少年犯罪防止は保護司と連携で 農地を保全し都市農業の振興を |
山田忠昭(自民党) |
■青少年・治安対策 |
質問1 最近の少年犯罪状況は、ことし一月から六月までについて見ますと、昨年の同じ時期に比べて約二割減少するなど、発生件数は減少傾向が続いているものの、現状は危険水域からようやく一息がついたというところにすぎません。今後も引き続き、少年犯罪を防ぐ取り組みを続けていかなければならないことには変わりありません。
特に、このところ、全国で家族や同級生などを殺傷する事件が相次いで発生していることは、憂慮すべき事態であります。個々の事件の背景には、容易にうかがい知れない深い事情があるのかもしれませんが、報道などを見聞きする限り、ほんの小さなことで感情を爆発させて、重大な結果を引き起こしていくようにも見えます。我慢やこらえ性を教えられなかった保護者や周囲の大人の接し方、育て方にも悲惨な事件の一因があるのかもしれないと思うと、子どもを取り巻く我々大人の責任は非常に大きいと改めて感じます。
そこでまず、最近の青少年の状況についてどのようにとらえているのか、知事の所見をお伺いいたします。 答弁1 ▼知事 現在の日本は、平和のうちに物質的な豊かさを享受している反面、それが逆にむしろあだとなったのでしょうか、青少年の健全育成にとっては思わぬ結果をもたらしたような気がいたします。いわば平和の毒とでもいうのでしょうか、きちんと子どもをしつけ、教育をすることができない親がふえました。地域の大人も子どもをしかってくれるようなことがなくなりました。
実は、先般、北区の、国が新設しましたトップアスリートたちのためのトレーニング施設を見学いたしましたが、ちょうど日本の女子バレーのナショナルチームが合宿しておりました。何か座学をしておりましたので、そこに行きましたら、柳本さんといいましたか、ナショナルチームの監督が、来たついでに何か話をしてくれということで、私、四十年ちょっと前の東京オリンピックの最後の東洋の魔女たちがロシアに勝った、あのシーンの話をしました。
そのときの大松さんが、一人の男として非常に美しく見えた。優勝した瞬間、離れて静かに遠くから自分の育てた魔女たちを見送って拍手して、メディアからすっと身を離した。そんな、鬼の大松といわれた監督がいかに男として優しく、美しく見えたかという話をしましたら、監督はその後追っかけてこられまして、実は、石原さん、私も大松さんをあこがれ、本当に尊敬しておりますが、なかなか当節そうはいかなくなりました。ナショナルチームといえども、厳しく怒るとすぐやめるといい、泣くといい、全く代表選手の資質がかつてとは変わりましたなと慨嘆しておりましたが、私にとってもちょっとショックな発言でありました。
幼いころから願望を何でも満たされて育った子どもが、こらえ性を欠いたまま大人になっている。これはもう幼い子どもと、大人の親もそうだという気がいたしますが、まず、子どものしつけに一番の責任のある各家庭で、親が自分の責任で厳しくしつけることが大切だろうと思います。
さらに、今、地域の大人も、それと連携して、自分たちのために近所の子どもを育てていくという心構えが肝要であると思っております。
質問2 少年犯罪情勢について、全体として改善が見られるのは喜ばしいことですが、その一方で、再犯者率が上昇傾向にあることには不安を感じざるを得ません。特に、ことし上半期の少年の再犯者率は、全国では三一・〇%で、検挙された少年の実に三分の一が再犯であることは、極めて憂慮すべき事態であります。
少年犯罪を減らしていくためには、まず、少年が非行の道に入らないよう、社会環境を整えることが大切であります。それとともに、道を誤ってしまった少年をそこから救い出し、正しく導く、すなわち、再犯を防止することが不可欠であります。
少年の再犯をどうやって防ぐかというのは難しい課題であり、さまざまな対策を組み合わせて取り組む必要がありますが、最終的には、非行から立ち直ろうとしている少年を、地域社会の一員として受けとめ、受け入れていくことが必要であります。これこそが少年の更生ということの本質であり、社会奉仕の精神を持って地域で中心となって活動しているのが保護司であります。
保護司の方々は、こうした保護司の役割が極めて重要なものであると確信し、みずからの任務に誇りを持って取り組んでおられます。
その反面、保護司の活動に対する都や区市町村のかかわりは極めて少ないのが現状であります。保護司が受け持った少年の更生には多様な手助けが必要ですが、現状は、保護司自身の知識、経験と努力のみに過度に頼っているのが実態であります。
