平成17年度公営企業会計決算特別委員会 委員会質疑

谷村孝彦(公明党)
■水道事業
 
 ▼谷村委員
 初めに、安定給水の確保につきましてお尋ねいたします。
  さきの分科会質疑で、驚くことに、ダムに依存した考え方は二十世紀型の考えだというふうに、二十世紀の遺物のような政党からご指摘があったようでございます。このほかにも首都圏は既に水余り現象だという指摘もあったようでございますけれども、今の需要に足りているのだから、新たなダム開発は不要であるかのような意見でございました。
  水道は、都民生活と首都東京の都市活動を支える重要なライフラインであり、我が党は常々、安定給水確保のために、長期的な視点に立って着実な整備の実施を要請してまいりました。今の状況だけをとらえて必要性の有無を論じるのは、いかにも短絡的ではないかと思います。
  為政者への戒めの言葉の一つとして、「夫れ賢人は安きに居て危きを嘆き佞人は危きに居て安きを嘆く」という言葉があります。佞人というのは愚か者ですね。賢人というのは、安き、安全な状況にあったとしても、危うき、いつ危機が訪れるかわからない、それを嘆き、佞人、愚か者というのは、危機的状況にあっても安全だ、安全だ、そんなことをするのはむだだ、むだだと嘆くという言葉であります。
  脱ダム宣言をして一世を風靡した長野の県知事さんが、ことしの八月、選挙中に県内に水害が起こり、落選したという事例も最近ありました。
  そこで、改めて水源の確保の考え方についてお尋ねいたします。
 
 ▼水道局長
 水道は、都民生活や首都東京の都市活動に欠くことのできないライフラインでございまして、平常時はもとより、渇水時にも安定的な給水を行うためには、水源の確保は重要な課題でございます。
  しかし、現在保有しております水源量、日量六百二十三万立方メートルのうち、取水の安定性などに課題を抱える水源が日量八十二万立方メートル含まれております。また、水源開発は、通常、十年に一回程度の割合で発生する規模の渇水への対応を目標に計画されておりますが、都の水源の八割を占める利根川水系におきましては、五年に一回程度の割合で発生する規模の渇水への対応を目標に計画されておりまして、淀川水系、木曽川水系など他の水系に比べて渇水に対する安全度が低い状況にございます。
  さらに、国土交通省が発行した「首都圏を取り巻く水事情」によりますと、全体として少雨傾向にある中で、近年の降雨状況を踏まえますと、現在の利根川水系では、河川の自流及びダムからの供給量が計画していた水量よりも二割程度減少しておりまして、渇水が発生しやすい状況にございます。
  こうしたことから、渇水に強い都市とするため、八ッ場ダム等による水源確保が必要であるというふうに考えております。
 

 
 ▼谷村委員
 取水の安定性に問題のある、課題を抱える水源が、今、八十二万立方メートルという説明がありました。八ッ場ダム等で水源確保を進めるわけですけれども、八ッ場ダムで東京が確保できる水源というのは四十三万立方メートルになるわけでございまして、まだまだ取り組みを、水源確保を推進していかなければならない状況にあります。
  渇水への対応については、地下水を活用すればいいのではないかとか、多摩地域においては一部地盤沈下が終息したのではないかという意見もありますけれども、これについて、地下水利用についての考え方をお尋ねいたします。
 
 ▼水道局長
 環境局の報告によりますと、地盤変動量は縮小しているものの、東京都の広い地域におきまして地盤沈下が継続しており、今後も揚水規制の継続が必要としております。また、渇水年は通常年に比較しまして地下水位が低下する傾向にありますことから、地盤沈下に配慮した地下水利用が望まれるとしております。
  一方、水質上の問題につきましては、多摩地区における一部の井戸からトリクロロエチレン、ジオキサンなどの有害な物質が検出されたことから、使用を休止してきた経緯がございます。
  こうしたことから、地下水は、今後とも地盤沈下や水質の動向に配慮しつつ、身近に利用できる貴重な水源として可能な範囲で活用していくものの、長期的な観点からすれば、安定的な水源として位置づけることは困難であるというふうに考えております。
 

