駅舎に地下駐輪場設置を進めよ
身近な地域全体で子育て支援を |
村上英子(自民党) |
■災害対策 |
安全・安心は都政の重要課題です。昨年の国内外の地震と台風により、多くの被害が出たことはまことに悲しいことです。改めて被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げ、一日も早い生活再建をご祈念申し上げます。
新潟中越大地震発生とともに、東京都はいち早く支援態勢を組み、職員の派遣や生活物資の輸送に努力され、特に東京消防庁が誇るハイパーレスキュー隊の活躍は、瓦れきに埋もれた優太君が救出されたときの感激と感動は忘れることができません。
備えあれば憂いなし、渋谷消防団では、訓練千回・震災一瞬を合い言葉にしておりますが、今回の災害を教訓としてしっかりと受けとめるべきと考えます。
我が党の川井議員からの質問にもありましたが、ハイパーレスキュー隊の増強、強化に対し、白谷消防総監よりご同意を得たことは大変うれしく思います。
質問1
昨年十月二十三日の新潟中越地震の死者四十人という被害は記憶に新しいところです。そこで、災害が発生した十月二十三日を防災点検の日にするなどにより、都民がこの災害を長く記憶にとどめ、新潟中越地震の被害や教訓を風化させない取り組みが必要であると考えますが、今後、都としてどのような方策を講じていくのか、お伺いをいたします。
答弁1
▼総務局長
新潟県中越地震を風化させないための方策についてでございますが、都は、地震発生後、直ちにさまざまな人的、物的支援を実施いたしますとともに、現地に十二月に調査団を派遣し、これらにつきまして、間もなく報告書をまとめる予定でございます。今月中に、新潟県へ支援で派遣した職員による報告会も予定しております。
この支援、調査で得られた教訓につきましては、過去の大地震と同様、地域防災計画や防災訓練など、都の震災対策に生かしてまいります。
今後、都民の皆さんを対象といたします講演会などでも取り上げ、地震の被害や教訓を風化させないよう努めてまいります。
質問2
スマトラ地震に見られるように、地震により津波が発生し、不幸にも、海岸などでサーファーや釣り人、観光客などが被害に遭い、数カ月たっても行方がわからない事態が起こることも予想されます。このような場合、行方不明者の捜索は警察、法律上の宣告は裁判所、住民関係の事務は行政で行うなど、事務手続が煩雑で、被害者の家族にとって負担が大きく、わかりにくいのが実情です。
サーファーや釣り人など、観光客が津波被害に遭わないためにも、島しょでの津波対策を今後どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
答弁2
▼総務局長
島しょの津波対策についてでございますが、津波から身を守るには、地震発生後、速やかに水辺から避難することが重要でございます。今回都が作成いたしました津波浸水予測調査報告書をもとに、既に島しょ町村や関係機関との津波対策連絡会議を開催いたしました。
津波対策は平成十七年度の重点事業でございまして、今後、大規模地震によります津波災害に備えまして、島しょの町村が実施いたします避難階段や避難誘導用の看板などの施設整備、ハザードマップを作成するための技術指導など、必要な支援を行ってまいります。
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■まちづくり |
人がまちをつくり、まちが活気を呼ぶといわれるように、安全・安心、元気できれいなまちづくりは、そこに住む人、働く人、学ぶ人など、英知とエネルギーを結集した協働型まちづくりが必要と考えます。
政府は、経済効果と地域の活性化を考えて、税制、金融などを中心とした都市再生についての特別措置法を制定いたしました。
渋谷駅を中心とした地域は、JRを初め私鉄四路線の始発駅ターミナルに加え、バスの発着所を結んだ文化商業都市でもあります。このときに当たり、地下鉄十三号線が、平成十九年度完成を目指し、池袋─渋谷間八・九キロの工事が進行中であります。そして、東急東横線も、正式に、国土交通省認可のもと、この十三号線と相互乗り入れをし、横浜へと運行することになりました。まさに渋谷駅を中心として、都民のために大きく飛躍、発展することが約束されております。
ところで、政府から都市再生に関する指定を受けるためには、地元、区の努力はもとより、何よりも東京都の支援が不可欠と考えます。私は、さきの定例会の一般質問でも、強く指定方のお願いを申し上げてまいりましたけれども、再度強く重ねてお願いをするところでございます。
質問1
放置自転車については、駅前周辺が多く、地元自治体は困惑しております。このことについて、東京メトロ十三号線工事を行っている駅舎に地下駐輪場の設置を進めるべきと思いますが、都としてどのように支援をしていくのか、お答えください。
答弁1 ▼都市整備局長
