鈴木隆道(自民党) |
■財政問題 |
▼鈴木(隆)委員 初めに、財政問題についてお伺いをいたします。 平成十七年度は第二次財政再建推進プランの折り返しの年に当たります。この時点における取り組みの成否が、最終的にプランの目標達成が可能となるかどうか、つまりは財政再建が期待どおりに進展するかどうかの重要な分岐点であったといえます。十七年度決算をこうした観点から見れば、実質収支の黒字転換を果たすとともに、財政の弾力性を示す経常収支比率も、九二・六%から八五・八%へと大きく改善するなど、全体としてプランの取り組みが着実な成果を上げていることがうかがわれます。 そこでまず、十七年度決算の実績を踏まえた都財政の現状認識についてお伺いをいたします。 ▼財務局長 都財政は、財政再建推進プランの取り組みが功を奏し、十七年度決算では十六年ぶりに黒字となり、経常収支比率も大幅に改善するなど、プランの目標を一年前倒しで達成することができました。財政再建に一つの区切りをつけることができたわけでございまして、そうした点で十七年度は都財政にとって大きな節目の年になったと認識しております。 しかしながら、目指すべきところは、決算の黒字化や指標の改善だけではなく、社会状況が変化し、増大することが見込まれる新たな財政需要に対しても積極的に対応できる、強固で弾力的な財政基盤を確立することにあります。その目標に照らせば、現状はあくまで通過点にしかすぎず、十七年度の成果に決して満足することなく、引き続き財政構造改革に取り組む必要があると認識しております。
▼鈴木(隆)委員 都は、職員定数の大幅な削減など、国や他の自治体に先んじて財政健全化に取り組んできたものであり、ようやくここに来てその成果が明らかになってきております。しかし、都財政は体力を回復しつつあるものの、いまだ十分に足腰が強化された状態ではありません。都財政の貯金ともいえる基金を例にとれば、今年度末には六千億円台の水準にまで回復する見込みであるとのことでありますが、かつて一兆円を超えた残高が、バブル崩壊後、瞬く間に底をついたことを思えば、到底安心できるレベルではなく、一兆円の確保を目指すべきであります。 また、減債基金の積み立て不足、多摩ニュータウン事業の欠損金など、隠れ借金についてもここ数年で大幅な圧縮に努めてまいりました。そうした努力が財政健全化に大きく貢献していると考えますが、それでもなお、多額の隠れ借金を抱えているのも事実であります。特に減債基金の積み立て不足は四千三百五十億円が残されており、いまだ財政構造改革の足かせとなっています。 加えて、今年度より導入された財政指標である実質公債費比率、これは自治体の健全性をはかる新たなバロメーターであり、オリンピック招致などにも大きな影響を及ぼしますが、この指標を算出する際にも、減債基金の積立不足額が数値の悪化要因となってしまうことは、私も先日の分科会で質問をしたところであります。 今後とも、財政構造改革を続けるに当たっては、足かせとなっている隠れ借金の早期圧縮、とりわけ減債基金積み立て不足の早期圧縮を優先課題とすべきと考えますが、見解をお伺いをいたします。 ▼財務局長 先ほど、今後の財政運営に当たって、強固で弾力的な財政基盤の構築を目指していくと申し上げましたが、そこで問題となってくるのが基金の残高不足と隠れ借金の存在であります。そのため、ご指摘にもあったように、基金残高の回復と隠れ借金の圧縮に積極的、優先的に取り組む必要があると考えております。中でも減債基金の積み立て不足は実質公債費比率を悪化させるものであり、都財政にとって大きな負担となっております。その早期解消を今後の予算編成の中で具体的目標としていきたいと考えております。
▼鈴木(隆)委員 隠れ借金のような過去の負債をできる限り速やかに解消することが、都財政の足腰強化に直結し、ひいては都民生活の将来展望に明るさをもたらしてくれるものだと思います。こうした取り組みを積極的に推進していただきたいと思います。 さて、あらゆる観点から見て、都財政はいよいよ次なる段階へ歩みを進めるべき時期を迎えているといわざるを得ません。これまでの緊縮財政を基調としたプランの終了後、どのような将来像を描いていくかが問われているということであります。 そうした状況下、都は、ことし七月、プランにかわる新たな財政運営の方向を示す、今後の財政運営の指針を策定をいたしました。来年度からはこの指針に沿って都財政のかじ取りが行われていくことになります。 