スペシャルオリンピックスを 放課後子ども教室の支援を |
松葉多美子(公明党) |
■スペシャルオリンピックス |
質問1 去る八月三十日、二〇一六年オリンピックの国内候補都市に東京都が決定しました。石原知事と議会で招致活動に取り組んできた結果であると高く評価するものです。
さて、IOC国際オリンピック委員会がオリンピックの名称使用を正式に許可した唯一のイベントがスペシャルオリンピックスであることは、一般には余り知られていません。身体に障害がある方が参加するパラリンピックに対して、知的発達障害のある方が参加する世界大会がスペシャルオリンピックスであり、夏季大会参加国は既に百六十カ国を超えています。
私は先日、スペシャルオリンピックスの関係者とお会いしましたが、このスペシャルオリンピックスの歴史は一九六三年までさかのぼり、アメリカの故ケネディ大統領の妹であるユーニス・ケネディ・シュライバー夫人が自宅の庭を開放して開いたデーキャンプが始まりとなります。
その後、一九六八年の夏季世界大会より、四年に一度ずつ夏季と冬季の大会が開催され、現在まで夏季大会は十一回、冬季大会は八回行われています。現在、夏季大会は、来年、中国の上海で、冬季大会は二〇〇九年にアメリカ・アイダホ州と、開催予定地が決まっています。
スペシャルオリンピックスの精神は、創設者であるユーニス・ケネディ・シュライバー夫人の次の言葉に集約されています。スペシャルオリンピックスで大切なものは、最も強い体や目をみはらせるような気力ではない、それは、各個人のあらゆるハンディに負けない精神である、この精神なくしては勝利のメダルは意味を失うと。
また、スペシャルオリンピックスは競技大会だけを指すのではありません。スペシャルオリンピックスの名称が複数形であらわされているのは、数年に一度の大会を開くことだけが目的ではなく、日常的にスポーツプログラムや教育プログラムを継続的に行う運動であることを意味します。そして、教育や訓練を受けることで自立でき、社会に貢献可能な人材であり、言葉を変えれば、社会人として納税者になれる人材であるとの考えが、スペシャルオリンピックスのコンセプトです。
このスペシャルオリンピックスは、現在、オリンピックやパラリンピックとは異なる時期に開催されております。そこで、四十二年前の東京オリンピックで初めてパラリンピックが同時期開催されたのと同様、スペシャルオリンピックスを含めた三大会の同一都市同時期開催を次の東京で実現することができれば、障害者スポーツの新たな歴史を築くことになります。
こうした提案を東京から発信すれば、平和と福祉都市東京を世界に大きくアピールすると同時に、二〇一六年のオリンピック招致への大きなインパクトになるのは間違いありません。
ケネディ家の庭から始まったといわれるこのスペシャルオリンピックスに、石原知事にはぜひとも注目していただきたいと思います。スペシャルオリンピックスに対する知事の見解を伺います。 答弁1 ▼知事 オリンピック招致とスペシャルオリンピックスについてでありますが、スペシャルオリンピックスは、知的障害のある人がさまざまなスポーツトレーニングや競技会に年間を通じて参加できる有意義な活動であると聞いております。
このため、今後、関係者の意見を聞きながら、スペシャルオリンピックスに対する効果的な支援についても検討していくつもりでございます。
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■放課後子どもプラン |
質問1 次に、放課後子どもプランについて伺います。
平成十九年度から、厚生労働省所管の学童クラブと連携した文部科学省所管の放課後子ども教室がスタートします。この事業は、放課後や週末に小学校の教室や運動場などを活用し、地域の方々の協力も得て、子どもたちとともに勉強やスポーツ、文化活動を行うものです。子どもたちの安全・安心な活動拠点を設ける総合的な放課後対策となります。
文部科学省所管のこの放課後子ども教室は、これまで子どもの居場所づくりとして緊急三カ年計画で取り組んできた地域子ども教室に、学びの場としての機能を加えて発展させたもので、公明党が積極的に推進してまいりました。
小学生の保護者の方々からは、子どもの健やかな成長や放課後の安全・安心な活動を支えるものとして、大変に強い期待が寄せられております。
そこで、まず、来年度から各小学校区で実施していく放課後子ども教室に対する都教育委員会の基本的な考え方を伺うとともに、これまで実施してきた地域子ども教室の成果について伺います。 答弁1 ▼教育長 子どもの放課後対策事業についてでございます。
平成十六年度から緊急三カ年計画で実施してまいりました地域子ども教室推進事業につきましては、小学校などに子どもたちの安全・安心な居場所ができたことや、地域の大人たちによります子どもを支える仕組みづくりが進められたことなど、大きな成果があったと考えております。
