平成17年第1回定例会 一般質問

平成17年3月2日(水)

中小企業に実効ある支援施策を
蒲蒲線整備のために都の取組を

松原 忠義(自民党)
■産業振興
 
質問1
 最初に、技能検定場について質問をいたします。
 私は、日ごろから、職人の技能というものの大切さを痛感しています。製造業の分野だけでなく、一千万都民の住環境を支える建築業においても、職人の技能は重要なものであります。家一軒建てるにしても、大工、左官、内装仕上げなど職人のわざを結集しなければ、質の高い住宅は望むべくもありません。
 高齢化や後継者不足が進む中、職人の技能が失われていくことは、都内産業全体の衰退にもつながりかねないと思っております。
 製造業や建築業における熟練技能を客観的に評価する仕組みとして、技能検定制度があります。この制度は、製造業や建築業に必要不可欠な技能の継承、維持向上を図る上で大変重要な仕組みであると考えますが、都の認識について伺います。
 この技能検定の実施に当たっては、都内に適当な施設が少なく、不便を強いられたり、他県にある施設を利用せざるを得ない職種もあると聞いております。このため、東京都管工事工業協同組合を初め、都内三十九の業界団体から、技能検定場建設の請願が提出され、平成十四年の第二回定例会で趣旨採択されたところであります。
 これまで都においては、さまざまな検討が行われてきたことと思いますが、請願の趣旨を踏まえて、技能検定施設を早急に整備すべきと考えますが、その対応とあわせて、整備するに当たっては、技能検定の会場として使うだけでなく、さまざまな活用ができる施設にするべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 
答弁1
 ▼産業労働局長
 技能検定制度に対する認識でございますが、本制度は、一定の基準により技能を評価する国家検定制度であり、働く人たちの技能習得の意欲を増進させるとともに、技能に対する社会一般の評価を高めることにより、技能水準や技能者の地位の向上を図るものでございます。
 熟練技能を次世代に伝えていくことは、東京の産業基盤の維持強化を図るために大切なことであり、技能検定はそのための重要な役割を担っていると認識しております。
 次に、技能検定施設の整備についてでございますが、来年度、都立府中技術専門校において、実習場などの既存の施設を技能検定施設として活用できるよう整備してまいります。
 また、本施設については、技能検定の実技試験会場として利用することに加え、さまざまな業界団体、企業が行う技能の研修、実習会場とするなど、人材開発の拠点として有効に活用してまいります。
 

 
質問2
 東京都では、戸建て住宅の三割価格引き下げの実証実験に取り組んでいるところであります。この実証実験では、合理的な生産システムを使って住宅を建設するとしているとのことですが、都内の中小工務店からは、どのようにしたら安くて質のよい住宅がつくれるのか、とても強い関心が寄せられています。
 今後、どのようにして合理的な生産システムについて普及をしていくのか、対応についてお伺いいたします。
 
答弁2
 ▼都市整備局長
 合理的な住宅生産システムの普及についてでございますが、戸建て住宅価格三割引き下げの実証実験で得られた成果を、中小工務店などに普及していくことは重要でございます。
 実証実験では、合理的な生産システムを用いて百戸の住宅建設を行いますが、都は、この成果を生かして、設計の標準化、資材流通経路の短縮、さらには手戻りのない工程管理など、安くて質の良い住宅をつくる方法を明確にし、生産システム合理化の指針を策定してまいります。
 この指針につきましては、ホームページで公開するとともに、中小工務店などに対する講習会を開催し、広く一般に普及いたします。こうした取り組みによりまして、大手メーカーも含めた価格競争は活発化し、戸建て住宅市場の構造改革を進めてまいります。
 

