質問1
我が党は、昨日の代表質問で、石原知事のファミリーが深くかかわったワンダーサイトの問題を取り上げ、都政の私物化を厳しくただしました。 同様に、都民の怒りの声が殺到しているのが、石原知事が就任以来十九回も行ってきた超豪華海外出張です。都民には、それこそわずかな額の補助やサービスを切り捨て、痛みを押しつけながら、自分自身は一回二千万円、三千万円もかけて、観光目的としか思えないような海外出張を繰り返していることは、認められるものではありません。 ところが知事は、記者会見などで、自分でどうこうしろといったことはない、事務方が決めたことだといって、みずからの責任を棚上げして、責任を職員に押しつけようとする発言を繰り返しています。海外出張のほとんどが知事のトップダウンで行われてきたことから見ても、無責任きわまりない態度です。 きょうは、この間新たに判明した事実も踏まえて、質問を行います。 まず、知事自身の豪遊問題です。 知事が海外出張するときは必ず、飛行機の料金は、多くの都民が使うエコノミークラスの三倍もするファーストクラス、ホテルは最高ランクのホテルの高額な部屋を押さえ、現地の移動も、動く応接室といわれる超豪華リムジンを乗り回すなどと破格です。 知事、都民はたび重なる増税と社会保障の連続的改悪で、毎日の生活を切り詰め、旅行をあきらめたりしているのです。一晩で最高二十六万円という、一カ月分の給料にも匹敵するホテル代に税金を使っていることに痛痒を感じないのですか。答弁を求めます。
答弁1
▼知事 海外出張についてでありますが、これに関する事務処理については、事務局が従来のルールに従って適切に行っておりまして、私の方から条件や注文をつけたことは一度もございません。 私は、これまで、現場主義のもとに、国内外にみずから足を運び、この目で確かめることで新しいアイデアを得、自分で動くことで政策の実現につなげてまいりました。 例えばガラパゴスあるいはアメリカのレッドウッド国立公園などの視察も、結局、小笠原の南島の保護や多摩の貴重な自然を守るレンジャー制度に結実したのでありまして、ロンドンでのトップ会談を通じて、温暖化を阻止するニューヨークやパリなど世界の諸都市の輪に、むしろ先方から請われて加わることにもなりました。 ついでに申しますと、通訳の問題ですけれども、一度、現地の通訳を使ったことはあります。アメリカ人と結婚した女性でしたけれども、この人、日本語は忘れていて、とても役に立ちませんでした。 私がいつも依頼している通訳は非常にベテランでありまして、実はある著書のせいで、「『NO』と言える日本」のときでしたけれども、向こうから招待を受けまして、随分幾つものテレビ局に出て、私は私なりに日本の主張をしましたが、そのときに、返ってくる質問がみんな同じなものですから、面倒くさくなって、マイナーなテレビにはしょりましたら、彼女が日本のためだというので、私がもうはしょっちゃった分まで補足してくれまして、そういう愛国的な、非常にベテランの通訳であり、私は頼りにしております。 まあ、共産党は、個々の数字だけをとらえて批判することに終始しておられますが、もっと海外出張なるものを大きな長い意味合い、成果について目を向けて、建設的な議論をしていただきたいと思います。
質問2
知事、近県でも大阪でも、知事の旅費規程では航空機はファーストクラスに乗れるのに、ビジネスクラスを利用しています。せめて他の知事と同じようにビジネスクラスにしようと一度でも考えたことがあるのですか、答弁を求めます。
答弁2
▼知事本局長 知事の海外出張の際の航空運賃についてでございますが、知事の海外出張の際の航空運賃につきましては、東京都知事等の給料等に関する条例の規定に基づき、適正に支出しております。
質問3
また、知事は、副知事の依命通達などで、財政が厳しいから経費を節減しなさい、旅費を節約しなさいと、それこそ毎年のように指示しています。であれば、自分の旅費も、少しでも安く済ませようとするのが当たり前ではありませんか。それとも、知事は、ご自分のお金でホテルに泊まるときも人任せで、料金のことは考えないのでしょうか。知事の答弁を伺います。
答弁3
