松村友昭(日本共産党) |
■民間委託 |
▼松村委員 まず、地方公営企業の目的、そのあり方について伺いたいのですが、代表して交通局長さんですか、よろしくお願いいたします。 ▼交通局長 地方公営企業の設置目的、あり方につきましては、地方公営企業法第三条に規定しておりますように、常に企業としての経済性を発揮しながら公共の福祉を増進するよう運営することであると心得ております。 公営企業として地下鉄やバスなど交通事業を所管しております私ども交通局で申し上げますと、独立採算制の原則に基づきまして、お客様からいただく乗車料収入を財源に安全で快適かつ便利な輸送サービスを提供することで、都民の福祉を増進するよう運営していくことでございます。
▼松村委員 私も改めて一九七九年度版、ちょっと古いんですが、地方自治協会発行の地方公営企業の範囲に関する研究をひもといてみました。 地方公営企業の経営の目的は、もちろん効率性や経済性も求められますが、すべてが利益の追求にあるのではなくて、公共の福祉の増進にあること、並びに交通事業にしても、水道事業にしても、あるいは病院事業にしても、そのほとんどが公益事業または準公益事業であることから、いかにして幾らかの経常利益があったかということよりも、むしろいかにして公共の福祉の増進に努めたかということを主眼として、提供するサービスの提供がどうであったかという点に重点を置いて分析すべきであると指摘しています。 ところが、今、官から民へと、民間でできるものはすべて民間にやらせるべきだとの強い圧力がかかり、民営化の流れが加速しつつある中で、公営企業のあり方が鋭く問われています。 そこで、交通局も、本決算年度を初めその流れに沿って業務委託の拡大を図っていますが、業務委託がどういう委託先に、どの範囲の駅や営業所で行われていますか。 ▼交通局長 都営バス事業における管理業務及び地下鉄の駅業務の委託について申し上げますと、バス事業では、現在、三支所二十四系統について、株式会社はとバスに運行業務などの管理の委託を行っております。また、地下鉄事業では、現在、三十一駅について、財団法人東京都交通局協力会に駅業務を委託している状況でございます。
▼松村委員 財団法人交通局協力会への委託の業務はどういうものですか。ある駅の職員がすべて協力会のパート職員だということも耳にしましたが、そういう事実はあるのですか。 駅業務を行う協力会からの職員は正規職員なのですか、パートやアルバイトなどですか。その賃金水準は都の職員に比べてどうでしょうか。 ▼交通局長 三つにわたるご質問をまとめていただきましたが、東京都交通局協力会に対しましては、駅の管理監督業務を除き、そのほかの通常の駅で行っております窓口業務や案内業務などを委託しているところでございます。 この協力会からの職員は、採用後十分な訓練を行い、業務配置をしておりますが、二つ目のご質問でございますが、雇用形態としましては、お話のようなパート社員だけでなく、契約社員、正規社員としてリーダー的な立場の者を配置するようにしております。また、駅の管理責任者としては、各駅に交通局の職員を必ず配置しているところでございます。そういうことで、すべてがパートの社員ということではございません。 それから、外注化された駅での協力会の社員の給与状況でございますが、パート社員につきましては時給九百七十円で時間単位の勤務をしておりまして、年収に換算しますと二百五十万円程度であり、また契約社員につきましては一年契約で、年収は三百五十万から四百万円程度と聞いております。 協力会の契約社員と都の職員との給与比較につきましては、条件の違いがございますので一概には申し上げられませんが、都では勤続年数五年、現業職でございますが、おおむね四百万円弱の水準であることから、その比較ではそれほど大幅な差はございません。また、交通局での直営の駅におきまして、知識や経験を生かした私どもの再任用の職員が駅業務を行っておりますが、フルタイムで年収三百四十万円程度でございます。