 
質問3
 次に、ものづくり産業の振興について伺います。
 企業が国際競争力を高めるには、最先端技術の活用が有用であり、中でもナノテクノロジーは技術の汎用性が高く、加工技術を行う上で活用が大いに期待される分野であります。
 私も先日、ナノテクセンターの開設式典へ行ってまいりましたが、先端技術への支援と同時に、忘れてならないのは基盤技術への支援であります。企業にとって技術トレンドへの早期対応は至上命令であり、技術支援には弾力的でスピーディーな対応が求められています。その意味で、産業技術研究所の地方独立行政法人化は、まことに時宜にかなったものと認識しております。
 そこで、産業技術研究所が地方独立行政法人になることにより何が変わるのか、とりわけ、中小企業の技術支援にどのような改革を期待できるのか、お伺いをいたします。
 地方公設試験研究機関の独立行政法人化は、我が国初の取り組みであり、さきの第三回定例会でも我が会派が指摘したように、施設等のハード面の整備も含め、全国の範たる立派な法人づくりに努めていただきたいと思います。
 
答弁3
 ▼産業労働局長
 産業技術研究所の独立行政法人化についてでございますが、地方独立行政法人化により、透明で自律的、弾力的な運営を行い、適切な事業評価と見直しを通じて、業務の効率性や質の向上を図ってまいります。具体的には、技術課題へのスピーディーかつ柔軟な対応、企業会計の導入による機動的、効率的な運営、産業構造の変化に即応できる人材の確保などを図り、必要なサービスを提供できるよう準備を進めてまいります。
 また、今後、産業支援システムの再整備について検討を進めてまいりますが、その中で、産業技術研究所の技術支援機能の整備を図ってまいります。
 

 
質問4
 ものづくりの中小企業が地域の中でこれからも発展していくためには、技術や技能を磨き、オンリーワン企業になっていくか、グループを形成して互いの経営資源を補い合いながら、新しいビジネスを開拓するなどの取り組みが必要となっています。
 昨年の中小企業振興対策審議会答申では、今後のものづくりの集積施策として、企業間の柔軟で機動的なネットワークを構築し、個々の企業の力と集積の力を結びつけて伸ばしていくことが重要と指摘しています。
 こうした指摘を踏まえ、都は来年度、どのようにものづくりの産業集積施策を展開していくのか、お伺いいたします。
 
答弁4
 ▼産業労働局長
 ものづくり産業の振興についてでございますが、近年、都内のものづくり産業では、中小企業が連携し、多様な経営資源を生かして事業展開を図ろうとするグループが生まれております。このような企業間連携の動きを活発化させるため、都は来年度、高付加価値製品の開発や幅広い受注等を目的として共同事業に取り組む中小企業グループに対し、経営と技術の両面にわたる総合的な支援を開始いたします。
 こうしたグループへの支援を通じて、中小企業によるネットワークを活用した新事業や新分野への展開を促進し、地域に元気な中小企業群を創出してまいります。
 

 
質問5
 次に、再生支援についてお伺いいたします。
 中小企業の中には、再生の見込みがありながら、倒産の危機に直面している企業も数多くあり、このままでは技術やノウハウ、人材などの貴重な経営資源が失われてしまうおそれがあります。都は来年度、中小企業の再生支援に取り組むこととしていますが、その基本的な考え方及び施策の概要をお尋ねいたします。
 事業実施に当たっては、再生に取り組む中小企業を金融面から支援するため、四月以降に営業を開始する新銀行東京と連携すべきと考えますが、所見を伺います。
 
