事業が完成いたしますと、羽田空港の発着枠が約一・四倍に拡大するとともに、国際旅客定期便や国際貨物便の就航が実現し、東京のみならず我が国全体の経済の活性が大いに期待されるところでございます。平成二十一年末までの供用開始を目指し、再拡張事業を精力的に推進していくよう、引き続き国に強く働きかけてまいります。
質問2 近年急速な成長を進めるアジア経済は世界的に重要な位置を占めてきており、それと呼応するように、近隣アジア諸国では、韓国・仁川国際空港、シンガポール・チャンギ国際空港など、国際活動の拠点とするための大規模な空港整備が進められています。日本が国際競争に勝ち抜き、国際的地位を再び高めるためにも、首都である東京と近隣アジア諸国とのネットワークを築くことが重要であり、平成十五年十二月の石原知事の英断により動き出した羽田空港の再拡張事業により、国際定期便の就航が実現することは、まさに時流に即したものであります。 さらに、石原知事は、近年長く日本を覆ってきた閉塞感を打破すべく、東京オリンピック招致という、都民のみならず国民全体に希望を与える政策も打ち出されました。このように、首都東京における国際活動の重要性は従来の比ではないほど高まっております。こうした動きを踏まえ、羽田空港の国際化をさらに強く推進すべきと思いますが、所見を伺います。
答弁2 ▼都市整備局長 羽田空港の国際化の推進についてでございますが、日本国内におきまして国際拠点空港の整備が立ちおくれている中で、首都東京の国際競争力を強化し、首都圏、ひいては日本の発展を図るためには、羽田空港の国際化が不可欠でございます。 都といたしましては、再拡張後の羽田空港を世界に向けた我が国の玄関口として機能させていくために、そのポテンシャルを十二分に活用した国際化の推進を引き続き国に強く働きかけてまいります。
質問3 横田空域は一都八県にまたがる広大なものですが、米軍の管理下にあるため、羽田空港を発着する路線の航空路の設定が制約され、航空路の過密化を招いています。羽田空港の再拡張・国際化による効果を十分に発揮させるため、横田空域を返還させるべきですが、都の取り組みを伺います。
答弁3 ▼知事 横田空域返還に向けての都の取り組みについてでありますが、我が国の航空政策をみずからの手で推し進めるため、横田空域の返還は不可欠だと思います。ともかく、国内線もほとんど飽和状態でありますし、国際線のアクセスは完全にパンクしまして、三十五カ国が乗り入れを希望しながら待たされている現況であります。 横田空域を返還させることにより、合理的な航空路の設定が可能となりまして、安全の確保はもとより、航空路の容量拡大や経路の短縮が図れるなど、多くのメリットが見込まれます。 もしあの空域の管制が日本の手に戻る、あるいは共同運営にしても、あそこを日本の飛行機が自在に飛べるようになりますと、大阪、福岡、あるいはソウルに向かう飛行機は十分から十五分飛行時間が短縮されまして、これは非常に大きな経済効果になるわけです。 都は、これまで国に対して、米国ととにかく積極的に戦え、交渉しろといってきましたが、既に私、個人的に要望しまして、総理が引き受けてくれて、何年前になりますか、テキサスでのサミット会談でブッシュ大統領とじかに話をしてくれまして、これは日米間の協議事項にしようということで、向こうも引き受けてくれました。 しかし、どうも外務省が、何といいましょうか、もたもたしておりまして、今度も在日米軍再編の中間報告に巻き込まれまして、その中では空域削減の検討にとどまっておりますが、いずれにしろ、アメリカはまだこの日本を占領したつもりでおりますから、実質的には。岸さんの時代に安保を片務条約から双務条約に近いものに戻しましたが、しかし、地位協定一つ見ても、彼らの意識は質的に変わっていないと思います。 一回手にしたものは絶対に放さないというのは、アメリカの、何といいましょうか、強いエゴでありまして、森総理の時代に、ワールドカップが行われたときに、私は韓国の政府とじかに話しまして、CIQ抜きに横田と金浦空港の間にシャトルを飛ばして、選手や観客の行き来に便宜を図ろうと。向こうの政府も喜んで、そのつもりでおりましたら、何とアメリカは、日本のお金であそこの滑走路を五十年間もつように舗装し直すということで、このプロジェクトをつぶしました。