自転車の安全な利用を促進せよ 公園の魅力を高める仕組作りを |
松下玲子(民主党) |
■自転車対策 |
質問1 初めに、自転車の安全な利用を促進していくべきという観点から、自転車対策について何点かお伺いします。
本年三月の予算特別委員会において、自転車の安全対策について伺いました。その際、自転車の交通事故の増加が明らかになり、また、交通事故全体に占める自転車事故の割合がふえており、都としても、自転車の交通事故を防ぐことは重要と認識され、取り組んでいくという前向きなご答弁をいただきました。
その後、国の第八次交通安全基本計画における自転車の位置づけ、都の第八次交通安全計画、交通安全実施計画においても、重点施策として自転車の安全利用の推進が掲げられております。
そこで、都の第八次交通安全計画において、自転車の安全利用の推進を重点的な取り組みに取り上げた理由についてご所見をお伺いします。 答弁1 ▼青少年・治安対策本部長 第八次東京都交通安全計画におきまして自転車の安全利用の推進を重点施策とした理由についてでありますが、平成十七年に都内で発生した自転車の交通事故は二万七千七百五十九件に及んでおりまして、これは全交通事故発生件数の約三五%を占めているという数字でございます。
また、これは全国平均と比べ約一五ポイント高く、また、全交通事故死者数に占める自転車事故死者数の割合も、都内は全国平均よりも高くなっております。
こうした状況を踏まえまして、自転車の安全利用の促進を重点施策の一つと位置づけたものでございます。
質問2 私は、本年三月の予算特別委員会で、自転車の質問の最後には、自転車にも任意ではなく義務としての自賠責保険制度を取り入れること、ICタグなどを活用して所有者管理を行うこと、マナーに訴えるだけでなく、より強制力の働く方策を関係機関と連携して検討いただき、自転車事故をなくしていくことを強く要望いたしました。
都の第八次交通安全計画の中には、交通ルールを守らない自転車利用者に対する指導警告等に加え、特に悪質な自転車利用者の違反に対しては取り締まりを強化する必要があると書かれています。
また、警察庁は、この四月に各都道府県の警察本部に対し、指導取り締まりの強化について通達を出しています。これは、今までの取り組みとは大きく異なるため、新聞や雑誌などでも、自転車悪質違反に赤切符、自転車にも違反切符など大々的に取り上げられました。
実際、都内の自転車取り締まり件数は、既に昨年の約三倍の四十五件、指導警告数は約五万件であると伺っています。また、今月二十四日の新聞報道では、自転車の交通違反者に指導警告票、いわゆるイエローカードを交付した件数が、既にことし一月から六月までに全国では約六十五万件にも上ると報道されておりますが、まだまだ自転車が道路交通法上の軽車両であり、交通ルールを守らず違反した場合は赤切符が切られるということ自体知らずに自転車に乗っている人が多いのではないかと思います。取り締まり強化はもとより、より交通ルールを知ることができるあらゆる方法を考えていただきたいと思います。
このような中、都では、自転車問題について総合的に検討することとして、本年五月に自転車総合対策検討会を設置されていますが、この検討会を設置した経緯についてお伺いします。 答弁2 ▼青少年・治安対策本部長 自転車総合対策検討会の設置の経緯についてでありますが、自転車は、ご案内のとおり、子どもから高齢者まで利用される身近で便利な交通手段でございます。しかし一方で、交通事故だけではなく、歩道における無謀な運転、あるいは放置自転車などさまざまな問題が生じておりまして、第八次東京都交通安全計画におきましても総合的な対策を検討することとしたところでございまして、これに基づき、本年五月にこの検討会を設置し、自転車にかかわる諸問題の検討を現在行っているところでございます。
質問3 今月十九日には、検討会の議論の取りまとめである自転車総合対策中間のまとめが発表されました。この中で、自転車の基本的考えを、都市における主要な交通手段の一つと位置づけています。自転車の利用を促進していくという基本的考えかと思いますが、改めてお聞きします。
