平成18年第4回定例会 代表質問

中長期的視点重視の財政運営を
固定資産税等軽減措置の継続を

高島なおき(自民党)
■都政の主要課題
 
質問1
 平成十八年第四回東京都議会定例会に当たり、都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
 ことし、国政の舞台では、戦後六十一年目にして初めて戦後生まれの首相が誕生いたしました。安倍首相には、憲法改正や教育基本法の改正など、この国の根幹にかかわる大きな仕事をぜひともしていただきたいと思いますが、私たちは決して戦後という不可解な時代に対して明確な決着をつけ得たわけではありません。
 特に、この国の次代を担うべき若い世代に目を向けたとき、私たち大人が子どもたちに何をし、何をしてこなかったのかを深く考えざるを得ないのであります。学校でのいじめの横行などを見るにつけ、人間として失ってはならない大切なものをどこかに置き去りにしてきたように思えてなりません。
 さらに、我が国を取り巻く国際情勢に目を転ずれば、核の脅威を背景に恫喝を繰り返す国が、国際社会に混乱を招来しようとしています。稚拙な技術力しか持たない独裁者が、みずからの延命にきゅうきゅうとしている姿には憐憫の情さえ感じざるを得ませんが、我が国は拉致という未解決の問題に直面しており、危機の実態からひとときも目をそらしてはいけないと思います。
 石原知事はよく、平和の毒が日本人をむしばんでいるといった趣旨のことをおっしゃいますが、まさに我が国の現状は、国内外で危機的な状況に直面しているにもかかわらず、平和ぼけに浸って安穏と構えているように見えます。このままでは、この国の安危を見誤ってしまうのではないでしょうか。
 石原知事は、この七年半の間、東京から日本を変えると都民、国民に訴え続け、強いリーダーシップのもと、ディーゼル車の排出ガス規制、CLO、CBOの発行による中小企業振興、認証保育所の設置など、有言実行の姿勢を貫き、さまざまな政策を実現してきました。
 我が党も、知事と軌を一にし、全面的に支持、支援し、都民福祉の向上に大いに貢献してきたと自負をしております。今こそ、東京から日本を変えるだけでなく、世界をも変える大きなうねりをつくり出していくべきと考えます。
 この八月には、東京が二〇一六年のオリンピックの国内立候補都市に選ばれ、これからまさに世界に打って出ようとしている時期でもあります。また、知事の最大の懸案の一つである横田基地の軍民共用化も、日米両政府による公式の検討組織がこの十月に設置された以上、十二カ月以内には共用化の具体案が提示されるところまで到達したのであります。
 我が党は、今後とも知事と手を携え、都政運営に邁進する所存でありますが、東京五輪招致の実現、横田軍民共用化の実現を、知事と一緒に見届けたいと考えているのであります。
 そこで、まさに今後の都政にかける知事の明確なる決意をお聞かせ願います。
 今後の日本や東京のあり方を見据え、知事には都政に対する強い決意をお持ちのことと思います。こうした知事の思いを実現するためにも、知事を補佐する執行機関には、副知事以下、局長から一般職員に至るまで、知事をしっかりと支え、石原都政のなお一層の発展のために命がけでご尽力いただきたいと、切に願うものであります。
   
答弁1
 ▼知事
 私は、この八年近くの間、日本の頭脳部、心臓部であります東京から、何とかこの国を変えようというつもりで、国の一歩、二歩、三歩も先を行く独自の政策をさまざまに講じてきたつもりでございます。
 破綻の危機に際していた財政も、内部努力も相まって、土俵際から何とか押し戻すことができましたし、新たな公会計制度を構築することにより、行政の新しいフォーマットもでき上がりつつあります。
 また、横田基地の軍民共用化や三環状道路の整備などの懸案事項では、首相官邸にも参りまして直接談判にも及ぶことがございましたし、大気汚染訴訟では、おっしゃられたとおり、先般、裁判官に直接、文明批判としての都政の姿を伝えてまいりました。
 しかし、東京の再生はいまだ道半ばといわざるを得ず、東京をより快適で魅力的な都市としていくには、まさにこれからが正念場であると思っております。
 この夏、二〇一六年のオリンピック国内立候補都市が東京に決定しましたが、五輪開催は、東京そして日本の底力を世界に示す絶好の機会でありまして、いい出したからには、途中で投げ出すわけにはいかないと思います。
 現在、十年後の東京の姿を明らかにする二〇一六年の東京の都市像を既に大方策定しておりまして、今月中に発表する予定でございます。来年からの四年間は、その端緒となる重要な時期でありまして、私はこれからも、オリンピック開催を目指す十年後を見据えて、東京発の先進的な取り組みを重ね、都民の皆様はもとより、広く各界層のご支持を得ながら、首都東京のかじ取りを引き続き命がけでやっていきたいと思います。
   

 
質問2
 東京オリンピックの招致について伺います。
 今後の知事の政治方針において、オリンピックは極めて重要な要素です。十年後を見越し、東京の将来像を構築し、オリンピック招致を成功させることは、まさに石原知事の使命ではないでしょうか。
 その重要な第一歩として、先月二十二日、東京オリンピック招致委員会が発足いたしました。三年後のIOC総会で東京都が開催都市に決定し、勝ち名乗りを上げることは、この招致委員会の活動いかんにかかっているといっても過言ではありません。そして、その会長は石原都知事であります。招致委員会の発足に当たっては生みの苦しみもあったと聞いておりますが、オリンピック招致を成功させるためは、会長として今後の知事のリーダーシップが問われてくるのではないでしょうか。
 そこで、招致活動の展開について知事の決意を伺います。
 
答弁2
 ▼知事
 この展開、オリンピック招致は、国を挙げての一大プロジェクトでありまして、単に東京ひとりの問題ではないと思います。東京が中心になって、日本全体でひとつ新しい大きな夢を見ようというプロジェクトでありまして、この夢を成就させるためには、先月立ち上げました東京オリンピック招致委員会を中心に、国の政府や、これも強く要求しますが、経済界、さらには国内スポーツ関連団体が一団となりまして、都民、国民の機運を盛り上げ、海外における招致運動を積極的に行う必要がございます。
 既に、前小泉首相、現安倍首相、そして官房長官などと突っ込んだ話し合いをしておりますが、今後は、招致委員会の長としてリーダーシップを発揮し、こうした複合的な招致運動を戦略的に展開していくことで、熾烈な選考レースを何とか勝ち抜いていきたいと思っております。
 


 
質問3
 先月の都議会自由民主党と公明党の海外合同調査団の調査では、勝利した都市は、招致戦術やグローバルな活動に秀でた国際的なアドバイザーを招いたり、エージェントを活用していることがわかりました。我が国では、これまで名古屋、大阪と連続して夏季オリンピック大会招致で負けてしまっています。東京オリンピックの招致に当たっては、こうした反省も踏まえ、招致に成功した海外の人材やノウハウを活用することが必要だと考えます。
 そこで、今後の招致活動に関し、外国人や外国企業の活用など、海外との関係を強化していくのか、所見を伺います。
 
答弁3
 ▼東京オリンピック招致本部長
 オリンピック招致を成功させるためには、IOCの動向や、これまでの海外の事例を十分に調査研究した上で招致活動を展開していくことが重要でございます。
 このため、過去のオリンピック招致に携わったアドバイザーの招聘や計画策定、広報戦略などを専門業務としております海外エージェント企業との契約などを検討しております。
 今後は、東京オリンピック招致委員会を中心にこれら国外に蓄積されているノウハウを活用するほか、国際競技団体との調整など、海外におけます諸活動を本格化させてまいります。
 

 
質問4
 次に、国体は、いうまでもなく国内最大、最高のスポーツの祭典であり、東京国体の成功なくしてオリンピックの成功もないといっても過言ではありません。
 国体は、多くのスポーツの競技者にとって、郷土を背負って勝利を目指す、高校野球における甲子園大会のような存在であり、国体を目標に競技力の向上に日々邁進している青少年など、その裾野は極めて広い層にわたっています。
 また、大会の開催県においては、選手や観客と地元住民の触れ合いなどを通じて地域の活性化が図られるなど、国体の実施は大きな意義があると認識しています。
 このため、我が党は、東京国体への取り組みを通じ、全都的なスポーツ振興を図るとともに、広く多摩・島しょ地域の振興につながる取り組みを強化していくため、推進議連を立ち上げるよう、各会派に呼びかけを行ったところであります。
 また、本年十月の競技会場の希望調査では、多摩・島しょ地域を中心に数多くの区市町村から開催希望があり、区市町村の国体にかける期待も大きなものがあります。
 東京国体への取り組みについて、知事の所見を伺います。
 
答弁4
 ▼知事
 先般、都議会において、平成二十五年の東京国体に向けた推進議員連盟の設立が図られました。大変心強く思っております。
 また、多摩・島しょ地域を中心に、多くの区市町村から競技開催の希望があるなど、東京国体への機運も高まりつつあります。こうした機運の中で、スポーツ振興を推進する体制を強化するとともに、多摩・島しょ地域の振興とも連動しまして、東京国体の準備を精力的に進めてまいります。
 二〇一六年の開催を目指しております東京オリンピックにつきましては、IOCの原則がございまして、評価原則がございまして、それを考慮して、やはり十キロ圏内に主な競技用施設を集中することにはしておりますが、その事前に、各国の、全世界の各アスリートが来日して練習をするための施設等に関しては、これはとても都内だけでは、要するに賄い切れません。多摩地域でも積極的に招致していただいて、受け入れていただきたいと思っております。そのあっせんは、当然、推進委員会がいたします。
 今後とも、都議会や区市町村、各競技団体の協力をいただきながら、東京国体を成功させ、その成果を東京オリンピックにつなげ、内外にインパクトを与え得るスポーツムーブメントとしていきたいと思っております。
 
