平成17年第2回定例会 代表質問

土屋たかゆき(民主党)
■新しい公のありかた
 
質問1
 私は、都議会民主党を代表して、第十六期都議会最後の代表質問を行います。
 本年は平成十七年、日本は戦後六十年、還暦を迎えます。民主党は、この節目の年に都議会議員選挙を迎えるに当たり、改めて人やNPOや地域コミュニティに着目しました。そして、今までのような官依存でなく、官と民とが対等のパートナーシップを結び、ともに東京を支えていく、これが私たちが掲げている東京マニフェストでの考えです。
 今では、民間企業であっても、社会的責任という観点から公益的な活動を進めています。かつて地域で公というものを担っていた自治会や町内会などの地域団体も、防犯、防災に関する危機意識の高まりを契機に、その活動が活発になっています。そして、福祉や環境など、特定のテーマについて取り組むNPOの活動もますます盛んです。
 石原知事は、前回の都議会の所信表明で、新しい公のあり方を探っていきたいと述べられましたが、私たちも、この新しい公というものを積極的に推し進めていきたいと考えています。
 中でも、新しい公を担う多様な主体のうち、NPOについては、全国で認証された二万一千余の団体のうち、約五分の一が東京に集中しており、新しい公を進めるためにも、NPOへの支援は重要です。
 千葉県市川市では、ハンガリーの所得税一%法を参考に、個人市民税の一%を納税者自身が選んだNPO活動への助成金とすることができる、いわゆる一%支援制度をこの四月からスタートしています。また、幾つかの自治体でも、同様のNPO支援に向けた具体的な行動が起こりつつあります。そして、民主党の東京マニフェストでも、都民みずから税の使い道の一部を決定できる仮称都税使途指定制度の創設を掲げているところであります。
 そこで、私は、このようなNPO支援の動きを踏まえて、東京都としても、NPOへの支援について積極的に取り組むべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 
答弁1
 ▼生活文化局長
 NPOへの都の取り組みについてでございますが、東京都は、これまでNPO活動の活性化のために、NPOとの協働指針や事例集を作成するとともに、区市町村に対する研修や相談事業を実施してまいりました。また、NPOに対する寄附金について、税制上の優遇措置を国に要望するなど、NPO活動の促進に向けた環境整備を図ってまいりました。
 現在、災害対策、防犯、教育、環境、福祉など、多くの分野においてさまざまな形態でNPOとの協働事業が実施されております。今後とも、引き続き区市町村等に対して情報提供を行うなど、NPOと行政との連携を推進する立場から、NPOが活動しやすい環境の整備に努めてまいります。
 

 
質問2
 また、NPOや地域団体など住民一人一人の協働の取り組みを受けとめ、これに真にこたえるためには、住民にとって最も身近な存在である基礎的自治体が、まさに地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担う主体として成長しなければなりません。
 しかしながら、全国の基礎的自治体の合併が進み、二千を切ろうという今になっても、東京都内には市町村合併の動きは見られません。都内市町村は、他府県の市町村に比較して、相対的に財政が豊かなこと、人口減少が進んでいないこと、住民の地域への愛着感などから合併の必要性を感じていないことなどが原因と思われますが、住民の協働の取り組みは、既存の市町村の枠を超えて進んでいます。
 一方、合併により自治体が大きくなることに伴うデメリットも生じていますが、既に合併した自治体では、そうしたデメリットを克服するために地域自治組織の導入を進めています。総務省によると、既に十三市町で活動を開始し、四十四市町で導入を予定しているところです。
 地方制度調査会では、現在の地域自治組織をさらに発展させる地方制度の弾力化についても調査審議されています。国のいわゆる三位一体の改革の動向も踏まえつつ、市町村合併促進の方策について積極的に検討していく必要があると考えますが、所見をお伺いいたします。
 
答弁2
 ▼総務局長
 市町村合併は、新たな行政需要への対応や行財政基盤強化などの方策として、重要かつ有効な選択肢の一つであると考えております。
 都は、これまで市町村合併支援プランを策定するなどいたしまして、市町村の合併への取り組みを支援してまいりましたが、重要なことは、市町村が住民意思を尊重しながら、自主的、主体的に取り組むことでございます。
 今後とも、地域特性、人口規模等を考慮しつつ、市町村の自主的、主体的な取り組みを支援してまいります。
 

