山口文江(ネット) |
■食の安全 |
▼山口委員 初めに、中央卸売市場における食の安全・安心確保の取り組みについて伺います。 卸売市場では、水産物や青果など生鮮食料品などの安定的な供給と安全なものを供給することが重要な使命です。 二〇〇五年の中央卸売市場条例の改正では、品質管理の徹底は市場業務の責務であること、都は市場業者と連携して生鮮食料品の安全確保と衛生管理の向上を図るための体制整備に努めることが定められ、安全・品質管理者、品質管理責任者の仕組みが整えられました。市場における品質管理の向上のためには、開設者だけではなく、直接生鮮食料品を扱う市場関係者の果たす役割が重要ですが、安全・品質管理者、品質管理責任者は、ともに市場関係者がみずから品質の管理向上を図るための仕組みだと聞いております。 そこで、両者の主な役割について伺います。 ▼中央卸売市場長 安全・品質管理者は、市場で取り扱われる物品の安全性確保を図るとともに、市場の衛生環境水準を向上させるため、卸売会社などの市場関係者と都職員との中から選任されたそれぞれの組織における品質管理の総括的な責任者でございます。現在、約百七十名の安全・品質管理者が社員の意識啓発を行うとともに、食品危害発生時には情報連絡や調査に当たるなど、市場内での食の安全・安心対策に努めてございます。 品質管理責任者は、卸売り場や冷蔵施設等での品質管理を行う現場の責任者でございまして、市場施設を使用する卸売会社等で約千八百名を指定してございます。この品質管理責任者は、日常業務の中で個々の施設において温度管理、清潔の保持などを行い、生鮮食料品の品質管理の確保と向上に努めてございます。
▼山口委員 こうした取り組みによって、市場関係者みずからが品質管理の向上に取り組んでいるということですが、中央卸売市場において、今後一層市場関係者みずからが主体的に食の安全・安心の確保に取り組むには、品質管理に対する意識を高めるとともに、品質管理の手法を定めて遵守することなどが必要と考えます。そのために都は市場関係者に対してどのような支援をしていくのか伺います。 ▼中央卸売市場長 中央卸売市場におきましては、生鮮食料品の品質管理の向上を図るためには、施設使用や食品の取り扱いについての手法や手続、点検、記録の方法等をあらかじめ定め、具体的に実施していくことが有効でございます。そのため、都は本年度に品質管理マニュアル作成の手引を作成することとしておりまして、今後、この手引を活用して、卸売業者や中卸業者がそれぞれみずから品質管理マニュアルを定め、食品の衛生的な取り扱いや施設の管理などに取り組んでいくよう支援をしてまいります。
▼山口委員 BSE以来、鳥インフルエンザ、輸入野菜の残留農薬、遺伝子組みかえ食品など、消費者の不安、不信が募る事件が後を絶ちません。食品においては、だれがどこでどのようにつくり、どういう流通経路をたどったものなのかなどの情報を、食品を購入する際の判断材料として消費者に提供することが求められています。 牛肉については、牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法により、生産段階からと畜までの情報が消費者にわかる仕組みになりました。水産物や青果については、多くの課題があるものの、商品の信頼性の向上や安全性が確保できるなど有効な方法として、トレーサビリティーシステムの導入も必要と考えます。 中央卸売市場では、昨年度、国のトレーサビリティーシステムの実証実験に参画したということですが、どのような状況か伺います。 ▼中央卸売市場長 トレーサビリティーシステムにつきましては、現在、国においてシステム開発のため実証実験を行っており、都も北足立市場などで協力しているところでございます。 平成十七年度に行った北足立市場での実証実験は、産地から小売までの段階ごとにICタグ等に生産流通履歴を記録するようにしたもので、今後の課題といたしまして、ICタグ等のコストダウンや読み取り率の向上、防水・防じん性の向上などが指摘されてございます。 生鮮食料品へのトレーサビリティーシステムの導入に当たりましては、記録すべき情報の範囲や記録媒体の規格の統一などが必要でございまして、中央卸売市場といたしましては、今後とも国の実証実験などに積極的に参画しながら、その実現に向けて取り組んでまいります。
▼山口委員 消費者からは、食品の安全・衛生対策とともに原産地表示の徹底が今求められていますので、このトレーサビリティーシステムの確立も早急に行っていただきたいと思います。
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■中央卸売市場の環境対策 |