答弁5
 ▼産業労働局長
 中小企業の再生支援についてでございますが、多くの中小企業が、すぐれた技術や人材を持ちながらも、過剰債務や後継者問題を抱えるなど、中小企業を取り巻く環境は依然として厳しい状況が続いております。
 都は、より多くの中小企業が早期に事業再生や事業承継等に取り組めるよう、来年度より中小企業リバイバル支援事業を実施いたします。
 本事業では、公認会計士等の専門家を配置し、個々の企業に適した対応策を提示いたします。さらに、販路開拓や再生ファンドなど、都の支援施策を総合的に活用し、中小企業がみずから取り組む事業再生等を支援してまいります。
 次に、新銀行東京との連携についてでございますが、事業再生に当たりましては、既往債務に係る返済条件の緩和、新たな資金調達等に向けて、金融機関等との連携が不可欠でございます。
 新銀行は、ポートフォリオ型融資を中心に、既存金融機関が十分提供できていないリスクの高い分野への資金供給や、地域金融機関の中小企業向け融資に対する保証等を一定の条件のもとに行うこととしております。
 リバイバル支援事業の実施に当たっては、こうした新銀行の取り組みとも連携し、中小企業の事業再生等を支援してまいります。
 

 
質問6
 次に、商店街の振興について伺います。
 商店街が大型店との厳しい競争の中で、商店街が生き残っていくためには、社会経済の変化を的確にとらえ、効果的な対応策をとっていくことが不可欠であります。そのために、商店街は、商圏や消費者の購買動向、住民構成、みずからの強みと弱みなどを調査し、その上で、今後どのようなコンセプトを持って商店街活動をしていくのか、戦略を立てることが必要であります。
 そこで、都は、商店街ごとに特色ある活性化戦略やプランが立てられるように支援すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 
答弁6
 ▼産業労働局長
 商店街の活性化計画への支援についてでございますが、商店街が消費者ニーズや地域の実情などを十分に把握して、今後の商店街活動に向けた計画策定を行うことは、商店街の活性化を図る上で有意義でございます。このため、新・元気を出せ商店街事業において活性化計画策定を支援しており、商店街では、コミュニティ施設を活用したにぎわいづくりや、統一景観によるイメージアップなど、地域特性を生かした計画を策定しております。
 都は、今後とも、商店街が効果的な活性化計画を策定できるよう、地域ニーズや先進地の調査等の経費を補助するとともに、必要に応じて専門家を派遣するなど、積極的に支援をしてまいります。
 
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■新銀行
 
質問1
 いよいよ四月一日より業務を開始するわけですが、新銀行は、地域経済を支える中小企業に対する円滑な資金供給を最大の目的としています。そのためには、さまざまなネットワークを活用して、中小企業が融資を受けやすい仕組みを整えることが必要であります。既に発表された商工会議所等の公的団体や提携企業との連携にとどまることなく、地域の中小企業の多くが所属し、相互に支援するなど、さまざまな役割を果たしている各業界の事業協同組合との連携についても積極的に進めるべきと考えますが、所見をお伺いいたします。
 
答弁1
 ▼新銀行設立本部長
 地域の業界団体等との提携についてでございますが、新銀行は、さまざまな分野で企業や団体等と幅広く連携することとしており、例えば融資先の紹介などについても、四月の開業時までに、十一の企業・団体と具体的な業務提携を行う予定でございます。
 さらに、中小企業融資をより一層効果的に行うためには、ご指摘のように、地域において企業の経営実態や技術力等について精通している事業協同組合等の団体と連携し、その貴重な情報等を十分活用することが極めて重要であると考えております。
 このため、新銀行東京では現在、各種の業種別事業協同組合等から意見聴取を行っており、今後、多数の会員を擁し、意欲と実績のある団体と、業務提携に向けた具体的な協議を進めてまいります。
 

 
質問2
 新銀行が中小企業支援の実効性をより高めるためには、資金面での支援のほか、中小企業経営者が自社の財務状況等を正しく認識し、経営の安定化を図るための知識や、新たな事業展開を推進するために必要な情報等を得ることが可能になるような仕組みを設けるなど、多面的な支援を行うことが重要と考えますが、所見をお伺いいたします。
 
