平成17年度各会計決算特別委員会 委員会質疑

清水ひで子(日本共産党)
■特養老人ホーム
 
 ▼清水委員
 日本共産党を代表して総括質疑を行います。
  二〇〇五年度決算について、我が党は各分科会で、都民の暮らしの現実を踏まえ、どのように都政運営が行われてきたのかを歳入歳出両面にわたって詳細に検討し、都の姿勢をただしてきました。質疑を通じ明らかにされたのは、一般会計の都税収入が、前年に比べ三千四百六十七億円、同年度の当初予算よりも三千四百八十一億円も増収となり、その結果、実質収支で五百四十三億円もの黒字が計上されるなど、全体として都政の現状は、格差と貧困の増大に苦しむ都民の切実な要望にこたえることは可能であったということです。
  そこで、緊急の課題となっている高齢者介護と盲・ろう・養護学校について伺います。
  初めに、特別養護老人ホームの整備について伺います。
  ひとり暮らし高齢者や高齢者のみ世帯が多く、住宅事情が悪い大都市東京の特徴から、特別養護老人ホームを身近な地域に整備することは、都民の切実な要求です。
  そこで、まずお伺いしますが、特別養護老人ホーム整備の重要性についてどう考えているのか、お答えください。
 
 ▼福祉保健局長
 特別養護老人ホームは、地域での生活が困難な要介護高齢者の生活の場であり、多様な介護サービス基盤の一つとして整備促進に努めておるところでございます。
  平成十七年度末の整備実績は、目標整備数三万三千七百人分に対しまして三万三千二百六十二人分で、達成率九八・七%となっております。
  現在の整備目標は、保険者である区市町村が推計した利用者数の見込みに基づきまして、第三期介護保険事業支援計画におきまして設定したものでありまして、今後とも、同計画に基づき整備に努めてまいります。
 

 
 ▼清水委員
 計画どおり着実に整備しているといわれましたけれども、現実にはどうでしょうか。
  まず、このグラフを見ていただきたいと思います。(パネルを示す)青い線が、石原都政が始まった九九年度以降の特養整備費の決算の推移です。九九年度と二〇〇五年度を比べています。九九年度は百七十八億円、二〇〇五年度には四十九億円まで激減しています。九九年のわずか三割、二七%です。施設数にすると、九九年度の整備数が五十カ所に対し、二〇〇五年度は十七カ所です。その一方で、赤い線が特養の入所希望者、待機者は四倍に急増しているではないですか。
  九九年度末の二〇〇〇年三月の特養待機者は九千六百六十四人、それが二〇〇一年の十月の調査で二万五千人を超え、二〇〇五年の調査では、何と四万一千人を超えています。四万一千人のうち、要介護三以上で一年以内に入所したいという、特に緊急性を要する人だけでも七千五百人を超えています。
  お伺いいたしますが、介護保険事業支援計画に基づき整備に努めるといわれていますが、計画そのものが低過ぎるんです。区市町村の推計に基づく計画だといって、いかにも区市町村に責任があるかのような答弁でしたけれども、特養整備費をふやす、新増設する施設数をふやす都としての姿勢を示すことが必要ではないですか。お伺いいたします。
 
 ▼福祉保健局長
 特別養護老人ホームにつきましては、介護保険事業支援計画に基づきまして着実に整備を進めております。
  平成十七年度においては、国制度に加え、三階以上の建物に対する高層化加算など、都独自の補助を実施してまいりました。
  また、平成十八年度からは、税源移譲によりまして、定員三十人以上の特別養護老人ホームの整備に対する国の都道府県交付金が廃止されましたけれども、都は引き続き、従来の水準を維持した補助を行っております。
  あわせて、定員三十人未満の地域密着型特別養護老人ホームの整備につきましても、国の市町村交付金に加え、区市町村に対する都独自の補助を実施して整備してきたところでございます。
 

 
 ▼清水委員
 いろいろいわれましたが、先ほど示したように、特養整備費は、九九年度以降、わずか三割まで激減する一方、入所希望者が四倍にもふえている厳然たる事実が、現実があるんです。その現実を本当にどう打開するのかという本気の姿勢は、今の答弁からは感じることができません。
  しかも、予算で見ても、今年度二〇〇六年度は、二〇〇五年度よりさらに減らされています。来年度予算に向けた福祉保健局の見積もり概要では、さらに大幅削減になっています。その上、特養整備費の用地費助成を、二〇〇八年度着工分をもって廃止するとしているではないですか。とんでもない話です。そんなことをしたら、ますます整備が滞ることは明白です。
  埼玉県では、四年間で特養の定員を一・七倍にふやすという県の積極的姿勢を打ち出し、二〇〇四年度には補正予算まで組みました。支援計画の策定に当たっては、私が直接伺ったんですけれども、難しい地域には県として働きかけを行って、少しでも整備数が引き上がるよう働きかけを行ったそうです。
  今後、国が推進する療養病床の縮小、廃止により、特養の必要性は一層大事になります。八十歳、九十歳の寝たきりのお年寄りを、六十歳、七十歳の娘さんが腰を痛めながら介護している、出かけたり息抜きをするのもままならない、そういう状態で特養の入所を申請しても、三年も四年も待たなければならない。その痛み、苦しみに心を寄せて、少なくとも一年以内に入所したいというような緊急性の高い人が、希望どおり一年以内に入所できる状態が早急に実現できるよう、整備の目標を都として大幅に引き上げ、特養整備費補助を増額することを強く求めておきます。
 