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■行財政運営
 
質問1
 都は、昨年度、これまでの施策の成果を踏まえ、新たな重要施策を策定していますが、今回の平成十九年度重点事業は、平成十八年度重点事業をさらに拡充し、二十四の事業を選定しています。
 その内容を見ると、首都東京の再生から都民生活の安全・安心の確保まで、非常に多岐にわたり事業が盛り込まれています。事業費も一千億円を超えるなど、これまでになく、今後の政策運営に向けた都の積極的な姿勢が見られます。
 しかし、何といっても今回の重点事業は、二〇一六年のオリンピックを見据え、長期的な都市戦略としての東京の都市像のキックオフと位置づけているところに大きな特色があると思います。予算編成に先立って東京都がそうした姿勢を明らかにすることは、大きな意義があることであります。
 そこで、今回の重点事業は、オリンピックをどうにらんで策定したのか、それが具体的な事業への反映としてどのように踏み出しているのか、所見を伺います。
 
答弁1
 ▼知事本局長
 今回の重点事業は、十年後の東京の姿と政策展開を明らかにする二〇一六年の東京の都市像のキックオフとして、環境対策や都市基盤整備などを一層促進するとともに、急速に進む少子化やグローバル化に的確に対応する観点から事業を選定いたしました。
 具体的には、オリンピック招致に向けて、世界に先駆けたCO2半減都市モデルを目指す第一歩を踏み出すとともに、水辺空間を初めとする美しい風格のある景観の形成など、東京の魅力の発信に重点的に取り組んでまいります。
 また、交通渋滞を解消するための道路整備についても、引き続き精力的に取り組んでまいります。
 さらには、スポーツの振興を積極的に推進するとともに、東京大マラソン祭りや東京国体をスポーツイベントとして成功させ、オリンピックの招致機運を盛り上げてまいります。
 今後、年内に策定を予定している都市像とあわせて、戦略的な取り組みを展開し、東京をさらに高いレベルの成熟した都市にしてまいります。
 

 
質問2
 平成十九年度予算編成について伺います。
 石原都政二期七年を通じた懸命な取り組みにより、十七年度決算は久々の黒字を達成し、都の預金ともいえる基金残高の確保も着実に進んでいるなど、都政の最重要課題であった財政再建は大きな進捗を見せました。ついこの間まで財源不足に悩まされ、毎年のやりくりに追われていることを思えば、まさに隔世の感があります。いよいよこれからは、財政再建により得られた財源を最大限に活用し、都民サービスの一層の向上に努めていくべきであります。
 都は、これからも人口減少社会に備えた医療、福祉の充実、都市基盤の拡充整備、オリンピックの招致など、多くの課題に積極的に取り組んでいかなければなりません。税収の不安定性を克服し、また、国との財政戦争とも呼ぶべき東京ひとり勝ち論の中で、都民の財源を守り、安定した行政サービスを提供していくためには、中長期的な視点を重視した財政運営に努めるとともに、都財政の健全性をさらにレベルアップしていくことが必要です。
 今月末には、来年度の予算が発表される予定です。七月に発表された今後の都財政運営の指針においても、中長期の視点を重視する姿勢を明確に打ち出していますが、この中長期的な視点の重視が今後の財政運営のキーワードであり、それでこそオリンピックの立候補都市にふさわしい対応となるものと考えます。
 そこで、指針のスタートとなる来年度は、好調な都税収入を最大限に活用し、現下の課題にもきっちりとこたえながら、同時に、五年先、十年先をにらんだ予算編成をすべきと考えますが、十九年度予算編成に当たっての知事の基本姿勢について伺います。
 
答弁2
 ▼知事
 都財政は、再建に向けた取り組みが実を結び、都税収入の増加と相まって、毎年度のやりくりに追われる状況から、将来に目を向けることのできる状況にまで大きく改善をしてまいりました。
 平成十九年度予算では、この機運を逃さず、安全対策や中小企業の振興など、現下の緊急課題へ対応すると同時に、ようやく骨格ができ、今月中にフルテキストができ上がります二〇一六年の、十年先の東京の都市像を踏まえまして、五年先、十年先を視野に入れながら、都市インフラの整備、環境、文化などについても積極的に推進し、東京の魅力をさらに高めていきたいと思っております。
 加えて、隠れ借金の早期解消や負の遺産の抜本的な処理など、残された懸案課題の解決にも精力的に取り組むことで、景気の変動にも動じることのない強固な財政基盤を築き上げていきたいと思っております。
 

 
質問3
 次に、自治制度の改革については、首都圏全体を視野に入れ、中長期的な視点から、都政のあるべき姿について、行財政改革基本問題特別委員会で活発な議論を行ったところであります。
 折しも地方分権改革推進法案が国会に提出され、新たな地方分権改革の一歩を踏み出そうとしています。また、安倍総理の公約に基づき、道州制担当大臣のもとに懇談会を設置し、道州制ビジョンの策定を目指す動きがあるなど、国において地方自治のあり方に係る議論が本格化しております。
 こうした中、東京自治制度懇談会におけるこれまでの議論がまとめられ、都に対して助言、提言がなされたところであります。議論のまとめでは、国のいわゆる三位一体改革においてなおざりにされた国と地方の役割分担について一定の方向性を示すとともに、都市の時代には大都市の活力が国の明暗を左右するという認識のもと、国家全体の利益という観点から、大都市経営のあり方等について考え方を示しています。数字合わせに終わった三位一体改革の過ちを繰り返さないためにも、大変参考になる示唆に富んだ指摘であります。
 都は、この議論のまとめを受けて、今後どのように自治制度改革に取り組んでいくのか、伺います。
 
答弁3
 ▼知事本局長
 東京自治制度懇談会の「議論のまとめ」についてでございますが、現在、国において地方分権改革に関する議論が活発に行われている中、東京自治制度懇談会では精力的にご議論をいただき、国と地方の役割、道州制導入の考え方などについて一定の方向性をお示しいただいたところであります。検討すべき課題も残されていることから、引き続きご議論いただく予定でございます。
 都といたしましては、新たな地方分権改革が地方の自主性、自立性を高める真の分権改革となるよう、懇談会の議論を踏まえ、国の地方分権改革推進委員会における検討状況等も見据えつつ、東京発自治論として都の主張を取りまとめ、今後三年以内に策定される地方分権改革推進計画に盛り込まれるよう、働きかけてまいります。
 

 
質問4
 また、東京自治制度懇談会の議論と時期を同じくして、都の三副知事や特別区長会の正副会長を中心とする都区のあり方に関する検討会において、検討の基本的方向が取りまとめられました。
 我が党は、かねてより、都と特別区の財源をねらい撃ちしようとする国の動きがある中で、都と区がコップの中の嵐のような小さな議論に陥ることなく、都区制度の抜本的な見直しに向けた検討を行っていくことが重要であると主張してきました。このたびの取りまとめは、都区間の事務の再配分や再編を含む区域のあり方の議論といった踏み込んだ内容であり、我が党の主張と合致したものであります。
 そこで、この取りまとめを踏まえ、今後、具体的にどのように取り組んでいくのか、伺います。
 
答弁4
 ▼総務局長
 都と特別区は、このたび、都区のあり方に関する検討会におきまして、検討の基本的方向を取りまとめました。
 その内容は四点から成っておりまして、一、都と区は、東京の財源のねらい撃ちや都心区の直轄化論に対して協力して対抗する。二、都区の事務配分について、大都市の一体性確保のために都が行う必要があるとされた事務を除き、都から特別区への事務移管をさらに進めるべきである。三、特別区の区域について、再編を含む区域のあり方の議論が必要である。四、税財政制度のあり方については、議論の推移を踏まえて最終的に整理をするとなっております。
 今後、この基本的方向に沿って議論を進めるために、都区協議会のもとに都区のあり方検討委員会を設置し、さらに、特別区の助役や都の部長など実務担当者を交えた幹事会を設けまして、移管対象事務の選定基準や、再編を含めた区域の考え方など、具体的な検討を進めてまいります。
 

 
質問5
 道路整備に向けた財源確保について伺います。
 東京を中心とする首都圏は、人、物及び情報が高度に集積し、日本経済全体の牽引役を果たしています。しかし、物流ネットワークの大半を担う道路の整備は著しく立ちおくれており、区部の平均旅行速度は、いまだ時速十八・八キロと、全国平均の半分程度にとどまり、それに伴う経済損失は都内で年間約二兆二千億と試算され、また、排出ガスによる大気汚染や温室効果ガスの増加など、環境にも大きな負荷がかかっています。
 こうした課題を解決するためには、首都圏の三環状道路を初めとした幹線道路ネットワークを重点的に整備する必要があります。そのためには、これまで以上に財源の確保が不可欠です。すなわち、道路特定財源を一般財源化して他へ回す余裕など全くなく、道路特定財源は、受益者負担の趣旨にのっとり、道路整備など、本来の目的に活用すべきであります。
 こうしたことから、我が党は、危機意識のもと、これまでの代表質問も含め、再三にわたり財源の確保と東京への配分拡大を主張してきております。また、さきの第三回定例会において、公明党と協力し、道路特定財源の首都東京の道路整備への重点投資に関する意見書を提出し、議決いたしました。これを受け、議論が重大な局面を迎える中、議長を先頭に直接国へ要請活動を行ってまいりました。
 いよいよ年末の政府の方針決定を迎えるに当たり、まさに今こそ議会と行政が連携し、一体となって、道路特定財源の確保と東京への配分拡大を訴えていかなければなりません。
 そこで、こうした状況を踏まえ、道路特定財源の確保と配分拡大に向けた知事の決意を、改めて伺います。
 
答弁5
 ▼知事
 首都東京の致命的な欠陥であります慢性的な交通渋滞の解消には、外環を初めとする三環状道路などの整備が必要不可欠であります。
 これまで都は、首都圏の道路整備の重要性と、安定した財源である道路特定財源の必要性を、国や世論に訴えてまいりました。また、都議会でも同様の趣旨で意見書を議決し、国土交通大臣などに要請をしていただきました。納税者の代表である自動車関係団体からも、一般財源化に対する明確な反対の意を示しているにもかかわらず、国は、それを踏まえずに一般財源化に向けた検討を進めております。
 道路特定財源は、真に必要な道路整備など、本来の目的に充当すべきでありまして、一般財源化は絶対にやるべきではないと思っております。日本経済の牽引役を果たしている首都圏の道路整備の緊急性は極めて高く、道路特定財源を首都東京の道路整備に重点投資すべきであります。
 引き続き、財源の確保と東京への配分拡大を、あらゆる機会をとらえて国に働きかけ、真に、本当に必要な優先度の高い道路整備を全力で進めてまいりたいと思っております。
 

