平成17年第1回定例会 一般質問

都立文化施設に民間資金集めを
コミュニティスクールに支援を

高島なおき(自民党)
■文化施策
 
質問1
 まず初めに、文化振興について伺います。
 東京には多くの文化施設や文化団体が集まり、日々、さまざまな文化活動が行われています。このような活動をさらに活性化させ、文化都市として成熟させるには、都民が文化を享受するだけではなく、文化の創造を支援し、文化の担い手になることが必要だと考えます。
 アメリカでは、文化団体などの民間非営利団体への寄附が個人所得の五〇%、法人では一〇%まで所得控除になるなど、税制面では幅広い優遇がなされています。このため、多くの個人や企業が美術館やオーケストラなどに対する寄附を行っており、文化活動への支援の九〇%以上をこれらの民間支援が占めているそうです。
 しかし、我が国では、優遇対象が極めて限定されている上、所得控除や損金算入が認められる寄附の額も低く、例えば資本金百億円、年間所得十億円の企業であっても、限度額は、すべての寄附を合わせてもわずか二千五百万円にすぎません。寄附をしやすい仕組みをつくることは、文化に対する都民の機運を醸成する意味からも重要であり、都が率先して国に働きかけるべきではないかと考えるが、所見を伺いたい。
 
答弁1
 ▼生活文化局長
 文化活動への支援に対する税制面の優遇措置についてでございます。
 文化芸術を支えていくためには、行政だけではなく、企業や都民を含めた多様な取り組みがなされることが不可欠であります。ご指摘のように、芸術文化活動や文化団体に対する企業や都民の寄附について、税制上の優遇措置が拡充されることは非常に重要な課題であると認識しております。これまでも優遇の対象となる特定公益増進法人の認定要件の緩和や所得税などにおける寄附金控除額、損金算入額の引き上げなど、国に提案要求を行っておりまして、今後とも引き続き強く働きかけてまいります。
 

 
質問2
 同時に、寄附を受ける側にも寄附を集める努力が必要です。例えばニューヨーク市にあるメトロポリタン美術館では、厳しい経営の打開策として、五十名以上のディベロプメントと呼ばれる専門部署を設け、企業からの寄附や個人収集家からの美術品を集め、世界に誇れる美術館に変貌させました。
 指定管理者制度の導入を控えた都の文化施設においても、都民や企業との連携を深め、民間から資金を集めるという視点を持つべきと考えますが、所見を伺いたい。
 
答弁2
 ▼生活文化局長
 文化施設が民間から資金を集める努力についてであります。
 都立の文化施設では、企業経営者を館長に起用するなど、民間の経営感覚を生かした運営に努めております。美術館の企画展などにおいては、新聞社等との共催や企業の協賛により、直接間接に民間の資金を活用し、事業の充実を図っております。
 また、個人、法人の賛助会員などの制度を設けまして、その拡充に努めております。一例といたしまして、東京都写真美術館では、専任の職員が個別に企業を訪問しまして、加入の働きかけを行い、その会費を新進作家の発掘と育成、自主企画展の充実に充てるなど、文化施設それぞれが創意工夫を凝らした取り組みを行っております。
 今後ともご指摘の趣旨を生かし、企業や都民からより一層の支援が得られるよう努力してまいります。
 

 
質問3
 一昨日の代表質問で、我が党の比留間幹事長が文化施策について質問した際、知事は、東京都の文化施策を語る会での議論を踏まえ、今後の方針をまとめると答弁されました。
 そこで、知事に伺います。知事ご自身は、文化施策を語る会での議論にどのような期待をなされているでしょうか。
 