▼松村委員 私も改めて東京都交通局協力会の状況を見ましたけれども、今、正規の職員も駅業務をやっているというんですけれども、ことしの九月一日現在の全体の従業員数というのがあるんですが、職員は百九十七名なんです。それに対して作業員百三十四人、パートタイム、アルバイトなんか千百三十四人なんです。 委託契約職員では、厳密にいって事故などへの緊急対応の職務はできないのではないでしょうか。一たん災害でも起きれば多くの人を誘導しなければなりません。駅の職員は人命にもかかわる大事な仕事を受け持つ。その職員がパートやアルバイトなどの不安定雇用で、どうして都民の安全が守れるでしょうか。官から民だ、業務委託化で経費の削減を図るなど、こうした安全面にかかわる問題まで安易に進むべきではありません。 中づりにでも交通局協力会からの職員募集があります。でも、行ってみたら、きつい労働現場の中で、安い雇用で、年収、頑張っても二百五十万ですか、そういう中で生活もできないとかいってやめざるを得ないような、しかも、聞いても一年雇用だと。せっかく研修に努めても、そういうのが果たして蓄積できて、本当に都民の交通部署という大事なところで仕事ができるのか。そういう待遇改善も含めて、私は抜本的な改善を求めておきたいというふうに思います。 次に、水道局の民間委託化の現状はどうなっていますか。 ▼水道局長 水道局は、地方公営企業として公共性と経済性の発揮が常に求められており、これまでも効率経営のため可能な限り民間委託を推進してまいりました。 十七年度に新たに委託を開始したものといたしましては、朝霞浄水場高度浄水処理施設運転管理業務委託一億六千万円、漏水量測定作業委託二千六百万円などがございます。また、委託規模を拡大したことにより、お客さまセンター運営業務委託七億一千万円、配水管計画排水作業委託二億七千万円などとなっております。
▼松村委員 窓口業務や検針業務などの委託化、さらに浄水場の管理や水道管の維持更新など、基幹的な業務まで拡大をしています。 ところが、監理団体の見直しが一方では求められていながらも、水道局では委託先企業への出資比率を引き上げて、経営への東京都の関与を強めていくとしています。なぜこのような二重構造ともいえるやり方を進めるのですか。都の水道技術の高い水準を維持していくには、基幹業務への技術者を育てて習得させていくことが不可欠というのであれば、都がやるべき分野は都がやるということをはっきりさせるべきではないでしょうか。 ▼水道局長 監理団体のあり方についてでございますが、東京都が本年七月に公表いたしました行財政改革実行プログラムでは、抜本的な経営改善が求められる団体については、統廃合や民営化、事業再編などの見直しを進めていくこととしております。一方、都の執行体制の再編に資する効率的、効果的なサービス提供が可能な団体につきましては、行政の支援・補完機能を拡大していくものとしております。 水道局では、効率経営を図るため、民間にゆだねられている業務については、これまでも民間委託化を進めてきたところでございまして、今後とも民間の活力を積極的に活用してまいります。 また、公共性と効率性を両立させながら、将来にわたり安全でおいしい水を安定的に供給していくためには、基幹的な業務を、当局が責任を持って、当局の所管する東京都監理団体とともに担うことといたしまして、一体的な事業運営体制を構築していくことが必要だというふうに考えております。
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■臨海副都心を支える財政基盤 |
▼松村委員 冒頭で紹介した地方公営企業の研究では、水道事業が提供するサービスは住民生活に不可欠なものであり、安定的かつ継続的に供給する必要があるもので、採算ベースに左右される民間企業にはなじまないこと、また、住民生活に密接な関係があるものであり、その経営について住民の意思を反映させる必要がある、さらに、水道事業は公衆衛生との関連で極めて公共性の強い事業であり、公営で行うのが適当であるとしています。私はやはり原点に戻るべきだと指摘しておきます。