 
質問6
 都独自の固定資産税の軽減措置について伺います。
 景気は緩やかに回復してきたといわれていますが、中小企業にとっていまだ厳しい経済環境であることは変わらず、景気回復の実感ができない状況であります。
 こうした状況の中、都が実施している固定資産税等の独自の軽減措置は、地価が高く、全国に比べ過大な税負担を強いられている中小企業にとって、事業の継続や経営の健全化に大きな力となっています。
 景気回復に水を差すことなく、また、依然として重い都民の税負担感に配慮するために、都独自の四つの軽減措置を来年度も引き続き継続すべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 
答弁6
 ▼知事
 固定資産税等の軽減措置でありますけれども、小規模非住宅用地や小規模住宅用地などに対する軽減措置は、全国に比べて著しく高い東京の地価水準のもとでの税負担に配慮するとともに、景気対策、中小企業支援、定住確保などに資する観点から都独自に実施してきたものでありますが、来年度の取り扱いについては、社会経済状況、景気の動向、都民の負担感などを勘案しつつ、今後、積極的に検討してまいります。
 

 
質問7
 都税の収納について伺います。
 都民が都税を納税する際に利用することが多いのは、銀行などの金融機関であります。しかし、銀行などの都内店舗は、十年前と比較すると約一千二百店舗が減少し、現在では約二千五百店舗となっています。各金融機関の窓口での待ち時間や、金融機関に出向くための手間なども都民の負担となっており、都税の収納について利便性の向上を求める切実な声が、近年、数多く寄せられています。
 こうした声にこたえ、都では、平成十六年五月に、全国都道府県の中でいち早くコンビニエンスストアにおいて自動車税の収納委託を開始し、その後、我が党の要望を受け、税目の拡大も行われました。
 その際、収納金の安全確保を図るため、経営指標などの基準を設け、これに該当したコンビニエンスストアを収納委託先として選定しているとのことです。その結果、現在、都が委託しているコンビニエンスストアは、都内全域では全店舗数の七割程度ですが、千代田区、中央区などの都心区では五割程度の店舗しか都税の収納を取り扱っていません。こうした地域では、都民が納税に不便を来している面があることも事実です。
 都民の利便性の向上のために、コンビニエンスストアへの委託をさらに拡大すべきと考えますが、今後の取り組みを伺います。
 
答弁7
 ▼出納長
 都では、平成十六年度より、情報開示や経営指標などの基準を満たしたコンビニエンスストアにつきまして、全国で初めて都税収納の委託をしてまいりました。
 今般、都民の皆様の利便性をより一層図る観点から、新たなルールを導入し、都税収納金の安全性が確保されるコンビニエンスストアにつきましても委託先とする方向で、鋭意、協議を進めております。
 これにより、平成十九年度から新たに委託することとなるコンビニエンスストアを合わせますと、都内全域のコンビニエンスストアの九八%余、約五千四百を超える店舗が収納委託先となる見込みでございまして、より身近なところで都民の納税先としてご活用いただけるものと考えております。
 

 
質問8
 このたび、臨海三セク三社の再生計画案が東京地方裁判所から提示されましたが、都民の負担を最小限に抑えながら、できる限り負債を圧縮するなど、民事再生申し立て時における都の説明と、ほぼ同様の内容となっております。これでバブル崩壊を背景にした多額の負債が処理され、臨海副都心開発も新しい局面を迎えることとなります。
 そこで、まず、今後、開発を一層強力に推進するに当たり、知事は、今回の民事再生をどのようにとらえているのか、所見を伺います。
 
答弁8
 ▼知事
 私が知事に就任しましたときは、臨海副都心開発は、もう破綻寸前の状況にありました。都は、関係者の協力のもとに、さまざまな創意工夫を凝らした結果、今、臨海地域は都心とのアクセスも充実しまして、首都東京の新しい活力を担うまちに成長いたしました。
 この開発の先導役である臨海三セクも、バブル崩壊の影響を受けて厳しい経営が続いてまいりましたが、今回の民事再生により、経営基盤が一段と強化されると思います。一連の手続によりまして、都民の一定の負担が生じることにはなりますが、これで長年の懸案が解決されると思います。
 現在、開発は、総仕上げの十年という重要な段階に入っておりまして、新会社を持ち株会社グループに参加させることにより、開発を一層力強く進めていきたいと思っております。
 

 
質問9
 ところで、民事再生の意義は、単なる借金の棒引きではなく、再生した会社の確かな事業継続にあることはいうまでもありません。このことを踏まえれば、この再生計画案に対する評価は、今後の事業展開の考え方や、その方向性にかかっているのであります。特に債権放棄額が二千億円を超え、都民にも一定の負担を求める内容となっていることから、この点は極めて重要であります。
 そこで、民事再生手続後の臨海三セクは、具体的にどのような会社に変わるのか、今後の経営見通しとあわせて伺います。
 
答弁9
 ▼港湾局長
 今回の民事再生は、今後、金利が上昇傾向にある金融情勢等を総合的に判断して行ったものでございます。このことによりまして、金融機関等からの借入金三千六百十一億円のうち二千百三十七億円の債権放棄を受ける等によりまして、建物資産価値見合いであります千三百十一億円まで債権額が圧縮いたします。これにより、年間支払い利息はこれまでの約六十億円から二十六億円程度にまで大幅に減少し、支払い利息が営業利益を上回るという、これまでの経営上の障害が解決されます。
 さらに、底地の現物出資による地代負担の軽減、地上系通信事業の民間事業者への事業譲渡の実施、不動産事業者との業務提携などによる戦略的な営業展開等を行うことで、一層の収益強化が図られると考えております。
 以上の結果、今後の見通しでございますが、平成十九年度当初には債務超過が解消され、今後、営業利益は七十億円から九十億円、経常利益は四十億円から八十億円を確保する予定でございます。
 また、圧縮された返済額千三百十一億円につきましては、年平均八十五億円のキャッシュフローを用いまして、毎年、元本五十億円程度を返済し、二十五年で完済する見込みでございます。
 こうした一連の取り組みにより、臨海三セクは経営基盤が抜本的に強化されることから、臨海副都心の企業集積の重要な拠点として、引き続き開発へのさらなる貢献が期待できるものと考えております。
 

 
質問10
 次に、臨海地域の監理団体改革である持ち株会社構想について伺います。
 この構想については、過去二回の定例会において、我が党としても代表質問で取り上げ、その意義や効果、スケジュールなど、多方面にわたりただしてまいりました。
 平成二十一年度からの本格稼働に向けて、来年一月末には、いよいよ会社が立ち上がるということですが、これらが単に経営統合に名をかりた監理団体の寄せ集めに終わったのでは、何の意味もありません。重要なことは、持ち株会社という新たな監理団体が持つ資源、可能性を最大限駆使して、臨海地域の主要課題である東京港の国際競争力強化や臨海副都心のまちづくりなどに積極的に活用していくことであります。
 そこで、持ち株会社グループは、今後どのような事業展開を考えているのか、展望を伺います。
 
答弁10
 ▼港湾局長
 本グループは、臨海地域において交通やエネルギー、ふ頭運営など、都民や企業を支える都市基盤を提供する各団体を経営統合するものでございます。
 東京港と臨海副都心を抱える臨海地域が、全体としてその機能や魅力の向上を図っていくためには、環境、防災、観光、そして交通ネットワークなどの諸課題を統一的に解決していく必要があり、今後、グループは、都や関係機関などと連携しながら、総合力を生かした複合的なサービスを行ってまいります。
 提供するサービスの具体的内容につきましては、来年一月に持ち株会社を設立後、グループ経営の基本方針を策定し、各団体との十分な調整を図りながら構築していく予定でございます。
 将来的には、臨海地域全体を物流機能と都市機能との調和のとれた成熟した地域に発展させていくため、このグループを、まちづくりの核としての役割を果たす信頼される企業体に育て上げてまいります。
 
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■都民の安全・安心・治安対策
 
質問1
 次に、東京都消費生活条例の改正について伺います。
 悪質商法によるさまざまな事件が、相も変わらず毎日のように報道されています。年金収入しかない高齢者をねらって言葉巧みに近づき、布団や着物など、百万、二百万といった高額商品を次々と売りつけ、クレジットローンまで組ませるといった、非常に卑劣で悪質な手口が目立ちます。
 まじめに働いてこつこつためた老後資金を瞬く間に失い、茫然としている高齢者がたくさんおります。昨年度、都内の消費生活センターに寄せられた高齢者からの相談は、三万件近くにも上っております。弱い者を標的にして懐を肥やす、このような悪質事業者の横行を断じて許すわけにはいきません。悪質な行為を行った事業者に対しては、厳しい規制手段をもって臨むべきです。
 我が党は、第三回定例会において、現実に起きている消費者被害の拡大防止は待ったなしであることから、悪質事業者に対する規制強化に向けて条例改正を急ぐべきとの主張を行いました。今回の速やかな条例改正案の提出は、我々の主張に全面的に沿うものであり、評価できるものであります。
 この条例改正により、悪質事業者の行為をいかなる手段で取り締まることができるようになるのか、また、それがどのような効果をもたらすのか、まずお伺いをいたします。
 
