米軍施設でも地球温暖化対策を
シカの適正頭数化で森林を守れ |
林田 武(自民党) |
■横田基地の地球温暖化対策 |
質問1
今、急速に進む地球の温暖化は、まさに人類の存亡にかかわる問題です。そこで、今回は、米軍横田基地における現状を申し上げ、米軍基地においても地球温暖化対策に協力し、対応すべきであるという観点から質問いたします。
米軍基地だから仕方がないでは済まされない問題であります。平成九年に京都で開催された気候変動枠組条約第三回締約国会議において採択されました京都議定書が、昨年秋にロシアが批准したことにより、去る二月二十六日、ようやく発効いたしました。
昨年の夏は異常な暑さを体験し、地球温暖化は確実に我々の生活を脅かしているという実感を肌で感じました。また、世界各地においても異常気象が頻発するなど、地球温暖化対策は待ったなしの状況であります。
地球温暖化対策は、全世界で取り組むべき課題であるにもかかわらず、いまだにアメリカは京都議定書を批准しておりません。
地球温暖化対策については、東京都は今回、環境確保条例を改正し、大規模事業所などの二酸化炭素削減対策など具体的な取り組みをさらに進めようとしております。
石原知事がディーゼル車排ガス規制や今回の条例改正など、果敢に地球温暖化対策に取り組まれていることに賛同するとともに、今現に東京都に存在する米軍横田基地も決して治外法権であってはならないという強い姿勢を願うものです。基地公害の中でも、地球温暖化対策はほうっておけない重要課題であるということを認識していただきたいと思います。
そこで、米軍施設における環境問題としての地球温暖化対策について、知事にお考えを伺います。
答弁1 ▼知事
米軍施設における地球温暖化対策についてでありますが、これは非常に大事な、いろいろな可能性を含むご提案だと私は思います。
横田も含めて日本にある米軍の基地は、まさに治外法権です。つまりアメリカの領土です。私が初めて横田に行ったときに、日本人入るべからず云々の看板が出ていましたが、そこの横に、この基地の本籍はカリフォルニアのバンデンバーク基地であるという標示が出ていました。それはさすがにちょっと私は問題にして、あんまり露骨なので取り払いましたけれども、まさにあそこはアメリカの領土なんです。
しかし、そこで彼らが、つまり本国自身が京都議定書に参入せずに、勝手に油をたいて、日本の環境というのをいかに汚染しているかということの認識がないままに、あそこが限られたアメリカの領土であるということで、そういう日本の総意に反した行為というのが許されるかどうか。これは私は、やっぱりこれからの、近々またちょっと外務次官にも会いますが、日本とアメリカの安保における地位協定に関する大きな一つの要因になってくると思います。
ただ、これが、もし自衛隊があそこに参入して、先ほど質問にありましたが、管制権というものを、イニシアチブをとって運営するようになれば、違った性格を帯びてくると思います。しかし、なお、基地は基地でありまして、これはとても小さな問題で大きな問題だと思いますし、アメリカに温暖化に対する覚せいを促す一つの大きな引き金になると私は思いますし、また、そのつもりで国にやってもらわぬと、これはだめだと思います。東京が幾ら頑張っても、東京の真ん中で油たいて、空気を幾ら濁しても構わぬということで済むものじゃございませんから。
いずれにしろ、米国は最大な二酸化炭素排出国でありながら、とにかく京都議定書を批准していませんし、温暖化対策に真摯に取り組む姿勢というのは、なぜかとにかく全く持ってない。
都は今回、環境確保条例を改正して先駆的な制度を導入し、都民及び都内事業者に対して、つまり我々の負担で、東京において地球温暖化対策の取り組みの強化を求めておりますが、都内の米軍施設が、東京都にありながら、その東京都の姿勢と逆行するみたいなことをあえて行って許されるわけはないので、これはよほど日本の外務省に腰を据えて、この問題だけはきちっとしろということを説得させようと思いますし、非常に大事な問題提起をいただいたと思います。
