平成18年第1回定例会 一般質問

子育て世帯に独自の経済支援を
大気汚染改善に更なる取組を

大西さとる(民主党)
■子育て支援
 
質問1
 まず、子育て問題について質問いたします。
 少子高齢化が進んで大きな社会問題となっています。なぜ子どもを産む数が減ってきているのか。さまざまな理由があります。さまざまな理由がありますが、何といっても一番大きな理由は経済的な問題です。本当は子どもを多く持ちたいと熱望しているにもかかわらず、住居費や教育費などといった経済的な問題を感じて、これをあきらめてしまうことが多くなっているのが現実です。
 そこで、東京都の子育て世帯への経済的支援について伺います。
 東京における子育て環境の特徴を考えますと、自然環境は大変乏しくなってしまった反面、交通網が発達し、さまざまな文化施設や教育施設、医療施設が集約されるなど、経済的な支出により一定の便利さは享受できます。問題は、それら便利さの活用には経済的な負担が大きくなることです。特に子どもをたくさん持てば持つほど他府県よりも出費はふえてしまいます。
 出産費用の助成を増額することや、私立幼稚園に対する助成を私立小中学校並みに引き上げることにより、幼稚園でかかる費用を抑制したり、保育所の保育料などに対する支援を強化することや、医療負担の無料化の延長から、児童手当の充実など、まずは経済的な負担感をなくすことが子どもを産みやすい環境整備の第一歩だと考えます。他府県を凌駕するような支援策を打ち出すべきだと考えますが、都の所見を伺います。
 
答弁1
 ▼福祉保健局長
 子育て世帯の負担感の軽減策についてでございます。
 都は、子育てに対するさまざまな負担感の軽減を図るため、子育ての悩みを気軽に相談できる地域の相談支援体制の構築や、育児疲れなどの際に利用できる一時保育など、在宅サービスの充実に努めてまいりました。
 お話の経済的負担の軽減につきましては、税制のあり方も含めて社会保障制度全体を視野に入れ、国民的コンセンサスを得て、基本的に国の制度として行うべきものと考えております。
 

 
質問2
 東京に住む子どもをふやすことは大切ですが、ただ、他府県から子育て中の家族が移り住む、要するに、日本の国内での人口移動では根本的な解決にはなりません。合計特殊出生率が日本一低い東京の出生率を上げることに大きな意味があります。
 では、どのようにしたら子どもの数がふえるのか。一つの提案ですが、三人以上子どもがいる家庭を手厚く優遇することです。世論調査の結果でも出ていますが、実際は何人子どもが欲しいかのアンケートに対し、理想は二・五六人となっています。これは、二人子どもがいる家庭の実に半分以上が、本当はもう一人か二人子どもが欲しいという理想を持っているということになります。
 だれもが子どもを産み、育てたいと思うような環境を整備することはもちろん大事なことですが、私は特に現在二人の子どもを育てている家庭が、さらに三人目、四人目を産んでもらうように働きかけることの方が、より大きな効果を生むと考えます。二人産んでいる家庭では、既に子育ての厳しさもわかっていますが、子育ての楽しさの方がまさっていると考えている家庭が多くいるということです。
 その理想を現実のものとするために、私は、三人以上の子どもを持つ家庭に対する重点的な支援として、児童手当を三人目から思い切って増額することも一つの方策であると考えています。例えば、今の児童手当を、三人目以降の子どもを持つ家庭には一人当たり三万円に増額するくらいが必要だと思います。
 出生率が回復したフランスでは、二人の子どもを持つ家庭には一万五千円、三人子どもがいる家庭には三万五千円が支給されています。十一歳以上には加算額もあり、所得制限もありません。フランスにおいて出生率が回復したのは、三人以上の子どもを持つ家庭に対し、手厚い手当を支給したことに加え、雇用、保育、教育、住宅、税制などあらゆる分野を包括する多角的な家族政策を展開したことが功を奏したといわれています。
 都においても、現在、二人の子どもを持つ家庭が、多様なライフスタイルを実現しながら、ちゅうちょすることなく、三人目の子どもを産み、育てることができるよう、経済的な支援を含め、総合的な子育て支援策を独自に進めていく必要があると考えますが、所見を伺います。
 
