平成18年第3回定例会 代表質問

医療費助成を中学三年まで拡大
退職校長を校長として再任用を

長橋桂一(公明党)
 
 最初に、このたびの悠仁親王のご誕生を、多くの都民の皆様とともに心からお祝い申し上げます。
  それでは、東京都議会公明党を代表して質問いたします。
 
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■東アジアとの交流も視野に入れた都市ビジョン
 
質問1
 東京がオリンピック国内候補地に決定したことは、都民にとって大きな朗報であります。二〇〇八年の北京、二〇一〇年の上海万博、そして二〇一二年のロンドンを経て、二〇一六年に東京オリンピックを実現することができれば、東アジアを中心とした新たな発展の展望が開け、日本のみならず周辺諸国の活力が増大し、交流が活発化することは間違いありません。したがって、三年後のIOC総会での選考に勝ち抜くためにも、東京が目指すべき防災、治安、安全・安心の東京、そしてバリアフリーや環境への配慮を含めたトータルな東京の都市ビジョンを、目覚ましい発展を遂げている東アジアの活発な交流も視野に入れながら、改めて提示していくべきと考えます。知事の所見を伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 東アジアは今や世界で最もダイナミックに変貌を遂げ、発展を遂げている地域になってまいりました。その圧倒的な可能性を十分に活用することが、世界に対する繁栄と平和をもたらす大きな契機となると心得ております。
  現にIMFなどでは、東アジア諸国からの金融資本の増加を踏まえて、組織や機能の見直しが考えられているようでありますが、今回策定する二〇一六年の東京の都市像では、東アジアの飛躍的に高まったプレゼンスを背景に、欧米地域以外で初めて二回目のオリンピックを開催するため、交通渋滞の解消はもちろんのこと、環境、治安、産業など、さまざまな分野で成熟した都市の新たな可能性を世界に示していきたいと思っております。
  例えば、IT技術を活用した治安、防災機能の強化、あるいは地球温暖化の進行を阻止するために、世界に先んじたCO2の半減都市モデルの実現、あるいは、障害者や高齢者はもとより、だれにとっても暮らしやすいバリアフリーが徹底された社会の推進など、二十一世紀の新しい都市モデルを明らかにしていきたいと思っております。
  さらに、アジアのアスリート育成やスポーツ交流なども大切な視点でありまして、アジア大都市ネットワークなども一層活用しながら、東京の成果やノウハウを還元し、東アジアの一層の成熟化を牽引していきたいと思っております。
 
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■行財政
 
質問1
 国内候補地に決定した大きな要因が、都の財政力であるとされておりますが、これが強調され過ぎて、再び東京ひとり勝ち論が頭をもたげてくることに若干の危惧があります。都の財源を地方に配分する計画が企てられたり、オリンピック関連施設の整備費を都が過重に負担させられたりしないよう取り組むべきであります。
  都の財政が十六年ぶりに黒字に転換して、財政再建に一定のめどが立ったことは事実ですが、都政の歴史には財政破綻の危機に瀕した経験が少なくとも二回あります。過去の同じ轍を踏まないためにも、引き続き緊張感を持った財政運営を心がけるべきであり、知事はそうした都の状況を広く内外に発信すべきであります。都財政の現状と今後の財政運営について、知事の所見を伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 最近、全国の自治体の中で東京ひとりだけが裕福であるという意見がしきりに喧伝されておりますけれども、忘れてならないのは、この東京は、私も就任以来、ずっととにかく議会も都庁側も協力しまして、内部努力としてさまざま手を尽くし、つい最近までは財政の立て直しに必死になってきたということであります。
  将来に目を向けても、諸外国の大都市と比べ見劣りのする都市インフラの整備や人口減少社会への対応など、幾つもの高いハードルが都財政をまだ待ち受けております。
  こうした将来の需要やこれまでの再建努力を顧みることなく、一部の表面的な事象だけをとらえて主張する東京富裕論は、非常に一方的で、一方的な見方であります。決して東京に余裕がそれほどあるわけではございません。
  この先、理不尽な動きを見せる国とは徹底的に戦いながら、過去の過ちを反面教師として、税収の回復にも浮かれることなく、かぶとの緒を引き締め、内部努力を初めとする構造改革を引き続き積極的に進めてまいります。
 

 
質問2
 行財政改革について伺います。
  都はこれまで、都議会公明党の強い要請により、不断の行財政改革に取り組んできました。他の自治体を上回る大幅な職員定数の削減や、国に先んじた監理団体改革などを推進し、都の財政再建につながったことは高く評価するものであります。
  このたび都が策定した行財政改革実行プログラムでは、公営企業改革や監理団体改革などで踏み込んだ取り組みが提起され、また、これまでにはない切り口の改革も盛り込まれております。特に監理団体改革では、実行プログラムとあわせて中期経営計画が公表されました。団体トップの強力なリーダシップのもと、中期的な視点に立って戦略的な経営改革を進めていくことは、都議会公明党も強く主張してきたところであります。
  計画を実行するに当たっては、単年度では効果のあらわれない取り組みについても、中期的な視点から進捗の度合いを評価する仕組みづくりが重要と考えます。都の所見を伺います。
 
答弁2
 ▼総務局長
 指定管理者制度や公益法人制度改革など監理団体を取り巻く環境が変化する中、中期的な視点から戦略的に経営計画を進めることが重要であり、こうした観点から、それぞれの団体が中期経営計画を策定いたしました。
  この計画を着実に推進するためには、個々の改革策について、計画期間における実施状況を適正に評価する仕組みが必要でございます。
  このため、民間の経営管理手法を採用した新たな経営評価制度を導入し、複数年の取り組みについて、そのプロセスを総合的に評価するとともに、評価結果を確実に施策の改善につなげる仕組みを構築するなど、中期経営計画の進捗を着実に管理し、団体の経営改革を促進してまいります。
 

 
質問3
 行財政改革実行プログラムに関連して都立病院改革について伺います。
  ここ数年、国の医療制度改革など、医療を取り巻く環境が大きく変化しております。新たな医師臨床研修制度の実施、診療報酬体系の見直し、全国的な小児科、産科医師の不足など、病院経営はますます厳しくなっております。
  これまで都は、平成十五年策定の都立病院改革実行プログラムに基づき、病院の再編や保健医療公社に経営をゆだねる公社化などの改革を進めてきました。しかし、今回の行財政改革実行プログラムでは、新たに地方独立行政法人化などを視野に入れた新たな経営形態の検討に言及しています。
  そこでまず第一に、都立病院の経営形態として、なぜ独立行政法人化の検討が必要なのか、その背景や目的、意義を含めて明らかにすべきであります。所見を伺います。
 
答弁3
 ▼総務局長
 地方独立行政法人は、試験研究、大学の設置、管理、病院事業など、民間の主体にゆだねては確実な実施が確保できないおそれのある事業を効率的、効果的に行わせるため、平成十六年度に創設された制度でございます。
  都立病院に本制度を導入する場合には、都や議会の適切な関与のもと、将来にわたり医療水準を確保し、行政的医療を安定的、継続的に提供することを目指していくとともに、自立性の高い病院経営、弾力的な予算・契約制度による効率的な事業執行、独自の人事給与制度による質の高い医師の確保などが期待できます。
  都立病院の経営形態については、議会のご意見を十分踏まえ、このような新たな制度などを視野に入れて検討を行ってまいります。
 