地下駐輪場設置に対する都の支援についてでございますが、地下鉄駅舎工事にあわせた地下駐輪場は、単独で設置する場合に比べ、事業費が大幅に縮減されるとともに、土地の有効利用が図られます。
これまでも、大江戸線、半蔵門線などの地下鉄工事に際して、地元区が駐輪場の設置、管理を行い、都はその支援を行うことで、駐輪場の整備を進めてまいりました。
都といたしましては、地下鉄十三号線工事にあわせた駐輪場の設置についても、設置主体である地元区の意向を把握した上で、技術的支援や国費の導入、鉄道事業者との調整など、必要な支援を行ってまいります。
質問2
建築の高さ制限に関しての質問であります。
東京都の環境保護条例、そして景観条例は、生活文化の向上にはすばらしい成果を上げているところであります。
ところで、周辺住民とともに、すべての関係地権者の同意による地域の建築に関する協定で、高さ制限を加えることが法律上可能とされております。また、既に表参道の両沿道は、同意をもってみずからの私有財産に規制を加え、高さを三十メートルまでとする地区計画を定め、地域の環境と緑の保護を達成しているところです。
今、各地で、教育施設周辺の高層ビル建築をめぐり、建築主と住民との紛争が後を絶たず、地域の環境とコミュニティが破壊されてしまっております。そこで、教育、文化の環境を守るための地域ルールが考えられないか、お伺いをいたします。
答弁2
▼都市整備局長
教育施設の周辺環境を守る地域ルールについてでございますが、教育施設周辺での環境を守っていくには、教育や環境面に配慮した地域のルールを定め、まちづくりを進めていくことが重要だと思います。
こうしたまちづくりに当たっては、ご指摘の建築協定のほか、区市町村が主体となり、地域住民の理解を得ながら、建物の高さの限度を定める高度地区や、地区計画などの都市計画制度を有効に活用することが考えられます。
都は、よりよい地域づくりという観点から、今後とも、区市町村が主体となって進めるまちづくりに技術的支援を行ってまいります。
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■ハト対策 |
質問1
環境問題でもあるハト、ドバト対策について伺います。
カラス対策に続いて、都がハト対策に乗り出したことは時宜を得た取り組みだと思います。今回いろいろとお伺いする中で驚いたことは、ハトの被害の中に、建物などの汚損のほかに、ふんによる健康被害もあるとの指摘があったことでした。
これまで、ハトの被害がこのような形で取り上げられることは少なかったと思いますが、ハトの被害に関する都民からの苦情や相談にはどのような傾向があるのか、また、今回の取り組みについてどのような反響があったのか、お伺いをいたします。
答弁1 ▼環境局長
ハト被害に関する都民からの苦情相談や都の対策への反響についてでございますが、都に対しまして、今年度は既に約八百件の苦情や相談が寄せられており、特に、対策を発表いたしましたこの一月から苦情や相談が激増しているという状況にございます。
その内容は、洗濯物の汚れや建物の汚損などに関するものが多いというのが実情でございますが、ベランダ等に堆積したふんによりまして健康被害を訴えるものもございます。このほか、ハトにえさを与えている人に対して注意をしてほしいとの声も多数届いており、都が開始したハト対策に対する都民の反響といたしましては、大多数が積極的な対策を求めるものでございました。
質問2
都は、ハト・ドバト公害防止対策にえさやり防止を挙げ、上野公園でえさやり防止キャンペーンを開始いたしました。今後、この対策の効果を検証し、全都的な取り組みに拡大することを考えていると聞いております。こうしたことを踏まえ、今後、区市町村との連携をどのように進めようとしているのか、お伺いをいたします。
答弁2
▼環境局長
区市町村等との連携についてでございますが、ハト被害は地域に密着した問題でございまして、効果的な対策を進めるためには、都民の身近な地域での取り組みが必要と考えております。
このため、区市町村に対して、ハト被害の現状や対策のノウハウ等に関する情報提供を行い、独自の取り組みが進むよう働きかけているところでございます。
また、都内の小中学校に対しましては、ポスターを配布するなど普及啓発を進めており、今後、区市町村、関係団体等と連携して、ハト対策が全都的な取り組みとなるよう努めてまいります。
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■教育改革 |
質問1
中高一貫教育についてですが、現在渋谷区では、都立広尾高校と区立広尾中学校の間で連携教育を実施しており、立地の面でも、かつて東京水産試験場の広大な土地を区分した敷地であり、フェンスで仕切られた隣接校という恵まれた環境で、着実に実績を上げております。
こうした区立中学校との連携型中高一貫教育の取り組みを広く保護者に理解していただくため、例えば、連携する区立広尾中学校から都立広尾高校へ一定程度の推薦枠を設定するなど、都教委としての支援をすべきと考えますが、いかがでしょうか。
