平成18年第3回定例会 一般質問

再生可能エネルギー導入促進を
豊洲新市場における環境配慮を

大沢 昇(民主党)
■再生可能エネルギー
 
質問1
 我が国のエネルギー需要をめぐる現状は、一九七〇年代までの高度経済成長期には、国内総生産よりも高い伸び率で増加してきました。しかし、一九七〇年代の二度にわたる石油危機を契機に、産業部門での省エネルギー化が進み、さまざまな努力の結果、エネルギー需要をある程度抑制しつつ、経済成長を果たしてまいりました。
  しかし、一九八〇年代後半からは、石油価格の低下に加え、豊かさを求めるライフスタイルなどを背景に、エネルギー需要は再び増加に転じ、一九九八年、二〇〇一年に対前年比マイナスとなったことを除けば、エネルギー需要は一貫して増加をし続けています。
  各種統計資料からエネルギー消費動向を見ると、石油危機以降、産業部門がほぼ横ばいで推移する一方、民生、運輸部門が倍増しています。その結果、産業、民生、運輸のシェアは、石油危機当時の四対一対一から、二〇〇一年には二対一対一と変化しています。この数字に触れてわかるように、民生、運輸部門で消費されるエネルギーについての需要、供給の両面からの対策が必要と考えます。
  一方、エネルギー供給の動向は、一九七〇年当時はエネルギー供給の七七%を石油に頼っていました。しかし、一九七三年に発生した第一次石油危機によって、原油価格の高騰と石油供給断絶の不安を経験した我が国は、エネルギー供給を安定化させるため、石油依存度を低減させ、石油にかわるエネルギーとして原子力や天然ガスの導入を促進し、第二次石油危機では新エネルギー開発の加速を果たし、結果、石油依存度は、二〇〇一年には四九・四%と、第一次石油危機当時の七七%から大幅に改善され、エネルギー源の多様化が図られてまいりました。
  資源の乏しい我が国は、エネルギー総供給の約八割を海外に、そしてまた、約五割を石油に依存している一方、今後、アジア諸国を中心とするエネルギー需要の大幅な増加が予想され、石油の中長期的な安定供給が懸念されています。
  加えて、一九九七年十二月に開催されたCOP3における合意により、我が国は、二〇〇八年から二〇一二年の二酸化炭素などの温室効果ガス排出量を、一九九〇年比六%削減することが国際的な責務とされています。
  このような中、エネルギーの安定供給の確保、地球環境問題への対応の観点から、資源制約が少なく、環境特性のよいクリーンなエネルギーである再生可能エネルギーの一層の導入促進が必要であると考えます。
  国は、二〇一〇年度の新エネルギー導入目標量を一千九百十万キロリットルと設定するとともに、この導入目標達成に向けて、予算措置を初めとする種々の施策を講じていくこととしています。
  再生可能エネルギーは、二酸化炭素の排出が少ないことなど、環境へ与える負荷が小さく、資源制約が少ない国産エネルギーまたは石油依存度低下に資する石油代替エネルギーとして、エネルギー安定供給の確保、地球環境問題への対応に資することから、持続可能な経済社会の構築に寄与するとともに、さらに再生可能エネルギーの導入は、新規産業、雇用の創出などにも貢献するなど、さまざまな意義を有しています。
  知事の所信表明でも、東京全体で緑の大幅な増加や自然エネルギーの大量普及を図るなど、民間企業や都民を巻き込みながら、東京を世界で最も環境負荷の少ない都市としていくと述べています。また、都は、世界に先んじてCO2半減都市モデルの実現を目指すとも表明しています。
  私も、日本の首都東京が、世界の先進的な国や地域と足並みをそろえて再生可能エネルギーの飛躍的な拡大を目指す世界的な潮流を強化していく役割を果たすとともに、都民、事業者などへの取り組みを拡大していくべきと考えますが、石原知事のご所見をお伺いいたします。
 