答弁2
 ▼福祉保健局長
 総合的な子育て支援策についてでございますが、子どもを健やかに産み育てる環境を整備するためには、さまざまな分野での総合的な取り組みが必要でございまして、お話のフランスも、出生率の回復が多様な家族政策によるという点で、示唆に富んだものでございます。
 都は、昨年四月、次世代育成支援東京都行動計画を策定し、都民、企業、行政等が連携しながら、福祉保健、教育、労働等の各分野における取り組みの充実を図っているところでございます。
 今後、大都市の特性に応じた保育サービスのさらなる拡充を図るとともに、育児休業の取得促進について企業への普及啓発を行うなど、総合的な子育て支援の取り組みを一層推進してまいります。
 

 
質問3
 国政レベルでは、社会保障給付費全体の七割を高齢者関連が占めているに対し、児童関係の費用はわずか三・八%しかありません。このような国の政策では根本的な解決はなされないことは自明であり、ならば、東京都独自の子育て支援策を確立すべきです。
 東京都は〇六年度の少子化対策として、区市町村への支援強化に重点を置いています。確かに地域の裁量により、地域独自の最適な支援策を打ち出すことは大変大きな意味があります。
 しかし、その一方で、東京都が先進的な子育て支援策を確立することはさらに大きな意義があり、ディーゼル規制の先例のように、他府県に大きな影響を与えます。私は、ぜひとも石原知事家のようにたくさん子どもを持つ家庭がふえることを望みますが、少子化対策に取り組む知事の所見を伺います。
 
答弁3
 ▼知事
 少子化対策についてでありますが、我が国の総人口は、昨年、統計上初めて自然減に転じました。少子化の進行は、社会がある程度豊かになり、高齢化が進んだ先進国では一つの必然であるとも思います。
 しかし、未来を担う子どもたちが健やかに育つ環境を整備することは、行政はもとより社会全体の責務であるとも思います。都はこれまで、認証保育所の創設や小児救急医療体制の整備を初めとする福祉医療改革や教育改革など、国に先駆けて子どものためのさまざまな独自の施策を展開してもまいりました。
 今後とも、都民、企業、行政など、あらゆる力を結集しまして、すべての子どもと家庭を対象とした総合的な取り組みを推進していきたいと思っております。
 
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■ディーゼル車規制
 
質問1
 ディーゼル車規制について伺います。
 石原知事の強力なリーダーシップのもとで実施されたディーゼル車規制により、東京の空はどんどんきれいになっているという声が聞かれます。また、ことし四月からは第二段階の規制も始まることになっており、一層の大気汚染の改善も期待されるところであります。
 こうした成果は、厳しい経営環境の中で規制対応に努力していただいた運送事業者の方々、都の要請にこたえて国の規制より大幅に前倒しして、サルファーフリーの軽油などを自主的に供給していただいた石油連盟、そして連携して取り組みを行った八都県市など、多くの関係者の協力によりもたらされたものであります。
 国の大気汚染対策がなかなか進まない中、都が果敢に取り組んだディーゼル車規制は、多くの関係者が一丸となって、全国一深刻な状況にあった東京の大気汚染の改善に取り組んだ先駆的な対策の実例を示したものと考えます。今後さらに推進する必要があると考えますが、知事の所見を伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 ディーゼル車規制についてでありますが、大気汚染対策は、本来、国が責任を持って取り組むべき課題でありますが、なかなかそうした危機意識が欠けておりまして、抜本的な対策を講じてきませんでした。
 一方、都は、地方自治体であるがゆえに、国が持ち得ない現場感覚とスピード感覚という強みを持っておりまして、それを生かして独自のディーゼル車規制という国に先駆けた果断な取り組みを推進してまいりました。
 これは、何といっても、同じ危機意識を共有する運送の事業者の方々、それから石油連盟、そして多くの関係者に支えられて初めて実現できたものであります。今後とも、これらの関係者や八都県市と協力連携を図りながら、東京の大気汚染の改善に取り組んでまいりますが、しかし、ご指摘のように、毎日チェックしているわけではありませんけれども、検問の網にひっかかれば罰金を取られる地方の車も入ってまいりますし、もっと卑劣なのは、大手の企業は、東京に来ればひっかかる車を、実は東京首都圏以外の地域に回しているということ。これは、やはり国がずさんでありまして、地方自治体がやった一つの成功例であって、国の役人のこけんにかかわるかどうか知りませんが、いいものはどんどん取り入れて、これを全国的に普遍することが私は必要だと思います。
 そういう点でもよき事例を示したと思いますけれども、あとは国が、国民全体がこの環境問題についてどういう意識を持ち、どういう形でこれを国に要求するかの問題だと思っております。
 