▼松村委員 今、日本で吹き荒れている官から民への流れの原点は、ご承知のとおりイギリスのサッチャー改革にあります。現在の日本で叫ばれているのと同じように、鉄道、電話、水道などの公益事業が民営化されました。しかし、現在、余りにも大きな弊害のもと、その見直しが始まっています。それがリビングストン・ロンドン市長のもとでのロンドンプランです。 イギリスの水道事業についていえば、民営化の大きな弊害は、収益を追求する余りメンテナンスを怠って、イギリスでは漏水率が二五%程度と想定されるということに本当に象徴されていると思います。ロンドンプランでは、市長は、漏水と水の需要を減らすことに失敗すれば、この期間の終盤にはロンドンは水資源の欠乏に至ることを認識していると、そのように書かれております。そして、水の効率的使用の方針を定めて、今、行政の関与を強化しているというのが、イギリス・ロンドンの実態であります。このおくれたサッチャー改革を無批判にやろうとすることが、いかに世界の流れにも背くものであるかは明らかではないでしょうか。 その一方で、都が公共事業としてやるべきでない開発に手を出して、都が莫大な赤字を負担し、環境も破壊し、都民にも追い出しなど犠牲が出ているのが臨海副都心開発であり、北新宿などの三地区再開発事業です。 そこで、まず臨海副都心開発について伺います。 バブルがはじけ、国際金融都市づくりという当初のコンセプトが完全に破綻し、青島都政時代からその抜本的見直しが求められていたのに、石原都政になってやったことは、資金ショートしかかっていた臨海副都心会計に、三会計統合として、臨海会計に二千九百億円貸し付けていた旧埋立会計、もう一つは、同じく七百億円貸し付け、さらに一般会計にも三百億円を貸し付けていた羽田沖会計、これを二〇〇一年に一本化して、今いった数字だけでも三千九百億円もの財政支援を行う。貸し付けていたものが、会計が統合だからいわばチャラになったといいますか、そういうことを含めてそういう財政支援を行ったんです。 また、本来都有地である有明の丘防災拠点は、二千二百億円の買い取り計画があり、これまでに国費三百八十四億円と都建設局から百八十億円が投入されるという支援もあります。 さらには、これは二〇〇〇年度から始まった、江戸前のハゼが釣れると、都民や関係者がその存在を強く求めていた有明北の埋め立てを始め、今度はオリンピックの選手村にそこを売ろうというような計画すら進めています。 つい先日には臨海第三セクター破綻処理案が発表されましたが、臨海会計は、底地提供による損失、額にして三百億円ですか、そういう都だけがそのツケをかぶるような状況となっています。 しかし、財政見通しは先行き全く不透明といわなければなりません。この現状をどう総括するのか、まず伺います。 ▼港湾局長 石原知事が就任した当時の臨海副都心開発は、確かにバブル崩壊の試練を受けた厳しい時期でございました。こうした中で、臨海副都心は、これまで、社会経済情勢の変化に弾力的に対応しまして、平成十四年三月には臨海地域開発財政基盤強化プランを策定し、開発事業全体にわたる手法や負担のあり方を厳しく見直しながら開発を進めてまいりました。 その結果、既存の土地の約七割の処分が進んだほか、「ゆりかもめ」の豊洲延伸や環状二号線、晴海通り、こういった交通アクセスが飛躍的に向上して、今や臨海副都心は年間四千万人を超える人々が訪れるまちに成長してまいりました。 その結果、平成十七年度までの累計の税収効果でございますが、既に国税を含めますと一兆円、うち都税は一般財源の既投資額を上回る二千億円に達しておりまして、これまで投資した以上の効果が都民に還元されてきたものと考えております。 今後は、青海地区北側、そして有明北地区を含めて、開発の総仕上げの段階に入ります。引き続き水辺空間などの他の地域にない特色を生かした開発を進めることで、東京の新しい魅力を世界に発信してまいります。
