▼藤田委員
私たちは、食品安全条例の制定を、いろいろ不十分な点もありながらも、評価していることを申し上げてまいりました。
この条例制定を前後して、さまざまな施策が進んでまいりましたけれども、この中でも最大のポイント、食品安全推進計画の答申が出されて、年度内ということですので、もうあと十五日ぐらいしかありませんけれども、この策定というふうになっています。
まず、この計画についてでございますけれども、食品安全施策の展開に当たっては、消費者、事業者の参加が不可欠と私たちはいってまいりました。今回の策定過程への参画も重要でありますけれども、計画の進行管理に関する参加も極めて重要であるというふうに考えています。進行管理は推進調整会議で、それから進捗状況は食品安全審議会で行って、中間年度には都民へ公表というふうにしています。公表だけでなくて、都民提案も積極的に審議をするなど、さらに都民の声を反映させるべきだというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。
▼福祉保健局長
食品安全推進計画は五カ年計画として策定する予定でありまして、その進捗状況につきましては、都民、事業者の代表で構成される食品安全審議会へ毎年報告することとしております。
また、同計画の中間年度には、都民などの意見を広く募集し、計画検証の際に活用していく予定でございます。
▼藤田委員
都民にわかりやすくするために、計画は可能な限り、定性的表現ではなくて、目標などを数値化する方がよいというふうに考えています。
また、答申の中でも、条例の基本理念である、未然防止の観点から科学的知見に基づく安全確保という考え方が示されています。
先月、厚生労働省の主催で行われました国際シンポジウムにおいて、都の環境局で実施した化学物質子どもガイドライン、これの施策が、先駆的な事例として、都の職員が参加をして、この発表者となって、大変高く評価をされています。
しかし、食品で不安なのは、添加物や残留農薬の問題だというふうに思います。食品添加物や残留農薬には国の基準があることは承知しておりますけれども、国に先駆けて子どもガイドラインという考え方を打ち出した東京として、さらに国へ対して働きかけていくべきではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。
▼福祉保健局長
添加物や農薬の残留基準などにつきましては、国が、乳幼児などへの影響をも考慮した試験の結果に基づき設定することとされております。
しかし、数多くの添加物や農薬の中には、安全性の評価や基準値の設定が現時点で行われていないものもあることから、今後とも国に対して、残留基準などの整備に当たりましては乳幼児などへの影響に十分配慮するよう提案してまいります。
▼藤田委員
実際には、それぞれ基準はあるんですけれども、実は、もう大分前になりますが、有吉佐和子さんの複合汚染という問題がありましたけれども、この複合汚染については、実は何も検査がされてないという状況もあります。
そして、食品安全の問題は、生活者の素朴な疑問から始まりまして、時に専門家の縦割りを超えて問題の本質を発見する場合があります。一方で、高度な検査、研究体制を持つ都には、さまざまなデータが蓄積されています。しかし、この両者間の乖離は大きいのが実情でございます。こうした距離を埋めて消費者リテラシーを高めるために、リスクコミュニケーションのあり方が重要になると考えます。専門家がまちへ出て、難しい専門的なことをわかりやすく説明する場を持つことが必要だというふうに思いますので、ぜひこれは要望をしておきたいと思っています。
具体的な課題について何点か伺います。
私たちが毎日食べている食品の多くは、農薬、化学肥料、抗生物質などの影響を受けています。以前からいわれていることでありますけれども、食肉から、いわゆる耐性菌が検出をされて、いざというときに抗生物質が人に効かなくて命が危ないという問題が表面化してきています。
国の依頼を受けまして、都道府県は平成十一年度から、動物における耐性菌の発現状況を調査しているということでありますけれども、結果はどんなふうになっておりましょうか。
▼産業労働局長
国は、畜産における有効な抗菌剤とその耐性菌が人や動物に及ぼす影響を明らかにすることを目的に、平成十一年度から、動物が持っている菌のうち腸球菌など四つの菌種について、薬剤耐性の調査を実施しております。
平成十五年度の調査の結果、腸球菌では、十六薬剤中十一薬剤に耐性が認められるなど、四菌種ともに薬剤耐性が認められました。
