広範なオリンピック招致活動を 世界に誇れる景観創出を |
宮崎 章(自民党) |
平成十八年第三回東京都議会定例会に当たり、東京都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
質問に入る前に、今月六日、皇孫殿下、悠仁親王様がめでたくご誕生されましたことを心からお喜び申し上げます。お名前のとおり、お健やかなご成長をお祈り申し上げます。
また、国会において、本日、臨時国会で首班指名され、安倍総理が誕生いたします。安倍総裁は、民間主導の景気回復を初め、確たる実績を残されました小泉政権の改革路線を引き継ぐとともに、自立国家日本を目指すとの考え方をお伺いいたしております。
都議会自由民主党は、安倍総裁を一致して支援してまいりました。期待にたがわぬ政治を邁進されることを願うものであります。
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■都政運営 |
質問1 さて、最近、東京都におけるビッグニュースは、何といっても、オリンピック、パラリンピックの東京招致決定であります。先月の三十日、二〇一六年オリンピック国内候補地選考は、知事のトップセールスでの招致活動とあわせ、都議会は、オリンピック招致議員連盟の山崎会長を中心に、選定委員会委員に対する積極的なPR活動を行ってまいりました。まさに執行機関と都議会の二人三脚で勝ちに至ったものであります。
次のステージは世界が相手となるわけですが、国の積極的な支援が欠かせません。東京の勝利の翌日、知事は即座に小泉総理、安倍官房長官を訪れ、支援を要請されましたが、この迅速な対応について、知事に心から敬意を表するものであります。
追って、過日、私も内田自民党都連幹事長等とともに安倍前官房長官にお会いし、オリンピック招致に対する国の支援、地方法人二税の現行制度の維持、地方議会議員の位置づけの明確化の三点を申し入れたところでございます。
そこで、このような国政の動向も踏まえて、これからの都政運営のあり方について知事の所見をお伺いいたします。 答弁1 ▼知事 都は、これまで、皆さんご存じのように、身を削る徹底した行政改革や、土俵際からの財政再建に全力で取り組んでまいりました。とともに、東京のさらなる発展と都民の福祉向上のために、大気汚染の改善や治安の回復など、あるいは幹線道路の整備など、さまざまな手だてを講じてまいりました。
オリンピック招致も、こうした取り組みの一環にほかなりません。オリンピックをてこに、東京を成熟した都市に相ふさわしい姿にしていく必要があります。
同時に、今、オリンピックは、国を挙げての一大プロジェクトでありまして、五輪招致に対する国の全面的な支援が不可欠であります。
かつて、さきの東京オリンピックの折には、いずれの時点でからでしたか、池田内閣はオリンピック担当の大臣をつくりまして、通産大臣、当時の佐藤さんでありますが、佐藤栄作という大物の政治家が担当大臣になりました。
しかし、今の国の姿勢を見ておりますと、東京が持つ社会工学的な意味合いを理解しているとは、とても思えません。オリンピックに限らず、道路整備にせよ、法人二税のわけのわからぬ取り扱いにせよ、新政権には、ぜひこの点を十分に認識していただきたいと思っております。
私も、これからも日本全体の利益という視点に立ちまして、東京の再生と日本の新しい発展のために、都政のかじ取りをしっかりと担っていくつもりでございます。
質問2 今回の国内候補都市決定に当たっての知事の率直な感想と、今後のオリンピック、パラリンピック招致に対する知事の決意をお伺いいたします。 答弁2 ▼知事 都が国内立候補都市に決定したことは、都の実現性の高い計画と、それを裏づける東京都の都市力が選定委員に評価された結果であると認識しております。また、都議会東京オリンピック招致議員連盟を初め、関係者が一丸となって招致活動を展開したことも、大きな勝因の一つと考えております。
今後は、世界の強豪都市を相手に、日本の英知を尽くして複合的に、戦略的に活動を展開しまして、激しい招致レースを勝ち抜いていかなければならないと思っております。
オリンピック及びパラリンピック招致は、国を挙げての一大プロジェクトでありまして、JOCを初め、国、関係機関と綿密な連携を図るとともに、都議会の協力のもとに、東京招致へ向けて全力で取り組むつもりでございます。都民の皆様だけではなくて、日本全国の方々の、日本人としてのご支援を心からお願いしたいと思っております。
質問3 さて、オリンピック開催地の決定には、都民を初め国内全体での大きな盛り上がりが重要な評価要素といわれております。そうした広範な盛り上げを含んだオリンピック招致活動のため、都は外部組織を立ち上げると聞いておりますが、その外部組織の考え方についてお伺いいたします。 答弁3 ▼東京オリンピック招致本部長 オリンピック招致の外部組織についてでございますが、外部組織は、オリンピック招致活動の方針を決定し、その実施の中核を担う、招致のための組織でございます。
具体的には、国内外におけますイベント、広報などの盛り上げ活動を効果的に実施し、東京オリンピック招致の機運盛り上げを進めるとともに、国際競技大会などのあらゆる機会を活用しながら、IOC委員などのオリンピック関係者に働きかけを行ってまいります。
現在、招致組織につきましては、民間の資金あるいは人材を中心とした仕組みを検討しておりまして、JOCや関係団体と連携を図りつつ、できるだけ早く立ち上げを行い、招致活動を推進してまいります。
質問4 我が都議会自由民主党有志議員は、国内選考に先立ち、中国オリンピック委員会を訪れ、北京オリンピックの準備状況を聞き、また、東京誘致への協力も求めてまいりました。国際間の招致レースを勝ち抜くためには、アジア諸国の支援、中でも中国の支援が欠かせません。
再来年の北京オリンピックに先立ち、来年はプレオリンピックが開かれます。そうしたIOC委員や世界のメディアが集まる機会を活用し、有効に招致活動を行うべきと思いますが、見解を伺います。 答弁4 ▼東京オリンピック招致本部長 再来年に迫った北京オリンピックや来年のプレオリンピックの開催とともに、さまざまなIOC関連の会議が北京で開かれる予定でございます。これらの北京オリンピック関連イベントを含め、世界各地で開催されるさまざまな国際大会や国際会議などにおいて、外部招致組織と連携を図りながら、IOC関係者へ積極的な働きかけを行い、世界各国の理解を求めてまいります。
質問5 ところで、先月三十日のプレゼンテーションの際、知事は、あきる野市の旧秋川高校を選手の育成、強化の拠点として活用する方向性を示唆いたしました。二〇一六年に向けジュニア選手の育成を図る上でも、オリンピックの効果を多摩地域に及ぼす上でも、知事の提案はすばらしいものと考えます。そこで、旧秋川高校を今後どのように選手の育成、強化に活用していくのか、見解を伺います。 答弁5 ▼知事 東京オリンピックへ向けて、選手強化についてでありますが、二〇一六年東京大会を盛り上げるためには、開催国として、日本全体のスポーツの底上げを図っていくことが急務であります。選手の育成強化を支援していくことが重要であると思っております。
旧秋川高校は、十二ヘクタールという非常に大きな敷地を有しておりまして、しかも四百メートルのトラックがとれるグラウンドが三面もあると。選手強化のための拠点になり得ると考えております。
今後、JOCなど関係機関の意向を十分踏まえながら、このような都有地の活用も含め、ハード、ソフトの両面から、アスリート育成のための支援策を積極的に講じていきたいと思っております。
やはり、非常に完備した都立高校でありましたから、この施設を生かしまして、できれば中高一貫した─このごろ都立高校もそれぞれの性格を決めて、プロパーな目的に邁進するような体制になりました。そういう点でも、中高一貫したアスリートの専門校となればいいなと思っておりまして、実は昨日、多くのアスリート、メダリストを輩出しております日本体育大学の理事長、学長以下十数人の幹部と一緒に秋川高校を視察してまいりました。非常に皆さん強い印象を受けたと思いますが、これからいろいろ話し合いの余地もあるでしょうけれども、いずれにしろ、せっかくのああいう施設でありますから、あれを大いに活用して、幸い非常にアクセスも、インターの整備などで格段にこれからよくなりますので、あの施設を大いに活用していきたいと思っております。
質問6 私は、オリンピック開催と成功のためには、だれもが参加できる仕組みづくりが重要との考えを持っております。どの町から、どの村からもバリアフリーで参加できるような駅ごとのエスカレーターやエレベーター、バリアフリーなどを進め、オリンピックが終了したら、世界からの評価が、東京オリンピックは福祉のオリンピックといわれるような感想が聞かれることの実現を夢見ております。
さて、オリンピック招致活動もいよいよ世界の強豪都市との戦いに移ります。改めて申すまでもなく、ロンドンがオリンピック招致に成功した要因の一つとして、都市の長期戦略とオリンピック大会の構想が合致したことが挙げられております。
東京においても、成熟都市の新しい可能性を都市戦略として世界に示すとともに、その成果をオリンピックの場で披瀝し、世界のだれもが見たことのない驚きと感動の大会を実現する必要があります。
所信表明において、知事は、東京の未来をしっかりと描くと表明されました。十年後の東京の都市像をわかりやすく示すことが極めて重要と考えます。この都市像を招致活動のあらゆる場面に活用して機運を盛り上げていくとともに、IOCに提出するオリンピック立候補ファイルへも反映していくべきであります。
東京の将来にとって、オリンピック招致にとっても重要な意味を持つ二〇一六年の東京の都市像を策定するに当たり、改めて知事のお考えを伺います。 答弁6 ▼知事 二〇一六年の東京の都市像についてでありますが、オリンピックの開催は、東京をさらに機能的で魅力的な都市につくり変えていく絶好の機会であります。前回のオリンピックは、我が国発展の起爆剤となりまして、オリンピック後一、二年して日本の高度成長が始まり、GNPが世界第二位の経済大国に躍り出たわけでありまして、また、東京のインフラ整備もこれを機に大きく進展いたしました。
今回策定する都市像では、成熟した都市として、都市インフラの整備だけではなく、環境、生活、文化、産業などさまざまな分野で、東京がさらに高いレベルの成長を遂げた姿を世界に示していきたいと思っております。
例えば、東京の唯一の弱点であります渋滞は、三環状道路の整備によって一気に解消されます。同時に、そのことがCO2の大幅な削減など環境改善に効果がありまして、物流の効率化、災害時における緊急輸送道路の確保など、さまざまな波及効果を生み出し、政策の効果が複合的、重層的にもたらされる姿をあらわしていくと思っております。
さらに、運河や水路の活用を初め、かつて江戸が持っておりました洗練された都市の姿を取り戻し、先端技術で都市の機能を高めるといった視点も大切だと思っております。