平成十九年度に創設が予定されております放課後子ども教室推進事業は、今までの地域子ども教室推進事業のこうした成果を引き継ぐとともに、さらに子どもたちに文化やスポーツなどの多様な活動を提供することなどによりまして、地域の教育力が向上することが期待できる事業であるというふうに考えております。
質問2 区市町村がこの事業を円滑に実施していくためには、学童クラブとの効果的な連携もさることながら、いかにして地域の人材を確保していくかが重要なかぎとなることはいうまでもありません。都教育委員会としても、推進委員会を設置するなど早期に体制を整え、効果的な仕組みづくりを行い、区市町村を支援していくべきと考えます。所見を伺います。 答弁2 ▼教育長 お話しのとおり、放課後子ども教室推進事業の実施に当たりましては、地域の人材の確保を初め、運営の効率的な仕組みづくりなどが重要な課題であると考えております。現時点では国からの要綱が示されておりませんが、区市町村におきまして本事業が円滑に実施されますよう、行政関係者や学校教育関係者など、関係機関との連携を図るための推進委員会の設置、人材の確保を中心的に担いますコーディネーターの資質向上のための研修、都教育委員会のホームページを活用した活動事例や安全管理に関する情報提供など、放課後子ども教室推進事業の実施に向けた効果的な支援策を検討してまいります。
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■起立性調節障害 |
質問1 今月十日、日本小児心身医学会から、起立性調節障害についての新しい診断・治療ガイドラインが示されました。この疾病は、小学校高学年から高校生に多く見られ、不登校の原因になることもあると指摘されています。
朝きちんと起きられず、親や教師からは、怠け癖がある、夜更かしが原因などと責められてきた子どもたちが、実は血圧などの身体機能の異常による病気を患っており、身体的治療によってかなり改善されることがガイドラインで示されています。
私は、ある不登校のお子さんを持つお母様からお話を伺いました。学校も大好きで、友人も多く、毎日楽しく学校に通っていた中学生のお子さんが、突然、朝に限って調子が悪くなり、学校に行けなくなってしまったそうです。病院に行っても原因がなかなか判明せず、三つ目の病院でやっと起立性調節障害と診断されました。初めは、お子さんが学校に行けないことを責めていたお母様が、この起立性調節障害が不登校の原因とわかってからは、お子さんの不登校にようやく落ちついて向き合えるようになったというのです。もっと早く原因がわかっていればとのお母様のお声を耳にして、私は、日本小児心身医学会のガイドラインを一日も早く学校関係者の皆さんに徹底してほしいと強く実感しました。
児童生徒の健康相談に関与する養護教諭や学校医などに対し、最新情報を提供して、学校関係者が起立性調節障害という疾病について一日も早く共通の理解を深めていくことが重要と考えます。所見を伺います。 答弁1 ▼教育長 起立性調節障害に関します最新情報の周知でございます。
起立性調節障害は、朝なかなか起きられず、午前中調子が悪いなどの症状がありまして、不登校との関係が重要視されております。しかし、保護者や学校関係者が身体疾患であるということを正しく理解することで、子どもは安心して、症状軽減につながるというふうにいわれております。
そのため、都教育委員会では、児童生徒の健康相談に携わる養護教諭など学校関係者が疾患について共通理解を図るため、ご指摘の起立性調節障害の最新情報を含めた学校生活で配慮すべき疾患の基礎知識につきまして、手引の作成を検討してまいります。
また、学校医に対しましても、東京都医師会及び東京都学校保健会と連携を図りまして、研修などを通じ周知してまいります。
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■女性専用外来 |
質問1 公明党の主張により、平成十五年に都立病院では初めて大塚病院に女性専用外来が設置されて以来、現在では、墨東病院、府中病院の三病院で開設されています。受診した方からは、診療時間が長く、丁寧に話を聞いていただき、不安が解消された、初めて確定した病名がつけられ、安心して治療に専念できるなどの意見が多く寄せられ、これまでの女性専用外来は多くの成果を上げております。
そこで、女性専用外来が大塚病院で開設してから早くも三年が経過しましたが、改めて各病院の診療実績と都としての評価を伺います。 答弁1 ▼病院経営本部長 平成十七年度の延べ患者数は、女性専用外来を開設している大塚、墨東、府中の三病院合わせまして約四千三百名で、おおむね前年並みでございます。
疾患別では、更年期障害、婦人科疾患、精神科疾患が多く、年代別では、お話しのように四十歳代から五十歳代で全体の約半数を占めております。
