駐日外国公館との交流による オリンピック招致活動をせよ |
大塚たかあき(民主党) |
■東京オリンピック |
質問1 昭和三十九年、初めてオリンピックが東京で開催され、亡き母に手を引かれ代々木の国立競技場に行き、聖火台に火がともされたときの感動は今でも鮮明に記憶をしております。それから四十二年が経過し、都議会議員として都議会で招致決議に賛成し、去る八月三十日の国内候補選定の決定的瞬間を、最前列で同僚議員の皆さんと夢と希望に満ちた気持ちで共有できたことは大変貴重な体験でした。再び東京でオリンピック開催を願う一人として、招致活動について、提案も含め、質問をしたいと思います。
まず、私が調べたところ、港区には、日本における海外の百七十の駐日外国公館のうち七十三カ所、約四三%が所在しています。その地域特性から、私は港区選出の議員として、オリンピック招致活動に駐日外国公館との交流が大事であるとの認識を常々持っておりました。
また、先日、個人的なレベルでみずから堪能な英語を駆使して多くの大使館との国際交流に努めてきた原田敬美港区前区長にお話を伺いましたが、それによりますと、港区の観光産業振興、外国語教育の向上、そして港区の魅力を広く海外の方々に知ってもらうために大変有効であり、成果があったという話を興味深く聞きました。
目的は違いますが、今述べました港区という地域特性をかんがみますと、参考までに、IOC委員全体の百十四票のうち六十五票、約五八%近くが港区内の駐日外国公館の国に在籍しております。今後さまざまな立場の方々が海外に行き、IOC委員にお願いに行くことは大変重要で効果のあることは十分認識していますが、例えば知事主催の東京物産展を開催し、各国の大使を招待し交流を図るなど、身近な駐日の大使や職員の方々に、東京、日本の魅力をさらに知ってもらい、礼儀を軸としたおもてなしの精神で、官民問わず、こちらから積極的に交流していくことが重要と考えます。現在の駐日大使や職員が親日家になれば、本国のIOC委員への働きかけが一層期待されます。見解をお伺いいたします。 答弁1 ▼東京オリンピック招致本部長 各国政府を代表している駐日大使や職員は、それぞれの国のIOC委員も含め、広範な人脈を有しており、こうした方々に日本の魅力や東京の都市力への理解を深めてもらうことは、オリンピック招致を成功に導くために大変有意義であると考えてございます。
このため、都が毎年開催している在京大使館との情報連絡会を初め、さまざまな機会を通じて、駐日大使等と積極的に交流を図り、オリンピック招致に結びつけてまいりたいと思います。
質問2 日本全体の自治体との連携招致活動についてですが、財団法人自治体国際化協会の資料で調べたところ、全国の千八百八十九自治体の中で、千五百四十三の自治体が世界六十カ国と姉妹提携をしており、そのうち三十七カ国にIOC委員が在籍しています。
福岡市との一騎打ちとなり、地方都市福岡対大都市首都東京という構図で今回東京が国内候補地に選定されたわけですが、東京だけが勝手にオリンピックをやればいいということになってしまったらいけないと思います。ただでさえ、東京ひとり勝ち論が叫ばれているからこそ、地方都市との連携が必要になってくると思います。
姉妹提携をしているからには、それぞれ独自の国際交流をしているわけですから、その機会をとらえ、親書を姉妹都市に渡したり、国外において日本の四季折々の郷土の魅力をPRするなど、日本にオリンピック開催をというムーブメントをオールジャパンでつくる必要があると考えますが、見解をお伺いいたします。 答弁2 ▼東京オリンピック招致本部長 各自治体の国際交流を活用したオリンピック招致のムーブメントでございますが、オリンピック招致のために、まずは海外に東京や日本の魅力をPRし、日本に対する理解を深めていただくことが重要でございます。
国内の各自治体が行っている国際交流の機会は、その有効な手段の一つでございます。それらの取り組みが全国各地で展開されるよう、都の外部に設立いたします招致組織と連携いたしまして、効果的な協力方法について検討してまいります。