 
 ▼谷村委員
 昭和三十九年の東京オリンピックの前にも大渇水があったといわれております。これから二〇一六年の東京オリンピックを目指していく上で、首都機能の集中しているこの東京で一たび同じようなことが起こったら大変な混乱が起こるわけでございまして、この首都東京で渇水によりどのような影響が想定されるのか、だれもがわかりやすいように、特に頑迷な人、頑迷な政党にもわかりやすいようにご説明いただければと思います。
 
 ▼水道局長
 渇水により大規模な減水や断水が発生いたしますと、家庭では、炊事、入浴及びトレイの使用に支障を来すなど不便な生活を余儀なくされることになります。このような状況が長期にわたる場合には、衛生状態も含め深刻な状況に至ることが考えられます。また、手術や人工透析の制約など医療活動への重大な影響も懸念されます。さらに、都市活動におきましては、水道を多量に使用する工場の操業停止やオフィスビルの機能不全など、首都に集中する企業活動の停滞が予想されます。
 

 
 ▼谷村委員
 今、最後に触れられました首都機能の停滞、それから国際的信用の低下等、また社会経済損失等々ありますけれども、世界の中の東京を目指していく中で、国際的信用の低下というのは致命傷になるわけでございます。
  そこでお尋ねいたしますけれども、世界の都市の人口一人当たりのダムの貯水量で比較の資料のある都市がございましたら、明示していただきたいと思います。
 
 ▼水道局長
 我が国は地形が急峻なために、河川の流水が瞬く間に海に流れてしまうなど、水利用を図るには不利な自然条件にございます。このため、ダムによって河川水を貯留することがより重要となっております。
  国土交通省の「目で見るダム事業二〇〇五」によりますと、人口一人当たりのダム貯水量は、東京を含めた首都圏では三十立方メートルとなっているのに対しまして、米国のサンフランシスコでは五百二十七立方メートル、ニューヨークでは二百八十五立方メートル、また韓国のソウルでは三百九十二立方メートルでございます。このように、首都圏における人口一人当たりのダム貯水量は、他の都市と比較して極めて少ない状況にございます。
 

 
 ▼谷村委員
 大変明確な世界の都市との比較をしていただきました。ソウルの十分の一、ニューヨークで九・五分の一、東京を含めた首都圏の人口一人当たりのダムの貯水量しかないという現状があるわけであります。都の水源確保の取り組みは決して過大とはいえないわけでございまして、二〇一六年オリンピック招致を踏まえますと、渇水に対する万全の備えが必要であるということはいうまでもありません。
  改めて、安定供給を目指した水源の確保に向けた御園局長のご決意を伺わせていただきたいと思います。
 
 ▼水道局長
 東京の水道は、一千二百万人の都民生活や政治経済、文化などを支える、いっときたりとも欠かせない重要なライフラインでございます。このため、渇水時におきましても安定的な給水が行えるよう、必要な水源を確保することが不可欠でございます。
  今後とも、安定給水を求める都民の要望にこたえ、都民の暮らしや首都東京の都市活動を支えるため、現在開発を進めている八ッ場ダムの建設促進など、安定的な水源の確保に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。
 
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■府中病院の東京ER
 
 ▼谷村委員
 続きまして、府中病院の東京ERについてお尋ねをいたします。
  平成十四年十二月に府中病院に東京ERが開設されて間もなく四年になります。この東京ERは、二十四時間三百六十五日、いつでも、だれでも、さまざまな症状の救急患者に適切に対応できる総合的な救急診療体制として整備されてまいりました。
  現在、救命救急センターを設置しているのは、墨東、広尾、府中の都立三病院でありますけれども、この開設前後、大幅に救急患者が増加していると聞いております。
  そこで、まず初めに府中病院における東京ERの四年間の実績とその評価についてお尋ねをいたします。
 