 
質問4
 これまで都は、都立病院改革実行プログラムの中で、都立病院の役割として、社会的要請から特に対策を講じなければならない高度医療などは、行政的医療として都立病院が担うと明記しております。都立病院を独立行政法人化すると、これまで以上の効率性や採算性が求められ、優秀な医師の確保や、都立病院が担っている行政的医療に影響が出るのではないかとの懸念があります。都は、こうした懸念の声にこたえるべきであります。独立行政法人制度のもとで、行政的医療は十分に提供できるのか、都の見解と方針を明らかにしていただきたいと思います。
 
答弁4
 ▼総務局長
 独立行政法人制度のもとでの行政的医療の提供についてでございます。
  現在の都立病院は、地方公営企業法の経費負担の原則により、救急医療や感染症医療など行政的医療に関する必要な経費については一般会計が負担をしております。
  地方独立行政法人法におきましても、地方公営企業法と全く同様の経費負担の考え方が規定をされておりまして、当該経費につきましては設立団体が負担するものとされております。
  したがいまして、今後の検討の結果、病院の経営形態として地方独立行政法人を選択する場合でございましても、都民への行政的医療の提供は、これまでどおり担保されるものと考えております。
 
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■福祉施策
 
質問1
 知事の所信表明にあった仮称健康長寿医療センターの整備でありますが、我が国は非常に速いスピードで高齢化が進んでおります。このため、高齢者に対する最新の医療を都民に広く提供していく新たな拠点の整備は、まさに時宜にかなったものであると考えます。
  しかし、一方では、老人総合研究所と老人医療センターが統合することにより、おのおのの特性や長所がいかに生かされるのか、これまで多大の成果をおさめてきた両機関の機能をいかに維持向上させるのか、あるいは両機関を統合することで生じる付加価値とは一体何か、都は明確に説明すべきであります。所見を伺います。
 
答弁1
 ▼福祉保健局長
 健康長寿医療センターについてでございますが、このセンターは、老人医療センターがこれまで培ってきた高齢者の高度専門医療に関する豊富な実績と、老人総合研究所における老化に関する最新の研究の成果とを有機的に結びつけ、臨床と研究の一体的な取り組みによりまして高齢者の特性を踏まえた最適な医療の普及を目指すためのものでございます。
  両施設の統合による具体的効果といたしましては、臨床症例などを研究資源として活用した最新の知見に基づく研究と、その成果の臨床への反映がこれまで以上に可能となるほか、研究と臨床の両分野にわたる交流によりまして、幅広い専門性を備えた質の高い人材の確保と育成が図られることなどが期待できると考えております。
 

 
質問2
 子育て支援について伺います。
  公明党は、これまで、待機児童ゼロ作戦など積極的に少子化対策に取り組んできました。また、本年四月には、いわゆるチャイルドファースト社会の構築を目指す少子社会トータルプランを取りまとめました。結婚や出産はあくまで個人の選択と判断の問題であり、第三者や行政が口を挟むべき問題ではありません。しかし、子どもを産みたくても産めない要因があるならば、それを取り除くことは、もはや国や地方自治体、さらには社会総体の責任であるといわねばなりません。とりわけ日本の首都である東京都の取り組みは全国の指標となり、各地の自治体の取り組みを左右するといっても決して過言ではありません。
  都議会公明党は、本年六月、東京都が独自に実施している乳幼児医療費助成制度の対象年齢を、現行の未就学児童から中学校三年生まで拡大すべきであると知事あてに申し入れを行いました。その際、福祉保健局長は、前向きに検討すると述べました。あれから三カ月がたちますが、その後の検討状況をまず明らかにしていただきたいと思います。
 
答弁2
 ▼福祉保健局長
 小中学生に対する医療費の助成についてでございますが、都はこれまで、子育てを支援する施策の一環として乳幼児医療費助成制度を創設いたしまして、区市町村に対して補助を行ってまいりました。その対象年齢については、義務教育就学前まで段階的に拡大してきております。
  申し入れのあった小中学生の医療費に関しては、この学齢期が人間形成の核となる重要な時期であることや、国の医療制度改革における子どもの医療費負担軽減の方向性、さらには現行の乳幼児医療費助成制度が区市町村主体で地域の実情に合わせて実施されていることなどを踏まえながら、その軽減について具体的な検討に着手しております。
 

 
質問3
 医療費助成制度や児童手当は出産後の支援策ですが、同時に出産そのものへの支援策も不可欠であります。
  都議会公明党は、去る八月二十九日、分娩件数が国内でも一、二を誇る葛飾赤十字産院を視察いたしました。同院の特色は、全国的にも珍しい助産師外来という専門外来があることで、院内のみならず大学病院や地域の助産所とも密接な連携を図っています。
  ここで、注目したいのは、医師、看護師とともに出産を支えている百十一人に上る助産師であります。葛飾赤十字産院での助産師の活躍を目の当たりにして、産科医の不足が指摘される中、改めて今後は助産師の活用策を検討すべきであると痛感をいたしました。
  都内においては、平成四年以降、助産師数が増加し続けており、平成十六年末には二千六百八十九人、出生数三十六・九人当たり一人の割合で、全国平均を大きく上回っています。都は、人数的には恵まれている都内の助産師をより積極的に活用するため、院内における医師、助産師、看護師などによるチーム医療はもとより、地域における病院、診療所、助産所の連携を今後一層強化すべきであります。見解を伺います。
 
答弁3
 ▼福祉保健局長
 産科医師や分娩施設の減少が危惧される中、妊娠期から分娩、出産後における助産所や助産師の役割は大きいと認識しております。
  都では、地域の産科医療機関や診療所などが連携しながら安心・安全のお産を提供するため、産科オープン病院化モデル事業を実施しております。
  また、医療法等の改正によりまして、安心して出産できる体制整備を進めるため、助産師の一層の活用などを図ることとされております。
  こうした都の取り組みや国の動向を踏まえ、今後とも地域の中で病院、診療所、助産所がそれぞれの機能に応じた役割を果たせるような仕組みについて検討してまいります。
 

 
質問4
 軽費老人ホームについて伺います。
  軽費老人ホームA型は、高齢者が低額な利用料で日常生活上必要なサービスを受けながら安心して生活できる施設であり、都内十施設におよそ七百人の方が暮らしております。
  国の税制改正により利用料が急騰するケースが頻発することから、公明党は本年三月の予算特別委員会において対応策を強く求め、本年度の利用料は据え置くことが決まりました。しかし、問題は来年度以降であります。
  我が党は先日、福祉保健局長に対し、来年度においても利用者の急激な負担増とならないよう要請を行ったところであります。そこで、改めて、軽費老人ホームA型の利用料については、今後とも急激な負担増が起きないよう配慮すべきであります。所見を伺います。
 
答弁4
 ▼福祉保健局長
 税制改正の影響による負担増の緩和を図るため、平成十八年度より利用料の算定基礎を課税金額から収入金額に改め、その上でなお負担増となる継続入居者について、その利用料を一年間据え置く経過措置を講じたところでございます。
  ご指摘を踏まえまして、大幅な負担増となる方を対象に、激変緩和の観点から、来年度においても必要な措置を前向きに検討してまいります。
 