この指針を読みますと、従来の考え方を一新する思い切った取り組みが盛り込まれていることがわかります。量から質へ、短期から中長期へ、そして財務局主導から各局の主体性を重視する体制への転換など、これまでの財政運営に根本的な方向転換を促す内容となっています。 財政構造改革はいまだその途上にあります。予算編成手法の見直しなど、今回の指針に明らかにした具体的取り組みを決して絵にかいたもちに終わらせることのないよう、一つ一つ着実に実現をしていくことが大切であります。そのためにも我が党は協力を惜しまないところでありますが、何よりも事業を所管する各局の職員が自主的かつ主体的に行動していくことが必要であることをこの際強調をしておきたいと思います。 そこでお伺いをいたします。都は、財政再建の成果を都民に還元するとともに、さらなる財政構造改革を進めていくことが必要と考えますが、局長の決意のほどを伺います。 ▼財務局長 バブルの崩壊という荒波をかぶり、財政危機に陥って以降、都議会、都民の皆様のご協力をいただきながら、わき目も振らず財政再建に取り組んできたというのがここ何年かの財政運営だったと思っております。そうした取り組みがようやく実を結び、成果となってあらわれたのが十七年度決算であったと考えております。 大切なことは、この成果を次の世代に引き継いでいくことであります。そのため、一つには、十年後の東京を見据えながら、東京の都市基盤の確実な整備、環境問題への先駆的な取り組み、福祉、医療の充実など、さまざまな形で都民に還元していく必要があると考えております。 また、先ほども申し上げた隠れ借金の圧縮や負の遺産の処理など、財政構造改革をさらに加速させることも必要であり、現在編成中の十九年度予算においては、その第一歩としていきたいと考えております。
▼鈴木(隆)委員 答弁にもございましたが、しっかりと、今の決意のとおり、着実に進めていただくことを要望しておきたいというふうに思います。 次に、都にとって非常に重要な問題であります法人二税のいわゆる人口配分論についてお伺いをいたします。 法人二税は、十七年度都税決算見込み額に占める割合が四五%を超える、都や特別区にとって非常に貴重な財源であります。このうち、法人事業税については、これまで主なものだけでも四回にわたる不合理な分割基準の見直しが行われ、都税収入への影響は、十七年度決算見込み額で八百億円余りの減収、十八年度には、十七年度税制改正の影響が生じるため、二千億円もの減収が見込まれています。 最近はこれに加え、都の人口一人当たりの税収の集中を指摘し、例えば人口を基準として法人二税の税収を配分してはどうかということまで主張をされてきています。 しかし、地方の財源は法人二税だけではありません。都は地方交付税を受けておらず、地方譲与税についても譲与制限を受けています。地方税全体に地方交付税と地方譲与税を加えた一般財源の歳入で比較したときに、都に歳入が集中しているといえるのかどうか、お伺いをいたします。 ▼主税局長 地方税に地方交付税、地方譲与税等を加えましたいわゆる一般財源の歳入額を、人口一人当たりで比較をいたしますと、平成十六年度決算において、全国平均を一〇〇とした場合の指数は、最高の島根県で一五四、最低の埼玉県で七三、東京都は全国平均を若干上回る程度の一一九となっておりまして、都に集中している状況にはございません。
▼鈴木(隆)委員 今の答弁にありましたように、一般財源の歳入で比較すれば、決して都に歳入が集中しているわけではないということは明らかであります。地方自治体間の財政力を比較する上で、法人二税の税収だけを取り上げて殊さら問題視することは、何の意味も見出せないということになるというふうに考えます。いまだ根強く主張されている法人二税のいわゆる人口配分論、あるいは地方法人課税そのものを撤廃しようとするような主張については、都は明確に反論をし、阻止すべきと考えますが、所見を伺います。 ▼主税局長 法人は事業活動を行うため地方自治体からさまざまな行政サービスを受けております。個人と同様、地域の構成員として応分の負担をすべきでございます。 法人二税の税収を人口基準で再配分いたしますことは、地域で活動しております法人と自治体の行政サービスとの応益関係などに着目して課税するという税制上の根拠を全く無視いたしまして、もはや地方税とは呼べなくなるものでございます。都といたしましては、都税制調査会をも活用いたしまして、税制のあるべき姿を検討するとともに、税収の人口配分論など、不合理な国の財源調整の動きに対しましては、他の大都市とも密接に連携をいたしまして、断固として反対をしてまいります。
