平成18年12月8日(金) |
東京マラソンを世界的な大会に 中小企業に技能者の育成確保を |
橘 正剛(公明党) |
■スポーツ振興 |
質問1 東京オリンピック招致に向けたスポーツ振興について質問します。 今定例会の所信表明の中で、知事は、スポーツ振興のうねりを東京から日本全国、さらにはアジア全体に広げ、平和の祭典・東京五輪につなげていきたいと、スポーツ施策強化への強い決意を示されました。その一環として、トップアスリート養成のための中高一貫校の創設などは大きな目玉となります。同時に、地域における身近なスポーツの活発化もオリンピック招致へのうねりを起こす大きなインセンティブになることから、子どもからお年寄りまで地域で気軽に楽しめるスポーツ振興策を打ち出すべきと考えます。 オリンピック招致に向けて、今後の取り組みに対する知事の所見を伺います。
答弁1
▼知事 スポーツは、都民、国民の健康増進や地域コミュニティの活性化など、さまざまな役割を担っております。都にとってスポーツ振興は政策の重要な柱の一つであり、来春にはスポーツを専管する組織を立ち上げる予定であります。 今後、身近な場所で、だれもが何らかのスポーツを楽しめるよう、地域スポーツクラブの設立を支援するとともに、旧秋川高校を活用しまして、世界で戦える選手を養成するための中高一貫の教育施設を設立するなど、幅広い層で総合的にスポーツ振興に取り組んでいくつもりでございます。 十年後のオリンピック開催をも視野に入れながら、スポーツを文化として根づかせ、東京をさらに魅力のあるまちにしていきたいと思っております。
質問2 次に、東京大マラソン祭りについて質問します。
都は、東京マラソン二〇〇七を成功に導き、二〇一六年のオリンピック招致への機運を高めるとしております。そのためにプレイベントを開催するとともに、マラソン当日は、ゴール地点となる有明会場を初め日比谷公園など、コース沿道各所で観戦する人たちも楽しめるさまざまなイベントが予定されております。
この東京マラソンを市民参加の世界的な大会に育てていくには、アフターイベントも実施すべきであります。その一つとして、マラソン当日の模様をカメラにおさめた作品を都民から募集するフォトコンテストを企画し、写真を通してより多くの人たちに紹介していくことは非常に有意義であると考えます。所見を伺います。
答弁2 ▼東京オリンピック招致本部長 東京マラソンを世界的な大会に育てていくためには、大会終了後も次回の大会に向けて機運を継続させていく必要がございます。そうした観点から、お話のフォトコンテストの実施につきましては、貴重なご提案であると考えてございます。 フォトコンテストの実施に向けましては、事業主体、スポンサーを含めた予算の確保、さらには事業スキームの確定等検討すべき課題も多いことから、今後これらの諸課題を速やかに検討してまいりたいと思います。
質問3
さらに、大勢の観客が訪れると予想される沿道各所で、事故なく気持ちよく応援していただくための配慮は欠かせません。特に、二月という最も寒い時期に大勢の人が観戦するわけですから、トイレの不足が懸念されますし、イベント会場を含め、障害者や高齢者が安心して参加できる会場整備も不可欠です。 東京マラソンの成功は五輪招致実現へ大きなアピールになるとの日本陸連関係者の指摘もあります。したがって、懸念される課題には全庁を挙げて万全な対策を講じて臨むべきです。具体的な対応について見解を伺います。
答弁3
▼東京オリンピック招致本部長 東京マラソンに係る施設整備等についてでございますが、観戦する方々が、沿道各所で安全に、また気持ちよく応援をいただくためには、施設の対応が必要であることはご指摘のとおりでございます。 このため、お話のトイレにつきましては、東京マラソン組織委員会におきまして、沿道施設へのトイレ利用の協力依頼や仮設臨時トイレの要所要所への設置を実施してまいります。 また、障害者や高齢者が安心して参加できるための会場整備につきましても、関係局や区と調整しながら、大勢の方々が応援する楽しみを感じていただけるよう万全を期してまいります。
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■中小企業支援策 |
質問1 中小企業支援策について伺います。