本当に私は頭に来まして、一つの、大した仕返しになりませんけれども、災害対策の演習のときに、とにかく横田を一日使わせろということであけさせましたが、これは向こうも聞かざるを得なかったでしょう。 聞きますと、そのおかげで当時の司令官は、非常にうまい取引をしたということで、勲章ですか、賞状をもらったそうでありますが、そういう事態の中で、私たちこれをできれば全面、いずれにしろ、とにかく私たちのイニシアチブで使うという事態に持ち込むのはなかなか至難だと思いますが、これはやはり、国民なり都民の意識が集中して、外務省もそれを把握すれば、積極的に動かざるを得ないと思います。いずれにしろ、ある段階まで来たことは間違いございません。
|
■横田基地の軍民共用化 |
質問1 今後の多摩の振興の大きなかぎとなる横田基地の軍民共用化について伺います。 昨年十月二十九日に、日米安全保障協議委員会が在日米軍再編に関する中間報告を発表いたしました。横田基地に関しては、府中市にある航空自衛隊航空総隊司令部が移転するとともに、日米の共同統合運用調整所を設置するとのことであります。 また、都がかねてより主張していた軍民共用化については、横田基地の運用上の能力を損なってはならないことに留意しつつ、あり得べき軍民共用化の具体的な条件や態様を検討するとされ、実現に一歩近づいたと思われます。 知事は、中間報告公表直後にワシントンで米政府高官と意見交換をするなど、横田基地の軍民共用化の実現に向けて精力的な活動をされております。 この三月には在日米軍再編協議の最終報告が出されるとのことであり、現在これに向けた日米協議が行われているとのことですが、その中で軍民共用化がどのように扱われているかは情報がなく、大変わかりにくい状況にあります。 知事は、横田基地の軍民共用についてどのような現状認識を持ち、今後どのように進めようとしているのか、知事の見解を伺います。
答弁1 ▼知事 この横田の軍民共用化という問題でもありますけれども、実はアメリカは、やはり何かの口実で、これをそう全面的に開放せずに、手放さずに済むためのヘッジとして、あそこを日本の航空自衛隊と一緒に使うという形で、軍軍民共用化というものを突然いい出しました。これは、日本の防衛庁は、実はそんなつもりはなかったんです。なかったんですけれども、巻き込まれてしまって、あそこに人間だけは配置するけれども、一体何のために、何をするのか知りませんが、聞きますと、まだ技術が開発されていない警備体制、ウオーニングシステムの本部をあそこに置くつもりだそうでありますけれども、これは大分先のことでありましょう。 しかし、そんなものが技術的に完成される前に、私たちは、あいている滑走路ですから、積極的に使えばよろしいんです。後は、これは国の姿勢の問題だと思いますが、そのためにも、やはり日本の世論というものが沸き起こらなくちゃなりませんし、繰り返して申しますけれども、先般JALと――JALは今度社長がかわりましたが、全日空の社長を呼びまして、彼らの意向をただしましたが、彼らは彼らなりにリサーチしまして、少なくとも一日四、五十便の国内線の需要はあると。当然そうでありましょう。 あの周りに、長野県、山梨県を含めれば、この問題に一番熱心なのは実は山梨の県知事さんでありますけれども、乗客の数を保証する人口のヒンターランドは非常にあるわけでありまして、そういう点で、私たちはやはりそういう需要というものを背景に、これからも具体的に主張していこうと思いますし、さきにも報告いたしましたが、交通経済学の泰斗の杉山一橋大学学長を委員長にしました杉山委員会をつくりまして、フィージビリティー調査をしました。 これにこたえてアメリカは、この委員会をグレードアップして、アメリカのスタッフを入れて合議機関にしたらどうだといいましたが、いや、我々は我々でリサーチの機関をつくるといいましたので、これは一つの抵抗の姿勢でしょうけれども、いずれにしろその二つの委員会がこれから具体的な問題で合議するわけですが、しかし、軍の方が実は動きが早くて、米軍の方から、やるならターミナルビルをここにつくってほしいというような要望も具体的にございましたが、いずれにしろ、非常に使用度の高い横田の滑走路を軍民共用であろうと活用していくことは、明らかに国益につながることであると思います。 