 
質問5
 この十月より本格施行される障害者自立支援法に関連して伺います。
  この法律の策定に携わった厚生労働省の審議官によると、障害者自立支援法の立法の趣旨は障害者の自立と社会参加であり、そのための一般就労の促進であるとし、厚生省と労働省が一体化した意味もそこにあると話しておりました。この趣旨には大賛成であります。
  都議会公明党は、障害者自立支援法が本格施行されるに当たり、実際に障害者を雇用している幾つかの民間企業を視察いたしました。そこで改めて認識させられたのは、障害者の一般就労に対する家族、福祉施設、養護学校などの意識改革が不可欠であるということであります。
  大手メーカーの関連企業で、重度の知的障害、発達障害を持つ人を雇用し、さまざまな工夫の末、健常者以上に生産性を高めて、自立するのに十分な賃金を支払っている会社が存在します。成功の要因は数多くありますが、印象深かったのが、福祉施設から転職してきた女性のジョブコーチの意識改革でした。
  彼女は福祉施設に長くいたため、本人が気づかないうちに、助けてあげる、守ってあげるという意識がしみつき、企業での生産性を上げるという目標が達成できなかったといいます。そこで、上司の厳しい指摘もあって、おのおのの能力をでき得る限り生かすことに専念した結果、さまざまな試行錯誤はあったものの、一人一人の能力に合わせた職場環境や作業道具を開発して、生産性や効率性を大幅に上昇させることが可能になったそうです。家族の方たちも、最初は心配していたものの、今では大変に感謝されているということでした。
  障害者の真の自立を支援するためには、こうした意識改革が重要であります。東京都は、東京しごと財団の心身障害者職能開発センターにおいて、自立支援のために、職業訓練、委託訓練、地域求職活動援助の三事業を行い、昨年は、施設内での職業訓練事業の結果、修了者四十五人中三十九人が就職、また、委託訓練事業では、五百七十五人の修了者のうち三百四十七人が就職をするなど、大きな成果を上げています。
  この成果をさらに拡大するためには、次は送り出す側の家族、福祉施設、養護学校などの意識改革に取り組む必要があります。しごと財団の心身障害者職能開発センターが核となって、区市町村の地域支援センターや養護学校とのネットワークを形成し、自立支援、一般就労に向けて、家族、施設、学校が一体となった取り組みを支援すべきであります。都の見解を伺います。
 
答弁5
 ▼産業労働局長
 障害者の一般就労による自立を促進するに当たっては、地域の就労支援機関や養護学校との連携が不可欠であります。都はこれまで、心身障害者職能開発センターにおいて、関係機関と協力し、情報交換会や知的障害者を対象とした企業説明会等を開催してまいりました。
  今後は、さらに同センターのコーディネート機能を強化し、地域の就労支援機関や養護学校等との連携を深め、関係者による障害者の一般就労による自立に向けた取り組みを支援してまいります。
 

 
質問6
 また、三事業の中でも特に大きな実績を上げているのが委託訓練事業であります。これは、企業などへの委託訓練だけではなく、訓練終了後のトライアル雇用、そして本就労までの一貫したコーディネートを行っており、成果を上げています。おのおのの適応性を判断する上からも、企業等におけるオン・ザ・ジョブ・トレーニングは重要であります。今後は、この委託訓練事業を障害者就労の大きな柱として拡充していくべきであります。都の見解を伺います。
 
答弁6
 ▼産業労働局長
 本事業は、企業等と障害者の双方にとって、職場への適応性を十分に見きわめることができるという点で有効であります。都はこれまで、本事業の拡充を図ってきており、昨年度は五二・六%の就職率を達成するなど、障害者と企業等の適切なマッチングに成果を上げてまいりました。
  今後とも、障害者の適性等を勘案したきめ細かなコーディネートを行うなど、本事業の拡充に努めてまいります。
 

 
質問7
 また一方、重度重複障害等で一般就労が不可能な人たちもおります。そうした方々のためには、従来からの授産施設が果たす役割は極めて重要です。しかし、これらの福祉施設における工賃は平均月額一万五千円程度であり、経済的自立などは到底不可能であります。厚労省は来年度の概算要求において、公明党の主張により、授産施設における工賃倍増計画支援事業を盛り込みました。経営コンサルタント派遣による経営改善、授産施設間の連携による共同受注システム導入などで工賃を大きく伸ばそうという内容です。こうした動向を踏まえ、都は率先して東京の地域特性を生かした工賃倍増支援事業を導入し、強力に推進すべきであります。見解を伺います。
 
答弁7
 ▼福祉保健局長
 福祉施設における工賃アップについてでございますが、都内の授産施設における平均工賃は、ご指摘のとおり約一万五千円でございます。福祉施設利用者の作業工賃を引き上げることが課題となっております。
  現在、授産施設においても、利用者の工賃を上げるため、それぞれ創意工夫や努力をしているところでございます。具体的には、複数の授産施設で協力して、付加価値の高い自主製品の開発、販路の拡大や企業からの大量受注などによる高い実績を上げておるところでございます。
  このような取り組みのさらなる拡大に向けまして、サービス業の比率が高いなどの東京の地域特性を踏まえまして、都として区市町村等関係機関とも連携の上、工賃収入アップに向けた支援策を検討してまいります。
 

 
質問8
 公明党は先月、障害者自立支援法の十月全面施行に向け、国に対し、福祉サービスの利用者負担の軽減と施設運営の安定化などに関する緊急要望を行い、それが実現することになりました。例えば、通所施設の未就学障害児の負担が保育所の保育料程度に減額され、また、入所施設の障害児についても低所得世帯の負担が一段と軽減されることになり、さらに、グループホーム等の報酬への新たな加算などの追加措置も講じられます。
  こうした国の動向の中で、次に心配されているのが都の施策であります。この四月、都独自の負担軽減策を実施したところでありますが、従来の事業がすべて廃止されてしまうのではないかとの不安が障害者や関係団体などから寄せられています。そこで、都は、このような不安を払拭するためにも、重度のグループホームに対する夜間支援の継続や小規模作業所に対する支援など、従来の障害者福祉サービスの運営水準を今後も堅持していくという強い決意を発信すべきであります。所見を伺います。
 
答弁8
 ▼福祉保健局長
 都はこれまでも、都として望ましいサービス水準が確保されるよう、グループホームや小規模作業所等に対する都加算補助を行ってまいりました。
  都としては、事業者に対して法内事業への移行や経営努力を促す一方、必要なサービスの運営水準が確保できるよう、法の施行状況等も踏まえながら、引き続き適切な支援を行ってまいります。
 

 
質問9
 発達障害者支援について伺います。
  自閉症、アスペルガーなどの発達障害は、研究が進むにつれ、問題の大きさが明らかになりつつあります。公明党は、国においては発達障害者支援法の成立を一貫して働きかけ、十七年度からの施行を実現いたしました。また、都議会においてもたびたびこの問題を取り上げ、施策の推進を強く求めてきました。
  この夏、我が党は、発達障害に関して先駆的な研究や診療に取り組んでいる東京大学医学部附属病院こころの発達診療部を視察してまいりました。そこでは、発達障害の症状と脳の機能障害との関係を探る極めて興味深い研究が行われており、さらに、障害の診断や療育相談にも意欲的に取り組んでおりました。
  都としても、発達障害者支援の拡充には、こうした東大病院などとの連携が不可欠であります。都は、先駆的な研究に取り組んでいる機関と連携を図り、一日も早く支援を拡充すべきであります。見解を伺います。
  さらに今後、府中に予定されている小児総合医療センターと大塚病院が東大病院や成育医療センターなどと連携を図り、発達障害の研究、診断、療育などの体制を大幅に強化していくことを強く要望いたします。
 
答弁9
 ▼福祉保健局長
 発達障害者のより有効な支援のあり方を確立していくために、ご指摘のとおり、大学病院などの先駆的な研究や事業の成果を積極的に取り入れてまいります。
  加えて、相談や各種の支援に取り組んでいる児童福祉施設など多様な関係機関の実践成果も含めて、広く関係事業者に共有され、支援の推進の一助となるように検討してまいります。
 