水と緑のネットワークの形成や、世界に誇れる美しい都市景観の創出、先端技術を活用した世界をリードする環境対策、あるいは日本やアジアのアスリート育成のためのスポーツ振興など、東京の新しい可能性を、リアリティーをもって描いていきたいと思っております。
先般、今度オリンピックのグランドデザインをお願いしております、世界で有名な建築家の安藤忠雄さんが、あの方は大阪出身でありますけれども、一緒にヘリコプターで東京を飛びまして、いや、大阪に比べたらやっぱり東京はまだまだ緑が多いなといっておられましたが、あの人は非常に緑に固執しておりまして、これは大変ありがたいことですけれども、彼の発案で、近々、東京にたくさんの、主に建物でしょうね、あるいは土地を所有しております大手の不動産会社の社長さんなどを招きまして、どういう形にするかは決めておりませんが、いずれにしろ、あいた、大きな建物を持っている、あるいは、あいている土地を持っている不動産会社、屋上の緑化などを含めて、自分の敷地の一部に木を植えるなど、多角的な緑の造成の積み上げを行っていきたいと思っております。
いずれにしろ、今後、専門家たちの協力を得ながら、成熟した都市にふさわしい魅力的な東京の姿を、オリンピックを目指して、国内外にわかりやすく示していくつもりでございます。
質問7 これまでも都はさまざまな大都市問題に積極的に取り組んできましたが、東京の弱点の克服と長所をさらに伸ばす政策展開を、東京国体もにらんで、多摩地域を含めた都全域で進めていくべきと考えます。 とりわけ環境対策やスポーツ振興等への取り組みも重要だと考えます。都市像の策定時期を含めて見解をお伺いいたします。 答弁7 ▼知事本局長 都市像の策定についてでありますが、都はこれまでも重要施策、重点事業による先駆的な政策展開を図ってまいりましたが、今回策定する都市像は、十年後のオリンピックやその三年前に開催される東京国体を見据え、これまでの取り組みを一層推進し、より機能的で魅力的な東京の姿を発信するものであります。
策定に当たりましては、東京の将来像を示すとともに、環境対策やバリアフリーなどの福祉施策、スポーツ振興等さまざまな分野での政策について、多摩地域も含めた都全域における展開を戦略的かつ重点的に明らかにしてまいります。今後のオリンピック招致活動を念頭に置きながら、成熟した都市の新しい可能性を世界に示す二〇一六年の東京の都市像を年内を目途に打ち出してまいります。
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■行財政運営 |
質問1 財政問題について伺います。
都財政は平成十七年度決算で実に十六年ぶりに黒字に転換するなど、ようやく念願であった財政再建にめどをつけることができました。まさしく知事と我が党が一丸となって取り組んできた成果であります。
都はこの七月、財政再建推進プランにかわる新たな財政運営の方向性として、「今後の財政運営の指針」を明らかにしました。今後三年間の財政フレームとあわせて、山積する課題への積極的な対策といった基本方針を示すことにより、都財政の質的転換を目指すものであり、予算編成手法についても思い切った見直しを行うなど、これまでにない斬新な取り組みを盛り込んだものであります。
そこで、まず、今後の財政運営に臨む知事の決意を伺います。 答弁1 ▼知事 これまで七年間、都議会のご協力もいただきながら、身を切るような努力を続けた結果、都財政は、ようやく長いトンネルを抜け出すことができました。
しかし、長期的に見れば、人口減少社会の本格的な到来という非常に厳しい時代が迫っているだけでなくて、目の前においても、いまだ手つかずの負の遺産という厄介な存在や、都が財政再建を進めれば進めるほど強まる東京富裕論などというものがありまして、決して楽観できる状況ではございません。
幸い現在は税収増というような追い風が吹いておりますので、これを好機として、これまでの成果に安住することなく、都財政の体質強化に本腰を入れて取り組んでいくつもりでございます。
それにしても、先ほどご指摘もありましたが、政府の税のいじり方というのは、非常におかしい気がいたします。本来、受益者負担の目的税でありました自動車に関する揮発税あるいは重量税というものを、財政のかじ取りを間違ったために、それをにわかに原理を無視して一般財源化するという、こういう乱暴な税のいじり方というのは、結果として、それがまかり通ると東京都にも及んでくるわけで、私たちこれに対して、ちゃんと理を構えて強い反対を唱え、東京の財政というものを守っていかなくてはならないと思っております。
質問2 昨年末から続いております都の財源をねらう国の動きに対して、我々は猛反発し、何とか強行されることなく抑え込むことができました。しかし、景気回復やオリンピック招致を契機として都財政の回復ぶりが注目されており、この秋以降、こうした国の動きが一層強まることは確実であろうと思います。都の財源をめぐる今後の国の動きに対応しての所見を伺います。 答弁2 ▼財務局長 都の財源をめぐる国の動きについてでございますが、このところ、都市と地方の格差問題が殊さらに大きく取り上げられるなど、首都東京に対する逆風は勢いを増しております。残念ながら、国が東京から財源の吸い上げを強行する危険性はますます高まっているといわざるを得ません。
膨大な大都市需要が存在する中、都民の共有財産である都の財源は都民に還元すべきものでございます。取りやすいところから取るという国の安直な姿勢は、健全化に向けた都のこれまでの努力に水を差すばかりか、東京の活力をそぎ、ひいては我が国経済の失速を招くものでございます。
今後は、こうした点をわかりやすく丁寧に説明し、都議会並びに東京都選出国会議員の皆様のお力をおかりしながら、全力を傾け、国の不合理な動きを何とか阻止していきたいと考えております。
質問3 過去に実施された法人事業税の分割基準見直しによって、都は今年度だけでも二千億に上る減収が見込まれております。国はこうした実態を直視せず、大都市に税収が偏在している現状を打開するために、法人二税を法人とは全く関係のない各地方の人口を基準として配分すべきであるとの見解まで出ているありさまであります。法人二税のいわゆる人口配分論については、都は明確に反論していくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。 答弁3 ▼主税局長 法人二税のいわゆる人口配分論についてお答えを申し上げます。
法人二税の税収について人口を基準として配分することは、地域で活動している法人と地方団体の行政サービスとの応益関係などに着目して課税するという、税制上の根拠を全く無視し、もはや地方独立税とは呼べないものでございます。
最近の税収の動きを見ますと、地域間の税収の偏在はむしろ縮小の傾向にございます。また、全国知事会などでは、税の本質を無視した国の不合理な財源調整の動きに反対する良識的な声も上がっております。
都は、都税制調査会を活用いたしまして、税制のあるべき姿を検討するとともに、税収の人口配分論など不合理な国の財源調整の動きに対しては、他都市とも密接に連携をしながら、断固として反対をしてまいります。
質問4 行財政改革について伺います。
都はこれまで、厳しい社会経済状況での都民生活や中小企業経営をかんがみて、定数の削減や監理団体改革など、徹底した内部努力を国に先駆けて進めてまいりました。今後につきましては、かつて経験したことのない人口減少社会を迎え、社会や経済の活力を維持していくためには、公的部門の効率性を一層高めることが不可欠であります。
都は、今般、行財政改革実行プログラムを策定しましたが、改めて、今後の都の行財政改革をどのような基本的な考え方で進めていこうとしているのかを伺います。 答弁4 ▼総務局長 社会構造の変化に的確に対応し、活力ある東京を創造していくためには、不断の行政改革を推進し、都政の対応力を高めていくことが必要でございます。
このために、都は昨年十一月、行財政改革の新たな指針を策定し、この七月には、今後三カ年の具体的な取り組みを明らかにした行財政改革実行プログラムを策定いたしました。このプログラムでは、基本的な考え方として、官民の協働による豊かな「公」の構築、政策対応力の高い執行体制の確立、スリムで効率的な行政運営の実現の三点を柱としております。
今後は、本プログラムに沿いまして、多様な経営改革手法の活用、監理団体改革や公営企業改革の一層の推進、職員定数のさらなる削減などの取り組みを行うことによりまして、時代の要請に即した行財政改革を進めてまいります。
質問5 団塊世代の職員の大量退職など、今後の都政をめぐる状況を考えれば、踏み込んだ行政改革が必要です。こうした観点から、行政のスリム化を実現するために、今後とも、官民の役割分担を見直し、行政分野の民間開放を進めていくことが必要であります。
しかし、耐震強度偽造事件や埼玉県における公営プールの死亡事故のように、民間開放した事業について重大な事件が続いております。民間といえども絶対ではないんです。民間開放した事業についても、最終的には行政に責任があることをしっかりと認識すべきであり、また、議会としても関与を適切に行っていく必要があります。
そこで、行政分野の民間開放に当たり、都民の安全・安心を確保していく仕組みを講じるべきと考えますが、見解を伺います。 答弁5 ▼総務局長 行政のスリム化を実現するためには、官民の役割分担を見直し、民間開放を進めていくことが重要でございます。こうした民間開放を行う場合におきましても、都として適正な事業執行を確保していくことは、ご指摘のとおり当然の責務であると考えております。
しかしながら、民間開放の手法であります指定管理者制度や市場化テストにつきましては、現行法上、安全管理やサービス水準の確保についての評価の仕組みが定められておりません。
そこで、都独自の評価の仕組みを新たに構築し、都としてのチェック機能を一層強化するなど、都民の安全・安心を確保する視点に立った行財政改革を着実に推進してまいります。
質問6 本年六月、北海道夕張市が財政再建団体の申請を表明するなど、地方自治体の財政破綻が問題になっていますが、その一因として、資産や負債の全体像が見えにくいという官庁会計の限界が挙げられています。また、本年度から地方債の発行が自由化されましたが、自治体の円滑な資金調達のためにも、財務状況を的確に分析し、債券市場に対して積極的に情報開示を行うことが求められます。
そんな中、本年四月、都は新たな公会計制度を導入しました。これは、単式簿記・現金主義会計である従来の官庁会計に、複式簿記・発生主義会計の考え方を加えた制度で、国及び全国の自治体を通して、我が国初めてのものであります。この改革は知事の強いリーダーシップによって実現したものであり、知事の先見性に深い敬意を表する次第であります。
国でも、都を参考にしながら、複式簿記のシステム化の検討を開始したとのことです。公会計制度の改革は全国すべての自治体が取り組んでいくべき課題であり、都は全国に範を示し、牽引していく必要があります。
