平成18年第4回定例会 一般質問

平成18年12月8日(金)

身近な生産現場活用し食育推進
JR常磐線は都民の利便性も

鈴木 一光(自民党)
■都の食育に取り組む姿勢
 
質問1
 昨日、知事は、三選に出馬することを表明されました。我々自由民主党としては、大いに期待するところであります。
 その中で、民主党は、独自候補を擁立することを表明されています。前回の選挙もそうでありました。独自候補を擁立されました。しかし、党内がばらばらになって、分裂選挙を行いました。(発言するもの多し)選挙が終わったら、与党的な立場で行動されてまいりました。そしてまた今度は独自候補を擁立する。我々、民主党を拝見していますと、いつも党内がばらばらで、いつも迷走している。オリンピック招致問題にしてもそうであります。まことに恥ずかしい限りであります。しかし、そこでまた来年の都知事選挙でどのような行動をとるのか、我々は物すごく楽しみにしております。頑張ってください。共産党も頑張ってください。
 そこで、質問に入ります。
 まず、食育について伺います。
 私の住む葛飾区では、区内の農家が早くから地産地消に取り組んでおり、つくった野菜を、とれたてイキイキ葛飾元気野菜のブランドで売り出しています。収穫したてのしゅんの野菜が並ぶ葛飾元気野菜直売所は、開店前から行列ができるほどの人気です。ここでは、店内に生産者のプロフィールを表示したパネルもあり、特産のコマツナや伝統野菜である亀戸大根などの野菜が並んでいます。
 さらに、最近では、農業者と商店街が連携し、直売所だけでなく、地元商店街でも、区内の新鮮な野菜を購入できるようなシステムを構築する取り組みも行われています。また、農業の後継者も着実に育っており、彼らが中心となって、子どもたちの農業体験や給食への地場産野菜への提供などにも取り組み、食の大切さを伝えています。
 このように、地場産食材の利用や、生産体験、生産者との交流などを通じ、食への理解を促進していくことは、食育を進めていく上で大変効果的なことであります。
 最近、朝食をとらない欠食や一人で食事をする個食の増加など、子どもたちの食の乱れが問題視されています。また、家族が一家団らんで食卓を囲む機会も減っており、こうしたことが、はしを正しく持てない子どもの増加など、食事のマナーにも大きな影響を与えています。子どものときに基本的な食習慣を身につけられないと、生活習慣病など健康面のリスクが高まるばかりでなく、反省しています。体力や知力の発達にも影響するのではないでしょうか。
 日本では、知育、徳育、体育が教育の柱といわれていますが、食育はその基礎となる重要なものであります。世界じゅうから集まるさまざまな食品を簡単に手に入れることができ、食の大切さが実感しにくい東京では、都民の健全な食生活を実現するため、身近にある貴重な生産現場も活用しながら、食育を推進する必要があります。
 都では、さきに食育推進計画を策定し、東京にふさわしい食育に取り組む姿勢を明らかにしました。また、先月、国も初めての食育白書をまとめるなど、今まさに食育がクローズアップされてきています。そこで、食育を進めていく上での知事の決意を伺います。


答弁1
 ▼知事
 食育についてでありますが、健全な食生活は、人間が生きる上で基本となるものでありまして、健康的な心身や豊かな人間性をはぐくむ重要な役割を果たしていると思います。
  しかし、今日の家庭では、子どもに基本的な食習慣やしつけを身につけさせる力が衰えてしまいまして、食生活の乱れが深刻化しております。
  ある学校で先生が、小学校でしょうか、あすはお母さんのつくったお弁当を持っていらっしゃいというオーダーを出したら、ある子どもが持ってきた弁当を見たら、これは決して悪いことかどうかわかりませんが、そこらで売っているカロリーメイトという、チョコレートみたいなバーだったそうでありまして、そういう風潮というのはどんどん強くなっていると思います。
  統計でも、子どもの欠食が、小学校で五%、中学でも一〇%ということで、朝食と学力の関係というのは、これは都内の公立の小学校五年を対象にして調べてみますと、朝食を必ずとるという児童の平均正答率、答えを正確にするというのが、どのカリキュラムでも非常に高くなっているようでありまして、家族と一緒の食事がほとんどない割合が、東京都では子どもの一一%ということで、これは非常に痛ましい、恐ろしいデータだと思います。
  このため、都は、食育推進計画を策定しまして、農業体験や生産者との交流を通じて子どもたちの食や自然に感謝する心を醸成するなど、幅広い取り組みを進めていきたいと思っております。
  今後、こうした取り組みを通じて、家庭だけではなく、学校や地域など社会全体を巻き込み、大切な食の文化を東京が率先して日本全体でよみがえらせていきたいと思っております。


