再生可能エネルギーへ転換せよ
知事主導で新東京都歌の制定を |
田中 晃三(自民党) |
■省エネルギー・環境改善 |
質問1
このたび、二つの温暖化の阻止に向けて環境確保条例の改正案が提案されたことは、地球温暖化防止京都議定書の発効により温暖化ガスの削減が待ったなしとなったこの時期に、まことに適切なものと高く評価するものであります。
改正案では、オフィスなどの大規模事業所に、より高いCO2排出削減の誘導と、新築建築物に対し、ヒートアイランド対策の強化をうたっておりますが、再生可能エネルギーへの利用転換を促進するその見地からも、小型の風力発電及び太陽光発電の設置の促進を図るべきと考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。
答弁1 ▼知事
再生可能エネルギーの利用促進についてありますが、東京を持続可能な都市に変革するためには、省エネルギー対策の推進に加えて、太陽光や風力発電など、再生可能エネルギーの導入を進めることが極めて重要だと思います。
現に、東京湾の埋立地に三基、風力発電を設置しまして、私も操業のときに出席いたしましたが、思ったほど風がないんですね、東京湾というのは。あそこにあれを建てても余り効果が上がっていないんですが、しかし同時に、ご指摘のように、小ぶりの風力発電というのは、例えば、ビル風が高層ビルが建つ中で強く吹くわけでありまして、むしろビルの屋上よりも側面に幾つか備えるということで、ビルとビルの間はヘリコプターが飛ぶこともございませんから、そういう工夫を技術屋さんに注文として出して、やってみることは必要じゃないかと思います。
各国の再生可能エネルギーの導入目標を見ますと、フランスやドイツなどEUの諸国の積極的な姿勢に比べて、日本はやや消極的な感じがいたします。現に、再生可能エネルギーの導入目標、二〇一〇年の目標値でありますけれども、日本が七%に対して、EUが一二%、フランスが二一、ドイツが一二・五、イギリスが一〇ということで、どうも、エネルギーに関する危機感といいましょうか、そういった発想がまだまだ及んでいないといううらみがございます。
都は、環境確保条例の改正案において、都内に電気を供給している事業者に対して、再生可能エネルギーの導入計画の策定と公表を新たに義務づけることといたしました。
都みずからも、昨年、浄水場における太陽光発電の設置、さらに、水再生センターでの下水汚泥によるバイオマス発電事業なども開始いたしました。
今後とも、再生可能エネルギーの利用拡大を幅広く検討していきたいと思いますし、東京にはいろんな技術も集中しておりますから、そういう技術の開発の主導というものをやはり東京都こそがすべきだと思っております。
地球温暖化、ヒートアイランド対策として、区立小中学校三十校に運動場の芝生化の予算が計上されました。ヒートアイランド対策としては、屋上緑化以上に効果があるものとして期待されております。
この際、区立小中学校はもとより、都立の教育施設に小型の風力発電及び太陽光発電を設置すべきと考えます。日々の天候に基づいた発電量、CO2の削減量がリモートコントローラーによりその都度表示され、児童生徒の環境への関心は一層深まり、これに勝る環境教育はないと思うので、要望いたしておきます。
質問2
平成十一年三月に発表された東京エネルギービジョンでは、東京における新エネルギーの導入目標を、平成二十二年度の達成目標として、太陽光発電、風力発電等八種類について示していました。
日本の太陽光発電技術は世界的にも最も高い水準にあり、二〇〇二年の生産量は世界のシェアの四八・九%、価格も年々下がり、太陽光発電システムを取り入れた建築物の数が急増しております。
風力発電については、NEDOの風況マップから、関東では大型タイプの設置は極めて限られ、余り期待できません。都立大学横山隆一教授は、都内に林立するビルの屋上やビル風の活用を小型の風力発電を適用して行うことを提案しております。そのために、地勢的、技術的に検討しなければならない課題解決のため、例えば小型風力発電推進プロジェクトをつくるべきとしております。都市型の小型風力発電を積極的に普及するこの方策のご所見をお伺いいたします。
答弁2 ▼環境局長
