きたしろ勝彦(自民党) |
■臨海副都心を支える財政基盤 |
▼きたしろ委員 それでは、都議会自民党を代表して、最初の委員会質疑をさせていただきます。 危機的な状況にあった都財政も、二次にわたる財政再建推進プランに全力で取り組んできた結果、平成十七年度決算では、実質収支が十六年ぶりの黒字に転換するなど、念願の財政再建にめどをつけることができました。これに安住することなく、いかなる社会状況の変化にも柔軟に対応できるような盤石な財政基盤を確立していく必要があります。 その中で公営企業会計は十八年度東京都予算総額の約一六%を占めており、公営企業の経営改革なくしては、将来にわたる健全な財政は実現しないといっても過言ではありません。公営企業は、本来の目的である公共の福祉を増進することはもちろん、民間企業と同様、経済性を最大限に発揮して、都民に信頼されるサービスを提供していく必要があります。 そのような観点から質問をいたします。 最初に、臨海副都心開発についてお伺いいたします。 臨海副都心開発を支える財政基盤の問題について伺います。 二〇一六年夏季オリンピックの主要施設が予定されている晴海地区や有明北地区などの臨海地域は、今後さらなる発展の可能性を秘めている地域であります。中でも、臨海副都心における環境に優しい開発の進展こそが、臨海地域全体の発展を左右するといっても過言ではありません。来週二十四日の金曜日には、晴海通りの延伸部の供用が開始されます。これによって銀座と臨海副都心が一直線で結ばれ、交通アクセスが格段に向上するなど、臨海副都心はますますポテンシャルの高まりが期待できるエリアとなってまいります。 先日の第一分科会の質疑で、私は、オリンピック招致に向けて、臨海副都心を含む臨海地域全体について、世界に恥じない魅力あるまちづくりの重要性を訴えました。私は、まちづくりに当たっては、それを支える財政基盤をしっかりと構築していくことが何よりも重要であると考えております。さきの分科会質疑でも、港湾局長からは、まちづくりの重要な要素として、開発を支える財政基盤の安定化についてご答弁をいただいたところです。 そこで、十七年度決算審査を総括するに当たり、開発を支える財政基盤の問題についてお伺いいたします。 ことし三月に都が発表した「財政基盤強化プランの更なる取組み」では、都市基盤施設整備に係る都債、総額五千二百億円という都債について、新たな借りかえをせずに早期に償還を達成するとしております。臨海会計の十七年度決算を見ますと、この計画に基づいて、実際に借りかえをせずに七百億円を超える都債の償還を開始しています。 そこで、新たな借りかえをせずに都債を償還することにより、会計上どのような効果があるのか、まず最初にお伺いいたします。 ▼港湾局長 今回の「財政基盤強化プランの更なる取組み」においてお示ししている新たな都債の借りかえを抑制することによりまして、第一点は、借りかえによる金利負担、約二百十億円を回避できることになります。これは、当初想定していた総金利支払い額の約二八%に相当する金額でございます。第二点は、総額約五千二百億円の都債のうち、今年度から五年間でその七割を償還できることになります。第三点目は、平成十四年三月策定の財政基盤強化プランにおきまして、平成二十九年度に完済する予定であった都債を、三年前倒しし、平成二十六年度までに完済することができるなどの効果がございます。財政基盤の安定化に大きく寄与するものでございます。
▼きたしろ委員 都債の当初完済予定を三年前倒すほか、新たな金利負担の発生を抑えるなど、「財政基盤強化プランの更なる取組み」で示した取り組みに早速着手しているとのことで、大変頼もしく感じているところであります。 さらに、十七年度決算では、借りかえをせずに都債償還を開始しながら、なお千百八十億円の内部留保金を確保している状況が明らかになっております。この千百八十億円という金額は、十六年度決算当時の内部留保金が約千四百五十億円だったことを考えても、全く遜色のない金額だと私は思います。 そこで、十七年度決算における都債の早期償還と一定額の内部留保金の状況について、都としてどのように評価をしているのか、お伺いいたします。 ▼港湾局長 平成十七年度決算におきましては、土地の売却件数が前年度を上回るなど、引き続き土地処分が円滑に進んでいる状況でございます。 今回、都債の大幅な償還を始めながらも、一千億円を超える内部留保金を確保できたのも、開発の進展に伴い、土地処分が進み、会計上一定の収入を確保することができた結果であると認識しております。