▼鈴木(隆)委員 年末の与党税制改正大綱をにらみながら、今後とも国の動きを注視し、不合理な主張に決して屈することのないよう、大都市の自治体と力を合わせ、密接に連携しながら、地方法人課税の意義を全く無視した国の動きに反論をし、拒否することを要望して、次の質問に移ります。
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■都区制度 |
▼鈴木(隆)委員 次は、都区のあり方についてお伺いをいたします。 九月に発表されました平成十七年度東京都区市町村普通会計決算を見ますと、都内の市町村の財政状況は、上向いてはいるものの依然として厳しい状況が続いている一方で、特別区では全体的に改善が見られたとしています。 そこでまず、特別区の十七年度決算についてどのように評価をしているのかをお伺いいたします。 ▼総務局長 特別区の平成十七年度決算の特徴でございますが、まず、歳入につきましては、特別区民税が都心区を中心に増収となりますとともに、特別区財政調整交付金が増加したことによりまして、一般財源が二十三区全体で対前年度比一千億円を超える大幅な伸びとなったこと、歳出につきましては、生活保護世帯の増加などにより扶助費がふえました一方で、職員数の減少などにより人件費が減となり、また、用地購入費の増などによりまして投資的経費が七年ぶりに増加に転じたこと、さらに財政指標につきましては、一般財源の増加により経常収支比率や公債費比率などが大きく改善をしたこと、最後に、将来にわたる財政負担につきましては、地方債残高が約一千億円減少をし、積立金残高が約一千百億円増加するなど、改善が見られたことが挙げられます。 これらの結果から見まして、平成十七年度決算における特別区の財政は、総じて良好な状況にあるものと認識をしております。
▼鈴木(隆)委員 特別区の財政状況は非常によいことがわかりました。もちろんこの背景には、特別区の行財政改革に向けた不断の努力があり、その点は率直に評価をするものであります。 しかし、一方で、これだけの財政力を持ちながら、特別区が基礎的自治体として十分な役割を果たしているかについては、私は疑問であると思います。 例えば、住民に最も身近なサービスである上下水道、これは都が直接公営企業として行っています。 まちづくりの分野でも、本来市が行う仕事のかなりの部分を都が担っている現実があります。平成十七年度の決算に占める土木費の割合を見ますと、全国の市町村の平均が一五・四%、都内市町村の平均が一二・四%、これに対し特別区の平均は、十七年度は増加したとはいえ、一一・〇%となっています。特別区の区域においても、将来にわたりまちの機能を維持向上するための投資は必要であり、現在の投資水準では十分とはいえない状況にあります。平成十二年の改革により、特別区は基礎的自治体として地域の事務を総合的に担う主体となりました。福祉サービスだけでなく、まちづくりについても、特別区がみずからの責任で、より主体的に取り組んでいくべきであります。 そのためには都から特別区への事務や権限の移譲が必要でありますが、例えば特例都道の整備や比較的大規模な区画整理事業などのまちづくり事業を見ても、都から事務を円滑に移譲するためには、現在の二十三に分かれた特別区の区域は狭過ぎるように思います。今後、特別区が大都市地域における真の基礎的自治体にふさわしい仕事を担うためには、特別区の再編を行う必要があると考えますが、都の見解を伺います。 ▼総務局長 特別区は、平成十二年の都区制度改革によりまして基礎的自治体に位置づけられ、より広範に地域の事務を担い、みずからの責任で住民サービスを効率的に行っていくことが求められております。 委員ご指摘の、都から特別区への事務移管をさらに進めるに当たって、各区の区域が狭過ぎないかという視点に加えまして、生活圏、経済圏の広がりや、全国的な市町村合併の進展といった社会経済状況の変化、さらにはより効率的な行政運営の実現という視点からも区域を考える必要があると思います。 現在の特別区の区域は、昭和二十二年に現在の二十三区となりまして以降、六十年間区割りが変わっておりません。こうしたことを踏まえますと、再編を含めた区域のあり方につきましては、今や根本的に議論をしていく時期に来ているというふうに考えております。