答弁3
 ▼知事
 東京都の文化施策を語る会についてでありますが、東京は文化芸術にかかわるさまざまな人材が集まっておりまして、日本の他の地域に比べてはるかにその後背地は大きいと思います。ゆえにも、東京からこそ、その新しい創造的な文化が生み出される大きな可能性があると思います。
 しかし、行政というのは、じかに人間の感性を育てるわけにはいきませんし、まして芸術を行政が手がけるということはあり得ることではございませんが、ただ、やはり文化芸術にかかわっての行政の責任というのは、やはり芸術家の創造の場や発信のチャンスを広げていくことだと思います。
 この文化施策を語る会では、メンバーも多岐にわたるようで、実は限られておりまして、この方々から十全の案ができると私はとても思っておりませんが、いずれにしろ、芸術家の創造活動への効果的な支援策、あるいは文化芸術を地域の活性化や観光振興に結びつける方策、あるいは既存の都立の文化施設が、時間がたてばたつほど企画そのものもマンネリ化してきますので、そういったマンネリズムを脱して、常に新しい試みをし、その役割というものを果たしていくための徹底的な議論を期待しているわけであります。
 これとは別に、廃物利用という形で順天堂の病院の裏に設けましたワンダーサイトなどは、非常に成功しまして、あそこから、普通、画商が手がけないような若い画家が画商の対象になって、今度はビエンナーレのオークションにも出るような、そういう育ち方をしておりますし、NHKもそのうち特集をするようでありますけれども、ともかく限られた世界でありますが、むしろ日本の中よりも外国のそういうコンテンポラリーのアーチストの中で、その存在が有名になっている。大変うれしい事実もございます。
 それから、先ほど質問の一部にありました、局長も答えるでしょうが、やはり教育とか文化に対する寄附というものの無税化というものをしませんと、アメリカなどはそういうことで成り立っているわけでありまして、私は、義務教育の例の国庫負担をどうこうするという問題がどうも進みそうなんで、その後の措置の一つとして、だったら全国知事会でとにかく声を上げて、一致団結して、文化とか教育に対する寄附というものの無税化を提唱したらどうだというけど、わからないのです、それが、なぜか知らぬけど。(「頑張ってください」と呼ぶ者あり)いやいや、本当にお役人出身の知事が多いせいか知りませんがね、全然反応が返ってこないというのが実情でありまして、残念でありますけれども、都は都で頑張ります。
 
■つくばエクスプレス沿線のまちづくり
 
質問1
 都民を初めとする沿線住民が待ち望んでいたつくばエクスプレスの開業が、本年八月二十四日と発表されました。まず、開業に向けた都の取り組みについて伺いたい。
 
答弁1
 ▼都市整備局長
 総合指令室職員の臨機応変な対応についてでありますが、名前が挙がりました柴沼消防士長の今回の功労に対しましては、二月二十四日、消防総監賞を授与いたしました。
 今回の事例を踏まえまして、脳梗塞などの急病により声が発せられなくなった方からの一一九番通報に適切に対応するため、直ちにマニュアルを整備してまいります。
 

 
質問2
 開業後の安定した需要確保を図っていくには、全線を通して沿線での開発などを促進し、利用者拡大を図っていく必要があると考えるが、都としての所見を伺いたい。
 
答弁2
 ▼都市整備局長
 利用者拡大に向けた取り組みについてでございますが、開業後の安定した経営を図るためには、会社の努力はもとより、沿線自治体と緊密に連携を図りながら、沿線開発などを促進し、利用者拡大に努めることが重要でございます。
 都といたしましては、住宅やまちづくり、地域開発に関するノウハウを沿線自治体に提供するとともに、沿線にある多くの観光資源についても広くPRするなどの集客対策を行ってまいります。今後とも沿線自治体などと協力し、より一層の利用者拡大に取り組んでまいります。
 

 
質問3
 これまで、私の地元足立区では、交通渋滞の中、バス等を利用して最寄りの駅まで出る必要がありました。新線整備により、区内には北千住駅のほか、青井、六町の新駅が開設され、大変便利になると沿線住民は大いに期待しているところであります。
 この新線の整備効果を最大限に発揮するには、駅の整備にあわせ、バスやタクシー等に乗りかえるためのターミナル機能を担う駅前広場の整備が重要であります。
 そこで、足立区内三駅の駅前広場の整備状況について伺いたい。
 
答弁3
 ▼都市整備局長
 駅前広場の整備についてでございますが、駅前広場は交通結節点として円滑な乗りかえ機能を担うとともに、多くの人々が集うまちの顔となる重要な施設でございます。足立区内に整備される三駅のうち、北千住駅西口では既に組合施行の市街地再開発事業によりペデストリアンデッキなどを整備し、駅前広場の機能を向上させております。また、青井駅では、都有地を活用した区施行の道路事業により、さらに六町駅では周辺地域と一体となった都施行の土地区画整理事業により、それぞれ駅前広場の整備を進めております。このように地域特性を考慮し、さまざまな事業主体と事業手法を組み合わせ、常磐新線の開業に合わせた整備に努めてまいります。
 