答弁1 ▼教育長
連携型中高一貫教育校についてでございますが、都立高校と公立中学校によります連携型中高一貫教育校は、都立高校の教育目標に沿った連携校からの一定程度の生徒の受け入れを前提としておりまして、教員の生徒理解や教科指導等の指導力向上などによります学校の活性化や、中学生の高校進学への目的意識の形成などをねらいとしております。
お話の区立広尾中学校から都立広尾高校への生徒の受け入れにつきましては、連携後初めて中学卒業生の出ます平成十八年度までに具体的に検討してまいります。
質問2
平成十八年度には千代田区立九段中等教育学校が開設いたします。千代田区のこの取り組みは、千代田区のみならず、都内の公立小中学校全体の活性化につながるものと期待しております。都教委はどのように認識されているのか、また、都全体から生徒を受け入れるこの学校の開校に向けての支援策について、教育長のご見解を伺います。
答弁2
▼教育長
千代田区立九段中等教育学校の設置に係る認識と支援策についてでございます。
新たな中等教育学校の設置を通しまして、公立学校が互いに刺激を受け合い、切磋琢磨していきますことは、地域住民から信頼される学校づくりの上で重要なことでございまして、広く公教育の充実発展につながるものと認識いたしております。
都教育委員会としましては、千代田区教育委員会からの要望に基づきまして、入学者の公募から決定に至る手続のノウハウであるとか、あるいは教員の研修、PR活動につきましてアドバイスを行うなど、積極的に支援してまいります。
質問3
障害のある生徒の部活動活性化についてお伺いをいたします。
折しも、ただいま長野県で、スペシャルオリンピックスとして世界じゅうの知的障害者が集まっての競技が行われており、国際交流が図られ、日本選手も大活躍をしております。
そこで、先日、東京都の知的障害養護学校の生徒によるサッカーの試合を見て、非常に感激をしたところでございます。青少年が一つのことに夢中になり、取り組む姿はすばらしいものだと考えます。このような取り組みなどについて、ぜひ多くの人に理解をしてもらうことが必要であり、知的障害養護学校を初め、障害のある生徒の部活動の活性化を図り、こうした活動を保護者や都民に積極的にPRする必要があると思いますが、ご所見を伺います。
答弁3
▼教育長
障害のある生徒の部活動についてでございますが、学校における部活動は、生徒の個性、能力の伸長を図りますとともに、豊かな人間関係や、生涯にわたり文化、スポーツに親しむ態度を育成する有意義な教育活動でございます。
現在、盲・ろう・養護学校等におきましては、生徒の障害の程度や発達段階を踏まえまして、文化、スポーツの部活動が積極的に行われておりますし、こうした活動の成果を保護者や都民に発表する場としまして、総合体育大会や総合文化祭等が開催されております。
都教育委員会としましては、今年度設置をしました部活動基本問題検討委員会におきまして、障害のある生徒を含め、公立学校における部活動のあり方や活性化のための方策について検討を行っておりますが、お話の部活動の状況を広く都民の皆様に伝えることは重要なことでございますので、広報活動も含めた部活動の総合的な振興策を策定しまして実施をしてまいります。
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■少子化対策 |
東京では、合計特殊出生率がとうとう一割を割り込む事態となりました。少子化の要因としてはさまざまなものがありますが、その一つとして、子育てに対する負担感の増大が挙げられています。在宅の夫婦だけで子どもを育てる場合は、夫が会社に行っている日中は子どもと二人で、時には不安を抱えたまま、気分転換を図ることも買い物に行くことさえままならないのです。
そこでお伺いをいたします。
質問1
こうした子育てに奮闘している若い親たちの孤立感、不安感を取り除くため、親子が気軽に集える子育てひろばや、親の急な病気などに対応できる一時保育などの在宅サービスを一層充実させ、身近な地域全体で温かく支援していくことが必要と考えますが、ご所見を伺います。
答弁1 ▼福祉保健局長
子育て家庭への支援についてでありますが、地域で安心して子どもを産み育てられ、子育ての喜びを実感できる社会の実現のためにも、子育て家庭への支援策を充実することが重要であります。
都はこれまで、在宅で子育てをしている孤立しがちな親などが交流できる子育てひろばの設置や、親の病気や育児疲れなどの際に利用できますショートステイや一時保育などのさまざまな在宅サービスの拡充を図ってまいりました。
今後とも、身近な地域での子育て支援策がより一層充実されるよう、区市町村を積極的に支援してまいります。
質問2
次世代育成緊急対策総合補助制度について伺います。