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■教育
 
 ▼清水委員
 もう一つ、解決が急がれているのが、盲・ろう・養護学校の施設の改善です。この問題は、これまでも繰り返し取り上げてきた問題ですが、残念ながら事態の抜本的な改善には至っていない問題です。
  例えば教室が足りなくて、会議室や図工室、木工室を普通教室に転用したり、間仕切りして使っているような状況があります。また、校舎が老朽化して、雨漏りや、ちょっと地震があると校舎の壁に亀裂が生まれてしまったり、体育館のトイレも老朽化している。また、プライバシーも人権も守られていない、そういう状態だ。一刻の放置もできない状態になっていて、各会派が要望を受けていると思いますが、PTAなどからも毎年改善要望が出されているものです。
  教育長に伺いますが、都としてこうした問題にどのように対応してきているのか、お伺いいたします。
 
 ▼教育長
 お話の施設整備等につきましては、各学校の要望を聞き取りまして、緊急性や必要性に応じまして計画的に工事等を行っているところでございます。
  今後とも、各学校の状況を把握しながら教育環境の改善を図ってまいります。
 

 
 ▼清水委員
 それでは、お伺いいたしますけれども、盲・ろう・養護学校の施設整備費は、九九年と二〇〇五年度、それぞれ決算額で幾らだったのか、お伺いいたします。
 
 ▼教育長
 盲・ろう・養護学校施設整備費の決算額は、平成十一年度は約六十三億円でありまして、平成十七年度は約十八億円でございます。
 

 
 ▼清水委員
 先ほどの特養の整備費と同じように、これも三割に減っているというような状態です。これでどうやって改修をしていく、たくさん出されている要望にこたえていくというのですか。
  ところで、ことし、この都庁の超高層ビルの雨漏りがしていることが報道されて大問題になりました。確認したところ、こちらはすぐに予算を確保して補修をやったというふうに伺っています。知事のいる本庁舎は急いでやるけれども、盲・ろう・養護学校はそのまま放置というのはどうしてですか。なぜですか。お伺いいたします。
 
 ▼教育長
 施設整備につきましては、学校要望や施設の状況などを総合的に勘案いたしまして、優先順位を決めて計画的に実施してきているところでございます。
  厳しい財政状況ではありますけれども、今後も、学校要望を踏まえつつ教育環境の改善に努めてまいります。
 

 
 ▼清水委員
 計画的にといわれましたけれども、私、八王子の盲学校に先日伺ったんですが、以前にも、三年前ぐらいにも施設整備のことで伺ったことがあります。そのとき、三年前に伺ったときは、本当に体育館の雨漏りがしているということで、たくさん要望があったんですけれども、なかなか大改修で大変だなと思いながら、ほかの要望を出して、幾つか改修していただきました。
  それで、今回伺ったんですけれども、今回は多少、計画的にということだからやっているんですけれども、しかし校長先生が見せてくださったのは、天井の雨漏りのしみなんですよね。以前は、本当に雨漏りがたくさんしていたときには、バケツを下に置いてそれを防いでいたということなんですね。それを伺ってきました。これが計画的にということなのでしょうか。これ以上先送りできないから、私はいっているんです。やっている、やっているといいますけれども、今の雨漏りの話でいうと、壁の亀裂やコンクリートの中性化を招いて、施設そのものの寿命を縮めかねないものです。そういう中で、雨漏りのしみなども見せていただいたときには、本当に胸が痛みました。
  今年度の依命通達では、建物の維持管理経費について、対前年度比一一〇%までの予算要求を認めるなど、ゼロシーリングの例外として特例的な扱いを行っていくとしています。障害に苦しむ子どもたちの教育環境を改善することこそ、特例扱いとして早急に改善することを求めておきます。
 
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■中央環状品川線
 
 ▼清水委員
 次に、首都高速道路品川線について伺いますが、二〇〇五年度の事業費は幾らだったのかお伺いいたします。
 
 ▼建設局長
 平成十七年度の決算額は約二十五億円でございまして、内訳は中目黒換気所の用地取得費などでございます。
 

 
 ▼清水委員
 二十五億円ということなんですけれども、先ほど伺いましたら、盲・ろう・養護学校の施設整備費の決算は十八億円だったんですよね。この、今いわれた品川線の二十五億あったら、子どもたちに不自由な思いをさせないで済んだのではないかと思うわけです。
  そこで伺いますが、品川線について、都の道路街路事業として行い、都民の税金を投入する理由は何ですか、お伺いいたします。
 