受診患者さんからはおおむねよい評価をいただいており、今後も、患者さん一人一人の要望に合わせてきめ細かな対応を図っていくつもりです。
質問2 女性のライフサイクルは、ホルモンの変化によって、小児期、思春期、成熟期、更年期、老年期に分けられますが、思春期と更年期は、心と体の機能に急激な変化があらわれ、心身のバランスが崩れやすい時期となります。特に思春期においては、子どもから大人へ成長する過程で戸惑ったりするなど、深刻に悩む時期でもあります。
現在、女性専用外来は四十代から五十代の方の利用が多いと伺っていますが、更年期に加えて思春期の世代にも広く周知を図るなど、思春期外来としての役割にも積極的に対応すべきと考えます。所見を伺います。 答弁2 ▼病院経営本部長 都立病院の女性専用外来での思春期の患者さんへの対応でございますが、思春期は心身両面において変化の大きな時期で、深刻な心身症状があらわれる場合もあり、その対応の重要性については認識しております。
女性専用外来におきましては、これまで思春期の患者さんについても対応してきておりますが、全体の中ではかなり少ない割合であることも事実でございます。
今後は、ホームページなどで、思春期の患者さんも診療できることを明確にして周知するなど、的確に対応してまいります。
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■善福寺川の水害対策 |
質問1 昨年九月四日、杉並区の善福寺川を初め都内全域で発生した大規模な水害については、まだ記憶に新しいところです。ことしに入っても、梅雨前線による豪雨や台風十三号による全国各地での被害状況が報道されるたびに、昨年、善福寺川の浸水現場で住民の方々と必死に救援活動させていただいたことを思い出します。雨が降るたびに、善福寺川沿いにお住まいの方々は、水害に対する心配がぬぐい切れないでいます。
昨年の第四回定例会で、建設局長は、私の質問に対し、善福寺川の環状七号線上流の約二キロ区間について、再び災害が起こらないように、河川激甚災害対策特別緊急事業として五カ年で緊急に整備を行うこととし、工事着手の準備を進めていると答弁されました。
まず、河川激甚災害対策特別緊急事業の現時点の進捗状況と今後の予定について伺います。 答弁1 ▼建設局長 本事業は、環状七号線上流の約二キロメートルの区間で、増水時に水の流れを阻害する二カ所の橋梁のかけかえ、約三百五十メートルの護岸整備及び和田堀公園内にある調節池の改修により、再度の災害を未然に防止するものでございます。
このうち和田堀調節池の工事は、貯留量を二万二千立方メートル増大させるもので、効果の早期発現を目指して年内に着手し、平成十九年度に完成させてまいります。
また、済美橋と本村橋二橋のかけかえや護岸整備につきましては、既に事業説明会を終え、現在、関係機関との調整を進めており、十九年度に着手する予定でございます。
今後とも財源確保に努め、地元の理解と協力を得て、二十一年度末の激特事業の完了に向け着実に整備を進めてまいります。
質問2 善福寺川の水害対策として、切り札ともいうべき大きな役割を果たすのが神田川・環状七号線地下調節池の第二期工事です。昨年九月の水害の際には、神田川からは、工事中であった第二期トンネル部分にも取水し、被害を減らすことができましたが、善福寺川については、取水の取り入れ口はまだ工事中であったため、環七地下調節池は残念ながら機能することができませんでした。
昨年の水害でも神田川の被害は少なく、環七地下調節池の効果が証明されています。第二期工事の一日も早い完成が善福寺川周辺住民の皆様から強く期待されています。来年の梅雨の時期までに完成させるべきです。その見通しについて伺います。
環七地下調節池は、現在でも年間三千人を超える見学者があると聞いており、数多くの都民が集まる場所となっています。第二期工事が完成したときには、敷地内に学習施設や地域のコミュニティの場、あるいは公園を整備するなど、地元堀ノ内地域を初め、都民に開かれた施設としての活用を目指すことを強く要望して、質問を終わります。 答弁2 ▼建設局長 神田川・環状七号線地下調節池の第二期事業の見通しについてでございますが、既に、第一期と合わせ、五十四万立方メートルの洪水を貯留する地下トンネルが完成しており、昨年九月には、善福寺川からも暫定的な施設により取水を開始しております。
現在は、取水ゲートや排水ポンプ、管理棟などの工事を実施しており、今年度末に完成させてまいります。
この結果、来年の出水期からは、これら取水施設の本格的な運用が可能となり、善福寺川流域の安全性がさらに向上いたします。
今後とも、神田川流域全体の治水安全度向上に向け、護岸や効果的な調節池の整備を積極的に進めてまいります。
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