平成17年度各会計決算特別委員会 委員会質疑

原田恭子(ネット)
■温暖化対策
 
 ▼原田委員
 地球の温暖化対策についてお伺いします。
  二〇〇二年に策定された環境基本計画には、二〇一五年までに、熱帯夜の発生を現状の三十日から二十日程度とすると目標を立てていますが、二〇〇五年度までの数年の平均を見ると、三十日前後で推移しており、目標達成は容易なことではないことを物語っていると思います。
  都は、平成十七年度に単年度事業として、環境局は小中学校、教育庁は都立高校、養護学校の校庭の芝生化の試行事業を行いました。この取り組みは、学校という地域の身近なところでの取り組みということもあって、子どもたちの体に優しい環境づくりと、環境教育の一環としても意義ある取り組みだといえます。
  加えて、下水道局、建設局などの連携で行った屋上緑化、壁面緑化、保水性舗装など、ヒートアイランド対策の全体的な取り組み状況について、まず伺います。
 
 ▼環境局長
 都におきましては、関係各局で構成する東京都ヒートアイランド対策推進会議を設置いたしまして、平成十五年三月にヒートアイランド対策取り組み方針を策定しております。
  現在、これに基づきまして、各局におきまして、街路樹再生、屋上緑化、壁面緑化や保水性舗装のほか、校庭芝生化のモデル事業などを行ってきております。
  また、昨年度からは、ヒートアイランド対策推進エリアを設定いたしまして、このエリアを中心に関係区や事業者などと連携して取り組みを実施しております。
 

 
 ▼原田委員
 学校の芝生化に関しては、十分の十の補助条件として、地域との連携が要件に挙げられていますが、地域の人たちの支えでの学校づくりにつながるものと期待しています。
  しかし、これがハードルになるケースもあります。総合学習やクラブ活動などの一環として、生徒自身の取り組みも視野に、さまざまな工夫が可能な制度にしていくことで、さらに広がりができると考えています。よろしくお願いします。
  さて、最近、局地的な豪雨や竜巻による被害が連続し、いつもと違う異常気象を実感している方も多くなりました。想像以上に温暖化は進んでいるようです。
  さきに発表された東京都における二〇〇四年度の温室効果ガス排出量は、原子力発電所の事故の影響を除外すると、一九九〇年度比五・八%増で、ここ数年横ばい傾向にあり、二〇〇〇年度と比較すると二・九%の減となると聞いています。
  東京都は、地球温暖化対策、二酸化炭素削減に向け、この間どのような対策を講じてきたのか、お伺いします。
 
 ▼環境局長
 地球温暖化対策につきましては、平成十七年度に環境確保条例を改正いたしまして、業務部門対策としては、地球温暖化対策計画書制度、建築物環境計画書制度を充実いたしました。また、家庭部門対策といたしましては、省エネラベリング制度やマンション環境性能表示制度などを創設するなど、取り組みを強化してきてございます。
  その結果、地球温暖化対策計画書制度を例にとりますと、十七年度計画段階で、二十一年度までの五年間に約七十二万トン、これは八王子市の一般家庭世帯の一年間の排出量に相当するわけでございますが、これを削減するという計画が事業者から提出されております。
 

 
 ▼原田委員
 建築物環境計画書制度では、一万平米を超える建物が対象ということもあり、さらなる対象範囲の拡大が求められると思います。特に事業系のCO2排出量が伸びています。コンビニ、ファミリーレストラン、量販店などや古い建物への対応も検討の余地があると考えます。ご検討をお願いします。
 
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■リターナブル瓶
 
 ▼原田委員
 次に、リターナブル瓶についてお伺いします。
  容器包装リターナブル瓶法が施行されて、一見、資源が循環しているような錯覚に陥りますが、分別収集、一定の形状にしての保管は、自治体に過剰な負担を強いるとともに、自然負荷が最も少ないリターナブル瓶がどんどん減少していく傾向を生み出しました。
  平成九年には、全国で約四百万トンのリターナブル瓶が使われていましたが、平成十五年には約百九十万トンに減少しています。それぞれの市区町村では有効な取り組みが難しいリターナブル瓶の普及について、多くの事業者を抱える東京都の役割は大変重要だと考えます。
  そこで、このようなリターナブル瓶の評価と課題について、都はどのように認識していらっしゃいますでしょうか、お伺いします。
 
 ▼環境局長
 ビール瓶などのリターナブル瓶は、ごみの減量や資源の節約に有効な容器であり、食品宅配サービスで配達ルートを活用した回収、あるいは地域の酒店と事業者団体の連携による試行的な回収など、特定の分野や、あるいは地域では取り組みの事例もあるわけでございますが、近年、ライフスタイルや消費者の嗜好の変化、あるいは流通構造の変化、回収に伴う販売店の負担などといった諸要因によりまして、リターナブル瓶の使用量は全体としては減少しております。
  ペットボトルや缶など、他の容器のリターナブル瓶も進展しているという状況もございまして、リターナブル瓶につきましては、流通構造や回収システムをめぐる状況の変化などを踏まえながら、幅広い観点から十分議論され、検討されるべきものと考えております。
 