▼松村委員 財政収支の見通しについて、これは既に分科会質疑においても我が党から論議させていただきましたけれども、植木委員がやりました。「臨海地域開発財政基盤強化プランの更なる取組み」がことしの三月出されて、盛んにそれを持ち出して、手がたく確実性の高い収入を算定していると答弁を繰り返していますが、今も一般的なそういう投資がなされてうまくいっているようだという話ですけれども、具体的に今後の財政収支について根拠を示して都民の前に明らかにしていただきたいと思います。どうでしょうか。 ▼港湾局長 「財政基盤強化プランの更なる取組み」におきまして、これまで土地処分の状況やインフラの整備状況を踏まえまして、長期的な土地処分計画に基づき、土地処分収入を見込んできたところでございます。 しかしながら、土地の処分というものは、例えば下水道事業などのように、安定的に歳入が見込める事業とは異なりまして、他の民間不動産とも競合する事業でございまして、個別具体的な用地の処分時期だとか処分収入を明示するということは、都の営業戦略にも不利益となり、その点についてはお答えはできません。 また、土地処分に当たりましては、処分時点における価格を新たに評価して処分するわけでございまして、現時点で具体的な金額をお示しすることもできないわけでございます。 いずれにしても、私どもは、今回の見直しの中で、転売禁止期間の撤廃とか価格競争性の導入など、さまざまな方策を駆使しまして、都として今後景気の動向や開発の状況に弾力的に対応しながら、土地処分のための努力を全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。 事業者からの具体的で強い引き合いや問い合わせ、こういったものを勘案いたしますと、今後の土地処分収入を確保することは十分可能であると考えております。
▼松村委員 二〇〇一年度、平成十三年度から、先ほどいいました財政基盤強化プランを立てたんですね。そして、今答弁がありましたように、民間企業等への土地売却方式を導入して、また売却対象も全区画を対象にし、そして港湾局幹部職員による二千一社への企業誘致活動を実施するなど行ってきたわけです。そういう努力はありました。 しかし、その実績はどうだったでしょうか。これは分科会要求資料に出ておりますけれども、この五年間で土地処分を行ったのが千七百五十億六千三百万円です。「プランの更なる取組み」の計画では、あと四年間か五年間で四千九百七十四億円の都有地運用収入を上げなければなりません。上げるというふうに、ことし三月の「更なる取組み」のプランには出しているわけです。今まで五年間かかっての実績、挙げてやってきて千七百五十億六千三百万。ですからこれまでの実績の三倍です。 二〇〇一年度、先ほども、決算で見ると、土地の売却が進んだということをいっておりました。しかし、それは底地売却であったんです。しかし、その底地売却のために、逆に一方で臨海副都心用地賃貸料収入が前年に比べ三十六億円、これは毎年三十六億円も減ってしまうという結果になっているんです。 臨海副都心における有償処分予定地の現況一覧というのが要求資料で出されておりますけれども、どこの土地をどう売れると見込んでいるのか示していただきたい。 ▼港湾局長 臨海副都心における今後処分していく用地でございますが、資料でお示しした有償処分予定地のうち約五十九ヘクタールが今後処分していく用地でございます。さらに、有明北地区の埋立地部分約二十ヘクタールを加えまして、全体として今後処分を進めていく面積は約七十九ヘクタールでございます。 先ほども申し上げましたけれども、景気の好転に伴い、不動産市況は都心部を中心に活発化しており、臨海副都心においても、今後の処分予定地も含め強い引き合いや問い合わせが来ておりまして、着実に用地処分を進めていけるものと確信しております。 なお、個別の処分用地とか時期を示すことは、事業者の進出意欲や進出計画、さらには進出希望者間の競争性を阻害するなど、開発者側の営業上さまざまな支障を来すことから、不動産取引においては公表しないことが常識でありまして、お答えすべきものではないと考えております。