とにかくそういう姿勢で、これから、東京都も横田の問題の協議会に入っておりますが、その姿勢で米国に強い要請をしていき、結果とすれば、それが引き金になって、アメリカが京都の議定書に参入するということが、私は当然だし、望ましいと思いますけれども、せめてその小さな引き金になればと思っております。
質問2
米軍横田基地のCO2、二酸化炭素の排出量は驚くばかりであります。横田基地は、年間およそ三万キロリットル、ドラム缶にして十五万本のオイルをボイラー燃料として消費しているエネルギー大消費事業所であります。この量は、地球温暖化対策計画書制度の対象となる千五百キロリットルの実に二十倍という膨大な量であります。とても許せる範囲のものではありません。
実は、横田基地のボイラー五基は、老朽化したことにより、平成十四年から基地内の中央地区、西地区、東地区と三地区に分け、大型新規のボイラー三基に取りかえる作業が現在進んでいます。既に中央地区のボイラーは完成し、昨年から運転を開始しております。西が十七年、東が十八年に完成予定と聞いております。依然としてオイルを使用して大量のCO2を排出しております。
ちなみに、横田基地のCO2排出量を削減するために、仮にオイル燃料を天然ガスに転換したとすると、CO2の発生を一万八千百三十三トン、およそ二五%削減できるということです。一万八千百三十三トンは、林野庁の試算によると、五十年生杉で一年に十四キロのCO2を吸収するので、約百三十万本の杉に換算することになります。
平成十四年、横田基地のCO2公害対策に関して、基地を囲む市民から請願が出され、都議会で採択されております。その後、都としては、直接、米軍に対して情報提供を要望するなど、関係機関への働きかけを行っていることは承知しております。しかし、今、東京都は、本定例会で条例改正を行い、来年度より実効ある地球温暖化対策をより強力に推進しようとしている中で、横田基地に対して具体的に地球温暖化対策の実施を求める必要があると考えますが、所見を伺います。
答弁2 ▼環境局長
横田基地における地球温暖化対策についてでございますが、都は米軍に対しまして、エネルギー使用量の現状及び温室効果ガス排出抑制に係る対応状況について情報提供を求めてまいりました。
米軍からは、横田基地では、飛行によるものを除き、一カ月に約二千七百キロリットルの軽油を消費しており、これを天然ガスに転換した場合には、二酸化炭素排出量の大幅な削減が行い得ることが示されております。
今後とも、基地の施設整備を担当している東京防衛施設局などに対しまして、米軍との具体的な調整を進め、地球温暖化対策を進めていくように求めてまいります。
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■シカの食害対策 |
質問1
西多摩の振興について何点か伺います。
まず、シカの食害対策について伺います。
十数年前から奥多摩町ではニホンジカの生息数が急増し、東京都の調査によると、平成五年に三百頭、平成十一年に千頭、平成十四年には二千五百頭と、驚くほどの増加であります。奥多摩町では、シカの数が三百頭にふえた時点で、平成六年五月二十三日、当時の鈴木俊一知事に、シカ食害に対する抜本施策を講ぜられたいという陳情を出していたにもかかわらず、東京都は有効な対策を行ってきませんでした。
シカの食害、森林被害のすごさは、今さら申し上げるまでもありませんが、特に被害の大きい川乗谷支流逆川地域の山林で、まさに裸山状態であります。この影響で、逆川流域においては、昨年七月十一日に発生した集中豪雨により、逆川源流上部森林が崩壊し、大量の土砂が流失いたしました。本流である多摩川に土砂を含んだ濁流が流れ込み、飲料水、漁業協同組合、水生生物などに甚大な被害を与えました。
こうした中で、昨年七月二十一日、奥多摩町河村町長から東京都に対して、シカの食害、森林被害に対する要望書が出されました。要望書が出された後、八月三日、都議会自民党を代表して、宮崎都議、倉林都議、そして私の三人で現地視察をいたしました。
昨年の第三回定例会においてこの問題を取り上げ、我が党の比留間幹事長が代表質問の中で、シカの食害による深刻な森林被害に対する取り組みについて質問をいたしました。これに対し、石原知事は直ちに四つの緊急対策を打ち出し、各局連携して事業を開始されたことに対し、地元の議員として謝意を表するところであります。
