直下地震に備え耐震対策強化を 保証料率緩和で中小企業支援を
|
石井義修(公明党) |
都議会公明党を代表して質問いたします。 |
■オリンピック・パラリンピック |
質問1 かつて日本のバブル崩壊を予測し、一九九〇年に「日はまた沈む」のベストセラーを書いたイギリスの経済雑誌「エコノミスト」の編集長ビル・エモット氏は、日本は債務とデフレに悩まされた十五年に及ぶ景気低迷から今度こそ本当に回復しているとして、日本の復活宣言「日はまた昇る」の著書を発行しております。 書店の店先には、いずれも日本経済の復活を予見する書籍が数多く並べられております。立ちはだかる課題は数多くありますが、冬来たりなば春遠からじ、厳しい冬を乗り越えて、早春の陽光が確実に差し始めております。 世界的にすぐれた東京の中小企業の先端技術、地球規模の環境破壊に貢献可能な東京の環境技術など、東京の持つ力強さ、優位性に自信を持って私たちは今再び進むべきときが来たと信じます。 その意味で、知事が提案された二〇一六年の東京オリンピック開催は、世界の平和と繁栄に貢献する成熟都市東京を創造し、千客万来、世界じゅうの人々に見てもらう絶好のチャンスであると思います。知事の提案に賛同するとともに、改めて感想を伺います。 答弁1 ▼知事 オリンピックについてでありますが、質問の中でも言及されました、ビル・エモットと私、バブル崩壊の兆しが見え出したころ対談したことがございます。そのときに、彼はまさに「日はまた沈む」という本をかざして日本にやってまいりましたが、しかし、私は同じ予感を持っておりましたけれども、日はまた上るといい返したのを覚えていますが、おかげで日本はまた経済が順調になってまいりました。日はまさにまた上りつつあるわけでありますが、この再び上りつつある日本という国家のアピールのためにも、この存在をアピールするために、オリンピックは絶好の機会だと思っております。 東京には、都市機能の集中や非常に正確な交通網がありますし、また、安全で清潔な都市空間もございます。また、多様な食文化や芸術など、極めて強い底力がございますし、観光としての商品に事欠きません。ゆえに、オリンピックを契機として、東京の優位性を生かした積極的な取り組みが、二十一世紀の新しい都市モデルを提示し、世界の大都市問題の解決に大いに貢献するとともに、今後の日本の大きな礎を築くものと確信しております。 繰り返して申しますが、東京を牽引し、その存在を象徴する都市は、東京が第一だと信じております。
質問2 東京オリンピック招致に伴い、パラリンピック大会への取り組みも重要であります。パラリンピック大会の名称は、一九六四年、東京オリンピックにあわせて開催された大会が初めてであります。東京パラリンピック大会では、障害者団体のみならず、ライオンズクラブなどさまざまな団体が積極的な貢献を果たし、日本社会が総力を挙げて大会の成功を目指したのであります。 半世紀前の大会が日本の障害者スポーツの夜明けを告げる役割を果たし、その後の障害者の社会参加を促進させる大きなきっかけとなったのと同様に、新たに招致を目指す東京オリンピック直後に開催されるパラリンピック大会においては、東京の産業力を結集し、先端技術を駆使しながら、バリアフリー都市東京、新しい福祉社会モデルを世界に示す絶好の機会としていくべきであると考えます。知事の所見を伺います。 答弁2 ▼知事 パラリンピックについてでありますが、これはもう当然のことだと私は思います。もう一つのオリンピックといわれるパラリンピック大会は、オリンピック大会と理念を共有する、障害者のスポーツの祭典であります。しかし、ある意味で、身体の不自由な方々が渾身努力しておられる姿は、なまじのオリンピックのゲームよりももっと感動的な、人間的なものを感じさせます。そういう意味で、オリンピックと同一の競技場や選手村を使用することから、施設の整備に当たってはバリアフリーを徹底するつもりでございます。 さらに、東京パラリンピックを契機に、東京のはかり知れない可能性を引き出し、活用し、障害者はもとより、子どもから高齢者まで、だれにとっても住みやすい、使いやすい社会基盤の整備や、お互いに尊重し、支え合う社会づくりなどに取り組んでいきたいと思っております。
|
■都財政 |
質問1 都財政について伺います。 知事は、平成十八年度予算の発表に当たり、この予算を財政再建に一つの区切りをつけた大きな節目となる予算と総括しております。新年度予算案は、財政基盤の強化に取り組みつつも、一般歳出が五年ぶりに増加に転じ、都民生活の安全・安心の確保、少子高齢化対策、景気、中小企業支援など、直面する東京の諸課題の対応に加え、オリンピック開催に向けた取り組みや都市基盤の整備など、財政の本来の機能を発揮し、都民ニーズに対応したものと評価をいたします。 予算編成に先立ち、公明党として、東京商工会議所、私立中高協会など百を超える各種団体から予算要望を受け、これに基づき、十八年度予算要望書を知事に提出をいたしました。これらの要望にも的確にこたえる予算案となっており、高く評価するものであります。 知事就任当初、一千億円を超える過去最悪の赤字を計上し、財政再建団体への転落の瀬戸際まで追い込まれておりましたが、二度にわたり財政再建推進プランを策定し、この七年間、一貫した姿勢で財政再建に懸命に取り組まれてまいりました。 私たちも知事と連携し、行財政改革を最重要課題として位置づけ、その強固な財政基盤の上に立って、諸課題解決に全力で取り組んできたところであります。今回の予算はこうした努力が実を結んだものと評価するものであります。 特に、公認会計士である私たち公明党の東村邦浩議員が提案した複式簿記・発生主義会計を我が国で初めて導入した石原知事の決断に快哉を叫ぶものであります。 我が国の公会計制度は、明治二十二年にプロイセンから単式簿記・現金主義会計が導入されて以来、百年以上にわたって抜本的な改革が行われないまま、現在に至っております。行政は最少の経費で最大の効果を上げるよう努めなければなりません。その意味からも資産やコストを正確に把握する新しい会計制度の導入は、高コスト構造を改め、一層質の行革を進め、まさに税金のむだ遣いをなくす決定打であります。ぜひとも知事の立場で国や他の自治体にも導入を働きかけることを望むものであります。 財政再建の成果に立って編成された新年度予算への思いと、今後の財政運営の方針を含め、知事の所見を伺います。 答弁1 ▼知事 十八年度予算と今後の財政運営についてでありますが、十八年度予算では、巨額の財源不足を解消するとともに、隠れ借金を圧縮し、さらに基金を大幅に積み増すなど、財政再建に一つの区切りをつけることができたと思います。 また、先日は、発生主義に基づく新たな会計システムが稼動し始めまして、財政再建と公会計制度改革を相次いで実現できたことは、都政にとっても大きな転機になると考えております。ちょっと時間はかかりましたが、都民に公約したこの二つを何とか形にすることができまして、正直ほっとしているところであります。 ただ、不安定な税収構造などを考えますと、この先、安定した財政運営が約束されているわけでは決してございません。これまでの成果に決して安住せずに、今後とも先頭に立って、都財政の構造改革をさらに一層進めていきたいと思っております。
質問2 包括外部監査の報告に関連して一言申し上げます。 外部監査では港湾局が対象となり、多くの指摘がなされております。しかし、議論の前提となるデータとしての数字に着目する監査の結果と、良質な公共的サービスを提供すべき行政では、価値観と事業効果の判断にはおのずと違いがあります。 したがって、局には局の判断があってしかるべきでありますが、それを認めてもなお港湾局は今回の外部監査の指摘にこたえるべきであります。埠頭公社の事業を初め、施設の有効利用など、具体的な改善策を提示すべきであります。所見を伺います。 答弁2 ▼港湾局長 包括外部監査の指摘についてのお尋ねでございます。 港湾局では、これまでも、事業の効率的、効果的執行を基本とするとともに、東京港の国際競争力の強化や臨海副都心開発など、多様で複合的な要素を持つ事業については、よりよい都民サービスを提供するため、長期的、経営戦略的観点から取り組みを進めてまいりました。 しかし、社会経済状況の変化等により、現在では見直しが必要なものもあることは事実でございます。 今回、包括外部監査を契機として、直ちに局を挙げて事務事業全般にわたる改善の取り組みを推進することとし、港湾局事務事業改善委員会を設置いたしました。 施設の有効利用や埠頭公社の事業を初め、外部監査の指摘内容一つ一つを真摯に受けとめ、改善すべきところは速やかに改善し、都民サービスのさらなる充実に努めてまいります。
|
■震災対策 |