昨年十一月に渡米しまして、この最高責任者のローレスと話しましたときも、米国も具体的な向こうの意向を実は示してきましたし、それも受けて、これから、抽象論ではなしに具体的に話し合いを積み上げていくつもりでおります。 いずれにしろ、その二つの委員会の合同協議というものを早期に立ち上げまして、日米協議を具体的な問題として進展させることが必要だと思っております。その段階まで来たと思っております。改めて日米両政府に強く働きかけ、軍民共用化の早期実現を目指したいと思っております。 いずれにしろ必要なことは、この問題に対して都民なり国民なりが関心を持って、国益につながる、自分の便宜にもつながるという世論というものをしっかりとつくって、これをぶつけていくことが、私はこういう外交交渉において不可欠な問題だと思っております。
質問2 また、横田基地の軍民共用化は、空港過疎地域ともいえる多摩に空の玄関を開くものであり、人と物の流れを活発化して、地元の産業の活性化や雇用の促進につながるものであります。 昨年九月に開催された横田の民間航空利用の効果を検証する公開シンポジウムでは、軍民共用化が実現すれば、二〇二二年において年間千四百億円の経済波及効果があり、約八千人の雇用増が期待できるとしています。東京都においても、昨年一月に発表した多摩リーディングプロジェクトでは、横田基地の軍民共用化を視野に入れつつ多摩振興を図るとしています。 地元では、軍民共用化に対してさまざまな意見がありますが、経済界を初め、軍民共用化による地域振興に期待する声は確実に高まってきています。都として、こうした地元の軍民共用化に期待する声に積極的にこたえて、軍民共用化の早期実現を図るべきと考えますが、見解を伺います。
答弁2 ▼知事本局長 横田基地の軍民共用化についてでございますが、都はこれまでも、地元自治体への説明などを通じて、地元の理解と協力が得られるように努力を重ねてまいりました。 昨年十一月には、東京都商工会連合会が中心となって、多摩地域の商工会、商工会議所二十六団体が横田基地軍民共用化推進協議会を設立いたしました。この協議会は、多摩地域の産業の活性化はもとより、首都圏全体の経済発展を見据えて設立されたものと聞いており、東京都としましては、大変力強い地元の方々の動きであると受けとめております。 今後、周辺の基盤整備や騒音対策など、地元とより密接にかかわりのある課題への対応が重要となることから、引き続き地元の理解と協力を得るように努めながら、軍民共用化の早期実現を目指してまいります。 |
■玉川上水の周辺整備と管理 |
質問1 玉川上水の保存管理について伺います。
承応三年創設といわれる玉川上水は、羽村から四谷大木戸に至る延長約四十三キロメートルに及ぶ長大な土木構造物であり、都市への給水施設及び武蔵野台地の開発用水、かんがい用水として利用されてきました。特に、現在でも創設当時の素掘りの形態が多く残るといわれている中流部には、昭和六十一年の清流復活事業により、一度途絶えた流れが復活しているほか、その敷地両岸には、名勝小金井桜を初め、武蔵野の面影を今に伝える雑木林も多く残されており、都民に親しまれています。 このように、玉川上水は、高い歴史的価値を持つとともに、水と緑の自然豊かな憩いの空間でもあることから、将来にわたり良好に保全していく必要があります。保全に当たっては、現在では都民の憩いの場になっていることを重視して、土木遺構である玉川上水の現状をいかに維持し、保存していくかという視点が求められるのではないかと思います。 都では、玉川上水が平成十五年八月に国の史跡に指定されたことを受けて、昨年から保存管理計画の策定に着手したと聞いております。そこで、保存管理計画策定の進捗状況について伺います。
答弁1 ▼水道局長 玉川上水保存管理計画策定の進捗状況についてでございますが、本計画は、歴史的に貴重な土木遺産であります玉川上水について、保存と利用の調整を図りつつ、将来にわたり良好な状態に維持していくことを目的といたしまして策定するものでございます。 現在、学識経験者等で構成する外部委員会を設置し、幅広い分野の専門的な立場から助言を受け、玉川上水の現状把握及び保存管理に関する諸課題の整理を行っております。 今後、委員会の助言などを踏まえまして、計画の内容等について、教育庁、環境局、建設局など関係六局で協議を進め、平成十八年度中に計画を策定する予定でございます。