質問3 次に、民間団体からの協力についてですが、開催概要計画書の財政計画によりますと、企業からの協賛金で運営経費の約四七%を収入として見込んでおります。これは、三年後にオリンピック開催地が東京に決まってからの財政計画です。さらに、開催の関連経費として、都は、今年度から一千億円を四年間積み立てようとしております。この四千億円は貴重な都民の税金から捻出されるわけですから、いうまでもなく、その使い道については、都民の納得を得られるものでなければなりません。であるならば、少しでも招致経費を税金以外で捻出する努力が必要と考えます。
そこで、先日横浜市を訪れ、中田横浜市長の提案によるアントレプレナーシップ事業、これは、職員提案で採用された事業は予算つきで事業化されるというものだそうですが、その提案した担当職員に面会し、お話を伺ってきました。
その事業は、横浜市が持つ有形無形のあらゆる資産を広告媒体ととらえ、販売または有償貸与することによって、新たな財源を確保する事業です。例えば横浜市のホームページや広報誌や市民への納税通知書の封筒や職員の給与明細などを広告媒体ととらえ、財政に反映しており、財政の厳しい自治体ならではの取り組みだと思います。
東京都も全国に先駆けて、バスラッピング事業で広告料を財政に反映していることはいうまでもありません。横浜市が行うこの事業はあくまで財政の一部に充てるための事業ですが、今後都が設置するオリンピック招致のための外部組織も、まさしく同様の考えで資金を集めるべきと考えます。
多くの都民や国民の皆様に東京オリンピック開催の意義を理解していただき、多くの賛同を得るために、民間企業からの資金収集の実効性を高め、宣伝効果のある努力をすることが大事であると思います。見解をお伺いいたします。 答弁3 ▼東京オリンピック招致本部長 民間企業からの資金調達などでございますが、オリンピック招致は、都の外部に設立いたします招致組織を中心に行い、その活動資金は、ロゴマークなどを活用した企業等へのマーケティング、企業や個人からの寄附を中心に調達する計画でございます。
都といたしましては、招致組織が広告宣伝の手法、媒体等の魅力を高め、より多くの企業等の賛同を得て、円滑に資金調達が進むよう協力してまいります。
質問4 以上、オリンピック招致活動に関し具体的な提案をさせていただきましたが、知事の招致活動に関するご決意をお聞かせください。 答弁4 ▼知事 オリンピック招致活動についてでありますが、在京の各国大使館との交流が招致に対して大変有効であるという提案は、非常に暗示的で参考になったと思います。
私自身も既に何度か、EUあるいはアジアの大使をヘリコプターを使ったピクニックに誘いまして、東京を空から理解していただき、特に三多摩と島しょというのは、これが東京に属しているかということで非常に外国の大使も意外だったようでありますが、そういう点で印象を深くしたと思いますけれども、今後も、ご提案がありましたこういった機会を大いに活用して、それぞれの外務省がそれぞれの国の招致委員会とどういうかかわりがあるかはつまびらかにしませんが、いずれにしろ、IOCのルールが非常に厳しくなりまして、事前の直接の働きかけが一切禁止になりましたので、こういった手段は、間接ではありますけれども、かなり有効なものだと私は思っております。
今後も、世界の強豪都市を相手に、熾烈な招致レースを勝ち抜いていかなきゃならないわけでありまして、オリンピックの招致は国を挙げての一大プロジェクトでありまして、JOCを初め、国、関係機関と綿密な連携を図るとともに、東京が持つ都市力と日本の底力を存分に発揮して、東京への招致に向けて全力を挙げて多角的に取り組んでいくつもりでございます。
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■公共施設における企業広告について |
質問1 さて、私は、二年前の第三回定例会の代表質問でレインボーブリッジのライトアップの例を挙げ、都が管理する公共施設に企業広告を掲出し、維持管理費に充てることについての質問をしました。その後、昨年の一月に、広告物審議会の答申で、公益的施設に第三者の広告表示を認めて、設置維持管理費に充てることを検討することは重要との提言がなされ、屋外広告物のあり方についてさまざまな検討が加えられてきました。