質問1 震災対策について伺います。 まず、このたび発表された首都直下地震の被害想定と地域防災計画の見直しについてであります。 昨年、国はマグニチュード七・三クラスの被害想定を発表し、耐震化などの対策に乗り出しました。しかし、より切迫性が高く、発生頻度も高いのが実はマグニチュード六クラスの地震であります。都の今回の被害想定は、国の想定よりも被災地が詳細に分析され、対策の優先順位や被害状況に応じた具体策を示しております。 今回の被害想定によれば、東京湾北部地震の発災によって、東京東部地域は家屋倒壊、人命、ライフラインが決定的なダメージを受けることになります。また、多摩直下地震でも、多摩地域より区部の地域がダメージを受けることを示しております。 まず初めに、この被害想定、中間報告の評価と今後の地域防災計画の見直しについて、知事の所見を伺います。 答弁1 ▼知事 首都直下地震の被害想定についてでありますが、国が公表した直下型地震の被害想定は、いわば最悪というか最高のケースを想定したものでありまして、いかにも粗削りでありまして、都や区市町村の震災対策には余り活用できないと思います。 ゆえにも、このため、今回の想定では、ご指摘のように、発生頻度が高く被害の大小がより正確になるマグニチュード六・九を踏まえまして、実態に即したデータを用い、区市町村別に被害を想定したわけでございます。 これにより、建物の倒壊や焼失する地域が鮮明になりまして、地震に弱い地域の特性が浮き彫りになるなど、都や区市町村の震災対策に反映しやすいものとなっていると思います。 来年度には、この想定をもとに、木造住宅密集地域の解消や耐震補強、初動態勢の強化などを定めた地域防災計画を抜本的に見直していくつもりでございます。
質問2 具体的課題について伺います。 第一は、震災発生時の滞留者対策であります。 被害想定では、外出者の行動に関するアンケート調査を初めて実施し、発生直後の外出者の行動別人数を推計しております。外出者約千百四十四万人のうち、何としても自宅に帰ろうとする人が約三百七十万人、しばらくその場にとどまって様子を見る人が四百二十万人、近くの駅に行って様子を見る人が約九十五万人などとなっており、しばらくとどまって状況を見て行動する人が予想外に多いという傾向が明らかになりました。 この外出者を適切に誘導しなければ、企業、学校、集客施設、駅など、都内至るところで滞留者の大量発生と混乱が予想され、都や区市町村による避難誘導体制、救援支援に大きな支障を及ぼしかねません。 そこで、震災発生直後の外出者の行動予測を踏まえ、新たな課題の明確化や今後打つべき対策を早期に検討すべきであります。所見を伺います。 答弁2 ▼総務局長 震災時における外出者の行動と対策についてでございますが、大地震が起こったとき、大勢の外出者の安全を確保するには、その行動を把握し、混乱を防止することが極めて重要でございます。 都は、今回の被害想定で、初めてアンケート調査により外出者の行動を予測いたしました。その結果、駅周辺や道路に多くの滞留者があふれ、また、通信障害が生じ、不安からパニックを誘発し、危険な状態になるおそれがあることが裏づけられました。 このため、外出者への適切な情報の提供や避難場所への誘導、災害伝言ダイヤル等、安否確認システムの周知などの対策が課題であることが改めて浮き彫りとなりました。 今後、最終報告でまとめるターミナル駅別の帰宅困難者数の想定結果も踏まえ、区市町村や関係機関、事業者と連携して具体的な対策を検討し、地域防災計画に盛り込んでまいります。
質問3 第二は、震災時における企業の役割の明確化であります。 国の中央防災会議が昨年九月に発表した首都直下地震対策大綱は、帰宅困難者対策について、むやみに移動を開始しない、つまり帰宅困難者の多くを占めると見られる企業の社員などを企業にとどめるとの方向性を打ち出し、企業が果たすべき社会的責任の考え方について検討するとしております。 また、東京都震災対策条例では、事業者は周辺住民に対する震災対策活動の実施など、周辺住民等との連携及び協力に努めなければならないと、震災時に地域住民の避難支援、救助活動などへの企業市民としての貢献を求めております。 一方、今回の被害想定では、最大で約四十七万棟の建物が全半壊し、多くの人々が倒壊家屋に閉じ込められ、自力での脱出が困難と予測されております。阪神・淡路大震災の六千五百人の死者の八割が第一撃の家屋の倒壊が原因であったことを考え合わせれば、初期段階の共助体制は重要な課題であります。 そこで、地域内にある町会や自治会、さらに企業、事業所等の間で、支援協定、支援確認、支援協議会といった形で協力体制をつくっていくことは喫緊の課題であります。既に都心部の企業の中には、災害備蓄や非常用井戸を設け、社員の緊急招集体制まで整備し、本社ビルを避難拠点として活用できるよう準備を整えているありがたい企業も存在しております。 したがって、都は、こうした協力してくださる企業の意向を十分に踏まえ、さらに積極的に災害時における地域と企業との支援、救援協定の締結を拡大すべきであります。見解を伺います。 答弁3 ▼総務局長 震災時における地域と事業所との協力体制についてでございます。 地震が発生した場合には、自助、共助の考え方に基づき、事業所も地域の住民等と協力して被害の拡大を防ぐことが重要でございます。 既に、町会の会員として地域の防災活動に参加している事業者もございますが、都も、事業所が震災対策条例に基づく事業所防災計画を作成する際には、防災市民組織や町会などと協定を締結することを指導しております。この結果、現在、約六百の協定が締結されております。 今後は、経団連や東京商工会議所などの協力を得るとともに、区市町村とも連携し、事業所への働きかけを強め、協定の拡大を図るなど、事業所と地域との連携協力体制の一層の強化に努めてまいります。
質問4 第三は、都立建築物の一〇〇%耐震化実現であります。 本年一月に改正耐震改修促進法が施行され、倒壊の危険性の高い特定建築物に対して改修を命令したり、指示に従わない場合は公表するなど、地方公共団体の権限が強化されたのであります。 一方、この法改正に伴って策定された耐震診断、耐震改修に関する国の基本方針では、自治体が策定する耐震改修促進計画の中に、学校や病院、庁舎などの公共建築物は、耐震診断を速やかに実施して結果を公表するとともに、耐震化の目標を設定することも定めたところであります。 都が所管する都立建築物の耐震化の実態を見ると、耐震化率は約九割と聞いており、都が今後、特定建築物の改修を強力に推進していくには、まずみずから模範を示すことが重要であります。そのために、都が十八年度じゅうに民間施設を含めた耐震改修促進計画を作成するとしていますが、ここに照準を合わせ、災害避難所となる学校、病院などの都立建築物について、震災、災害時の機能確保という観点から、早期にすべてを耐震化するための具体的な目標を設定すべきであります。所見を伺います。 答弁4 ▼財務局長 都が所有する公共建築物、いわゆる都立建築物の耐震対策についてでございますが、都立建築物の耐震対策は、都民の安心・安全の確保のため、極めて重要であると認識しております。 これまで、旧耐震基準に基づき建設された災害時に重要な役割を担う都立建築物について、順次耐震診断を行い、必要に応じ耐震改修工事等を実施してまいりました。その結果、現時点で耐震化率は、ご指摘のとおり、約九割となってございます。 今後、学校、病院等の施設を重点に、耐震化の具体的な目標年次や優先順位等を盛り込んだ実施方針を策定し、都民の避難所となる都立建築物のすべてについて早期に耐震化を図るべく、鋭意取り組んでまいります。
質問5 公明党が一年間にわたって粘り強く提案してきた木造住宅の耐震診断、耐震改修の助成制度がいよいよ十八年度から実施に向けて動き出しました。助成制度創設を決断した知事の姿勢を高く評価するものであります。 しかしながら、耐震診断は十年間で五万棟、改修が二万二千棟の助成を見込んでおりますが、昭和五十六年以前の旧耐震基準で建築された木造住宅は、助成制度の対象となる二十七の整備地域では十一万棟、さらに都内全域では七十二万棟と推計されているのであります。 都の被害想定でも、都内の木造家屋の壊滅的被害が発生することを予測しており、今後、第二段階として、木密地域は当然として、それ以外の地域でも既存不適格な住宅、あるいは緊急輸送道路や避難所周辺の木造住宅についても助成制度の対象とすべきであります。都が作成する耐震改修促進計画の中では、ぜひともこうした課題への取り組みと個人や関係区市等への支援策を盛り込むべきであります。所見を伺います。 答弁5 ▼都市整備局長 建築物の耐震改修促進計画についてでございますが、地震による建築物の倒壊等の被害から都民の生命を守るためには、建築物の耐震改修を促進することが重要であると認識しております。このため、都は、平成十二年に耐震改修促進実施計画を策定し、耐震化の促進に取り組んでまいりました。 今回の法改正を踏まえ、国が本年一月に告示いたしました基本方針に基づき、平成十八年度の早期に耐震改修促進計画を策定し、耐震化の目標や、避難する人などの通行を確保すべき道路沿道建築物の耐震化を進める施策等について明らかにしていく予定でございます。 また、平成十八年度に創設される耐震診断・改修の助成については、区と協力し、制度の定着を図っていくことが何よりも重要であると考えております。 今後とも、区市等と連携を図りながら、首都東京の一層の安全性を目指して、災害への備えに万全を期してまいります。