 ▼病院経営本部長
 府中病院の東京ERは平成十四年十二月に開設いたしました。開設した平成十四年度の救急患者数は年間延べ四万六千九百十三人でございました。その後、平成十五年度は五万百四十八人、十六年度は五万四千六百五人、十七年度は五万七千百七十八人となっておりまして、年々患者数が着実に増加してきております。東京ER・府中が近隣住民等に周知され、多摩地域における救急医療の提供に重要な貢献をしてきていることをあらわすデータと認識しております。
 

 
 ▼谷村委員
 府中病院だけでもこの三年間で救急患者数は一万人以上ふえているというデータを今お示しいただきました。多くの医療従事者が大変な激務の中、救急医療にかける熱意を持って業務に従事しておられることには最大の敬意を表したいと思っております。
  そこで、その東京ERの受け付け体制でございますけれども、平日あるいは土日も昼間は交換業務がきちんとした女性が出るわけですけれども、夜間になりますと、警備委託業者の職員、警備員さんが電話をとるわけですね。かけた側からしてみれば、府中病院はやっていないのかなというような誤解を招いたりしますし、一一九番の電話ですと、焦ったり急いだりしている人に対しては安心感を与えたり、あるいは落ちつかせたり、そういうノウハウを持ってやっているわけですけれども、警備委託会社の警備員さんがとった電話というのは、第三者的な感じに受けとめさせることもあるわけでございます。
  この警備委託業者の職員が受け付けをするのは、夜間の場合は仕方がないことなんでしょうか。委託業者は、救急患者や家族からの電話を受けた際にきちんと対応ができているのかどうか、この辺についてお尋ねしたいと思います。
 
 ▼病院経営本部長
 病院には、患者さんやその家族の方々ばかりではなく、業者や近隣病院、診療所などさまざまな発信者から電話が入りますので、それを院内各所に円滑に振り分けてつなぐ業務が必要となります。このため、各都立病院では、一般の外線電話はすべて電話交換機を通して院内各所につなぐ仕組みとなっており、日中においては電話交換業務の委託職員が、夜間はお話しのように警備業務の委託職員が電話をとって、院内各所につないでおります。また、夜間において警備業務委託職員がER受診にかかわる電話をとった場合には、速やかにER受付の看護師に電話を転送することを徹底してございます。
 

 
 ▼谷村委員
 きょうの産経新聞で、減った救急車出動というふうに出ております。東京都内の救急車出動件数が、ことし一月から十月、前年同期に比べ減少したと。このペースで推移すれば昭和五十一年以来三十年ぶりの減少となると。
  ことし一月から十月の救急車出動件数は五十六万一千四百二十九件で、前年同期比一万五千八百三十五件になっている、こういうデータが発表になっているわけですけれども、一一九番で救急車の出動を要請する理由として興味深いのが、なぜ一一九番で救急車の出動を要請するかというと、どこの病院に行けばよいかわからなかった、あるいは救急車で病院に行った方が優先的に診てくれそうなど、緊急性の低い通報が後を絶たない云々というふうに、こういった事例が紹介をされているわけですけれども、東京ERに電話をかけるという人は、一一九番に電話をするか、東京ERに電話をするかということを悩みながら、考えながら電話される方もいらっしゃると思うんです。救急車にするか東京ERにするかというぎりぎりの選択をされるぐらい、患者の容態によっては一刻を争うこともあるわけでございます。
  代表電話にかけると、警備委託業者が電話に出て、それからERの看護師さんが出てくるまで時間がかかるというケースも間々あるようでございまして、こういう状況がそのまま放置されますと大変な不安を感じさせるのではないかと思います。
  電話での待ち時間等、改善を図ることができないのか、その取り組みについてお願いいたします。
 
 ▼病院経営本部長
 府中病院では、ER受付の電話に電話応答装置を取りつけ、回線がふさがっている場合には音声案内が流れるようにしてまいりました。夜間、ERの受付が混雑している場合などに電話をお待たせする場合もあり、ご指摘のように患者さんに不安を感じさせることになりかねないと考えております。
  今後は、夜間、休日に電話でお待たせする件数など実態を調査した上で必要な対応を考えるとともに、現在、府中キャンパスにおいて進めております新病院の整備に当たりましては、ERの受け付け体制についても検討してまいりたいと考えております。
 