▼松村委員 全く私のいっている意味を、そういうのを情報開示とか、どこそこといわないんです。そういうことじゃなくて、この積算、はっきりあなた方は、第一の山までに四千九百七十四億円都有地収入を上げるといっているんです。積算根拠も示さず、手がたく確実性の高い収入を算定しているなんていっても、全く説得力を持ちません。 私は試算したんです。この資料の処分見込みという六ヘクタール、これは既に一つの区画は中止したそうでありますから五ヘクタールですか、これを含めて、あと開発予定面積五十三ヘクタールあります。今までの実績をもとに計算してみました。今までの売却の実績は、一ヘクタール七十三億六千万円です、さっきいった取り組みを始めた五年間の資料で割り返しますと。そうしますと、これが今全部売れたとしても四千三百四十二億四千万円です。二〇一〇年に四千九百七十四億円、足りないじゃありませんか。だからこそ私は、どういうやり方でそこに合わせられるのかということを聞かざるを得ないんです。お答えください。 ▼港湾局長 分科会で要求された資料の中でこれまでの土地処分実績をお示しいたしましたけれども、平成十三年度、十四年度から飛躍的に伸びてきております。平成十五年度で六百七十億、平成十六年度で三百十億、平成十七年度で四百二十億、これは都心とのいろんなアクセスがまだ不十分な段階でございます。こういうものが客観情勢として飛躍的に向上してきたということ、それから、私どもは現実にさまざまな事業者、不動産屋と引き合いの交渉をやっております。そういうもので肌身に感じまして、十分引き合いはあるというふうに考えております。 今後、青海地区の北側、これは全体的に評価しても三千億円の評価価値がございますので、こういうものをこれから重点を移していく中で、土地の売却については十分見通しを持って進めております。
▼松村委員 今、三千億円とかという数字も挙げて期待されるというけれども、癌研近くのホテル建設が高く売れたといっても、それは特殊な事例なんです。やはり物事はこちらの思惑どおりにはいきません。今後の見通しを立てる場合、これまでの実績がどうだったかに基づいて判断すべきであることは当然です。 お金だけの話ではなくて、たとえ全部土地を売って採算がとれたとしても--私はとれないと思うんですけれども、臨海副都心地域において超高層ビルが林立し、ヒートアイランド現象の温床となるなど、取り返しのつかない負の遺産となる、それでいいのかということが今問われているんです。 直ちに開発を抜本的に見直し、都民参加で緑と公園、海辺のオアシスとして貴重な財産を守ることを求めます。
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■病院事業 |
▼松村委員 病院事業について伺います。 都立病院関係者の話を聞きましたが、現在、看護職場は退職者が後を絶たず、常時定数すら確保できない異常さで、二十四時間三百六十五日、安心・安全の医療の提供とはほど遠い状態にあります。 このような状況のもと、職場は疲弊し、圧倒的な職員が日々やめたいと感じています。二〇〇四年度、二〇〇五年度の二年間の退職者は八百四十五名にも上りましたが、その中の定年退職者はわずか五%弱です。これは全職員の一〇%が退職しているということになるんです。希望と誇りを持って就職した看護師が泣く泣く職場を去らなければならないことのないよう、看護師が生きがいを持って働き続けられるよう強く訴えていました。 第二分科会の要求資料からわかるように、看護要員は、二〇〇二年度、二〇〇三年度は定数に対し現員が上回っていましたが、二〇〇四年度、二〇〇五年度は下回って欠員が出ているんです。この二年間に八百四十五人が退職したのに、採用は六百十八人しかできていません。この状態の放置は許されません。働く看護師の問題にとどまらず、都民の医療サービスにとっても重大な問題であります。 こうした事態を招いている問題背景は、いろいろな要因がありますが、私は、その打開の一つとして、診療報酬の削減の影響を受けて悪化している病院会計を改善するためにも、看護基準の引き上げを求めたいと思います。 そこで、七対一看護基準を実施した場合、診療収入はどのぐらいになりますか。 ▼病院経営本部長 お話の七対一看護基準を実施した場合の診療収入の増加額ですが、実際に運営されている病院は、中途退職による看護師の現員の変動、あるいは患者数の増減により変化するため、試算することは極めて困難です。 しかしながら、前提条件として、五百床程度の病院、病床利用率九〇%、平均在院日数十九日以内とするなど、ごくごく単純化した条件を固定化して試算すれば、診療収入から看護師増員に伴う費用を差し引いた純増額は、年間約二億円という数字が一応は出てきます。
