平成17年第2回定例会 代表質問

山口文江(ネット)
■都政改革
 
質問1
 私は、都議会生活者ネットワークを代表して質問いたします。
 初めに、都政改革について伺います。
 私たち生活者ネットワークは、政治の主役はまさに市民であり、都知事でもなく、議員や職員でもないことを常に表明し、政策決定過程を明らかにして、市民参加で政策や制度を決定する道筋をつけてきました。しかし、現在の石原都政は、悲しいかな、逆を行っています。濱渦副知事は、不正を捏造しただけでなく、その後の百条委員会では法律を犯す偽証をするなど、都民を無視した、やりたい放題の都政運営はまさに告発に値するものです。また、十分な知事レクがあったにもかかわらず、副知事や出納長による偏った情報をうのみにして、判断を誤った知事の責任は重大です。
 四年前の本会議で、知事は、今後の都政運営を危惧する質問に対し、都政はチームプレーで、知事一人が獅子奮迅してもどうなるものではなく、多くの職員のアイデアを十分出し合っていく都政を心がけると述べていますが、石原知事が容認してきた側近政治は、内部人事や利権の争いなどがかいま見える恐怖政治となり、都政運営を大きな混乱に陥れました。これは紛れもなく知事の責任です。
 しかし、昨日の所信表明で、福祉総合学院をめぐり都政を混乱させ、都民に不安を与えたことに対する何らの謝罪もありませんでした。また、副知事を初めとする特別職の人事案も出されておりません。この都政運営を早急に立て直すためには、今回の混乱の責任を明らかにして、速やかに人事の刷新をすべきです。副知事の選任に当たっては、密室、根回し政治を変えるためにも、今までとは違う視点を持つ女性副知事の登用を強く求めます。
 また、百条委員会で告発を決定した濱渦氏に対し、問責決議で終わらせるようであるならば、議会みずからの自殺行為であり、議会の一部と手打ちをするような密室政治こそが濱渦・石原体制の都政を生み出したにほかなりません。最終的には数の論理であっても、内田議長が常々いわれる議会の権能を念頭に置きながら、十分な議論をし、根回しや口きき政治、権力闘争は今こそ排除しなければなりません。都政運営を大きな混乱に陥れた知事自身の責任はどのように果たされるのか、伺います。
 
答弁1
 ▼知事
 人事、今会期中に人事の一新を含めて適切に対応し、私としての責任を果たしてまいります。
 

 
質問2
 東京都発注工事の橋梁談合に、天下りした都職員OBがかかわっているとされる口きき疑惑が出ています。もしこれが事実であるとするならば、毎年多額の公共事業を発注し、さまざまな補助金支給、許認可の決定を行う権限を有する局長級以上の幹部の再就職に関して、都の公共事業の公正さへの影響が懸念されるのは当然です。再就職先の公表を昨年提案したところ、九月に初めて公表されました。第三セクターへの天下りは、発注者であった元局長が破綻した受注者の長になるなど、今後の組織の立て直しに危惧があります。民間と同様、二年間の禁止措置をすべきではないでしょうか。
 
答弁2
 ▼総務局長
 監理団体への再就職についての質問にお答え申し上げます。
 監理団体は、都の行政を補完、代行するなど重要な役割を担っておりますことから、都の退職者が在職中に得た知識や経験を団体の経営に還元することは、都政にとっても有用であると考えております。
 なお、監理団体への就職後は、団体の経営を担うものとして、都民から批判を招かぬよう行動することは当然のことと考えます。
 
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■地域福祉の推進
 
質問1
 これまで都は、福祉改革推進プランとTOKYO福祉改革STEP2の二つの計画に基づき、NPO支援策の充実や都独自の包括補助制度など、ユニークな取り組みを積極的に進め、地域福祉の充実に取り組んできました。
 現在、介護保険制度に次いで、障害者の自立に向けた法律が審議されており、福祉分野ではこれまで以上に区市町村主体の施策展開が必要になります。区市町村をしっかりと支え、NPOやボランティア活動など市民参画を進め、住民同士の相互連携を深めることが、東京の福祉の最重要課題になると考えます。
 しかし、この二つの計画は、残念ながら、十六年度末をもって計画期間が終了しております。今後、地域をコンセプトとした取り組みをさらに発展させるためにも、今年度以降の東京の福祉施策の基本的な方向をどのように示していくのか、所見を伺います。
 
答弁1
 ▼福祉保健局長
 福祉施策の今後の方向性についてでありますが、都はこれまで、だれもが地域で自立した生活を送ることができる利用者本位の新しい福祉の実現を目指し、福祉改革に全力で取り組んでまいりました。その結果、平成十六年度末には、十二年度と比べ、認知症高齢者グループホームの定員は五十倍、知的障害者グループホームの定員は二・二倍になり、高齢者や障害者の生活を支える地域の基盤整備は着実に進んでおります。
 また、包括補助制度である福祉改革推進事業や、昨年度から開始したユニバーサルデザイン福祉のまちづくり推進モデル事業などにより、地域の特性を生かした、区市町村の主体的な取り組みを積極的に支援しております。
 こうした改革をさらに進め、東京の福祉水準全体の向上を図っていくために、福祉施策の新たな方向性を示していきたいと考えております。
 

 
質問2
 年々進む高齢社会においては、外出の自由を阻害されることはだれにも起こり得ることです。生活者ネットワークは、移動困難者の移動の確保という意味で、移送サービスに取り組むNPO等への支援を提案してきました。二〇〇四年三月には、国土交通省から、福祉有償運送に関して、いわゆる道路運送法八十条許可に関するガイドラインが出されました。
 区市町村は、移動困難者の実態把握と、移動サービスを担うNPO等を支援し、自治体の交通政策等へ反映するため、来年春までに運営協議会を設置しなくてはなりません。しかし、区市町村における運営協議会の設置はまだ七区にとどまり、このままでは運営協議会の空白地域をつくりかねません。都は、十七年度末までに福祉有償運送を実施しているNPO団体が法による許可を得られるよう、運営協議会の設置についてどのような支援を行うのか、伺います。
 福祉有償運送に関しては、利用者の安全確保のため、運行管理者研修、運転者研修が重要です。人材育成及び育成者支援こそ、広域的な東京都の役割です。今後の課題としてぜひ検討されることを望みます。
 

  
 以上で生活者ネットワークの質問を終わりますが、すべての答弁は、現状では唯一責任を持つことができる石原知事にお答えいただきたいことを申し添えて、質問を終わります。
 
答弁2
 ▼福祉保健局長
 福祉有償運送についてでありますが、本事業を行うに当たりましては、国の方針により、自治体が設置する運営協議会の協議を経て、道路運送法に基づく許可を得なければならないこととされております。このため、都は、区市町村に対し、こうした方針などの説明や、事業の実態把握などに努めるとともに、運営協議会の早期設置に向けた働きかけをこれまで行ってまいりました。
 現在、区市町村の意向を踏まえまして、既に単独で設置している区市などを除き、区部、市町村部ごとの運営協議会の共同設置に向けて調整を行っている段階でございます。
 今後は、運営協議会マニュアルを作成するなど、事業の円滑な推進に向け、一層きめ細かな支援をしてまいります。
 
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