 
質問2
 しかし、大変残念なことに、最近は、時折、黒煙をまき散らしながら、我が物顔で走り行くトラックを見かけます。そのほとんどが他府県、それも東京から遠い県のナンバーが多いのが現状です。東京都や近隣の県に登録するディーゼル車は相当高い料金を払って、環境のためにと浄化装置をつけています。
 都営バスなど都内を走る路線バスは、少しでも排気ガスを少なくするためにと、停留所ではもとより、信号にとまるたびにエンジンを切っています。大変な努力です。
 しかし、このような黒煙をまき散らすルールを守らない車によって、これらの多大な努力を効果のないものにしてしまっています。
 東京の大気汚染の一層の改善を図るとともに、真摯に規制に対応されている大多数の事業者の方々にとって、正直者がばかを見ることがないよう、黒煙ストップ一一〇番などの周知を広げることを含め、都外からの流入車を中心に取り締まりを徹底していくことが必要だと考えますが、見解を伺います。
 
答弁2
 ▼環境局長
 ディーゼル車規制に関するご質問でございます。
 都外からの流入車に対する取り締まりについてでありますが、都では流入車対策が重要であることから、これまでも流入車の多い都県境の主要幹線道路やトラックターミナルなどでの取り締まりを重点的に実施してまいりました。
 加えて、八都県市で連携した一斉取り締まりなどの取り組みを進めているところでございます。
 今後とも、都が開設している黒煙ストップ一一〇番への通報を活用していただくとともに、都内の事業者団体や八都県市などとの連携を図りながら、都外からの流入車の取り締まりの一層の徹底に努めてまいります。
 
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■交通施策
 
質問1
 次に、早朝の国道等幹線道路の状況を皆様はどのように感じておられるでしょうか。一般の乗用車がほとんど走っていないまだ暗い国道を大型トラックが猛スピードで走っています。先日何人かの運転手に聞いてみたところ、本来は首都高を走るべきところではあるが、経費節約のために一般道路を走っているとのことです。一般道では当然信号待ちもあります。相当そのために速く走る必要があるとのこと。信号ごとのスタートダッシュの排気ガスのすさまじいことは、皆様もたやすく想像されると思います。
 そこで、環境改善という観点から、首都高速道路の料金について伺います。
 首都高では、平成十五年度からETC車の料金割引社会実験として、夜二十二時から翌朝六時までの二〇%の夜間割引を行っています。比較的首都高のすいている夜間の時間帯で料金割引を行い、もっと首都高を利用してもらうと同時に、一般道路の環境改善につなげていくというものです。この効果としては、平成十六年度では、騒音の低減など一般道路の沿道環境について改善傾向にあったと聞いています。
 私は、持論として、この夜間割引をさらに進め、首都高が最もすいている時間帯、例えば深夜零時から翌朝五時ぐらいまでは思い切って無料開放するべきだと考えています。首都高の無料化は、夜間に限っては交通量がさほどふえる可能性はないと考えます。さらに、今本当に苦しんでいるタクシー業界に需要を掘り起こすなどの経済効果も期待できます。
 しかしながら、現実には首都高の財務状況など、さまざまな課題があることも事実です。ただ、一気に夜間の無料開放というのは無理だとしても、さらにETCの社会実験を活用して環境改善を図っていくことは可能ではないでしょうか。料金割引社会実験を活用して、より一層一般道路の環境改善に取り組んでいくべきだと考えますが、所見を伺います。
 
答弁1
 ▼建設局長
 首都高速道路の料金割引による社会実験についてでありますが、首都高速道路におきましては、平成十五年度から一般道路の渋滞緩和及び沿道環境改善を目的として、ETC車を対象とした夜間割引などの社会実験を実施しております。
 現在は、夜間や日曜、祝日について二割引き、平日のオフピーク時に一割引きとなっております。
 都としましては、料金割引の社会実験の活用により、首都高の利用促進と一般道路からの交通量の転換による環境改善が期待できることから、今後ともこうした取り組みを推進するよう、首都高速道路株式会社に求めてまいります。
 