我が党の要請を受け創設したこの制度には、都民から大きな期待が寄せられております。この補助制度で、これまでの懸案であった子育て支援の基盤整備が着実に進み、地域住民からも大いに喜ばれるものとなるよう、区市町村の意向を十分に踏まえ、使いやすい制度とすべきと考えますが、ご所見を伺います。
答弁2
▼福祉保健局長
次世代育成緊急対策総合補助制度についてでありますが、この補助制度は、次代を担う子どもたちの健全育成を目指し、地域の総力を挙げた取り組みを醸成するための緊急対策として都独自に創設をいたしました。
補助の内容は、学童クラブなどの子ども施設の安全対策や、ショートステイなどの各種在宅サービス実施のための設備整備費など、区市町村が行う子育て環境整備を幅広く支援していくものであります。
今後、身近な地域での子育て環境の整備に向けまして、お話のように、区市町村の意向を十分に踏まえながら、本制度がより使いやすいものとなるよう適切に対処してまいります。
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■介護保険制度改革 |
質問1
現在国会で審議されている改正法案の中で私が注目いたしますのは、軽度の方への給付の見直しです。ヘルパーを家政婦がわりに使うなどの例はもちろん論外です。しかし、要支援、要介護一の方の中には、ひとり暮らしや外出が困難な方など、ヘルパーの手助けがないと日常生活もままならない方もいらっしゃいます。こうした軽度の方に対する最低限の介護や生活支援が切り捨てられるとすれば大いに問題ですが、都はどのように考えているのか、ご所見を伺います。
答弁1 ▼福祉保健局長
介護保険制度改革における給付の見直しについてでありますが、要支援などの軽度の要介護者が大幅に増加している状況を踏まえますと、介護予防重視の観点から、こうした方々に対する給付のあり方を見直すことは必要と認識しております。
要介護状態が軽度であっても、生活援助のニーズを有している場合があることから、都は、こうしたニーズに適切に対応した給付内容となるよう、昨年の四月、そして本年一月の二回にわたりまして、国に対し提案をしてまいりました。
引き続き、ご指摘の点も含めまして、よりよい制度改革が実現されるよう、国に対し働きかけてまいります。
質問2
今回の制度改革では、要介護にならないための予防が重要視されています。私は、これからの超高齢化社会においては、都民一人一人が自覚を持って、主体的に介護予防に取り組むことが大変重要だと考えております。
そこで、介護予防に対する知事のご所見を伺います。
答弁2
▼知事
介護予防についてでありますが、ある哲学者のアフォリズム、箴言に、人間はだれしも必ず死ぬ、しかし、自分が死ぬということを信じている人間は一人もいないというのがありました。同じように、人はだれしも必ず年をとり、老いていくわけでありまして、これを拒否することのできる人間はいないと思います。
みずからの老いについて自覚を持つことにより、人生の成熟の時代をより一層充実させることができると思います。つまり、転ばぬ先のつえということでしょうか。
老いても自分らしく生きることを実現するための有効な手だての一つが介護予防だと思います。みずからの心身を鍛え続けるならば、健康な生活を維持し、また取り戻すことも可能だと思います。一人でも多くの都民が、日常生活の中にトレーニングやバランスのいい食事などを取り入れながら、老いを前向きに迎えていただきたいものだと思っております。
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■旧知事公館の活用 |
質問1
昨日、三月二日、「動揺する思春期の子ども」と題する講座が渋谷区の旧知事公館で開催されたようですが、施設の規模も小さく、大規模な講演会などを開催するのは無理にしても、貴重な都民共有の施設として、このような講座の開催に活用するのは大変有意義なことだと思います。
本日、私は、震災対策、治安対策、環境問題、まちづくり、福祉保健、教育改革などについて質問をさせていただきましたが、このような都政の重要課題に対する講座などにも旧知事公館を有効に活用することを考えてみたらよいと思います。
今後の知事公館の活用方についてご所見を伺い、私の質問を終わります。
答弁1
▼財務局長
旧知事公館の活用についてでございますが、これまで、公共的な目的で使用することを基本に、応接室や会議室を配置している建物の構造や室内仕様、立地など、施設の特性を生かす方向で検討を進めてきたところでございます。
その結果、今回、建物の一部を利用しまして、都政の重要課題をテーマに都民を対象とする研修、講習、交流の場として、都が暫定的に使用することとしたところでございます。
こうした利用趣旨に沿いまして、ご指摘のあった点などを検討しながら有効に活用してまいります。
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