▼松村委員 都立病院で七対一の看護基準を実施すべきと思いますが、どうでしょうか。 ▼病院経営本部長 適切な看護を提供していくためには、何よりも看護師の確保、定着が重要でございます。そのために、都立病院では、新人看護師を対象とした看護臨床研修の試行的実施を初め計画的な教育指導体制の充実を図るなど、看護師の確保、定着に取り組み、一定の効果が出てきております。 お話の七対一看護基準でございますが、制度の動向や費用対効果などについて、今後、都立病院の実情に即して、より精緻な検証を行っていく必要があると考えております。
▼松村委員 今答弁がありましたとおり、研修などにより看護師の確保、定着は大事ですが、現実に足りないのです。先ほど答弁があったように、七対一の基準とすれば、看護師を増員する人件費を引いても、五百床の病院で約二億円の増収になるんです。既に大学病院や民間病院で猛烈な看護師獲得競争が始まっています。直ちに本格的な看護師定着対策の手を打ち、七対一への看護基準の引き上げを実施するよう求めます。
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■豊洲新市場の液状化対策 |
▼松村委員 最後に、都民の食の安全を守る立場から、豊洲新市場予定地の土壌汚染問題について伺います。 先日、東京ガスの方とお会いして、豊洲の東京ガスの土壌汚染の処理状況についても我が党が伺いました。全体的にいえば、東京都の環境確保条例がいっているように、汚染土壌の拡散を防止というか、拡散させないという、いわば一種の封じ込め対策であるんです。ところが、実際ボーリングしてみれば、八メートルからも、既に分科会質疑でもやりましたから繰り返しませんけれども、シアンとか危険な汚染物質がある。 しかも、それが地下に沈殿しているわけです。それを、汚染土壌が出たところを掘削して土壌処理をする。全体的には二メートルです。それは、豊洲新市場の全体の、土地をきれいにして入れかえるといっても三割なんです。確かに二・五メートルの覆土を行います。 こういう状況の中で、東京北部直下大地震において臨海部は液状化が起きる危険が高いと指摘されているんです。こういう液状化が起きたらどういう状況になるんでしょうか。 これも分科会質疑で、速やかに汚染土壌を取りかえ、修復作業を行うことで、生鮮食品に影響を及ぼすことはないなどという答弁がありましたけれども、再度私は確認したいと思います。本当に生鮮食品に影響を及ぼすことがないんでしょうか。お答えください。 ▼中央卸売市場長 豊洲新市場用地につきましては、サンドコンパクションパイル工法等による地盤改良工事やアスファルト舗装を行うことで、液状化により汚染物質が噴出するような事態が広範囲に起きるとは考えてございません。万が一液状化し土壌が地表に噴出した場合でも、速やかに土壌を取り除き、修復作業を行うことで、生鮮食料品に影響を及ぼすことはないと考えております。
▼松村委員 今も液状化が起こることは認めました。また、液状化によって汚染物質が噴出する、そういうことも認めております。 私は、万が一にも液状化が起きたり、また液状化によって汚染物質が流出する可能性のあるところに市場を開設して大丈夫だろうかと、そういう問題なんです。都民の食の安全を最大に守るべき市場ですよ。大丈夫などという発言は市場関係者の発言とは到底思えません。 豊洲新市場予定地に安全宣言が出され、関係者や都民の合意を得るまでは市場移転を行うべきではありませんし、ましてやオリンピックに間に合わせるなどと拙速に事を進めて、都民の食の安全を脅かすことは絶対に許されません。根本からの再検討を求め、質問を終わります。
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