 
質問2
 この高速道路のネットワークについて伺います。
 現在の首都高を含む高速道路の形成状況は、都心から全国へ通じる放射方向にはおおむね整備されておりますが、外環を初めとする環状方向の道路は部分的にしかつながっていません。
 この結果、都心環状線を先頭に慢性的な渋滞が発生しているほか、私の地元では、常磐道や東北道から来る四つの路線が集中する小菅ジャンクションで、その合流による交通渋滞が大変なものとなっています。これらの渋滞を起因とした自動車からの排気ガスによる環境悪化は、都民生活に多大な負荷を与えています。
 そこで、都心を通り過ぎるだけの車両が使う迂回路など、渋滞解消による環境改善のためにも、外環を初めとする三環状道路などの整備を積極的に早急に進めていただきたいと考えますが、所見を伺います。
 
答弁2
 ▼都市整備局長
 三環状道路の整備についてのお尋ねですが、外環を初めとする三環状道路は、首都圏の円滑な交通の確保や環境改善に資する重要な路線であり、都は、その整備促進に積極的に取り組んでまいりました。
 三環状道路の整備により、首都高の都心部の渋滞はもとより、ご指摘の小菅ジャンクションで発生しているような日常的な渋滞も緩和され、あわせて二酸化炭素や窒素酸化物など自動車からの排出ガスが減少し、環境面で大幅な改善が図られると考えます。
 今後とも、首都圏の高速道路ネットワークの構築に向け、三環状道路の早期完成に積極的に取り組んでまいります。
 

 
質問3
 東京都及びその近郊での電車の料金について伺います。
 一つの例を挙げさせていただきます。京王線で新宿から東府中まで行ったとします。乗車距離は二十・四キロで、料金は大人二百七十円です。高尾駅まで行くと、乗車距離は四十三キロにもなりますが、料金は三百五十円です。ところが、りんかい線天王洲アイル駅から浅草線馬込駅まで行くと、五・七キロにもかかわらず、料金は四百九十円かかります。これは天王洲アイル駅から馬込駅まで行くには、りんかい線、東急線、そして都営線に乗りかえるため、それぞれ初乗り運賃が加算されるためです。
 理由については理解しているつもりですが、私を含め皆様もこれは高いなあと感じた経験あると思います。この割高感が少しでも解消されれば、都民の鉄道利用もふえていくのではないかと考えます。
 公共交通の利用促進は、環境問題の解決にもつながります。理想をいえば、どの鉄道会社を使っても、同じ距離を乗れば同じ料金になる共通運賃制が導入されるのがベストであると考えます。しかし、鉄道会社によって経営状態などがかなり異なりますので、それを共通運賃でというのは、なかなか難しいテーマであることは十分承知しております。
 現在、交通局では、東京メトロとの乗り継ぎの場合、大人の場合で運賃の合計から七十円といった割引制度を実施しております。共通運賃制度は難しいにしても、このように少しでもお客様に割安感のある乗り継ぎ割引制度をさらに推進していただき、この制度を広めていくべきであると考えますが、所見を伺います。
 交通問題は、物流問題や経済問題の解決といった側面と同時に、環境問題の解決といった大切な側面もあります。今の子どもたちや、これから生まれてくる次の世代の子どもたちの将来のためにも、環境面から考えていただきたいことを強く強くお願いいたしまして、私、大西さとるからの質問を終わります。ありがとうございました。
 
答弁3
 ▼交通局長
 乗り継ぎ割引運賃制度のご質問についてお答えをいたします。
 この制度は、鉄道を乗り継ぐ場合、各事業者ごとに初乗り運賃が加算されることから、運賃の割高感を緩和し、利用促進を図ることを目的として導入しているものでございます。
 都営地下鉄では、東京メトロとの間で大江戸線全線開業を機に割引額を七十円に引き上げ、また相互直通運転等を行っている私鉄各社とは、近距離区間の運賃の割引を行っております。
 ご指摘の乗り継ぎ割引の拡大につきましては、システム改修に多くの経費を要することや、割引に見合うお客様の増加が見込めるかなど、各社ごとの採算面などの課題がございます。
 今後とも、利用促進の観点から、鉄道各社と調整を図りながら検討してまいります。
 
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