 
質問3
 一方、もともと東京市の行政区であった特別区が、大都市東京における豊かな地域社会を実現する行政を総合的に実施するためには、既存の特別区の枠組みでは難しいといわざるを得ません。
 石原都知事も、さきに開かれた都区制度改革促進決起大会で、特別区における一種の道州制というものを積極的に考えてくださいと訴え、東京都の中のそういう問題について私たちが積極的にかかわる時代になった、これは歴史的な必然であると述べられたと聞いております。
 さきに述べた調査会においても、かつての特別市を想起させる一般の道州から独立した、大都市州も含めた具体的な検討が進められております。都区間で残された課題について協議しているこの同じ時期に、政府では、さらにその先の調査審議が進められているのであり、安閑としていられる時期ではありません。
 東京都としても、大都市制度、特別区のあり方について早急に検討を進め、特別区と次の時代に向けた協議を開始すべきと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
 
答弁3
 ▼知事
 特別区のあり方についてでありますが、期せずして、自民、公明と続いて、この問題についての質問がありました。同じお答えになりますけれども、やはり行政区分そのものというものを見直しませんと、それぞれの区の自治体としての活動というものがアクティブにはなってこないんじゃないかという気がいたしております。
 今、眺めてみまして、異論があるかもしれませんが、相対的にやはり特別区と他の都下の市町村の動き方を見ていますと、区に比べて市町村の方がもっといろいろ苦労を重ねているという気がいたします。そういうものを相対的に眺め合わせながら、私たちはやはりこの問題を真摯に、特にその行政区分というもののあり方について率直に真摯に討論し、考えていく必要があると思います。
 

 
質問4
 基礎的自治体の改革に取り組んでいくと同時に、基礎的自治体を補完する広域自治体もそのあり方を見直し、新たな時代に対応したものに再編成していく必要があります。
 第二十八次地方制度調査会でも、道州制のあり方などを審議項目として、既に二十二回に及ぶ専門小委員会における検討を積み重ね、来年二月には答申を取りまとめる予定になっています。五月二十七日の専門小委員会では、総務省が道州制の具体的な区域案を示しています。
 昨年九月の行財政改革基本問題特別委員会調査報告書では、道州制はいまだに時期尚早の議論とされましたが、地方制度調査会では、具体的な区域案の検討にまで調査審議が進んでいるのであります。
 八都県市の広域連携の強化、自民党のいう首都圏連合も重要ではありますが、道州制の導入というその先の将来展望を示すことが、現在の八都県市の広域連携をより強化することにつながるのであります。
 私たちは、東京都としてもこの議論に積極的にかかわり、道州制に向けた具体的な展望を指し示すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 
答弁4
 ▼知事
 道州制をめぐる議論についてでありますが、ともかく明治の太政官制度以来、一世紀以上にわたってこの四十七都道府県というものの制度が続いているわけでありまして、日本そのものが時間的、空間的に狭くなった今日において、直面する行政課題に十分対応できていないのがまさしく実情であるとも思います。
 先般も、全国知事会議で、国民保護法でしたか、それについての議論が行われたときに、ある県の知事さんが、自分たちの県には新幹線も空港も、ろくな港もないと、こんなことをやるなら、早くもっとそういうものを充足してつくってくれといわれましたが、やはり四十五、六万の人口しかない県と、はるかに上回る人口を持った他の都道府県というものが並列に並べられて、県の行政のあり方について論じられても、本当にまさに机上の空論でしかないと思いますし、そういう点でも、私はやはり広域行政の収れんされた形として、道州制というものがいつかの時点に、できるだけ早く、やはりでき上がっていくことが望ましいと思います。
 今、それでは物足りないというご趣旨の発言もありましたが、少なくともこの首都圏を構成する八都県市では、首長会議で合意しまして、排ガス規制を初め、あるいは青少年の健全育成条例などもすり合わせをしたり、花粉症対策についても先般合意いたしましたが、既に首都圏という形での一種の広域行政が現実に、着実に始まっております。
 こういったものをやはりサンプルにして、私たち、日本全体、時間的、空間的に狭くなっているわけですから、道州制の問題についても、突き詰めた議論を進めていく必要があるのじゃないかと思います。
 一方、お話の地方制度調査会などで議論されている道州制は、国の統治機構そのものの問題でありまして、国が正当な歴史認識のもとに、この国の将来像を見据えながら長期的な視点に立って考えていくことこそが必要であると思っております。
 