質問6 特に、簡易耐震改修については知事も大変に関心を持っておられます。ぜひともこれを広く都民に周知すべきであります。そこで、最有力の都政のスポークスマンであります石原知事が、メディアなどを使って、かつてペットボトルを振りかざし、ディーゼル対策を訴えたあの手法で都の耐震化への取り組みをアピールすれば、極めて効果的であると思います。 また三月には、議会棟一階で簡易耐震工法の展示が開かれますが、それとは別に常設展示場などを設け、わかりやすく都民に提示すべきであります。知事の所見を伺います。 答弁6 ▼知事 木造住宅の耐震改修工法等の周知についてでありますが、住宅の耐震度は、あくまでも自助、共助、公助の原則に基づいて進むべきだと思っております。 住宅の耐震改修は重要でありますが、自己負担の問題もありまして、まだまだ十分に、徹底進んではおりません。 このため、安価で信頼のできる耐震改修工法、装置を広く公募しましたが、非常に興味の深い案が多く集まってまいりました。 繰り返して申しますけれども、選定した中では、例えば、家が倒れても、寝室だけは安全が確保される一種のシェルターがあったり、その費用も四畳半程度で三十万円ということであります。 実は、この実験をやりました業者が、わざわざ家を建てて、その中にこのシェルターを組み込みまして、家をつぶしまして、それでも中にこのシェルターが残っている映像を送ってきましたが、恐らくビデオに撮ってあると思いますので、こういうものをやはり敷衍することで、これならおれも手をつけようというふうな一つの情報提供になると思います。 こうした工法等を広く都民に情報提供することは極めて大切でありまして、今後、継続的な取り組みを通じて積極的に周知徹底していきたいと思っております。
質問7 白鬚東の防災拠点について伺います。 第一に、都が二年前に打ち出した防災設備の見直しについてであります。 東京東部の広域避難場所として建設され二十五年経過しましたが、隣接する荒川区の白鬚西地区も広域避難場所として整備され、また周辺の木造市街地の不燃化も進んだとの理由から、都は、更新時期を迎えた防災設備の見直しと再検討を墨田区と地元自治会に打診しているのであります。特に、防災拠点の避難人口が四万人に変更になったので、当初十万人を想定した三千トンの貯水は不要で、その貯水槽の削減を検討していると聞いております。 しかし、私はそもそも避難人口を四万人に削減したことに疑問を持っております。すなわち、隣接する墨田区北部の荒川右岸に三万七千人が避難することにしておりますが、単なる土手があるだけで、水、トイレ、避難設備は何もないのであります。目の前に白鬚東の広域避難場所が完備されていれば、被災者はおのずとどっと押し寄せてくることは目に見えているのであります。その上、さきに発表された東京都の被害想定では、東京湾北部地震の発生で、墨田区を含む東京東部九区の上水道、下水道は甚大な被害を受け、復旧までに相当数の期間を要すると報告しております。 水とトイレの完備は震災対策の必須条件であります。備えあれば憂いなし、想定外の有事に備え、都の責任で白鬚東防災拠点に十万人分の貯水施設を引き続き完備しておくことは絶対に必要であります。知事が施政方針で、十八年度に地域防災計画の見直しを行うことを表明しましたが、こうした視点に立って検討すべきであります。 答弁7 ▼都市整備局長 白鬚東の防災拠点の貯水施設についてでございますが、この拠点は昭和五十七年に完成し、これまで墨田地区の防災拠点として機能してまいりましたが、墨田区役所一帯などの新たな避難場所の指定による想定避難人口の大幅な減少、周辺市街地の不燃化の進展や、白鬚西地区の防災拠点の完成などによる周辺環境の変化に伴い、拠点内の各種施設のあり方について見直しが必要となってきております。 ご指摘の貯水施設は、白鬚東の防災拠点の完成時の想定に基づく水量を確保してきておりますが、平成十八年度に見直しを予定しております東京都地域防災計画における位置づけを踏まえて、適切に対応してまいります。
質問8 この際、水道局長に申し上げます。 都の被害想定が予測する震災時の水道設備の被害に備え、すべての東京東部地域の広域避難場所、学校、病院を含めた重要施設が機能するよう、新たな対策を講ずるべきであります。震災時の復旧体制の整備状況とあわせ、所見を伺います。 答弁8 ▼水道局長 震災時における東京東部地域の重要施設への給水の確保策についてでございますが、これまで水道局では、配水池の耐震補強や経年管の取りかえ、送配水管の二系統化など、施設の耐震性強化を進めるとともに、給水拠点の整備を図るなど、震災時の水の確保に努めてまいりました。 今回の都の被害想定で大きな被害が予想されております東部地域におきましては、初期のダクタイル管の取りかえを重点的に行うなど、積極的に震災対策を推進していくとともに、発災時の応急給水体制につきましても万全を期してまいります。 また、三次医療機関等の人命にかかわる施設に供給しております管路等につきましては、優先して早急に耐震化を図ってまいります。 あわせて、震災時の復旧体制の整備状況についてでございますが、今回の都の被害想定も踏まえまして、一日も早い復旧の実現に向け、機動性や実効性を高めるよう、職員の参集態勢や民間事業者の確保策、資材の調達方法などの見直しを行っているところでございます。 こうしたことで、東部地域の広域避難場所などの重要施設が震災時においても機能するよう、給水の確保や復旧に万全を期してまいります。
質問9 第二には、非常用トイレについてであります。 昨年、私の質問で白鬚東避難所に四十三基の非常用トイレの新設がなされたことを評価いたしますが、果たして四万人の避難者に対して、これで十分なのか心配されております。拠点内の他の施設での利用を含め、万遺漏なきよう完備すべきであります。 答弁9 ▼建設局長 東白鬚公園の非常用トイレについてでありますが、都は、平成十七年度に、既設の非常用トイレのふた部分を四十三基改善いたしました。震災時には、地元区が小中学校などに備蓄しております仮設トイレなどとともに、区と連携して避難者に提供してまいります。 また、同公園の非常用トイレの効率的な活用につきましては、平成十八年度に見直しを予定しております東京都地域防災計画を踏まえ、今後検討してまいります。
質問10 また、拠点内の忍岡高校の仮校舎と使っていた元墨田川高校堤校舎、この三月で不要となりますが、それを更地に戻すのではなく、避難施設として活用すべきであります。 答弁10 ▼都市整備局長 元墨田川高校堤校舎の避難施設としての活用についてでございますが、当校舎は、昭和六十一年四月から高校校舎として使用を開始し、平成十七年度末に使用を終了する予定でございます。 校舎のうち体育館につきましては、地元墨田区からも、これを存続し、防災機能の一部として非常時の際の備えとする一方、平常時においては地元区民への開放利用に供するなどの活用を図りたいとの要望もあり、今後、区及び関係機関と調整しながら適切に対応してまいります。
質問11 第三に、有事の際に災害医療拠点となる都リハビリテーション病院についてであります。 十八年度予算では東京DMATの増強が計上されておりますが、防災拠点での医師の配置を含め、医療体制を改めて確認するとともに、あわせてヘリコプターの発着基地はどこを想定しているのか、伺います。 答弁11 ▼福祉保健局長 災害時の東京都リハビリテーション病院の医療体制についてでございます。 白鬚東防災拠点内に所在いたしますリハビリテーション病院は、災害時におけるこの地域の医療救護活動の拠点としての役割を担っておりまして、災害発生時には、病院の常勤職員に加え、地区医師会から第一次医療救護班として医師三名を含む九名の職員派遣を受け、計百七十九名の体制で傷病者の応急処置や仮収容等を行うこととしております。 また、患者搬送の必要が生じた際のヘリコプターの発着につきましては、東墨田運動場をヘリポートとして利用するほか、新たに整備されました白鬚西地区の多目的広場の活用につきましても関係局等と調整してまいります。