▼鈴木(隆)委員 現在、都区のあり方について都区共同で検討が行われていると聞いています。特別区に事務をさらに移譲していくために、特別区の再編もタブー視することなく議論をし、これからの特別区のあるべき姿を積極的に示すことが重要であると考えます。まだ検討は緒についたところだとは思いますが、極めて重大な課題であり、腰を据えて十分な検討を行っていただきたいと思います。 そこで、今後の検討に当たっての決意を伺って、この質問を終わります。 ▼総務局長 現在の都区を取り巻く状況でございますけれども、東京富裕論を振りかざして東京の財源をねらい撃ちしようとする動きがありますことや、国が特別区の財政状況に強い関心を示していることなど、極めて厳しいものがあるというふうに認識をしております。都と特別区は、こうした状況に対しまして、東京の発展が日本全体の発展を大きく左右するという共通認識を持ち、互いに協力をして、東京の自治のあるべき姿を確立していく必要があると考えております。 都区のあり方に関する検討会では、これまで五回にわたりまして、地方制度改革と東京の自治、都区の事務配分、特別区の区域のあり方、税財政制度に関しまして踏み込んだ議論を行ってまいりました。今後、各項目についての検討の基本的方向を取りまとめまして、具体的な検討に入ってまいりますが、都区の置かれた厳しい状況を踏まえつつ、東京の発展と都民、区民生活の向上のため、区域の再編を含めた都区のあり方について、誠意を持って特別区と議論を進めてまいります。
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■危機管理対策 |
▼鈴木(隆)委員 次に、昨年度策定されました東京都国民保護計画についてお伺いをいたします。 東京都国民保護計画は、外国からの武力攻撃や大規模テロなどに対処して、都民の生命、身体及び財産を保護するために策定されたものであります。その特徴としては、世界の大都市でテロが頻発する状況を受けて、大規模テロ等への対処を重視している点であると聞いております。東京は人口や産業が集中することから、テロに対して脆弱な都市であるといえます。 そこで、東京都国民保護計画における大規模テロ等対処の主な課題は何か、また、都みずからどのような取り組みを行っているかをお伺いいたします。 ▼総務局長 東京都国民保護計画では、突発的に発生する大規模テロに迅速かつ的確に対処するため、平素からの備えを十分行うとともに、発災時の初動対応力を強化することを主な課題としております。都におきましては、計画策定後、平素からの備えといたしまして、危機情報の収集、分析に加え、都庁舎を初め、都が管理する施設等におけるテロの未然防止を目的に、全庁的なテロ等警戒対応基準を新たに制定をいたしました。 また、初動対応力の強化といたしましては、計画に基づく大規模テロ災害対処訓練の実施ですとか、その成果等を踏まえましたNBC災害対処マニュアルの充実などを図っているところでございます。
▼鈴木(隆)委員 テロへの備えとして都施設の警戒態勢を整備していることはわかりましたが、東京にはテロの標的になりやすい民間の大規模集客施設が数多く存在しております。そこで、民間施設の危機管理について都はどのような対策を行っているか、伺います。 ▼総務局長 テロを未然に防ぎ、都民の生命を守るためには、民間施設を含めました危機管理体制の強化が重要でございます。このため、都は、国民保護計画に基づき、本年九月、大規模集客施設の事業者と警察、消防など関係機関で構成する、テロ等の危機に関する事業者連絡会を全国で初めて立ち上げたところでございます。十月には危機管理セミナーを開催し、多くの事業者と危機情報の共有を図りますとともに、民間施設における警戒態勢の強化を働きかけました。 今後、都は、危機情報の提供はもとより、テロ対処訓練を連携して行うなど、民間事業者の危機対応力の向上を図ってまいります。
