平成18年12月8日(金) |
臨海三セク破綻で責任追及を 外郭団体改革の一層の推進を |
花輪ともふみ(民主党) |
■交通政策 |
質問1
先日、地方に住むある高齢の方からこんなことをいわれました。東京見物に行ったけど、東京駅で新幹線をおりて観光バスに乗るまで、雨の中を随分歩かされて、ひどい目に遭ったと。私は最初、かわいそうに随分段取りの悪い旅行会社に当たったのかなと思っていました。しかし、よく聞いてみますと、新幹線の改札口に近い東京駅八重洲口周辺には観光バスの乗りおりのスペースがなく、徒歩数百メートル離れた鍛冶橋の駐車場まで歩かなければいけないとのことでした。 私も早速、現地に行ってみました。新幹線改札口から駐車場の入り口まで、人込みの中を狭い歩道を歩き、私の足で七分ほどでした。確かに、新幹線をおりた年配の旅行者が、雨の中、荷物を持っててくてくと歩くのは大変だなと思いました。修学旅行の生徒たちも、ガイドさんの旗に従い、通行者の多さに戸惑いながら列をなしていました。
都は、千客万来の世界都市東京を目指すとして、観光行政を政策の柱に位置づけています。また、東京都観光産業振興プランでも、観光客の受け入れ態勢の整備の一つとして、交通の結節点や観光の拠点の周辺に観光バスの発着場の整備をするとしています。 現在、東京駅八重洲口駅前広場の整備はJRによって進められていますが、路線バスや高速バスの乗り場はあるものの、観光バスや貸切バスなどのバスの乗り場は計画されていないと聞きます。都の観光の玄関口であるこの東京駅八重洲口がこの状態では、寂しい限りです。 千客万来の都市を目指すのであれば、東京駅八重洲口を初め主要ターミナル駅における観光バスや貸切バスの乗り場の整備を積極的に進めていくべきだと思いますが、都の基本的な考え方と方向性について伺います。
答弁1
▼都市整備局長 主要ターミナル駅における観光バスの乗り場の整備についてでございますが、駅前広場は、道路交通の円滑化や交通結節点の機能強化の観点から、交通管理者など関係者との調整を図りながら計画しており、限られた空間の中で、路線バスやタクシーなどの乗降場を優先的に配置しております。
お尋ねの観光バスの乗り場の整備については、季節や時間帯による需要の偏り、観光バスの集中による周辺への影響、錯綜する交通動線の処理など、さまざまな課題がございます。
今後、主要ターミナル駅周辺のまちづくりの機会などをとらえ、地元自治体や関係事業者とともに適切に対処してまいります。
質問2
タクシープールについて伺います。
ある日のことでした。会合で遅くなった深夜に車で外苑東通りを抜けようとしたところ、六本木交差点付近は大渋滞、客待ちタクシーの待機列により道路の車線はふさがり、渋滞が発生しているようでした。これもタクシーの規制緩和の失敗が原因だよなとひとり言をいいながら、ふと、都がスムーズ東京21拡大作戦でタクシープールを首都高の高架下につくったことを思い出しました。六本木のほかにも渋谷や池袋などで整備をするなど、都も頑張っているなと評価していたところです。
ところが、六本木交差点を曲がり、タクシープールの状況を気にして見てみると、五十台近く入るはずの大きなタクシープールに車が四台見えるだけでした。道路にはタクシーがあふれているのにです。この六本木のタクシープールは開設後約半年を経過したところですが、どうも十分には活用されていないようです。
その後、タクシーの運転手さんに聞いてみたところ、とにかく使い勝手が悪い、お客さんもタクシー乗り場で待たずに六本木交差点付近で車を拾うため、結局、まじめにプールで待っていると、流しているタクシーにみんなお客さんをとられてしまうとのことでした。乗るお客さん、乗せる運転手さんのモラルにも問題があるようですが、タクシープールからわざわざUターンをして二車線越えないと乗り場に着かないなど、どうやらこのタクシープールそのものにも問題があるようです。
渋滞解消のため、せっかくつくったタクシープールです。有効活用に向けて、実際に利用する運転手さんの声などもしっかりと把握しながら、渋滞解消に向けてもう一工夫が必要かと思いますが、所見を伺います。
答弁2
▼青少年・治安対策本部長 六本木交差点の渋滞対策についてでございますが、六本木のタクシープールは、客待ちの待機列が交通渋滞の大変大きな原因となっていましたことから、タクシー関係団体や地元区などとの検討会で協議をいたしまして、本年五月、既存道路の一部を利用して設置いたしました。しかしながら、現在も交差点付近での客待ち待機列が解消できない状況にはございます。
