平成18年第1回定例会 一般質問

都は首都圏の物流改革の先導を
子育てしやすい環境整備進めよ

串田克巳(自民党)
■総合物流ビジョン
 
質問1
 総合物流ビジョンについてお伺いいたします。
 物流は、産業活動や消費生活など、あらゆる活動の基盤ともいうべき重要な機能です。特に、産業面において物流は我が国全体の国際競争力を左右する重要な要素です。中国を初めとするアジア諸国が急激な経済成長を遂げ、我が国の相対的な地位低下が懸念される状況にある中、国際的な競争力強化に向けて物流の改善が不可欠です。
 また、近年、人々のライフスタイルは大きく変化しているとともに、環境への意識も高まりつつあるなど、さまざまな観点から物流の改革が求められており、物流の効率化が不可欠です。
 東京都は、首都圏、さらに我が国の中心であります。東京こそが、周辺自治体と協力のもと、率先して改革に取り組み、国を動かしていくことが求められています。
 そういった中、東京都においては先月、物流効率化に向けた今後の取り組みを示した総合物流ビジョンを策定されました。まことに時宜を得たものである、物流改革に大きな一歩だといえます。
 一方で首都圏では、物流を支える基盤が不十分であるなど、その実現に向けてはさまざまな課題が山積しており、これらのさまざまな課題を乗り越え、都が改革を先導していくことが不可欠です。そこで、物流効果についての知事の所見を伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 物流の効率化についてでありますが、国際競争力の強化や、暮らしと環境の向上を実現していくために、物流の効率化は不可欠であります。じかに物価に響いてまいります。
 首都圏の物流基盤は、陸海空いずれも脆弱でありまして、我が国の国際的地位を揺るがしかねないものがございます。
 例えば、首都圏の高速環状線の整備率はわずか二割であります。ロンドンはちなみに十割、パリは八割という現況でありまして、東京湾の港湾コストも釜山の一・六倍、これは恐らくシンガポールはもっと廉価で多量のコンテナを扱っていると思いますが、世界一の扱い高になりましたシンガポールを見ますと、使われているソフトもハードも全部日本製でありますが、なぜかそれが日本では採用し切れないといういろいろ複雑な現況もあります。
 また、首都圏の三千メートル以上の国際線滑走路はわずか一本、ニューヨークは五本、パリは四本という現状であります。
 このため、三環状道路の整備、東京港、羽田空港の機能拡充など、物流基盤の強化を積極的に推進するとともに、企業の物流効率化の支援や弾力的な料金体系により、大型貨物車を高速道路へ誘導する仕組みを構築していきたいと思っております。
 こうしたハード、ソフト両面の取り組みにより、物流の効率化を強力に推進し、東京、ひいては我が国の再生につなげていきたいものだと思っております。
 

 
質問2
 また、多摩地域は、生産拠点のある埼玉や群馬方面、神奈川方面を結ぶ重要な地域であり、圏央道の延伸により両方面との接続の強化が期待されることから、多摩地域におけるビジョンの具体化が、多摩地域振興はもちろんのこと、首都圏にとっても重要となります。
 特に、今後の首都圏の物流需要を賄い、快適な都民生活を保障するためには、圏央道周辺に物流拠点を設けることが不可欠であります。
 そこで、首都圏全体の発展を図るとともに、環境負荷を極力抑えるため、利便性の高い中央道とのジャンクション付近に物流拠点を整備すると同時に、例えば青梅インターチェンジ付近にも整備することを提案いたします。
 品目ごとの物流状況などをさらに調査した上で、品目別あるいは物流量に基づいて分散型の物流拠点を整備すれば、大規模な開発にはならないはずであり、輸送車両の集中による大気汚染や騒音への懸念も払拭できるのではないでしょうか。
 私見も申し上げましたが、総合物流ビジョンにおける多摩地域の取り組みについて伺います。
 
答弁2
 ▼都市整備局長
  総合物流ビジョンにおける多摩地域の取り組みのお尋ねでございますが、総合物流ビジョンは、国際競争力の強化や暮らしと環境の向上を実現するため、首都圏を見据えて物流効率化の推進を図るものでございます。
 多摩地域は、電気機器などさまざまな産業が数多く立地するとともに、埼玉や神奈川との物の輸送も活発な地域でございまして、効果的な物流施策の展開が必要でございます。
 そのため、圏央道や都市計画道路など、物流の骨格を形成する道路整備を推進するとともに、これらの整備にあわせて物流施設の高度化、集約化などを促してまいります。
 今後、国や関係自治体等と連携して、多摩地域の物流の効率化に取り組んでまいります。
 