答弁1
 ▼生活文化局長
 悪質事業者を取り締まる手段と効果についてでございます。
 今回の条例改正では、国の法規制の対象となっていない取引において、消費者に虚偽の説明をしたり、声を荒らげて不安にさせ、契約を迫るなどの不適正取引行為を行う悪質事業者を取り締まるため、全国初となる禁止命令と罰則を導入いたしました。
 これにより、悪質事業者に対するより厳正な対応が可能となるだけでなく、指導の段階から、処分も辞さずとの姿勢で臨むことにより、悪質かつ巧妙化する手口の広がりを抑止する効果も期待できると考えております。
 また、被害の急速な拡大が懸念される緊急性の高い事案等については、速やかに行政処分の手続に入ることができるなど、迅速な対策が可能となると考えております。
 

 
質問2
 最近とかく問題とされる訪問販売や通信販売ですが、販売形態そのものは消費者にとって便利なものです。今回の規制強化によって、健全な事業者までもが制約を受けるのではと心配する声もありますが、悪質事業者が排除されれば、便利な販売形態を安心して利用できるわけですから、悪質事業者の規制強化は、消費者、事業者双方の利益につながるのです。
 改正条例の施行に向けた準備を進める中で、こうした改正の意義を積極的にアピールしていくべきと考えますが、どのように取り組んでいくのか、伺います。
 
答弁2
 ▼生活文化局長
 今回の条例改正を実効あるものにしていくためには、ご指摘のとおり、改正の意義について、都民や事業者の十分な理解を得ることが必要でございます。このため、改正条例の施行までに六カ月余りの周知期間をとり、積極的にアピールしていく考えでございます。
 具体的には、都のホームページや「広報東京都」への掲載、各種説明会の開催など、さまざまな手段を用いて、区市町村を初め、消費者団体や事業者団体等に対し、幅広く周知を図ってまいります。
 

 
質問3
 次に、東京の水道は、都民生活と首都東京の都市活動を支えるライフラインとして、いっときたりとも欠かせない存在であります。このため、我が党では、都市基盤としての整備の必要性について、機会をとらえて訴えてきました。
 これまでも水道局では着実な施設整備を進めてきましたが、その結果、現在では世界有数の規模と水準を有する事業となっております。しかしながら、より安全でおいしい水を求める都民ニーズの高まり、首都直下地震の切迫性を踏まえた一層の安定給水への取り組みの必要、集中的に到来する大規模浄水場の更新など、長期的な視点で見ると、新たな課題も山積しています。
 水道局では、先日、さまざまな課題を解決し、より安全でおいしい水の安定的な供給に万全を期すため、十年ぶりに東京水道長期構想STEPⅡを発表いたしました。しかしながら、施策を着実に実施していかなければ、都民の信頼を得ることはできません。
 また、十年後にオリンピックが招致されれば、海外からの多くのお客様を迎えることになり、東京の水道水準の高さを示すよい機会となります。
 そこで、この長期構想のねらいと、十年後に目指す姿、そして、この構想を実現していくための具体的な方策について伺います。
 
答弁3
 ▼水道局長
 長期構想についてでありますが、この構想は、一千二百万都民が生活し、政治・経済の中心であります首都東京の水道施設を整備していくに当たりまして、これからおおむね四半世紀の間に行っていく整備の方向性を明らかにするとともに、都民へ発信していくことをねらいとして策定したものでございます。
 構想で明らかにしました十年後の姿といたしまして、八ッ場ダムの完成や、首都中枢機関及び主要な医療施設等への供給ルートの耐震化などによりまして、給水安定の向上を図ることとしております。
 さらに、平成二十五年度の利根川水系浄水場への高度浄水処理率一〇〇%達成など、一層安全でおいしい水の実現を目指しております。
 また、平成三十年代に大規模浄水場の更新が集中的に到来しますことから、着実に実施していくための施策の方向性を明らかにしております。
 今後、この構想を実現していくため、年内に策定予定の新しい経営プランで構想に掲げた各種施策を具体化し、都民生活と首都東京の都市活動を支える重要なライフラインとして、必要な施設整備を着実に進めてまいります。
 

 
質問4
 ところで、知事もかねてから誇りにしている質の高い東京の水道水をすべての都民に供給するためには、給水をする側である水道局の施設整備も必要でありますが、あわせて、ビルや共同住宅などで設置者が管理している貯水槽水道にも踏み込んでいくことが重要であります。
 こうしたことから、我が党は、従来から、貯水槽水道の適正管理や、直結給水方式の普及促進について積極的に取り組むよう主張してきました。
 折しも、平成十九年度重点事業において、公立小学校の水を飲む蛇口を直結給水方式に切りかえるモデル事業や水道キャラバン隊による小学校の巡回など、快適な生活を支えるおいしい水対策を展開していくことが明らかにされました。
 しかし、学校に水筒を持参するなど、次世代を担う小学生の間でも水道水離れが進行しているとの話もあり、こうした状況を一刻も早く食いとめるために、迅速な対応が望まれます。
 この際、申し上げますが、公立小学校の水を飲む蛇口を直結給水方式に切りかえる事業は、その規模を最大限ふやすとともに、順次などといわず早急に取り組むべきであります。また、水道キャラバンについても実施規模を拡大すべきであります。見解を伺います。
 
答弁4
 ▼水道局長
 公立小学校の直結給水化についてでございますが、公立小学校の水を飲む蛇口を直結給水方式に切りかえるモデル事業は、初年度であります十九年度には、区市町ごとに一校、計四十八校を予定しておりますが、ご指摘の趣旨を踏まえまして、翌二十年度までには、全体の約三割に相当する四百校を対象として実施してまいります。
 さらに、このモデル事業の実施状況や、各区市町教育委員会等の意向及び児童、学校関係者の意見などを踏まえまして、対象校の拡大を検討してまいります。
 また、子どもたちの水道に対する理解を深めるため、小学校を巡回して授業をサポートする水道キャラバンにつきましては、今年度から試行的に八十四校実施してきたところであります。その結果、実施状況が好評でありましたことから、今後、新規校の拡大を図るとともに、リピーター校も積極的に受け入れ、実施規模を拡大してまいります。
 こうした取り組みを積極的に推進することにより、水道に対する理解を一層深めるとともに、安全でおいしい水を蛇口から直接飲むという日本の水道文化を次世代に確実に引き継いでいきたいと考えております。
 

 
質問5
 本年六月一日から改正道路交通法の施行により、放置車両確認事務の民間委託が導入されるとともに、短時間の放置駐車に対する取り締まりも強化されました。この制度については、都民や中小企業など営業に影響が出ており、困っているなどとの意見が多数寄せられています。
 ついては、施行後の具体的な効果と、今後、その効果を定着させるため、どのように対応していくのか伺います。
 
答弁5
 ▼警視総監
 都内主要十路線における法施行六カ月後の状況を調査いたしました結果、施行前と比べ、放置駐車が約五七%減少し、渋滞の長さが約二五%、平均走行時間が約八%、それぞれ短縮しているほか、パーキングメーターの利用が約三七%増加するなど、渋滞の緩和と交通の円滑化という効果があらわれているところであります。
 当庁といたしましては、このような効果をさらに定着させるため、違法駐車の実態や渋滞の状況などを踏まえ、駐車監視員の効果的な運用や警察官による指導取り締まりのほか、積極的な広報啓発活動など、総合的な駐車対策を推進してまいりたいと考えております。
 

 
質問6
 また、今回の新制度の運用に当たって、貨物等の集配車両に対する駐車禁止規制の緩和や駐車許可申請手続の簡素化はできないのか、警視総監の所見を伺います。
 
答弁6
 ▼警視総監
 駐車禁止規制の緩和につきましては、貨物集配中の貨物車を、場所、時間を指定して駐車禁止規制から除く路線を設けたり、パーキングメーターの駐車枠を大型化して貨物車を駐車可能とするなど、地域の駐車実態に応じた規制の見直しを行っているところであります。
 また、駐車許可の申請手続についてでありますが、貨物の積みおろしや冠婚葬祭に係る駐車許可につきましては、警察署のほか、交番、駐在所においても許可証の交付を行うなどの措置を講じているところでありまして、今後とも、都民の利便性に配慮した運用に努めてまいりたいと考えております。
 
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■環境対策
 
質問1
 地球温暖化問題は、人類が直面する最も深刻な環境問題の一つであります。知事は、本定例会の所信表明において、世界に先駆けたCO2排出削減の取り組みを都政のあらゆる分野で民間企業や都民を巻き込んで展開するとし、来年度から校庭芝生化やバイオマス燃料の普及などを進めることを表明しています。我が党は、こうした知事の方針を全面的に支持するものであります。
 東京の有する世界最高水準の省エネ技術などを活用し、東京という都市をソフト、ハード両面においてCO2削減型へ抜本的に変えていく取り組みは、環境先進都市東京の姿を世界に発信すると同時に、経済、文化両面において東京の新しい活力を生み出す発展の原動力となるものであります。
 そうした取り組みを、大胆に、しかも集中的に展開していくことが重要であると考えますが、今後の都の温暖化対策への取り組み姿勢について知事の所見を伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 都における地球温暖化対策の展開についてでありますが、CO2の劇的な排出削減を実現するためには、化石燃料の多量な消費を前提としたこれまでの都市のあり方を見直しまして、再生可能エネルギーへの転換、豊かな緑空間の回復、物流の効率化などの施策を本格的に開始しなくてはならないと思っております。
 これらの施策は、先端的な技術と新産業を呼び起こし、東京の経済的活力の新たな原動力となると同時に、緑があふれ、まちを歩いて楽しめる都市空間を創出し、東京を一層魅力的な都市としていく上でも重要な意義を有していると思います。
 今後、こうした観点に立ちまして、二〇一六年を視野に、世界の都市に先駆け、CO2の大幅削減をいち早く実現するための十年プロジェクトを、大胆かつ集中的に展開してまいります。
 