答弁2
 ▼新銀行設立本部長
 中小企業に対する多面的な支援の実施についてでございますが、新銀行東京では、融資だけでなく、提携企業や団体等の専門的能力を十分生かし、セミナー等の啓発事業などに積極的に取り組むことで、中小企業の総合的な支援を行っていくこととしております。
 具体的には、技術力・将来性等重視型融資において、融資の承認を受けた企業に認定書を交付することで会員とし、中小企業診断士や税理士等の専門家による経営、財務のコンサルティングやセミナーなどを受けられるようにいたします。
 また、中小企業振興公社のワンストップ総合相談事業など、都のさまざまな中小企業支援策とも十分連携を図りながら、多面的な支援の充実に努めてまいります。

 
■羽田空港と東京港
 
質問1
 羽田空港の一層の活用に大きな影響のある在日米軍の再編問題と横田空域の返還問題について伺います。
 在日米軍の再編については、これまで日米両国の間で協議が進められております。報道によりますと、米国・ワシントン州にある陸軍第一軍団司令部のキャンプ座間への移転、グアムと横田の空軍司令部の統合、自衛隊と米軍による基地の共同利用などについて話し合いが行われているとされています。
 先月、外務・防衛閣僚による日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2が開催され、在日米軍の再編に関し、今後数カ月間の間、集中的な協議を行うことが合意されました。
 横田基地については、府中の航空自衛隊航空総隊司令部を移駐させ、基地の管理権を自衛隊に移し、米軍と共同使用することや、知事の提唱してきた軍民共用化について、協議が進められるとされています。
 基地の問題は、国防をつかさどる国の問題であるだけではなく、基地を有する自治体にも密接にかかわる問題でもあり、都としても在日米軍の再編協議の行方を注視していることと思います。
 在日米軍の再編は、知事の提唱してきた横田基地の軍民共用化のあり方にも大きく影響すると考えますが、知事はどのように認識しているのか、お伺いをいたします。
 
答弁1
 ▼知事
 在日米軍の再編についてでありますが、この一年間、トランスフォーメーションという、いってみれば米軍の編成の合理化というもののあおりで、日米協議が持たれてきたわけですけれども、どうも日本側はアメリカ側の動きに対していつもいつも受け身で、国家の存立の基盤となる安全保障問題についても、主体的な意思表示を欠くという姿勢しか見られない感じが否めません。
 本来、我が国は、日米安保体制の中で、米軍にとっては不可欠な戦略上の基地を提供しているのであります。つまり、米軍の世界戦略のハワイ以西、ケープタウンまで、しかも、ニュージーランド、オーストラリアを含める南半球をカバーするためには、日本の戦略基地が不可欠なんでありますから、そういうアメリカにとっての意味合いというものもちゃんと踏まえて、堂々と日本側の主張をしたらいいのに、どうもそういう姿勢が見られませんで、やきもきしている感じです。
 平時における横田の軍事的な比重は、当然、明らかに低下しておりまして、これが一番使われたのはベトナム戦争のときで、一番多く搬入された物資は死体です。あそこで日本の医学生を使って死体を接ぎ直して棺に入れて送り戻したと。それ以後、ほとんど使われていないわけであります。
 この機をとらえて米側の軍民共用化の実現を迫ることは、我が国の、特に航空路という国力を象徴する文明工学的にも自明な要因というものを充足するためにも、当然のことだと思います。
 いろいろ紆余曲折がございましたけれども、軍民共用化は、先日開催されました日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2で具体的な協議が行われる段階になりました。
 これは注目しなくちゃいけないのは、今までは2プラス1だったんです。残念ながら、日本の防衛庁はいまだに防衛省になり得ず、内閣の官房下にあるものですから、外国との交渉権というものを持っているようで持っていないんで、結局全部、日本の基地に関する交渉というのは外務省を経ませんと進まなかったんですが、今度、アメリカ側もやきもきして、どうも話が遅いということで、既に小泉・ブッシュ会談で横田の問題が俎上になりまして、アメリカも非常に動きが速くて、国務省マターだったものが、すぐ国防省マターになりまして、向こうの司令官からも東京の知事に対していろいろ申し込みがあったんですけれども、今度ようやく、日本の国防省、つまり、防衛庁を入れて、二対二の会議になったということは、非常に好ましいことだと思います。
 そこで、防衛庁が防衛庁の、要するに、主張をする。どうも今まで、外務省が取り次ぐアメリカ側の反応を見ますと、全部紆余曲折がありまして、アメリカ側の当事者のいうことと随分食い違っている点がありましたが、今度はそれが幾らか是正されていくと思います。
 これまでの、ややむだな時間を浪費したわけでありますから、今後は一刻も早く軍民共用化の実現を図ることが国の責務だと思いますし、都は、国に対して一層強く働きかけていくつもりでおります。
 