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■圏央道整備
 
質問1
 圏央道についてお聞きいたします。
 圏央道といえば、先週、東京高裁において事業認定と収用裁決取り消し訴訟の控訴審判決が出されたばかりであります。圏央道については、用地の取得や工事をめぐって依然として反対運動が展開されており、裁判上の争いも続いております。
 これまでの司法の判断も幾つか出されていますが、圏央道をめぐる裁判の影響は圏央道だけにはとどまりません。今後の首都圏全体の都市づくりのあり方を左右しかねない大きな意義を持つのではないかと考えております。
 このような観点で、圏央道事業をめぐる最近の裁判の動向とはどのようなものであり、収用委員会としてそれをどのように評価しているのか改めて伺います。
 
答弁1
 ▼収用委員会事務局長
 圏央道をめぐる最近の裁判の動向でございますが、まず、あきる野のインターチェンジ付近のいわゆるトラスト事件についてでございます。
 事業反対者から事業認定と収用裁決に対する取り消しの訴えが提起され、平成十六年の四月には、東京地裁で、遺憾ながら取り消しの判決が出されました。しかし、先月の二十三日、これがひっくり返りまして、控訴審である東京高裁で、収用は適法であるとの逆転判決が出されたところでございます。
 また、八王子ジャンクションに関するトラスト事件についてでございますが、これも同様に反対者から訴訟が提起されました。しかし、昨年の五月に、東京地裁におきまして、事業認定及び収用裁決は適法であるとの判決が出されました。
 これらの判決で、収用委員会が圏央道の事件に対し土地収用法に基づき適正に審理を行い、裁決を出したことが明確に認められたものと評価しております。
 

 
質問2
 圏央道の進捗と収用手続についてお尋ねいたします。
 圏央道の整備については、八王子ジャンクションが完成することによって中央道と関越道がつながり、外環道を経由すれば、東北道、常磐道とも結ばれます。また、地元八王子市も含め、多摩地域の流通や産業にとって、企業の進出、物流拠点の整備、商圏の拡大など、複合的で非常に大きな経済効果が期待できます。
 このため、八王子ジャンクション完成後もその整備の速度を緩めることなく、東名高速道路に向かって着実に整備を進めていくことが必要なのであります。特に、八王子ジャンクションから八王子南インターチェンジまでの区間の早期整備に寄せる地元の期待は非常に大きいものがあります。
 しかし、都内で最後のステップになるこの高尾山トンネル部分についても、反対のためのトラスト運動が展開され、用地取得が難航していると聞いております。
 圏央道は、二〇一三年の東京国体や招致を目的としている二〇一六年のオリンピックにとっても欠くことのできない都市インフラとなることは間違いなく、その整備を決しておくらせるようなことがあってはなりません。
 そこで、高尾山トンネル部分における収用手続の進捗状況と収用委員会の今後の対応について伺います。
 
答弁2
 ▼収用委員会事務局長
 高尾山トンネルについての収用手続の進捗状況でございますが、トンネルを挟んでの八王子ジャンクションから八王子の南インターチェンジの間につきましても、事業反対のためのトラスト運動により、用地取得が大変困難になってございます。
 そのことから、起業者である国等は、土地収用法に基づきまして、昨年の九月に、国土交通大臣に対しまして事業認定の申請を行いました。これを受け、国土交通大臣は、十一月に、三日間にわたり、八王子市で利害関係人から幅広く意見を聞く公聴会を開催しております。そして、今後は、専門家でつくる社会資本整備審議会の意見聴取を経て、事業認定が早晩判断されることになるという手順になってございます。
 収用委員会といたしましては、今後、国等から収用裁決の申請が出されたならば、土地収用法に基づき迅速かつ的確に対処してまいりたいと考えてございます。
 

 
質問3
 圏央道のような都市のネットワークを構築する道路も重要ですが、同じように駅前の再開発や広場の整備、さらに区市町が進める生活道路といった身近な空間の整備も東京のまちづくりには不可欠であります。
 しかし、長年にわたって用地の取得が難航している状況も見受けられます。このような事業を担う区市町は、地元に身近であるがゆえに、これまで収用制度の活用に消極的な面があったことも否めません。
 そこで、まちづくりを敏速に進めるため、区市町における収用制度活用も含め、収用委員会の今後の取り組みをお伺いいたします。
 