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■震災対策
 
質問1
 民主党の東京マニフェストでは、震災対応力の向上を緊急提案として打ち出し、地震で倒れない家をふやすことなどに力点を置いています。
 阪神・淡路大震災の経験以来、昭和五十六年以前に建てられた旧耐震基準の建物、特に住宅については早急に耐震診断を行い、必要に応じて耐震改修を行うべきであるということがいわれ続けています。しかし、防災上、不適格な住宅に住んでいる多くの都民が、負担する経費に対する不安を抱え、また具体的な動機づけがないままに、我が家だけは大丈夫だと思い込もうとし、リスクを背負いながら住み続けています。
 私は、こうした状況を改善し、都民の生命と財産を守るためには、都民に対する動機づけを徹底して行っていくことが重要であると考えます。そのためにも、地震に対する地域危険度を都民が知ることが必要です。
 現在行われている地域危険度の公表方法は、防災に関心のある特定の都民の側から情報を求めてくるのを待つにすぎません。これほど重要な情報は都民が共有するよう、東京都の側から積極的に伝えるべきではないでしょうか。例えば、防災キャンペーンにあわせて、都内の全世帯に対して、それぞれのまちの地域危険度を通知することなども一考です。
 私は、都民に対する動機づけを徹底するために、地震に対する地域危険度の周知に戦略的に取り組んでいくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 
答弁1
 ▼都市整備局長
 地域危険度の周知についてでございますが、地域危険度は、地震に対する危険性を他の地域と比較して五段階で評価したものであり、その周知は、都民の防災意識の高揚を図る上で重要であると認識いたしております。
 そのため、都のホームぺージに掲載するとともに、都内の図書館や区役所などで閲覧できるようにしてございます。また、図解などでその内容をわかりやすくまとめた小冊子を発行するなど、周知に努めております。
 今後、地域危険度がどの程度都民に周知されているかを把握するとともに、防災訓練などさまざまな機会や各種広報手段を積極的に活用して、より一層の周知に努めてまいります。
 

 
質問2
 また、このような動機づけの徹底とともに、耐震診断、耐震改修に対する支援策の充実も必要です。
 例えば、新耐震基準導入前の住宅について、東京都が無料で耐震診断を実施してはどうでしょうか。耐震診断は、診断の結果によっては改修工事のための費用負担が生じるため、それだけでしり込みをしてしまう建物所有者も多いようです。
 しかし、東京都が耐震診断の費用を負担し、さらに、耐震改修が必要と認められた住宅の耐震改修に対して補助や助成制度を充実することで、多くの都民が耐震診断、耐震改修に踏み切るのではないでしょうか。ただし、阪神・淡路大震災直後に導入された東京都の耐震改修支援策の実績がゼロであったことを踏まえれば、より実効性のある制度を創設する必要があります。
 例えば、費用を東京都が無利子で貸し付ける、民間金融機関からの融資に対して利子を全額補給する、あるいは都内の一部区市でも行われているように、費用の一部に補助金を出すなど、経済的余裕のない都民でも耐震改修に踏み切りやすい制度とすることが求められます。
 戸建て木造住宅の耐震改修工事費は、一戸当たり百六十二万円ともいわれておりますが、これを仮に十五年の固定金利で民間から借りる場合、一月当たりの返済金額は一万円強になります。また、この利子を東京都が全額補給する場合、住宅・土地統計調査をもとにすれば、都内の居住者のいる住宅ストック五百五十万戸のうち、新耐震基準前の木造戸建て住宅は六十三万戸、このすべてが一斉に改修し、それに対して全額利子補給すると仮定しても、一戸当たり六十万円で総額三千八百億円、一年当たり二百五十億円の負担と試算できます。診断費用は、別途総額九百五十億円必要ですが、この数字からは、各都民及び都の負担は決して重過ぎるものではないと考えます。
 私は、大地震の多発している今だからこそ、住宅の耐震診断、耐震改修に対する総合的な支援制度の充実を図っていくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 
答弁2
 ▼都市整備局長
 住宅の耐震対策についてでございますが、阪神・淡路大震災の例を見ても、死者の多くが住宅の倒壊を原因としているなど、住宅の耐震化は重要でございます。都といたしましては、災害に強い都市を目指し、木造住宅密集地域等の整備改善を進めるとともに、住宅の耐震改修についても、都民への普及啓発など住宅の安全確保に努めてまいりました。
 また、先月、関係各局から成る建築物の耐震化促進検討会を設置してまいりましたが、この検討会で、都民が安心して耐震化に取り組むための仕組みづくりなどを検討してまいります。
 