▼鈴木(隆)委員 都の施設だけではなく、民間施設の危機管理についても、東京都が先駆的に取り組んでいることは高く評価をいたしたいと思います。今後も民間事業者との一層の連携を図ってほしいと思います。 ところで、北朝鮮はことし七月五日に弾道ミサイルを発射し、十月九日には地下核実験を実施をいたしました。これは、我が国のみならず、北東アジア及び国際社会の平和と安全に対する重大かつ深刻な挑戦であり、断じて許すことはできません。 我が国政府は、北朝鮮に対して独自の経済制裁を実施することを決定し、十月十四日には国連安全保障理事会が北朝鮮制裁決議を全会一致で採択をいたしました。北朝鮮は六カ国協議への復帰には合意はしたものの、再度の核実験の準備が伝えられるなど、事態は予断を許しません。 都は、今回の核実験に伴い、都民の生命、安全を守るため、どのような対応を行ったのかをお伺いをいたします。 ▼総務局長 都は、北朝鮮による核実験実施の情報を入手した後、直ちに情報の収集、分析を行う態勢をとり、区市町村に情報を提供いたしました。 また、全庁的な対策を実施するために、危機管理対策会議を開催し、各局の役割分担を確認しますとともに、放射線量の測定など、原子力災害対策に準じた取り組みを行うことといたしました。 さらに、北朝鮮への経済制裁に伴い不測の事態も懸念されることから、テロ等警戒対応基準のレベルを引き上げまして、都の施設における警戒態勢を強化いたしました。 今後とも、あらゆる事態に備え、迅速かつ的確に対処できるよう、危機管理に万全を期してまいります。
▼鈴木(隆)委員 今後も万全の態勢で危機管理を強化していくことを要望いたします。
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■振り込め詐欺 |
▼鈴木(隆)委員 最後に、振り込め詐欺について質問いたしますが、時間の関係上、一問、二問まとめて質問させていただきたいと思います。 振り込め詐欺に関する報道を頻繁に目にしますが、先日の新聞記事では、都内の六十歳代の女性が、息子を装った男から、浄水器販売に失敗し会社の金を使い込んだ、監査が入るのですぐ振り込んでと指示され、振り込んでしまったという、おれおれ詐欺の事件がありました。 これまでも東京都は、敬老の日に、地元や警視庁と連携し、浅草寺において振り込め詐欺撃退キャンペーン等を行うなど、さまざまな取り組みを行っています。 一問目として、最近の振り込め詐欺の被害状況と、都が行ってきた対策についてお伺いします。 また、二問目として、新たな手口として、事前に息子や孫を装って携帯電話の番号等を変わったとしてだまし、後日その電話から口実を装って振り込みをさせるなど、悪質な被害がふえていると聞いています。このおれおれ詐欺に対する取り組みと本部長の決意をお伺いして、終わります。 ▼青少年・治安対策本部長 まず、振り込め詐欺の被害状況とこれまでの対策についてでございますけれども、被害状況につきましては、本年一月から九月までで、被害件数約二千二百件、被害総額約四十二億円でありまして、前年同期に比べそれぞれ増加しております。本年の前半は減少傾向にあったのですが、六月以降増加に転じたものでございます。 これまで行ってきました対策につきましては、関係機関と連携をとりまして、まず、金融機関等の各事業者にあっては、ATMの引き出し限度額の引き下げや、口座開設、携帯電話契約時における身元確認の厳格化を実施してもらいました。 都におきましては、警視庁と連携をし、被害抑止のキャンペーンを実施しましたほか、水道料金の検針票や納税通知書の封筒などへの注意喚起文言の記載、高齢者に接する介護事業者等に対する振り込め詐欺防止の研修など、都民により直接的に働きかける抑止対策にこれまで努めてまいりました。 次に、今後の取り組みについてでございますが、従来多かった交通事故や痴漢の示談金を名目とするものは極端に減少しておりまして、これはこれまでの取り組みが一定の効果があったとは認識はしておりますが、しかしながら、最近は会社の金の使い込みなどを口実とした新たな手口がふえており、振り込み金額につきましても、百万円を超えますと金融機関が大変警戒が強くなるということから、九十八万円を振り込ませるという事例も散見しております。 おれおれ詐欺の被害者は高齢の女性が圧倒的に多く、老後の蓄えを奪い取る、極めて卑劣な犯罪であります。被害を未然に何としても防ぐことができるよう、今後とも関係機関と連携を強化し、これまでの取り組みに加え、新たな手口に対してもより迅速に都民の方々に直接的に注意喚起ができるよう、振り込め詐欺抑止のための総合的な取り組みを強力に推進してまいります。
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