答弁3
 ▼収用委員会事務局長
 収用委員会の今後の取り組みでございますが、何よりもまちづくりにとって収用制度が果たす役割は大きいと考えております。このため、収用制度の活用にともすれば慎重でございました区市町村について、この一年間、すべての首長さんに直接にお会いして収用制度のPRを図ってまいりました。そして、要望のございました二十七の区市を対象に出前講座を実施するなど、実務的なサポートを行ってまいりました。こうした取り組みにより、本年度の区市からの申請は例年の三倍程度の三十四件と、過去最大になってきております。
 収用委員会は、今後とも、国や都、区市町村に対し、収用制度活用の促進に努めるとともに、関係者の声にもよく耳を傾け、和解による解決も含め、収用手続の適正・迅速化を図り、そのことで東京のまちづくりに貢献してまいりたいと思っております。
 
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■子育て支援基盤整備包括補助
 
質問1
 子育て支援基盤整備包括補助について伺います。
 現在、区市町村は、今年度初めに策定した次世代育成支援行動計画に基づき、さまざまな施策に取り組んでいるところです。
 次世代育成支援は緒についたばかりであり、今まさに子育て不安を抱えている子育て家庭のために、親のリフレッシュでも利用できる一時保育や、相談や集いの場である子育てひろばを実施する施設をふやすなど、子育てしやすい環境の整備を促進していくことが必要です。
 これらの整備は、一義的には区市町村が行うことですが、一方、整備には一時期に多額の費用がかかり、財政状況の厳しい区市町村だけではなかなか取り組みが困難な実情があります。
 こうした中、都が子育て支援基盤整備包括補助を来年度創設し、区市町村の整備事業を支援していくことは評価できます。しかし、区市町村における子育て支援の取り組みはさまざまで、例えば私の地元八王子市は、来年度、親子が外出しやすい環境づくりに重点的に取り組んでいく予定と聞いておりますが、他の区市町村では、子育てひろばの箇所数を伸ばしていくところもあります。
 そこで、まず子育て支援基盤整備包括補助の目的、対象事業について伺います。
 対象事業は限定するものか、先ほどの八王子市の子育て環境のバリアフリーが対象になるかどうかも含めて伺います。
 
答弁1
 ▼福祉保健局長
 子育て支援基盤整備包括補助の目的及び対象事業についてでございます。
 本事業は、区市町村が行う子育て支援施設などの整備を柔軟かつ広範に財政支援することによりまして、地域の実情に合わせた取り組みを促進し、子育て環境の充実を図ることを目的としております。
 対象事業につきましては、都が限定することはせず、区市町村がみずから取り組む子育て支援に関する基盤整備全般について支援を行う考えでございます。
 お話しの子育て環境のバリアフリーにつきましても、公共施設等へのベビーベッドや授乳室の設置など、子育て支援に資するものでございますれば、幅広く支援してまいります。
 

 
質問2
 この補助金の効果を上げるためには、区市町村に積極的に使ってもらうことが必要です。昨日の我が党の代表質問に対し、区市町村が活用しやすいものとなる施策の実効性を高めていくと答弁がありましたが、区市町村が積極的に活用していくための方策として具体的にどのようなことを考えているのか伺います。
 また、在宅子育て家庭への支援を進めていくと同時に、五千人を超える待機児童が依然としている中、どうしても必要な場合は保育所の整備もしていく必要があります。
 平成十七年度から、国がこれまでの補助制度を交付金化にしたことにより、民間保育所への整備の主体が都道府県から区市町村に変わったところです。保育の実施主体である区市町村が、民間保育所も含めて整備計画をつくっていくことは当然の責務であると思いますが、都としても区市町村を支援していく方策をとるべきではないでしょうか。
 都は、十七年度に緊急対策として民間保育所に対する区市町村の単独補助に対する支援を行いましたが、十八年度も引き続き、この包括補助の中で支援していくことを強く要望しておきます。
 