答弁1
 ▼知事
 地球温暖化は、現在、人類が直面する最も深刻な環境問題であると思います。ヒマラヤの氷河湖が決壊の危機に瀕していたり、南太平洋の砂州の国家が沈没の、消滅の危機に瀕していたり、いずれにしろ温暖化の進行を阻止するためには、徹底した省エネルギー対策とともに、再生可能エネルギーの飛躍的な利用拡大が必要であると思います。
  各国の再生可能エネルギーの導入目標を見ますと、ドイツやイギリスなどEU諸国の積極的な姿勢に比べ、日本はまだまだ消極的であると思います。
  都は、民間企業や都民を巻き込みながら、東京から率先して再生可能エネルギーの多量な普及というものを図っていきたいと思っております。
 
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■太陽光発電
 
質問1
 新国家エネルギー戦略の中に、太陽光発電コストを二〇三〇年までに火力発電並みにする目標を掲げています。大阪府においては、本年四月から、ヒートアイランド現象の緩和と潤いと安らぎのあるまちづくりのため、建築物の敷地における緑化推進制度を設け、敷地面積一千平米以上の建築物について、地上部と屋上部の緑化を義務づけています。大阪府では、その際に太陽光発電パネルを緑化面積に含めることができるとしています。既に兵庫県、京都府、堺市、豊中市、池田市等々でも同様の措置がとられており、地球環境に優しい太陽光発電の普及に貢献しています。
  太陽光発電パネルは、緑化の難しい傾斜屋根などにも設置が可能であり、東京都においてもこうした民間事業者の取り組みを促すことが重要であると考えます。
  また、民間事業者の取り組みを促す上でも、東京都自身が率先して太陽光発電の導入を行う必要があります。水道局では、浄水場のろ過池への異物混入を防ぐために池全体にふたをして、ふたの上部に太陽光発電パネルを設置して一定の成果をおさめていると理解していますが、さらに研究を進め、導入の促進を求めるところであります。
  これらの取り組みは、本来の水道事業とは離れますが、水道事業が一日に都内で消費される電力の一%を消費しているわけですから、CO2の削減や環境保全に対して一層の貢献を求めたいと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 
答弁1
 ▼水道局長
 水道局では、これまでも水道水源林管理の充実やエネルギーの有効活用、資源リサイクルの推進など環境に配慮した取り組みを積極的に推進してきております。
  太陽光発電につきましては、平成七年度に東村山浄水場に先駆的に導入いたしまして、その後も各浄水場のろ過池覆蓋化に合わせ、メガワット級の設備を順次導入してきておりまして、現在では国内最大級の太陽光発電の規模を有するまでに至っております。
  今後とも、これまで培ってまいりましたノウハウを生かし、CO2の削減など、環境施策を一層推進してまいります。
 

 
質問2
 私の地元江東区の豊洲地区に建設される豊洲新市場は、約三十八ヘクタールもの規模で計画されています。この新市場計画においても、太陽光発電や再生可能エネルギー導入など、温室効果ガス削減に積極的に取り組むべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 
答弁2
 ▼中央卸売市場長
 豊洲新市場の整備に当たりましては、市場活動に伴う環境負荷をできる限り抑制していくことが重要であると認識しております。このため、再生可能エネルギーとして太陽光発電の導入を検討するとともに、断熱効果の高い屋上緑化を可能な限り進めてまいります。
  また、冷蔵冷凍車のアイドリングをとめるための外部電源装置の整備やフォークリフトなどの場内搬送車両の電動化も推進いたします。
  さらに、市場に出入りする車両の削減を図るため、共同配送の促進などについて業界との協議を進め、環境負荷の少ない市場を目指してまいります。
 