 
 ▼谷村委員
 ぜひ実態を調査していただいた上で、またERの受け付け体制についても、新しくできる多摩広域病院では検討していただけるということでございますので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 
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■下水道事業における環境対策
 
 ▼谷村委員
 下水道事業における地球温暖化防止対策についてお伺いいたします。
  首都圏人口は三千三百万人に達し、それに伴う温室効果ガス排出量は膨大なものがあります。東京都は、都庁全体で新たな削減目標を掲げた地球温暖化対策都庁プランを昨年八月に策定し、温暖化対策に取り組んでいるところでございますが、この下水道事業は一日五百六十万立方メートルの下水を処理していることから、水処理施設、汚泥焼却炉など多くの施設を抱えており、都内の電力使用量の約一%を消費、大量のエネルギーを消費しているわけですけれども、都の事業活動で排出する温室効果ガスのうち、約半分近くを下水道事業が排出しているという状況にあります。
  下水道局では、平成十六年九月にいち早く地球温暖化防止計画アースプラン二〇〇四を策定し、温室効果ガスの削減に積極的に取り組んでこられたわけですけれども、このアースプラン二〇〇四の目標と取り組み状況についてお尋ねいたします。
 
 ▼下水道局長
 アースプランでは、二〇〇九年度までに温室効果ガス排出量を京都議定書で示された一九九〇年度比六%以上削減を目標としております。
  取り組み状況でございますが、下水汚泥の焼却時に発生する温室効果ガスは、高温焼却することにより大幅に削減できることから、焼却炉の改良あるいは建設を行っております。また、再生可能エネルギーの活用として、森ケ崎水再生センターにおいてバイオマス発電や省水力発電などを行っております。
  これらの対策によりまして、計画期間の温室効果ガス目標削減量でございます十八万八千トンに対しまして、平成十七年度にはその四割に当たる約七万トンを削減しております。これは、二万ヘクタール程度の森林が吸収する量に相当いたします。
 

 
 ▼谷村委員
 大変ご努力をされているわけでございますが、さらに加えて、先月の新聞報道で、ソニーの新社屋で芝浦水再生センターの下水処理水を活用した熱利用事業を開始するという記事が報道されております。その実現に向けては、民間企業と連携したものでもありますので、いろいろご苦労があったかと思います。ぜひその熱利用事業の取り組み内容についてご紹介いただければと思います。
 
 ▼下水道局長
 この事業は、下水処理水の有する熱の有効利用を図ることを目的に、当局と民間による協働事業として実施したものでございます。
  通常、ビルの屋上などに冷却塔が設置されますが、この事業では、ビルで発生する排熱を、冷却塔ではなく、近接します芝浦水再生センターから送った処理水で冷却するという仕組みでございます。本事業の導入によりまして冷却塔に使用する水道水や電力が削減できることから、年間約二十二トンの温室効果ガスの削減を見込んでおります。
 

 
 ▼谷村委員
 今後もぜひ工夫を凝らして、他の民間との協働の可能性を追求していただきたいと思います。
  下水道局では、我が党の鈴木貫太郎議員が以前に取り上げました森ケ崎水再生センターのバイオマス発電事業などを実施しておられます。今後とも民間との協働事業を積極的に活用し、温室効果ガスの削減に向けて努力されることを期待するわけでございますが、アースプランは二〇〇九年度を目標年次にしておりますけれども、その目標達成に向けての今後の取り組みについてお尋ねいたします。
 
 ▼下水道局長
 目標達成に向けての取り組みでございますけれども、今後も、温室効果ガスの削減効果が高い汚泥焼却炉の高温化や水処理工程への省エネルギー型機器の導入、汚泥焼却炉の補助燃料として使用しております重油を温室効果ガスの排出量の少ない都市ガスへ転換するなどの施策を進めてまいります。
  また、全国初めての取り組みといたしまして、今まで焼却しておりました下水汚泥から炭化物を製造し、火力発電所のバイオマス燃料として売却する事業を平成十九年度から開始する予定で、現在建設中でございます。
  これからもアースプランを着実に推進し、地球温暖化防止に向けた取り組みを進めてまいります。
 