中小企業のすぐれた技術や製品を展示し、ビジネスチャンスを提供する産業交流展が十月に東京ビッグサイトで開催され、私も見学してきました。展示ブースを回って話を聞いてみると、製品開発までは技術支援などを受けながらこぎつけることができるが、その先の販路にめどが立たないといった声が聞かれました。新製品を開発しても、中小企業にとっては販路開拓が大きな課題となっている実態が、そうした言葉にあらわれておりました。
販路開拓の支援策として、東京都中小企業振興公社は、企業OBなど経験豊富なビジネスナビゲーターが新製品の取引先の紹介等を支援するニューマーケット開拓支援事業を展開し、成果を上げていると聞いております。
その一方、中小企業者からは、ナビゲーターの増員や事業の周知を求める声も聞かれます。同事業は中小企業の販路開拓というニーズにこたえる有効な事業であり、こうした中小企業の要望に的確にこたえられるよう、一層きめ細かに対応していくことが大事であります。
そこで、この事業の具体的な成果を積極的にPRするなど、中小企業者への浸透に努めるとともに、新製品を意欲的に発掘し、取り扱う製品の対象を拡大していくべきであると考えます。見解を伺います。
答弁1 ▼産業労働局長 ニューマーケット開拓支援事業についてでございますが、本事業は、ベンチャー技術大賞等により高い技術力の評価を得た中小企業の製品や審査会において選定した製品を対象として、その販路開拓を支援するものであります。十九年度からは、環境、健康などの成長産業の核となります技術開発を集中的に支援する重点戦略プロジェクトなど、新規事業による開発製品も新たな支援対象といたします。
また、各種展示会や広報媒体を活用した事業内容や成功事例の積極的PRのほか、区市町村など関係機関との連携強化により、すぐれた製品の一層の発掘に努めていきます。
さらに、より多くの企業が本事業を活用できるよう募集方法を改善するなど、事業の充実に鋭意取り組んでまいります。
質問2 さらに、中小企業が激しい競争を勝ち抜いていくために必要な販売戦略やマネジメント能力といった総合的な経営感覚を身につけるための支援も不可欠であります。しかし、日々忙しく働く中小企業者にとって、必要な知識を体系的に習得するための情報収集や各種研修機会への参加は極めて困難な状況にあります。
そこで、中小企業の経営者や後継者などが仕事をしながら技術、経営の両面で自己の能力を向上させるリカレント教育の充実は極めて大事です。その支援策として、産業技術大学院大学の活用など、都立の教育機関や研究機関との連携を強化すべきと考えますが、所見を伺います。
答弁2 ▼産業労働局長 近年、中小企業におきまして、技術と経営両面に精通した人材教育の重要性が強く認識されております。そこで、都は、平成十九年度から、産業技術大学院大学と提携し、主に中小企業の経営者、後継者を対象とした技術経営人材育成のための公開講座を開設いたします。本講座では、学位等にとらわれず、比較的短期間で中小企業の実情に応じた経営戦略や製品開発マネジメントなど、実践的な教育訓練を行うものであります。こうした新たな取り組みにより、技術、経営両面で中小企業を支える人材を輩出してまいります。
質問3 中小企業の建築、機械、設備関連業種を中心に切実な問題となっている技能者育成、確保について質問します。 建築、設備関係の小規模企業の経営者の人たちと懇談した折、こんな話を聞きました。ある程度の技術や技能を身につけると、中堅、大手の企業に移ったり引き抜かれたりして、中小零細企業は常に技能者不足の状態となっており、仕事のできぐあいにも影響を及ぼしかねないといったものでした。しかし、中小企業では従業員を十分に教育する余裕がないために、技能を有する人材の育成、確保が難しいという実情があります。 技能者育成については、都立技術専門校での新たな技能者育成のほか、従業員を対象としたオーダーメード型訓練、建築関係業種の団体や事業主が運営する認定職業訓練校などがありますが、中小企業の実態を見れば、取り組みが十分とはいえません。都市インフラ整備などの現場を担うとともに、厳しい競争に勝ち残るための技術向上が求められる中小企業にとって、技能者の育成、確保は死活問題であります。 中小企業における技能者の育成促進のため、企業の業態や勤務実態に即した数人単位の訓練支援など、一段ときめ細かな支援策の強化は不可欠であります。今後の対応について見解を伺います。