▼山口委員 次に、市場の環境対策について伺います。 中央卸売市場では、食の安全・安心対策とともに、環境負荷の大きい事業として環境に優しい市場としていく取り組みが求められています。我が国の生鮮食料品流通の中枢を担い、日々展開される膨大な取引活動は、集荷と荷分けの際の自動車使用による大気汚染、冷凍、冷蔵などの機器の使用による多大なエネルギー消費、仕分けなどに伴う廃棄物の大量発生など、環境負荷の低減に努めなければなりません。 そこで、廃棄物対策について伺います。中央卸売市場では一日当たり一万トンを超える生鮮食料品が取引され、その過程では一部の食品がごみになることが避けられないのが現状です。また、多くの事業者が集まる場として、食品以外にもさまざまな廃棄物が発生していると聞いています。しかし、中央卸売市場は公的な施設であり、できる限り廃棄物を出さない環境に配慮した施設が望まれます。 そこで、卸売市場の廃棄物の排出状況はどうなっているのか、また、卸売市場としては廃棄物を削減するためにどのような取り組みを行っているのか、あわせて伺います。 ▼中央卸売市場長 平成十七年度に中央卸売市場から発生した廃棄物の総量は約四万八千トンでございます。廃棄物の内訳を見ますと、野菜くずや魚のあら、木製パレットなどの一般廃棄物が約八割を占めておりまして、残る二割が発泡スチロール、ビニールラップ等の産業廃棄物でございます。 市場において廃棄物の削減を進めるためには、都と市場関係業者が連携した取り組みを行う必要があることから、各市場に都と市場関係業者が廃棄物対策について定期的に協議する体制を設けており、有料ごみ袋の導入や食品廃棄物、包装資材等のリサイクル、ごみの持ち込みや不法投棄の防止を目指した場内の定期循環などに取り組んでいるところでございます。
▼山口委員 各市場でいろいろな取り組みが行われているようですが、廃棄物による環境への負荷を軽減するためには、リサイクルの推進に取り組むことが重要です。市場ではさまざまな廃棄物が発生すると思うのですが、それぞれについてのリサイクルにも取り組む必要があります。とりわけ卸売市場の業務と切り離すことができないものが食品廃棄物のリサイクルであり、多くの食品関連事業者が食品リサイクル法に基づいた取り組みを行っています。 市場内の業者も同じように努力が求められると思うのですが、築地市場や大田市場ではバイオマス発電の原料供給の取り組みを行っているということですが、同様の取り組みを全市場に広げていくべきではないでしょうか。中央卸売市場におけるリサイクルの現状と今後の拡大に向けた取り組みについて伺います。 ▼中央卸売市場長 現在、中央卸売市場におきましては、マグロなど大型魚のあらや発泡スチロール容器などについてリサイクルの仕組みを確立してございます。また、新たにラップ、包装バンドのリサイクルや野菜くずなどを飼料の原料とする取り組みが始められております。 しかしながら、現状ではリサイクル率は約三六%でございまして、大半は一般廃棄物、産業廃棄物として処理されていることから、一層のリサイクルの推進が必要と認識しております。 今後、良質なリサイクル原料を供給できるよう、ごみの分別指導を徹底するとともに、低廉な再生処理を行う事業者の情報などを収集し、各市場に提供することなどにより、リサイクルの推進に取り組んでまいります。
▼山口委員 市場における廃棄物の特徴的なものとして輸送用の木製パレットがあり、その対応も必要かと考えます。市場内では大型の木製パレットが使われており、壊れかけたパレットがそのまま廃棄されるとすれば、環境保護の上で問題です。木材は生活を支えるさまざまな用途に用いられるばかりでなく、CO2を吸収するという意味で特に重要な資源であり、新たな森林伐採を防ぐという意味から、木材資源を徹底して有効に活用することが大切です。 木製パレットの廃棄を削減する取り組みはどのように行っているのか伺います。 ▼中央卸売市場長 現在、使用できなくなった木製パレットにつきましては、ほぼ全量が合板の材料としてリサイクルされてございます。 しかしながら、より一層の木材資源の節約や環境負荷の低減を図るためには、木製パレットの使用サイクルを長期化することが必要でございます。一部の市場では、壊れた木製パレットを修理して再使用するなどの取り組みが既に行われておりまして、リサイクルに出される量が大幅に減少しております。 今後、環境保護に関する意識の啓発を図るとともに、これらの具体的な取り組みを他市場に紹介することにより、市場関係業者との連携のもと、木製パレットの再使用の拡大に努めてまいります。
▼山口委員 今後も一層の取り組みを期待したいと思っております。 中央卸売市場では多くの事業者が活動しており、廃棄物対策を進めることは容易ではないと思いますが、東京都は開設者として廃棄物のリデュース、リユース、リサイクル、この三Rに積極的に取り組み、ごみの発生抑制に努めていただくことを要望しておきます。