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■子育て家庭への支援策
 
質問1
 子どもの世話をすることは、楽しく、とてもやりがいのある仕事です。一方、同時にストレスを感じる、時に孤独な仕事でもあります。
 ところが、核家族化、都市化の進行による子育て家庭の孤立化は、東京の居住環境の悪さなどとも相まって、子育てをする親の負担感、不安感だけを増大させています。そして、負担感、不安感の増大は、仕事をしているかそうでないかで変わるものではなく、子育てをするすべての親に共通のことなのです。
 しかし、東京の子育て家庭の約六割を占める共働きでない家庭への子育て支援策は、共働き家庭に比べて限られており、行政においても、これまでこうした家庭に対して手をつけようとしませんでした。
 しかし私は、東京の多くの家庭において、安心して子どもを産み育てられるようにしていくため、地域における子育て支援サービスの提供など、すべての家庭を対象に子育て支援を展開していくことが必要だと考えますが、所見をお伺いいたします。
 
答弁1
 ▼福祉保健局長
 子育て家庭の支援についてでございますが、地域で安心して子どもを産み育てられ、子育ての喜びを実感できる社会の実現のためには、子育て家庭への支援策を充実することが重要であります。
 都はこれまでも、孤立しがちな親などが交流できる子育て広場の設置や、親の病気などの際に利用できるショートステイ、一時保育などのさまざまな在宅サービスの拡充を図ってまいりました。
 また、本年四月に策定いたしました次世代育成支援東京都行動計画におきましても、すべての子育て家庭への支援を主要な視点の一つに掲げ、これまでの取り組みをさらに進めていくこととしております。
 今後とも、すべての子育て家庭への支援がより一層充実されるよう、区市町村を積極的に支援してまいります。
 

 
質問2
 また、子ども関連の公費の多くが投入されている認可保育所は、親の就労形態などにより利用できるかどうかが区別されたり、サービスの拡充が進まないなど、多くの課題があります。
 一方、東京都が独自に創設した認証保育所は、待機児の解消とともに柔軟なサービス提供を実現しており、都民の支持を得て急速に広がっています。
 また、国においては、幼稚園と保育園の垣根を取り払って、幼児教育と保育サービスを総合的に提供するという幼保一元化に向けた改革など、さまざまな動きがあります。
 こうした動きに共通なのは、これまで限られた子ども、限られた家庭にしか提供されてこなかった保育サービスの普遍化という考え方です。私は、東京都においても、親の就労の有無やその形態で区別することなく利用できる保育サービスの提供拡大に向けて、抜本的な改革を進めることが必要であると考えますが、所見をお伺いいたします。
 
答弁2
 ▼福祉保健局長
 保育所制度の改革についてでありますが、既存の認可保育所は、長時間保育など、利用者のニーズに柔軟、的確にこたえ切れていない現状があります。このため、都は、就労形態が多様化する中で、さまざまな事業主体の参入を促進し、利用者の選択の幅を広げるため、認証保育所制度を独自に創設し、大都市特有の保育ニーズに的確に対応してまいりました。
 また、現行の保育所制度を利用者の実態に即したものに改める必要があるため、都は、国に対して認証保育所を制度的に認めることや、保育に欠ける要件の見直しなどを求めております。今後とも、保育所制度の抜本的改革に向け積極的に取り組んでまいります。
 