そこで、行政に複式簿記・発生主義会計を導入すること、そして、これを全国に広めることの意義について知事の所見を伺います。また、今後の具体的な取り組みについての所見もあわせてお伺いいたします。 答弁6 ▼知事 複式簿記・発生主義会計の導入についてでありますが、これは私、就任以来の取り組みの中で、自治体の経営改革につながる最も本質的な改革であったと思います。明治以来の官庁会計は、いわば大福帳でありました。現金の出入りを記録するだけにすぎません。複式簿記・発生主義会計は、帳簿を見るだけでストック情報や正確なコスト情報を明らかにすることができます。
説明責任を果たし、これまで以上に効率的、効果的な行政運営を展開することが可能となりました。金利感覚やコスト意識の涵養など、職員の意識改革を促すよすがになると思っております。
都だけで導入すればいいというものではございませんで、国はもとより全国の自治体で、国民のために、それぞれの自治体に所属する住民たちのために、複式簿記・発生主義会計を導入することによりまして、真に国民の利益となる行政運営が実現するものと思っております。
東京から日本を変えていくためにも、都は、我が国の新しい合理的なスタンダードを目指しまして、全国へ向けて積極的にこれを発信していくつもりでございます。 ▼出納長 複式簿記・発生主義会計を全国に広めるための取り組みについてのお尋ねでございますが、この会計制度が普及することにより、自治体間や類似事業間での比較、分析の充実につながるとともに、より効率的、効果的な行政運営に資すると考えております。
このため、これまで積極的に普及活動を展開し、都内区市町村を初め、八都県市、全国知事会、各県等の研修会などにおきまして説明を行うとともに、より一層の理解を深めるため、この会計制度に関する解説書を作成し、配布を行ってまいりました。
本年七月には、都庁におきまして、国や全国の自治体を対象に説明会を開催し、四十一の道府県、他県の市、都内の区市町村、そして各省庁など百二十九の団体、五百名を超えます参加がございました。参加者の関心は高く、説明会後も多数の質問が寄せられております。
説明会を契機に、東京都市長会では研究会の設置が決定され、また各特別区におきましても、検討会の設置が相次いでおります。導入に向けた具体的な取り組みが始まっているところでございます。都としても、これらの取り組みに対しまして積極的に支援してまいります。
今後とも、個別の自治体に対する支援、協力はもとより、複式簿記・発生主義会計を全国に発信し、日本の公会計制度改革が実現するよう、全力で取り組んでまいります。
質問7 入札・契約制度の改善について伺います。
昨年四月、公共工事の品質確保の促進に関する法律が施行され、総合評価方式の推進が求められています。総合評価方式は、価格以外の要素とあわせて評価するものであり、経済性と品質確保を両立させる入札・契約制度への大きな転換であります。価格以外の要素として、企業の技術力に加え、その地域の特性に十分精通し、都との災害協定を結ぶなど、企業の地域貢献度を評価することも公共事業の品質を確保することに有効と考えます。
このような企業を大いに評価すべきと思いますが、都としてどう取り組んでいくのか、見解をお伺いします。 答弁7 ▼財務局長 入札契約制度における企業の地域貢献度の評価についてでございます。
公共工事は将来にわたる社会資本の整備でありまして、品質の確保が強く求められております。都はこれまで、技術提案型と工事成績等を評価する施工能力審査型との二つの総合評価方式を実施しており、価格と品質が総合的にすぐれた内容の契約がなされるよう取り組んでいるところでございます。
今後、災害協定等による地域貢献の実績の評価などについて検討いたしまして、都における総合評価方式の推進を図ってまいります。
質問8 次に、公営企業改革に関連して、都営バス職員給与の見直しについて伺います。
都営バス事業は、都民生活や東京の都市活動を支える身近な公共交通機関として重要な役割を果たしています。一方、都バスの乗客数は、昭和四十七年度のピーク時には一日当たり百三十万利用者がありましたが、平成十七年度は半減するなど、大幅に減少していること、加えて、少子高齢化や新たな鉄道の開業、バス事業の規制緩和による事業者間競争の激化等、経営はさらに厳しくなるものと考えます。そこで、まず、都営バスの今後の経営見通しについて伺います。 答弁8 ▼交通局長 都営バスの今後の経営見通しについてでございますが、都営バスを取り巻く経営環境は、鉄道網の整備や道路混雑などにより乗客数が減少する一方で、規制緩和により事業者間競争が激化するなど、大変厳しい状況が続いております。
このため、これまで運行業務の委託や路線の見直しなどによる経営効率化に努めてまいりましたが、経営収支では営業損益で大幅な赤字が続いており、また多額の累積欠損金を抱えるなど、赤字基調から脱却できない状況にございます。
今後も、ご指摘のとおり、少子高齢化や低経済成長のもとで東京メトロ十三号線開業の影響などを考慮いたしますと、さらなる乗客数の減少が避けられず、このままではさらに厳しい経営状況に陥るものと見込まれるところでございます。
質問9 都営バスが安定した経営を行い、公営としての役割を確実に果たしていくためには、経費の大宗を占める人件費の削減など、より抜本的な対策を講じることが必要と考えます。
このような中、交通局では、先般、公民格差の大きいバス事業の現業職員の給与表の見直しを組合に提案したと聞いております。バス事業の経営改善を図り、長期的に安定した経営基盤の確立を目指して、この課題の早期解決に最大限の努力を求めるものであります。そこで、今回の給料表見直しの趣旨とその実現に向けた決意をお伺いします。 答弁9 ▼交通局長 バス事業職員の給料表見直しの趣旨と、その実現についてでございますが、都営バスの経営を公営企業として今後とも安定的に進めていくためには、民間並みの効率化を目指して思い切った人件費の削減を図るなど、抜本的な経営改善に取り組むことが不可欠となっております。
このため、今回、民間のバス事業者との給与水準の格差や都営バス事業の将来の経営状況などを総合的に判断しまして、公民格差の大きい運転手などの現業系職員に適用している給料表を見直すこととし、労働組合に既に提案したところでございます。
都営バス事業が経済性を発揮しつつ、引き続き都営交通として使命を十分に果たせるよう、今回の見直しの早期解決に向けて、全力で取り組んでいく決意でございます。
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■都市再生とまちづくり |
質問1 初めに、道路整備であります。
東京を中心とする都市圏の慢性的な交通渋滞は、大きな経済的損失とともに環境負荷の増大を招いております。東京の国際競争力を高め、首都圏の再生を推進するためには、三環状道路を含め、都市の骨格を形成する広域的な道路ネットワークの整備が重要であります。中でも、臨海部の広域幹線道路である環状二号線は、オリンピックの開催時には都心部とメーンスタジアムなどの主要施設を結ぶ路線として整備促進が求められております。
知事は、所信表明演説で、築地─晴海間は平成二十七年度の完成を目指すと述べられましたが、今後の取り組みについての所見を伺います。 答弁1 ▼都市整備局長 環状第二号線の今後の取り組みについてでございますが、本路線は都心部と臨海副都心を結ぶ生命線となる道路で、オリンピック開催時にはメディアセンター、メーンスタジアム、選手村の主要施設を直接つなぐ、大会運営に不可欠な路線でございます。
このうち未着手の築地─晴海間につきましては、道路構造の変更に伴う都市計画素案の説明会を開催するなど、地元の意見を聞きながら検討を進めてまいりました。来月には、都市計画案及び環境影響評価書案の縦覧を開始し、平成十九年度の都市計画決定を目指してまいります。
今後とも、地元及び関係機関の理解と協力を得て早期に事業着手し、豊洲新市場の開場に合わせた暫定整備を行うとともに、オリンピック開催前年に当たる平成二十七年度の全面開通に向けて、全力で取り組んでまいります。
質問2 道路整備の財源について伺います。
立ちおくれた首都東京の道路の整備に、その財源の確保は極めて重要であります。国の骨太の方針では、道路特定財源について一般財源化の方針を示しております。公共事業全体に一律にシーリングをかけ、本当に必要な道路整備に関する予算を絞り、道路特定財源が余るかの議論は、まさにつくられた余剰論といわざるを得ません。
道路特定財源は、受益者負担の趣旨にのっとり、道路整備など本来の目的に活用すべきであり、仮に他の目的で使うならば、現行の暫定税率を本則の税率に下げるのが筋と考えます。
交通渋滞に伴う経済損失や排出ガスによる環境負荷の解決には、三環状道路を初めとした幹線道路ネットワークの早期整備が必要であり、これまで以上に財源の確保が不可欠であります。さきの議会で道路特定財源について代表質問したところですが、その後、都としてどのような取り組みをしてきたのか、お伺いいたします。 答弁2 ▼建設局長 首都圏三環状道路や都内の骨格幹線道路などの整備を進めるためには、安定した財源である道路特定財源が必要不可欠であり、一般財源化することなく、必要な道路整備に充当することが重要でございます。
このため、都は、首都圏の道路整備の重要性と財源確保の必要性について、道路整備の全国大会などで国に対し強く主張するとともに、特定財源の仕組みや必要性をわかりやすく説明したパンフレットやポスターを新たに作成し、納税者に対し積極的に広報活動を展開しております。
今後とも、知事と学識経験者との対談などを通じて、道路利用者や都民の理解を得られるよう努めていくなど、財源の確保と配分の拡大に取り組み、真に必要な首都東京の道路整備を全力で進めてまいります。
質問3 景観施策について伺います。
知事は、東京オリンピックを招致する意義を、世界の範となる二十一世紀の都市のあり方を提示するとしていますが、そのためには、成熟都市として、世界に誇れる東京の景観を創出していくことが不可欠であります。
幸いなことに東京都は、国の景観法制定以前から景観条例をつくり、独自の施策に取り組んできました。しかし、一方では、まちには電線が張りめぐらされ、原色のネオンや広告物がはんらんしている状況であります。今後、東京の街並みを景観重視の都市に変えていくべきであります。景観を重視した都市づくりに対する知事の決意を伺います。 答弁3 ▼知事 景観を重視した都市づくりについてでありますが、都庁の廊下には、百数十年前の江戸を愛宕山の上から撮りました写真が飾ってあります。寺を除けば高層建築もなく、屋根はみんな灰色のかわらでふかれ、壁は白、モノクロームの町並みは本当にすばらしい、息をのむほどの美しいものであります。
かつて明治政府になりましてから、近代ホテルをつくるために招かれましたフランク・ロイド・ライトという有名な建築家が日記にも記しておりますが、彼が日本に来て、まだ残っておりました江戸の景観を眺めて、こんなに美しい町は見たことないと。自分の新しいホテルの構想、コンセプトをがらっと変えまして、コンクリートは使わずに、日本らしい素材ということで、かつての古い帝国ホテルは、あの大谷石という日本独特の素材でつくられたわけであります。