今後、タクシードライバーに対し、タクシープールを利用して客待ちを行うことをさらに周知徹底することはもちろんですけれども、関係団体を通じ現場の声もよく聞きながら、検討会においてタクシープールを有効に機能させるための具体策をさらに検討してまいります。
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■臨海三セク
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質問1
昨日の代表質問でも議論されたように、東京テレポートセンター、東京臨海副都心建設、竹芝地域開発の三社、いわゆる臨海三セクは、この春三千六百億円という莫大な借金を抱えて破綻いたしました。 私が都議会議員に当選してから五年余り、多摩ニュータウン開発センター、臨海高速鉄道、東京ファッションタウン、タイム二十四など数多くの第三セクターが破綻をし、都民の財産である出資金が紙切れになりました。多額の税金が投入されてきました。 しかし、どの件についても、知事は、バブルのせい、国のせいと、いつも人のせいにし続けてきました。さらに今回の件に至っても、日本全体がバブルに乗ってすってんてんになったと強弁し、まるで破綻するのが当たり前とでもいっているように聞こえます。果たしてそうでしょうか。臨海三セクと同時期に建てられたビルはあまたあります。破綻をせずに営業を続けているところもたくさんあります。 臨海三セクが着工したころは既にバブルは崩壊し、多くの民間ビル事業者は将来の収支計画に不安を抱き、計画を見直し、コスト削減に努め、テナント獲得に汗を流していた時期です。では、臨海三セクの開発に当たって、このような、民間のような緊張感はあったのでしょうか。倒産しても責任を問われない天下りによる経営の中、臨海三セクビルは、臨海地域のために必要なインフラ設備があり、まちの成熟に必要なビルだから赤字でも仕方がないという半官半民の甘い気持ちがどこかにあったのではないでしょうか。
先ごろ、第三セクターの破綻などにより、夕張市は財政再建団体に指定されました。多くの市民が教育や福祉の後退の不安に陥っています。第二、第三の夕張になるのではないかと心配している自治体も数多くあるようです。全国各地で第三セクターの破綻と経営不振が続く中、臨海三セクの破綻をどのようにとらえ、どのように解決をしていくのか、以下の点について質問をさせていただきます。 都は、平成十年に臨海三セクの経営安定化策を策定し、平成十四年に中間見直しを行っております。私は、この間の各社の経営状況を把握したいと思い、幾度となく、それぞれのビルの収入、支出がわかるような経営情報の提供を求めてきました。しかし、いつも、営業上の理由で出せない、しかし、経営はうまくいってますからとのお答えでした。結局、破綻しました。 臨海三セクは、都民の財産を莫大に投じているにもかかわらず、株式会社であることを逆手にとって情報の説明責任を果たしてこなかったことが、今回の甘い経営につながり、バブル崩壊後の対応がおくれ、三千六百億円を超える史上最悪の臨海三セクの破綻に至ったといっても、私は過言でないと思います。 そしてまた、今回の破綻に当たって、都及び第三セクターの経営陣はどのような責任をとったのかも不明確です。三千六百億円という巨額の破綻です。通常の民間企業であれば、経営陣が退陣したり、マスコミに出てきて関係者に対して謝罪をするなどが常識ではないでしょうか。残念ながら、どこからも済みませんの声一つ聞こえてきません。また、天下り経営陣の退陣予定もないと聞きます。もし今回のような事態を不問に付すのであれば、第三セクターのモラルハザードに歯どめがかかりません。 今回の件で、都は第三セクターに対する指導管理責任、また、天下り経営陣はその経営責任をどのようにとるのか、それぞれお尋ねします。
答弁1
▼港湾局長 臨海開発は、バブル崩壊の直撃を受け、厳しい状況にありましたが、今や臨海地域は都心とのアクセスも充実し、首都東京の新たな活力を担うまちに成長してまいりました。 開発の先導役である臨海三セクも、厳しい経営環境の中で、都の指導のもと、全力で経営改善に努めてまいりました。その結果、平成十一年度以降、七年連続で営業黒字を達成するまでに回復してまいりました。 今回、民事再生を申し立てたのは、開発を一層強力に推進することの必要性や、金利上昇が懸念される将来の金融情勢などを総合的に勘案し、今とり得る最善の方策として、抜本的な経営再建を選択したものでございます。 したがって、今回の計画案の特徴でございますけれども、これまでの改善努力の結果、収益力が強化され、建物の担保価値が千三百億円と高く評価されており、新たに資金投入なしで経営再建が可能な内容となっております。 