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■技術革新による産業振興
 
質問1
 東京には、世界に誇る技術力を有する中小企業や、優秀な研究開発を行う大学研究機関が数多く存在します。こうした東京のポテンシャルを最大限に生かし、東京発の技術革新、イノベーションを起こすことが、これからの産業振興には不可欠であります。
  一方、技術革新を、大気汚染や土壌汚染などの環境問題を初めとする、大都市東京が抱えるさまざまな課題の解決につなげていくことも重要と考えます。
  先日、都は、国の独立行政法人である科学技術振興機構が募集する地域結集型研究開発プログラムの採択を受け、都市の安全・安心を支える環境浄化技術開発をテーマに、大型の研究開発に着手すると伺っております。
  この研究開発事業は、我が党がかねてより解決を求めてきた土壌汚染などの環境浄化にもつながるものと大いに期待されるところであります。そこで、まず本プログラムの目的と研究開発内容について伺います。


答弁1
 ▼産業労働局長
 プログラムの目的と内容でございます。
 今回、国から採択を受けましたプログラムは、光化学スモッグや土壌汚染の原因となります揮発性有機化合物、いわゆるVOCの浄化技術を開発し、その成果を環境浄化と産業振興につなげることを目的としております。
 既存のVOC処理装置は、費用負担が大きいことなどから、中小の印刷業者や塗装業者では導入が困難な状況にあります。そこで、本事業では、VOCの新たな吸着材等を開発し、中小事業者でも安価に導入できる処理装置の製品化技術を確立してまいります。
 あわせまして、使用後の吸着材の処理システム、土壌内のVOC処理工法の構築にも取り組んでまいります。
 

 
質問2
 研究開発は、成果を実用化して初めて意味を持つといえます。しかしながら、往々にして、その実現には大きな困難が伴うのも事実であります。開発成果をビジネスとして軌道に乗せていくためには、事業化に向けたしっかりとした取り組みが必要と考えますが、ご見解を伺います。


答弁2
 ▼産業労働局長
 研究成果の事業化への取り組みであります。
  本プログラムは、単に研究室レベルでの技術開発にとどまらず、その成果を事業化し、VOCの排出削減や環境ビジネスの創出につなげることを主眼としております。そのため、都内中小企業との太いパイプを持ちます産業技術研究センターが中核機関となり、事業化を重視した産学公の連携体制を組織いたします。また、事業全体を牽引するプログラム実行責任者を置き、事業化を強力に推進いたします。
  都としても、販路開拓支援や資金調達支援など、あらゆる支援策を駆使して、事業の成長、拡大を後押ししてまいります。

■JR常磐緩行線の輸送サービス問題
 
質問1
 次に、鉄道に関連して伺います。
  東京圏の鉄道は、通勤通学輸送の基幹的な公共交通であるとともに、豊かで快適な都市生活を営む上で、また首都圏及び国際的な中枢都市としての機能を支える装置として、さらには、環境負荷が小さく、安全な交通体系の形成という観点からも、一層の充実が望まれています。
  これからの鉄道サービスは、高齢社会の急速な進展や、近年における国民の価値観、生活様式の大きな変化等を背景に、その量的な充実に加え、利用しやすさといった質的な向上が重要な視点となっています。特に、国際中枢都市である東京においては、グローバル化が進展する中で、国際的に見ても魅力ある都市環境の整備が求められており、ラッシュ時の混雑緩和や空港などへのアクセス改善などが重要な課題となっています。
  東京の東北部に目を向けてみると、常磐線の利便性向上や成田新高速鉄道問題と、まさしくこの視点での取り組みが住民を中心として進められており、都としても全面的に支援すべき時期に来ていると考えます。そこで、この二点を中心に何点か質問します。
  JR金町駅の周辺では、住民が中心となり、JR常磐緩行線の混雑緩和や、金町、亀有駅の利便性向上に向けた検討が進められており、先日、一万八千人を超える署名とともに、都や区などへ要請書が提出されたところであります。
  常磐線については、混雑緩和に向けた取り組みとして、つくばエクスプレスが昨年度開通しました。その結果、快速線の混雑率については、平成十六年の一八五%から平成十七年には一六九%に、緩行線については、一九七%から一八二%となるなど、双方とも一五%程度の改善が図られました。まだまだ十分な水準には達していませんが、一定の成果が上がったといえます。
  しかし、緩行線の日中のダイヤを見てみると、十二分間隔での運転となっており、都心部における交通環境とはいえない状況にあります。早急に改善が図られるべきであると考えます。
  さらに、JR常磐線と東京メトロ千代田線の相互直通運転により生じた問題があります。
  つまり、現在の常磐緩行線では、北千住での乗りかえをしない限り、上野に直通で行くことができなくなってしまい、北千住の乗りかえについても、上下移動が多く、バリアフリーの観点から考えても、課題が多くあります。また、西日暮里での乗りかえを考えても、JR運賃に加え、メトロ運賃が加算され、割高の運賃を支払っています。
  JRの金町、亀有駅であるにもかかわらず、JRを利用することで不都合が多い状況となっており、それ以遠にある松戸駅の方が、乗りかえ面、運賃面において利便性が高いという事態となっています。
  例えば、乗りかえ一回で秋葉原に行く場合、金町駅からだと三百七十円かかりますが、千葉県の松戸からは二百九十円となり、遠い松戸からの方が安くなるといった逆転現象が起きているのであります。
  これは、千葉県や茨城県など松戸より先の方々の利便性を優先したことにより、葛飾区民、東京都民が長年にわたり甚大な被害をこうむってきたわけであります。知事、我々と一緒に怒っていただきたいというふうに私は思います。いかがでありましょうか。
  そこで、お伺いいたしますが、JR常磐緩行線の運行ダイヤや、相互直通運転により必要となった乗りかえや、運賃加算などの輸送サービスの問題については、早急に改善すべきだと考えますが、都の見解を伺います。