 
質問3
 保育サービスを改革していく上で、将来的な青写真を示していくことも必要です。そして、私たち民主党は、保育サービスが真に利用者のために提供されるべきものと考え、そのための施策として保育バウチャー制度を選択すべきと考えます。
 バウチャーとは、施設に対してお金を投じるのではなく、利用券などの形で保護者を通じて補助金を支給する制度です。保護者に選ばれなければ補助金が受けられないことになり、事業者に緊張感をもたらします。
 私は、東京都として、家庭の状況や所得に配慮した公平な金額設定などについて検討し、保育バウチャーの実施に向けて積極的に取り組むべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 
答弁3
 ▼福祉保健局長
 保育サービスにおけるバウチャー制度についてでありますが、この制度は、利用者みずからが必要なサービスを選択し、利用できる仕組みであるため、事業者の競い合いを通じてサービスの向上が図られることなどが、効果として挙げられております。
 国においては、本年三月、規制改革・民間開放推進三カ年計画の改定を閣議決定し、認可保育所に係る補助方式として、施設への補助ではなく、利用者への直接補助方式導入の可否について検討することとしております。
 しかし、バウチャー制度の実現のためには、現在の施設に対する補助の見直し、児童手当制度との調整、低所得者に配慮した利用方式など、多くの解決すべき課題があると認識しております。
 
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■環境政策
 
質問1
 環境政策について、特にヒートアイランド対策と温暖化対策について伺いたいと思います。
 ヒートアイランドや温暖化の要因として、東京の都市化、高度化などが挙げられていますが、私たちは、これをもって単に都市開発が悪いというのではなく、環境政策の内在化を進めることで環境と開発の調和を図っていくべきと考えています。しかし、現在は、環境政策の取り組みがまだまだ不十分であり、都市開発優先といわざるを得ない状況となっています。
 屋上緑化を例にとりますと、自民党は、屋上緑化を理由にして容積率を緩和することを主張しています。しかし、私たちは、そもそも総合設計や特定街区の制度でより大きなビルを建てられることから、緑化は当然であり、むしろ市街地での大規模な開発については、屋上緑化の緑化率のアップを初め緑化基準の強化を図るべきと考えています。
 そこで、石原都知事に、環境政策と都市開発とのバランスについて、現在の認識と今後の政策の方向性について見解をお伺いいたします。
 
答弁1
 ▼知事
 環境政策と都市開発のバランスについてでありますが、環境と一概にいいましてもいろいろな要因があるわけでありまして、例えば空気とか水の問題だけではなくて、治安の問題もそうでありますし、そのまちの景観もそうでありますし、またそのまちに住んでいる人たちの人気、気質というのでしょうか、まち全体の雰囲気の問題も重要な問題だと思います。
 東京がその活力を維持して高めていくためには、都市開発によって東京のポテンシャルを引き出すとともに、やはりこういった問題について我々が安息、満足して暮らすことのできる環境というものを創出していくことが不可欠だと思います。
 多様な都市機能が高度に集積するこの大都市東京におきまして、文明の便宜性を享受してきた一方で、大気は汚染され、ヒートアイランド現象など環境の危機も先鋭的にあらわれているわけでありまして、それを見ながら、都もそれなりの対策を尽くしてまいりましたけども、一方、いろいろ異論もあるようですが、都市の便宜性というものを担保するために必要な社会資本、特に、外国の首都ではもうとっくに完成されている環状線が、日本では、東京では二割強しかでき上がっていない、こういった欠落というものも、東京全体の環境破壊の一つの引き金になっているわけであります。
 いずれにしろ、そういったものの完成、補てんというものも含めながら、今後とも、東京から先駆的な施策を展開して、都民が人間として快く住み続けることのできる、環境に配慮した、今まで申しましたすべての環境を構成する要因について配慮した都市づくりを推進していきたいと思っております。
 