検討会では、自転車の安全利用のために、どのような基本的考え方に基づき、どのような視点から検討されているのか、お伺いいたします。 答弁3 ▼青少年・治安対策本部長 検討会における基本的な考え方などについてでありますが、自転車は都市における主要な交通手段の一つであり、環境負荷の軽減、また交通渋滞の緩和などの面で有効であると考えております。しかしながら、その利用を促進するためには、解決しなければならない課題も多く、検討会ではさまざまな課題を、交通ルールの遵守とマナーの向上、放置自転車の改善、安全な走行空間の確保、そして自転車の安全性の向上の四つの視点から整理をし、具体的な対策を検討しているところでございます。
質問4 また、自転車に関しては都民の方々にもさまざまな意見があると思います。幅広い都民の方々の意見も取り入れ、さらに検討を重ね、この報告書を実効性のあるものとしていただきたいと思います。自転車総合対策検討会の今後のスケジュール及び報告取りまとめ後の進め方についてご所見をお伺いします。 答弁4 ▼青少年・治安対策本部長 検討会の今後のスケジュールなどについてでありますが、先般、中間のまとめを発表いたしました。現在、都民から幅広く意見募集を行っておりまして、提出されたご意見を参考に年内に報告をまとめていく予定でございます。報告の取りまとめの後は、区市町村など関係機関と協力しまして具体的な対策に取り組んでまいります。
そのため、速やかに説明会を開催して内容の周知を図りますとともに、広く交通安全対策を協議する場であります首都交通対策協議会なども活用しまして、関係機関との一層の連携を図ってまいります。
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■武蔵野三・四・二四号線の整備 |
質問1 武蔵野市の都市計画道路、武蔵野三・四・二四号線の整備についてお伺いします。
現在、この地域では、JR中央線の連続立体交差事業により、踏切除去が平成二十年秋には予定されており、その連立事業にあわせ、亜細亜大学通りからJR中央線南側の一方通行を解消すべく武蔵野三・四・二四号線のⅠ期区間で事業が行われています。
また、Ⅱ期区間は、JR武蔵境駅の南側、武蔵野市境南町を通り、天文台通りと呼ばれており、この路線の両側には商店や住宅などがありますが、歩道がないため大変危険で、都市計画決定後四十年以上もの長い間、事業化決定が待ち望まれています。
地元住民の意見を伺いましたところ、通過車両が多いのに歩道もなく安心して買い物ができない、都市計画制限がかかっており、ビルができたところは計画道路の線まで下がって建ち、建てかえていないところは道路に飛び出すような形になってしまっており、交通安全上も問題がある、一昨年測量を行っていたので間もなく事業決定するかと思っていたら一向に進まないため、情報もなくこの先不安であるなど、早急な事業化を望む声が多数あります。
実際、歩道のないこの天文台通りを歩くと、車が横をすれすれに通り、非常に危険な通りであることがよくわかります。既にセットバックしている建物の前の広がった場所に出るとほっと安心するほどです。自動車は、自転車や歩行者を避けて中央線をはみ出して走行しています。私は、現在施行中のⅠ期区間の一方通行が解消し、中央線の踏切が除去されると、交通量が増加し、ますます歩行者の危険性が高まるのではないかと考えています。
ことし四月に発表された多摩地域における都市計画道路の整備方針、第三次事業化計画の中で、武蔵野市では唯一優先整備路線と位置づけられていることは、地元としても大変うれしく、周辺住民や歩行者の安全確保のため、地域活性化のため、多摩地域の南北交通の円滑化のためにも、早期の事業化決定を強く要望します。
そこで、武蔵野三・四・二四号線の、既に事業化しているⅠ期の進捗状況と、Ⅱ期の今後の取り組みについてご所見をお伺いします。 答弁1 ▼建設局長 本路線は、五日市街道、亜細亜大学通り、連雀通りを結び、地域のまちづくりや防災性の向上に資する重要な道路でございます。
このうち、亜細亜大学通りから連雀通りまでの千六十メートルを二区間に分けて事業化を図っております。JR中央線と交差するⅠ期区間の四百八十メートルにつきましては、平成十四年度に事業化し、十七年度末までに用地の三割を取得しております。また、南側のⅡ期区間の五百八十メートルにつきましては、これまで、事業化に向け、地元市との調整や必要な事務手続を進めてまいりました。引き続き市と連携を図り、年内には地元説明会を開催して、用地取得に着手いたします。
今後とも財源確保に努め、地元の理解と協力を得ながら着実に道路整備を進めてまいります。