答弁2
 ▼福祉保健局長
 区市町村が積極的にこの包括補助を活用していくための方策についてのお尋ねでございますが、本制度の運用に当たりましては、区市町村の主体的な提案に可能な限りこたえるとともに、通常の施設整備に対する補助制度のように煩雑な事務手続を極力排除いたしまして、事業採択までの期間を短縮するなど、迅速な執行に努めていく所存でございます。
 また、事業の円滑な実施のために、できる限り早期に要綱案を策定し、事業説明会などの機会を持って区市町村への制度周知にも万全を期してまいります。
 
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■水道事業
 
質問1
 水道局のお客様サービスの向上への取り組みについて伺います。
 多摩地区では、現在、窓口業務は各市町が個別に行っていることから、料金の支払い、引っ越し時の届け出などがそれぞれの市町域に限定され、広域的なお客様サービスができないなど、課題を抱えております。
 こうした課題を根本から解決するため、水道局では事務委託の解消を鋭意進めているわけですが、すべての市町において事務委託を完全に解消するまでには、まだ相当の期間が必要であります。
 そこで、事務委託解消前でも、できる限りサービスの向上を図るべく、料金支払いや問い合わせなどへの敏速な対応ができるように、オンラインによる多摩水道料金等ネットワークシステムを導入しており、こうした取り組みは評価ができます。
 そして、本年十一月には、多摩お客さまセンターが開設すると聞いており、多摩地区のサービスがまた一段と向上するものと期待しております。多摩のお客さまセンターの開設にあわせて、区部センターとの連携を図ることで都民の利便性を向上させることができるのではないかと思うのであります。
 そこで、今回開設する多摩お客さまセンターでは、区部との連携を含め、どのようなサービスを展開していくのか伺います。
 
答弁1
 ▼水道局長
 多摩お客さまセンターにおけるサービスの展開についてでございますが、現状では、市や町の区域を越えて転居する場合、お客様は、それまで居住していた市や町への使用中止の届け出と転居先での使用開始の申し込みを別々に行う必要がございます。お客さまセンターの開設後は、区部のセンターとも連携を図り、一回の連絡で転出入の手続が完了するワンストップサービスが可能となります。
 また、料金など各種問い合わせや相談などにつきましてもこのセンターで対応していくとともに、受け付け時間を二十時まで延長いたしまして、土曜日にも受け付けを実施いたします。
 なお、漏水事故等の緊急受け付けは、二十四時間三百六十五日行ってまいります。
 こうした取り組みにより、お客様サービスの一層の向上を推進してまいります。
 

 
質問2
 水道局の効率的な事業運営を実現するための取り組みについて伺います。
 多摩地区二十五市町の水道は、全国で二番目の規模を持つ横浜市の給水人口をも上回る約三百七十万人もの都民に給水しており、約千百人の職員が業務を担っております。
 事務委託の解消に伴い、これらの市町職員が行っていた膨大な業務が都に移管されるわけであり、本来ならば職員を増員しなければ事業をやっていけないところですが、水道局では、民間委託を積極的に活用することで、逆に職員の総定数を削減していく中、より効率的な事業運営を確保していく、その努力は高く評価できます。ぜひ民間企業ができるものは民間にゆだね、効率的な事業運営に努めていただきたいと思います。
 しかし、市町の職員が行ってきた業務の中には、工事の監督のように工事の請負者と利害が重なる業務や、料金徴収業務の指導監理のような重要業務が含まれており、このような重要業務の担い手として第三セクターを活用すると聞いております。
 こうした多摩地区における第三セクターの活用は、公共性を確保しつつ、効率性を追求する水道事業の運営に必要なことであります。
 今後一層の効率化を推進し、少数精鋭で経営していくためには、多摩地区の事務委託解消のみならず、水道局全体として新たな事業運営体制を構築していくことが必要であると思います。
 そこで、昨年十一月に発表された行財政改革の新たな指針では、局は直営で行うべき業務に特化し、その他の業務は、第三セクターや民間企業を活用することなどにより、経営の一層の効率化を推進すると示されておりますが、この指針に沿って具体的にどのように取り組んでいくのか伺います。
 
答弁2
 ▼水道局長
 経営効率化への取り組みについてでございますが、さきに公表されました行財政改革の新たな指針では、官民の役割分担のあり方や業務の抜本的な見直しによる効率性、公共性の発揮などを内容とする公営企業改革の方向性が示されております。
 水道局では、従来から、検針業務など積極的に民間委託を推進し、経営の効率化に努めてまいりました。今後もこの指針に沿って、施設整備計画の策定や広域的な水運用など、水道事業運営の根幹にかかわる業務は引き続き直営で実施してまいりますが、定型的な業務につきましては、民間事業者への委託をさらに拡大してまいります。
 また、民間事業者に委託した業務の監督指導など事業運営上重要な業務は、水道事業全般にわたるノウハウを有し、都が経営にしっかり関与できる第三セクターを活用してまいります。
 