答弁3 ▼産業労働局長 企業の人材育成機能が低下傾向にある中で、特に中小企業におきましては、技能者の育成が重要な課題となっております。そのため、都は、技術専門校で広く受講生を募集して行う能力向上訓練、特定の企業、事業主団体の要望に基づいて行うオーダーメード型訓練などを、中小企業の技能者を対象として実施してまいりました。 今後は、企業訪問の拡大等により一層企業ニーズの把握に努め、中小企業の実情にきめ細かく対応した訓練を実施するなど、技能者育成の充実を図ってまいります。
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■バリアフリー推進 |
質問1 バリアフリーのまちづくりについて質問します。
だれもが安全で快適に暮らせるまちづくりを目指し、公明党が一貫して推進してきた交通バリアフリー法とハートビル法を統合、拡充したバリアフリー新法が今月施行となります。これによって、これまで駅やビルなど、いわば点としての整備に加え、今後は面としてのバリアフリー化に重点を置いて取り組むことになり、高齢者や障害者が移動しやすいまちの整備が一体的に進められます。
具体的な整備は、同法を受けて区市町村が作成する基本構想に基づいて行われることになります。その際、平成十二年に施行された交通バリアフリー法に基づく基本構想策定での教訓を生かすべきです。このときは、自治体が作成のノウハウを十分持っていなかったことや、協議すべき関係機関等が多いために調整に時間がかかったことなどが指摘され、結果的に着手がおくれたという状況がありました。
新法では面としての整備を求めていることから、調整は前回以上に時間を要することが想定されます。基本構想の策定に当たっては、住民が生活圏を共有していても、複数の自治体にまたがる地域の一体的な整備を行うケースも多くあると想定されます。
このため、都の有するノウハウなどを盛り込んだガイドラインを策定するとともに、区市町村間や関係機関、団体との調整に都が主体的に対応するなど、基本構想策定から実施に至るまで迅速に進むよう、強力に後押しすべきと考えます。所見を伺います。
答弁1 ▼都市整備局長 基本構想は、高齢者や障害者等が円滑に施設間の移動や施設の利用ができるよう、バリアフリー化の重点的かつ一体的な推進を図るため、区市町村が策定するものでございます。
都ではこれまで、基本構想策定の手引を作成し、区市町村の取り組みを支援するとともに、区市が設置する基本構想策定の協議会に鉄道事業者などとともに参画してまいりました。
今般の新法の趣旨を踏まえ、より使いやすい手引への改正を早期に行うなど、多くの自治体が基本構想を速やかに策定できるよう積極的に取り組んでまいります。
質問2 バリアフリー新法は、都市公園も整備対象としているのが特徴です。この点については、現在都が推進している都市計画公園・緑地の整備方針を踏まえ、都立公園を整備する際には、バリアフリー化やより多くの都民に親しまれる魅力づくりを連動させ、全国の自治体のモデルケースとなるような整備を行うべきです。
多くの都立公園は、広大な敷地に樹木が生い茂り、都民が身近に楽しむ格好の場となっており、そうした場所で健康増進のために多目的に利用したいとの高齢者や障害者の要望も多くなっております。このようなニーズにこたえるためにも、公園内の施設、園路等のバリアフリー化や豊富な樹木を生かした健康の維持、増進という視点からの取り組みも重要です。所見を伺います。
答弁2 ▼建設局長 都立公園のバリアフリー化と健康の維持増進の取り組みについてでございますが、公園は、都民に安らぎやレクリエーションの場を提供する重要な都市施設でございます。このため、だれもが安心して快適に利用できるよう、バリアフリー化を進めることが必要であります。
都はこれまで、新たに公園を整備する際はもとより、既に開園している公園においても、入り口の段差解消や車いす使用者などが使いやすいトイレや水飲み場の改良などを計画的に実施してまいりました。
また、都民の健康増進の視点から、林の中を散策できるような園路の整備や体力の維持を図る運動遊具などを設置しております。
今後とも、園内のバリアフリー化や健康増進の施設整備を進め、都民から親しまれる公園づくりに努めてまいります。
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■救急医療 |
質問1 都の公立病院における救急医療スタッフの充実について質問します。