そこで、保護司が社会において果たしている役割について、都としてどう考えているのか、お伺いをいたします。 答弁2 ▼青少年・治安対策本部長 保護司は、非行から立ち直ろうとしている少年と向き合っておられまして、更生に向けた必要な指導、援助を無報酬で行っておられ、現在約三千九百名の方々が都内で活動されております。
保護司の任務は、少年のプライバシーなどにも十分配意しながら、それぞれの少年の事情に応じて立ち直りの道筋をつけていくというものでございまして、非常に重要かつデリケートな仕事を日ごろ果たしておられるものと認識しております。そうした保護司の方々の活動に対し、深い敬意を評するものであり、その活動は少年の非行防止に大きく貢献しているものと考えております。
質問3 保護司が取り扱う保護観察対象者の約六割は少年であり、非行を犯した少年が立ち直ることは、保護司にとって大きな喜びであります。そうした少年の中には、少年院を仮退院した後、何とか社会に溶け込もうと努力している少年も少なくありませんが、こうした少年は、育ってきた環境や経歴などから、地域社会の一員として復帰するのに非常な困難があるというのも事実であり、保護司は、その手助けのため、日夜大変な労苦を重ねております。
都は、平成十七年十一月二十四日に、青少年問題協議会に、非行程度の進んだ少年の再非行化防止について諮問をしていますが、このテーマはまさに保護司の活動を抜きに語ることのできない問題であります。
青少年問題協議会の答申は秋にもなされる予定であると聞いていますが、保護司についてはどのような議論が行われているのか、お伺いいたします。 答弁3 ▼青少年・治安対策本部長 青少年問題協議会におきましては、少年院を出た少年の立ち直りのために必要な就職先や住居の確保あるいは生活面でのサポートなどさまざまな支援のあり方について検討がなされてきたところでございます。
そうした中で、保護司につきましては、少年と直接接してその立ち直りを支えておられますので、そうした保護司の活動を、就業や教育などにかかわる都や区市町村あるいは国などの多くの機関が連携して支援していくということが何よりも大切である等の議論が行われてまいりました。最終答申は十月に取りまとめられ、知事に答申される予定でございます。
質問4 また、保護司との連携強化が最終答申の大きな柱になるようですが、残念ながら、これまで都を含めた地方自治体は、保護司の活動に対して、余り熱心に支えてこなかったのではないかと思います。今回の青少年問題協議会の答申が契機となって、都が保護司の支援に取り組むことは、少年院を出た少年の立ち直り支援、再発防止という観点からも望ましいことと考えます。そのためには、単に報告書として出されて足れりというものではなく、ぜひその内容を実現に移してもらいたいと思います。
少年院を出た子どもたちの立ち直りを支援するために、保護司との連携強化に取り組む決意を伺いたいと思います。 答弁4 ▼青少年・治安対策本部長 非行から立ち直ろうとしている少年と実際に向き合っている保護司の方々の活動を、行政を初めとする地域社会でしっかりと支えていくことは大変に重要なことであります。しかしながら、これまで自治体でのそうした取り組みは必ずしも十分ではありませんでした。
都としましては、今後関係する機関とともに、保護司また保護司会との連携を大幅に強化し、非行少年の更生、再犯防止のための取り組みを積極的に進めてまいります。
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■西東京市内の都市基盤の整備 |
質問1 東京の都市を再生し、地域を活性化するためにも、その基盤施設となる道路ネットワークの整備は喫緊の課題であります。
現在、東京都においては、区部環状、多摩南北方向の道路整備が重点的に進められていることは承知しておりますが、一日も早く幹線道路ネットワークが構築されることを熱望しているところであります。
特に、私の地元の西東京市は、南北方向を結ぶ基幹となる道路がないことや、さらに、市内を東西方向に二本の鉄道が通ることなどから、地域が三つに分断されており、南北方向の移動に多くの時間を要しております。
加えて、区部と多摩を結ぶ青梅街道や新青梅街道、さらには所沢街道等が北原交差点周辺で交わり、大変な交通渋滞が発生しております。
そこでまず、この地域の南北方向の交通アクセスに大きく寄与する調布保谷線の整備の取り組み状況についてお尋ねをいたします。 答弁1 ▼建設局長 調布保谷線の整備の取り組み状況についてでございますが、本路線は、交通の円滑化、多摩の自立性の向上、地域の活性化に不可欠な骨格幹線道路でございます。西東京市内での調布保谷線は、青梅街道から埼玉県境までの三・九キロメートルが事業中であり、今年度末には九〇%の用地を取得する見込みでございます。さらに、本年十一月には、石神井川にかかる橋梁の下部工事に着手するとともに、引き続き西武新宿線及び西武池袋線との立体交差区間の工事を順次実施してまいります。