また、他団体では、大型開発におきまして、民事再生を申し立てたものの、会社の自主性が著しく損なわれた会社更生法による処理や、特別清算に移行し、資産が低廉な価格で売却される例や、自治体による重い損失補償が求められることが多い中で、今回は、再生申し立ての方針が裁判所の審査を通じまして十分尊重された内容となっております。 こうした計画案を策定することができたのは、都の指導監督のもとで、経営陣がそのときどきの経済情勢に応じ、経営努力を積み重ねてきたことの結果であると考えております。 今後も臨海開発のさらなる発展を目指しまして、全力で取り組んでまいります。
質問2
持ち株会社東京臨海ホールディングスについて伺います。
都は、臨海三セクの破綻にあわせ、この持ち株会社構想を発表したわけですが、一体この会社に何をやらせたいのでしょうか、いま一つ見えてきません。
臨海ホールディングスは、臨海熱供給、臨海三セク、ゆりかもめ、ビッグサイト、民営化後の埠頭公社の計七社を子会社化し、資金の一括運用や、グループ内融資による資金の効率的な運用を図るとしています。だぶついたお金をお互いに融通し合うということなのでしょうが、であれば、なぜ都から無担保無利子貸付で五十億円も貸してあげなければいけないのでしょうか。グループファイナンスはつくったけれども、融通し合うお金がないから、東京都さん、無利子で貸してくださいとでもいうのでしょうか。であれば、それこそ新たなる金融支援ではないですか。子会社となる第三セクターの中で、まだ金融支援が必要なところがあるのでしょうか。あるのであれば、資金の足りない第三セクターと具体的な使途を都民に明らかにしてから貸し付けるべきです。それとも、株や債券などを購入して資金運用でもするのでしょうか。
いずれにしても、無担保無利子で貸し付けるお金は都民の財産です。やはり第三セクターへのつかみ金のような形で無利子で資金を提供するという計画はいかがなものかと思います。貸し付けの考え方について伺います。
答弁2
▼港湾局長 持ち株会社におけるグループファイナンスについてのお尋ねでございます。
持ち株会社グループは、臨海地域において都民や企業を支える都市基盤を提供する各団体を経営統合するものでございます。
東京港と臨海副都心を抱えるこの地域が、全体としてその機能や魅力の向上を図っていくためには、環境、防災、観光、そして交通ネットワークなどの公益的な諸課題を統一的に解決していく必要がございます。そのため、グループは、都や関係機関などと連携しながら、総合力を生かし、複合的なサービスを行ってまいりますが、その成果は都民に還元されることから、無利子による貸し付けが適当であると判断したものでございます。
質問3
持ち株会社の体制について伺います。
子会社化される七社の経営トップはすべて天下りです。これからできる持ち株会社が、今までのように天下りによる責任感が希薄な中での経営では困ります。臨海三セクの失敗を、新たにつくるより大きな第三セクターが繰り返すことになってはたまりません。
会社機関の簡素化が図られる、スリムで機動性の発揮できる会社機関とするという言葉が散りばめられた説明資料の中に、役員数は原則としてグループ全体でふやさないという一行がありました。びっくりです。裏を返せば、天下りポストは減らさないということではないですか。七社の企業がグループ化すれば、当然事業の再編が行われるはずです。その中で役員数が現状維持では、天下りポストも減らすことさえできない東京都の姿勢そのものが問われると思います。
持ち株会社をつくるのであれば、多くの第三セクターの失敗を踏まえ、天下りポストを減らし、経営陣には民間からの優秀な人材を登用するなど、厳しい経営ノウハウを導入して事業を進めていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
質問3
持ち株会社の体制について伺います。
子会社化される七社の経営トップはすべて天下りです。これからできる持ち株会社が、今までのように天下りによる責任感が希薄な中での経営では困ります。臨海三セクの失敗を、新たにつくるより大きな第三セクターが繰り返すことになってはたまりません。
会社機関の簡素化が図られる、スリムで機動性の発揮できる会社機関とするという言葉が散りばめられた説明資料の中に、役員数は原則としてグループ全体でふやさないという一行がありました。びっくりです。裏を返せば、天下りポストは減らさないということではないですか。七社の企業がグループ化すれば、当然事業の再編が行われるはずです。その中で役員数が現状維持では、天下りポストも減らすことさえできない東京都の姿勢そのものが問われると思います。