また、ドゴール政権下では、文化相を務めたアンドレ・マルローが、非常にすすに汚れた、あのパリの古い町の洗い直しをしましたし、何といっても、町を彩るネオンサインの色を、たしか二色、三色に規制してしまいました。随分表現の自由云々で問題がありましたが、結果として、非常にパリもまたモノクロームの美しい町としてよみがえりました。まさに、かつての江戸に似たパリになったわけであります。
比べて、今日の東京は、建築物の色彩、形態に統一性を欠きまして、原色のネオンや看板がはんらんするなど、都市全体の美しさが余り感じられません。その最たるものは、ここに近い歌舞伎町でありましょう。このため、法的な強制力も行使できるように景観条例を改正し、新たな実効性のある景観計画を策定いたします。
例えば、建築物や工作物の色彩に対する変更命令、あるいは屋上設置の広告物などを禁止する区域の指定、あるいは景観配慮を条件とする大規模開発の許認可といったものでありますが、オリンピックの開催も、成熟した都市にふさわしい東京の姿を世界に示す絶好の機会でありまして、景観を重視した都市づくりを積極的に進め、美しく風格のある首都東京に再生していきたいと思っております。
質問4 東京は、さまざまな地域で大規模な開発が進められ、これが都市の活力にもなっております。一方で、これら大規模開発は東京の街並みに大きな影響も与えております。都は今定例会に景観条例の改正を提案していますが、大規模な民間開発の景観誘導を今後どのように行っていくか、所見を伺います。 答弁4 ▼都市整備局長 近年、活発な経済活動を背景に市街地の機能更新が進むことに伴い、街並みが大きく変わりつつあり、民間開発の事業化に合わせて良好な景観を誘導することが重要となっております。
このため、今定例会で改正を提案している景観条例では、大規模な民間開発などを対象として、都市計画決定などの手続に先立つ事前協議制度を導入することとしております。
具体的には、建築物の配置や色彩、屋外広告物の表示などの基準を景観計画の中で定め、これに基づき、企画段階から開発事業者との協議を行ってまいります。
質問5 景観法では、区市町村も都の同意を得て法に基づく計画を定めることができ、そのような意向を持つ区や市もあると聞いております。しかし、複数の区市町村にまたがる、広がりを持つ景観形成などについては、広域自治体としての都の役割が必要であります。
都は、成熟した都市にふさわしい東京の景観を形成していくために、東京全体を視野に入れ、統一的な考えのもとに施策を展開すべきと思いますが、見解を伺います。 答弁5 ▼都市整備局長 東京全体を視野に入れた景観形成についてでございますが、景観法では、一つの行政区域において、都または区市町村のいずれか一方が景観行政団体となり、法に基づく景観計画を定めることになっております。
東京では、街並みが連檐していることに加え、首都としての景観形成が重要であることから、都と区市町村が基準を統一し、行政界を超えて施策を展開する必要がございます。都が定める景観計画では、こうした首都東京の特性を踏まえ、景観形成の方針などを明らかにいたします。
今後、区市町村が景観行政団体となる場合においては、都の基準の共有を求め、区市町村とも連携して、東京全体として良好な景観形成を積極的に進めてまいります。
質問6 電線類の地中化について伺います。
道路上に張りめぐらされた電線類は、事故の際や災害時の信頼性に不安があるばかりではなく、道路に立ち並ぶ電柱が歩行者や車いすの通行を妨げるバリアとなっています。ロンドンやパリなど世界の主要都市では、電線類が地中化され、美しい街並みが形成されているのに対して、東京は電柱や電線類により都市の景観が大きく損なわれています。
オリンピックは東京の存在感を世界に示す絶好の機会であることから、風格のある街並みの形成とバリアフリー化に向けて、今後十年間に今まで以上に地中化を急ぐ必要があると考えます。そこで、電線類地中化の今後の取り組みについてお伺いいたします。 答弁6 ▼建設局長 地中化事業は、防災機能の強化、安全で快適な歩行空間の確保、良好な都市景観の創出などを図る上で極めて重要でございます。
都は、現在、山手通りと荒川に囲まれたセンター・コア・エリア内の幹線道路、災害時の緊急輸送路、主要駅周辺などで事業を重点的に推進しており、例えばセンター・コア・エリア内の平成十七年度末の整備率は約五〇%となっております。
今後、オリンピック開催に向け、風格ある成熟した街並みを形成するため、センター・コア・エリア内についてはもちろんのこと、オリンピック関連施設周辺においても一〇〇%の地中化を目指し、局一丸となって努力してまいります。
また、環状七号線を初めとした緊急輸送路や八王子、町田などの主要駅周辺などにおいても、事業規模を拡大し、実施してまいります。
今後とも、コスト縮減と工期の短縮に努めるとともに、財源の確保を図りながら、電線管理者や地元区市などと連携し、十年で確実に成果が得られるよう、地中化事業に積極的に取り組んでまいります。
質問7 次に、東京の新しい可能性を秘めた臨海地域の今後の展開について伺います。
今年十一月、晴海通りの延伸が完了すると、都心方面からオリンピックのメーンスタジアム予定地の晴海地域を経て臨海副都心までの交通アクセスが一段と向上し、臨海地域のさらなる発展が期待されるところでございます。
臨海副都心は、今年度から開発の総仕上げの十年に入りますが、第一回定例会で我が党の代表質問に、都は、開発を支える財政基盤の一層の強化を明らかにしております。
今後は、残る大規模な未処分地である青海地域北側と有明北地域の開発が注目されます。そこで、今後、この両地域の開発をどのような方針と手順で進めていくのか、伺います。 答弁7 ▼港湾局長 臨海副都心は開発の総仕上げの段階を迎え、青海地区北側と有明北地区の二つの地区を重点的に開発する段階に入りました。
このため、都は今回、これらの地区について、現行のまちづくり推進計画の考え方を基本に、周辺の開発状況を踏まえ、土地利用の一部見直しを行ったものでございます。
具体的には、青海地区北側については業務・商業機能を重点化し、有明北地区については住宅、商業・業務の複合機能を強化するというまちづくりの考え方をまとめたところでございます。
今後の開発の手順としては、まず青海地区北側について、今年度末の公募開始を目指して、具体的なまちづくりの指針であるガイドラインを改定いたします。
また、有明北地区については、地権者との協議を進めますとともに、オリンピック招致活動との整合性を図りながら開発を進めてまいります。
質問8 臨海地域における監理団体改革である持ち株会社構想について伺います。
臨海地域の機能強化を図っていくためには、速やかに持ち株会社を設立し、持ち株会社グループ全体がエリアマネジメント機能を果たしていく体制を構築することが求められます。
一方、東京港の国際競争力の強化や臨海副都心開発の総仕上げなど、臨海地域の重要事業は、基本的に都が責任を持って遂行すべきものです。
今後、都が持ち株会社グループと一体となって取り組んでいくためには、これまでのようにゆりかもめなどの子会社に個別に指導監督を行うのではなく、持ち株会社を通してグループ全体に関与していくための仕組みづくりが重要となります。
しかし、逆に、子会社となる各団体の状況が都民から見えにくくなるのではないかという危惧もあります。設立に当たって、こうした点に十分配慮すべきであります。
そこで、持ち株会社のグループ化をどのように進めていくのか、各団体の透明性をどのように確保するのか、伺います。 答弁8 ▼港湾局長 東京港の国際競争力強化と臨海副都心開発の総仕上げを着実に推進するためには、ご指摘のとおり、臨海地域の監理団体を経営統合する持ち株会社の早期設立が重要でございます。
このため、まず来年一月に持ち株会社を設立し、都の施策との整合性を図りながら、各団体の事業が効果的に連携し、エリアマネジメント機能を十分発揮するグループ全体の経営計画の策定を進めてまいります。
その後の展開については、十九年度に東京臨海熱供給とゆりかもめによるグループ経営を開始し、さらに二十年度には、東京ビッグサイトと民営化後の埠頭公社を子会社化し、二十一年度から経営を本格稼働させてまいります。
また、各団体経営の透明性の確保でございますが、持ち株会社に加えて、グループ全体と各子会社の財務諸表についても、毎年度議会へ報告することにより、経営の透明性と都民への説明責任を果たしてまいります。
今後、持ち株会社グループの具体的な組織形態や事業内容についてさらに検討を進めた上で、年内に詳細を明らかにしてまいります。
質問9 多摩・島しょ地域の振興について伺います。
多摩地域は四百万人の人口を擁し、神奈川、埼玉県と隣接し、人、物、情報の結節点として重要な位置を占めております。
今、多摩地域では、試験研究機関や数多くの大学が立地し、先端技術産業の集積も進むなど、都心部とは異なる優位性を生かし、魅力ある都市づくりが進められております。
こうした多摩地域の振興発展のため、基本施策として多摩リーディングプロジェクトが策定され、二年目を迎えております。この中で、都市基盤整備など都が重点的に取り組む事項を明確にするとともに、その進捗状況を市長会、町村会に報告しながらフォローアップを行うことといたしております。
今後とも、このリーディングプロジェクトの特性を生かし、重点的かつ確実に施策を進める必要があります。そして、二十の多摩重点推進事業について、状況変化に柔軟に対応して事業内容を拡充するなど、自立と連携の都市づくりに向け、一層の充実を図るべきと考えますが、所見を伺います。 答弁9 ▼総務局長 多摩リーディングプロジェクトについてでございます。
平成十七年一月に策定をいたしました多摩リーディングプロジェクトは、多摩振興の全体像を具体的に明らかにしたものであり、都がみずから行う二十の多摩重点推進事業を中心に、市町村とも連携しながら、積極的に取り組んでまいりました。
ご指摘のとおり、多摩重点推進事業につきましては、策定から二年を経過し、交差点すいすいプランなど拡充を図っている事業や、花粉症対策など新たな位置づけが必要な事業も生じておりまして、事業の追加も含め、内容の充実を図ってまいります。
今後とも、このリーディングプロジェクトにより、多摩地域の持つ優位性を生かした施策を推進し、さらなる多摩振興に努めてまいります。
質問10 次に、多摩地域の歩道の整備であります。
都ではこれまでも計画的に歩道の整備を進めてきていますが、区部に比べて多摩地域における歩道の整備は大幅におくれている感じがします。現に、歩道の幅員が狭い箇所や、歩道のない箇所が数多く残されています。多摩地域において、子どもや高齢者が安心して歩ける幅の広い歩道を早急に整備すべきと考えますが、今後の取り組みについてお伺いをいたします。 答弁10 ▼建設局長 歩道は、歩行者の安全を確保するとともに、植栽などによる良好な都市環境の形成や、ガス、水道などのライフラインの収容空間の確保など多くの役割を果たしており、その整備は大変重要でございます。