 
質問10
 厚生労働省は、発達障害者支援を拡充するために、来年度の概算要求を四・四倍にする方針を固めたと報道されました。その中で、有効な支援策の情報を全国に発信する拠点として、仮称発達障害対策情報センターを新設するとしています。
  具体的には、国と全国二十カ所の自治体に専門家による委員会を設けて各地の取り組みを検証し、支援手法を確立するとともに、情報センターを通して、おのおのの家庭や医療機関、学校や支援機関に情報提供していくとしています。最も発達障害者が多く存在すると考えられる東京都こそ、率先してこの事業に名乗りを上げるべきであります。見解を伺います。
 
答弁10
 ▼福祉保健局長
 発達障害者支援に関する国の動きに呼応した事業展開についてでございますが、都では、東京都発達障害者支援センターにおいて、障害者本人や家族からの相談や療育支援を行っております。
  また、昨年度から、世田谷区とともに、臨床心理士や言語聴覚士による専門的な指導を行う発達・相談支援モデル事業に取り組んでおります。
  今後は、この事業の成果を踏まえて、他の区市町村における発達障害者支援の充実などを働きかけていくとともに、国が検討している新たな事業については、都としてもその実施を検討してまいります。
 

 
質問11
 同時に、平成十五年度の開設当初より日を追うごとに利用者が増大し、多様なニーズに対応している都内で唯一の発達障害者支援センターが、決定的な人員不足に苦慮しております。体制強化を図るべきです。あわせて見解を伺います。
 
答弁11
 ▼福祉保健局長
 発達障害者支援センターの体制強化についてでございますが、東京都発達障害者支援センターは、本人や家族からの個別の養育相談や就労相談等に対応するとともに、教育、福祉等の関係者に対する専門的な助言指導や実践的な研修なども積極的に実施しております。
  今後とも、都における発達障害者支援の中心的な専門機関としての機能が発揮されるよう努めてまいります。
 

 
質問12
 心身障害者扶養年金制度について伺います。
  先般、有識者会議による中間のまとめが発表され、現行制度を維持することは困難であり、廃止について検討すべきとの方向性が示されました。また、注目すべきは、制度維持が困難な事態に至ったことに対する都の責任に言及している点であります。都は、この指摘を厳粛に受けとめ、加入者への対応に誠心誠意取り組まなくてはなりません。都の責任について所見を伺います。
 
答弁12
 ▼福祉保健局長
 心身障害者扶養年金制度についてでございますが、先般、東京都心身障害者扶養年金審議会から、現行制度を維持することは妥当でない旨の中間のまとめが報告されたところでございます。
  本報告では、既に年金を受給している方には現在と同様の給付を継続するとともに、未受給者の方には全国制度並みの給付水準の清算金を支払うなど、具体的な提言がなされております。
  都としては、中間のまとめにおける指摘を真摯に受けとめるとともに、今後、同審議会からの最終答申を踏まえた上で、加入者に十分配慮した具体的な対応策を早急に取りまとめてまいります。
 

 
質問13
 扶養年金制度の廃止を検討せざるを得ないとしても、保護者亡き後の不安の軽減と障害者福祉の向上を図るという制度の目的は、依然として重要であります。保護者亡き後も地域の中で自立して、尊厳を持って生活できるためには、地域の居住の場であるグループホームの質、量ともの拡充が不可欠であります。グループホーム等の生活基盤整備促進について所見を伺います。
 
答弁13
 ▼福祉保健局長
 障害者が保護者亡き後も地域において自立した生活をしていくためには、グループホームやショートステイ等の地域における生活基盤の整備が極めて重要でございます。
  現在、都では、障害者地域生活支援・就労促進三か年プランに基づきましてグループホーム等の整備を進めているところでございますが、このプランをさらに発展させ、居住の場の整備や障害者施設から地域生活への移行などを柱とする障害福祉計画を今年度中に策定する予定でございます。
  今後は、この計画に基づきまして生活基盤の総合的な整備を進めてまいります。
 
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■労働施策
 
質問1
 都内における良質な労働力の確保について伺います。
  「下流社会」の著者として有名な三浦展氏は、別の著作の中で、もはや日本の企業は一定の職務能力を要するアルバイトには国内の若者の採用を控え始めているとの趣旨の指摘をしています。また、東京商工会議所や内閣府の調査結果を見ても、若年者の基礎学力と労働意欲の低下は明らかです。日本の労働力の質が、今大きく変化しようとしています。加えて、昨年は初めて日本の総人口が減少に転じました。今後は、質とともに量としての労働力も不足するという厳しい現実が待ち構えています。
  そこで、第一に知事にお伺いします。
  諸外国から見ればうらやましいほど極めて勤勉で有能であったという日本の労働者の特質こそが、日本の最大の財産でありました。その財産が崩壊し、国力の衰退の危機に瀕しています。その背景には、家庭や地域の教育力の低下や学校の問題など、多様な要因が複雑に絡み合っています。
  したがって、まずは国が中長期的な視点に立って取り組むべきではありますが、都としても可能な対策は講じるべきであります。最も人口が集中する首都東京で、質と量の両面にわたる労働力の低下という難問を解決しない限り、国力の衰退という国家的な危機を回避することはできません。
  安易に外国人労働力に依存する前に、まずは国内において、都はあらゆる機関と連携し、近い将来の日本と東京を支える人材、労働力を確保する努力をするべきであります。難問に向かってこそ強いリーダーシップを発揮する知事の所見を伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 質、量にわたる労働力の確保についてでありますが、我が国が今後とも国際競争力を高め、活力を維持していくためには、労働力の質と量の確保がご指摘のように不可欠であります。
  しかし、残念ながら、若い世代において、働くことに対する自覚の欠如など労働力の質の低下や、少子高齢化による労働力の量的な不足が懸念されておりまして、このため、若年者に社会人としての常識や能力を付与するための基礎訓練を行うとともに、職場体験などによりまして子どもたちの職業観を醸成するために、学校、地域、家庭が一体となって取り組んでいく必要があると心得ております。
  さらに、働く意欲のある高齢者や女性など潜在的な労働力を有効活用するとともに、ITなど最先端技術により生産性の向上を促進していかなくてはならないと思います。
  例えば、定年制などという、制度というよりも、それを支えてきた一つの物の考え方というものを、今日社会の本質的な変化に沿って根底的に見直していく必要があるのではないかと思います。
 

 
質問2
 第二に、個人の能力開発の促進です。
  ワーキングプアと呼ばれる人々の多くは、学生のアルバイトと同じ程度の賃金しか得られない職についています。その現状から脱却するためには、能力開発、つまりスキルアップが不可欠です。しかし、現在のしごとセンターでは、相談業務の中で都立技術専門校を紹介する程度の取り組みにとどまっています。そこで、今後は、しごとセンターの窓口機能を充実させ、専門校の紹介から選択、あっせんまでを連続的に行い、都民の再チャレンジ支援を強化するべきと考えますが、見解を伺います。
 
答弁2
 ▼産業労働局長
 技術専門校は、就業に向けたキャリアアップを支援する役割を担っており、その情報を、しごとセンターに来所した都民に伝えることは重要であります。そのため、都は、しごとセンターにおいて、総合相談窓口での情報提供やカウンセリングの際の助言を行ってまいりました。
  今後は、しごとセンターと技術専門校との連携によるカウンセリングの充実や、訓練内容の説明会を新たに開催するなど、情報提供機能の向上に努めてまいります。
 