質問2 国の史跡指定である玉川上水を次世代に確実に引き継ぎ、残していくことはもとより、片や玉川上水と調和した都市計画道路などの都道の整備を着実に進めていくことも、我々の重要な責務と考えます。 私の地元、北多摩地域は、道路整備がおくれ、地域の核をなす南北道路が限られているため、府中所沢線は特に重要な道路であると考えております。府中所沢線の整備に当たり、玉川上水やその周辺の緑の保全に最大限配慮することはもとより、緊急時の広域避難場所である小平中央公園へのアクセスの確保や歩行者の保安上の問題等を踏まえると、事業中の調布保谷線のような平面交差が一番望ましいと考えております。 現在、東京都は、多摩地域において南北道路を重点的に整備しており、その中で、調布保谷線及び府中所沢線などの都市計画道路が玉川上水と交差する計画となっております。今後整備する予定であるこれらの都市計画道路と玉川上水の交差方法に対する都の基本的な考えを伺います。
答弁2 ▼建設局長 都市計画道路と玉川上水の交差方法についてでありますが、玉川上水は、国の史跡指定を受けており、交差する道路の整備に当たっては、現在策定中の保存管理計画との整合を図る必要があります。 事業中の調布保谷線では、玉川上水への影響や沿道利用を考慮し、交差方法は平面形式による橋梁としております。整備に当たりましては、玉川上水などの景観に配慮し、橋梁の構造や色彩などを検討し、必要な手続を進めてまいります。 また、事業化を検討している府中所沢線などの都市計画道路につきましても、周辺環境や沿道利用に配慮し、地域に適した整備方法を関係者と協議してまいります。 今後とも、こうした取り組みを進め、多摩地域にふさわしい道路づくりを推進してまいります。
質問3 地元小平市では、地域の幹線道路として、五日市街道が市の南部を東西方向に通過しています。この五日市街道は、地域の生活を支える基幹的な道路として、通勤通学はもとより、都民の防災拠点である都立小金井公園への主要なルートとなるなど、多様な交通需要に対応する役割を担っており、渋滞解消や歩行者などが安全に通行できる道路整備が求められています。 このようなことから、道路ネットワークを早期に形成することも重要であるが、地域の生活を支える五日市街道の整備にも取り組む必要があると考えるが、所見を伺います。
答弁3 ▼建設局長 五日市街道の整備についてでありますが、都では、骨格幹線の道路ネットワークの早期形成に努めるとともに、交通渋滞の緩和に効果のある交差点すいすいプランや、歩行者の安全を確保するための歩道整備に取り組んでおります。 五日市街道では、交差点すいすいプランにより茜屋橋付近の整備が完了し、引き続き、第二次のプランで喜平橋付近の事業に平成十七年度から着手しております。また、茜屋橋から喜平橋までの約一・一キロの区間では、平成十六年度から用地取得に着手するなど、歩道の整備を進めております。 今後とも、地元自治体や関係住民の理解と協力を得て、事業を着実に進めてまいります。
質問4 次に、小金井桜について伺います。 名勝小金井桜は、八代将軍吉宗の時代、大岡越前守忠相の命により、大和の吉野山や常陸桜川から山桜の苗木を取り寄せ、玉川上水堤に植えつけて桜並木とした由緒ある土地であり、代々玉川上水近隣住民の努力で植え継がれてきました。大正四年には、地元四村の有志により小金井保桜会が結成され、東京市とともに桜並木保存事業を展開してきました。この地元の人々を含む官民一体となった協力体制があってこそ、大正十三年の国の名勝指定が実現し、現在も武蔵野における桜の一大名所です。 近年は、都市化も進み、交通量もふえ、桜の周辺環境も大きく変化しました。また、山桜の老齢化が進んで衰えているものが見受けられ、住民は大変に心配しております。先人が守ってきた貴重な桜並木を復活するべきと考えますが、所見を伺います。