▼知事本局長 知事の海外出張の際の宿泊費についてでございますが、海外出張の際の宿泊費につきましては、知事のセキュリティーが十分に確保され、ホテル自体が高い安全性を有していること、要人との会見の際にも礼を失しない程度の格式と設備を有していること、非常事態発生時でも、都庁と緊密な連絡をとることのできる設備が整備されていること等の条件を満たすもののうちから、最も価格の低いものを選定し、適正に支出しております。
なお、平成十三年のワシントンDCの出張の際の宿泊費が一泊約二十六万円になったことにつきましては、現地が繁忙期で全体の宿泊料が上昇したことに加えまして、飛行機の到着時間の関係から、午前中にホテルに入ったため、ホテルの規定によりまして、前日の宿泊費も負担せざるを得なくなり、二日分の宿泊料となったものでございます。
また、このことにつきましては、共産党に開示した公文書の中にも記載させております。
質問4
次に、ワンダーサイトでも、公費で四男を海外出張させていた事実が浮かび上がりましたが、知事の海外出張でも、夫人や側近の特別秘書を特権扱いしていることです。 石原知事は、国際儀礼を理由に四回も夫人を同行しています。その費用は、航空運賃はファーストクラス、ホテルも知事と同様の高額なもので、出張費用は、一回当たり二百万円前後もかかっています。 では、ファーストクラスの旅費や高いホテル代を支給する根拠は何なのでしょうか。調べましたら、支出について記載されているのは、ワシントンDC出張の際の文書に、知事夫人及び特別秘書については、出張の性格及び業務上の必要により、搭乗座席クラスを知事と同じものとすると書いてあるだけでした。 知事、夫人の旅費を公費で支出した条例上の根拠は何なのかを明らかにしてください。国際儀礼という名目さえあれば、規定がないのをいいことに、高額な税金の支出を行ってよいとご自身でも考えているのですか。知事夫人にかかわる問題ですから、知事自身の考えをお聞かせください。 夫人が海外出張した根拠は、国立公園の園長の昼食会とか商工会議所の夕食会、サンフランシスコ総領事の晩さん会に知事夫妻が出席することです。しかし、神奈川、大阪、福岡県の知事は、配偶者を同伴していません。昼食会や夕食会に招待されたからといって、一回二百万円ものお金を公費で払うというのでは、毎日十円でも倹約しようと生活している都民が批判するのは当然だと思いませんか。 マスコミからも、そもそも首相のように外交が必要ないのに、都知事がこんなに頻繁に夫人同伴で海外へ行く必要があるのかという批判が出されています。埼玉県知事の場合は、一回だけメキシコ州知事への訪問団に夫人が同行していますが、すべて私費で負担しているのです。知事、どう考えますか、答弁を求めます。
答弁4
▼知事本局長 知事夫人の経費の支出に係る三点のご質問についてでございますが、知事夫人の同行につきましては、これが東京都の事務の一環であると位置づけられ、また、先方から招待があり、これを拒否することは国際的な儀礼を失するおそれがある場合に限り行っております。 また、夫人の同行に要する経費につきましては、地方自治法二百三十二条一項の、当該普通地方公共団体の事務を処理するために必要な経費とし、適正に支出しており、本年六月の東京地裁判決においても認められております。 また、埼玉県の例につきましては、詳細を承知しておりませんが、夫人の同行に係る旅費の負担については、個々の状況に応じて判断しているものと思われます。
質問5
四男の延啓氏と海外出張の現地で合流しているケースが、わかっているだけで二回ありました。
一つは、昨日取り上げたスイス・ダボスの東京ナイトで、これは延啓氏の旅費をイベントの委託費に盛り込ませていることが明らかになっています。
もう一つは、二〇〇四年十月の知事の台湾出張です。同じ時期に四男もワンダーサイトの事業で台湾に出張していることが、開示された文書で判明しました。
開示された今村参与のメールには、十月二十四日夜、台湾の要人と石原知事との夕食会に出席したことや、台風の影響で石原知事が乗る飛行機が飛ばないことを前提に、二十五日の昼を、延啓氏と要人との食事を予定していることなどが書き込まれています。
私が問題だと思うのは、今村参与が、延啓氏の出張について、ワンダーサイトからの調査委託でできませんかといって、ワンダーサイトの調査委託という扱いで出張費を出させようとしていることです。