 
質問3
 また、国には教育訓練給付金という雇用保険法上の制度がありますが、これは、非正規職の人々はほとんど対象外となっているのが現状です。また、雇用保険の非加入者に支給される職業訓練手当がありますが、これも四十五歳未満は対象になりません。また、年齢制限のない貸付制度はあるものの、月額二、三万円と少額にとどまっています。スキルアップには当然コストがかかります。そこで、都は、例えば再チャレンジ奨学金などと銘打って、年齢のいかんを問わない具体的な支援策に乗り出すべきであります。見解を伺います。
 
答弁3
 ▼産業労働局長
 都はこれまでも、技術専門校においてフリーター等を受け入れてきましたが、今年度からは、受講しやすい夜間の単位制パソコン科を開設いたしました。
  一方、経済面で支援する方策として、フリーター等に対する教育訓練のための給付金創設や貸付金の拡充を国に要望しております。
  今後は、生活実態等を把握の上、能力開発の一層の促進策について検討してまいります。
 

 
質問4
 第三に、都内を幾つかのゾーンに区分した上で、都立技術専門校を活用した地域単位の就労支援策の実施が必要です。重要なのは、地域と技術専門校の従来にも増した連携です。各ゾーン共通のニート・フリーター対策はもとより、おのおののゾーンの中小企業の特質に合わせた人材育成を技術専門校が中心となって行うべきです。時には出張・出前講座なども行って、人材育成と人材のコーディネート機能を発揮すべきです。所見を伺います。
 
答弁4
 ▼産業労働局長
 中小企業が求める人材の育成、確保を図るためには、技術専門校のノウハウを有効活用することが重要であります。そのため都は、地域における在職者の能力開発を支援する人材開発センターを七カ所の技術専門校に設置してきたところであります。
  今後とも、地元産業界や関係機関等とのネットワークの充実に努め、地域特性を踏まえた人材育成に取り組んでまいります。
  また、若年者就業支援訓練については、今年度から開始した足立技術専門校での塗装コースの実績を踏まえ、地域における人材ニーズに即した訓練科目の開発についても検討してまいります。
 

 
質問5
 第四に、家庭と労働の両立です。
  子育てをしながら就労が可能な、女性のための雇用環境の整備が重要です。有効な方策の一つが在宅勤務の普及です。ITの活用が目覚ましい現在、社内外の連絡や報告は機器を通じて即時に可能であり、通勤負担の少ない在宅勤務は、女性のみならず障害者や高齢者にとっても極めて望ましい制度です。そこで、都は、在宅勤務の創出、普及を図るためのモデル事業などを実施するべきと考えますが、見解を伺います。
 
答弁5
 ▼産業労働局長
 在宅勤務は、育児や介護をしながら働く者にとっては、仕事と家庭の両立がしやすい勤務形態の一つであると認識しております。一方で、社員の労働時間管理や健康管理が難しいなど、課題も指摘されております。
  都としては、今後、都内企業において在宅勤務を導入した事例のうち、すぐれた取り組みについてはホームページの中で公開するなど、普及に努めてまいります。
 

 
質問6
 第五に、高齢者の積極的な社会参加を促す多様な働き口の確保です。
  都は現在、都市農業の新たな担い手対策や、介護や子育ての経験を生かした有償ボランティアなど、さまざまな課題に取り組んでおります。そこで、今後は、しごとセンターにおいてこのような事業の紹介、あっせんなどを行い、意欲のある高齢者の多種多様なセカンドライフを支援するための就労対策を行うべきであると考えます。見解を伺います。
  なお、現在、しごとセンターは都内に一カ所ですが、近い将来、ぜひとも多摩にも設置すべきであることを要望しておきます。
 
答弁6
 ▼産業労働局長
 高齢者の高い就労意欲にこたえ、高齢者の活力を社会の活性化につなげていく取り組みが重要であります。このため都は、しごとセンターにおいて高齢者の再就職支援に加え、起業、創業、NPO、ボランティアなど、多様な働き方に関する相談や情報の提供を行ってまいりました。
  今後は、シルバー人材センターやボランティアセンター等との連携を強化し、子育てや介護のボランティア、農業など、高齢者の多様な就労ニーズに対応できるよう、相談、情報提供機能を充実させるとともに、PRに努めてまいります。
 
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■再生可能エネルギー
 
質問1
 再生可能エネルギーについて伺います。
  石原都知事は、所信表明で、五輪招致へ向けて東京都から排出されるCO2を半減すると発表しました。今後は、目標達成への具体策が重要であり、その柱の一つが再生可能エネルギーの普及であります。
  オリンピック概要計画書では、カーボンマイナス・オリンピックを目指す、選手村などのエネルギーは再生可能エネルギーで供給するなどと明言しています。二カ所の立候補予定都市を擁するアメリカでは、既にカリフォルニア州が二〇〇七年から十年間、約三千四百億円を投じて三千メガワットの太陽光発電を目指す計画を発表しています。また、東京と政策提携を結んだロンドンでは、大規模開発計画の開発者に対して、最低一〇%の再生可能エネルギーの利用を求める制度を導入しています。こうした先進事例を参考に、さらに説得力のある環境対策を打ち出していかなければ、世界の五輪立候補都市に勝ち抜くことはできません。
  例えば、現在、バイオマス発電の最も有効な原料は、木材から出る木くずであるそうです。多摩山林の木材を製品化し、その過程で発生する木くず等を利用してバイオマス発電を行えば、山林の再生、林業の復活、そしてエネルギーの供給が三位一体で実現し、格好のモデルケースとなります。
  都は、さきに再生可能エネルギー戦略を発表しました。来年度策定予定のオリンピック環境ガイドラインにこれを生かすべきであります。具体的で説得力のある戦略的な環境ガイドラインの策定に関して、知事の見解を伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 環境はオリンピックでは三つの柱の一つに位置づけられておりまして、開催都市には環境問題への積極的な取り組みを行うことが求められております。
  地球温暖化は、人類が直面する最も深刻な環境問題でありまして、その進行を阻止するためには、徹底した省エネルギー対策とともに、再生可能エネルギーの飛躍的な利用拡大が必要であります。
  大会の開催に向けては、こうした観点を踏まえ、施設整備や大会運営の環境指針となるオリンピック環境ガイドラインを策定し、太陽光やバイオマスを活用した発電など、日本が持つ最先端の環境技術を総動員して、選手村などの施設のエネルギーを再生可能エネルギーで供給していきたいと思っております。
  東京大会を、大都市と環境との調和を目指す都市モデルを発信する場と位置づけ、徹底した環境対策を実施し、東京をさらに先進的な環境都市としていきたいと思っております。
 

 
質問2
 なお、環境ガイドライン策定に際しては、環境問題の関連団体の協力を仰ぐべきであります。あわせて所見を伺います。
 
答弁2
 ▼環境局長
 東京オリンピック競技大会開催概要計画書は、環境を最優先したオリンピックを実現し、開催に向けた環境改善の取り組みを未来への遺産として継承していくため、都民や事業者等とも一体となった取り組みが必要であるとしております。
  オリンピック環境ガイドラインの策定に当たりましては、これを踏まえ、環境都市づくりに協働して取り組む環境NPOや都民、事業者などの幅広い主体の協力を得てまいります。
 