このため、交通量や学校、病院などの配置状況を踏まえ整備対象箇所を選定し、歩道の整備を計画的に進めております。現在の整備率は、区部が八七%、多摩地域が六八%となっております。
今後、多摩地域における歩道整備のさらなる促進を図るため、整備箇所の拡大など、計画の見直しを行ってまいります。
今後とも、財源の確保に努めるとともに、地元自治体や関係住民の理解と協力を得て、だれもが安心して歩ける幅の広い歩道の整備を積極的に推進してまいります。
質問11 島しょ地域におけるオートバイレースの開催についてお伺いをします。
知事は、本年五月、オートバイレースで有名なマン島を視察し、第二回定例会において、オートバイレースを観光の起爆剤に据え、島民の方々が実現に向けた具体的な一歩を踏み出すことへの期待を述べられました。知事の島しょ地域の振興への強い思いを感じるものであり、この魅力ある提案の実現に向け、都としても全力で支援をすべきと考えます。
このオートバイレースは、我が国で初めてサーキット場ではなく一般の道路で行うものであり、運営方法などさまざまな課題があると思いますが、今後、実現に向けて都としてどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。 答弁11 ▼総務局長 島しょ地域でのオートバイレースについてでございます。
一般道路を使用した我が国初の本格的なオートバイレースとなることから、本年七月、都は専門家とともに三宅、八丈両島で調査を行い、道路の状況や準備に要する期間、さらに災害復興への寄与等を踏まえまして、三宅島での開催に先行的に取り組むことといたしました。
地元の三宅村は既に実施検討組織を立ち上げ、運営方法、安全対策、宿泊、運搬対策等の諸課題の解決に向けて主体的な取り組みを行っております。
今後、来年秋の第一回レース開催を目指し、都としても村と協力して、道路の安全対策や救急医療体制の確保等の課題の解決に取り組みまして、オートバイレースが島しょ地域の観光振興と活性化につながるよう全力で支援をしてまいります。
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■安全・安心な社会 |
質問1 都民の安全・安心な生活と健康を守る施策について伺います。
先月十四日の早朝、首都圏において百四十万件に及ぶ大規模停電が発生しました。鉄道が運行不能、信号機が停止など、都民生活に大きな混乱をもたらしました。今回の大規模停電は台船クレーンが高圧電線に接触したことが原因でありますが、首都東京の都市機能が一時的にでも麻痺したことは、ゆゆしい事態であります。
今後、切迫性が高まっている首都直下型地震や、テロ活動などによる大規模停電が発生する可能性は十分にあります。今回の大規模停電を踏まえ、東京の危機管理について、改めて知事の所見を伺います。 答弁1 ▼知事 東京の危機管理についてでありますが、自然災害やテロなどによって引き起こされる大規模停電のような事態によりまして、首都機能が麻痺して、都民生活が混乱することがあっては絶対になりません。
このため、未然の防止策の徹底や、万が一発生した場合の代替措置、早期復旧策の強化が必要であります。今回の事故を受けて、直ちに緊急点検を指示しまして、都の停電対策を強化いたしました。
さらに、事業者に再発防止と早期復旧策を求め、国に対しても、代替措置としてのバックアップ機能の強化や、電力施設への破壊活動の未然防止などを要求いたしました。
今後とも、あらゆる事態を想定し、国や事業者との連携を強化しながら、危機管理に万全を期していくつもりでございます。
質問2 総合防災訓練について伺います。
都は、去る九月一日の防災の日に、足立区と合同で総合防災訓練を実施しました。今年は都が八都県市のメーン会場となり、政府や他県市に加え、警察、消防、自衛隊及び多くの都民、ボランティアなどが参加し、総勢二万七千人の大規模な訓練となりました。また、今回は、全国で初めてソウル市と在日米軍が参加し、災害時における海外からの支援を想定した訓練も実施しております。
そこで、このたびの総合防災訓練の意義と成果について、所見を伺います。 答弁2 ▼総務局長 都はこれまで、自助、共助とこれを支える公助を防災対策の基本としまして、総合的な災害対応力を高めることを目的に防災訓練を実施してまいりました。
今回は、八都県市、足立区、各防災機関及び都民の相互連携による災害対応力を検証するため、広域災害を想定した大規模訓練を実施いたしました。
また、初めてソウル特別市の災害レスキュー隊及び在日米軍の参加を求め、警察、消防との協力体制や自衛隊の後方支援としての役割を確認いたしました。
この結果、都民と防災機関の連携のノウハウが蓄積されるとともに、災害現場における活動ルールの確立や海外からの支援の有効性が実証されるなど、大きな収穫を得ることができたと考えております。
今後とも、さまざまな訓練を積み重ねまして、首都東京の災害対応力の一層の向上を図ってまいります。
質問3 次に、警視総監に伺います。
最近、全国で子どもが被害者となる痛ましい事件が続発しております。犯罪から子どもを守ることは私たち大人の責任であり、警察力だけでなし得るものではありません。
学校や教育委員会が把握した不審者情報は、警察への通報や届け出により活用されることが大切であると認識をしております。
そこで、警視庁では、学校やPTA、地域住民等とどのように連携を図っているのか、伺います。 答弁3 ▼警視総監 子どもを犯罪被害から守るための関係機関との連携についてでございますけれども、警視庁では、子どもに対する声かけ事案等の不審者情報を、凶悪事件へ発展するおそれのある前兆ととらえ、学校や教育委員会にも情報の提供を呼びかけるなどして、不審者情報の収集に努めているところであります。この結果、本年一月から八月までで、学校や教育委員会、さらには保護者、地域住民などから約五百件の情報が寄せられております。
警視庁では、こうした不審者情報に基づきパトロールなどの警察活動を行うほか、携帯電話でも受信することができるメールシステムによりまして、登録された団体や住民に対しまして、これらの情報を素早く、警察署単位できめ細かく配信して、広く情報の共有化を図っているところであります。その配信件数も八月までで約六百五十件となっておりますほか、こうした情報というものは警視庁のホームページでも逐次掲載しているところであります。
このほかにも、防犯ボランティア等との合同による登下校時のパトロール、犯罪の発生しそうな場所や安全な場所を調べて地図にします地域安全マップづくり、また、学校等との連携による被害防止教室等の開催など、子どもを犯罪被害から守るための対策を、学校や地域住民等と連携し、推進しているところであります。
警視庁では今後とも、関係機関等との連携を強化して、子どもを犯罪被害から守るための諸対策に万全を期してまいりたいと考えております。
質問4 一方、少年によるひったくり、強盗等の犯罪も頻発しております。深刻な状況にあります。児童生徒の非行防止対策と被害防止対策を効果的に推進するために、警察と学校、地域との連携が重要であります。そのため、現在取り組まれているスクールサポーター制度を一層充実させ、相互連絡制度を都内のすべての学校と締結するなど、学校との連携を強化する必要があると考えます。
そこで、スクールサポーターの活動及び相互連絡制度の締結の状況について、伺います。 答弁4 ▼警視総監 スクールサポーターの活動状況及び学校と警察との相互連絡制度の締結状況についてでありますけれども、スクールサポーターにつきましては、警察官OBがその経験や知識を生かしながら、警察と学校、地域のパイプ役として、少年の非行防止活動や児童等の安全確保を行うものであります。平成十六年四月に運用が開始され、現在、八十六警察署及び八カ所の少年センターに合計百十四名が配置されております。
具体的な活動といたしましては、管内の学校を訪問しまして、先生方とともに、問題を抱える個々の生徒に対する指導助言、学校周辺、通学路等のパトロール、セーフティー教室等の開催に対する支援や有害環境の浄化活動を行っております。
学校と警察との相互連絡制度についてでありますけれども、これは少年の非行事案等について学校側と相互に連絡を行うものであります。少年の非行防止と健全育成を目的として、平成十六年五月に運用を開始して以来、現在までに、都内の公立小中高校の約九七%、私立の小中高校の約五八%と締結をしているところであります。万引きの抑止や生徒の指導育成と少年の健全育成に成果が出始めてきているところでございまして、さらに拡充を図ってまいりたいと考えております。
質問5 警視庁は、今年六月、都内にある九百四十カ所の交番の一割強に当たる百二十一カ所を来春までに廃止するといった交番の配置見直し計画を明らかにしました。平成十四年度に戦後最多であった刑法犯認知件数は年々減少しているとはいえ、いまだ高い水準にあり、都民の治安に対する不安も大きいものがあります。
今回の交番の配置見直しは、こうした治安情勢や都民からのパトロール強化等の要望を踏まえ、警察官が交番に在所しての警戒とパトロールの二つの活動をバランスよく実施し、首都東京の治安対策を効率的に推進するためのものと聞いております。
しかしながら、東京都議会自由民主党としては、交番が廃止されることへの住民の不安を十分考え、警視庁に対して、交番機能が廃止されてもその施設を存続させ、有効利用していくことについて強く申し入れを行いました。ぜひ都民の期待にこたえていただきたく、交番機能廃止後の施設の有効活用についてのご所見をお伺いいたします。 答弁5 ▼警視総監 交番機能廃止後の施設の有効活用についてでございます。
ご案内のとおり、交番は地域警察官のパトロール活動の拠点であり、地域の方々のさまざまな要望、相談、届け出等の窓口としての機能を果たすなど、地域の安全・安心のよりどころとして、重要な役割を担っているところであります。
しかしながら、もっとパトロールをしてほしい、いつも交番にいてほしいといった、都民の皆様方のさらなる希望があることも事実でございますので、警視庁といたしましては、交番機能の一層の強化を図るため、パトロール活動と交番での警戒活動をバランスよく行えるよう、交番の配置見直しを推進することといたしました。
このたび百二十一カ所の交番の配置見直しに当たりましては、都議会を初め関係各方面等から賜りました貴重なご意見を十分しんしゃくし、一部を警備派出所や将来の駐在所として活用するほか、廃止する約九十カ所の施設につきましては、住民サービス面や安全・安心の確保の観点から有効活用を検討しているところであります。
具体的には、交番機能を廃止した施設に、治安対策に関する知識や経験が豊富な警察官OBを配置し、警察相談の受け付けを初め、各種会合や防犯活動等への参加による地域安全情報の提供など、地域の安全・安心活動を支える拠点としての活用を考えております。
また、一部の施設は自治体管理とすることを検討しているところでございまして、町会、自治会、ボランティア団体等の地域の防犯力向上のための活動拠点となるよう、関係方面とも協議を進めているところであります。