 
 ▼谷村委員
 どんどん成果を上げておられますので、それをどんどんPRしていただきたいと思います。
  風力、太陽光、バイオマスなどの再生可能エネルギーにより発電される電力は、二酸化炭素の排出量削減や省エネルギー効果といった環境付加価値を有しており、この環境付加価値を取引することをグリーン電力証書制度というわけですけれども、平成十六年第二回都議会定例会で、私、本会議の一般質問で都庁のライトアップを再開したらどうかという提案をさせていただきました。石原都知事は大変関心を示していただきまして、やりましょうという答弁をその場でしていただいたわけですけれども、そのとき試算していただいた一日の都庁のライトアップの費用というのが二万円程度かかるということでございまして、そして環境にもよくないということで、頑迷な政党からすぐ嫌み、嫌がらせ等々が寄せられたわけでございます。
  そうした状況の中で、森ケ崎水再生センターのグリーン電力証書制度を利用すれば、一日一回で二千円から三千円程度でできるし、環境に優しいということで、その年の十月一日、都民の日から、記念日に限って都庁のライトアップが再開されたわけであります。八月三十日には、オリンピックの国内候補地に東京が決まったということで、五輪の色でライトアップされました。また、昨年から、十月には乳がんの撲滅運動でピンクリボン運動というのがありますけれども、その時期には都庁がピンク色になっております。
  この森ケ崎水再生センターでの取り組みというのがいろんな形で都政に大きく反映されているわけでございまして、下水道局が取り組まれていることをどんどんPRしていただきたいと思いますが、その点について、局長、ご答弁をお願いします。
 
 ▼下水道局長
 温室効果ガス削減を初め、当局の環境負荷削減に向けた取り組みを紹介する「下水道局環境ガイド」を作成いたしまして、イベントや施設見学に来場されたお客様に配布するなどPRに努めております。
  また、下水道事業の透明性、信頼性を確保していくことを目的に、平成十二年度より環境活動に関する費用対効果を数値化いたしました環境会計を導入し、ホームページ等で公表しております。
  さらに、次世代を担う子どもたちの下水道に関する正しい知識と水環境に関する意識を高めるため、出前事業などの環境学習も実施いたしております。
  情報発信は、お客様に地球温暖化対策の重要性を理解していただくためにも、民間と協働した取り組みを推進する上でも極めて重要と考えております。また、ご指摘のグリーン電力証書制度についても、今後一層の活用に努めてまいります。
  お客様でございます都民の皆様だけではなく、民間企業にも地球温暖化防止の取り組みの輪を広めるため、下水道事業におけるさまざまな取り組みのPRに努めてまいります。
 

 
 ▼谷村委員
 アピールですので、局長、ぜひ明るくPRをお願いしたいと思います。
 
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■臨海副都心における防災・震災対策
 
 ▼谷村委員
 臨海副都心における防災・震災対策についてお尋ねいたします。
  第一分科会におきまして、我が党の伊藤興一議員より臨海部の安全・防災対策について質疑をし、十七年度臨海地域開発事業会計において大井北部陸橋の耐震補強工事が実施され、東京港臨海部において災害に強いまちづくりが進められていることを確認させていただきました。
  交通アクセスの飛躍的な向上により、臨海副都心は多くの企業が集まり、今や年間四千万人を超える人々が訪れております。今後、オリンピックの舞台としてふさわしい、世界に誇れるまちとなるよう、総仕上げの十年間、着実に開発を進めていただきたいと思います。
  そこで、臨海副都心内の建築物の安全・耐震対策について、進出事業者に対してどういう指導を行っておられるのか、確認をさせていただきたいと思います。
 