▼きたしろ委員 ただいまのご答弁にもあったように、開発の進展と、それに伴う土地の処分が促進されることにより、会計上の収入も増加し、都債の早期償還が可能となることがよくわかりました。 しかしながら、今後の事業を着実に進めていくためには、これまで以上の努力なしには、総額五千二百億円に及ぶ大量の都債を償還することはできません。「財政基盤強化プランの更なる取組み」では、土地処分を促進するため、さまざまな処分方策が掲げられています。財政基盤の安定化のためにも、また開発の着実な進展のためにも、土地の処分を促進するための取り組みが不可欠であると思います。 そこで、「更なる取組み」において示した方策を中心に、土地処分の促進に向けた都としての取り組み状況をお伺いいたします。 ▼港湾局長 「財政基盤強化プランの更なる取組み」におきまして、具体的な土地処分策として、まず第一点は、不動産の証券化、流動化が進む中で、特定目的会社等を活用する事業者の土地購入を促進するよう、その足かせとなっている転売禁止期間を撤廃したことでございます。二つ目は、これまでの提案内容による選定に加えまして、価格競争性を導入したことでございます。三点目は、事業者の初期投資負担額を軽減するため、分割支払いにおける利息を引き下げたことでございます。四点目は、土地区画の規模を企業のニーズに応じまして弾力的にすること、この四つを挙げております。 このうち、一点目と二点目の転売禁止期間の撤廃と価格競争性の導入は今年四月から、三点目の分割支払いにおける利息の引き下げは、今年七月から実施しているところでございます。 また、区画の弾力化につきましては、今年度末を目途としております青海地区北側の公募開始にあわせて実施できるよう、現在、事業者ニーズを踏まえ、区画ごとの分割の可否などの課題を検討しているところでございます。
▼きたしろ委員 三月に予告していたさまざまな取り組みが既に導入されているとのことです。施策の効果があらわれて、新たな進出事業者が決まることを期待する意味で、続けてお伺いさせていただきます。 土地の処分促進と財政基盤の安定化に向けたさまざまな取り組みが進む中、今後の臨海会計の収支見通しについて都としてどのように考えているのか、お伺いいたします。 ▼港湾局長 現在、不動産市況は都心部を中心に活発化してきておりまして、臨海副都心におきましても、公募区画を初めとして、用地に対する需要に強い手ごたえを感じているところでございます。 臨海地域開発事業会計の収支見通しとしては、こうした力強い不動産市況を踏まえながらも、土地の処分収入につきましては、事業者からの具体的かつ強い引き合いや問い合わせ状況を勘案して、手がたくこれを計上し、処分収入の確保を図っているところでございます。 都といたしましては、今後の景気動向や開発の状況の変化にも弾力的に対応しながら、先ほど述べました「財政基盤強化プランの更なる取組み」に定めるさまざまな土地処分方策を活用しまして、開発を着実に進め、都債の早期償還を確実に実施してまいります。 また、増収増益策とあわせて経費の見直し策にも着実に取り組むことにより、開発を進めるための資金収支をより強固なものとし、財政基盤を万全なものにしてまいります。
▼きたしろ委員 土地処分の促進による都債の大量償還の実現、そして、その結果として財政基盤が安定化し、臨海会計の収支見通しが立っていく過程がよく理解できました。 開発の推進に向けて、土地処分の促進と財政基盤の安定化とが車の両輪となって一層進んでいくよう、都としての万全の取り組みを強く望むものであります。 そこで最後に、今後のオリンピック招致活動を見据え、ますます発展の期待が高まる臨海副都心について、これからどのように開発を進めていくのか、都としての見通しをお伺いいたします。 ▼港湾局長 臨海副都心の開発につきましては、都として、引き続き進出事業者との連携を図るとともに、今後は、持ち株会社が担うエリアマネジメントを駆使しまして、地域としての機能や魅力を向上させるなど、さまざまな方策を複合的に取り入れながら開発を進めてまいります。 こうした取り組みによりまして、臨海副都心を多様な企業が活動する躍動感、さまざまなイベントが展開し多くの来訪者が訪れるにぎわい、緑に囲まれた、すぐれた水辺環境がもたらす潤いなど、都市として成熟した世界に誇れるまちに育ててまいります。 また、こうしたまちづくりへの取り組みが、今後のオリンピック招致に向けて、東京を魅力ある都市として世界にアピールすることにつながっていくものと確信しております