今後も、それぞれの交番の活用方策につきましては、地元の方々と個別にきめ細かく相談しながら、ご理解を求めてまいりたいと考えております。
質問6 医療関係について何点か伺います。
まず、多摩地域における死体の検案体制について伺います。
事故死などの場合、医師が死亡を確認し、その原因などを推定する検案を行うこととされています。犯罪が明確に疑われる場合を除いて、地域の医師が検案を行いますが、二十三区については国が監察医を置くべき地域と指定しているため、都は監察医務院を設置して、法医学の専門家が検案を行い、必要があれば解剖して死因究明を行っております。死因の究明は地域を問わず重要なものであり、できることからでも多摩地域の検案、解剖体制を強化すべきと考えますが、知事の所見を伺います。 答弁6 ▼知事 多摩地域における検案・解剖についてでありますが、都は、新興感染症の流行の察知など、公衆衛生上の観点から死亡の原因を正しく把握するために、多摩地域においては、東京都医師会等の協力を得ながら検案を実施しております。
しかし、専用の解剖施設がないことや、検案を行う医師の多くが法医学の専門家ではないなど、死亡の原因を正しく把握する上で、実施上の課題もございます。
今、世界的なベストセラーになっております、バージニア州のリッチモンドの検視局長スカーペッタ、これは女性でありますが、この主人公をシリーズにした小説が世界じゅうに大人気になっております。私も一、二冊読みましたが、やはり、アメリカも果たしてそこまで本当にやっているかどうかわかりませんけれども、要するに非常に不可解な事件というものを、実に精緻に解剖分析して原因を突きとめるという、なかなか知的なスリルのある本でありますが、いずれにしろ、今日いろんな手の込んだ犯罪がしょうけつするようになりました。
そういった犯罪に巻き込まれての死因の究明は、隠れた犯罪の発見など、社会秩序の維持にも寄与するものでありまして、極めて重要であることから、監察医務院の機能を充実し、解剖の受け入れや監察医の派遣を行うなど、多摩地区の検案、解剖体制の強化を図っていきたいと思っております。
質問7 知事は所信表明において、老人医療センターと老人総合研究所を統合し、高齢者に関する最新の医療を広く都民に提供する新たな拠点として、健康長寿医療センターを整備していくことを明らかにしました。
超高齢社会の到来を控え、高齢者に最適な医療を安定的に供給できる体制を整備していくことは、我が党としても大きな関心を持っております。医療と研究は車の両輪であり、統合によりさらに連携を深め、より大きな成果を上げていくことと期待しております。
反面、老朽化の著しい現施設では、新たな拠点としての機能を発揮していくことはいささか困難ではないかと危惧しております。
そこで、健康長寿医療センターの基本的な役割と施設整備について、伺います。 答弁7 ▼福祉保健局長 今後の本格的な高齢社会の到来を見据え、高齢者の心身の特性に対応した適切な医療を広く都民に提供していくための確固とした基盤づくりが喫緊の課題となっております。
このため、新たなセンターは、厚生医療など最先端医療の研究開発や高齢者モデル医療の発信、専門性の高い医師、看護師等の人材育成、在宅医療を支える救急体制の確保などの役割を担うことによりまして、さらなる健康長寿社会の実現を目指すものであります。
こうした高齢者医療の新たな拠点としての機能を十分に発揮できるよう、ご指摘のとおり、施設が老朽化している現状も踏まえまして、新たな施設を現在地において整備してまいります。その中で、また関連施設のあり方もあわせて検討してまいります。
質問8 ウイルス肝炎対策について伺います。
ウイルス肝炎は、治療法が目覚ましく進歩し、最近では、通院治療による抗ウイルス療法で、治癒も十分に可能になっています。
我が党は、第一回定例会において、検診受診の促進や通院医療費助成を含む制度の拡充など、早急にウイルス肝炎対策を実施すべきと提案をいたしましたが、最近では、ウイルス肝炎に関する訴訟判決が全国で相次いで出されるなど、社会的関心も高まっております。
こうした中、知事は、所信表明において、来年度からウイルス肝炎対策を積極的に展開していくと述べております。高額な治療費に悩む患者、家族の方々を支えるとともに、潜在する感染者の早期発見、治療促進につながる有効なものと考えます。あわせて、総医療費の抑制効果も期待するところであります。
そこで、都が率先して取り組んでいくウイルス肝炎対策について、改めて所見を伺います。 答弁8 ▼福祉保健局長 ウイルス肝炎は、肝がんへ進行する危険性の高い重大な病気でございますが、最近では、インターフェロン等の治療法の開発によりまして、治癒も可能となっております。
全国で二百万人から三百万人と推計される感染者を健康危機から守るためには、本来、国の制度として抜本的な対策を構ずべきであることから、先般、国に対し、肝炎ウイルス検診の充実、医療費の負担軽減など五項目の緊急提案要求を行ったところでございます。
しかしながら、早急な対策が重要でございまして、都は国の動きを待つことなく、検診の拡充を初め、確実に治療を促進するための通院医療費助成を開始するなど、区市町村、東京都医師会等の関係機関と連携した独自の短期集中的なウイルス肝炎対策を来年度から強力に推進してまいります。
質問9 福祉施策について伺います。
心身障害者扶養年金ですが、先般発表された審議会の中間のまとめでは、制度の現状を踏まえると、昭和四十四年発足当時と比べ、その役割が障害者施策の中で相対的に小さくなっている、また、任意加入制度である以上、基金が底をついた以降、多大な公費を投入して現行制度を維持継続することは妥当ではなく、廃止について検討すべきだとしております。そして、こうした事態に至ったことに対する制度運営者としての都の責任は重く、廃止に当たっては、加入者への配慮に十分意を尽くすべきと述べております。
中間のまとめにある加入者への対応を実施すると、一千五百億を超える非常に多額の財政支出となりますが、都は、責任を持って実施していくべきと考えます。所見を伺います。 答弁9 ▼福祉保健局長 心身障害者扶養年金制度についてでございますが、先般、東京都心身障害者扶養年金審議会から、現行制度を維持することは妥当ではない旨の中間のまとめが報告され、都民の方々からのパブリックコメントを募集したところでございます。
制度の運営を担っていく都としては、中間のまとめにおける指摘を真摯に受けとめるとともに、今後、同審議会の最終答申を踏まえた上で、加入者に十分配慮した具体的な対応策を早急に取りまとめてまいります。
質問10 福祉用具についてお伺いをします。
本年四月の制度改革により、介護度が軽度の方への福祉用具貸与の見直しが行われ、保険給付対象から特殊寝台などの福祉用具の貸与が除外されることになりました。すべての高齢者が負担する保険料を財源としている以上、必要のない方にまで福祉用具が貸与されている事態は改善すべきであります。我が党も、改正の趣旨には異論はありません。
しかしながら、半年の経過措置を設けたとはいえ、貸与ベッドを利用して生活している方から、軽度だからという理由で今月末をもってベッドを引き上げてしまうことについては配慮の余地があるのではないでしょうか。高齢者が使いなれているベッドを買い取るような場合、都として支援を行うことを提案しますが、所見を伺います。 答弁10 ▼福祉保健局長 今回の特殊寝台などの貸与に関する介護保険制度の改正は、心身の状態から見て利用が想定しにくい要支援などの軽度者について保険給付の対象外とし、その適正化を図るものでございまして、本年四月から半年間の経過措置を経て実施されております。この間、保険者である区市町村や現場の介護支援専門員などの取り組みによりまして、利用者の理解も進み、円滑に見直しが図られてきております。
しかしながら、使いなれた特殊寝台をみずから購入し、引き続き利用しようとすることが高齢者の自立した生活の継続に資すると認められる場合は、九月末の経過措置が終了することを踏まえまして、制度改正以前から利用してきた軽度者に対し、区市町村がその購入費を助成する取り組みについて、都としての時限的な支援を実施してまいります。
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■多様で柔軟な社会 |
質問1 少子社会対策について伺います。
人口減少は、国や社会の活力や存続基盤にかかわる重要な問題であります。根本的に家族や地域のきずなを大切にする社会の醸成が重要ですが、直面する経済的問題や子育てと両立できる働き方など、総合的な対策を推進していく必要があります。
その観点から、義務教育修了までの子どもに対する新たな医療費軽減対策について伺います。
都は、国に先導する形で乳幼児医療費助成制度を導入し、我が党も制度の充実を推進してまいりました。現在、義務教育就学前までの乳幼児に対して医療費を助成していますが、少子化が進行する中、子どもたちの成長をより確かなものにするためには、人間形成の核となる重要な時期である義務教育修了まで医療費の軽減を工夫していくことが肝要と考えております。
このことについて、本年六月、我が党は知事に対して申し入れを行ったところであります。義務教育修了までの子どもに対する医療費の軽減についてどのように考えているのか、所見を伺います。 答弁1 ▼福祉保健局長 都はこれまで、子育てを支援する施策の一環として、乳幼児医療費助成制度を創設しまして、区市町村に対して補助を行ってまいりました。その対象年齢については、義務教育就学前まで段階的に拡大してきております。
申し入れのあった義務教育修了までの子どもに対する医療費の軽減については、小中学校の学齢期が人間形成の核となる重要な時期であることや、国の医療制度改革における子どもの医療費負担軽減の方向性、さらには現行の乳幼児医療費助成制度が区市町村主体で地域の実情に合わせて実施されていることなどを踏まえながら、具体的な検討に着手しております。
質問2 仕事と家庭の両立支援について伺います。
少子化対策として、特に出産、育児、仕事が両立できる雇用環境を整備していくことが重要です。しかし、中小企業において、次世代育成支援対策推進法が定める行動計画の作成が努力義務にとどまっていることもあり、両立支援に向けての取り組みがおくれております。
そこで、こうした現状を改善するためには、都は、中小企業の両立支援に向けた取り組みを一層促進すべきと考えますが、所見を伺います。 答弁2 ▼産業労働局長 出産後も働き続けられるよう、短時間勤務の導入など、両立を支援するための行動計画を策定した都内中小企業は現在約四百社にとどまっており、雇用環境の一層の改善が必要であります。
このため、都では本年七月から、行動計画を作成した中小企業をとうきょう次世代育成サポート企業として登録し、金融機関と連携した優遇融資の提供やホームページでの紹介を行うことといたしました。
今後は、中小企業に対して、行動計画の作成やサポート企業への登録を積極的に働きかけていくとともに、国や企業団体等とも連携協力して、仕事と家庭の両立に向けた取り組みを支援してまいります。
質問3 認定こども園についてお伺いをいたします。