この四つの緊急対策のうちでも最も急がれることは、六百頭のシカの捕獲です。一般狩猟による百頭及び農林業被害防止を目的として市町村が実施する有害捕獲による三百頭、計四百頭に加え、都が東京都猟友会に委託している二百頭の特別捕獲を実施するものですが、特別捕獲についてはなかなか苦戦しているとのことであります。
捕獲は困難をきわめる作業であることは十分承知していますが、シカの被害から森林を守るためには、早急に適正頭数へ削減することが不可欠です。可能な限り手段を講じて、目的頭数の捕獲に尽力していただきたいと思います。
そこで、伺います。有害捕獲及び特別捕獲による捕獲の現状と、捕獲頭数向上のために具体的にどのような方策を講じているか、お聞かせください。
また、来年度の重点事業の中で、シカ被害対策は、荒廃した東京の森の再生に向けた東京の豊かな森づくり事業の一環として位置づけられております。来年度の重点事業で実施するシカ捕獲及び裸山化している森林の復旧に向けた具体的な取り組みについてお聞かせください。
答弁1
▼産業労働局長
シカの食害対策に関します二点のご質問にお答え申し上げます。
まず、平成十六年度のシカの捕獲状況でございますが、奥多摩町、青梅市の有害捕獲につきましては、目標数三百頭に対しまして、通年での実施により、既に二百八十五頭を捕獲しております。
都の特別捕獲につきましては、昨年十一月からの開始であり、短期間であることや、一般狩猟との競合を避けるため捕獲区域を高山地域に限定していたことから、目標数二百頭に対し、二月末日現在、百五頭の捕獲にとどまってございます。
しかし、一般の狩猟期間が終了した二月十五日以降は、捕獲区域を拡大するとともに、捕獲従事者の追加やわなによる捕獲などの措置を講じ、一回当たりの捕獲頭数が増加してきている状況にございます。
今後とも、捕獲目標の達成に向け、努力を続けてまいります。
次に、平成十七年度のシカの捕獲及び森林の復旧でございますが、捕獲につきましては、現在策定中のシカ保護管理計画に基づき、地元の市町村と連携して有害捕獲及び緊急捕獲に取り組んでまいります。
森林の復旧につきましては、川乗谷逆川流域や峰入川支流の被害が著しい箇所につきまして、平成十六年度の土砂流出防止のための緊急の治山・砂防事業に引き続き、平成十七年度は、この荒廃地の復旧に向けた事業を実施してまいります。
また、食害により森林の再生が困難な裸山の解消を図るため、苗木の食害防止措置を伴った新たな造林事業により、二十ヘクタールの裸山に約五万本の苗木の植樹を予定しております。
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■過疎町村の下水道対策 |
質問1
多摩地域の中でも、西多摩格差といわれるように、都市基盤においてまだまだ格差があり、行政として取り組まなければならない課題が山積しています。過疎町村における下水道整備促進が必要であるにもかかわらず、なかなか日の目の当たらない課題であります。
多摩地域の下水道の普及率は、平成十五年末で九五%となっておりますが、奥多摩町や檜原村の二町村における下水道の普及率は、檜原村が二一%、奥多摩町に至ってはわずか五%であります。このような過疎町村の下水道整備は、住民の強い要望があるにもかかわらず、大きくおくれております。
申し上げるまでもなく、この地域は秩父多摩甲斐公園の一部であり、緑豊かな都民の憩いの場所として定着し、多くの観光客が訪れます。生活環境の改善を図るため、さらには都民にとって貴重な水源である多摩川、秋川の水質保全のためにも、奥多摩町、檜原村の下水道整備は必要不可欠なものであります。
そこでまず、過疎町村における下水道整備の課題について伺います。
奥多摩町では、奥多摩湖周辺の下水道整備は完了しておりますが、氷川、大沢、川井、海沢など四地区については、まだ未整備の状態となっております。
また、檜原村については、平成十八年度に一部供用開始をする予定で元郷地区の下水道整備を進めていますが、人里、数馬地区は、依然として取り残されています。