今回、景観条例の改正が提案され、屋外広告物についても、良好な景観を形成していくための規制が予定されております。一方で、臨海部は、オリンピックメーンスタジアムなどの主要三施設の候補地となっています。オリンピック開催を見据え、臨海部の景観をよりよいものにしていくことは当然ですが、場所、期間を限定した上で、現在企業広告が禁止されているレインボーブリッジや有明コロシアムなどについて、オリンピックのロゴマークと企業広告をセットで掲載し、施設整備や招致活動経費に活用できるようにすることは有効と考えます。
公共施設における企業広告の活用について、屋外広告物行政の立場から見解をお伺いいたします。 答弁1 ▼都市整備局長 都が管理する庁舎や橋梁などの施設は、公共性、公益性を有するため、屋外広告物条例により、商業広告の表示を禁止しております。
ご提案の施設のある区域は、臨海副都心の進出企業などにより、第三者の商業広告は表示しないなどの協定が既に定められております。
また、水辺を生かした良好な景観形成を図るべき地域にあることから、こうした点を十分勘案の上、適切に対応してまいります。
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■都市開発諸制度等を活用した観光産業施策の推進 |
質問1 観光産業についてですが、東京都は、千客万来の都市東京を目指して国際観光事業に取り組んでおります。多くの観光客が回遊した際の相談をする先としての観光案内所は、現在、都庁舎、上野、羽田の三カ所にとどまっています。国際観光都市を目指す東京としては、まだまだ十分とはいえません。新幹線がとまることになった品川駅、情報通信のまち秋葉原や、ファッションのメッカである銀座や原宿、青山、六本木など、多くの観光客が訪れる場所に観光案内所が設置できないかと思っておりました。
しかし、そういった大規模開発地、繁華街や駅ビルに観光案内所を確保するために障害になるのが、テナント賃料の高いことです。大規模再開発を進めるときに、例えば二百平米程度の国際観光案内所の設置を計画したら、この面積に見合う容積の割り増しを認め、民間事業者の協力を得て観光案内所を確保することが重要と考えます。
都市政策と福祉政策の一体化であるハートビル法がありますが、今回の提案は都市政策と観光産業政策の一体化の提案ですが、観光施策の一層の推進を図るため、都市再生特別地区や将来都市開発諸制度の活用ができないか、見解をお伺いいたします。 答弁1 ▼都市整備局長 東京を千客万来の都市とするためには、観光振興を視野に入れたまちづくりが重要でございます。
ご提案の国際観光案内所設置への都市開発諸制度等の適用につきましては、観光施策上の必要性や施設の継続性などを関係局とともに精査した上で、公共性、公益性を踏まえた制度のあり方を今後整理してまいります。
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■運河ルネッサンス事業 |
質問1 次に、地元芝浦地区を中心とした運河ルネッサンス事業について伺います。
運河ルネッサンス推進地区が昨年から順次指定され、具体的な地域ぐるみの事業が展開され、まさに水辺の復権が始まっていると感じます。
先日、ヒートアイランド対策の一環であります、打ち水大作戦の仕掛け人であります元建設省の河川局長の尾田栄章さんにお会いし、水辺のあり方についてお話をする機会がありました。運河の水質の改善や生物の生息環境の創出を推進することが、護岸や遊歩道の整備などのハード面の促進につながり、地元はもとより、多くの都民が集い、舟遊びや釣りを楽しむために不可欠だという認識で一致いたしましたが、運河の環境改善を積極的に行うべきと考えますが、見解をお伺いいたします。 答弁1 ▼港湾局長 運河部ではこれまで、海底からの有機物の溶出や悪臭を抑えるためのしゅんせつ事業を継続的に実施するとともに、護岸整備に当たり、生物の生息に適したカニ護岸や干潟を設置してきております。この結果、ハゼやスズキといった多くの魚が見られるようになるなど、水質の改善が進んでおり、芝浦地区では、小学生も参加し、カニなどの水生生物との触れ合いや水質調査を通じた環境学習が行われるようになってきております。
今後さらに自然浄化のサイクルを取り戻す試みを実施するとともに、関係局、関係団体との十分な連携を図りながら、より一層水辺の環境改善を図ってまいります。