 
質問2
 米軍再編の論議がなされる中、忘れてならないものとして、横田空域問題があります。
 横田空域は、東京都を初めとした一都八県に及び、高いところでは約七千メートルもの高さに及び、富士山をも覆う広大な空域であります。この空域の航空管制は米軍が管理しており、民間航空機はこの空域を避けて飛行するため、不自然な飛行を余儀なくされているとともに、航空路が過密化するなど、我が国の航空ネットワークの運用上、大きな支障となっています。
 そのような中、平成二十一年末には、再拡張事業により、羽田空港に四本目の滑走路が完成し、空港容量が一・四倍に増加します。
 こうした状況を踏まえれば、横田空域の返還を早期に実現すべきと考えますが、知事の基本的な取り組み姿勢についてお伺いいたします。
 
答弁2
 ▼知事
 何であろうととにかく、あの広大な空域の管制権を取り戻す、これは全くおっしゃるとおりでありまして、あそこに何台飛行機を飛ばすか飛ばさないかの前に、自衛隊の一部があそこに移っても、主に通信業務だと思いますけれども、あそこを管理することで、管制は、要するに、日米共同といいますか、実質的に自衛隊が行うことになるでありましょう。それは大変結構なことで、ということは、すなわち、自衛隊の航空管制のもとに、三沢もそうでありますし、これは日本の飛行機があの広大な空域を自由に飛べるということになるはずであります。
 さらに、あの滑走路が使えるようになりますと、多くのメリットが見込まれるわけで、このため、都はこれまでも、国に対して、ともかく空域の早期返還について早く話せということをいってまいりましたが、やっと事が動き出したような感じがいたします。
 これからも、機会あるごとに、その実現を強く要求していくつもりであります。
 

 
質問3
 東急多摩川線と京急空港線を短絡する路線、通称蒲蒲線について伺いたいと思います。
 短絡線の整備などを目的とした都市鉄道等利便増進法案が今国会において審議されております。国の来年度予算においては、横浜市内での相鉄線とJR線とを短絡する路線が候補となっているようですが、蒲蒲線についてもこの制度を活用して整備すべきと思います。
 現在、地元の大田区では、本路線の具体化に向けて五千万円の調査費を計上し、調査を実施しているところであります。
 羽田空港の再拡張や国際化を踏まえ、国際都市の玄関口としてふさわしい基盤整備を積極的に取り組むべきと考えます。そこで、本路線の整備に関する都としての取り組みについて所見をお伺いいたします。
 
答弁3
 ▼都市整備局長
 東急多摩川線と京急空港線とを接続する路線、いわゆる蒲蒲線についてでございますが、本路線は、運輸政策審議会答申第十八号において、鉄道整備にかかわる熟度、投資能力などの解決すべき基本的な課題があり、開業時期は特定できないが、平成二十七年までに整備着手することが適当である路線として位置づけられております。
 これを受け、地元大田区は、本路線の実現に向け、調査を実施していると聞いております。
 都といたしましては、事業採算性のほか、空港アクセス機能としての必要性、東急線と京急線の線路幅が異なることなど、解決すべき課題があると認識いたしております。
 こうしたことから、これらの課題も踏まえながら、必要な対応を図ってまいります。
 