▼きたしろ委員 臨海副都心のまちづくりも、開発から既に十八年目を迎え、今後は十年をかけて最後の総仕上げを行う段階に来ております。これまでのまちづくりの成果を踏まえながらも、ここで青海地区北側と有明北地区を中心とする開発を着実に行わなければ、臨海副都心の開発が成功したとはいえません。それほど重要な時期を迎えているわけであります。 私は、オリンピック招致活動を契機に、臨海副都心の開発が進展することを期待するものですが、同時に、臨海副都心開発そのものが、成熟都市東京のポテンシャルを象徴することにより、東京を世界にアピールし、オリンピック招致活動を後押しするまちづくりとなることを望んでおります。 開発の総仕上げに向けて、都がしっかり取り組むことを強く要望して、そして局長の答弁がそのまま実現に向かうようにお願いして、次の質問に移ります。
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■中央卸売市場事業 |
▼きたしろ委員 次に、中央卸売市場についてお伺いいたします。 既にニュース等で報道されているように、北朝鮮で十月に核実験が行われました。このような北朝鮮の行動は、我が国の安全保障に対する脅威が倍加したものであって、断じて容認することはできません。 この対抗措置として、十月十三日、政府は、閣議決定により、北朝鮮からのすべての品目の輸入等を禁止しました。さらに、十一月十四日には二十四品目の輸出禁止が閣議決定をされたところです。北朝鮮からの主な輸入品の一つに食料品があり、禁輸による経済制裁を実効あるものにするためには、生鮮食料品の流通を担う中央卸売市場が適切に対応していく必要があると考えます。 さきの第一分科会で我が会派の高木けい議員もお尋ねしたところですけれども、改めてお伺いいたします。 北朝鮮産生鮮食料品の市場流通について、何点かお伺いいたします。 平成十七年における東京都中央卸売市場の水産、青果物取扱実績はどれくらいあって、そのうち北朝鮮産品はどれくらいあるのでしょうか。また平成十八年には北朝鮮産品の取り扱いがどのような状況になっているのでしょうか、お伺いいたします。 ▼中央卸売市場長 平成十七年における東京都中央卸売市場の取扱数量及び金額は、水産物部で六十五万トン、金額にして五千三百億円、青果部で二百二十二万トン、金額では五千百億円でございまして、水産、青果合計で一兆四百億円となってございます。 このうち、北朝鮮産品は、水産物部で、ウニ、アカガイ、シジミなど千百トン、金額にして八億八千万円、青果部では、マツタケなど七十六トン、金額にして二億八千万円でございまして、合計は十一億六千万円、全市場総取扱金額の〇・一%でございます。 平成十八年一月から九月までの北朝鮮産品取扱実績は、水産物部で四百八十トン、青果部で二十三トンでございまして、昨年に比べ、水産物部、青果部とも流通量は減少してございます。
▼きたしろ委員 卸売市場全体の取り扱いに占める割合は少なく、また、ことしは昨年に比べ流通量が減っているとのことですが、北朝鮮産品が市場を流通していることがわかりました。今後は、輸入禁止措置がとられたことで、卸売市場を流通する北朝鮮産品はなくなると思いますが、輸入禁止後、違法に国内に入ってくるものや、中国や韓国など第三国経由で迂回輸入されるものがあれば、経済制裁の効果は上がりません。東京の中央卸売市場は、日本最大の規模を有しており、都の動向が今回の政策の成否にかかわってくるとともに、他都市の中央卸売市場に与える影響も大きいと考えるところです。 今回の輸入禁止措置を受けて都はどのような対応をしたのか、お伺いいたします。 ▼中央卸売市場長 中央卸売市場は、輸入禁止措置の徹底を図っていくため、都の市場関係者に対し、国の方針に従い、北朝鮮産品について取り扱わないこと、また、第三国を経由した迂回輸入防止に万全を期すことを説明会や文書により周知し、注意喚起したところでございます。 さらに、各場の売り場におきましては、原産地表示等の確認を重点項目として巡回指導等を行ってございます。 また、全国の中央卸売市場に対しましては、全国中央卸売市場協会を通じまして、北朝鮮産品の取り扱いについて適切な対応を行っていくことを呼びかけたところでございます。