 
質問2
 次に、土壌汚染対策は、都民の健康と安全の確保や都市づくりの上で極めて重要であります。都は、国に先んじて環境確保条例により土壌汚染対策を進めており、それにより一定の成果は上がっていますが、一部には十分な対策がとられないまま推移している事例もあると聞いております。その背景には、土地取引との関係などさまざまな要因もあると考えますが、現場の汚染状況やその広がりに応じた調査分析方法、対策方法が十分に開発されていない事情もあると考えます。
 したがって、現場ごとに最も効率的、効果的な対策を講じ、土壌汚染対策をさらに進めていくためには、こうした現状を踏まえ、条例に基づく対策が進められてきた五年間の実績を検証するとともに、改めて実態を調査し、土壌汚染解決の道筋を明らかにする必要があると考えますが、所見を伺います。
 
答弁2
 ▼環境局長
 土壌汚染対策は、都民の健康の確保と生活環境の保全を図る上で重要な施策であるとともに、これを促進することは、都市の健全な発展や地域の活性化にとっても必要なものであります。このため、都はこれまで、幅広い分野の専門家の参加を得て検討を行いながら、事業者の負担軽減につながる低コストの処理技術や簡易な調査手法の普及に努めてまいりました。
 土壌汚染対策を一層促進していくためには、当該地域ごとの汚染の広がり方や地質、地下水との関係など状況に即して、効率的、効果的な対策を講ずることが重要であります。
 今後、こうした観点に立ちまして、業務の必要から有害物質を取り扱っている事業者の協力も得ながら、より詳細に実態や土壌汚染メカニズムの把握に努めまして、適切な調査分析方法や対策方法の開発の促進と普及に取り組んでまいります。
 
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■産業振興対策
 
質問1
 次に、産業振興対策について伺います。
 我が国は、一九九〇年代の失われた十年を克服し、今や戦後最長の景気回復を実現するに至っております。一方、人口減少社会の到来、世界的な環境、エネルギー問題の高まりなど、大きな転機に立っているのも事実であり、こうした中長期的な社会経済構造の変化に対応していく必要があります。時代の潮流を的確にとらえ、中長期的な戦略に基づいた産業施策を進めることは不可欠であり、こうした意味で、現在、都が産業振興の基本戦略を策定していることは、時宜にかなったものと考えます。
 そこで、現在検討中の産業振興戦略の策定に当たっての基本的な考え方と、今後の具体的なスケジュールについて伺います。
 
答弁1
 ▼産業労働局長
 産業振興の基本戦略の策定に当たっての基本的考え方と今後のスケジュールについてでございます。
 国際競争が激化する中で、東京の産業を発展させていくためには、効率性や生産性の向上に加え、新たな価値を生み出すイノベーションが重要であると認識しております。
 今回の戦略は、日本をリードしてきたこれまでの都の産業振興策を集大成した上で、東京の産業を新たなステージへ飛躍させるために、技術や人材に関する中長期的な施策の方向性を具体的に示すものであります。
 年明けの一月には素案を公表し、多くの方からご意見をいただき、年度内に策定してまいります。
 

 
質問2
 また、東京の産業がアジア諸国などとの国際競争に打ち勝つためには、新しい製品やサービスの創造が不可欠です。東京には、独自の技術力と発想力で新製品や新サービスを開発するなど、創造的活動の担い手として期待される中小企業も数多く存在しています。しかし、激化する国際競争や社会経済の構造的変化の中で、これまでの事業展開の見直しを迫られる中小企業も少なくありません。
 リスクの高い技術開発などにチャレンジする中小企業を後押しするとともに、産業の基盤を支える中小企業のセーフティーネットを充実する必要があります。この二つの支援が相まって、東京の産業が将来にわたって発展していくことになると考えます。今こそ、こうした視点に立脚し、中小企業の支援を強化すべきと考えますが、所見を伺います。
 
答弁2
 ▼産業労働局長
 中小企業支援についてであります。
 東京の産業力を強化していくためには、技術・経営の革新による新産業の創出と、しっかりした産業の土台づくりが重要であります。
 このため、環境、健康など今後高い成長が見込まれる産業分野における中小企業が中心となって実施する将来性の高い事業プロジェクトに対し、製品化、事業化を重点的に支援してまいります。
 また、産業の基盤を担う中小企業に対しては、これまで、制度融資や事業転換、再生に向けたリバイバル支援事業を展開し、支援してまいりました。今後ともこれら施策の周知に努め、事業効果を高めていくとともに、こうしたセーフティーネットの考え方に基づく資金供給や個別企業へのきめ細かな支援を充実強化してまいります。
 
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■都市再生とまちづくり
 
質問1
 次に、二〇一六年の東京オリンピック招致を目指したさまざまな準備が始動していますが、この東京オリンピックのプレイベントともいえるアジア最大級の東京マラソンが、都内の名所をつなぐ魅力的なコース設定で来年二月に開催されます。都庁をスタートしてゴールするビッグサイトまで、コース全体の約六割は都道が利用されます。さらに、日比谷公園が十キロレースのゴール会場となっております。
 オリンピックの前哨と位置づけられた東京マラソンを成功させるために、コースである都道及びゴールとなる都立公園の準備と対応に万全を期することは無論のこと、コース沿道各所に集まる多数の観客の安全を確保することも重要です。
 そのため、障害者や高齢者、外国人を含むすべての観客が安全で安心に東京マラソンの応援やイベントに参加できるように、コース沿いの歩道のバリアフリー化に取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
 
答弁1
 ▼建設局長
 東京マラソンのコース沿いの歩道におけるバリアフリー化についてでございますが、東京オリンピックの前哨として位置づけられた東京大マラソン祭りを成功させることは大変重要でございます。
 そのためには、マラソンランナーが安心して走れるようコースを整備するとともに、多くの観客が安全に参加できるよう、コース沿いの歩道のバリアフリー化が必要でございます。
 コース沿いの歩道につきましては、既にバリアフリー化が一定程度完了しておりますが、今回、マラソンの開催に伴い、改めてきめ細かに点検し、勾配をさらに緩やかにする改善や、点字ブロックの拡充などを行っております。
 また、最寄り駅と、スタートとなる都庁前、ゴールとなる東京ビッグサイト、イベント会場となる日比谷公園や芝公園等を結ぶ歩道においても、安全で快適な歩行空間を確保するため、バリアフリー化を進めております。これらの工事は、マラソンコースとなる車道の整備とあわせて、来年一月には完了いたします。
 東京マラソンの成功に向け、都道の整備と管理を十分に行い、ランナーや観客など、すべての参加者の安全確保に万全を期してまいります。
 

 
質問2
 続いて、知事がこれまでにない新しいお祭りとして東京マラソンと一体で盛大に実施していくとされている東京大マラソン祭りは、大変意義深い取り組みであり、また、その内容を伺うと、みこし、サンバ、ヘブンアーチスト等、趣向を凝らした心温まる応援イベントが盛りだくさんであり、大変楽しみであります。
 しかし、幾らよい内容のイベントを用意しても、多くの人に来てもらわなければ意味がありません。そのためには、東京大マラソン祭りを積極的にPRしていく必要があります。現在、「広報東京都」やホームページでその概要が紹介されていますが、まだまだ十分とは思えません。東京大マラソン祭りのPRをしっかり行い、多くの人にマラソンの応援やお祭りに参加し、楽しんでいただくことは、オリンピック招致活動の起爆剤としても重要な意義があると考えます。所見を伺います。
 
答弁2
 ▼東京オリンピック招致本部長
 でき得る限り多くの方々にご参加いただき、大会本体及びオリンピック招致機運を盛り上げていくために積極的なPR活動が重要であることはご指摘のとおりでございます。
 このため、年内には、祭りをPRするためのポスターやパンフレットを作成いたしまして、駅、公共施設、観光案内所等に掲出、配布するなど、大々的に祭りの周知に努めてまいります。
 また、年明けには、一層具体的かつ詳細な内容を記載いたしましたパンフレットやマラソン応援マップを作成するとともに、「広報東京都」、区市報、ホームページ、都提供の各種テレビ・ラジオ番組やマスコミ各社におけます積極的な報道など、集中的な広報に努めてまいります。
 以上申し上げましたように、あらゆる広報手段を活用し、東京大マラソン祭りについて積極的なPRに努めることなどによりまして、東京マラソンの準備に万全を期すとともに、オリンピック招致機運を盛り上げてまいります。
 

 
質問3
 次に、住宅基本条例の改正について伺います。
 住宅は、単なる寝食の場ではなく、人間交流や人間形成の場であるとともに、都市や街並みを構成する基本的な要素であります。住宅の質を高めることは、豊かさを実感できる住生活を実現するとともに、活力にあふれ、風格のある都市東京の再生を図る上で重要であります。
 本定例会では住宅基本条例の改正が提案されていますが、これを契機として、居住の場としても魅力ある都市東京の実現に向け、住宅政策の一層の充実を期待するものであります。そこで改めて、今後の住宅政策の推進に向けた知事の決意を伺います。
 
答弁3
 ▼知事
 今後の住宅政策の推進についてでありますが、十年後のオリンピック開催を見据え、東京を、都市基盤や美しい街並みが整備され、環境への負担が少なく、安全・安心で豊かな生活が確保された、さらに機能的で魅力的な都市につくりかえていく必要がございます。
 住宅は、生活の基盤であると同時に、都市を形づくる基本的な要素であります。居住の場としての魅力の向上は、都市社会に活力と安定をもたらし、東京の持続的発展に寄与するものであります。
 住宅政策については、住宅の量的な充足や居住ニーズの多様化を踏まえ、公共住宅の新規建設中心から、市場やストックの活用重視へと転換を推し進めていくことが重要であると思っております。
 また、大地震の切迫性の高まりや耐震偽装問題の発生、少子高齢化の急速な進展などを背景として、住宅の安全性や都民の住生活の安心を確保することが焦眉の問題となっております。
 都は、安全で良質な住宅ストックの形成と市場の構造改革による価格の低廉化などに向けまして、施策の一層の充実を図るために、住宅基本条例の抜本的改正を提案いたしました。これを将来にわたる指針として、成熟した都市にふさわしい魅力のある居住環境を創造していきたいと思っております。
 