ことし八月、奈良県内の町立病院で分娩中に意識不明になった患者が、十八もの病院から受け入れを断られ、ようやく搬送された病院で一週間後に死亡するという痛ましい出来事がありました。
都は既に、初期、二次、三次の救急医療体制を整備し、奈良県のような事例の発生を防ぐ体制を整えておりますが、救急医療体制をさらに充実させるには、医師、看護師など救急医療を担う医療スタッフの安定的な確保、育成が重要です。
この点について、都は来年度、都立病院において、高度、専門化した医療の提供や小児科、産婦人科の医師不足に対応するため、都立病院医師アカデミーを創設するとのことであり、都民にとっては大きな朗報です。
そこで、このアカデミーにおいては、救急医療についても専門的スタッフの育成を図るべきであります。あわせて、幅広く高度な救急医療の現場を経験できる東京ERでの研修を都立病院、公社病院のより多くの若手研修医に経験させるべきと考えます。所見を伺います。
答弁1 ▼病院経営本部長 これまで都立病院では、初期臨床研修医や救急分野の専門臨床研修医を積極的に受け入れ、救急医療に携わる若手医師の確保、育成に努めてまいりました。
都立病院医師アカデミーにおきましても、経験豊富な指導医のもとで多様な症例を数多く経験できる東京ERのメリットを最大限に生かしまして、救急分野の専門医を目指す若手医師の計画的かつ安定的な確保、育成を図ってまいります。
また、お話の東京ERでの研修対象医師を拡大することにつきましては、救急診療の一層の向上を図るために重要と考えておりまして、今後、具体的な研修カリキュラムを充実していく中で検討してまいります。
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■水道事業の充実 |
質問1 水道事業の充実について伺います。
公明党は、第二回定例会において、水道料金など幅広い公金の支払いにクレジットカード決済を実施するよう提案いたしました。クレジット決済は、電気、ガスなどの公共料金にも導入が進んでおり、家計管理に便利であるとの声がふえていると聞いております。
こうした状況を踏まえ、水道料金の支払いにクレジットカード決済を導入することは都民サービスの向上につながると考えますが、見解を伺います。
答弁1 ▼水道局長 クレジットカード決済についてでございますが、水道局では、サービス施策の一環といたしまして、これまでコンビニエンスストアでの料金収入の導入など、さまざまな施策を実施してまいりました。
さらに、都民サービスの充実に向けまして、本年五月に、五千人の都民を対象とした満足度調査を実施しました結果、約一割の方が水道料金のクレジットカード支払いを希望しておりました。
このため、ご指摘のとおり、クレジットカード決済を導入することは都民サービスの向上が図れると考えられますことから、その早期導入に向けまして、費用対効果を含め、具体的な検討を進めてまいります。
質問2 水道施設の開放促進について伺います。 水道局は、水道水源林や浄水場など多くの施設を保有し、これらの施設については、水源林にふれあいの道を整備したり、浄水場の見学会や一部開放などの取り組みを行っていると聞いております。水道施設の開放は、水の大切さを実感してもらい、節水につなげるためにも有意義な事業であると思います。 私の地元である板橋区の三園浄水場では、現在、高度浄水施設の建設中であり、先日、見学してまいりました。安全でおいしい水づくりに向けた設備と工夫が随所に施され、これを地元住民だけでなく、多くの都民が気軽に見学することができれば、水道事業への理解は一段と深まると思います。 そこで、三園浄水場高度浄水施設の完成に合わせて見学施設を充実させ、都民により身近な存在になるようにすべきと考えます。 見解を伺い、質問を終わります。
答弁2 ▼水道局長 水道局ではこれまでも、施設見学や、桜の開花時期に合わせまして水道施設の一部開放を実施してまいりました。 現在、三園浄水場では、平成十九年度の完成に向けまして高度浄水施設の建設を進めておりますが、ご提案の趣旨を踏まえまして、この建設に合わせて見学者コースを整備してまいります。 今後とも、水道事業への理解を一層深めていただくとともに、都民に信頼され、親しまれる水道の実現に向けまして、見学施設の充実などの取り組みを積極的に推進してまいります。
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