質問2 調布保谷線と結ばれることで飛躍的に都心部への交通アクセスが向上し、青梅街道や新青梅街道などの東西方向の交通の分散に効果が高い新東京所沢線と、その延伸部であります放射七号線の整備の取り組み状況についてお伺いいたします。 答弁2 ▼建設局長 これらの路線は、多摩北部地域と区部の連携強化を図る重要な骨格幹線道路でございます。このうち新東京所沢線は、調布保谷線から区市境までの五百七十メートルが事業中であり、今年度末には八三%の用地を取得する見込みでございます。
また、放射第七号線につきましては、本年七月に区市境から目白通り北園交差点までの二キロメートルの区間で事業認可を取得し、用地買収に着手いたしました。
今後とも、財源確保に努めるとともに、地元の理解と協力を得ながら、多摩地域のバランスのとれた道路ネットワークの早期形成に向け、南北を貫く調布保谷線、東西方向の新東京所沢線などの整備を積極的に進めてまいります。
質問3 また、渋滞箇所の象徴ともいうべき北原交差点周辺の交通渋滞を解消するには、道路ネットワークの早期形成はもちろん、ボトルネックとなっています北原交差点での局所的な対策もあわせて行うことが必要であると考えます。そこで、ボトルネックとなっております北原交差点での渋滞対策についてお伺いをいたします。 答弁3 ▼建設局長 本交差点は、主要な幹線道路でございます新青梅街道と所沢街道が鋭角に交わる上、交通量に占める大型車の混入率が高く、車線幅も狭いなどの理由から、渋滞が発生している箇所でございます。このため、本交差点を、スムーズ東京21拡大作戦の対象箇所とし、車線拡幅に必要な用地の確保などについて、関係機関と調整を重ねてまいりました。
その結果、交差点に隣接する用地の確保ができたため、車両通行の円滑化に効果のある車線を拡幅する交差点改良工事を年内に着手いたします。
今後とも、道路ネットワークの早期整備とあわせ、即効性の観点から、渋滞緩和に有効な交差点改良などの局所的整備にも積極的に取り組んでまいります。
質問4 石神井川の整備について伺います。
昨年九月の集中豪雨による大水害の記憶が冷めやらぬ中、本年九月十一日の明け方の集中豪雨では、私の地元西東京市内でも浸水被害が発生いたしました。
水害には、河川からの浸水だけではなく、雨水が河川や下水道にのみ切れないで発生する浸水被害、いわゆる内水被害があります。この内水被害の軽減のためには、一刻も早く河川整備を進め、下水道の受け皿となる河川の流下能力を高める必要があります。
石神井川の整備は、下流の区部から順次進められていますが、上流部に位置する西東京市内はほとんど未整備区間となっています。そのため、整備がおくれているところですが、今後、石神井川の整備では、洪水対策だけでなく、狭く、人々も近づけない今の川を、緑豊かで、水辺に近づけ、潤いが感じられる河川に再生し、石神井川を西東京市内の東西に横断する良好な環境のシンボル的な存在としていくべきと考えますが、所見を伺います。 答弁4 ▼建設局長 本年三月に策定した石神井川の河川整備計画において、治水はもとより、景観や環境に配慮した整備を進めていくこととしております。現在、石神井川の西東京市区間の整備に際し、東伏見石神井川緑地などとの一体的整備による親水化や、魚や昆虫、水鳥などにも優しい多自然型の川づくりを進めております。
さらに、川の両側に設置する河川管理用通路を緑化するとともに、可能な箇所では水辺に近づける階段式の護岸を整備するなど、魅力ある水辺空間となるよう工夫してまいります。
今後とも、地元自治体と連携を図り、安全で都民に親しまれる石神井川の整備に努めてまいります。
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■都市農業の振興 |
質問1 都市農業の振興について伺います。
私は、東京都議会自由民主党・都市農政を考える議員連盟が七月に主催いたしました青壮年農業者との懇談会に出席しましたが、若い農業者は、相続が起きたら農業が続けられないと異口同音に危機感を募らせていました。
農地面積の六割が市街化区域内に存在する東京では、他の道府県に比べ地価が高く、相続が発生した場合、生産緑地は納税猶予が受けられるものの、農業施設用地や屋敷林などは納税猶予が受けられず、相続時に多額の税負担を強いられ、年々農地が減少する大きな要因になっています。
このため、我が党では、さきの第二回都議会定例会で、農地の置かれている危機的状況について知事に伺ったところ、都市における農地は非常に貴重な重要なもの、農地としてしっかり保ち続けていく努力を多角的にしなければいけないという答弁を知事からいただいたところであります。