都は率先事業といたしまして、臨海部に大型風力発電施設を平成十五年に民間と共同で設置いたしました。風力発電をさらに普及させるためには、都民や事業者による設置を進めていくことが必要でございますが、ビルの屋上等に設置する小型風力発電は、都市型風力発電として注目されているところですが、安全性、騒音振動対策及び発電効率等の課題が指摘されてもおります。
今後、都は課題の検討に必要な風速データを大気測定局で収集いたしまして、発電機器メーカーや大学などに情報提供することを通じて、検討の促進を図ってまいります。
最近のNEDO海外レポートは、韓国における環境技術開発の現状を特集しております。韓国政府は、次世代核心環境技術開発事業十カ年計画を策定し、二〇〇三年の事業内容を確定しています。
それによりますと、環境技術のパワーは国家競争力の核心要素であるとして、核心環境技術を集中的に開発して懸案の環境問題を解決し、環境産業技術を育成して、環境と経済が共生する環境福祉国家を確立するとしています。新たに選定、支援された主要技術課題の中に、水を電気分解して発生した水素と酸素の混合ガス、いわゆるブラウンガスをそのまま直接燃料として利用する水の燃料化が国家プロジェクトとして採用されていることに、私は重大な関心を抱くとともに、私の知る限り、日本では、大学、企業、研究機関などがこの種の研究に携わっていないことを不可解に思っております。
新エネルギーの導入促進はもとより、視野を世界に広げて、新エネルギーの開発に、首都大学東京と東京都が共通課題として積極的に取り組むべきと考えます。
質問3
次に、都立大学三上岳彦教授は、都市温暖化に対して、緑、水、風の三つのキーワードを挙げております。都内では、多くの中小河川が暗渠化され、改修されて、水面の占める割合が大きく減っていることから、水面からの蒸発による気化熱の効果も弱まっております。三上教授の調査によると、荒川周辺及び都心部の夏季の気温変化では、明らかに河川周辺の方が低く、その差は日中に大きくなっています。
宮城のお堀の水面は五万台のクーラーの冷却効果があるといわれております。しかし、東京の水空間面積は、明治十三年、一八八〇年の測量で四百四十三ヘクタール、一九八七年当時では二百五十四ヘクタールと、百八十九ヘクタールも減少しています。東京では、オリンピック開催に当たり、下水道の普及促進を図るため、水源が顔を出していない都市内河川を下水幹線とすることが決定され、多くの河川が暗渠化されたのであります。
こうした河川等の再生を含め、今改めて、水面を活用した都市づくりや、東京湾からの冷風を都心に呼び込む風の道の構築など、ヒートアイランド対策を織り込んだダイナミックな都市改造を計画的に行う必要性があろうかと考えますが、ご所見をお伺いいたします。
答弁3 ▼都市整備局長
ヒートアイランド対策と都市改造についてでございますが、水や緑などの空間は、都市に潤いや快適さをもたらすだけでなく、ヒートアイランド対策にも資する貴重な資源であります。このため、都といたしましても、都市開発に合わせた緑やオープンスペースの確保、親水空間の整備など、都市の環境改善にも努めるほか、風の道の確保についても、より効果の高い手法等の検討を進めているところであります。
お話にありました水面の再生などを織り込んだ大規模な都市改造の提言につきましては、今後の都市再生を進めていく中で、その効果や実効性を検討しつつ、積極的に取り組んでまいります。
ソウル特別市では清渓川の壮大な復元事業を、市の予算の三・七%、三百六十億円を費やして実施しております。長さ約六キロ、往復八車線の道路のコンクリートのふたや、その上を走る往復四車線の高架道路を撤去して自然河川を本来の姿に戻す復元事業は、三年の歳月を経て、この九月末に完成いたします。私は、昨年暮れ、完成近い工事現場を見学して、深い感銘を覚えた次第であります。
質問4
さて、省エネ、環境改善を進める上で、港湾物流を初めとする交通流の円滑化は欠かすことができません。そこで、次に、東京港の物流改革について伺います。