 
質問4
 運河ルネッサンスの推進についてお伺いします。
 平成十七年度の重点事業に、東京の水辺空間の魅力向上に関する全体構想の策定が位置づけられています。その取り組みの一つ、運河ルネッサンスは、運河を舞台にして地域特性に応じたにぎわいづくりを行う新しい取り組みであります。そこで、都は、どのような仕組みにより運河ルネッサンスを推進していくのか、所見を伺います。
 次に、水辺空間の魅力向上のためには、都民が運河の魅力を実感できる新たな試みが必要であると考えます。例えば、水上レストランなどは運河のイメージを一新し、運河ルネッサンスの取り組みとしてふさわしいものであります。そこで、水上レストランなどの新たな水域利用について、具体的にはどのように実現していくのか、所見を伺います。
 ところで、大田区には十キロを超える運河が存在し、平和島運河の大森ふるさとの浜辺や城南島の公園、大田市場など、ポテンシャルを秘めた観光スポットが点在しております。さらに、首都圏の玄関である羽田空港は、国際化に向け、その重要性が一層増してきています。
 こうした観光スポットや空港を観覧船で相互に結ぶことにより、面的な広がりが期待されます。さらに、臨海副都心など他の魅力ある地区とも連携することで、水辺の魅力が一層向上するものと考えます。
 そこで、東京港の運河全域における運河ルネッサンスの今後の展開について、所見をお伺いいたします。
 
答弁4
 ▼港湾局長
 運河ルネッサンスの推進についての三点のご質問にお答えいたします。
 まず、運河ルネッサンスを推進する仕組みについてでございますが、にぎわいのある運河づくりには、何よりも運河周辺の住民や地元団体等が中心となって活動していただくことが重要であると考えております。こうした地元での取り組みが円滑に進むよう、手引きとなるガイドラインを早急に作成し、支援してまいります。
 具体的には、地元での推進母体となる協議会の設置や、運河のにぎわいづくりを実施していく運河ルネッサンス推進地区の指定に関する事項などを定めてまいります。
 このガイドラインにより指定された推進地区におきましては、規制緩和等の支援を行い、水辺の集客施設や遊歩道の整備など、地域に根差した魅力豊かな運河づくりを実現してまいります。
 次に、新たな水域利用の実現方策についてでございます。
 これまで、運河における水域占用の対象は、はしけや工事作業船等港湾関係業務に使用される船舶の係留や、公共性の高い橋梁の設置等に限定されてきたところでございます。
 今回、運河空間を活用したにぎわいの創出や地域活性化という新たなニーズにこたえ、運河ルネッサンス推進地区においては、水上レストランや観光桟橋の設置が可能となるよう、水域占用基準を改正いたします。
 また、こうしたにぎわい創出等のため、長期の占用が必要となる施設につきましては、占用期間の延長を図ってまいります。
 このように、魅力ある水辺空間を実現するために、運河利用における規制緩和を進めてまいります。
 最後に、運河ルネッサンスの今後の展開でございます。
 大田区を初め、東京港には、ご指摘のようにポテンシャルの高い観光スポットを抱えた多くの水域がございます。これら特色のあるエリアを相互にネットワーク化することにより、運河全域の魅力が向上していくと考えております。
 このため、来年度に策定いたします東京の水辺空間の魅力向上に関する全体構想の取り組みの一環といたしまして、機運や塾度の高い地区から順次推進地区に指定してまいります。
 具体的には、現在、運河利用の検討が進められております天王洲や芝浦地区における取り組みを他の地区に反映させるなど、にぎわいづくりを点から線へと広げ、これにより東京の水辺空間全体の活性化につなげていきたいと考えております。
 