答弁1
 ▼都市整備局長
 本路線は、昭和四十六年の相互直通運転以降、例えば金町駅から上野駅に行く際には乗りかえが必要になったものの、一方で、霞ケ関や赤坂などへは直通となり、交通アクセスは大きく向上しております。
  ご指摘の運賃や運行ダイヤは、基本的には各鉄道事業者が利用状況などに応じて設定するものでございますが、これらの問題について、現在、地元の住民や区などで検討を行っていると聞いております。
  都といたしましても、このような取り組みに対し、地元区とともに鉄道事業者に要望を伝えるなど、必要に応じた協力を行ってまいります。

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■踏切対策
 
質問1
 成田新高速鉄道の関係についてでありますが、日本の表玄関である成田空港と都心を三十分台で結ぶ路線で、空港アクセスの大幅な改善にとどまらず、千葉県北西部等の交通利便性の向上と成田市と千葉ニュータウン機能連携の強化にも大きく寄与することが期待されており、千葉県側とあわせ、東京側でも、平成二十二年度開業に向けて精力的に準備が進められています。
  しかしながら、当該路線の沿線となる京成高砂駅周辺においては、いまだ鉄道が高架化されておらず、昨年、悲惨な人身事故となった東武線竹ノ塚駅付近の踏切と同様の手動踏切から自動踏切への改良が、ようやく九月に完了したところであります。
  現在、高砂駅に近い高砂一号踏切は、ピーク時五十二分と遮断時間が極端に長く、成田新高速鉄道の開業により、さらなる悪化があるのではないかと住民も懸念しています。
  都では、二〇一六年のオリンピックを再び東京で開催するため、招致活動に全力で取り組んでいるところでありますが、成田空港への鉄道アクセスを改善する成田新高速鉄道の事業は、IOCへの格好のアピールにもなると考えます。
  しかしながら、一方で、本事業は、我々地元の葛飾区民にとっては、現在のスカイライナーもそうでありますが、単なる通過するだけの電車であり、我々は騒音と振動の被害をこうむりながら、泣き寝入りをしている状況であります。こうした中、新高速鉄道の開業により、踏切遮断時間がさらに増加するようなことがあっては、地元としては到底容認することができません。
  そこで、成田新高速鉄道開業への対応として、京成高砂駅付近の踏切対策をどのように考えているのか、伺います。


答弁1
 ▼都市整備局長
 京成高砂駅付近の踏切対策についてでございますが、同駅付近には、ピーク時一時間当たりの遮断時間が四十分以上のあかずの踏切が二カ所あり、成田新高速鉄道開業による遮断時間の増加を防止することは重要であると認識しております。
  このため、都は、京成電鉄、葛飾区と対応を検討してまいりましたが、その結果、京成電鉄が、当面の対策として京成金町線の高架化工事を実施することになりました。
  また、この高架化工事にあわせ、歩行者の利便性向上に資する対策として、駅に直結する通路やエレベーターの設置を進めることとしており、都としても必要な支援を行ってまいります。
 
 
質問2
 都内では千二百カ所の踏切がある中で、都では、京成高砂駅付近の踏切について、重点的に対策を実施する踏切に位置づけており、一日も早い踏切解消が望まれるところであります。とりわけ、本区間は、国策である成田空港アクセスを実現する重要な路線であり、ぜひとも最優先に取り組んでいただきたい。
  そこで、お伺いいたします。京成高砂駅付近の踏切問題を抜本的に解決するため、鉄道立体化により踏切を解消すべきと考えますが、今後の取り組みについて伺います。
  知事は、首都東京のかじ取りを引き続き命がけで行いたいと述べましたが、こういった周辺区において発生しているこのような問題についても、ぜひとも命がけで取り組んでいただきたいことを切に要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  ありがとうございました。


答弁2
 ▼都市整備局長
 抜本的な対策についてでございますが、京成高砂駅付近は、踏切対策基本方針の中で、鉄道立体化の可能性を検討すべき区間の一つに位置づけられております。都は、地元区が設置した勉強会に参画し検討しておりますが、立体化に当たっては、駅直近にある高砂車庫の取り扱いなどの課題がございます。
  現在、鉄道事業者が車庫の縮小化に向けた検討を行っており、今後、こうした検討の状況や沿線まちづくりの熟度、関連する道路整備計画、さらには現在実施中の連続立体交差事業の進捗状況などを踏まえながら、引き続き関係機関と検討を深めてまいります。
 
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