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■都立井の頭恩賜公園 |
質問1 都立公園についてお伺いします。
本年三月の予算特別委員会において、都立公園の役割や、より一層の利用促進について伺いました。その中で、公園ごとの立地特性や個性を生かした魅力ある公園づくりに取り組んでいくとお答えいただいています。
これを踏まえて、都立公園の魅力をさらに高めていきたいという観点から、まずは都立井の頭恩賜公園についてお伺いします。
私の地元の武蔵野市では、原っぱ広場を中心とした比較的新しい武蔵野中央公園と、大正時代からの歴史があり、来年は開園九十年、二〇一七年には開園百年を迎える歴史ある井の頭恩賜公園という、二つの個性ある都立公園があります。
井の頭公園は、公園に隣接する井の頭線の駅を有し、吉祥寺駅からも近く、近隣には商店街も発達しており、多くの人々が集まる繁華街に立地しています。公園内では、大道芸や大変人気のあるストリートミュージシャンによる音楽演奏、また、都民による手づくりの絵はがきやアクセサリーなどの芸術作品が展示、販売されるなど、芸術文化性豊かな公園であり、公園利用者もそれらを楽しみに、週末になると多くの人が訪れています。
公園は公の場であり、禁止事項がありますので、何でもできるわけではありませんが、こういった井の頭公園の特性を生かすことは重要であると考えます。例えば、障害を持った人たちの手づくり作品や、自慢の手づくり作品などさまざまな芸術作品を展示、販売し、訪れる人たちと会話や交流を楽しむことができるような仕組みづくりについて、地元市や商店街、近隣住民などの意見も聞きながら進めていっていただきたいと思います。地元の人や観光でいらっしゃる人など、来園者が魅力を感じ、楽しむことができる公園利用促進の仕組みづくりが必要と考えますが、ご所見をお伺いします。 答弁1 ▼建設局長 井の頭恩賜公園は、吉祥寺駅に近い立地特性や、武蔵野の豊かな緑と井の頭公園の湧水を生かした公園として多くの利用者に親しまれております。園内の一部では、大道芸や演奏活動、手芸品などの展示が行われ、公園のにぎわいを生み出しております。
一方、豊かな自然の中で公園を自由に散策したいという人々も多く、にぎわいを求める利用者との調和を図る必要がございます。
このため、演奏活動や作品展示などについては、開催場所や回数など一定の条件のもとで継続して実施できるよう、地元市や商店街と連携して仕組みづくりを進めてまいります。
質問2 都は、平成十六年にパークマネジメントマスタープランを策定し、公園を管理するという観点のみではなく、経営するという観点に視点を変えていく、非常に今の社会経済の状況にも合ったプランであると理解しています。
また、本年六月には、このマスタープランに基づき、今後十年程度を見据えた公園の整備管理の方針として、公園別マネジメントプランを策定中と発表があり、都民の意見も募集したとのことですが、その方針においても、井の頭公園の特性を生かした魅力向上のための目標を明確に位置づける必要があると考えますが、ご所見をお伺いします。 答弁2 ▼建設局長 現在作成中の公園別マネジメントプランは、公園ごとの立地条件などを踏まえて、管理のあり方や整備の方向性を示すものでございまして、本年六月に原案を公表し、パブリックコメントを募集いたしました。
井の頭恩賜公園は、多くの人々が訪れるにぎわいと豊かな自然環境が特徴でございます。これらの特徴を生かし、魅力向上を図るため、マネジメントプラン原案では、芸術文化活動の場の提供及び自然体験活動や環境学習の拠点としての活用など、四点を目標として掲げております。
今後、パブリックコメントの意見などを参考に、井の頭恩賜公園のマネジメントプランを年内に策定し、来園者が魅力を感じる公園づくりに努めてまいります。
公園別マネジメントプランの策定に都民の意見を幅広く聞いたことを評価しています。公園利用者を顧客であると位置づけ、顧客の満足向上のために意見を取り入れるという、まさにマネジメント、経営の視点を都の財産、都民の貴重な財産である都立公園に取り入れ、都民とともに公園を育てていただきたいと思います。
プラン・ドゥー・チェック・アクションといったマネジメントサイクルを活用した試みは、他の都の施設にも応用できると思いますので、ぜひよい事例となるよう取り組んでいただきたいと思います。