持ち株会社をつくるのであれば、多くの第三セクターの失敗を踏まえ、天下りポストを減らし、経営陣には民間からの優秀な人材を登用するなど、厳しい経営ノウハウを導入して事業を進めていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
答弁3
▼港湾局長 これまで各団体におきましては、民間の知恵や工夫を十分取り入れて経営を行ってまいりました。持ち株会社の経営に当たりましても、同様に取り組んでいくことは重要であると考えております。
本グループは、交通やエネルギー、ふ頭運営など極めて幅広く、かつ公共性の高いサービスを提供する団体が参画するものでありまして、都や民間事業者など多くの関係機関と十分な調整を図りながら、事業を進めていくことが必要でございます。
こうしたグループが担う役割を的確に果たす観点から、最も適した人材を登用すべきものと考えております。
質問4
情報開示にも心配があります。七社は持ち株会社の子会社となります。都は、持ち株会社臨海ホールディングスの株主になりますが、一方で子会社への直接出資がなくなる場合があります。現在の七社は監理団体とされていますが、子会社化した後も監理団体としての指定を受けるのでしょうか。受けないとしたならば、各社の経営内容の情報開示や議会への報告はどうなるのでしょうか。
臨海三セク破綻による再生プランとしての持ち株会社構想です。少なくとも子会社も監理団体に位置づける、あるいは情報公開条例の規定の中にしっかりと盛り込んでいくなど、制度的な担保も視野に入れて、今まで以上に透明度を高めるようにしていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
答弁4
▼港湾局長 持ち株会社グループの経営の透明性についてでございます。
本グループは、公共的な役割を担うことから、経営の透明性の確保は重要な課題であると認識しております。そのため、持ち株会社に加えて、グループ全体と各子会社の財務諸表についても、毎年度議会に報告することを既に明らかにしておりますが、都民への説明責任を果たしていくためにも、経営の透明性の確保にできる限り努めてまいりたいと考えております。
なお、子会社の位置づけにつきましては、関係局と検討を進めているところでございます。
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■外郭団体改革
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質問1
今回の臨海三セクの破綻、臨海ホールディングスによる持ち株会社方式により、監理団体改革も大きな節目を迎えたとの声も聞こえてきます。しかし、まだ臨海高速鉄道や多摩ニュータウン開発などのように、公的資金投入後経営再建中の会社や、多摩都市モノレールのように経営難に悩まされている会社もあります。臨海地域以外でも、水道局の第三セクターによるビル事業なども行われています。
そもそも民間でもできるビル事業をなぜ都がやり続ける必要があるのかという疑問もあります。行政と民間との役割分担の議論、これももっともっと必要です。天下りに対する都民、国民の批判も高まっています。このようなことや、全国各地の第三セクターの状況なども踏まえ、監理団体を初めとした東京都の外郭団体の改革を一層進めていくべきと考えますが、知事の決意を伺います。
以上をもちまして私の質問を終わります。
ありがとうございました。
答弁1
▼知事 外郭団体改革についてでありますが、私、就任以来、外部監査の実施やアドバイザリーボードの設置、民間の経営者の登用などによりまして、かなり思い切った措置を講じながら、不退転の決意で抜本的な改革に取り組み、それなりの成果を上げてきたと思っております。
かつて、バブル崩壊の影響を受け、破綻寸前でありました臨海副都心開発についても、総仕上げの十年という重要な段階を迎え、このたび持ち株会社方式で監理団体を経営統合することにより、開発を強力に推進する体制を構築することといたしました。
今後とも、こうした先駆的な取り組みを東京から発信し、都民サービスの向上と東京の再生という広い視点で、都と団体との関係も厳正に保ちながら、改革に取り組んでいくつもりでございます。
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