また、これら動物における耐性菌が人の健康に与える影響につきまして、現在、国は、科学的な評価を実施しているところでございます。
▼藤田委員
また、通常の食肉の中で一番抗生物質を使われているのはブロイラーです。二番目は豚なんですけれども、その差は八倍もあるというぐらい、ブロイラーのえさには大量の抗生物質が使われているんです。
さらに、ちょっと古いんですけれども、二〇〇一年の農水省と厚生労働省のデータによりますと、日本で使用されている抗生物質は、人の医薬品として五百十七トン、鳥、豚、牛などの家畜で九百二トン、養殖魚、百八十二トン、野菜、果物、稲、九十一トンというふうになっていまして、つまり、人間の医療用の約二倍が食料生産に使われている、こんな状況になっています。
しかし、家畜における残留の有害性と安全性の問題は、いろいろ指標がありますし、安全性についても、生産、流通、消費の各段階でさまざま規制があります。耐性菌が、農場、田畑、家庭、病院などで拡大している状況がありますけれども、特に食品における抗生物質及び耐性菌の検出状況はどんなふうになっていますでしょうか。
▼福祉保健局長
抗生物質については、養殖魚介類や食肉などを対象に、毎年、都におきまして残留検査を実施しております。直近の平成十五年度には約四千件検査をし、そのうち六件から基準値を超えるペニシリンなどを検出しました。
また、耐性菌については、現在最も有効な抗生物質とされているバンコマイシンに耐性を持つ腸球菌の実態調査を、国の依頼により平成十一年度から行っております。その結果、平成十五年度には、鳥肉など約百件を調査し、二件から耐性菌を検出いたしました。
▼藤田委員
食品に大量に残留していては困るわけですけれども、病院などへの拡大は、抗生物質入りのえさを食べさせている以上、環境中に耐性菌が放出されて、その耐性遺伝子が拡大していることが十分考えられるというふうに思います。
ところで、先ほどもお話がありましたが、東京都が開発した豚、通称X豚、ジューシーでおいしいというふうにいわれているわけですけれども、消費者から見れば、抗生物質やGM飼料を使わないなど、安心・安全対策がなされていると考えられているものです。
このことは、同時に、都市の畜産業にふさわしい、付加価値の高い事業だというふうに思っています。改めてX豚の飼料における抗生物質の使用状況と、この事業の進捗及び今後の見通しについてお伺いをいたします。
▼産業労働局長
家畜等への抗生物質の投与につきましては、法令で、出荷前の一定期間の使用が禁止されております。トウキョウXの場合は七カ月程度で出荷されますが、生産出荷組合の取り決めにより、おおむね生後四カ月以降は、抗生物質等を添加した飼料を与えないこととなっております。この結果、法定の期間に比べ、抗生物質等を使わない期間が約二倍程度になっております。
また、トウキョウXの飼育状況につきましては、平成十六年三月現在で、農家数は、都内及び都外の二十二戸、飼育頭数は約三千九百頭でございます。出荷状況は、平成十五年度で五千頭強でございますが、五年後には二万頭の出荷を目標としております。
▼藤田委員
要するに、どういう畜産を目指すかということによって、抗生物質を使用しなくても養豚は可能だということになろうかと思います。
都はこれまでに、国の有機農産物の認証制度に先立って、農産物の認証制度をつくって、特別栽培農産物のシステムを運用しています。BSEなど食肉の問題が発生して、国の対策がおくれる中で、予防原則のために、畜産物についての誘導施策が検討されるべきだというふうに思います。抜本的な農水政策の変更を待っていられる状況ではないというふうに私は思います。抗生物質不使用などを基準とする認証制度など、生産者や事業者の自主的な取り組みを評価する仕組みを検討すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
▼産業労働局長
都は昨年四月に、生産者が自主的に飼料や抗生物質の使用状況などの情報を消費者に提供する、生産情報提供食品事業者登録制度を創設いたしました。この制度により、畜産農家の抗生物質低減などの自主的な取り組みが公開され、評価されることにつながります。消費者にとっても、安全で安心な畜産物を選択する目安となるものでございます。
なお、現在、国におきましては、畜産物への抗生物質の使用を制限したものを認証する、有機畜産物のJAS認証制度が検討されていると聞いております。
▼藤田委員