▼きたしろ委員 他の中央卸売市場に対する働きかけを含む都の対応はわかりました。これからも、他の卸売市場と情報交換をしながら、しっかりと対応してもらいたいと思います。そしてまた、より厳正な取り組みを行い、北朝鮮産品が流通しないようお願いをしておきたいと思います。 この問題では、今後、北朝鮮産品が、原産地を偽って、中国など第三国を迂回して輸入されることが懸念されるところであります。北朝鮮産品の市場内流通を防止し、国の経済制裁を成功させるために、今後、迂回輸入の問題について都はどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 ▼中央卸売市場長 国は、原産地を偽装した迂回輸入を防止するために、十月十四日以降、中国やロシアなどからの輸入農水産品には、税関で原産地証明などにより原産地を厳正に確認することとしたほか、中国政府に対して、マツタケなどの中国産農水産品の対日輸出の際に、中国産であることを示す原産地証明を添付するよう要請するなどの措置を行ってございます。 中央卸売市場におきましても、市場から迂回輸入を排除するため、今後、原産地表示に係る特別調査などを実施し、輸入農水産品に関する適正表示が行われるよう、卸売業者等を指導してまいります。 また、国等の関係機関や市場内業者等との連携により情報を把握する中で、原産地を偽装したものが確認された場合は、当該品の販売禁止や回収等の措置を行うほか、万一市場内業者自身が北朝鮮産品の偽装表示を行って取引をした場合は処分を行うなど、厳格な姿勢で北朝鮮産品の市場内流通防止に努めてまいります。
▼きたしろ委員 北朝鮮に対する対応は、国が行うだけでなく、都としても率先して進めていくべきであると考えています。都民に生鮮食料品を供給する流通の一大拠点である中央卸売市場が、この問題について前向きに取り組んでいただけることは大変結構なことであります。ぜひとも、今答弁された内容をきちんと行っていただき、全国に範を示していってほしいとお願いしておきます。 中央卸売市場では日々活発な取引活動が行われております。これは、生鮮食料品の安定供給あるいは経済の活力という面から見ればまことに好ましいことでありますが、大量の物と人が行き交う中央卸売市場は、何も対策を講じなければ、環境に大きな負荷を与える存在となりかねません。 市場での活動が行われていく上では、大量のエネルギーが使われ、大量の廃棄物が出るものと思われますが、東京都が設置する中央卸売市場としては、こうした環境負荷を最低限に抑制していくことが必要であると考えます。 そこで、中央卸売市場の環境対策について何点かお伺いいたします。 中央卸売市場では、大量の自動車が使用され、食品の鮮度を保つための冷蔵冷凍機器も多いと聞いております。大量のエネルギーが消費され、CO2が排出されていることは容易に想像できますが、中央卸売市場における温室効果ガスの排出の状況はどうなっているのか、またその削減に向けてどう取り組んでいるのか、お伺いいたします。 ▼中央卸売市場長 中央卸売市場における平成十六年度の温室効果ガスの排出量は、二酸化炭素に換算をいたしますと約七万六千トンでございます。中央卸売市場における温室効果ガスの削減を図るため、昨年度、地球温暖化対策都庁プランに基づき、平成十七年度から二十一年度までの五カ年で、温室効果ガス排出量の七・八%削減を目標とした中央卸売市場地球温暖化対策推進計画を策定したところでございます。 現在、この計画に基づきまして、市場内で用いられる小型特殊自動車の電動化や、省エネルギー型照明機器への更新などの取り組みを市場関係事業者とともに進めているところでございます。 その結果、平成十七年度は、前年度に比べまして二・八%の排出量削減を果たしたところでございまして、今後も引き続き市場関係業者の協力を得ながら、一層の温室効果ガスの削減に取り組んでまいります。