 
質問3
 具体的な再生可能エネルギーの利用拡大について伺います。
  石油会社は、二〇〇七年夏からガソリンスタンド五十店で、トウモロコシなどの植物原料からつくったバイオエタノールを混合したガソリンの販売を始め、二〇〇九年には一千店に広げる予定であります。このバイオエタノールは庁有車に導入すべきです。さらに、ディーゼル車への導入を研究し、都バスなどでも活用すべきです。所見を伺います。
 
答弁3
 ▼環境局長
 都が保有する車両へのバイオマス燃料の導入についてでありますが、都内のCO2排出量の約二割は自動車に起因することから、CO2の大幅な削減を図るためには、燃費の向上や交通量の削減とともに、自動車燃料の化石燃料からの転換を進めることが必要であり、バイオマス燃料の導入は、その有効な方法の一つであります。
  こうした観点から、ディーゼル車への導入の研究とともに、都が保有する車両においてバイオマス燃料を率先して利用するなど、その普及拡大に向けた取り組みを積極的に進めてまいります。
 

 
質問4
 次に、都民出資による再生可能エネルギーの普及であります。
  岡山県備前市では、市民出資による太陽熱や木質バイオマスなどの温熱供給サービス事業を展開し、注目されております。五輪関連施設のエネルギーを再生可能エネルギーで賄うために都民の出資を求め、機運の盛り上げ、意識の啓発につなげる仕組みを検討すべきであります。都の見解を伺います。
 
答弁4
 ▼環境局長
 都民の参加による再生可能エネルギーの普及についてでありますが、都が現在推進しております都立潮風公園への太陽光発電施設設置プロジェクトにおきましては、多くの都民がチャリティーオークションやインターネット募金などを通して参加されております。
  オリンピック関連施設への再生可能エネルギーの導入に当たりましては、こうした経験を生かし、都民出資などの検討も含め、幅広い主体の参加を求めてまいります。
 

 
質問5
 都は、二〇〇四年度に電気グリーン購入制度を導入し、都の大規模施設には五%の再生可能エネルギー使用を求めています。しかし、これは努力義務にすぎません。今後、都内におけるグリーン購入制度を実効あるものにするためにも、改めて明確なルール化あるいは義務化を行うべきであります。所見を伺います。
 
答弁5
 ▼環境局長
 都は平成十六年度から、都の一部の施設において、使用する電気の五%を再生可能エネルギーで調達することを求める電気のグリーン購入制度を実施しております。
  現在、この制度は努力義務としておりますが、今後速やかにルールの明確化を図り、対象となる施設のグリーン購入を義務化し、早ければ年度内にも取り組みを開始してまいります。
 

 
質問6
 都内には都営住宅、教育施設など再生可能エネルギーの活用が想定できる公共施設が数多く存在します。これらの公共施設などの建設に際しては、太陽光発電装置を設置するなど再生可能エネルギーの大胆な導入を図るべきでありますが、都の見解を伺います。
 
答弁6
 ▼環境局長
 都は今後、都政のあらゆる分野でCO2の削減を目指す新たな十年プロジェクトを開始し、再生可能エネルギーの大量普及を進めることとしております。
  既に都議会議事堂や浄水場などへの再生可能エネルギーの導入を積極的に行ってきておりますので、新たなプロジェクト実施に当たりましては、こうした実績を踏まえながら、公共施設などへの導入方策を検討してまいります。
 
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■景観
 
質問1
 景観条例の全面的な改正、とりわけ屋外広告物条例について伺います。
  都市の環境を考える上で、景観は欠かせない要素であります。パリやローマに負けない魅力ある東京をつくることは、恐らく都民共通の願いであります。その意味で、これまで野方図だった屋外広告物に手をつけることは歓迎すべきことであると考えます。オリンピック招致と絡めて、東京の屋外広告物についての知事の認識を伺うとともに、景観行政と連携した広告物規制の取り組みについて当局の所見を伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 屋外広告物に対する認識についてでありますが、日本の大都市は至るところに屋外広告があふれておりまして、東京も目ざわりな広告物がはんらんしております。
  私は、かねがね、東京を視覚的にいらいらしなくて済むような景観を備える都市にする必要があると思ってまいりました。環境庁長官時代に、新幹線の沿線に沿って、せっかくすばらしい自然が展開するなと思ったら、学生服だとか何とか足袋の広告が立っているのは興ざめでありまして、あれを時限立法でとにかく淘汰するような提案をいたしましたら、これはもう通産省から猛烈な反対がありまして、経済効果を損なうということでつぶされましたが、やっとこのごろになって、国も景観法なるものをつくったようであります。
  このための強制力のある条例をつくりまして、今後策定する景観計画の中で広告物の規制を強化する地区を新たに指定する。例えば、水辺の周辺など観光振興を図る地区であるとか、文化財庭園周辺などの眺望の保全が必要な地域、そういったものを対象に屋上施設の広告物やネオンの色彩などを制限していきたいと思っております。
  こういうことをやりますと、必ず表現の自由というのが出てきまして、ここら辺はやはりどこで感覚的に折り合うかということが大事だと思いますが。
  オリンピックの国内立候補都市が東京に決定したことをきっかけに、新たな取り組みをスタートさせまして、成熟した都市にふさわしい、落ちつきのある首都東京の実現に取り組んでいきたいと思っております。
 
 ▼都市整備局長
 景観行政と連携した広告物規制についてでございますが、屋外広告物は景観形成に与える影響が大きいことから、今定例会では、屋外広告物条例と景観条例の改正をあわせて提案をしております。
  景観条例に基づき今後策定する景観計画では、屋外広告物の規制区域や表示方法の基準を明らかにいたします。屋外広告物条例では、これに即して具体的な規制を行うことにしております。
  今後は、景観条例に基づく建築物などについての景観誘導と、屋上広告物やネオンの色彩などの広告物規制を一体的に行い、落ちつきと美しさが感じられる東京の実現に取り組んでまいります。
 
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■教育
 
質問1
 教師の資質の向上について伺います。
  団塊の世代の定年時期を迎え、教員でも平成十九年度から毎年二千人を超える規模の退職者が見込まれ、今後十年間で小学校教員の半数が入れかわることになります。また、東京都の教員の年齢構成は、五十歳代が全体の三割を超え、三十代半ば以下が二割程度と少なく、豊かな経験を持ったベテラン教員が急速に減少していきます。特に教育管理職の退職者は、平成十九年度から二十年度にかけて四百五十人程度に上り、ピークを迎えます。
  学校におけるさまざまな教育課題を解決し、適切な学校運営を行っていくためには、優秀な教育管理職を安定的に確保しなくてはなりません。したがって、大量退職が続く間は、第一に、優秀な教育管理職については、定年退職後もフルタイムの再任用教員として校長、副校長に登用していくことを検討すべきです。また、第二に、小中高などの校種間の人事交流の促進も検討すべきです。あわせて所見を伺います。
 