 ▼港湾局長
 臨海副都心内の建築物の安全・耐震対策といたしまして、東京都は、建築基準法その他法令による措置に加えまして、建築物の開発誘導指針である臨海副都心まちづくりガイドラインに基づきまして必要な対策を講じるよう、進出事業者に対して指導しております。
  指導の具体的内容でございますが、施設につきましては、一つには、建築物周囲の地盤改良や基礎ぐいの増強等の耐震・液状化対策を実施し、建築物の安全性を確保すること、二つ目は、共同溝からの電力ケーブル等の取り出し部につきまして、共同溝と同様の構造で整備し、ライフラインの確保を確実にすることなどでございます。
  また、就業者や居住者対策として、高層建築物につきましてヘリコプターの緊急離着陸場を整備し、屋上からの避難を可能とすること、また、災害時に備えまして、食糧、飲料水、医薬品等を備蓄し、帰宅困難者の生活を支援すること、こういった安全・耐震対策として万全の体制をとるよう指導しております。
 

 
 ▼谷村委員
 ありがとうございます。
  防災・震災対策というのは、ハード面の取り組みも重要でありますが、それ以上にといってもいいんでしょうか、ソフト面の取り組みも必要になってまいります。とりわけ臨海副都心においては、地域住民のみならず、進出している各企業、また、そこで働いていらっしゃる就業者の方々の役割が大変重要になってまいります。
  既に良好な都市環境の創出を目指し、諸課題に共同で対処するための場として、進出事業者等で構成されているまちづくり協議会というのが設置されております。このまちづくり協議会は、良好な都市景観の創出のための自主的広告協定の締結、運用を行っているほか、無料巡回バスの運行、にぎわい創出事業などに共同で取り組んでおられ、地域の事業者を束ねる団体として、こうしたまちづくり協議会の存在というのは、震災時の具体的な防災活動についても今後一層の強化が望まれるところでございますが、こうしたまちづくり協議会の活動を都として強く支援し、リードして、防災組織としての機能を強化することはできないか、ご答弁をお願いいたします。
 
 ▼港湾局長
 今後、臨海副都心の開発がさらに進展していく中で、ご指摘のとおり、地域の事業者、住民の主体的な防災活動がますます重要になってくると考えております。
  折しも、臨海副都心まちづくり協議会におきまして、本年五月に防災委員会が設立され、組織的な取り組みが開始されたところでございます。今後、防災用品の備蓄や発災時の避難経路の調整など、共通の課題について調査検討する一方、地域住民による防災組織との間で協議を進めることとしております。
  都としては、防災委員会の活動が軌道に乗りますよう、防災に関する情報やノウハウを提供するとともに、防災の観点を組み入れた持ち株会社によるエリアマネジメントの充実や都有施設の活用など、防災委員会の活動を積極的に支援してまいります。
 

 
 ▼谷村委員
 そこで、現在、臨海副都心では有明の丘広域防災拠点の整備が進められております。平成十七年度東京都臨海地域開発事業会計決算における臨海副都心用地処分収益の決算額四百二十五億六千七百万円余のうちにも、この有明の丘広域防災拠点用地として国に売却した処分代金が含まれております。
  臨海副都心が開発当初から防災という観点に立ったまちづくりを進めてこられたのは周知の事実でございますが、この臨海副都心全体が、首都圏全域を視野に入れた強力な防災拠点としての役割を担っていくことは、今後も求められているわけでございます。
  この臨海副都心のまちづくりに当たって、有明の丘防災拠点の位置づけと絡めて、今後どのような理念に基づいて防災・震災対策を進めるのか、お伺いいたします。
 
 ▼港湾局長
 臨海副都心におきましては、地震、高潮等の自然災害に備えた安全なまちづくりを進めるとともに、東京全体の安全・安心まちづくりに貢献することをまちづくりの基本方針としております。
  臨海副都心の防災支援活動の拠点としての役割を担う有明の丘は、国におきまして、首都圏における大規模な地震災害等に対する基幹的広域防災拠点として位置づけられているところでございます。このため、有明の丘は、隣接する港湾機能等を活用して、臨海副都心はもとより、広域的な災害対策活動の支援基地としての重要な機能を担うことになっております。
  具体的には、既に開業しております癌研有明病院を、災害時の後方医療を担う災害拠点病院として活用するほか、発災時の合同現地対策本部やヘリポート等の整備が進められております。
  今後とも、臨海副都心におきましては、国、地元区、進出事業者とも十分な連携を図り、災害等に対する高い安全性を確保するとともに、広域的な防災支援機能も有する防災モデル都市づくりを目指してまいります。
 