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■観光振興 |
質問1 都は、千客万来の世界都市東京を目指して、観光が持つ重要性を認識し、海外から多くの観光客を招くべく、観光産業振興に取り組んでいます。
まずは、観光産業振興に取り組む知事のご所見を改めてお伺いいたします。 答弁1 ▼知事 観光はまさに産業でありまして、関連する産業のすそ野が広く、経済波及効果が大きいため、都においては重要な産業と位置づけ、その振興に力を入れております。
個人的なことでありますが、私、運輸大臣をしておりますとき、運輸省が観光を管轄してはどうもおかしい、こんなものは通産に預けるべきじゃないかといって役人からひんしゅくを買いましたが、私がいったことは間違っていないと思います。東京もそういうことで、かつては観光は生活文化局に事業が属していましたけれども、今変えまして、産業労働局に移しました。その方がもっとアクティブな活動ができると思いますが。
その結果、東京を訪れる外国人旅行者は、この四年間で何とか二百七十万から四百五十万と少し増加して、経済波及効果も六千二百五十八億円に及んでいるようであります。
これは、国に先駆けて積極的な海外へのシティーセールスや観光案内標識の整備など施策を展開したことに加えまして、区市町村や都民、民間事業者などを巻き込んださまざまな観光施策の成果と受けとめております。
しかし、まだまだ外国人の旅行者に対する情報も足りませんし、また便宜性も欠けているところがあると思います。前にもお話ししたかもしれませんが、ドイツを自動車旅行しますと、ドイツ語が何とか読めましたら、言葉はできなくても、行き先は全部数字でフォローできるようになっていまして非常に便利ですが、そういう努力も私は日本はもっともっとすべきじゃないかと思っております。
まさに観光こそ都市の活力の源泉であるとの認識に立ち、今後も観光産業振興に取り組んでいきます。
質問2 平成十六年三月に発表された東京都観光まちづくり基本指針では、東京都が進める観光のまちづくりは、地域が主体となって、住む人が誇れ、旅行者が何度でも訪れたくなる活力あるまちづくりを目指すものとして、地域特性に応じた観光まちづくりが提案されています。
東京都の観光を振興し、千客万来の世界都市東京を目指していくためには、都内各地域が主体的に観光振興に取り組み、それぞれの地域が千客万来を目指して東京全体の観光の底上げを図っていく必要があると思います。
例えば、私の地元の武蔵野市では、商工会議所が中心となって周辺自治体の観光スポットも網羅した広域な観光マップを作成し、大変好評を博しております。また、来月には、東京都も後援している吉祥寺ウエルカムキャンペーンの秋のメーン企画である吉祥寺アニメワンダーランド、来年早々には武蔵野吉祥七福神めぐりが企画され、市内の観光ポイントをめぐるにぎやかなイベントを実施すると聞いています。
こうした地域主体の観光の取り組みは、他の市区町村においても熱心に行われていることと思いますが、一方で、地域主体のため、地域を超えた情報発信力という点では難しい面があるのではないでしょうか。
都内各地で実施されるさまざまな魅力あふれる観光の取り組みを支え、幅広くかつ効果的にPRすることができれば、まさに千客万来の世界都市東京にふさわしく、都内だけでなく国内外からの観光客の来訪も期待できます。
そこで最後に、都は、地域が主体的に取り組む観光事業に対し支援を行っていくことが必要であると考えますが、ご所見をお伺いします。
以上で質問を終わります。 答弁2 ▼産業労働局長 東京の観光振興を図るためには、地元自治体や観光を担う民間団体による地域の主体的な取り組みを支援することが重要であります。
都はこれまでも、ホームページ「東京の観光」や観光情報センターにおいて、地域ならではの観光資源や地域が主体的に取り組む観光イベントのPRを実施してまいりました。また、地域が的確に観光まちづくりを展開できるよう、アドバイザーを派遣するなどの支援を行ってきたところであります。
今後とも、区市町村との連携を図りながら、地域による取り組みの状況も踏まえ、必要な支援を行ってまいります。
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