答弁4 ▼水道局長 桜並木についてでございますが、国指定名勝小金井桜につきましては、現在、都教育委員会が剪定や病害虫の防除を行うなど、適切な管理に努めておりますが、周辺環境の変化に伴い、活力の低下が見受けられます。その主な原因といたしまして、玉川上水敷のケヤキなどによる桜への日照障害、土壌の固形化などが考えられます。 こうしたことから、現在策定中の史跡玉川上水の保存管理計画の中に、桜が名勝として良好な状態に保たれるよう、将来にわたる保護措置についても盛り込むことを検討しております。
|
■都市の景観 |
質問1 東京都は、水と緑がネットワークされた風格都市東京の実現のため、公共はもとより、都民や民間事業者などのみどりづくりを誘導していく指針として、みどりの新戦略ガイドラインを作成されました。そこで、民間が活力を発揮できる緑豊かなまちづくりについて伺います。 緑豊かなまちづくりの手法として風致地区制度があります。小平市内では、青梅街道や鈴木街道、さらには東京街道沿いが風致地区に指定され、街道筋の屋敷林の保全に一定の役割を果たしてきました。しかし、長い年月の経過に伴い、樹木は指定を受けた当時の半分も残っていません。このような状況の中、いまだに風致地区に指定されたままになっているため、幾つかの問題が出ています。 まず、指定を受ける前から建っていた家が、建てかえ時期に来たにもかかわらず、各種の規制により前の家よりも小さな建物しか建たないという悩み、また、実態として全く樹林のない地域、近隣商業地域でありながら、風致地区に指定されているため、商店街としての町並みがつくりにくい地域があるなど、緑豊かなまちづくりにおける民間の活力の活用に課題があると考えています。そこで、小平における風致地区の現状と見直しについて伺います。
答弁1 ▼都市整備局長 小平における風致地区についてでございますが、風致地区は、都市における自然的景観を維持するため、風致の特にすぐれた区域を都市計画の地域地区として定めるものでございます。小平市では、東京街道や青梅街道、あるいは鈴木街道や玉川上水などに沿って帯状に指定されているところが特徴でありまして、指定面積は合わせて約百四十八ヘクタールとなっております。 お尋ねの風致地区の見直しにつきましては、国や区市と議論を重ね、平成十一年に東京における風致地区に関する見直し基本方針を公表し、これを受け、建築規制に関する許可の審査基準の改定を行い、地域の実情に合った運用ができることといたしました。今後とも、地元区市と連携し、風致地区の適切な運用に努めてまいります。
質問2 街道沿いの立地をもっと有効利用した緑豊かなまちづくりの方策として、ガイドラインにも示された環境軸を導入すべきと思いますが、見解を伺います。
答弁2 ▼都市整備局長 環境軸の導入についてでございますが、環境軸は、緑のネットワーク効果を高めるため、環境に配慮した広幅員の幹線道路等を軸に、その沿道を含め、良好な景観や広がりと厚みを持った緑を創出するものでございます。
この環境軸は、小平の特徴でございます、街道等を軸とする帯状の緑豊かな街並みの形成や残された緑の保全に有効な施策の一つでございます。今後、地域の特性に応じ、地区計画や緑地協定等の制度を活用し環境軸の導入を図るなど、緑豊かなまちづくりに努めてまいります。
質問3 緑豊かなまちづくりを進めていくには、街道沿いの帯状の緑だけでなく、面的な緑を確保していくことも重要と考えます。面的な緑の確保においても、従前から図られてきた規制を中心とした制度の活用だけでなく、ガイドラインにも示された民設公園制度のような新しい仕組みを早期に活用することが有効と考えます。そこで、民間の力を活用した緑の創出のため、民設公園制度を導入すべきと考えますが、見解を伺います。
答弁3 ▼都市整備局長 民設公園制度についてでございますが、緑豊かなまちづくりを進めていくためには、都市計画公園・緑地の公共による整備だけでなく、民間の活力を活用した緑の創出が有効であります。そのため、みどりづくりの新しい取り組みとして、民設公園制度を創設することといたしました。 この制度は、公共が都市計画の建築制限の緩和等を行い、これを受けて民間が一定の規模の公園を整備、管理することとしております。今後、区市など関係機関と連携しながら、民間事業者の協力を得て、この制度の早期実現に取り組んでまいります。
|
■調布飛行場 |