 
質問4
 つくばエクスプレスの起点となる秋葉原では、目前に迫ったITセンターの開設など、まちの姿が見え始めており、開業により一層にぎわいのあるまちになると期待をしております。これらの開発により変貌を遂げる秋葉原周辺の未来像について、どのように考えているのか、伺いたい。
 
答弁4
 ▼都市整備局長
 秋葉原の未来像についてでございますが、現在、土地区画整理事業に合わせて秋葉原ITセンターを初めとする民間による開発が進むとともに、この開発を起爆剤とした新たなまちづくりが周辺でも始まるなど、都市再生に向けた動きが活発化しております。
 また、常磐新線の整備により、その沿線となるつくば研究学園都市や柏の葉地区の学術・研究開発拠点と秋葉原が結ばれます。このことにより、新たな高付加価値産業の創出が期待され、内外から多くの人々が訪れる世界に誇れるIT拠点が形成されると考えております。
 
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■PCB廃棄物処理問題
 
質問1
 PCB廃棄物については、保管が長期化し、紛失、不明などの問題が懸念されていたところ、平成十三年六月にPCB特別措置法が制定されました。都は、知事の英断により、国の拠点的広域処理施設整備構想に基づき、東京臨海部に一都三県のPCB廃棄物の処理を目的とした施設整備を受け入れることとしました。施設の整備も順調に進み、本年十一月には処理が開始されると聞いておりますが、PCB処理事業においては、まず、何よりも安全に処理されることが重要であると考えます。
 十分な措置がなされているとは思いますが、PCB廃棄物の処理及び収集運搬についての安全面についてどのように対応されているのか、伺いたい。
 
答弁1
 ▼環境局長
 東京臨海部で行いますPCB廃棄物処理事業の安全面での対応についてでございますが、都は処理施設を設置運営する事業者に対しまして、安全性の高い処理方式の採用に加え、万が一の事故にも備えた二重三重の安全対策を、また、住民代表や専門家などで構成する環境安全委員会の設置などを進めさせてまいりました。
 今後、処理事業者や収集運搬業者に対しまして、収集運搬ガイドラインの遵守徹底や、運搬車両の位置が把握できるGPSシステムの採用など、安全対策に万全を期すよう指導してまいります。
 

 
質問2
 事業所が集積する都内では、PCB廃棄物を保管する事業所も多数存在しているものと考えます。これらの事業所にあるPCB廃棄物は、今後できるだけ早く、かつ適正に処理されなければなりません。
 そこで、都内のPCB廃棄物の届け出事業所数と、それらの事業所から排出されるPCB廃棄物をいつまでに処理するのか。また、円滑かつ確実な処理に向けて都はどのように対応するのか、伺いたい。
 
答弁2
 ▼環境局長
 PCB廃棄物の処理に向けた対応についてでございますが、都内のPCB廃棄物の届け出事業所数は約七千三百ございますが、国が定めた処理期限を五年間前倒しして、平成二十二年度までに処理を完了させることとしております。
 PCB廃棄物の円滑かつ確実な処理を進めていくためには、各届け出事業者の搬入希望時期を把握いたしまして、計画的に受け入れていくことが必要であります。都は、事業者に対し、早期に処理の申し込みを行うよう促すとともに、他の自治体などとも連携しながら、円滑な搬入に向けて調整を行ってまいります。

 
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■コミュニティスクール
 
 先日、日本で第一号のコミュニティスクールとなった足立区立五反野小学校の実践研究の発表会が開催され、私も区民の一人として参加をしました。本校には、保護者、住民、学校関係者らで構成され、学校の予算、経営、教育の最高意思決定機関である学校理事会が設置されております。五反野小学校では、保護者、地域の学校運営への参加の枠を超え、住民の代表みずからが学校を運営することで、家庭、学校、地域の三位一体の教育が創意工夫のもとに行われ、多くの新たな試みが実践をされております。
 公開授業の中で文部科学省の担当課長が、五反野小は日本の義務教育改革のフロントランナーであり、文科省が後追いをしている。今後も挑戦を続けてほしいとあいさつされ、会場を沸かせました。
 