質問12 第四に、災害時に四万人の避難民を受け入れる地元自治会との連携についてであります。 地元自治会の皆さんは、有事の際、行政に協力し、手抜かりなく四万人の避難誘導体制を行うべく、平素から事あるごとに涙ぐましい訓練を行っているところであります。 しかしながら、肝心の地元墨田区や都の関係各局との連携、それに基づく地元自治会との役割分担がいま一歩明確でないのであります。地元区、そして都の関係局、さらに地元自治会との役割分担を明確にした災害時行動マニュアルを策定し、定期的な協議の場を設定すべきあります。所見を伺います。 答弁12 ▼総務局長 白鬚東防災拠点の災害時行動マニュアルの策定などについてでございます。 本拠点は、周辺の木造住宅密集地域の住民を災害から守るための避難場所であり、また、区部東部における防災活動の拠点でもございます。こうした機能を十分に果たし、避難誘導や避難者への支援を適切に行うには、区や施設管理者と拠点内の住民の役割分担を明確にし、連携協力体制を構築していくことが重要でございます。 そのため、今後、ご指摘の趣旨を踏まえ、関係者による協議の場を設けるとともに、災害時行動マニュアルの策定に向け、住民に身近な地元区や関係局に強く働きかけてまいります。
|
■中小企業支援 |
質問1 東京の産業力を支える中小企業の支援について伺います。 現在、中国、インドなどアジア諸国の経済成長が著しく、日本の製造業は厳しい国際環境の波にさらされております。しかし、都内の中小企業には、宇宙ロケットの部品製造や極小周波数の電磁波による解析技術など、他国の追随を許さぬ高度先端技術を有する企業が少なくありません。こうした高い技術力を持った中小企業を東京ブランドとして顕彰し、国の内外に情報発信していくことが重要であります。 知事は、施政方針の中で、オリンピック招致に関連して、日本が誇るITなどの高度技術と長い歴史が培った文化を強調しております。日本の環境関連技術やITとロボットの福祉介護分野での活用はまさにそのあらわれであります。高い技術力は、ものづくりにとどまらず、バリアフリーやユニバーサルデザインの製品づくり、環境、教育、農業、安全・安心などの広範な分野で新たな可能性を開く力を有しております。 こうした産業界、とりわけ中小企業の持つ力と社会に果たす役割や貢献を明らかにして、一層の振興策を講ずるための総合的なプランを策定すべきであります。所見を伺います。 答弁1 ▼知事 産業振興のための総合プランの策定についてでありますが、東京には、日本の産業の中核であるすぐれた中小企業が集積しております。ご指摘のとおり、まさに世界の技術の粋を集めた航空機やロケットなどの最初の最初の試作品をつくるときの、欠かすことのできない、へら絞りなどの技術がありまして、他国にはまねのできない重要な部分を日本が、東京の技術が支えているわけであります。 日本は、都市環境問題など深刻な危機に直面してきましたが、こうした事態にも、独自の発想や技術力をそれぞれ発揮して対応してきたわけでありまして、今後も、東京に集積する産業力を維持発展させ、国内外への発信力を高めることが、世界的に困難な課題の解決に貢献するとともに、日本経済のさらなる発展につながるものと確信しております。 このため、産業力の一層の強化に向け、都の新たな産業施策の総合的なビジョンの検討に取り組んでいきたいと思っております。
質問2 第二に、中小企業にとってのセーフティーネットである金融支援策の充実についてであります。 初めに、小規模企業等活性化事業についてであります。 この事業に対する補助金は、商工会議所などが実施する地域活性化事業の重要な財源ですが、三位一体改革による税源移譲に伴って廃止される方向が示されております。 このたび都は、これを一般財源化し、国が補助金を廃止した後も支援を継続する方針を示しました。都内各区市の商工会議所がこぞって歓迎しているところであります。 また昨今、民間金融機関による中小企業向け融資の積極化が報道されておりますが、貸し出しは一部の優良な中小企業に限られております。経営状況の厳しい零細企業では金利格差が拡大するなど、その資金調達の環境は一向に改善されておりません。 加えて国は、いよいよ保証料率の弾力化に踏み出しました。今後は、経営状況の優劣に比例して保証料率が決定されることになり、経営状況の厳しい零細企業に対しては高い保証料率が適用されることになります。 公的融資といえども、リスク対応という点から一定の制約を設けるのは当然でありますが、一たん経営が厳しくなると、保証料負担が大幅に増加し、資金を借りることも困難になってしまうということは、セーフティーネットとして問題であります。 そこで、保証料率の弾力化の実施後も都内の中小企業が安心して制度融資を利用できるように、都は独自に保証料率の緩和措置を講ずるべきであります。見解を伺います。 答弁2 ▼産業労働局長 保証料率の弾力化についてでございます。 信用補完制度見直しの一環として、本年四月に、現在は一律である保証料率が、個々の経営状況に応じて九段階に弾力化されると聞いております。これを前提にすれば、経営改善の努力が保証料の引き下げという形で報われる一方で、経営状況が厳しい中小企業については保証料負担が増加する場合があります。 このため、都といたしましては、経営基盤が脆弱な中小企業の保証料の負担を緩和し、制度融資のセーフティーネットとしての機能が十分に果たせるよう、信用保証協会と連携して必要な措置を講じてまいります。
質問3 第三に、団塊の世代の大量退職に備える技能継承問題であります。 いわゆる二〇〇七年問題への対応について、都は昨年、しごとセンターと都立技術専門校の連携により、技術、技能継承への対策を強化する方針を明らかにしました。 しかし、多くの中小企業では、団塊の世代の熟練技能者が退職した後でなければ新規採用ができず、技能の継承が困難であります。二〇〇七年問題に限らず、中小企業の技能開発、技術継承は、強力な公的支援なくしてはその進展が望めない現状であります。 国は、公明党の要請にこたえ、十八年度予算案の中で、中小企業雇用創出等能力開発助成金を拡充し、事前に知事の認定を受けたプランによって計画的に教育訓練を行う経費を助成対象に含めると発表いたしました。 都は、今こそ、こうした新しい制度も活用して、技術、技能の継承対策に力を入れるべきであります。 また、能力開発や技能継承に取り組む中小企業を支援するため、相談窓口を設けるべきであります。具体的には、その窓口として、都立技術専門校などを活用し、できる限り地域に密着した活動が展開できるようすべきであります。 さらに、中小企業の個別事情に応じて、技術専門校の教室、機器、講師等を柔軟に組み合わせ、技能継承訓練の実施に取り組むべきであります。所見を伺います。 答弁3 ▼産業労働局長 中小企業における技能継承の支援についてでございます。 都内産業の活力を維持するためには円滑な技能承継が必要でありますが、特に中小企業においては困難な状況にあると認識しております。二〇〇七年を間近に控え、都としましても技能継承支援に本格的に取り組むこととし、拠点となる技術専門校に新たに技能継承の相談窓口を設置するとともに、今回拡充される助成金を初め、国の制度の活用を促す一方、都の制度により講師として登録した団塊世代の熟練技能者の紹介や、訓練施設や機材の貸し出しなど、総合的な相談に応じてまいります。 また、個々の企業により継承すべき技能は異なることから、個別のニーズにきめ細かく対応した在職者訓練を技術専門校が実施するなど、効果的な技能継承支援策に取り組んでまいります。
質問4 第四に、育児休業の取得者の拡大策についてであります。 改正育児・介護休業法が施行された現在も、都の調査では、育児休業制度を実施している中小企業は全体の六三・六%にとどまっております。 そこで、国は、十八年度から、育児休業の取得者を初めて出した中小企業に対して百万円、二人目の取得者が出た場合には六十万円を支給する中小企業子育て支援助成金を創設いたしました。 助成の対象となる従業員百人未満の中小企業は、企業数で全事業所の九七%、従業員数で七五%を占めております。育児休業の取得促進という観点から、中小企業を支援することは、少子化対策として有効であるだけでなく、雇用環境の整備においておくれをとりがちな中小企業に対する支援策として極めて有効であります。 したがって、都は、中小企業の事業主に対し、育児休業制度の普及と利用の促進を図る実効性のある方策を講ずるべきであります。とりわけ新しい中小企業子育て支援助成金などの活用を地域の中小企業主にアピールすべきであります。見解を伺います。 答弁4 ▼産業労働局長 育児休業の取得者の拡大策についてでございます。 子育てをしながら働き続けられるようにするためには、育児休業制度を普及し、従業員の取得を促進することが必要であります。これまで都は、事業主に対する制度の周知を目的にしたセミナーの実施など、普及啓発に努めてきたところでありますが、今後さらに実効性を高めるためには、育児休業の普及に重要な役割を果たす中小企業の個々の事業主に対しまして、新たな国の助成制度の活用も含めた的確なアドバイスを行うことが効果的であると考えます。 このため、従来の参加型セミナーに加えまして、人事管理や経営面で助言、指導を行っている社会保険労務士等による事業主への直接的な働きかけを図るなど、制度の普及と利用促進に向けた新たな取り組みを開始してまいります。