答弁1
 ▼教育長
 お話のとおり、教育管理職も大量退職期を迎えまして、優秀な人材を確保することが重要な課題となっております。
  そのため、今年度の教育管理職選考におきましては、受験対象者の資格年齢を拡大するとともに、一定の資格を有する者のうち、区市町村教育委員会や学校長の推薦を受けた者を対象とした新たな選考区分を導入するなど、制度の見直しを行ったところでございます。
  さらに、定年退職する教育管理職の中には、豊富な経験を有し、学校教育に対する情熱を持ち続けている者が少なくないことから、新たに来年度以降、区市町村教育委員会と連携いたしまして、大量退職のピークを迎えている小学校を中心に、再任用フルタイム勤務の校長、副校長の登用を図ってまいります。
  次に、教育管理職の校種を超えた人事交流についてであります。
  今後、教育管理職の退職者数は全体として大幅に増加するものの、校種ごと、小・中・高の学校校種ごとにピークの時期が異なっております。教育管理職の校種を超えた人事交流を進めることは、優秀な教育管理職を確保する上で一つの有効な方策であると考えております。
  このため、特に退職者が増加しております小学校の校長につきましては、昨年度から、小規模ではありますが、中学校副校長からの登用を実施しております。
  教育管理職の校種を超えた人事交流は、優秀な教育管理職の確保ばかりでなく、校種間の接続の円滑化にも資することから、今後さらに積極的に推進してまいります。
 

 
質問2
 資質の高い教員を確保する観点から免許更新制などが議論されておりますが、ここでは二十年度発足予定の教職大学院について伺います。
  大量退職に対応するため安易に大量採用に走ると、採用教員の資質、能力の低下が心配されます。一方、教職大学院は、高度な実践力、応用力を備えた教員を養成していく、教員養成の専門職大学院です。既に都内においても六大学が名乗りを上げています。この教職大学院制度を活用し、優秀な教員確保、リーダー養成を図っていくことが必要です。所見を伺います。
 
答弁2
 ▼教育長
 都民に信頼される学校づくりを進めるためには、実践的指導力を身につけた新人教員を確保するとともに、高い専門性を身につけ、指導的役割を果たすことができる現職教員を育成していくことが必要でございます。
  都教育委員会は、中央教育審議会の中間報告を受けまして、平成十八年三月に、東京都における教職大学院の課題等検討委員会を設置いたしました。教職大学院の活用のあり方につきまして検討を重ねてまいりました。
  今後、教職大学院の活用に向け、特別選考による教員採用や東京都の教育の中核を担うことが期待される現職教員の派遣制度など、教職大学院と連携した東京都ならではの人材確保、育成の仕組みを構築し、教育の質的向上を図ってまいります。
 

 
質問3
 教員を志望する教職大学院の学生は教員免許を有しており、連携協力校で実習生として受け入れれば、多様な教育活動を展開することが可能になります。実習生受け入れについて所見を伺います。
 
答弁3
 ▼教育長
 連携協力校におきましては、教員免許を有する大学院生が、教科指導だけでなく、生徒指導や学校運営など、実務に関する実習を行うこととしております。
  都教育委員会は、少人数指導や習熟度別指導、運動会等の学校行事の企画、準備、保護者との対応など、実践的な内容を実習のカリキュラムに位置づけるよう教職大学院と協議を重ね、連携協力校が多様な教育活動を充実でき、児童生徒の学校生活が一層豊かになるようにしてまいります。
 
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■住宅施策
 
質問1
 続いて、住宅政策について伺います。
  国は、豊かな住生活の実現を図るため、その基本理念、国等の責務、住生活基本計画の策定などを定めた住生活基本法を制定し、住宅政策の見直し、拡充を図ろうとしています。住宅こそすべての生活の基盤であり、都としても最重要課題として取り組むべきであります。
  これまで、都は、都道府県で初の住宅基本条例を制定し、国や他の自治体に大きな影響を与えてきました。住生活基本法で示された住生活基本計画の策定に当たっては、都のまちづくり、産業、福祉、環境などの政策分野との連携を強化し、全国の自治体をリードするとともに、都市における質の高い住環境、住生活を実現するための住宅政策総合プランとして早急に取りまとめるべきであります。策定時期とあわせて見解を伺います。
 
答弁1
 ▼都市整備局長
 住宅政策に関する総合プランについてでございますが、住宅の量的な充足や都民の居住ニーズの多様化などを踏まえ、都は、公的住宅の新規建設を中心とした政策から、市場の活用やストックの活用を重視した政策へと転換を図ってまいりました。
  さらに今後は、福祉、環境政策などとの密接な連携のもと、安全で良質な住宅の整備、子育て世帯の居住支援など、東京の将来を見据えた課題に総合的に取り組んでいくことが必要でございます。
  このため、六月の住宅政策審議会答申を踏まえ、住宅基本条例の見直しを進めるとともに、住生活基本計画の性格をあわせ持つ総合プランとして、成熟した都市東京にふさわしい新たな住宅マスタープランを速やかに策定してまいります。
 

 
質問2
 また、プラン策定に当たっては、住宅政策立案のための体制強化が不可欠であります。プラン策定の専門部署や委員会を設置するなど、体制強化に取り組むべきであります。見解を伺います。
 
答弁2
 ▼都市整備局長
 東京の住宅政策を総合的かつ効果的に推進していくためには、民間住宅分野での政策を一層充実していくとともに、関連する政策との連携を強化していくことが重要でございます。
  このため、住宅担当部署と関係六局から成る庁内の横断組織として、東京都住宅マスタープラン策定検討委員会を設置して鋭意検討を進めております。
  さらに今後、区市町村からの意見を聴取するとともに、住宅政策審議会において専門家の意見を聞くことにしており、こうした検討体制のもと、プランの策定に強力に取り組んでまいります。
 

 
質問3
 次に、都営住宅の管理制度について伺います。
  昨年十二月、国土交通省より公営住宅の管理の適正な執行についてガイドラインが示され、都においても、住宅政策審議会の答申を経て、都営住宅の管理制度について見直しが進められています。
  なお、使用承継制度の見直しについては、公明党の第二回定例会代表質問の主張を反映し、居住の安定を図る必要がある高齢者、障害者、病弱者の例外規定の継続と十分な周知期間を設けたことは評価するものであります。
  さて、国交省のガイドラインによると、小さな子どものいる世帯や多子世帯などについては、入居者選考において優先的に取り扱うことが適当であるとしています。公明党は、子育て支援策として、若年ファミリー世帯や多子世帯向けの優先入居制度の導入、拡充を推進してまいりましたが、実態はまだ不十分であります。そこで、国交省のガイドラインを受け、住宅困窮度の高い子育て世帯への支援をさらに強化すべきであります。見解を伺います。
 
答弁3
 ▼都市整備局長
 安心して子どもを産み育てられる環境を整える上で、生活の基盤である住宅の果たす役割は重要でございます。
  都営住宅ではこれまで、ひとり親世帯や十八歳未満の子どもが三人以上いる多子世帯に対し優先入居を行うとともに、若年ファミリー世帯や多子世帯向けに期限つき入居を導入してまいりました。
  今後とも、東京都住宅政策審議会の答申や国のガイドラインの趣旨も踏まえ、子育て世帯に対する支援の強化について検討してまいります。
 

 
質問4
 ガイドラインでは、入居者選考において住宅困窮事情を的確に反映させるため、可能な限り保有資産を把握し、選考の際の考慮事項とするとしています。しかし、法制度上、都には収入に関する調査権限はあるものの、資産に関する調査権限はありません。仮に制度を構築しても、応募者の申告内容をチェックする手段を持たなければ、適正に運用することはできません。実効性のある制度にしていくために、調査権限の付与を国に要望していく必要があり、それ以前に拙速にこの制度を導入すべきではないと考えます。見解を伺います。
 
答弁4
 ▼都市整備局長
 真に住宅に困窮する都民に都営住宅を的確に供給する上で、申込者の資産状況を考慮することは重要でございます。
  資産状況の把握に当たりましては、入居申込者の自己申告の信頼性が前提となりますが、現行の法制度では、申込者の資産について都に調査権限が付与されていないなど、制度の導入には公平性を確保する上でさまざまな課題がございます。
  今後とも、都営住宅を一層的確に供給できるよう十分検討していくとともに、現状に即した法制度の整備を国に要求してまいります。
 