▼きたしろ委員 CO2というのは、地球温暖化だとか地球規模という意味から、人類の生存にもかかわる問題ですので、ぜひその辺のところは注意をしていただきたいと思っております。 現在のところ、温室効果ガス排出削減の取り組みは進んでいるようではありますが、中央卸売市場が温室効果ガスを大量に排出しているという事実を忘れず、引き続き削減対策にしっかり取り組んでもらいたいと思います。 また、中央卸売市場には、公的施設として、温室効果ガス削減について、他の事業者などを先導する取り組みも行ってほしいと考えております。 その一つが再生可能エネルギーへの取り組みであります。再生可能エネルギーの導入自体には、コスト面など難しい課題があると聞きますが、中央卸売市場には、市場の特質を生かした再生可能エネルギーへの取り組みがあると思います。中央卸売市場で発生する野菜くずなどの食品廃棄物は、再生可能エネルギーの一つであるバイオマス発電のエネルギー源として活用が可能であります。 中央卸売市場として、バイオマス発電にどのように取り組もうとしているのか、お伺いいたします。 ▼中央卸売市場長 バイオマス発電への取り組みとしては、平成十五年から築地市場で、また本年から大田市場で、場内で発生する野菜くず等を、バイオマス発電を行う民間事業者へそれぞれ原料として供給してございます。 これまでの取り組みを通じて明らかになった課題といたしましては、質のよい発電原料を供給するためには、ごみの分別徹底が必要であること、処理経費が一般の廃棄物処理経費に比べて割高となる場合は、原料供給を継続していくことが困難であることなどが挙げられます。 今後、築地、大田の両市場において、現在行っている原料供給が円滑に継続できるよう、ごみの分別の徹底を図りますとともに、バイオマス発電の技術の進展状況や処理コストなどの情報収集に努め、それを他市場にも提供することなどによりまして、取り組みを促進してまいります。
▼きたしろ委員 環境問題に関しては、温室効果ガスと再生可能エネルギーへの取り組みをお伺いいたしました。この二点以外にも、市場内の大気環境の改善、リサイクルの推進、騒音や臭気など、対応すべき環境問題は数多くあるように思います。 そこで、今後、中央卸売市場としては、環境に与える負荷を低減させるためにどのように取り組んでいくのか、全体的な取り組み方針をお伺いいたします。 ▼中央卸売市場長 中央卸売市場は、生鮮食料品の大規模な物流拠点であることから、自動車による排気ガスの排出や廃棄物の発生、電力消費などの面で環境に負荷を与えており、その低減を図ることは重要な課題であると認識しております。 環境負荷の低減を図るためには、明確な目標を示し、計画的に対策を進めることが必要でございます。こうした考え方に立ちまして、市場内で新たに使用する小型特殊自動車を電動車または低排出ガス車に限定する条例改正を行ったほか、温室効果ガスの削減に向けた五カ年の計画を策定したところでございます。 また、豊洲新市場におきましては、太陽光発電の導入を検討するとともに、冷蔵冷凍車のアイドリングをとめるための外部電源装置の整備や、場内搬送車両の電動化も推進してまいります。 今後とも、市場関係業者の協力を得ながら、これらの対策を推進し、積極的に環境負荷を低減する取り組みを進めてまいります。
▼きたしろ委員 中央卸売市場として積極的に環境対策に取り組んでいくということでありますけれども、ぜひとも、オリンピック招致にとらわれず、地球環境保護としても、外部に対して模範となるような取り組みを進めていただきたいと要望して、卸売市場については終わります。
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■交通事業 |