東京港は昨年七月、隣接する横浜港とともに、国のスーパー中枢港湾の指定を受けたところですが、これはまさに、東京港の物流改革をより一層進める格好の機会であります。もちろん、東京港では、この指定に先立って先進的な取り組みを進めており、中でも、昨年三月には、東京港の関係者が結集した東京港振興促進協議会において、国際競争力強化に向けた行動計画である新アクションプランが策定されましたが、策定後、現在までの成果と今後の取り組みについてお伺いいたします。
答弁4
▼港湾局長
東京港関係者が一体となって策定した新アクションプランに掲げる港湾物流改革は、ご指摘のとおり、省エネ、環境改善を進める上でも重要であると認識しております。
現在までに青海公共ふ頭ゲートシステムの統一や植物検疫の日曜開庁等が実現し、この官民共同した取り組みにより、ふ頭運営効率の向上やゲート前渋滞の緩和など、多くの成果があらわれているところでございます。
今後も、大井ふ頭背後へのコンテナ専用レーン設置による交通円滑化や、ふ頭運営事業者の連携による公共、公社バースの枠を超えた相互融通など、プランを着実に推進し、東京港の国際競争力向上に取り組んでまいります。
質問5
一方、首都圏における輸出入貨物の東京港に依存する割合は六割に達し、特に埼玉県や北関東では七割を東京港が占める状況になっております。東京港と首都圏内陸部を結ぶ物流の効率化の必要性が、省エネ、環境改善の観点からも高まっております。
首都圏経済における東京港の役割の大きさを考えれば、海上貨物輸送について、内陸部を含めた物流の総合的な効率化を行うことが港湾物流改革を進める上で不可欠であると考えますが、ご所見をお伺いいたします。
答弁5
▼港湾局長
首都圏経済における東京港の役割が高まりつつある現在、港湾物流の効率化を総合的に進めるためには、東京港を利用する貨物の生産地であり、消費地でもある内陸部を含めた施策が必要であることはご指摘のとおりでございます。
このため、陸上輸送の効率化に向け、東京港と首都圏各県を結ぶ幹線道路のボトルネック等の実態把握や内陸部の保管、流通拠点であるインランドデポを活用した片荷輸送削減の可能性の検討などを行っております。
今後、これらの課題への取り組みを進め、環境面も視野に置きながら、関係各局とも連携を図り、港湾貨物輸送の効率化に総合的に取り組んでまいります。
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■首都大学東京 |
知事のリーダーシップのもと、四年間の準備期間を経て、いよいよ首都大学東京の開学が目前に迫りました。社会が求める人材を育成するという教育に対する期待は大きく、教育の着地点としての大学を改革することにより、東京から日本の教育全体を抜本的に改革し、首都大学東京が、日本の首都東京にふさわしい、東京をよくするための大学として、大都市の複合的な課題解決に貢献できる大学を創造することは、まさに時宜にかなうものとして高く評価するものであります。
既に首都大学東京に対する期待は大きく、二月十六日に公表された国公立大二次試験の確定志願倍率では、少子化の影響を受けて、国公立大学の倍率が過去最低の五・〇倍になったにもかかわらず、首都大学東京では平均で七・八倍となり、関係者を喜ばせておりました。
少子化が進み、文部科学省の調査によれば、二〇〇七年には大学全入時代になるといわれております。大学間の競争が急速に進み、学生のとり合いも激しくなることは間違いありません。そうした状況になっても、首都大学東京は、入学を希望する学生が十分集まるような魅力と個性を備えた大学になってほしいと心より願っております。
大学の運営面では、公立大学法人として、東京都から独立し、自主的、自立的な運営が行われることになります。その上、法人化に当たって東京都は、学長と理事長を別々に置くという方式を選択しました。これまでの総長、学長をトップとする大学組織に経営の視点を導入し、効率的で機動的な運営を求めるものであります。
このようなドラスチックな変化に対し、一部の関係者からは批判の声もあるようであります。しかし、社会情勢が激しく変化してきている現在、大学といえども、経営感覚を持って運営していかなければ、生き残りすら危うい時代に入ってきているのであります。