|
■都市農業振興 |
質問1 都市農業の振興について伺います。 大都市の農業は、安全で新鮮な食物の供給、土と緑の環境の保全、そして防災空間としての機能など、多面的な意義と価値を有しております。 現在、都内には、全東京の公園面積を上回る八千四百ヘクタールの農地があります。このうち生産緑地法の規制を受ける市街化区域内の農地だけでも五千二百ヘクタールにもなり、東京ドーム一千個分以上に相当する広さを持っております。この農地がどれほどゆとりや防災、かん水の機能を果たしているか、はかり知れないのであります。 八千四百ヘクタールの農地が雨水を貯水する能力は約三百六十万トン、これは水害対策のために整備している環状七号線地下調整池の六個半分に相当いたします。また、農作物が一年間に吸収する二酸化炭素の量は約三十万トンで、ガソリン自動車十四万台分に相当いたします。 さらに、こうした農地は都市の緑地空間として人々の気持ちにゆとりを与え、その空間が防災機能まで発揮しております。こうした農業と農地の役割を広く都民に周知し、総合的な取り組みを進めるため、農地保全の取り組みを明確にしたビジョンを打ち出すべきであります。 また、ビジョンの検討に際しては、教育との連携や商店街や企業との連携など、大都市ならではの工夫を盛り込んだトータルな内容とすべきであります。見解を伺います。 答弁1 ▼産業労働局長 農業の振興と農地の保全に向けた総合的な農業ビジョンの策定についてでございます。 東京の農業と農地は、新鮮で安全な農産物を都民に提供するだけでなく、農業との触れ合い、体験の場の提供や都市環境の保全、防災など多面的な機能により、都民生活上、重要かつ不可欠な役割を果たしております。 しかし、農産物の価格低迷、市街化の進展に加え、高い地価や税負担など、厳しい環境の中、深刻な経営状況にありまして、相続時に農地を手放す人も多く、この十年間で千三百ヘクタールもの農地が減少しております。 この状況を打開するためには、東京の農業に固有の課題や機能と役割、今後の展望を明らかにする必要があり、広範な都民の理解のもと、農業の振興と農地の保全を図るためのビジョンの策定について検討してまいります。
質問2 第二は、学校教育における食育との連携であります。 国は、平成十八年度予算案において食育推進プランを示し、地域に根差した学校給食の実現のため、給食における地場産物の使用を促進させる事業や、栄養教諭を中核に学校、家庭、地域の三者の連携を図る食育推進事業を新たに予算化しております。 中でも特筆すべきは、学校給食における地場産物の使用目的を明確にし、食材数ベースで現在の二一%から平成二十二年度を目途に三〇%に向上させるとしているのであります。 児童生徒が直接農業と触れ合い、また学校給食で新鮮な地場産の食べ物を食べることは、何よりも効果的な食育であります。学校給食への地場産物の安定的な供給など、食育推進への支援策について所見を伺います。 答弁2 ▼産業労働局長 農業との触れ合いによる児童生徒への食育の推進についてでございます。 学童農園での農業体験や地元の農産物を使った給食は、生産現場との触れ合いが少ない子どもの健全な成長にとって極めて重要であります。このため、都では、学童農園の整備や運営支援、さらには地元の農産物の学校への紹介などに取り組んでまいりました。 今後は、農業者と学校との交流を深め、農業者による学校での児童生徒への農業体験指導や、学校栄養職員との意見交換の機会の確保などの支援を進めてまいります。 また、学校の要請に応じた地元の農産物の円滑で安定的な供給が図れるよう、農業協同組合の協力を得まして、複数農家による共同出荷や、出荷する農産物の規格の調整などを支援してまいります。
質問3 都内における食育の現状は、平成十六年度の調査によると、都内の公立小学校千三百四十一校のうち、学校給食で地場産野菜を使用している割合は約四割、また、学童農園については、設置している学校の割合が約四割、設置数は七百四農園にとどまっており、その数が伸びつつあるとはいえ、いまだ不十分であります。 したがって、都は、周辺区市の教育委員会に対して積極的に働きかけ、学校給食における地場産野菜の使用の推進や学校と農家の交流、学童農園の確保などを図るべきであります。見解を伺います。 答弁3 ▼教育長 学校給食におきます地場産野菜の使用の推進や学校と農家の交流、学童農園の確保についてであります。 学校給食への地場産物の使用を通じました生産者との交流や、学童農園での生産体験は、生産者への感謝の気持ちや食の大切さをはぐくむ上で、教育的効果があるというふうに認識しております。 都教育委員会では、関係団体と連携いたしまして、都内の地場産物情報を学校等へ提供し、学校給食における地産地消に取り組んでいるところでございます。 今後、校庭や近隣の農地を活用しました学童農園の取り組みにつきまして、区市町村教育委員会への情報提供をするなど、その推進に努めてまいります。 また、農地、農家が少ない地域の教育委員会に対しましては、都内の農業生産者の紹介を通じまして、都内産野菜の使用や農家との交流を促進してまいります。 さらに、学校栄養職員を対象といたしました研修会などにおきましても、農業関係者を講師とした研修を実施するとともに、生産者と交流した事例を広く紹介するなど、学校における食育を一層推進してまいります。
|
■福祉施策 |
質問1 少子化対策について伺います。 まず、乳幼児医療費助成制度の所得制限の緩和についてであります。 昨年、公明党は、児童手当制度の所得制限が大幅に緩和された場合、乳幼児医療費助成制度の所得制限についても、当然これに準拠して緩和すべきであると提案をいたしました。これに対し福祉保健局長は、これまで児童手当に準拠してきたという経緯を踏まえた上で、今後とも制度の趣旨に沿うよう適切に対処するとの答弁がありました。 国会における公明党の強い推進により、国の平成十八年度予算では、児童手当が小学校三年生から六年生へと拡大され、あわせて所得制限が緩和されることになりました。したがって、現実の問題として、都の乳幼児医療費助成制度の所得制限の緩和を実施すべきであります。今後の対応、その実施時期について所見を伺います。 答弁1 ▼福祉保健局長 乳幼児医療費助成制度についてでございますが、本制度における所得制限の基準は、ご指摘のとおり、制度発足以来、国の児童手当に準拠してきたものでございまして、来年度、児童手当の所得制限の基準額が引き上げられることに伴いましても、これまでの経緯を踏まえ、都の乳幼児医療費助成制度の所得制限の緩和を行うことといたしました。 なお、実施時期は、本制度の医療証の更新時期に合わせまして、平成十八年十月を予定しております。
質問2 少子化対策の推進体制でありますが、現在各局がばらばらで実施している子育て施策を一本化し、保育、教育、住宅、就労、税制など、東京都ならではの効果的な総合的な子育て支援策を打ち出すべきであります。 そのために、全庁的な取り組み体制として、仮称少子化対策総合推進室など、支援体制を設けるべきであります。青少年・治安対策本部を立ち上げ、大きな成果を上げた知事であります。決意を伺います。 答弁2 ▼知事 総合的な子育て施策の推進についてでありますが、いかなる時代にありましても、次代を担う子どもたちの健やかな育ちを支えることは社会全体の責務であります。 都はこれまで、大都市の特性を踏まえました認証保育所の創設や小児救急医療体制の整備を初めとする福祉・医療改革あるいは教育改革など、国に先駆けて子どものための施策として推進してまいりました。 こうした取り組みをさらに進めるために、昨年四月、福祉、保健、教育、労働など、さまざまな分野における子育て支援策を総合的に示した次世代育成支援東京都行動計画を策定いたしました。 今後とも、次世代の健全な育成を支援するため、組織を超えた連携体制を築き、横断的、複合的、総合的な取り組みを進めていきたいと思っております。