▼きたしろ委員 次に、交通局関係についてであります。 私は、警視庁警察官が社会人としてのスタートです。そのときには、社会に役立つ仕事をしたいという熱い使命感に燃えておりました。現在に至るまでこの使命感は忘れておりません。そうした意味で、職員の皆さんも公務員としての使命感を忘れず持っていただきたいと要望しておきたいと思います。 そこで質問です。 都営バス現業系職員の給料表の見直しについてお伺いいたします。 この問題は、去る第三回の定例都議会において、我が会派の代表質問で取り上げたところですが、交通局長からは、都営バスの今後の厳しい経営見通しから、給料表の見直しについて早期に決着を図る旨の答弁をいただきました。その後間もなく、十月に労使合意が図られたと伺っています。 これまで、都の現業職員の給与は一律に決められていた状況の中で、都バスの現業職員だけを見直すことは過去に例のないものであり、労使ともに苦渋の判断だと思います。そしてまた、労使の英断に対して心から敬意を申し上げたいと思います。 しかし、これは、現在も一日当たり約五十七万人もの利用者がある都営バスを維持存続させるためには、避けて通ることのできない改革であったと思います。経営体質の改善という長年の懸案を解決し、今後の事業の安定化に向けて道筋をつけられるとともに、七年ぶりにバス運転手の採用再開にこぎつけられたことを高く評価いたしたいと思います。 そこで、今回、バス事業現業職員の給料表の見直しについて、改めて何点かお伺いいたします。 私も、区議会議員時代から、現業職の公務員の高額給与に関し、しばしば意見を述べてきたところであります。美濃部革新都政の時代に、民間でもできる労務関係等の現業職の臨時職員等が、ばらまきともいえる給料表二表の公務員になった事実があります。バス事業は典型的な労働集約産業で、支出に対する人件費の割合が大変高いと聞いております。 平成十七年度の決算の資料にバス事業の人件費が示されております。経常費用に占める人件費の割合について、平成十七年度決算を含めて、過去三年間の推移をお示しください。また、それに変化があれば、主な理由について説明をお願いいたします。 ▼交通局長 都営バス事業における経常費用全体に占める人件費の割合について、お尋ねの平成十七年度決算を含め、過去三カ年で申し上げますと、平成十五年度は七四・七%、平成十六年度は七三・六%、平成十七年度は六九・八%なっております。 ご指摘のとおり、バス事業の費用の構成は人件費の占める割合が高くなっておりますが、平成十二年度から正規職員の採用を停止する一方、管理の委託の拡大などを行いまして、人件費の削減を図ってきたことにより、その割合は徐々に低下してきております。
▼きたしろ委員 労働集約的な産業では、その費用の大宗を占める人件費を削減することが経営の改善には最も効果的であると考えます。都営バス事業においても、管理の委託を導入するなど、人件費の削減に努めていることが理解できました。 しかしながら、平成十七年度決算では、いまだに経常費用のうち約七〇%が人件費であるということです。管理の委託拡大により、人件費の割合が減ったということですが、委託することにより、当然、委託に伴う経費がふえていることと思います。 この管理の委託の概要と経営改善の効果額について、平成十七年度ではどのようになっているのか、お伺いいたします。 ▼交通局長 都営バス事業では、経営効率化策の一環としまして、平成十五年度からダイヤ、運賃等の決定権を留保しながら、運行業務全般を外部に委託する管理の委託方式を実施してきております。平成十七年度におきましては、杉並、臨海の二支所で十九路線を委託しましたが、これは、全百三十八路線のうち一四%に当たる状況となっております。 この管理の委託による経費削減につきましては、直営で運営した場合の人件費等と委託金額との差で算した場合には、平成十七年の決算では、約七億八千万円程度経営改善に寄与しているところでございます。