 
質問1
 そこで、地域住民や保護者が学校運営に参画できるコミュニティスクール制度はどのような意義があり、都教育委員会として今後どのように取り組んでいくのか、伺いたい。
 
答弁1
 ▼教育長
 コミュニティスクール制度の意義と、この制度に対する都教育委員会の取り組みについてでございますが、ご指摘のように、足立区立五反野小学校が文部科学省の実践研究校として、開かれた学校づくりのために取り組まれたさまざまな実績が、コミュニティスクール制度に結実したものと認識をいたしております。
 コミュニティスクールに置かれます学校運営協議会は、学校運営につきまして教育委員会や校長に意見を述べること、教職員の人事に関する意見を任命権者に述べることができることとされておりまして、この制度を通じまして、地域住民や保護者が学校運営に参画することにより、そのニーズを迅速、的確に学校運営に反映させ、学校、地域、家庭が一体となった教育の実現に取り組むことができるものと考えております。
 都教育委員会としましては、保護者や地域住民の意向を適切に反映させるための効果的な実施体制や、学校運営協議会の役割と責任のあり方など、各学校の取り組みにつきまして、区市町村教育委員会への情報提供に努めてまいります。
 

 
質問2
 また、コミュニティスクールは、地域に開かれ、信頼される学校づくりの観点から、当該学校の教職員人事について直接任命権者に意見を述べられることとなりました。しかし、コミュニティスクールが望む教員の配置に関する情報がほとんどない状況となっています。
 そこで、このような制度に賛成する熱意ある教員の配置について適切に意見を述べることができるよう、都教育委員会として支援することが必要と考えますが、所見を伺いたい。
 
答弁2
 ▼教育長
 コミュニティスクールへの支援についてでございますが、ご指摘のように、学校運営協議会が法令の規程に基づきまして、教職員人事に関する意見を述べようとするに当たりまして、適切な意思形成が行えるよう、都教育委員会として十分な情報提供に努めていくことは極めて重要であると認識いたしております。
 このため、都教育委員会が学校運営協議会を置くコミュニティスクールの意向を踏まえまして、専門性や指導力等を備えた教員を公募し、これは都教育委が公募し、その結果について区市町村教育委員会を通じて情報提供を行いまして、学校運営協議会がこの情報に基づき、当該教員の任用に関して意見を述べることができるような仕組みを今後導入してまいります。
 
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■福祉改革
 
質問1
 福祉改革は、これまでの行政主導の福祉システムを改め、福祉サービスの分野に民間企業などさまざまな主体を参入させ、選択、地域、競い合いのキーワードのもとに、サービスの量の確保と質の向上へ取り組んでおり、率直に評価しております。
 例えば、介護サービスの分野では、多くの民間企業、NPOが事業者に参入し、利用者が自分でサービスを選択できるようになり、また、都市型保育ニーズにこたえるために、都が独自に創設した認証保育所も民間企業の参入が相次ぎ、三年で二百五十二カ所が開設するなど、確実にその成果は上がっております。しかし、多様な事業者の参入や福祉サービスの量の拡大を図ることは、決して市場原理に任せるままにしてはなりません。福祉サービスが対人サービスであり、利用者の特性がさまざまであることを踏まえるならば、福祉サービス市場へ事業者が参入するルールと合わせ、参入後のチェックと問題のある事業者を強制的に排除するルールをきちっと整えていくべきであると考えます。
 私は、こうしたルールづくりと、そのルールに基づいて監視していくことが、これからの行政の重要な役割の一つであると考えます。いわばレフリーとしての役割です。ちまたでは、不必要な介護サービスが提供されているとか、不正請求が後を絶たないとか、よくいわれていますが、そのような実態を放置するようなことでは、制度に対する都民の信頼が失われてしまうことは明白です。
 先般も、介護保険報酬を不正に請求する事業者に対する不正防止策に、自治体間で大きな格差があるとの新聞報道がありましたが、こうしたことは断じてあってはならないことであります。指導監督権限を持っている都では、このような介護保険の諸問題に関してどのような成果を上げてきたのか、さらには今後どのように強化していくかを伺いたい。
 