質問3 高齢者施策について伺います。 在宅介護を支える最も重要なサービスがショートステイであります。しかし、このショートステイは利用しにくいサービスであることも事実であります。常にベッドが満杯のため、必要なときに利用ができない状況が続いております。また、たんの吸引など医療的ケアを伴うショートステイ事業も、その必要性が高まっております。 新年度予算案においては、公明党の復活要求の結果、安心して利用できるショートステイ支援事業が盛り込まれました。これを評価いたしますが、問題は内容であります。モデル事業として利用しやすいショートステイ事業を展開するとしていますが、事業の具体的な内容を明示すべきであります。所見を伺います。 答弁3 ▼福祉保健局長 ショートステイ支援事業についてでございますが、要介護高齢者の在宅生活を支えるためには、本人や家族のニーズに応じまして、必要なときにいつでもショートステイを利用できることが重要でございます。 しかしながら、現状では、予約でいっぱいのため、緊急時に利用できないなどの課題が指摘されております。このため、例えば、特定の地域におきまして一定数のベッドを緊急枠として一元管理し、効率的に活用するなどの対応策について、その有効性を検証する安心して利用できるショートステイ支援事業を、来年度、三地区でモデル実施することとしております。 今後、この検証結果を取りまとめ、その成果を全都へ普及することによりまして、ショートステイを安心して利用できる環境の整備に努めてまいります。
質問4 認知症高齢者を地域で支えるための医療体制の整備についてであります。 高齢化の進展に伴い、認知症高齢者の増加が見込まれておりますが、最近の研究や認知症ケアの実践の積み重ねによって、たとえ認知症になったとしても、早期に適切な治療やケアを受けることにより、地域で自立した日常生活を送ることが十分可能であるとされております。 認知症の早期発見は、本人や支える家族にとって極めて重要であり、その担い手として期待されるのが、日ごろから高齢者と身近に接するかかりつけ医であります。ところが、地域のかかりつけ医は、主に内科や整形外科などを専門とする医師が多く、精神系の疾病である認知症に十分に対応できない場合があります。 そこで、認知症の早期発見、早期対応に向け、精神科などによるかかりつけ医への支援体制を整備し、かかりつけ医を中心とした地域における医療的ケアシステムを整備すべきであります。所見を伺います。 答弁4 ▼福祉保健局長 認知症高齢者への医療的な支援についてでございます。 認知症は、早期発見、早期対応が非常に重要でございまして、そのためにも、高齢者と身近に接する機会の多い、地域のかかりつけ医の役割が大切でございます。 このため、都は、かかりつけ医に対し、認知症の早期診断や認知症高齢者とその家族に対する適切な相談、援助のノウハウについての研修を、東京都医師会の協力を得まして、平成十八年度からの三年間で、都内すべての地区医師会において実施することとしております。 また、かかりつけ医への専門的立場からの支援や地域の関係機関との連携の推進などを行う認知症サポート医の養成にも今年度から着手しておりまして、こうした取り組みにより、認知症になっても地域で安心して暮らし続けられるための医療的な支援体制を構築してまいります。
質問5 介護予防拠点の整備についてであります。 四月から改正介護保険制度が施行され、予防重視型システムへの転換が図られます。しかし、言葉の上で幾ら介護予防を強調しても、そのための拠点の整備が進まなくては、絵にかいたもちにすぎません。 当面、中学校区に一カ所の拠点整備の方針が明示されています。民間施設の活用だけでなく、近い将来、学校の統廃合によるスペースの確保や、現状でも空き教室の活用などが考えられます。中学校区に一カ所の介護予防拠点整備について、都も具体的に区市と協議し、方針を明らかにすべきであります。所見を伺います。 高齢者施策の最後になりますが、昨日、公明党は、福祉保健局長に対し、このたびの税制改正によって軽費老人ホーム利用料が増加する方々への軽減措置を講ずるよう申し入れを行いました。申し入れの趣旨に沿った対応が行われるよう、改めて要望しておきます。 答弁5 ▼福祉保健局長 介護予防拠点の整備についてでございますが、運動機能の向上などの介護予防の普及を図るためには、身近な地域で拠点の整備を促進していくことが非常に重要でございます。このため、都は、平成十八年度から、新たに区市町村に対し、建物の新築、改修による介護予防拠点の整備について補助するとともに、国の交付金の対象とならないトレーニング機器等の設備設置に要する経費につきましても、引き続き補助することとしております。 こうした取り組みにより、既存の社会資源の有効活用などを進め、平成二十年度までの三年間で、中学校区などを単位として設定されるすべての日常生活圏域において介護予防拠点の整備が図られるよう、区市町村に積極的に働きかけてまいります。
質問6 障害者の就労支援について伺います。 障害者自立支援法が成立し、障害を持つ人の一般就労が促進することになります。民間企業での障害者の雇用を進めていくには、まず都が率先して模範を示すべきであります。つまり、都庁内において障害者が働く場をさらに拡大していくことが重要であります。 都庁では現在、身体障害者の採用はあるものの、知的障害者の採用が皆無であり、これまでも障害者団体から幾度も指摘を受けております。都の職員への採用や、都庁及び都の施設への障害者団体の出店など、工夫を凝らして、障害者、とりわけ知的障害者の就労を進めていくべきであります。見解を伺います。 答弁6 ▼福祉保健局長 障害者の就労促進についてでございますが、障害者の地域での自立した生活を実現するためには、障害者が職業を通じて社会参加を進めていくことが重要でございまして、都庁や都の関係施設においても、障害者の就労拡大を進めていく取り組みが必要であると考えております。 都はこれまで、法定雇用率を上回る独自の目標を設定し、障害者の計画的な採用に努めますとともに、都の関連団体を通じた知的障害者等の雇用や作業所等への業務委託、障害者を多数雇用する福祉工場への積極的な発注などに取り組んでまいりました。 今後とも、ご指摘の趣旨を踏まえまして、関係局や関連団体等とも連携し、さらに業務委託を進めるなど、障害者の就労促進に取り組んでまいります。
質問7 都立病院改革について伺います。 平成十三年、都立病院改革マスタープランでは、都立豊島病院の運営は、老人医療センターと統合した上で民営化する方針が示されました。一方、都は、同病院の板橋区移管を検討していましたが、結果的にはそれも不可能になりました。都は現在、豊島病院と都老人医療センターの運営形態について改めて検討していると仄聞いたします。 両病院の今後のあり方について、都の検討状況を明らかにすべきであります。都老人医療センターは、すぐれた研究機能を持ち、介護予防の分野でも世界をリードする役割を果たし、ますます重要性が高まると判断しております。したがって、その特徴を損なうことなく、今後の運営形態を考えるべきであります。 一方、豊島病院に関しては、終末医療、ホスピスの分野で実績があります。これも公立病院としては貴重な存在であります。このような特色を生かし、今後の運営形態を決定すべきであります。所見を伺います。 答弁7 ▼病院経営本部長 豊島病院及び老人医療センターの運営形態に関する検討状況についてでございますが、昨年十月、豊島病院の板橋区への移管を断念した後、直ちに両病院の今後の方向性について関係局との協議を開始いたしました。 現在、病院経営を取り巻く環境の変化なども踏まえまして、幅広く検討しているところでございます。 次に、両病院の特色を生かした運営形態のあり方についてでございますが、老人医療センターは、高齢者の高度専門医療を行うモデル病院として、高齢者の生活の質の向上を図る医療を提供しております。一方、豊島病院は、地域医療を担う中核的病院としてその役割を果たしております。両病院が実際に果たしているこうした役割や機能を踏まえまして、関係局と検討し、結論を出してまいります。
|
■教育問題 |
質問1 教育問題について伺います。 子どもの学力低下とゆとり教育のあり方が注目されております。また、最近では、小学校一年生が、授業中に歩き回ったり、教室外に出歩いてしまって、集中して学習に取り組めないという小一問題、いわゆる小一プロブレムが課題となっております。 現在、都内では、一定の学級規模を維持しつつ、少人数指導を充実させたり、区市によっては学生ボランティアなどを活用して成果を上げている例があります。 このように、複数の教員が協働して指導するチームティーチングや、担任を補佐する補助員的な人材の活用は、小一問題に対しても効果があると思います。所見を伺います。 答弁1 ▼教育長 お話のとおり、都内では、チームティーチングなど複数の教員によります指導体制を組んだり、必要に応じて専科教諭や養護教諭が担任を補佐したりするなどの工夫をいたしまして、効果的に対応している例がございます。 このように、小一問題の対応には、担任が一人で抱え込むことなく、組織的に取り組むことが大変重要でございまして、都教育委員会は、今後、区市教育委員会の取り組み等も参考にしながら、小一問題の実践的な研究を行う地域を新たに指定し、教職経験者やボランティアなどの人材を、学習指導や生活指導の補助員として効果的に活用する方法について検証するなど、区市町村教育委員会と連携して各学校を支援してまいります。