■防災対策
 
 都が平成十五年度に行ったeモニターアンケートの調査結果では、大地震が起きるかもしれないと不安を感じる人が九三%に達しています。新潟県中越地震やスマトラ沖地震などの発生により、さらに都民の危機意識はこれまでになく高まっています。都の防災対策として、今何をやらなければならないかという観点から、ポイントを絞って質問をいたします。
 

 
質問1
 まず第一に、都ではこれまで、災害時における自助、共助の取り組みが重要であると説明してきました。しかしながら、自助といった場合、ただ自分の命は自分で守るというだけでは、都民は具体的に何を守ればいいかよくわからず、いたずらに不安を招くだけであります。都は、自助の取り組みのための具体策を示すべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。
 
答弁1
 ▼総務局長
 自助の取り組みについてでございますが、震災時には、第一に、みずからの命はみずからが守るという自助が重要でございます。
 このため、都はこれまでも、地震の心得十カ条を作成するほか、家の耐震性、耐火性の確保や、家庭における飲料水、食糧の備蓄など、具体的な自助の取り組みについて、各種パンフレットやホームページで普及啓発に努めてまいりました。
 今後とも、区市町村と連携し、自助の取り組みの重要性と具体的な行動について普及啓発に努め、都民の理解を促進してまいります。
 

 
質問2
 次に、自助、共助を進めるに当たり、共助としての町会、自治会を主とする防災市民組織に対する積極的な支援が必要と考えますが、区市町村が行う防災市民組織に対する育成に対して、今後、都はどのように支援していくのか、お伺いをいたします。
 
答弁2
 ▼総務局長
 防災市民組織の育成に対する支援についてでございますが、震災に強い社会づくりを進めていくためには、区市町村が主体となって育成しております防災市民組織の活動が不可欠でございます。
 都といたしましても、防災市民組織のリーダー養成研修を実施いたしますとともに、防災展等におきまして活動を紹介するなど、区市町村が行う防災市民組織の育成に対する支援を行っております。
 今後は、さらに、ホームページですぐれた活動を紹介いたしますとともに、区市町村間の情報交換の場を設けるなど、区市町村に対する一層の支援に取り組んでまいります。
 

 
質問3
 第三として、中央防災会議・首都直下地震対策専門調査会は、今回、新たな被害想定を公表しました。都の被害想定は平成九年度のもので、既に七年余が経過し、状況も大きく変化しています。石井議員から昨日、同趣旨の質問がありましたが、私は、速やかに改定し、区市町村にも情報提供すべきと考えますが、重ねて見解をお伺いいたします。
 
答弁3
 ▼総務局長
 地震による被害想定についてでございますが、国の中央防災会議が公表いたしました被害想定は、首都圏全域を対象としております。
 また、中高層ビル、地下街、ターミナル駅の被災、災害時要援護者、自力脱出困難者など、都の被害想定にはない、新たな課題を提示しております。
 都は、平成十七年度に防災会議を開催いたしまして、国の想定内容を踏まえました被害想定の見直しに着手し、必要な情報を区市町村へ提供してまいります。
 

 
質問4
 第四として、二十三区における瓦れき処理は、清掃事業の移管により、区が主体的に取り組むこととなりました。しかし、都と各区や市町村が連携してこそ、円滑に瓦れき処理が進むと考えます。都は、広域自治体としての立場から、積極的に各区市町村の瓦れき処理に対して支援すべきと考えますが、見解をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
 
答弁4
 ▼環境局長
 震災時の瓦れき処理に関する区市町村への支援についてでございますが、都は、清掃事業の特別区への移管に際しまして、各区が行うこととなります瓦れき処理の手順などを周知するとともに、移管後も、区市町村に対して必要な情報提供を行っております。
 また、震災が発生した場合におきましては、都は、地域防災計画に基づき、区市町村との緊密な連携のもと、速やかに具体的計画を策定するなどにより、円滑な処理に向け、広域的な調整や支援を積極的に行ってまいります。
 

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