下水道整備の重要性を考えると、過疎町村の下水道普及率を早急に向上させていく必要があります。過疎町村における下水道の整備促進に向けた都の取り組みについて伺います。
答弁1
▼都市整備局長
過疎地域の下水道対策に関する二点のご質問にお答えいたします。
まず、過疎地域における下水道整備の課題についてでございますが、下水道の整備には、市町村が単独で下水を処理する公共下水道と、市町村の行政区域を超え、広域的に処理する流域下水道がございます。
過疎地域につきましては、市町村が単独で処理する公共下水道を基本に整備することとして進めてまいりました。このため、過疎地域である奥多摩町や檜原村では、集落が点在し、整備効率が低いこと、山間部であるため下水処理場の用地確保が難しいこと、さらには、財政力が低い中で下水道整備による財政負担が増大することなどが課題となり、下水道整備がおくれてきております。
次に、過疎地域の下水道整備における都の取り組みについてでございますが、奥多摩町や檜原村での下水道の整備促進を図るためには、集落が点在し、整備効率の低い地域において、下水道から合併処理浄化槽に変更して個別に処理するとともに、処理場用地の確保が困難な地域につきましては流域下水道への編入など、地域特性を踏まえた下水道計画の変更が必要でございます。
都といたしましては、町村が策定する下水道計画の技術的指導を行うとともに、都費補助金の充当や国庫補助金の確保など、必要な支援に努めてまいります。
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■多摩川・秋川の南岸道路 |
質問1
次に、多摩川南岸道路、秋川南岸道路の整備状況と今後の取り組みについて伺います。
平成十六年十月二十三日に起こった新潟県中越地震のすさまじい惨状は、多くの犠牲者を出し、地震の恐ろしさを嫌というほど思い知らされました。平成七年の阪神・淡路大震災の教訓を得、東京都においても区市町村においても地震対策に真剣に取り組んでいるさなか、新潟中越地震という大地震が起こりました。新潟中越地震では、山間部の被害、山古志村に見られるように、土砂崩れなどによる道路の寸断が多発し、何と七市町村五十八地区が孤立状態となりました。
奥多摩町や檜原村においても、現在、幹線道路は一路線しかなく、万一道路が寸断されたら山古志村と同じ状況になるわけで、災害時の避難や救急活動などに大きな支障を来すことが懸念されます。代替道路が一日も早く整備されることが何よりも望まれております。
本年一月に、東京都では、多摩振興に取り組む都の基本施策として、多摩リーディングプロジェクトが発表されました。この中で、山間部の震災対策が安心を高め、未来をはぐくむ施策の中に位置づけられております。
西多摩地域には、都民の森や奥多摩湖など緑豊かな自然があり、多摩振興にとって重要な観光資源となっております。観光シーズンや休日には多くの観光客が訪れ、交通渋滞が発生しております。
東京都では、青梅街道に並行する形で多摩川南岸道路、また、五日市街道、檜原街道に並行する形で秋川南岸道路を整備していますが、地震等災害対策、観光対策などあらゆる面でその早期完成が必要であり、これは地域住民の長年の願いであります。
そこで、現在整備を進めている多摩川南岸道路と秋川南岸道路の整備状況と今後の取り組みについて伺います。
答弁1
▼建設局長
多摩川及び秋川の南岸道路についてでございますが、これらの道路は、防災性の向上とともに地域の生活を支え、観光振興にも寄与する重要な道路であります。
多摩川南岸道路は、愛宕大橋から海沢大橋までの二キロが既に開通し、残る〇・七キロのうち神庭東橋が今月中に完成いたします。
また、秋川南岸道路は、山田大橋から五日市トンネルまでの二キロが既に開通し、残る秋川街道までの〇・四キロでは、十七年度から橋梁工事などに着手いたします。
今後とも、財政状況を踏まえ、地元関係者の理解と協力を得て、事業中区間の早期整備に積極的に取り組んでまいります。
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