 
質問4
 バブル期の住宅問題を背景として住宅基本条例が制定された平成四年当時と比べ、社会経済情勢が大きく変化した今日、住宅政策が取り組むべき課題も変化してきており、改正案では、現行条例の全面的な見直しが図られております。そこで、今回の改正に当たっての基本的な考え方について伺います。
 
答弁4
 ▼都市整備局長
 東京の住宅は、戸数が世帯数を一割以上上回っており、量的には充足しているものの、ストックの質の向上、住宅市場における透明性の確保、少子高齢化への対応などが課題となっております。
 これらを踏まえ、第一に、現在及び将来における住生活の基盤となる安全で良質な住宅ストックと良好な住環境の形成を図ること、第二に、都民がニーズに応じて適切に住宅を選択できるよう、住宅取引の安全確保など市場の環境整備を図ること、第三に、住宅におけるセーフティーネット機能を充実し、住宅に困窮する都民の居住の安定を図ること、以上を基本的方向として条例を改正するものでございます。
 

 
質問5
 条例改正案には、住宅政策におけるストック重視の姿勢が鮮明にあらわれております。都内の住宅ストックは、戸数の面では既に充足している状況にありますが、つくっては壊すスクラップ・アンド・ビルドが繰り返され、住宅の平均使用年数は約三十年と、欧米に比べて短命であります。環境負荷低減の観点からも、質のよい住宅をつくり、きちっと手入れし、長く大切に使うストック型の社会への本格的な転換が不可欠です。
 そのためには、良質な住宅が適正に評価され、円滑に売買される中古住宅市場の形成が重要な課題と考えます。中古住宅の流通促進に向けた今後の取り組みについて伺います。
 
答弁5
 ▼都市整備局長
 良質な住宅を長期にわたり活用することは、環境に配慮したストック重視の住宅政策を展開していく上で重要でございます。
 こうしたことから、都は、中古住宅の流通促進を図るため、民間の関係団体等とともに、流通上の課題や対応策について検討をしております。
 これまでの検討結果を踏まえ、現在、中古戸建て住宅について、都民が安心して売買できるための確認事項や、契約上の注意事項等を整理しており、年度内を目途にガイドブックとして取りまとめる予定でございます。
 今後、その活用を図るとともに、中古住宅の流通促進に向け、不動産関係団体等との連携を強化し、市場の環境整備に努めてまいります。
 

 
質問6
 また、住宅の地震に対する安全性の確保に努めることが新たに明記されております。住宅を長く大切に使っていくためには、その住宅が十分な耐震性を備えていなければなりません。平成十五年の住宅・土地統計調査によれば、都内の住宅ストックの約三割が新耐震基準導入以前に建設されたものであり、既存住宅の耐震化の促進は喫緊の課題です。
 民間住宅については耐震化の促進に向けさまざまな取り組みが進められておりますが、都がみずから設置し管理する都営住宅の耐震化についてはどのように取り組もうとしているのか、見解を伺います。
 
答弁6
 ▼都市整備局長
 地震による建物の被害から都民の生命を守り、日常生活の安全を確保する上で、住宅の耐震性向上は重要でございます。
 本年、耐震改修促進法が改正され、平成二十七年までに住宅の九割以上の耐震化が目標とされたことも踏まえ、現在、都においても耐震改修促進計画を策定中でございます。
 都営住宅についても、この計画に基づき、今後、旧耐震基準で設計された住宅について、耐震化に向けた整備プログラムを作成してまいります。
 具体的には、建てかえ対象を除く約三千二百棟について、平成二十四年度を目途に耐震診断を行い、必要に応じて順次、耐震改修を実施してまいります。
 

 
質問7
 木造住宅密集地域の整備改善について伺います。
 首都直下型地震の切迫性が指摘される中、老朽化した木造住宅等が密集する地域の整備改善を進めることによって、災害に対する安全性を確保し、事業効果を目に見える形で早期に発揮させることが重要であると考えます。
 そこで、木造住宅密集地域の整備促進について、区域を定め、集中的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 
答弁7
 ▼都市整備局長
 山手線から環状第七号線にかけて広がる木密地域は、道路や公園などが不足している上、宅地が狭小で、権利関係がふくそうしているため、建てかえが容易には進みにくく、防災上、脆弱な状況にございます。
 都は、これらの地域のうち、危険性が高く優先的に整備を行う地域を防災都市づくり推進計画で重点整備地域に指定し、修復型の木密事業や新たな防火規制などとともに、街路や公園などの基盤整備事業を実施しております。
 また、先導的な取り組みとして、東池袋地区などで延焼遮断帯の形成と沿道建物の不燃化を進める沿道一体整備事業を実施しており、来年度からは新たに十条地区においても重点事業として取り組んでまいります。
 今後とも、住民の協力を得ながら、地元区と連携し、効果的に事業手法を組み合わせ、木密地域の安全性向上に積極的に取り組んでまいります。
 
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■教育施策
 
質問1
 私立学校の自主性、独自性について伺います。
 現在、高等学校の未履修が、公立、私立を問わず大変な問題となっております。この問題については適正な対応がとられなければなりませんが、公立、私立を同じように扱うことは、私立学校の自主性、独自性を危うくするものであります。
 私立学校では、公立学校が行うよりもはるか以前に中高一貫教育を行う学校もあり、また、公立学校が週五日制となっても土曜日の授業を行う学校もあるなど、それぞれ建学の精神に基づいた特色ある教育が行われています。このような私立学校の自主性、独自性を尊重するという観点から、私立学校法法定時に、議員の提案により、私立学校には、学校教育法に定められていた授業等の変更命令権の適用が除外されました。
 今回の未履修の問題は、私立学校の教育現場、あるいは次のステップに向けて懸命に頑張っている多くの子どもたちやその親の思いと大きく乖離して議論されているかのように思われます。そこで、私立学校の自主性、独自性についてどのようにお考えか、知事の所見を伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 私立学校の自主性、独自性についてでありますが、私立学校は、国立、公立学校とは異なりまして、創立者の教育理念に賛同した人たちが、個人の財産を寄附することによって設立されたものであります。
 それぞれの学校では、建学の精神に基づき教育が行われておりまして、独自の校風と長い歴史の中で培われてきた伝統がありまして、それぞれの伝統があります。生徒、保護者は、それを望んで入学しているわけであります。
 公立学校と同様の扱いは、それぞれの私立学校の建学の精神に基づいた教育を損ない、また、学校の個性を損なうおそれがあります。今後とも、私立学校における教育の自主性、独自性は十分に尊重されるべきと考えております。
 

 
質問2
 いじめ対策について伺います。
 いじめにより児童生徒がみずからその命を絶つという痛ましい事件が相次いで発生しています。将来ある児童生徒が、いじめによる苦しみに耐え切れず、友達にも、保護者や教員からも手を差し伸べてもらえずに悲しみのうちにみずから命を絶ってしまうことは、察するに余りあり、極めて遺憾なことといわざるを得ません。このことは、学校教育の関係者だけではなく、広く大人である我々が深く胸に受けとめ、その解決に向けて力を合わせていかなければなりません。
 また、最近では、いじめを原因とする自殺予告の手紙が文部科学大臣に届けられるなど、都民からは、学校や教育委員会による迅速かつ的確な対応が期待されているところであります。
 そこで、このたびの一連のいじめ問題にかかわり、児童生徒がみずからその命を絶つという事件についてどのように受けとめているのか、所見を伺います。
 
答弁2
 ▼教育長
 いじめ問題にかかわる事件についてであります。
 いじめによりまして、児童生徒がみずからの命を絶つという痛ましい事件が全国で起きておりまして、深刻な事態と重く受けとめております。
 子どもの命は、家庭、学校、地域が一体となって守るものでありますが、これらの事件では、児童生徒を守るべき学校、教職員の認識や対応に問題がある例や、教育委員会の対応が不適切であった例も見られ、保護者を初め国民の信頼を著しく損なっていることは極めて遺憾であります。
 

 
質問3
 さて、今から二十年前になりますが、東京都においても、昭和六十一年二月一日、都内中学校の二年生が、いじめへの無念さや怒りなど悲痛な叫びを残してみずからの命を絶ちました。以来、東京都においては、二度とこのようなことを起こしてはならないという認識のもと、いじめ解決の方策をまとめた研究報告書の作成、いじめ問題に対しての取り組み強化月間の設置やスクールカウンセラー等臨床心理に関する専門家の派遣など、さまざまな施策を講じてきたと聞いております。
 このたびの一連の事件を受けて、都としてどのように取り組んだのか伺います。
 
答弁3
 ▼教育長
 十一月八日に、子どもたちに対しまして、いかなる理由があったとしても、みずからの命は絶ってはいけないと訴えます緊急アピールを発表するとともに、いじめ等問題対策室におきまして二十四時間体制で電話相談に応じるなど、緊急に対応してきたところであります。
 また、都教育委員会は、いじめが起こっていないか、教員がいじめを助長していないかなどを再点検するための啓発資料を改めてすべての公立学校に配布するとともに、家庭、地域においても活用するよう働きかけてまいりました。
 さらに、生活文化局、福祉保健局、病院経営本部、警視庁、教育庁の連携を強化いたしまして、全庁を挙げていじめ問題に対する相談体制を整えるとともに、相談窓口について、都の刊行物等で広く保護者、都民に広報いたしました。
 加えて、都内の国立、公立、私立すべての学校の児童生徒及び保護者に相談カードを配布いたしまして、だれでも相談できる窓口について周知いたしました。
 