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■バイオマス燃料の普及
 
質問1
 バイオマス燃料の率先導入について伺います。
  バイオ燃料は、CO2と太陽光を吸収して成長する植物を原料としているため、燃料として使われても、理論的にはCO2をふやさないものと考えられています。国は、二〇三〇年までに運輸部門の石油依存度を八〇%にすることを目指し、バイオ由来燃料やGTLなど、新燃料の導入促進で目標達成に至るアクションプランを提示いたしました。
  京都市では、一般家庭や食堂などから排出される廃食用油を回収し、バイオディーゼル燃料として再生し、同市のごみ収集車や市バスの燃料として活用しています。栃木県高根沢町では、学校給食センターなどからの廃食用油を活用し、公用車に利用しようとしています。
  東京都においても、カーボンニュートラルであるバイオ燃料の普及を図り、率先して地球環境問題の解決に貢献すべきと考えますが、いかがお考えか、ご所見をお伺いいたします。
 
答弁1
 ▼環境局長
 バイオマス燃料の普及についてでございますが、CO2排出量の削減を図っていく上で、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換を進めていくことは重要であり、バイオマス燃料もその一つであります。都はこれまでも、廃棄物埋立処分場などで発生するメタンガスを活用した発電を行うなど、未利用のバイオマスの有効活用に取り組んでまいりました。
  今後は、都が保有する車両においてバイオマス燃料を率先して利用するなど、一層の普及拡大に努めてまいります。
 

 
質問2
 バイオ燃料の普及はもちろんですが、その原料となるサトウキビなどの確保を海外に依存するようなことは好ましくないと考えます。輸送のためにむだなエネルギーを費やすのではなく、地産地消の取り組みが何よりも重要であります。
  沖縄県宮古島市、大阪府、新潟県新庄市においては、地元で産出されるバイオエタノールを公用車などにおいて利用し、バイオマスを活用した地産地消の取り組みをして地域エネルギー自給率を高めています。
  例えば、東京都においても、世界遺産の登録を目指す小笠原諸島や他の島しょ地域、多摩地域などでも、このような地産地消の再生可能エネルギーの導入をすべきであると提案いたします。東京都の地産地消再生可能エネルギーの導入に向けてのご所見をお伺いいたします。
 
答弁2
 ▼環境局長
 東京には、活発な都市活動の結果として生じる大量の食品廃棄物や下水汚泥など、大都市特有のバイオマス資源が存在しております。既にスーパーエコタウン事業においては、都内で発生する食品廃棄物を利用したバイオガス発電が行われるなど、民間事業者による取り組みも積極的に進められております。
  今後とも、東京の多様なバイオマス資源の活用方策について検討してまいります。
 

 
質問3
 下水道のバイオガス活用について伺います。
  大田区の森ヶ崎水再生センターでは、汚泥処理過程で発生する未利用エネルギーであるメタンガスを発電設備の燃料として活用したり、また、小規模の水力発電を設置するなど、資源を最大限に活用し、再生可能エネルギーの活用に積極的に取り組んでいると認識していますが、下水道事業は、水処理施設や汚泥の焼却炉など多くの施設を抱えていることから、都の事業活動で排出される温室効果ガスのうち約半分を占める最大の排出事業者でありますので、エネルギーのコージェネレーション、再生可能エネルギーの活用に積極的に取り組むべきと考えます。
  そこで、水再生センターにおいて、バイオガスなどの再生可能エネルギーの活用をなお一層進めるべきと考えますが、下水道局のこれまでの取り組みと今後の進め方についてのご所見をお伺いいたします。
 
答弁3
 ▼下水道局長
 これまで地球温暖化の防止に向けアースプラン二〇〇四を策定し、汚泥処理の過程で発生する消化ガスを利用した発電や処理水の放流落差を活用した小水力発電など、温室効果ガス削減に取り組んでまいりました。さらに、平成十九年度には下水汚泥から炭化物を製造し、火力発電のバイオマス燃料として売却する事業を開始する予定でございます。
  今後とも、再生可能エネルギーの活用に積極的に取り組んでまいります。
 