このメールでのやりとりには、何とか延啓氏を公費を使って海外出張させようとする今村氏の思いが明白にあらわれています。延啓氏はどういう資格、理由でワンダーサイトの台湾出張に同行したのですか、明らかにしていただきたい。
答弁5
▼生活文化局長 石原延啓氏の台湾出張についてのお尋ねでございますが、石原延啓氏は、都やトーキョーワンダーサイトコミッティから派遣されておらず、当然、出張旅費についても、お話のワンダーサイトコミッティからの支出も含め、公費から支出しておりません。
質問6
知事、昨日も指摘したように、知事の家族をワンダーサイトの事業に携わらせ、口を出させることは、事業をゆがめるもとになります。直ちに正すべきだと思いますが、お答えください。 どのように取り組んでいくのか伺います。
答弁6
▼知事 トーキョーワンダーサイトの事業運営についてでありますけれども、昨日の代表質問でも答弁したとおり、都政を預かる者として、都庁内部だけではなく、外部の専門家や有識者、さらには必要とあれば身内をも使って知恵を集結し、さまざまな課題に取り組んでいくべきであると思います。
現に、ワンダーサイトの今日の充実には、あえて申しますけれども、身内の息子の建言も随分役に立ってきました。それは当事者たちが認めるところでありまして、いずれにしろ、私の発案で始めました若手芸術家支援のトーキョーワンダーサイトも、限られた世界だけに、数少ない有能な芸術家や美術関係者にも手伝ってもらいながら、事業を進めてまいりました。 ワンダーシードを初めとして、美大の有望な学生たちが多く応募してきてくれるようになりました。また、ワンダーウォールから育ったアーチストがほかの美術館でも活躍しておりますし、外国のオークションにも出るようになりました。 十一月に開催したワンダーサイト青山アートビレッジでは、既に海外のアーチストが滞在し、作品制作に取り組んでおります。これらを通じて、トーキョーワンダーサイトは、内外においても高い評価を得るようになっております。
質問7
知事の腹心といわれる、特別秘書の待遇も問題です。 特別秘書は、条例上、航空運賃はビジネス料金なのに、知事と打ち合わせることが必要だとして、ビジネスクラスの倍近い料金の豪華なファーストクラスに変更するケースがほとんどです。ホテル代も、同じ理由で条例規定の二から七倍もの上乗せをしています。打ち合わせなら、航空機内で行わなくても、同じクラスの部屋に宿泊しなくても、知事の部屋で済ませればできることではないですか。 知事は、都民の税金をどう考えているのですか。特別秘書の航空運賃を条例どおりのビジネスクラスにするだけで、ロンドン、マン島出張では七十三万円も節約できたのです。それだけあれば、視覚障害者を支える盲導犬のえさ代補助六十四万円が確保できるではないですか。知事、お答えください。 マスコミからも、打ち合わせのときだけ、知事のいるファーストクラスの場所に移動すればよいではないかと指摘されていますが、知事、こういう疑問に対してどう答えるのですか、伺います。
答弁7
▼知事本局長 特別秘書の航空運賃に係る二点のお尋ねについてでございますが、特別秘書の航空運賃も含め、海外出張に係る経費につきましては、個々の案件ごとに必要かつ合理的と認められる額を算出し、適正な手続を経た上で支出しております。 知事と特別秘書は、行政目的を円滑に達成するため、綿密な打ち合わせを行う必要があるので、知事と至近の座席を確保しております。 なお、知事と同行しない場合には、特別秘書はビジネスクラスを利用しております。 個々の数字のみをとらえ、単に性質の異なる分野の事業と比べ額の多寡を論じても、全く意味がないと考えております。
質問8
一回二百万円といわれる通訳の費用も、余りにも高過ぎます。それは、石原知事の場合、通訳は特定の会社にこだわり、わざわざ日本から随行するため、現地採用では必要のない交通費や宿泊代、拘束料などが必要となるからです。 なぜ特定の通訳にこだわるのかについて、開示された特命理由書では、知事自身が発言を無意識に省略、割愛した場合に、必要に応じて、都政の現状や知事の従前の発言を踏まえて適宜補足するという高度な技術が不可欠だとされています。しかし、自分がいえなかったことまで通訳に補足させなければならないとは、何とも情けないことです。こんなことがもし事実とすれば、東京都を代表して外国に出かける資格が問われるのではありませんか。知事、お答えください。 仮に、通訳を現地で雇うようにすれば、それだけで百万円近く節約できることになります。これは、あなたが打ち切った、視力と聴覚の二重の障害がある盲ろう者の通訳介助者を養成する事業費の額に当たります。海外出張の通訳の費用を少しでも節約しようと思わないのですか、お答えください。