 
 ▼谷村委員
 今、防災モデル都市の構築を目指すという大変力強い決意をお伺いいたしました。臨海副都心は、かつては都市博でずっこけたりいたしましたけれども、もはやオリンピックの舞台として、都民のみならず全国あるいは全世界のリーディングエリアとならなければならないわけでございまして、さまざまな英知を結集して、多くの事業者や住民と連携して、世界に冠たる安全・安心なまちを積極果敢につくり上げていただきたいと思います。
 
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■地下鉄事業
 
 ▼谷村委員
 交通局経営計画における地下鉄事業についてお伺いいたします。
  決算説明では、都営地下鉄の経営状況につきましては、乗客数が伸びており、経常収支は赤字であるが、改善の方向にあるということでございました。大江戸線も全線開業から六年が経過し、そうした負担が一段落してきていることも、フローの面で収支が好転する大きな要因であるかと思います。
  しかしながら、ストックに目を転じますと、平成十七年度決算では、累積欠損金四千七百億円を超えております。今回、都営バス事業では、給料表の見直しという身を削る努力を行い、今後の経営安定化を図ることをしておりますけれども、同じ交通局の現業部門である都営地下鉄でも、こうした厳しい状況の中で経営の効率化に徹底して取り組むべきであると思います。
  そこで、平成十六年度を初年度とする三カ年の経営計画チャレンジ二〇〇四を策定しておられますけれども、平成十七年度における都営地下鉄の効率化計画の達成状況、そして平成十八年度を踏まえた三カ年の計画の達成見込みについてお伺いいたします。
 
 ▼交通局長
 まず、経営計画チャレンジ二〇〇四における平成十七年度の実施状況についてでございますが、事業執行の効率化としまして、新たに十二駅で駅業務を委託し、計三十一駅に委託を拡大したほか、大江戸線車両について、浅草線馬込車両検収所への統合や乗務員の勤務の見直しなどの業務の改善を行いまして、その結果として職員定数を百二十五人削減いたしました。
  また、超過勤務時間の削減による人件費の抑制や、設計段階でのコスト管理などによる経費の縮減にも取り組んだところでございます。
  また、平成十八年度におきましても、引き続き駅業務の委託の拡大などを進めながら、三カ年の目標である三百四十七人を上回る常勤職員の定数削減の達成を目指すとともに、特殊勤務手当の見直し等による人件費の抑制などに取り組んでおります。
  こうしたことによりまして、効率化計画に掲げた各種の目標を平成十八年度までに達成できる見込みでございます。
 

 
 ▼谷村委員
 都営地下鉄の経常収支が黒字に転換するなどとも報じられております。単年度収支が黒字になって初めて累積欠損金を減らすスタートラインに立つわけですけれども、積極的な増収対策、それから効率化を進め、大幅な黒字を確保することによって、一日でも早く累積欠損金を解消するよう努めていただきたいと思います。
  現計画に引き続く平成十九年度を初年度とする次期経営計画が極めて重要になってまいりますけれども、この次期経営計画の策定などを通じて地下鉄事業の財務体質を改善し、長期的に安定的な経営基盤を確立することに向けての局長のご決意をお伺いしたいと思います。
 