食品の安全については、生産段階からの総合的な施策が不可欠だというふうに思っています。都は二〇〇一年に農業振興プランを作成いたしましたし、付加価値の高い事業とともに、安全と環境に配慮した農業生産方式と供給体制の確立が、この農業振興プランには書かれています。
今回の食品安全推進計画の策定と運用に当たって、生産段階での取り組みをどのように位置づけていくのか、見解を伺いたいと思います。
▼福祉保健局長
食品安全推進計画の策定に当たりましては、農薬の適正使用に関する指導など、生産段階での取り組みにつきましても、同計画の戦略的プランとして位置づける予定でございます。
▼藤田委員
今、ご答弁で、生産段階でというふうにありましたが、実は、BSE発生時に、廃棄までが重要なことということがわかりました。加えて、食品リサイクル法施行以降、廃棄及び再生産への循環の中で食品の安全は保障されなければならないというふうに思います。
今、城南島のスーパーエコタウン事業で、食品リサイクル施設が来年四月に稼働する予定になっています。施設は、食品残渣を飼料、肥料、発電に変える予定です。
ここで問題なのは、飼料へのリサイクルです。食品残渣には、実はラップやプラスチックなどの包装資材が混入するおそれがある。混入率の二%以下は許容されているんです。製造段階で、ふるい選別や、それから風力、風を送って熱をかけるから大丈夫というふうにいわれているんですけれども、飼料への夾雑物の混入は避けられません。鳥がついばんだら、プラスチックのものははじくからいいというような、そんな答えもありましたけれども、そんなことは絶対ないというふうに思います。
食品リサイクルは重要なことですけれども、いずれ人が食べるもので、安全性という面で不安が出てきます。飼料安全法というものがありますけれども、これは実は、プラスチックが飼料に含まれていることを想定していないという古いものです。
今後、食品リサイクルが進んでいくことを考えますと、未然防止の視点で新たな基準づくりが必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
▼産業労働局長
食品リサイクルの飼料化では、利用される原料にさまざまな食品の残渣や夾雑物が混入されるおそれがございます。飼料としての安全性につきましては、国や都が逐次、法令の基準に基づき確認をしているところでございます。
しかし、ご指摘のとおり、現行法では、プラスチック成分などの化学物質に対する基準はございません。製造された飼料に含まれる化学物質は非常に微量であることや、検出に高度な分析技術を要することから、現段階では混入実態を把握することは困難な状況にございます。そのため、まず、夾雑物に由来する化学物質の分析方法や、安全性に関する調査研究を国に求めてまいります。
▼藤田委員
素材及び組成の一定しない肥料では、肥料には使えないというふうに考えている有機生産者も多くて、飼料についても、狂牛病を拡大させた肉骨粉の例を持ち出すまでもなく、中身が明らかなことが求められているわけであります。
東京で食品リサイクルの対象になるのは、中小の事業者、殊に飲食業が多いということを考えますと、異物の混入を完全に防ぐのは困難ではないかというふうに思われます。コンビニなどで出てくるものの中にバランとかありますけれども、そんなものがまざってくる可能性が非常に多いというわけであります。
スーパーエコタウン事業の飼料化施設については、再生品の安全性にも疑問がありまして、食品リサイクルはぜひ--先ほどお話ししましたけれども、三カ所あって、一つは発電に、このリサイクルで使っているわけでありますので、バイオエネルギー化を第一にすべきだというふうに思っております。
現在、米国産の牛肉の輸入再開を迫られているわけですけれども、もともと欧州では、二十カ月以下では検査しても判定不能ということで、検査をしていませんでした。しかし、日本が示した、安全だけではなくて安心という両方を加えまして、安心と安全は全頭検査ということ、これは政府が決めたことでありますけれども、これを覆すのであれば、それ相当の根拠がなければいけないというふうに私は思います。食品の安全には一貫した対応が求められるというふうに思っています。
そしてまた、今回の予算の中では、安心と安全ということが第一であるということがいわれましたけれども、安心と安全というのは、治安ばかりではなく、そして防災の面ばかりではなく、このような食品の安全というようなことについても、大きな問題であるというふうに考えております。
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