 
質問4
 近年、東京都におけるいじめの発生件数自体は全体的に減少傾向にありますが、昨年度は、公立小学校では二百八十九件、公立中学校では五百九十七件ものいじめが発生しており、中学校は、わずかですが前年度に比べて増加していると聞いています。
 そのため、各学校においては、これまで以上に児童生徒の気持ちを一人一人の教職員が受けとめ、組織的な指導体制を確立して未然防止に努めなければなりません。また、学校だけでいじめの問題を解決するのは限界があることから、保護者や関係機関との緊密な連携や対応に努めるなど、早急にいじめへの対応の徹底を図ることが重要です。
 さらにまた、一連の自殺事件の中には、教職員がいじめに加担したり、いじめを助長していたとされる、信じられないような事例もありました。本来、児童生徒を指導すべき立場にある教員自身が、いじめは絶対に許されるものではないという確固たる自覚を持たなければ、いじめの問題を根本的に解決することはできないと考えます。
 教育長は、十一月八日の緊急アピールにおいて、子どもたちに、相談する勇気を持ってくださいと呼びかけました。また、保護者やすべての先生方や校長先生に対しても、子どもたちを守ってくださいとも呼びかけました。都民は、このアピールを読んだすべての子どもたちが、いじめのない学校に安心して楽しく通えるようになることを強く期待しています。
 いじめの発生をすべて防ぐことは難しいことですが、不幸にして起こってしまった場合には、早期に発見し、適切に対処していくことが重要です。今後、いじめ問題の解決に向けどのように取り組んでいくのか伺います。
 
答弁4
 ▼教育長
 いじめは決して許されないことでありますが、いつでも、どこでも、どの学校でも起こり得るものであるという前提に立ちまして、学校教育に携わるすべての関係者一人一人が改めてこの問題の重大性を認識し、日ごろからいじめの兆候をいち早く把握し、迅速に対応できるようにすることが重要でございます。
 十一月八日から十二日まで実施いたしましたいじめ等問題対策室の緊急電話相談では、いじめを受けた子どもや保護者からの相談のほかに、教職員の不適切な対応、家庭の教育力の向上の必要性、いじめる側への指導の徹底など、さまざまなご意見が寄せられました。
 今後、これまで東京都教育委員会が蓄積してきましたいじめ問題の解決の方策に加えまして、新たに緊急相談に寄せられた相談内容等を整理、分析して資料にまとめ、教員研修だけでなく、保護者会や地域懇談会等においても活用するよう働きかけてまいります。
 さらに、広く都民の方々にもこの問題の重大性を認識していただくために、早急にフォーラムを開催し、いじめ問題の解決に向けて全都的な取り組みを推進してまいります。
 

 
質問5
 小中学校の適正規模、適正配置に取り組む区市町村への支援について伺います。
 少子化の進展の影響により、小中学校の小規模化が進んでおり、運動会や部活なども十分にできない学校すら出てきています。子どもの社会性をはぐくむためにも一定の学校規模は確保すべきであり、このような問題認識のもとで、既に幾つもの区市町村が学校の適正規模化に取り組んできました。
 都教育委員会でも、ようやくここに来て危機意識を持ち、都としての小中学校の適正規模、適正配置に取り組もうとしています。しかしながら、都教育委員会が真剣に考え始めたのは、いささか遅かったのではないでしょうか。
 足立区や台東区あるいは千代田区などでは、既に十数年前より、重大な決意を持って適正規模、適正配置に取り組み、大変な努力の中で、長い歴史を閉じなければならなくなった学校関係者の理解を求めてきました。また、保護者、住民、卒業生の方々も、区市の真摯な姿勢にこたえ、子どもたちがよりよい環境で教育を受けられるならばと、断腸の思いで統合に理解を示してきました。
 このように真剣に取り組んできた区市の立場で見れば、都教育委員会の取り組みが今になったことは、遅きに失したといわざるを得ません。今後、区市町村の真剣な取り組みに対して支援が時期を失することのないよう、しっかりと考えていただきたいと思います。
 そうした前提の上ではありますが、やはり学校の適正規模、適正配置への対応は、子どものことを考えるならば、早急に取り組まなければならない課題であることは間違いなく、都教育委員会として適正規模化に取り組もうとすること自体については、我々としては後押しをする必要があると考えています。
 そこで、小規模の学校における教育上の課題について、改めて都教育委員会の認識を伺います。また、このような小中学校の小規模化に対する都教育委員会の対応を伺います。
 
答弁5
 ▼教育長
 小規模の学校における教育上の課題についてであります。
 学校教育において、子どもたちは、互いに切磋琢磨しながら、自立した人間として社会で活躍するために必要な知識や技能を学び、また、多くの人との協調や競い合いの中で人間関係の基礎を身につけることができると考えております。
 しかしながら、小規模校におきましては、多くの仲間と協力したり、互いに高め合ったりする機会が限られております。
 また、一学年一学級の規模では、クラスがえができず、人間関係が固定化しがちであるため、いじめが発生したり、学級が荒れたりした場合に、人間関係の修復が難しいなどの課題があると認識しております。
 さらに、小規模校におきましては、新任教員への指導や授業改善への取り組みなどにおきまして、校内で組織的に補い合うことが難しいことや、生徒のニーズに応じた多様な部活動が設置できないなどの課題が指摘されております。
 小中学校の小規模化への対応についてであります。
 都教育委員会といたしましては、小規模校におけます教育上の課題にかんがみまして、区市町村教育委員会が行う小中学校の適正規模化の取り組みを支援する必要があると考えております。
 このため、現在、区市町村教育委員会と意見交換を行っているところであります。この場での要望を踏まえまして、児童生徒の新しい学校への適応や通学上の安全確保への配慮、新しい学校を魅力あるものにするための備品等の整備等につきまして、区市町村が支援策の中から選択できる方法での支援を検討してまいります。
 
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■福祉・保健医療施策
 
質問1
 従来の大学医局中心の医師の育成、派遣システムは、平成十六年度の初期臨床研修の義務化などを契機として大きく揺らぎ、全国の病院で医師の不足が深刻な問題となっています。このような状況にあっても、都立病院は、救急医療など、高水準で専門性の高い行政的医療を適切に都民に提供するという役割を確実に果たし、都民にこたえていかなければなりません。
 これまで都立病院では、卒後二年間のジュニアレジデントや、小児科、産婦人科等の専門分野におけるシニアレジデントを受け入れるなど医師の育成に取り組んできており、幸いなことに志望者もかなり多いと聞いています。若手医師の意識も変化し、自由に研修病院を選択できるなど、医師の採用をめぐる環境は変化しつつあります。
 こうした中、都立病院みずからが独自の取り組みによって将来を担う質の高い医師を確保、育成する必要があると考えますが、所見を伺います。
 
答弁1
 ▼病院経営本部長
 医師の採用環境が変化している中で、都立病院が安定的に医療を提供していくためには、ご指摘のとおり、若手医師を確保、育成する仕組みづくりが必要でございます。
 これまでも都立病院では臨床研修医制度を整備してまいりましたが、若手医師の育成策を強化するために、都独自の取り組みとして都立病院医師アカデミーを創設し、平成二十年度の開講を目指してまいります。
 この都立病院医師アカデミーでは、都立病院の豊富な臨床例を生かして研修カリキュラムを充実するとともに、指導医体制の強化を図ってまいります。
 また、研修から採用に至る一貫した育成システムや、他の公的病院などへの派遣・復職制度を導入するなど、処遇面での充実も図ることによりまして、次代の都立病院、公社病院の中核を担う質の高い若手医師の計画的な確保、育成に努めてまいります。
 

 
質問2
 今定例会において心身障害者扶養年金制度の廃止条例が提案されておりますが、扶養年金制度は、保護者亡き後の不安の軽減と障害者の福祉の向上を図るという目的で昭和四十四年に発足しました。制度の開始から三十七年が経過した今、財政的な行き詰まりから現行制度を維持することはもはや困難となっており、やむなく制度を廃止することとなったものと理解をしております。
 今後、制度の廃止に当たっては、我が党が第三回定例会において要望したとおり、加入者への対応を都として責任を持って実施するとともに、障害者が保護者亡き後も地域の中で自立して生活できるよう総合的な施策展開に今後とも積極的に取り組むことが重要と考えます。
 そこで、今回、心身障害者扶養年金条例の廃止を提案された知事の決意を伺います。
 
答弁2
 ▼知事
 いかなる政策も、時代の変化に対応した不断の見直しが必要であります。心身障害者扶養年金については、現行制度の維持がまことに困難となりまして、将来世代に過重な負担を追わせないために廃止せざるを得ないと判断いたしました。この事実を真摯に受けとめ、制度運営者として、制度の廃止後の対応にも加入者の方の理解が得られるよう、誠心誠意を持って取り組んでいきたいと思っております。
 障害者が、保護者亡き後も地域の中で自立し、安心して暮らせるように、地域生活基盤の整備を積極的に進めるなど、障害者福祉施策を総合的かつ計画的に推進していくつもりでございます。




 ここで、一点申し上げます。
 本年四月から施行された障害者自立支援法のもとで、精神障害者も、身体障害者、知的障害者と同一の体系による福祉サービスを受けることができるようになりましたが、公共交通機関における運賃割引制度については、これまで、都営交通を除いて精神障害者に適用されていませんでした。
 この運賃割引制度の適用について、我が党は、去る九月五日、社団法人東京バス協会に赴き、民営バスにおける運賃割引制度を精神障害者に対しても適用されるよう、強く要請したところです。このような我が党の働きかけが実り、来年四月から運賃半額割引を実施したい旨の回答をいただきました。
 我が党は、今後も、障害者自立支援法の理念を具体的に実現していくために、率先して関係団体等への働きかけを行っていきます。福祉保健局においても、特段の配慮を持って施策を推進されるよう望みます。
 

 
質問3
 次に、福祉保健局が本年八月に発表した人口動態統計によれば、平成十七年中に悪性新生物、つまりがんで死亡した都民は約三万人で、全死亡者の三〇%を超え、死因としては昭和五十二年以降第一位で、しかも死亡率は年々上昇しています。医学技術の進展により、がんの診断、治療のレベルは上がっているものの、依然として都民の生命を脅かす病気であることには変わりはなく、都民も大きな不安を持っています。
 がんに関しては、マスコミ等でもさまざまな治療や医療機関に関する情報が提供されていますが、一方で、がんの予防や早期発見のために具体的にどうすればよいのか、また、いざ自分ががんにかかった場合にどのような医療機関、治療法を選べばよいのか、都民は大きな関心を持つとともに、不安を抱いているのも現実であります。
 こうした中で、本年六月には、我が国におけるがん対策の総合的かつ計画的な推進を目指すがん対策基本法が制定され、来年の四月から施行されることになっています。
 都においても、がん対策について、これまで以上に一歩踏み出した施策の展開を図るべきです。基本法では、各都道府県においてがん対策推進計画を策定することとされていますが、都としてどのように取り組んでいこうと考えているのか、所見を伺います。
 