 ▼建設局長
 品川線は、三環状道路のうちの中央環状線をリングとして完成させるものであり、渋滞の大幅な緩和などその効果は極めて高く、一日も早い整備が必要でございます。
  しかし、首都高速道路公団の民営化によりまして、有料道路事業による事業着手は、最速でも平成十八年度以降ということになりまして、都市計画決定から一年以上、何もしない空白期間が生じるという問題がございました。また、品川線のすべてを有料道路事業で整備すると、現行の料金を値上げしない限り、事業着手のめどすら立たない状況でございました。
  こうしたことから、本路線は、都施行の街路事業と新会社施行の有料道路事業との合併施行方式で整備することとして、都は有料道路事業に先駆け、平成十七年度に街路事業に着手したものでございます。
 

 
 ▼清水委員
 いろいろと理由を挙げられましたけれども、どれも東京都が税金を投じて直接事業でやらなければならないものとは思えません。そもそも、今ご答弁の中で渋滞解消といわれましたけれども、都心部で大規模開発を進めて都心の集中を進めれば、自動車交通はふえるばかりで、道路をつくれば、それをますます加速させるだけなんです。すべてを有料道路事業で整備すると、現行料金を値上げしない限り、事業着手のめどすら立たない状況といわれましたが、そもそも道路建設は受益者負担が原則だったんです。だから、国がガソリン税という形で受益者負担を求めてきたわけです。しかも、自動車専用道路は、利用者が自動車に限定されており、なおのこと一般財源を投入する理由は見当たらないのです。
  さらにいえば、首都高は民営化されて民間企業になったわけですから、事業着手は新会社がみずからの判断で決めることです。それを急ぐから、都が税金を出さなければならなくなるわけです。病院や試験研究機関、公園、文化施設などに採算性を求め、受益者負担だといって三カ年ごとの料金値上げを求めておきながら、首都高だけは不採算だといって、従来方式の五百億円、二・五倍の千二百五十億円の税金を投入することに、都民理解は到底得られません。
  石原知事のもとで、首都高だけでなく、羽田空港の国際化、外環道など、都が急がせることで都税投入となる公共事業がメジロ押しです。国直轄事業負担金も、知事はおかしいといったのに、五百億円の規模に膨らんでいます。これらは、本来都が負担する必要のないものです。オリンピックに連動して、八兆円を超えるインフラ整備の道も開かれようとしています。これでは、幾ら税金があっても足りるわけがありません。
  ここで、こうした石原都政の大型開発優先の都政運営によって都民施策がどう変化したのか、革新都政時代と比較してみました。(パネルを示す)革新都政は、都税収入を五・六倍に伸ばしました。福祉保健費は七・四倍、そして教育費は六倍にふやしました。鈴木都政、青島都政も、福祉関係費、教育費とも都税収入に見合った伸びにとどまっていますが、それぞれ、まあ減らしてはいません。
  ところが、石原都政は、都税収入を一・四倍に二〇〇五年度までにしましたが、福祉保健費は〇・九四倍、下げたわけですね。そして教育費も〇・九一倍になりました。中小企業対策費は、革新都政時代は三倍だったんですけれども、石原都政のもとで〇・六一倍に減らされてしまいました。しかも、革新都政は、第一次オイルショックによる大幅税収減と国の締めつけのもとで実現したわけです。
  私は、今、世界の流れもやはり認識をしていただきたいと思うんです。ヨーロッパでは、経済給付事業は福祉の重要な柱になって、イギリスを初め多くの国が、窓口負担は無料か少額です。高齢者の介護でも、ドイツ、オーストリア、イギリスでは充実をしてきています。スウェーデンは、二〇二五年ごろに緑の福祉国家を実現するという見取り図のもと、年金制度を初めとした福祉、環境施策を着々と進め、国家の持続可能性ランキングで一位にランクいたしました。こういう取り組みが欧州などの流れとなっているわけです。こういうことを、ぜひ都のそれぞれの担当者には認識をしていただきたい。これは、前から私たちが強調しているところなんですよ。これが世界の流れになっている。そういう流れなんです。
  世界の流れから見ても、税収増から見ても、石原都政が行ってきた暮らしや福祉の切り捨てという、自治体本来の役割を投げ捨てる姿勢は改めるべきだというふうに私は思うわけです。十七年度の、二〇〇五年度の決算の状況を見ても、改めてそう実感をいたします。そして、決算質疑を通じて、各分科会などでも要望してきました都民要望にきちんとこたえていただきたいことを強く求めて、質問を終わります。
 
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