質問2 小一問題対策には、幼稚園や保育園などとの連携が必要であります。児童生徒の個性と能力を伸ばすという観点からも、幼児教育と小学校が緊密に連携すべきであります。教育長の所見を伺います。 答弁2 ▼教育長 幼児教育と小学校教育の連携についてでありますが、小一問題は、就学時における基本的な生活習慣が確立されていないことや、指導の内容や方法の変化に十分適応できないことなどが原因であることから、幼児教育と小学校教育との緊密な連携が求められております。 このため、都教育委員会は、平成十七年度から、就学前の教育と小学校教育の接続を図るためのモデル事業を実施し、我慢することや粘り強さなど、基本的な生活習慣の定着を図るための指導プログラムの作成や、幼児教育と小学校教育の指導内容の連続性に配慮した教材や指導方法の開発を進めているところでございます。 今後、平成十八年度中には、全都の幼稚園、保育所及び小学校へこれらの成果を提供いたしまして、幼児教育と小学校教育との緊密な連携を図るとともに、家庭への啓発を行うなどいたしまして、小一問題へ対応してまいります。
質問3 こうした新たな教育課題に取り組むため、国は第八次教職員定数改善計画の策定を検討しておりますが、十八年度の策定は見送られると聞いております。 しかし、都は、厳しい財政状況にあっても、少人数指導の充実、また小一問題など喫緊の課題については、既存定数の再配置や非常勤講師の活用など、工夫を凝らして対応すべきであります。所見を伺います。 答弁3 ▼教育長 いわゆる小一問題などの喫緊の課題への人的措置についてでございます。 お話のように、国の第八次教職員定数改善計画の策定が平成十八年度見送られる中で、こうした教育課題に対応するため、来年度について新たな定数配置を行うことは困難ではありますが、都教育委員会といたしましては、ご提案の趣旨を踏まえ、既存定数の再配置や非常勤講師の活用など、人的措置について一層創意工夫を図ることによりまして、今後とも教育水準の維持向上に努めてまいります。
質問4 学校教育の本格的なスタートは小学校一年生であります。学校教育だけでなく、社会生活の本格的な第一歩でもあります。希望あふれる人生の第一歩を踏み出せるよう、自立の基礎を養うことが大切であると考えますが、教育長の所見を伺います。 答弁4 ▼教育長 学校教育のスタートについてでございます。 小一問題などの課題はあるものの、小学校一年生は、本来、希望にあふれ、社会における集団生活の第一歩を踏み出す時期であります。期待に胸を膨らませて入学する子どもたちが、学習の基礎、基本を着実に身につけ、学ぶ楽しさを実感し、人との触れ合いを深めながら、元気で豊かな学校生活を送れるようにすることは、我々教育に携わる者の責務でございます。 都教育委員会は、区市町村教育委員会と連携して、小学校第一学年の段階から、各学校が子どもの自立に向けて、個性や能力を伸ばす教育を一層充実するよう指導してまいります。
質問5 都立高校普通教室の冷房化について伺います。 平成十四年度に公明党は、夏の学校教室内の温度の実態把握を提案いたしました。保護者からも、教室内の温度が四十度を超すことがあると指摘されております。改めて都立高校の夏季における教室内温度の実態把握を行うべきであります。 既に区部の公立小中学校では普通教室の冷房設備の設置が実施されつつあります。また私たちには、保護者やPTAから、自分たちが費用を負担してでも子どもたちが通う高校に冷房を設置したいという声が寄せられております。 全都立高校に空調設備を整備すれば温暖化を助長するとの指摘がありますが、家庭や企業に認めて高校には認めないというのはおかしな話であります。また、今では省エネ等の技術も進歩し、環境負荷の低い空調設備もあります。 一方、後年度にまでわたるコスト面での問題もありますが、大阪府や和歌山県などの公立高校では、冷房経費の一部を保護者に負担していただき、全校空調設備を整備しております。 都立高校においても、温暖化への配慮や必要な経費の負担のあり方も含め、冷房化の実現に向け具体的な検討を行うべきと考えます。所見を伺います。 答弁5 ▼教育長 都立高校の冷房化実現に向けた検討についてであります。 区部の小中学校で普通教室の冷房化が進んでいることや、都立高校において保護者から普通教室の冷房設置に関します要望があることは承知しております。 また、二学期制の導入や講習、補習の実施などによりまして、夏季の教育活動が変化してきているところでもございます。 一方、冷房設備の導入につきましては、経費面はもとより、温暖化やヒートアイランドに対する影響など、検討すべき課題も多いと認識しております。 ご指摘の環境への配慮や必要な経費の保護者負担のあり方なども含めまして、教室内の温熱環境改善につきまして、新たに十八年度に検討委員会を設置いたしまして、総合的に調査検討してまいります。
|
■都民住宅 |
質問1 都民住宅制度について伺います。 都民住宅制度は、バブル経済下の地価高騰期に創設された制度であり、住宅に困窮する中堅所得者層のファミリー世帯に適切な家賃で良好な住宅を提供し、大きな成果を上げてまいりました。 しかし、バブル経済の崩壊後、地価の下落や家賃水準の低下などにより、毎年上がる都民住宅家賃に対する割高感が高まって、空き家が急増しております。空き家は、都民住宅全体の六割以上を占める民間活用型都民住宅に目立ち、ここ五年間で倍増し、空き家率は七%を超えております。まさに制度本来の意義が失われつつあるのが現状であります。 これは、住宅政策がストックの活用を重視する中で、補助金も投入して建設された良好な住宅が有効に活用されていない現状であり、早急に抜本的な制度の改善を図る必要があります。 そこで伺います。深刻な空き家対策として、管理開始後、時間が経過し、家賃補助が少なくなったために空き家になった住宅については、共働き世帯や単身世帯の割合が高い東京の特性に応じて、収入制限の撤廃や単身入居を認めることで制度の有効活用を行うべきであります。 また、都の取り組みとして、都内への転入者も視野に、都内在住在勤要件を撤廃すべきであります。入居を希望する人の間口を広げることは、空き家対策としてだけでなく、周辺区の人口回復対策、そしてとりわけ子育て対策としても有効であります。見解を伺います。 答弁1 ▼都市整備局長 都民住宅の空き家対策についてでございますが、都民住宅は、中堅ファミリー世帯向けの賃貸住宅として良質なストック形成に寄与してまいりました。しかし、近年の社会経済状況の変化の中で、一部の住宅で空き家が発生するようになってきております。 その要因といたしまして、入居者の家賃負担額が毎年上昇することに加え、収入や家族構成などに制限があることなども挙げられます。このため、都は、今年度から、一定期間入居者を確保できない場合に、収入制限の緩和や単身者の入居を認めるなどの取り組みを開始いたしました。 今後、都は、これらの周知に努めていくとともに、都民の入居を優先することを担保しつつ、都内在住在勤要件の見直しを行ってまいります。
質問2 さらに、より抜本的な対策として、管理開始後一定期間を経過し、政策的な役割を果たしてきた住宅については、一定の要件のもとで引き続き都民住宅として活用するか、通常の民間賃貸住宅と同様の条件で募集するかの選択を可能とし、せっかくの良質な賃貸住宅ストックを都民のために有効に活用できるようにすべきであります。このことを国に強く求めるべきと考えます。見解を伺います。 国も現在、三位一体改革の一環として、都民住宅制度の基礎となっている特定優良賃貸住宅制度において、地方公共団体の自由度、裁量性を拡大するとしております。都は、こうした動向を踏まえ、今後、少子化や高齢化への対応など、政策的な観点から、都民住宅ストックを一層活用する方策についても検討を進めるよう強く要望するものであります。 答弁2 ▼都市整備局長 都民住宅制度の見直しについてでございますが、土地価格の下落や民間賃貸住宅の家賃水準の低下など、制度創設当初と比べまして社会経済状況が大きく変化した現在、一部の住宅では、中堅所得者向けの住宅としての制度本来の意義が薄れてきております。 本制度につきましては、国の特定優良賃貸住宅の制度を活用しており、さまざまな制約があることから、抜本的な見直しに当たっては国との調整が必要でございます。 このため、都は、今後、都民住宅ストックの有効活用に向けて、実情に応じて制度の適用期間の短縮を可能とするなど、制度の見直しを国に要望してまいります。