答弁8
▼知事本局長 通訳者に対する二つの質問でございますが、知事の海外出張は、例えば東京オリンピックの招致など、都政の抱える喫緊の課題につきまして、関係者と会談を行うことを想定しております。このため、通訳者には、相手方の発言や知事の考え、意見を正確に通訳する技術が必要であるほか、事前の準備、打ち合わせ等も不可欠でございます。 先ほど知事も答弁しましたが、現地の通訳の質にはかなりのばらつきがございまして、都が期待するレベルの通訳を雇い上げる保証はないため、東京からの同行をお願いしております。 なお、知事のいえなかったことまで通訳に補足させているというご指摘は、全く当たらないと考えております。
質問9
視察の内容も、高額の税金をかけて行く必要があったのか、本当に疑問です。 まず、千四百万円もかけたガラパゴスですが、この目的は、環境保護、観光産業のための視察でした。しかし、調べてみると、知事が出かける少し前に、環境局が十五日間の日程で、五百万円もかけて綿密な調査検討を行っていました。これに加えて、わざわざ知事が莫大な費用をかけて行く必要があったとは到底思えません。 だから、マスコミからも、ガラパゴスでは三十八万円かけて小型クルーザーを一日借り切ってクルージングを楽しみ、二百六万円かけてホテル並みの施設を備えた大型クルーザーで四日間のクルージングと諸島見物をしたと書きたてられたのです。観光旅行の域を出ていないといわれているのです。知事自身、都議選の応援が面倒くさいからガラパゴスに行っていたと告白していたではありませんか。 二千百万円かけたレッドウッド国立公園の視察は、自然保護のレンジャーの視察が目的でしたが、実は、知事が出張するときには、環境局でレンジャーの制度はほぼ完成しており、知事がわざわざ出かける必要はなかったものではありませんか。 知事は、これまでに八回、海外出張に合わせて美術館などの文化施設を訪問しています。このうち、出張の目的に明記されていたのは二〇〇四年のフランス訪問だけで、それ以外は目的にも何も書かれていないものです。しかし、中には、文化施設だけに一日を割いているものもあります。こんな日程も税金で賄っていいのかという都民の批判は当然だと思いませんか。知事の答弁を求めます。
答弁9
▼知事 文化施設への視察についてでありますが、出張の機会をとらえて、さまざまな施設の現地視察を行うことは、もちろんあります。文化施設への視察については、
例えば若手芸術家の育成支援を目的としたパリのポンピドーセンターや、台湾の台湾国際芸術村の視察、さらにはロンドンのテートモダンの視察、
これはもう一日がかりで、館長と長い間、話し合いをしました。トーキョーワンダーサイトの開設や事業の充実につながるなど、具体的な政策に反映してまいりました。 現場に直接出向くことにより、斬新なアイデアも新しい政策も生まれてくると思います。 これからも、国内外を問わず、さまざまな現場にどんどん出向いて、現場主義を貫いていくつもりであります。共産党も、
もうちょっと外側の世界に目を向けられたらどうでしょうか。
結局、知事の海外出張に支出された税金は、警護のSPなどの費用を除いても、総額二億四千四百万円以上、一回平均千六百万円に及ぶものとなっています。
二〇〇四年には、一年間に五回も行っているのです。 しかし、知事は、都民に向かってはどういってきたでしょうか。都民には自立自助、つまり、自分のことは自分のお金でやりなさいといって、冷たく福祉の手当や補助金を削り、職員には、それこそ鉛筆一本も節約しなさいといっておきながら、自分は超豪華旅行に頻繁に出かけ、都の条例の宿泊規定が低過ぎるといってはばからない、これが仮にも上に立つ人の発言とは到底思えません。 豪華な海外出張はやめ、都民のためにこそ税金を使うべきことを指摘し、再質問を留保し、質問を終わります。
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