答弁1
 ▼福祉保健局長
 介護保険事業者に対します指導監督などについてでありますが、都は、介護サービス事業者の健全な事業運営に資するよう一般指導を行っております。あわせて、都民からの苦情なども受けとめ、当該事業者に対して重点的に指導した結果、今年度はそれらの約八割の事業者に対して具体的な改善を指導することができました。
 また、不正または著しい不当が疑われる場合には、特別機動班による重点的、集中的な監査を実施しており、特に悪質なものとして指定取り消しに至った事業所が三、廃業した事業所が四となっております。
 今後はより機動的かつきめ細やかな指導が実施できるよう、保険者である区市町村との連携強化に努めてまいります。
 

 
質問2
 こうしたレフリーの役割と同時に、行政に求められている役割は、福祉サービスの質を向上させるために、第三者評価や自分で契約を結ぶことができない人への契約支援など、利用者を支援する仕組みづくりを一層進めていくことであると考えます。
 これまで、都は、NPOなどの多様な評価機関を活用した都独自の福祉サービスの第三者評価制度を全国に先駆け導入してきました。都として、今後、第三者評価制度の普及定着に向け、どのような取り組みを行っていくのか、所見を伺いたい。
 
答弁2
 ▼福祉保健局長
 福祉サービス第三者評価制度についてでありますが、第三者評価は利用者の選択を助け、サービス提供事業者の質の向上に向けた取り組みを促すものとして極めて有効であり、早期に普及定着を図る必要があります。
 これまでも、都は、対象サービスの拡大に努めるとともに、サービス提供事業者向け研修会などの計画的な開催や第三者評価受審経費の補助などの取り組みを行ってまいりました。平成十七年度は、こうした取り組みに加えまして、利用者にとって評価結果がさらに活用しやすいものとなるよう、評価項目や公表画面の改善を図るとともに、第三者評価を受審した事業所には、受審したことが容易に判断できるよう受審済みステッカーを発行するなど、より一層の普及定着を図ってまいります。
 

 
質問3
 だれもが地域の中で安心して暮らせるようにするためには、契約支援などの利用者支援の仕組みも構築していくことが重要です。
 都は、来年度の重点事業として、認知症高齢者などの判断能力が不十分な方々を、さまざまな権利侵害から守る成年後見制度の活用促進事業を立ち上げるとしています。この制度は、高齢者をねらった悪徳商法や最近、社会問題化している高齢者虐待を防止する上での有効な手段です。
 私も、この制度の普及定着を図るためには、区市町村の役割が極めて重要と考えます。既に足立区を初め、品川区や調布市等多摩南部の五市では、成年後見制度の推進機関を立ち上げ、制度の普及定着に取り組んでいます。こうした取り組みを他の区市町村にも早急に広げていくために、都はさまざまな面で区市町村を強力にサポートすることが必要であると考えますが、所見を伺いたい。
 
答弁3
 ▼福祉保健局長
 成年後見制度についてでありますが、認知症や知的障害などの方々の幅広い日常生活を支える成年後見制度を普及定着させるためには、お話しのとおり、住民に身近な区市町村の取り組みが重要であります。
 こうした観点から、都では、来年度の重点事業として成年後見活用あんしん生活創造事業を創設いたしました。本事業では、区市町村における成年後見制度の推進機関の立ち上げと、その運営にかかわる財政支援を行うとともに、都みずからも関係機関と連携して、実務を担当する区市町村職員への研修や、困難事例などへの対応への助言、後見人の育成、紹介などを行い、区市町村の取り組みを総合的に支援してまいります。
 

 

 都は、これまでの行政主導の福祉の分野に民間活力という新たな風を吹き込み、福祉サービスの量の確保と質の向上を進めてきました。だれもが安心して地域の中で暮らし続けることができる、真の意味で利用者本位の福祉を実現するために、こうした福祉改革の取り組みをより一層進めることを希望し、私の質問を終わらさせていただきます。
 
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