|
■自動車NOχ・PM法 |
質問1 自動車NOχ・PM法に関連し、使用過程車対策について伺います。 平成十四年に施行された国の自動車NOχ・PM法により、法対策地域内では、ことし車両代替のピークを迎えます。 初年度登録から九年を超えたディーゼルトラックは、次の車検までと使用期限が決められているため、いや応なく廃車するか、代替するしかありません。 国は、日本政策投資銀行など政府系金融機関による融資あっせん制度を設けて買いかえ支援を行っていますが、これらの金融機関は店舗も限られており、十分な支援とはいえません。 加えて、都のディーゼル規制では後づけのDPFや酸化触媒で対応してまいりましたが、国の場合、後づけのNOχ・PM低減装置の開発、普及が大幅におくれ、わずか四機種しかできていないのであります。 しかも、後づけ装置の認定検査機関は、関東運輸局管内で三カ所しかなく、東京都の環境科学研究所を加えても四カ所と限定され、その上、排ガス測定作業に大幅な時間がかかり、装置装着を希望するユーザーに十分こたえられない現状にあります。 私は先日、運送事業者の代表の皆さんとともに、公明党幹事長代行太田昭宏衆院議員を介し、国土交通省自動車交通局技術安全部長に面談し、この点の改善を強く訴え、関東運輸局管内三カ所の検査機関での受け入れ枠を倍増する確約を得てまいりましたが、これでも十分とはいえません。多くの課題が残されております。 そこで、伺います。 第一に、この問題は、NOχ・PM法を制定しながら、その条件整備を怠ってきた国に責任があります。運送事業者の方々が利用しやすい融資制度の創設や後づけ装置の開発、普及、さらに万全な検査体制を確立すべきであり、改めて都の立場から国に強く求めるべきであります。また、国の足らざるところを補う都の対策を運送事業者の方々は求めております。あわせて知事の所見を伺います。 答弁1 ▼知事 自動車NOχ・PM法についてでありますが、この法律は、大都市部の深刻な大気汚染の改善を目的としておりまして、その規制の実施は、本来、国の責任で行われるべきであります。 しかし、国はどうも現場意識に欠けておりまして、規制の円滑な実施に向けて、中小事業者に配慮した十分な対策を講じておりません。そのため、法の対策地域内の事業者は、原則、新車への買いかえが必要でありまして、大きな負担を強いられているのが現況でございます。 都は、そうした国の対策の不十分さを補うため、独自の買いかえ支援制度などを設けるなど、都内事業者への支援を行ってまいりました。 今後とも、首都圏八都県市とともに、支援策の充実やNOχ・PM低減装置の開発、普及などについて、事業者に配慮した対策が講じられるよう、国に強く求め続けてまいります。
質問2 第二に、都の環境科学研究所でもさまざまな環境調査研究に取り組む傍ら、後づけ装置の公的試験機関の一翼を担い、排ガス計測試験の受け入れを行っておりますが、現状は施設の老朽化等によって、将来に向けて排ガス試験機関として十分な役割を果たすのが困難な状況になっております。新長期規制以降の排ガス規制も視野に入れ、公的検査機関として機能するよう早急に整備すべきであります。所見を伺います。 答弁2 ▼環境局長 環境科学研究所の排出ガス計測設備の整備についてのご質問でございます。 環境科学研究所では、新長期規制以降の排出ガス規制にも対応した高精度の排出ガス計測を可能にするため、排出ガス計測システムなどの更新工事を今年度から実施しております。 今後、この新しい設備を用いて、国の排出ガス規制の効果などの検証を行い、自動車排出ガス対策の一層の推進に役立てるとともに、ご指摘の点を踏まえ、装置メーカーなどの依頼にこたえ、排出ガス計測試験を積極的に受け入れてまいります。 また、平成十八年度には、設備更新工事の実施という制約はありますが、工事期間を除いた時期において、休日の活用などの工夫を行うことにより、計測試験の受け入れをでき得る限りふやすよう努めてまいります。
|
■文化振興 |
質問1 文化振興について伺います。 公明党は、文化芸術立国日本を目指して平成十三年に文化芸術振興基本法の制定を実現するなど、党を挙げて文化施策の充実に取り組んでまいりました。今定例会における知事の施政方針でも、本年五月を目途に文化振興に関する指針を策定すると明らかにされたことを高く評価いたします。 こうした基本法や条例などの制定とあわせて、公明党は文化振興に関するさまざまな施策を提案してまいりました。具体的には、文化施策に関する総合窓口、いわゆるワンストップサービスの設置や、文化に関するボランティア活動の支援、子どもたちが芸術家と直接触れ合う機会の拡充などであり、これらの施策は、今回策定される文化振興指針の中でもきちんと位置づけられるべきです。 とりわけワンストップサービスについては、都庁の中に窓口を設置するだけでなく、インターネットなども活用して、都民がいつでも、どこでも文化に関する情報を得ることができる情報提供サービスを構築すべきと考えますが、見解を伺います。 答弁1 ▼生活文化局長 文化芸術に関する情報提供サービスについてでございます。 現在、都では、文化芸術の支援サイトである東京アートインデックスを運営していまして、アーチストがみずから投稿できる情報発信の場を提供するとともに、助成金などのアーチスト支援情報の収集、提供を行っております。 平成十八年度には、東京アートインデックスを抜本的に見直しまして、都立文化施設のお客様向けホームページへの入り口ともなる新たなホームページを構築します。このホームページは、アーチストの作品を紹介するバーチャル見本市機能など、新たな機能を付与するとともに、文化施設の収蔵品情報や民間の文化情報を充実させるなど、東京の文化に関する総合的な情報提供を目指してまいります。
質問2 また、都民が東京の豊かな文化に触れる場として、都立文化施設の果たす役割も重要であります。都は、厳しい財政状況の中、この七年間、都立文化施設における作品の購入を中止してまいりました。しかし、作品の収集、保管、展示は、美術館、博物館の基本的な機能であり、作品収蔵を寄贈に頼らざるを得ない状況では、コレクションに偏りが生じ、質の高い展示ができなくなることも心配であります。 東京都の文化施策を語る会においても、文化芸術は人類共有の財産であり、美術館、博物館は文化芸術の成果である作品を未来の社会に継承していく重い責任があるとの指摘がなされております。語る会の貴重な提言も踏まえ、都立文化施設の果たすべき本来の機能を明確にすることを初め、これらの施策を実施していくことが必要と考えます。所見を伺います。 答弁2 ▼生活文化局長 都立文化施設の機能についてでございます。 都立文化施設は、都の文化施策を実現する拠点として、人類の文化遺産である芸術作品や貴重な資料の次世代への継承を行うなど、重要な役割を担っております。 都はこれまで収蔵品の購入を中止しておりましたが、東京都の文化施策を語る会の提言も踏まえまして、七年ぶりに購入を再開することといたしました。今後、計画的かつ継続的に作品収蔵を行うとともに、他の美術館等との連携を強化しまして、効果的に活用してまいります。 今後策定する文化指針において、こうした都立文化施設が果たすべき機能を明確にするとともに、各施設の評価等の仕組みを検討してまいります。
質問3 新たな文化振興指針は、石原知事が就任以来取り組んでこられた先進的な文化施策の集大成であり、将来への道しるべともなるものと期待しております。そこで、指針における今後の文化振興策の方向性について、知事の見解を伺います。 答弁3 ▼知事 文化振興策の方向性についてでありますが、東京は、さまざまな人材や資源が集中、集積し、文化芸術に関する大きな潜在能力を有しております。 端的に、都庁舎からこの議場へ渡ってきます渡り廊下のスペースに飾る若い人たちの絵を募集しましたが、驚くほどヒンターランドが広いのに感心いたしました。また、非常にすぐれた作品もございます。 そういう意味で、非常に他の自治体に比べて、東京にはそういう可能性が集積していると思いますが、これも踏まえまして、東京都の文化施策を語る会では、民間の第一線の方々から、観光と文化芸術との連携など、東京の潜在力を引き出すためのさまざまなアイデアをいただきました。 今後も、東京の豊富な文化資源や人材を生かして、東京ならではの先進的な文化政策を展開していきたいと思っております。
以上をもちまして代表質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
|