質問2 近年高層マンションが建設され、人口が急増している芝浦地区は、地元の皆さんが主体で運河祭りなどイベントが積極的に行われ、コミュニティの活性化に大きく貢献されています。観光や景観など、オリンピック開催を見据えて、さらなるにぎわいづくりや魅力の向上のため、運河ルネッサンス推進地区の拡大など、今後の展開について見解をお伺いいたします。 答弁2 ▼港湾局長 都ではこれまで、運河を生かしたまちづくりの機運の高い芝浦地区を推進地区に指定し、規制緩和やイベントの支援などを行うとともに、遊歩道や水辺の広場の整備に努め、親水空間の確保を図ってまいりました。
年内には、新たな水域の利用が可能となるよう、地元の意向を踏まえ、運河ルネッサンスの区域を拡大するとともに、民間による桟橋などの施設を計画に加えることとしております。これにより、芝浦アイランドなどでは、お台場と結ぶ航路が開設されるとともに、ボートスクールや、より水辺に親しめるイベントが期待されております。
今後とも地元と連携を図り、運河周辺の一層のにぎわいづくりを進め、地域の潤いや魅力の向上に努めてまいります。
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■景観整備 |
質問1 今般東京都景観条例が改正されることになり、首都東京の良好な景観を形成するための施策がようやく一つのルールとしてでき上がったことは大変評価できると思います。都が、市区町村や地域住民と連携し、建物の色や高さや壁面の位置など、その地域ごとの特色を生かしてまちづくりができることは大きな前進だと思います。
さて、平成十五年に国土交通省が港区の国道二四六の景観整備事業の検討を始め、地元の方々や有識者の意見を取り入れ、景観整備の基本となるプランを取りまとめ、十九年度から具体的な事業がスタートする予定です。そして、ことしの去る七月、港区及び渋谷区の地元町会、商店街の方々が、青山通りの街並み協定書の締結に至りました。
この地元のまちづくりに対する取り組みは、今回の景観条例の理念に沿っているとともに、新たなコミュニティの活性化の動きだと思います。こうした地元による幹線道路沿道の街並みづくりに対し、都として積極的に受けとめるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。 答弁1 ▼都市整備局長 次に、幹線道路沿道の街並みづくりについてでございますが、幹線道路は、その沿道と相まって地域の景観を特徴づけており、道路管理者と沿道の地権者が協力し、良好な景観形成に取り組むことが重要でございます。
ご質問の青山通りについては、現在、道路管理者により修景事業が検討されており、これに合わせて、沿道の商店会などでは、建築物の高さや広告物の色彩などに関する協定を締結しております。
都は、地域が主体となったこうした取り組みに対して、今後、道路管理者や地元自治体とも連携し、地区計画や景観地区の活用などを促して、道路と沿道が調和した景観が形成されるよう支援してまいります。
質問2 青山、表参道地域は、ことし二月には表参道ヒルズがオープンし、南青山一丁目の都営住宅用地を生かしたプロジェクトも進行し、来年三月には完成予定であり、この地域は都市再生の流れが活性化しています。
その中、青山通り沿道では、地元新青山街づくり協議会による都市再生モデル調査の実施や、地元のまちづくりに関する機運が熟成しつつあります。
そのような地域で、青山通りから一歩入ったところに、老朽化した都営青山北町アパートがあります。敷地面積は約四ヘクタールあり、その存在は、青山、表参道地域の発展において大きなポテンシャルになっています。しかし、残念ながら青山通りとの接道が狭く、そのことが敷地の有効利用の障害になっていると考えます。
このような青山、表参道地域のまちづくりの動きの中で、都営青山北町アパートの将来的な敷地活用のビジョンについて見解をお伺いして、私の質問を終わります。 答弁2 ▼都市整備局長 都営住宅の敷地は都民共有の貴重な財産であることから、老朽化した都営住宅の建てかえにおいては、土地の高度利用や団地の集約を行い、周辺地域の活性化等のために活用していくことが重要と考えております。
青山北町アパートについても、周辺地域の動向を踏まえながら、地元区のまちづくりとも連携し、地域特性に合わせた土地利用のあり方について幅広く検討してまいります。
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