 ▼交通局長
 都営地下鉄の経営は、今後とも少子高齢化や低成長経済が続く中で、これまでのような乗客数の増加が将来的には期待できない一方で、財務面では、単年度の経常収支では、委員から今お話しございましたように、改善は進んでいるものの、ストックの面ではいまだ膨大な累積欠損金を抱えるなど、このままでは厳しい状況が続くものと見込まれるところでございます。
  こうした状況の中、平成十九年度を初年度とする新たな経営計画の策定に当たりましては、中長期的な視点に立ちまして、社会経済環境の変化を十分見きわめながら、公営企業として民間並みの思い切った経営改善に取り組むことを基本的な考え方の柱として、現在検討を進めております。
  このため、これまで以上に徹底したコストの削減や事業執行の効率化、職員定数の削減、収入の確保などを進めることによりまして、一日も早い累積欠損金の解消に向けて、財務体質の改善を図り、長期的には安定的な経営基盤の確立を目指していく決意でございます。
 
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■中央卸売市場の情報化
 
 ▼谷村委員
 中央卸売市場の情報化についてお伺いいたします。
  中央卸売市場の情報化会計では、ここ数年の推移を見ますと売上高は右肩下がりで減少し、卸・中卸業者の経営は厳しい状況に置かれております。
  最近の流通環境の変化を見ますと、他の流通分野では、ITを利用した電子商取引や販売促進活動が活発化しております。また、食品流通分野においても、量販店、外食産業等では、ITを駆使し、業務の効率化や流通コストの削減、さらに高付加価値化を目指した経営に取り組み、競争力強化を図っております。
  物流の一大拠点でもあるこの卸売市場においては、情報化を積極的に推進することが、卸売市場の競争力強化、そして活性化へとつながる大きなかぎになると思いますが、中央卸売市場では情報化についてどういう取り組みを行っておられるのか、その現状について、また認識もあわせてお伺いいたします。
 
 ▼中央卸売市場長
 中央卸売市場の情報化におきましては、卸売業者と出荷者等による販売情報等の交換や、卸売業者と中卸、売買参加者との間のインターネットを利用した受発注など、取引業務の情報化の取り組みが行われてございます。
  しかし、これらのシステムは、産地から小売まで一貫して利用できるシステムになっておらず、また、卸売業者と中卸業者の相互の情報連携が進んでいないなど、利用は一部にとどまってございます。こうしたことから、卸売市場を経由する生鮮食料品流通における情報化は、他の産業分野に比較しておくれていると認識してございます。
  この要因といたしましては、生鮮食料品は現品確認を必要とされるものが多く、規格化が困難でシステム化になじみにくいこと、また、出荷者が全国に及ぶ一方で、卸売業者、中卸業者、売買参加者及び買出人等、多数の市場関係者が多岐にわたる取引を行っていることから、一貫したシステムを構築することが難しいことなどが挙げられます。
 

 
 ▼谷村委員
 そこで、新たな流通環境の変化に対応できる市場として、豊洲新市場の整備計画も着々と進んでいるわけですけれども、この豊洲新市場の整備に当たっては、情報化に対してどういう取り組みを考えておられるのか、これが一つ、そしてもう一つ、開設者として必要な投資というのは、積極的に行うべきは行っていかなければいけないと思いますが、この二点、お尋ねをしたいと思います。
 
 ▼中央卸売市場長
 豊洲新市場では、流通分野における情報化の進展に対応いたしまして、場内LANなど光ファイバーケーブルを用いた情報インフラを整備することとしてございます。
  また、築地市場において課題となっております荷の搬出入の迅速化や場内車両混雑の解消を図るため、市場内の商品管理システムや物流管理システム、車両誘導、駐車場管理システムを構築することを検討してございます。
  これらのシステムに産地や卸売業者などが持つ出荷情報や取引情報を反映させていくことで、新しい中央卸売市場の情報化にふさわしい、より効率的な物流システムの実現に努めてまいります。
  開設者として必要な投資についてでございますけれども、生産、消費両サイドのニーズに的確に対応し、卸売市場を活性化するためには、市場における情報化の一層の推進は不可欠と考えてございます。そのため、今年度、板橋市場で場内の情報基盤となるLAN回線を整備することとしてございます。今後、他の市場におきましても、業界と調整しながら、情報化の推進に必要な情報基盤を適切に整備してまいります。
  また、豊洲新市場で構築いたします商品管理システムや物流システム等の内容と成果を他の市場にも普及できるよう、今後取り組んでまいります。
 
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