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■低公害車の普及促進
 
質問1
 電気自動車など低公害車の市場への普及促進について伺います。
  平成十二年に石原知事の強力な指導力により東京都環境確保条例が制定され、平成十五年には首都圏一都三県でディーゼル車走行規制が開始されたことは記憶に新しいところであります。都の環境確保条例は、一定規模以上の自動車を使用する事業者に低公害車の導入を義務づけることなどにより、低公害車の普及を促進しております。私は、こうしたユーザーサイドの取り組みに加えて、自動車の供給サイドからの低公害車の普及を促す必要があると考えます。
  ゼロエミッションビークル法を制定した米国カリフォルニア州やEUなどでは、販売事業者などに対するこうしたアプローチが既に進められております。私は、自動車メーカーや販売事業者に対して、ディーゼル規制のときと同様に、電気自動車など低公害車の販売を促進するよう、東京都もより積極的に取り組んでいくべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 
答弁1
 ▼環境局長
 電気自動車やハイブリッド車などの普及は、大気汚染の改善やCO2の排出削減を進める上で有効でございます。今後、八都県市などとも広域的に連携しながら、自動車メーカーや販売事業者に対して、より環境負荷の少ない自動車の開発や販売を促す取り組みを推進してまいります。
 

 
質問2
 加えて、提案ですが、現在、自動車税においてグリーン化制度が導入されています。これは、低公害車を購入したユーザーに対して税制面でのインセンティブですが、自動車を販売する者に対して、一定割合の低公害車を販売しなければ、個人事業税や法人事業税において重課することで、販売、購入の両面から低公害車の普及促進に努めてはいかがでしょうか。ご見解を伺います。
 
答弁2
 ▼主税局長
 まず、低公害車普及のための税制の活用についてでございますが、各種の環境施策を積極的に推進していくことは有意義なものであると認識しているところであります。しかしながら、自動車販売という特定の業種の、そしてまた、特定の行為のみを対象として懲罰的な重課を行うことにつきましては、応益課税としての事業税の性格になじまないものと考えております。
 
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■燃料電池の率先導入について
 
質問1
 国においては、首相公邸に各種再生可能エネルギー設備のほか、家庭用燃料電池が二台設置され、内閣官房を初めとする政府の公用車の一部には燃料電池自動車が導入されているなど、国は戦略的に燃料電池の率先導入を図っています。
  東京都においても定置用燃料電池や燃料電池自動車など、燃料電池を積極的に導入すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 
答弁1
 ▼環境局長
 燃料電池は、電気をつくる過程では水しか排出しない極めて低公害のエネルギーでございます。また、発電の際に発生する熱を活用できる高効率な発電システムであり、二酸化炭素の削減を図る上からも、今世紀において最も期待される新エネルギーの一つでございます。しかしながら、技術開発の現段階におきましては、なおコストが相当程度高いこと、耐久性についても一定の限界があることなど、実用化に向けては克服すべき課題が少なくございません。
  都といたしましては、こうした燃料電池の技術開発動向を注視しながら、導入の可能性について研究してまいります。
 

 
質問2
 家庭用燃料電池は、一キロワット級でも一千四百平米の森林に相当するCO2削減効果があると試算されています。業務用、産業用のものではさらに大きなCO2削減効果が期待できます。こうしたものについて、緑化対策を講じた場合と同様に税制上での優遇措置を講じられないかお伺いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
 
答弁2
 ▼主税局長
 政策税制の検討に当たりましては、政策目的の重要性、税制の活用の必要性及び効果など十分に検証する必要がございます。
  燃料電池は将来有望なエネルギー源の一つでございまして、技術が確立し、そしてまた普及すべき段階に至れば、税制上の優遇措置を検討する余地もあり得るというふうに考えます。しかしながら、現在はいまだ実用化の途上にございまして、税制上の優遇措置の必要性を判断できる段階にはないものと考えます。
 
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