 
質問3
 世間では、第三セクターは悪とするような風潮も多々あるので、活用に当たっては透明性を向上させることが重要であり、局として十分な関与が必要と考えております。
 そこで、行革指針を見ると、第三セクターについては、今後の活用策を踏まえ、関与のあり方を検討すると示されておりますが、具体的にどのように関与していくのか伺います。
 
答弁3
 ▼水道局長
 第三セクターへの関与についてでございますが、水道局といたしましては、事業運営上の重要な業務を担わせる第三セクターについては、その経営にしっかり関与していくことが必要であると考えております。
 このため、当該第三セクターへの出資割合を過半数に引き上げることにより、当局の関与を強め、業務改善を促すなど、局の方針を第三セクターの経営に反映させてまいります。
 また、出資割合を引き上げることにより、地方自治法に基づき経営状況についても議会への報告が義務づけられるとともに、監査委員による監査などの対象となります。さらに、経営情報の公開などを積極的に進めてまいります。
 こうしたことにより、第三セクターの透明性の向上と効率性の発揮を図るとともに、局と一体となった事業運営体制を構築し、水道の安全・安定性に万全を期すとともに、一層効率的な水道事業運営を推進してまいります。
 
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■多摩地域の下水道
 
質問1
 多摩地域の下水道事業について伺います。
 多摩地域の下水道に関しては、我が党の代表質問でも取り上げた奥多摩町等、未普及地域の解消に加えて、単独処理区の流域下水道への編入という課題があります。多摩地域の下水道普及率は今年度末に九六%に達する見込みですが、その普及に当たっては、都と市町村が連携をして整備に取り組む流域下水道事業が大きな役割を果たしてきました。
 ところで、流域下水道事業が制度化される前の昭和三十年代から市単独の下水道事業を進めてきた三鷹市、立川市、八王子市等では、それぞれ下水処理場を稼働させてきました。これらの市の単独による下水道事業は、この地域の生活環境の向上に大きく貢献してきました。
 しかし、例えば、昭和四十三年に稼働し、三十七年が経過した三鷹市の東部処理場において顕著に見られるように、狭い敷地に立地しているため、老朽化した施設の更新等が困難となっています。
 また、強化される放流水質基準に対応するための高度処理や合流式下水道の改善を進めることが難しい状況になっています。
 さらに、これらの三つの単独処理場はいずれも小規模なことから、処理水量当たりの維持管理費も流域下水道の水再生センターに比べ高く、運営にも苦慮しています。
 このため、我が党を初め市長会では、これら三市の抱える単独処理区の流域下水道への編入を以前から強く要望してきました。
 下水道局では、こうした要望を受け、東京都流域下水道事業経営計画二〇〇四で、これら単独処理区の流域下水道区域への編入を主要施策の一つとして掲げています。
 そこで、その施策の内容と今後の取り組みについて伺い、私の質問を終わります。
 
答弁1
 ▼下水道局長
 まず、その施策の内容についてでございますが、老朽化した施設の更新が困難など、ご指摘のような課題を抱えていることから、下水道局の経営計画二〇〇四におきましては、三鷹市、立川市、八王子市の単独処理区の受け入れについて検討を進め、流域下水道区域に編入していくこととしております。
 これにより、施設更新はもとより、高度処理や合流改善を推進し、多摩川の一層の水質改善を目指すとともに、広域化によるスケールメリットを生かしまして維持管理費を縮減するなど、多摩地域全体の下水道事業の効率化を図るものでございます。
 次に、今後の取り組みについてでございますが、まず、単独処理区の下水を受け入れるための管渠の整備や水再生センターの機能拡充などを行う必要がございます。
 また、単独処理場の廃止などにより処理水の放流先が変わるため、これまで放流していた河川の水量を確保し、水環境を維持していくことが求められます。
 このほか、施設整備に伴う国庫補助金など財源の確保や関係市町村間の負担の調整を図る必要がございます。
 今後、国など関係機関との協議を進め、事業化が可能となるように努めてまいります。
 
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