答弁3
 ▼福祉保健局長
 都におけるがん対策推進計画についてでございますが、都民のがんへの不安を解消するためには、予防・早期発見対策の一層の推進や治療水準向上に向けた医療機関のネットワーク化に加えまして、患者、家族への情報提供や相談支援体制の充実など、総合的な対策を推進していくことが必要でございます。
 このため、大学病院などの高度な医療機関が集積しております大都市東京の特性を十分に生かしながら、今後設置を予定している、医療関係者や学識経験者、患者団体の代表などから成る協議会での議論を踏まえまして、総合的ながん対策推進計画を推進してまいります。
 

 
質問4
 また、がんの中には、食生活など生活習慣の改善により罹患するリスクを低減させることができたり、早期に発見できれば完全に治癒できるものも多くあります。都民に対して、予防・検診受診を強力に呼びかけていく取り組みが必要と考えますが、所見を伺います。
 
答弁4
 ▼福祉保健局長
 都民をがんから守るためには、生活習慣の改善や、早期発見の機会となる検診の受診促進が極めて重要でございます。
 このため、都は、東京都健康推進プラン21後期五か年戦略において、がんの予防を重点課題の一つと位置づけ、普及啓発や検診に携わる人材の育成など、さまざまな施策を展開しております。
 特に、都においては乳がんの死亡率が全国で最も高いことから、ピンクリボン運動などを行うなど、広く都民に対しまして早期発見の重要性を啓発しております。
 今後も、がんの予防と検診受診の機運を一層高めるため、住民に身近な区市町村による取り組みを支援するとともに、職域を含めた広域的な普及啓発を健康保険組合等と協力し推進してまいります。
 

 
質問5
 さらに、早期にがんを発見できたとしても、適切な治療に結びつけられなければ治癒は望めません。都内には、国立のがんセンターを初め、がん治療に関して高名な病院も多いわけですが、都内医療機関全体の診療水準の底上げが必要であると考えます。そのため、がん治療の拠点となる病院を整備し、診療水準の向上を図っていくことが重要ですが、都としての取り組みを伺います。
 
答弁5
 ▼福祉保健局長
 だれもが安心してがん治療を受けられるようにするためには、地域におけるがん医療のネットワークの拠点となる病院を確保するとともに、医療従事者への専門研修などを通じて、個々の医療機関の診療水準の向上を支援する仕組みを構築することが重要でございます。
 このため、高度かつ専門的ながん医療を提供するとともに、地域の医療機関への診療支援を行うがん診療連携拠点病院を、平成二十年度までに島しょを除くすべての二次保健医療圏に整備いたしまして、東京都全体のがん診療水準の向上を図ってまいります。
 

 
質問6
 福祉、保健、医療に関する包括補助事業について伺います。
 都は、本年二月、福祉・健康都市東京ビジョンを策定し、福祉・医療改革を着実に推進しております。一方、住民の身近にあって、地域福祉、保健医療の担い手である区市町村は、地域ニーズに応じ、さまざまな取り組みを行っており、地域からの発想を生かしていくことが、都の福祉保健施策全体を向上させる大きな原動力になると考えます。
 今般、都が創設を予定している福祉保健区市町村包括補助事業は、その名のとおり、区市町村にとって大変力強い支援となるものです。しかし、支援に当たっては、都の福祉保健施策の方向性を前提とすることはもちろんですが、区市町村の主体性を損ねたり、地域の実情を軽視するものであっては、その意義や効果も薄れてしまいます。
 新たな包括事業は、都の目指す福祉保健施策の実現を推し進めるとともに、区市町村独自の取り組みを生かす柔軟な仕組みを持った制度とすべきと考えますが、所見を伺います。
 
答弁6
 ▼福祉保健局長
 新たな包括補助事業についてでございますが、今回創設を予定しております福祉保健区市町村包括補助事業は、都が目指す福祉保健政策の実現を図るため、高齢者虐待防止や糖尿病予防など、都が提示する事業の中から区市町村が選択し、地域で実施するものでございます。
 これに加えまして、区市町村の主体性も生かせるものとするため、区市町村が地域の実情に合わせて独自に取り組む先駆的な取り組みも補助対象とする考え方でございます。
 このような柔軟な補助制度とすることによりまして、地域からの発想を生かしながら、大都市東京の福祉保健施策総体の向上を図ってまいります。
 

 
質問7
 次に、認定こども園は、幼稚園教育と保育を一体に提供する仕組みであり、少子化の進行や就業形態の多様化等を踏まえた新たな枠組みとして期待しているところであります。
 しかしながら、制度の円滑な実施に当たって、課題がないわけではありません。認定こども園制度は、認可保育所と認可幼稚園が連携したいわゆる幼保連携型以外にも、認可外保育施設などが地域の実情に応じて参入できる仕組みとなっていますが、一方で、国の財政措置については、認可を受けた部分のみに限定されています。
 こうした財政上の不均衡は、制度の普及を阻害することになりかねないとして、都議会は、先般、必要な財政支援を講じるよう国に強く要請したところであります。しかし、国の動きは全くありません。
 保育や教育のニーズが多様化している東京では、多様な仕組みによる事業展開が不可欠であります。我が党は、第三回定例会において、都独自の財政支援を主張し、本定例会の知事の所信表明演説では、補助制度を創設する旨の意向が明確に示されました。
 では、具体的にどのような財政支援を行おうとしているのか、その内容について伺います。
 
答弁7
 ▼福祉保健局長
 認定こども園には、幼保連携型、幼稚園型、保育所型、地方裁量型の四つの類型がございます。お話しのとおり、国は既存の補助制度を一切充実することなく、各類型のうち、幼稚園、保育所の認可を受けた部分のみに財政措置の対象を限定しております。
 このため、都としては、認定こども園が大都市の多様な保育、教育等のニーズに柔軟に対応し、その機能を十分に発揮できるよう、国が財政措置を行わない部分に対しましても独自の補助制度を創設する予定でございます。
 

 
質問8
 また、認定こども園制度は、親の就業形態を問わないなど、これまで認証保育所で実践してきた多くの内容を国が取り入れたものであります。まさに、都の先駆的な取り組みが国の硬直的な制度に風穴をあけたといっても過言ではありません。
 そこで、都民ニーズにマッチした制度としていくためには、多大な支持を得ている認証保育所の考え方をこの制度の中に取り込むべきと考えますが、本定例会で条例提案されている認定こども園の認定基準に関する考え方について所見を伺います。
 
答弁8
 ▼福祉保健局長
 認定こども園の認定基準についてでございますが、認定こども園制度は、親の就労の有無にかかわらず利用できることや、直接契約の導入など、都が創設した認証保育所において、これまで全国に先駆けて実践してきた多くの内容が取り入れられたものでございます。
 今後、この認定こども園制度を都民ニーズにより的確に対応したものとするため、認定基準についても認証保育所の基準の考え方を積極的に取り入れまして、職員の資格要件や施設整備の基準を柔軟なものとしてまいります。
 

 
質問9
 次に、地域力の向上について伺います。
 我が党は、第二回定例会の代表質問において、近年の孤独死の問題、また児童虐待を初め、子どもが被害者、加害者となる事件の多発などを取り上げ、地域コミュニティの脆弱化、いわゆる地域力が低下しつつある現状を指摘しました。そして、こうした問題に対応するための取り組みの一例として、現行の民生・児童委員のすそ野を広げ、児童健全育成のための新たな制度を創設し、子育て家庭の不安に対応していくべきと提案しました。
 過日発表された都の平成十九年度重点事業において、地域力の向上に向けた取り組みの一環として、新たに民生・児童委員サポーターの配置が取り上げられております。我が党の提案を反映させた、まことに時宜を得た施策と考えております。
 そこで、この新たな仕組みの概要と今後の取り組みについて伺います。
 
答弁9
 ▼福祉保健局長
 民生・児童委員サポーターについてでございます。
 子育て不安や児童虐待等に加え、子どもが犯罪の被害者、加害者となる事件が多発しており、地域における子どもをめぐる課題が多様化、深刻化していることなどから、民生・児童委員の活動範囲も拡大し、対応がますます難しくなってきております。
 このため、子育て世代の三十代、四十代を中心とする地域の方を民生・児童委員サポーターとして活用しまして、子育てに関する相談支援や虐待の早期発見、学校等と連携した非行防止活動などに力を発揮していただくこととしたものでございます。
 今後、区市町村や町会、PTAなど関係団体と緊密に連携しながら、早期に都内全域にサポーターを配置し、多様な課題への地域の対応力の強化を図ってまいります。
 

 最後に、知事は、先週、東京高等裁判所に直接足を運び、大気汚染訴訟の解決に向けた医療費助成と自動車排気ガス対策など、国への要求案を提示されました。被害者の方々にとって何よりの朗報であるばかりか、都民の枠を超え、全国民に関係するこの大きな問題に対して文明批判の矢を放ったという点でも、極めて画期的な提案であったと思います。
 知事はこれまでも、強力なリーダーシップを発揮して数々の難問を解決してきました。現在進められているウイルス肝炎への対応についてもしかり、横田基地の軍民共用化でも、先日、アメリカ側の責任者であるローレス氏が直接来庁され、知事と情報交換をされたと聞いております。
 来年は、我が党にとっても、都政にとっても、そして石原知事にとっても大きな意味を持つ一年になろうかと思います。私たちは、都民、国民のために、しっかりと目線を前に向け、これまで以上に汗をかいていく覚悟であります。知事におかれましても、命を都政に預ける覚悟で、ぜひとも我々と一緒に戦い抜いていただきたいと熱望いたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

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