▼きたしろ委員 交通局が取り組んできた管理の委託においても、経営の改善に一定の効果があったことがわかりました。一般に人件費を削減していくためには、業務を委託し職員を減らしていく方法と、給与水準を引け下げ人件費そのものを減らしていくという二つのやり方が考えられます。管理の委託は、サービス水準を維持しながら、経営の効率化を図る上で有効な手段であると考えられます。 今回、管理の委託に加えて、給料表を見直した理由と、その内容について、改めて詳しく説明をお願いいたします。 ▼交通局長 ただいま申し上げましたとおり、これまで、管理の委託等による経営効率化を進めてまいりましたが、都営バス事業は依然として赤字基調から脱却できず、また、今後の鉄道開業等の影響によりまして、このままではさらに厳しい経営状況に陥ることが見込まれるところでございます。 したがいまして、バス事業の経営改善を図るためには、さらに思い切った人件費の削減が不可欠でありまして、今回、民間バス事業者との給与水準の格差やバス事業の将来収支等を総合的に考慮しまして、民間との格差が大きいバス運転手などの現業系職員に適用する給料表を見直すこととしたものでございます。 その具体的な内容につきましては、平成十九年、来年の四月一日より、現業系職員の給料表を一〇%引き下げ、新規採用職員に適用することとしておりまして、また、在職中の職員については、当初の十年間は暫定給料表を適用する等の経過措置を講じまして、その後は、本則である一〇%引き下げた給料表を適用することとしております。
▼きたしろ委員 今回の給料表の見直しは、民間との給与格差と都営バス事業の将来の収支を総合的に勘案して実施したとの説明でありました。都営バスは、少子高齢化の一層の進展や地下鉄十三号線の開業などの鉄道網の整備により、乗客数の減少が避けられない厳しい経営環境にあると思います。 そのような中、経営体質を改善し、収支の均衡を図ろうとする努力を多とするものですが、今回の見直しは人件費の軽減にどの程度の効果をもたらすのか、お伺いいたします。 ▼交通局長 今回の給料表の見直しによる効果額につきましては、初年度の平成十九年度では、経過措置を講じることから約三億円程度となりますが、順次逓増しまして、経過措置の終わる平成二十九年度には約十二億円程度を見込んでおります。 今回の措置は、給与カットのように一時的なものではなく恒久的な対策でありますので、この後も増加し、将来にわたって削減効果があらわれるものとなっております。
▼きたしろ委員 確かに、給与が下がるというのは、だれにとっても嫌なことであるし、本当に家族にとってもつらいことだと思うんですけれども、そういった意味でよく英断をされたと、労使ともに私は改めて感謝を申し上げたいと思います。 交通局だけではなくて、東京都の職員の中にも、現業職というものが改めてこれから問題になる可能性もあるかと思うんですけれども、ぜひとも、その辺のところも含めて、きょう、交通局関係以外の方もいろいろとお話を聞いておいていただきたいと思います。 ところで、都営バスの事業の経営に関しては、不採算路線の存廃がよく議論になります。現在、営業収支ベースでは、黒字路線が全体の三割で、赤字路線が七割という厳しい状況にあると伺っていますが、私は、不採算であっても、地域にとって必要な路線は、都民の足として基本的には維持していかなければならないと考えています。 今回の見直しにより、こうした路線の維持も含めて、都営バスが安定的な経営ができるようになったと考えるものですけれども、ご所見をお伺いいたします。 ▼交通局長 都営バスの経営は、このままでは、今後乗客数がさらに減少するなど厳しい状況が続くと見込まれますが、今回の給料表の見直しと、他の効率化策をあわせて着実に実施することによりまして、中長期的には経常収支の安定的黒字化が達成できる見込みでございます。 また、同時に、地域に必要な路線の維持を含め、都民の足を確保するなど、将来にわたり公営としての事業運営を推進していくことができるものと考えております。 今後とも、都営交通の使命、役割を十分認識しながら、バス事業の経営改革に向けて積極的に取り組んでいく決意でございます。
▼きたしろ委員 今後、さらなる高齢化の進展に伴い、都民に身近な都営バスの果たす役割は重要となり、都民の都営バスに対する期待もさらに大きくなるものと考えております。給料表の見直しは、バス事業の経営改善に寄与するものであり、安定的経営に向けた大きな一歩となると考えております。これにより、効率化をすべきところは積極的かつ大胆に実施し、公営企業としての経済性を発揮するとともに、都民の足をしっかりと守るという公共性を両立させるべく不断の努力をお願いいたし、質問を終わります。
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