さきの国会で、就学前の子どもに関する教育、保育を総合的に提供する認定こども園制度が法制化されました。認定こども園は、保護者の状況にかかわらずすべての子どもを対象とするなど、都が独自に認証保育所制度により進めてきた仕組みを取り入れており、制度そのものについては一定の評価をするものであります。
しかし、事財源に関しては依然として従来の認可制度が基本であり、認可外部分への適用は考慮されておりません。仏つくって魂入れずとはまさにこのことです。
東京の将来を担う子どもたちに必要なサービスを十分に確保するために、新たな事業者の参入が不可欠です。しかしながら、既存制度に基づく財政措置だけでは新規参入は難しく、国の対応は、事実上、新規参入を排除するものといっても過言ではありません。
都における子育てサービスの一層の充実に向け、認可外の部分に対しても都が独自に支援を行い、認定こども園制度を推し進めていくべきと考えますが、所見を伺います。 答弁3 ▼福祉保健局長 認定こども園に対する国の財政措置は、幼稚園、保育所ともに認可を受けた部分のみが対象となり、新たな制度を普及する上で不十分だと認識しております。
都は、国に対し、必要な財源措置を講ずるよう提案要求しておりますけれども、現時点では特段の動きはございません。
教育、保育の一元的提供を目的とした認定こども園制度が円滑に実施できるように、現在、関係局と認定基準などの詳細について調整しておりますが、お話の都独自の財政支援についても早急に検討してまいります。
質問4 最近、格差問題が盛んにいわれています。平成十八年版経済財政白書によりますと、経済的格差の要因として、高齢化の進展という人口構造の変化によるところが大きいと分析しております。とはいえ、若年層を中心として、雇用環境による格差は事実であり、早急な対応が必要であります。
その観点から、フリーターの正規社員化について伺います。
フリーターは正規社員と比較して所得が低く、能力開発の機会も十分ありません。また、離転職を繰り返すフリーターについては、企業が必ずしも採用に積極的ではない現状であります。
これらの若者が自分の希望する仕事に再チャレンジできるよう、正規社員化を促進することは大変重要であります。東京しごとセンターや技術専門学校は若者の再チャレンジを積極的に支援していますが、今後、さらに正規社員化に向けた能力開発や就職支援の拡充を図るべきと考えますが、所見を伺います。あわせて、しごとセンターの多摩地域への展開も要望をいたしておきます。 答弁4 ▼産業労働局長 安定した正規社員化を望むフリーターに対して、能力開発や就業支援を行うことは重要であります。
このため、都では、グループ活動を通じて互いに早期の就職を目指す就職コミュニティをしごとセンターで実施するとともに、今年度からは技術専門校において、受講しやすい夜間の単位制パソコン科を開設いたしました。
一方、正規社員化には企業側の理解が不可欠であることから、しごとセンターにおいて、企業向けセミナーを今月から開始いたしました。
今後とも、カウンセリングの充実など、能力開発や就業支援の推進に努めてまいります。
質問5 また、若者が希望する職業に再チャレンジするためには、新しい資格を取得するなど本人のスキルアップが必要であります。技術、技能を習得させる職業教育の充実が求められております。
この職業教育の分野において大きな役割を担っているのが専修学校の専門課程、いわゆる専門学校であります。現在、都内の私立専門学校には十六万近い生徒が学んでおり、就職率も八割、大学、短大と比較しても高く、その大半は都内に就職するなど、東京の産業界にとっても有為な人材を送り出しています。また、最近では、全国に先駆けて第三者評価制度の導入に取り組むなど、社会的評価を高める努力もいたしております。
このような専門学校の役割についてどのように評価しているのか、伺います。 答弁5 ▼生活文化局長 都内の私立専門学校は、これまでも都民の多様なニーズにこたえるとともに、産業構造の変化を初め、社会の動向に応じた教育を行い、多くの人材を育成しております。また、仕事に対する心構えや知識、技術を教えることにより、若者の自立を促すなど、職業教育の場として大きな役割を果たしてきております。
さらに専門学校は、ご指摘のとおり、みずから私立専門学校等評価研究機構を設立し、第三者評価制度の導入を進めるなど、より一層学校の質を高める努力をしており、これまで果たしてきた役割以上に、東京の産業界や都民にとって、今後ますます重要な教育機関になるものと考えております。
質問6 また、これら専門学校に対する支援については、同じく東京の産業界の人材育成を担う高等教育機関である大学、短大に比べて、いまだ不十分です。
高等教育機関に対する支援は、本来は国の役割であります。都議会として、昨年十月、専門学校に対して新たな補助制度を設けることを求める意見書を、国に対して提出をいたしました。
しかし、専門学校には、東京の産業を支える人材輩出というこれまでの役割に加え、国際化やイノベーションなど、社会情勢の変化に対応した人材の育成が期待されております。そこで、国との役割分担を前提としつつも、都としても独自の補助を行うべきと考えますが、お考えをお示しいただきます。 答弁6 ▼生活文化局長 私立専門学校に関しましては、私立専修学校教育設備等整備費補助や私立専修学校第三者評価等促進事業などを実施しております。
私立専門学校は、ご指摘のように、国際化やイノベーションなど社会構造の変化に即した人材育成など、新たな役割も期待されており、その重要性はますます高まっていると認識しております。
こうした状況を踏まえ、国に対して専門学校に対する助成を引き続き強く要望するとともに、都としての支援のあり方について真摯に検討してまいります。
質問7 次に、地域力向上施策について伺います。
多様な社会の担い手として、町会や自治会等、地域の力の果たす役割が評価されております。切迫性が指摘されております首都圏直下地震に対しては、自助や公助や、加えて地域の人々がお互いに助け合う共助の仕組みが重要であります。
また、急速に進む少子高齢化の下で、ひとり暮らしのお年寄りや子どもの安全確保、子育ての支援など、町会、自治会を初め、地域の人々が手を携え取り組み、地域力を向上させていくことがますます重要となっております。
我が党はこれまで、事あるごとに、治安、青少年の健全育成、子どもの安全確保などの課題を取り上げ、区市町村との連携などにより地域力の向上を図り、課題解決を図るよう提言をしてまいりました。
都は、これを受け、本年二月以降、庁内各局による横断的な検討体制として、地域力向上方策検討委員会を設置し、多面的な検討を進めているとのことですが、現在の検討状況と今後の方向性についてお伺いをします。 答弁7 ▼知事本局長 検討委員会では、町会、自治会を初め、商店街、学校、企業など、地域を支える担い手の結びつきを強め、地域の課題解決力を高めるモデル事業の構築に取り組んでいるところであります。
具体的には、防犯、防災、青少年健全育成などの地域活動に対して、都と区市町村が連携し、アドバイザーによる人的支援や活動拠点を提供するなど、幅広く支援していくものであります。
地域の力が弱まる中で、ともに助け合う仕組みを地域みずからがつくり上げる取り組みは極めて重要と認識しており、今後さまざまな事業を積極的に展開するとともに、その評価、分析を通じて施策の充実を図ってまいります。
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■産業振興 |
質問1 産業振興施策について伺います。
産業振興のための基本戦略策定について伺います。
我が党は、かねてより、産業振興条例の制定を視野に入れたビジョンの策定を提案してきました。厳しい国際競争の中で、東京の産業が発展するためには、今後十年間を見据えた産業振興のための基本戦略が必要であります。知事は、我が党の、基本戦略を構築すべきとの質問に対して、都の将来の産業施策の道筋を示す総合的なビジョンの策定に向けて検討を進めていると答弁されました。
基本戦略の策定に当たり、ものづくり企業や商店街、観光、農林水産業などを含め、総合的な戦略として、さまざまな角度から検討が必要です。そこで、基本戦略策定の取り組み状況と今後の見通しについて伺います。 答弁1 ▼産業労働局長 策定に当たっては、今後十年の社会経済の大きな流れを踏まえるとともに、技術の進展や現場の実態について、ビジネスの第一線にある方々などからご意見をお聞きする必要があります。
そのため、産業界を初め、観光、まちづくり、環境など幅広い委員で構成する産業振興の将来像に関する懇談会を設置し、九月六日に第一回懇談会を開催いたしました。
今後は、二十一世紀の新しい都市戦略として策定される二〇一六年の東京の都市像を踏まえ、中間のまとめを発表し、基本的な方向を明らかにしてまいります。
質問2 ものづくり産業への支援について伺います。
我が国の製造業は、堅調な回復を見せているものの、アジア各国との価格競争激化や、原油高によるコスト増など、依然厳しい状況が続いております。原料を輸入に頼る我が国が今後とも発展を維持するためには、新たな技術やビジネスモデルが次々とわき出る技術革新の創出による、ものづくり産業の競争力の強化が不可欠です。
東京には、豊富なビジネスチャンス、高度な研究開発を行う大学、研究機関の高いポテンシャルがあります。中小のものづくり企業が、こうした資源を最大限に生かし、技術革新を進めるには、研究開発から事業化までの一貫した支援が必要と考えますが、所見を伺います。 答弁2 ▼産業労働局長 中小ものづくり企業が厳しい国際競争に対応し、持続的に発展していくためには、イノベーションの創出が不可欠であります。
そのため、都はこれまでも、都内中小企業に対し、産業技術研究センターによる技術開発支援を初め、デザイン活用支援、販路開拓支援など、企業の成長段階やニーズに応じたさまざまな支援策を実施してまいりました。
今後は、区部及び多摩地域に産業支援拠点を整備し、最新機器を用いた質の高い技術支援や、都内の大学だけでなく全国へ対象を広げた産学公連携支援などを展開するとともに、時代を先取りする新技術の開発から、その事業化までを促進する支援スキームを検討してまいります。
質問3 これまでも都は、中小企業支援の視点に立ち、制度融資の保証料負担の緩和措置などを実施してきました。これに加え、中小企業の資金需要が高まる年末に向け、効果的な金融支援策を打ち出すべきと考えますが、所見を伺います。 答弁3 ▼産業労働局長 ご指摘のとおり、原油高による原材料価格の上昇など中小企業を取り巻く経営環境は厳しい状況にあります。これら中小企業に対し適切な金融支援を講じ、経営の安定化を図っていくことが、都内産業の一層の活性化のために重要であります。
このため、特に資金需要が高まる年末に向け、東京信用保証協会を初めとする関係機関と連携しつつ、制度融資の要件緩和など、金融支援の強化に取り組んでまいります。
質問4 さらに、ものづくり産業における技能継承や人材育成も重要であります。とりわけ東京の重要な地場産業である靴製造業は、国際競争が激化する中、優秀な人材確保が業界の発展にとって不可欠なものとなっております。