 
質問2
 私たちは、ヒートアイランド対策として、屋上緑化などの被覆対策に加えて、かねてより都市構造そのものを変える風の道の創出を掲げていました。石原都知事は、記者会見で、今ごろ風の道なんていっても遅いなどと述べられたこともありましたが、環境問題の克服のためには、風や水や緑といった自然の力を味方にすることは有効です。
 自動車による大気汚染で有名な板橋区の大和町交差点では、三月二十六日に、交差点の一角がオープンスペース、公園として供用されるようになりましたが、これなども一種の風の道といえるのではないでしょうか。
 また、東京都が四月十一日に発表したヒートアイランド対策推進エリアでは、今後の大規模な開発が想定される地区を中心に、風の道の確保に向けた取り組みが盛り込まれています。無理だ無理だといわれていた風の道の確保も、徐々にではありますが、進みつつあるのです。
 私たちは、環境配慮の一環として、風の道の確保に向けてさまざまな政策を提案しているところであり、東京都においても、引き続き風の道の確保に向けて、都市再開発プロジェクトでの早い段階からの取り組みを進めるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
 
答弁2
 ▼都市整備局長
 風の道の確保に向けた取り組みについてでございますが、都市開発プロジェクトの推進において、水や緑の空間とあわせて風の道を確保することは、ヒートアイランド対策の有効な手法であると認識しております。
 現在、品川駅周辺におきましては、環境モデル都市の形成を目指して、エリア内における風の流れを検証するとともに、風の道の確保に向けた建物の配置計画のあり方などについて、国や区などと連携して検討を進めております。
 こうした検討結果を踏まえ、より実効性のあるヒートアイランド対策に取り組み、環境と調和した都市開発の実現に努めてまいります。
 

 
質問3
 次に、地球温暖化対策について伺います。
 温暖化対策では、東京都の積極的な取り組みに比べ、国の対応が極めて不十分であることは衆目の一致するところです。四月二十八日に閣議決定された京都議定書目標達成計画でも、強制力の伴った施策がほとんど盛り込まれず、単なる数字合わせの計画と批判されています。また、焦点であった環境税についても導入が見送られました。
 環境税については、自民党は、環境税の一形態であるグッズ減税・バッズ増税について慎重に検討していくとし、税制による環境効果を実現し、国際社会が目指す地球温暖化防止などの流れに積極的に参加すると、慎重かつあいまいな表現に終始しています。しかし、私たち民主党は、むしろ環境税の創設には積極的な立場をとっています。
 京都議定書目標達成計画は平成十九年に見直されることになっていますが、小泉・自民党政権では、京都議定書の約束を果たせないばかりか、日本の国際的な信用を失墜させるばかりです。
 東京都でも、環境税などの導入も含めた実効性のある対策を国に対して求めていましたが、国の京都議定書目標達成計画の評価と環境税への対応も含めた今後の国への働きかけについて、見解をお伺いいたします。
 
答弁3
 ▼環境局長
環境局長
 京都議定書目標達成計画と環境税についてでございます。
 都は、条例を改正いたしまして、地球温暖化対策計画書制度を強化するなど、独自の取り組みを推進してまいりましたが、京都議定書の削減目標を達成することは、本来、国の責務でありまして、国は、その目標達成に向け、とり得る有効な対策を確実に実施すべきであります。
 また、環境税につきましては、東京都税制調査会におきます検討を踏まえ、国に対して、環境税を導入する場合には、自治体の責任と役割を踏まえ、地方税を主体とするよう求めてまいりましたが、引き続き、この旨要望してまいります。
 

  
 最後に、この本会議場に列席されている石原都知事を初めとした理事者各位、各会派の議員各位と、この四年間、時には対立し、時には協力し合いながら、ともに都民福祉の向上のために議論を重ねてきたことを光栄に思い、皆様に心から感謝を申し上げます。
 来る都議選で、各会派の皆さんのご健闘を祈念しつつ、私たち民主党も全力を挙げて選挙戦を戦い、また皆様とともに都政発展に向けて活動することをお誓いし、私の代表質問を終わります。
 
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