質問1 調布飛行場の航空管制官撤退に対する対応について伺います。 調布飛行場は、多摩と大島、新島、神津島の各島を結ぶ離島航空路の拠点として、島の人々はもちろん、観光客にとってもなくてはならない存在であります。二月の新聞報道によれば、これまで調布飛行場に常駐していた国の管制官が三月末をもって撤退するが、空の安全は大丈夫かという報道がなされたところであります。国が管制官を配置しているのは羽田、成田などの主要空港のみであり、調布飛行場のような小型航空機用の空港、いわゆるコミューター空港では、設置管理者である自治体が、航空機に対して管制官と同レベルの情報提供を行っていると聞いています。管制官の撤退について都はどのように対応していくか、伺います。
答弁1 ▼港湾局長 調布飛行場の航空管制官撤退後の対応についてのお尋ねでございます。 来年度より、飛行場の設置管理者である都が、航空機に対して航空管制官と同レベルの情報提供業務を行うこととしております。具体的には、実施に際しまして、これまで全国の他のコミューター空港において的確に情報提供業務を行ってまいりました実績を有する財団法人小型航空機安全運航センターにこの業務を委託することとしております。 さらに、円滑な業務移行のために、国の航空管制官を出向により調布飛行場管理事務所に配置するなど、航空交通の安全確保に万全を期してまいります。
|
■都市農業の振興 |
質問1 都市農業の振興について伺います。 東京の農業は、生産者の顔が見え、都民に新鮮で安全な農産物を供給しています。また、最近では、二次産業や三次産業の要素を取り込んだ新たな農業形態も見られます。例えば、私の住む小平市では、農家と酒販組合が連携し、特産のブルーベリーを発泡酒に加工して販売しています。こうした取り組みは、まさに新たな都市農業の芽吹きであり、農業をビジネスとしてとらえ、発展させていく契機といえます。 都はこうした動きを見逃さず、地域の主要な産業である農業の一層の活性化を図るべきであると考えますが、見解を伺います。
答弁1 ▼産業労働局長 新たな農業形態を踏まえた農業の活性化についてでございます。 現在、都内農家でも、新技術の養液栽培を導入した完熟イチゴの直売や、高い付加価値を狙ったジャムやアイスクリーム、レトルト野菜カレーといった加工食品の開発、生産など、新たな経営に踏み出す動きが出てきております。こうした動きは、農業収入の低迷等に悩む多くの農業者たちにとって、経営の改善向上を図り、農業の活性化を図る契機となっております。 都は、このような農業者を積極的に支援していくとともに、さらなる経営の向上を目指す農業者向けのセミナーを新たに開催するなど、産業としての農業の一層の活性化に努めてまいります。
質問2 都内には八千四百ヘクタールもの農地があり、生産の場としてのみならず、緑地として良好な都市環境の形成に役立っています。しかしながら、最近のように、農業生産の施設化が進み、少量で多品目の直売向けの栽培が主流になると、栽培管理に手間がかかるため、農地を十分に使い切れない状況も出てきます。小平市も、個々の農家の農地面積が広く、果樹や芋類などが大規模に作付されていましたが、十年ほど前からブルーベリーを栽培する農家がふえてきました。ブルーベリーは、栽培が容易で、消費者による摘み取りによって収穫作業を削減することが可能になるなど、すぐれた利点があります。最近では、ブルーベリーの摘み取り販売にトマトや枝豆などの直売を組み合わせ、さらなる所得向上を目指す農家も出ています。 都は、このような農地の積極的活用に対し、農業振興の観点からどのように支援していくのか、伺います。
答弁2 ▼産業労働局長 農地の積極的な活用に対する支援についてでございます。
農業者の中には、地域の特色を生かして、住民の理解や協力のもと、農地を積極的に活用する新たな農業経営に取り組む動きがございます。例えば、都民に農業体験の機会を提供する体験農園の開設、農業ボランティアとの共同作業による遊休農地の有効利用、都民が憩えるような地域で花や果樹の摘み取りができる観光農園の設置などが始められております。
今後、農業者の新たな発想と知恵に着目し、こうした取り組みの拡大を支援するとともに、多くの都民が参加、利用できるよう、周知に努めてまいります。さらに、新たな農地活用についても検討してまいります。
|