現在、働く者の技能を客観的に評価する仕組みとして、国家技能検定制度がありますが、残念ながら靴製造業を対象とした国家検定は、今のところ行われていません。業界としても、この制度を活用して業界全体の技術力向上につなげていきたいとの意向があり、その導入に向けた機運が高まっております。
都としても、検定制度の導入に向けた支援を行うべきと考えますが、見解をお示しください。 答弁4 ▼産業労働局長 この制度の導入は、靴製造業にかかわる方々の社会的評価を高め、技術、技能の継承を一層進めるものであり、東京の重要な地場産業である本業界の発展に大いに寄与するものと認識しております。
都はこれまでも、靴製造技能の習得を専門とする技術専門校を設置し、新たな人材を業界に送り出すとともに、在職者の能力向上訓練にも取り組んでまいりました。
今後は、さらに技能検定制度の導入に向けて国への働きかけを行うとともに、検定につながる訓練カリキュラムの充実を検討してまいります。
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■豊かで成熟した都市生活 |
質問1 教育再生への取り組みについて伺います。
今月二十一日、東京地裁において、国旗・国歌訴訟に関して、驚天動地の判決が出されました。なぜ東京都教育委員会が通達を出さざるを得なかったのかについて、全く理解をしていないといわざるを得ません。
かつて学校現場で、児童生徒の晴れの舞台である卒業式で、一部の教員がTシャツやサンダル姿で出席し、国旗が保護者から見えない片隅に追いやられるなど、本来厳粛であるべき式典は惨たんたるものがありました。我が党は、これらの実態をこの目で見、この耳で聞いてきたからこそ、公教育本来の目的である児童生徒の健全育成に取り組んできたものであります。
都教委として、今後とも全力で学校運営の適正化を進めるべきと考えますが、どのように対応していくのか、お伺いをいたします。 答弁1 ▼教育長 東京地裁の判決についてでありますが、都教育委員会の主張が認められなかったことは大変遺憾に存じます。この判決に対しましては、東京高等裁判所に控訴し、都教育委員会として主張の正当性を訴えてまいります。
都立学校長に対しましては、今後とも従前と同様に、学習指導要領や通達に基づき国旗・国歌の指導を適正に行うよう、引き続き指導、支援してまいります。
質問2 安倍自民党総裁は、教育の再生を政権構想に掲げています。我が都議会自民党も、教育水準の向上と国や地域に誇りを持てる教育改革が最も重要だと考えております。
そこで、まず重要なのは、優秀で熱意のある教員の確保であります。来年以降、いわゆる団塊の世代が大量退職期を迎え、また、都では、今後数年間、児童生徒が増加すると見込まれていることから、教員を大量に確保していかなければならない状況となります。
既に採用倍率も大きく落ち込んでおり、小学校では平成九年度の八・三倍から、十七年度の二・四倍と低下しております。教育は人なりといわれるように、教育再生に最も重要なのは、すぐれた熱意ある新規採用教員を、将来的に安定して確保していくことです。
そこで、優秀な教員を確保するために、どのような方策をお考えか伺います。 答弁2 ▼教育長 優秀な人材を確保するためには、教員としての熱意や使命感並びに実践的な指導力を重視した採用選考を実施していくとともに、受験者数の拡大を図り、幅広く人材を求めていくことが重要です。
そのために、これまでも豊富な社会経験に裏打ちされた人材を求め、社会人特別選考を実施するとともに、東京の教員を希望する大学生を対象に東京教師養成塾を設置し、人材の確保に努めてきたところでございます。
また、今年度の採用選考におきましては、受験年齢制限の五歳引き上げや学校での就業体験などを条件とした大学推薦制度の導入を行ったところです。
さらに、より実践力のある人材を確保するためには、現に学校現場で教育活動に携わっている産休代替などの臨時的任用教員や非常勤講師の中から優秀な人材を選ぶことが有効でありまして、その勤務実績を生かした採用選考の来年度からの実施に向けて検討してまいります。
また、平成二十年四月に設置が予定されております教職大学院とも積極的に連携し、実践的指導力を身につけた新人教員を確保してまいります。
質問3 次に、教育改革を支える現職教員の資質能力についてであります。
教科指導や生活指導等において、実践的、効果的に指導を行い、学校運営にも積極的に関与し、同僚や若手職員への助言、支援を行っている教員と、必ずしもそうとはいえない教員に分かれている実態があります。一部には、教壇から外さざるを得ない、いわゆる指導力不足教員もおります。
ところが、現行制度では、管理職等を除き、これらの教員はすべて教諭という職にあることから、給与面では、在職中、一律的かつ年功序列的な処遇を受けております。教員一人一人の意欲を引き出し、モラールアップを図っていくためには、積極的に学校運営に協力して頑張っている教員とそうでない教員を、任用面、給与面でもめり張りをつけることが重要だと考えますが、所見を伺います。 答弁3 ▼教育長 ご指摘のとおり、現在、主幹や管理職になる者を除きまして、一般の教員は、採用されてから退職するまで、一律的、年功的に給与が上昇する制度となっております。しかし、同じ教諭であっても、児童生徒への実践的、効果的な指導や学校運営へのかかわりなど、職務の困難度や果たしている責任の度合いに大きな違いが生じております。
このため、本年七月、教員の職のあり方検討委員会報告を取りまとめ、現在一つの職である教諭を責任の度合い等に応じまして二分化するなど、見直しの方向性を示したところでございます。
都教育委員会は今後、関係機関と積極的に協議を進め、教員一人一人の意欲をさらに引き出すため、めり張りのある任用、給与制度を構築してまいります。
質問4 次に、スポーツ振興に関連して、東京国体と東京マラソンへの取り組みについて伺います。
平成二十五年度開催予定の東京国体まであと七年となり、本格的な準備が始まりました。この東京国体を通じて、幅広いスポーツ振興やコミュニティの醸成、観光振興など、地域の活性化が図られ、競技会場の中心となる多摩・島しょ地域にとって、またとない発展の機会ともなります。
しかし、それぞれの競技大会を開催する区市町村は、厳しい財政状況の中で、競技施設の整備など取り組まなければなりません。都として、国体に向けた区市町村の競技施設の整備について、十分な財政支援を行うべきと考えますが、所見を伺います。 答弁4 ▼教育長 東京国体の開催によりまして、多摩・島しょ地区を初め、東京都全体のスポーツ振興や地域の活性化など、多くの成果が期待できると考えております。
そのためには、都と区市町村が緊密な連携のもとに準備を進めることが必要です。ご指摘の競技施設の整備にかかわります財政支援につきましては、先月、競技会の希望調査を実施するに当たり、各区市町村が総合的に判断できますよう、補助率を二分の一、補助の上限額を原則一億円、特例三億円とする考えを示したところでございます。
今後とも、東京国体の成功に向けて、区市町村と一層の連携を図りつつ、精力的に準備を進めてまいります。
質問5 東京国体の成功のかぎは、東京都選手の活躍にあるといっても過言ではありません。
選手たちの活躍する姿が、都民に夢や希望を与え、東京のスポーツ振興に大きく寄与するとともに、東京オリンピックへ向けた機運の醸成につながることでしょう。そのためにも、都と区市町村が密接に連携し、より多くのジュニア選手を地域から発掘し、効果的に育成強化、競技力を向上させていく必要があると考えます。
そこで、今後の東京都におけるジュニア選手人口の拡大と育成強化を含めた競技力向上策について所見を伺います。
また、行財政改革実行プログラムでは、東京国体開催に向け、来年度、準備組織を知事部局へ移管するといっていますが、東京国体の開催について、これまで協力関係を築いてきた関連団体との連携を強化することはもとより、多摩・島しょ地域の振興と密接な関係を保ちつつ準備を進めていくことが不可欠でございます。
そのためにも、多摩・島しょ地域の振興を所管する総務局が全庁をリードし、関係局横断的に推し進めていくよう強く要望いたします。 答弁5 ▼教育長 都教育委員会は、地域におけるジュニアスポーツの普及、振興と選手の発掘、育成を図るために、ジュニア育成地域推進事業を本年度創設し、ジュニア選手が一堂に会した競技会や新たな競技種目の講習会の開催など、都内全域で事業を展開しております。
今後は、区市町村教育委員会と連携を強化いたしまして、各地区体育協会や学校、地域スポーツクラブ等によりますネットワークづくりを支援するなど、本事業の拡充を目指し、競技人口の一層の拡大を図ってまいります。
さらに、競技別一貫指導プログラムを整備いたしまして、競技レベルの高いジュニア選手の強化に積極的に取り組むとともに、医科学面からのサポートの充実を図るなど、選手の育成、強化を総合的に推進してまいります。
質問6 続いて、東京マラソンについて質問を行います。
来年二月の東京マラソンには、定員を大幅に上回る申込者があると、都民を初め多くの方々から大きな期待が寄せられております。東京マラソンはオリンピックの前哨戦とも位置づけられ、東京の国際的なスポーツイベントの実施能力や、ホスピタリティーの高さをアピールする絶好の機会であります。
また、コース沿道の町会、商店会や自治会を初め、多くの都民が自発的に参加をし、応援して、イベントなどを実施して東京大マラソン祭りを盛り上げていき、これまでにない魅力あふれたマラソン大会としていくことも重要です。
こうした点を踏まえ、知事のマラソン大会の運営及び東京大マラソン祭りの成功に向けた決意をお聞かせをいただき、質問を終わります。
ありがとうございました。 答弁6 ▼知事 東京マラソンには定員の三倍を超える十万人近い申し込みが既にありました。これからもっとふえると思いますけれども、これは大会に関する関心の高さのあらわれと考えておりまして、このマラソンの発案者としても大変うれしくもあり、またこうした期待にしっかりとこたえていかなければならないと思っております。
今後、組織委員会などとも連携しながら、大会運営準備に万全を期してまいります。
また、単なるマラソン大会に終わらせることなく、コース沿道での趣向を凝らした各地域地域のイベントや心の温まる応援などによりまして、今までのようにただマラソンを、小旗を振って声をかけるだけではなくて、観客もまた一心同体となってお祭りとしてのイベントを盛り上げる、そういう応援などによりまして、これまでにない新しい祭りといいますか、一つのスポーツイベントとして、東京大マラソン祭りを盛大に実施していきたいと思っております。
このため、組織委員会や東京都だけではなく、都民と一体となった機運の盛り上げに取り組みまして、東京大マラソン祭りを成功させ、オリンピック招致に向けた大きな弾みとしていきたいと思っております。
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