 
 ▼原田委員
 リターナブル瓶の優位性は認められるものの、具体的な事業の展開がなされていないということは残念に思います。
  また、CO2削減効果でいいますと、例えば五〇〇ミリリットルのペットボトルの消費、廃棄したときのCO2排出量は百三十七グラム、リターナブル瓶は六十八グラムと、二倍の削減効果があるという結果も出ております。ごみ減量だけでなく、リターナブル瓶の復活は効果的な温暖化対策といえるのです。
  そこで、学校給食での瓶牛乳の復活を願う者ですが、学校給食においての瓶牛乳が減少した経緯と、リターナブル瓶取り組みへの課題をお伺いします。
 
 ▼教育長
 瓶牛乳につきましては、一つには配送や回収の経費がかかること、二つ目が、瓶の破損によります児童生徒への安全面での配慮が必要なこと、それから三つ目には、平成十七年度から、大手の供給メーカーが、コスト削減等を理由に瓶から紙へと生産ラインを変更したことから、供給が減少しているというふうに考えております。
  都教育委員会といたしましては、学校給食におきます牛乳の安定供給を確保するために、瓶から紙への供給状況の変化はやむを得ないというふうに考えております。
  なお、紙パックの牛乳におきましてもリターナブル瓶活動を徹底しておりまして、環境面への配慮を行っているところでございます。
 

 
 ▼原田委員
 今、食育教育の視点でいうと、食べることは、まさに環境問題も視野に入れて考えていくことが求められています。地球全体の環境を見据えた暮らし方が将来の課題だからです。教育庁が、未来ある子どもたちの給食で瓶牛乳を提供する意義がここにあると思います。市場原理でいうと、利用者がいない不採算部門は廃止される運命です。意義を認めている公は、さまざまな場面で課題を乗り越えて、リターナブル瓶を支え育てていく役割があります。環境局、産業労働局との連携で、教育庁での瓶牛乳の積極的な取り組みを求めるものです。
 
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■河川の水質
 
 ▼原田委員
 次に、河川の水質についてお伺いします。
  多摩市の大栗川、乞田川の大腸菌がふえているという議会の指摘で、多摩市は急遽、大腸菌調査を実施しました。その結果、大腸菌の中でも、ふん便性の大腸菌数値が、大栗川で一万七千個パーミリリットル、乞田川で二万五千個パーミリリットルと高い結果が出ました。
  東京都の河川についてお聞きしたところ、現在、東京都が大腸菌について調査している箇所は四十四カ所あり、ここ数年で上昇傾向はないにしても、大腸菌に関しては、何と四十一カ所が基準をオーバーしているという結果でした。
  そこで、この事態の主な原因をどのように考え、どのような対策が必要と環境局は考えているのでしょうか、お聞かせください。
 
 ▼環境局長
 大腸菌自体は、一般には病原性を持たないわけですけれども、汚濁の指標として、生活環境の保全に関する環境基準の項目として使っております。
  下水道の普及に伴いまして、都内の河川の大腸菌の数は、区部、多摩両方とも、ピーク時に比べるとほぼ十分の一のレベルに下がっているわけでございますが、なお多くの地点で環境基準値は超えているという状況にございます。
  その要因にはさまざまなことがございますが、区部においては、大雨のときなどに下水道から汚水が流出する場合があることや、多摩地域の下水道未普及地域におきましては、し尿や生活排水の処理がなお不十分な場合もあると考えられます。
  今後、都といたしましては、雨天時の水質の把握の検討や、下水道未普及地域における大規模浄化施設や浄化槽の指導を一層徹底するとともに、し尿や生活雑排水をあわせて処理する合併浄化槽の普及につきまして、市町村と協力して進めてまいります。
 

 
 ▼原田委員
 川をめぐる市民の関心は年々高くなっています。パックテストを使っての水質調査、水生動植物の観察、子どもたちとの川遊びなどの活動やイベントに多くの市民が参加しています。
  確かに、河川の水質は、かつてよりきれいになっていることを実感しています。この大腸菌の件に関して、ぜひ基準値をクリアするための努力を惜しまないでいただきたいと思います。
  あわせて、水質を守るためには、市民の環境意識の向上が欠かせません。身近な家庭での下水道への排水も、自然に負担をかけない配慮が必要でしょう。双方向での努力で水質をよくしていきたいものです。
  また、都の実施している調査結果を市区町村に連絡し、市民と情報を共有しながら水質を向上させる対策を考えるべきです。加えて、市区町村や市民団体が調査することに関して東京都も協力すべきと考えますが、この点についてお答えをお聞かせください。
 
 ▼環境局長
 都は、毎月、水質調査を実施しておりますが、その調査の速報値を全区市町村に提供するとともに、毎年測定結果を集計、解析し、ホームページでも公表しております。
  また、多摩川水系の本支川の流れる十九の区市から成る多摩川水系水質監視連絡協議会が実施する水質調査に対しては、技術支援をするなど協力をいたしております。
  また、少なからぬ市が、市民団体の行う水質調査などの活動を積極的に支援すると聞いております。
  今後とも、区市町村や住民の理解、協力を得られるよう、私どもとしても水質の向上に努めてまいります。
 

 
 ▼原田委員
 ぜひ協力体制は進めていただきたいと思います。
  しかし、東京都は、河川における大腸菌は汚濁の指標とはしていますが、多くの問題は下水処理の問題として、新たな視点での調査の必要はなしとしていることは残念です。
  しかし、自然の異変や変化は真摯に受けとめなければならないと思います。自然からのさまざまな警鐘かもしれないのです。この大腸菌に敏感に反応した市民感覚を大切にしながら、市区町村、市民とともに河川の水質向上に取り組んでいただきたいと強く要望して、質問を終わります。
 
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