 
質問5
 都営住宅の耐震化について伺います。
  現在、都営住宅は約七千二百棟、約二十六万五千戸に上ります。このうち、昭和三十年代以前に建設された住宅については、毎年約三千戸の建てかえを実施し、耐震化等に取り組んでおります。しかし、国の基本方針が示す十年後の耐震化率九割の目標を達成するためには、現在の取り組みだけでは不十分であります。
  そこで、旧耐震基準で建設された昭和五十五年以前の都営住宅で耐震診断が実施されていない住宅は何棟あるのか、明らかにすべきであります。
  さらに、都が十八年度じゅうに作成するとしている耐震改修促進計画の策定とあわせ、都営住宅の耐震診断と耐震化を急ぐべきであります。あわせて所見を伺います。
 
答弁5
 ▼都市整備局長
 都営住宅の耐震化についてでございますが、地震による建物の被害から都民の生命を守り、日常生活の安全性を確保する上で、住宅の耐震性向上は重要でございます。
  都営住宅におきましては、阪神・淡路大震災の被害状況を踏まえ、平成八年に専門家により耐震に関する指針を作成しております。この指針では、震災で被害の少なかった型式の住宅は耐震診断を行わないとされており、その棟数は約三千九百棟でございます。
  また、震災で被害の目立った一階がピロティーなどの住宅については耐震診断を行い、必要に応じて耐震改修を実施してきております。
  今後につきましては、耐震改修促進法の改正を踏まえ、現在策定中の耐震改修促進計画の中で位置づけてまいります。
 
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■総合的な自殺対策
 
質問1
 自殺防止対策について伺います。
  国内の自殺者は八年連続で三万人を超え、都内では毎年二千五百人を超える人々がみずから命を絶っています。また、とりわけ中高年が多く、問題の深刻さを示しています。
  さきの国会で自殺対策基本法が成立し、背景にさまざまな社会的要因があることを踏まえ、自殺対策が社会的な取り組みとして実施される必要があるとされました。
  都においては、心の健康対策を中心に、自殺予防につながる施策がとられていますが、改めて対策全体を見直し、施策の強化を図る必要があります。背景にある社会的要因の分析や対応も含め、社会総体での取り組みが推進できるよう、施策の体系を再構築すべきであります。
  関係局の連携はもちろん、職場、学校、地域などのさまざまな角度から、総合的な自殺対策に踏み出すべきであります。所見を伺います。
 
答弁1
 ▼福祉保健局長
 ご指摘のとおり、自殺は個人的な問題としてのみとらえられるべきものではなく、社会全体での取り組みが重要でございます。
  自殺対策を社会的取り組みとして推進するためには、保健、医療や雇用、就業、教育などのさまざまな分野において、行政はもとより、企業、民間団体、都民が緊密に連携することが必要でございます。
  今後、都においては、自殺対策基本法を踏まえ、関係機関、関係局による協議、連携体制の整備、自殺問題に関する理解促進、相談体制の充実など、自殺対策の総合的な取り組みの推進に向けて検討してまいります。
 
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■救命救急対策
 
質問1
 救命救急対策について伺います。
  阪神・淡路大震災では、家屋等の倒壊で道路が遮断されたことにより、救急車の走行が不可能となり、重症患者の搬送がおくれて、多くのとうとい命が犠牲となりました。
  以来、一部の防災関係者の間では、ドクターヘリの導入を求める声が強まっています。ドクターヘリは、救命専用の医療機器を装備し、救命医療の専門医師と看護師を搭乗させたヘリコプターで、患者の搬送時間を大幅に短縮できるだけでなく、現場から救命救急センターに搬送するまでの間も患者に救命治療を行うことが可能な、まさに空飛ぶ救命救急センターといえます。
  震災時や交通事故などで重症患者が発生した場合、一分一秒でも早く救命救急活動を行うことが重要です。
  ドイツでは、救急医療は十五分以内で始めなければならないという十五分ルールが法律で定められています。したがって、国内どこでも十五分以内で飛べるよう、ドイツ全土で七十八機のドクターヘリが配備されています。その結果、ドイツでは、ドクターヘリ導入後、二十年間で交通事故による死者が三分の一に減少しています。
  現在、日本では、北海道を初め、千葉、神奈川、静岡、長野、愛知、和歌山、岡山、福岡県などでドクターヘリが運用され、大きな成果を上げています。
  公明党は、救命救急医療に大きな役割を担うドクターヘリを普及させるため、本年七月、全国配備を推進するための法案骨子を発表し、秋の臨時国会での成立を目指しています。
  そこで、まず第一に、東京大震災や災害時における救命救急活動により都民の生命を守るため、ドクターヘリは有効であると考えますが、所見を伺います。
 
答弁1
 ▼福祉保健局長
 震災等により幹線道路が寸断されるなど、救急車による救急活動が十分に行えない場合、ヘリコプターの機動力を活用することは有効でございます。その際、ドクターヘリなど、医師が同乗して救急現場等に向かい、治療を行いながら患者を医療機関に搬送することは、重症患者の救命のために効果的であると考えております。
  都は、東京消防庁のヘリコプターを活用するほか、平成十二年度からは、民間航空会社とも協定を締結いたしまして、医師などが同乗して迅速な患者搬送ができる体制を確保しているところでございます。
 

 
質問2
 まだ東京都には、残念ながらドクターヘリが整備されていません。運用する主体は、救命救急センターとなる病院です。運行費用は、一機当たり年間約二億円かかりますが、国と都道府県が半分ずつ助成することになります。
  そこで、東京都においても、都立病院や国立病院、民間病院と連携をとり、早急にドクターヘリを導入するとともに、体制整備に着手すべきです。所見を伺います。
 
答弁2
 ▼福祉保健局長
 都は現在、生命危機を伴う重篤な患者に対応する救命救急センターを二十一カ所整備するとともに、島しょ等の医療機関で対応が困難な救急患者が発生した場合には、東京消防庁等と連携し、医師がヘリコプターに同乗して必要な医療処置を行いながら搬送する体制を二十四時間確保しております。
  都としては、現在のヘリコプターによる救急患者搬送などの状況を踏まえ、大都市東京の特性等も勘案しながら、ヘリコプターを活用した、より効果的な救急医療体制について多角的に検討してまいります。
 

 
質問3
 島しょ部に生活する方々は、いざというときには一刻も早く都内の病院に到着し、適切な治療を受けたいというのが悲願です。
  現在、消防庁のヘリが島しょ部の救急患者の搬送に活躍していますが、現状では、さまざまな事情から、八丈島の救急患者を都内に搬送するため四時間から六時間かかります。
  そこで、島しょ部の救命救急対策として、ドクターヘリの検討など、搬送時間を短縮するため、都の具体策をお伺いし、私の質問を終わります。
 
答弁3
 ▼福祉保健局長
 島しょの救急患者の搬送時間の短縮についてでございますが、島しょにおける救急患者の搬送に当たっては、現地及び受け入れ先の医療機関や地元町村など、多くの関係者の緊密な連携が必要でございます。都は、現地での説明会を開催し、手順の周知徹底を図るなど、円滑な搬送に向けた取り組みを行ってまいりました。
  今後、搬送時間の一層の短縮に向け、関係機関から成る検討会を新たに設置しまして、手順の見直しやマニュアルの改善などを具体的に検討してまいります。
 
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