その後、都では、農地を保全するため、都市農業のあり方について検討を開始したと聞いていますが、その取り組み状況について伺います。 答弁1 ▼産業労働局長 ご指摘のとおり、市街化区域内の農地は、相続時の税負担が主な原因となって減少し続けております。そこで、都は、農地を保全し、都市農業を振興するため、本年七月に学識経験者や農業者等で構成する都市農業検討委員会を設置いたしました。現在、都市政策における農業、農地の位置づけ、都市農地制度と税制度、農地経営、担い手、農地保全対策などの課題について検討を進めており、年内を目途に取りまとめてまいります。
報告を受け、国の制度改正が必要なものについては、関係省庁に強く働きかけるとともに、都が独自に取り組むものについては、早急に必要な施策を検討してまいります。
質問2 このように、大半が市街化区域内の中にある東京の農業は、消費者である都民との密接な関係のもとに成り立っています。新鮮で安全な農作物の供給だけでなく、都市の貴重な緑地空間の提供、さらには都民がその生産現場に触れることで、自然の恵みを実感し、食を大切にする心がはぐくまれるなど、多くの機能を発揮しています。
最近、私の住む西東京市では、地元の農家みずから、消費者と一緒になり、生産物の販売や加工、調理実習などを行う食育活動を始めました。
我が党では、以前から食育の重要性について指摘してきたところですが、今般、都は、食育推進計画を策定し、食育に積極的に取り組むと聞いております。
そこで、都がどのように食育に取り組んでいくのか、基本的な考え方を伺います。 答弁2 ▼産業労働局長 東京では、家庭でのバランスのとれた食習慣を身につけにくくなってきたことや、食を大切にする心が薄れるなど、食をめぐる問題が顕在化しております。そのため、今般、東京都食育推進計画を策定し、総合的な食育を推進することといたしました。
基本的な取り組みの方向は、家庭、学校、地域が連携して子どもの食育を進めること、農業体験や生産者との交流を通じ、食や自然に感謝する心を育てること、東京に集積している食に関する情報や人材などを積極的に活用することの三点であります。
今後、食をめぐる問題の解決に向け、外食産業などとも連携しながら、東京発の食育を力強く推進してまいります。
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■消費者対策 |
質問1 消費者被害の元凶であります悪質事業者に対する規制の強化について伺います。
最近、テレビや新聞などで、悪質商法によるさまざまな事件、高齢者の深刻な被害などが毎日のように報道されています。悪質事業者というのは、一つ手口が通用しなくなると、また新たな手口で消費者をねらうというように、一度味をしめると執拗に繰り返す者も多いと聞きます。こうした悪質事業者が社会にはびこることにより、消費者が安心して事業者とのかかわりを持てなくなるようでは、健全な事業者の活動にまで影響しかねません。
この七月に出された消費生活対策審議会の部会中間報告では、悪質、巧妙化した手口への対応として、事業者規制に関する条例の整備と、その条例整備の効果を最大限に発揮できる不適正取引防止対策事業の充実についての提言がなされております。
現状でも、東京都は、例えば現行の法令や条例に基づいて、近県と合同で悪質事業者の処分を行ったり、最近被害が多発している催眠商法について、迅速に情報提供を行うなどのさまざまな対策を行っていることは、私も十分承知しております。しかしながら、悪質事業者を排除し、消費者被害を防止するには、やはり、しっかりと条例に基づく規制策を充実して、厳正に対処していくべきと考えます。
現実に起きている消費者被害の拡大防止は待ったなしであります。条例改正についてもできる限り早く実現することが重要であると考えますが、ご所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。 答弁1 ▼生活文化局長 消費者被害の防止対策についてでございますが、最近の消費者被害の特徴を見ますと、高齢者の健康上の不安や孤独感、若者の社会経験の乏しさにつけ込むなど、より悪質、巧妙な手口によるものが増加しており、有効な対策が急がれております。今回、東京都消費生活対策審議会の部会からも、悪質事業者への規制を強化すべきとの中間報告がなされたところでございます。
今後、審議会の答申を受けました上で、都としてその趣旨を踏まえた消費生活条例の改正案をできる限り速やかに取りまとめ、都議会にお諮りできるよう準備を進めてまいります。
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