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■災害対策 |
▼山口委員 次に、多くの人が利用する都営地下鉄、また外来患者なども多数訪れます都立病院の避難誘導対策について伺います。 四路線で全長百九キロ、駅数が百六、昨年度一日平均二百三万人が利用する都営地下鉄ですが、安全・安心・快適を目指し、震災・火災対策の強化が重要な課題となっています。 地下鉄の駅施設、トンネル設備や車両は不燃性のものを使用し、万一、駅やトンネル内で火災が発生したときのために、駅構内に自動火災報知設備、誘導灯などを設置していると聞いています。また、国が新たに設定した火災対策基準により、排煙設備と二方向避難路の整備にも取り組んでいます。 ハード面の対策については着実に実施しているようなのですが、実際に私たち地下鉄利用者が火災や震災などの災害に遭遇した場合、迅速に避難ができるのかということが最大の関心のあるところです。大切なのは日ごろの防災訓練であると考えます。災害を想定して対処する訓練を行っていれば、少なくとも誘導する職員はパニックに陥ることなく、被害を最小限にとどめることができるのです。 交通局では、地震、火災などの災害に対してどのような防災訓練を行っているのか伺います。 ▼交通局長 都営地下鉄は、今お話しありましたように、一日二百万人を超えるお客様に利用いただいている公共交通機関でございまして、一たび災害が発生すると、その影響は大きなものになることが予想され、ご指摘のとおり日ごろからの災害訓練が重要であると認識しております。 この訓練に当たりましては、職員個々の災害時における対応能力の向上や関係部署との連携強化を図ることを目指しまして、さまざまな角度から災害時を想定した訓練を行っているところでございます。 具体的には、火災や脱線などを想定しまして、お客様の避難誘導、救出救護、脱線復旧などを内容とした実践的な訓練や、大規模地震に対して自駅停止訓練や情報伝達訓練などを局として総合的に行っております。また、各駅など職場単位におきましても、地元の消防、警察と連携を図りながら、火災対応訓練、テロ対処訓練などの各種訓練を随時実施しているところでございます。 今後とも、災害に的確かつ迅速に対処するため、職員の防災意識を徹底するとともに、防災訓練の一層の充実を図ってまいります。
▼山口委員 都立病院では、救急災害医療センターとして位置づけた広尾病院が蓄積したノウハウを都立病院全体で共有し、各病院において災害医療体制の充実を図るなど、災害発生時の被災者の受け入れ対策や派遣要請等に努められていると思います。 地域の防災訓練でも、地域住民の協力を得て、けが人を想定し、的確なトリアージによる治療の優先順位の決定や適切な治療実施のための訓練が行われていますが、入院患者を安全かつ迅速に避難誘導するための訓練など、職員が冷静沈着に対応するための訓練も不可欠です。 そこで、都立病院での大震災時等の防災訓練の実施状況について伺います。 ▼病院経営本部長 都立病院では、各病院ごとに毎年度防災訓練を実施しております。その内容でございますが、災害対策本部を設置し、報告、指示等を行う訓練のほか、トリアージなどを行う多数傷病者の受け入れ訓練、患者さんを避難誘導する訓練、応急給水訓練など、それぞれの病院の特性に応じてさまざまな訓練を実施しております。 また、毎年九月一日の防災の日に実施する総合防災訓練では、都立病院から東京DMAT隊及び医療救護班が参加するなど、災害発生に備えた訓練を積極的に実施しております。
▼山口委員 実際に震災が起きた場合には、入院患者はもとより、災害発生時のけが人等の受け入れで混乱が予想されます。二〇〇五年度都立病院全体の外来患者は一日平均約八千人ということですが、その外来の患者や付き添いなどにはどのような対応を行うことになるのか伺います。 ▼病院経営本部長 各都立病院では、現在、災害時のマニュアルを整備しておりますが、例えば都立病院における救急災害医療センターである広尾病院では、地震被災等の場合の医療救護活動マニュアルを作成しております。これによると、災害が発生した場合には、まず初めに在院患者さんなどの安否確認と鎮静化及び安全確保を実施することとしております。 お話しの外来診療につきましては、災害発生地が遠隔地の場合には診療を継続いたしますが、病院が被災した場合には緊急の診療以外は中止するとともに、患者さんや付き添いの方に待機してもらい、交通機関の状況等を確認した上で、帰宅可能な方から順次帰宅していただくこととしております。
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