公立大学法人首都大学東京の理事長は、企業で経営手腕を振るわれた高橋宏氏に、学長は、半導体研究の第一人者であり、東北大学の学長を務められ、大学改革を推進したことで有名な西澤潤一氏であります。経営と大学を熟知したお二人は、必ずや法人化のメリットを生かして大学運営を大いに活性化させ、社会に貢献する大学となるものと確信しております。
質問1
こうした大学改革を実現するため、東京都は中期目標を策定し、新大学は公立大学法人として発足いたします。中期目標は六年間にわたるものであり、都が示した目標を踏まえ、法人は、中長期的な視点に立ち、自主的、自立的な運営を行い、六年後に、十分な成果を上げたかどうか厳しく問われます。
そこで、まず、公立大学法人首都大学東京の中期目標策定に当たって、都は公立大学法人に対し何を求めようとしているのか、その基本的な考え方を知事にお伺いいたします。
答弁1
▼知事
首都大学東京の中期目標についてでありますが、目標策定に当たっての基本的な考え方は、ともかくまず大学における教育改革を実行し、学生たちが、来てよかった、楽しい、学校に行きたい、行ったらおもしろい、そういう大学というものをつくりたい。既存の教育システムを根底的に変革していくことにあると思います。
教育のターミナルである大学が旧態依然としている限り、小中高等学校という過程の教育の内容もなかなか変わりません。日本全体の教育を変えるためにも、小学校は小学校、中学校は中学校、現に中高の一貫教育を始めましたし、それぞれの過程で努力をする必要があるのではないかと思っております。
また、首都東京の大学にふさわしい人材育成や研究を行うこと、これにより、大都市が抱えるさまざまな問題の解決に貢献していきたいと思っております。
それからまた、ご指摘のように、これまで欠けていました経営感覚を取り入れまして、戦略的に大学を運営していく、そういう施策も講じたいと思っております。
現に、新しい理事長の発案で、それぞれ経済人がおられますけれども、出身校は違いますが、東京のこういう試みに対して、各企業から、大学の支援者、サポーターとしての協力を仰ぐリーグもつくりましたし、また、企業に応じては、研究に対する注文を受けて、産学協同というものをもっともっと幅広い、分厚い形で、新しい大学でやっていきたいと思っております。
中期目標ではこれらの考え方を明確に示して、首都大学を、日本の大学改革のモデルにふさわしく、全く新しい大学としてつくり上げていきたいと思います。
特に、西澤先生が、日本の教育の過程で、義務教育と高等学校からの教育が実質的に逆転していて、感性のできる高等学校のプロセスで詰め込みをしている、小中学校で本当は詰め込みをしなくちゃいかぬと。つまり、今の日本の教育の過程ではもう感性というのは育ってこないということで、まさに鋭い指摘だと思いますが、経営感覚だけではなしに、そういう合理的な運営によって学生たちの感性というものを育てていく。
そして、具体的に例を挙げますれば、例えばドイツのバウハウスのように、こういう学園から、工業も含めて、さまざまなデザインあるいは製品の着想というものが生まれてくるような、そういう性格を付与した大学にしたいと思っております。
質問2
法人の財務運営についてお尋ねいたします。
所要額が予算措置される都立の大学と異なり、法人化では、法人の自己責任で財務運営を行わなければなりません。しかも、運営財源の大部分を占めるのは、東京都から交付される運営費交付金であります。
さて、本定例会に提案された平成十七年度の東京都予算案の中では、公立大学法人に関し、今後六年間の中期目標期間において、効率化係数を設定し、標準運営費交付金を毎年二・五%ずつ削減していくことが明記してあります。他方、国立大学法人の効率化係数は一%と聞いております。この数字と比べると、かなり厳しい数字とも見受けられますが、今回の二・五%の効率化係数についての認識についてご所見をお伺いいたします。
答弁2
▼大学管理本部長
大学運営を行う公立大学法人の財務運営についてでございますが、都が法人に交付いたします標準運営費交付金は、使い道を法人自身が定める法人の一般財源でございまして、法人がみずから経営努力を行えば、国立大学法人などに比べ、財源を確保し、これにより新たな事業展開を図ることがより一層可能となる仕組みとしております。
したがいまして、法人はこの制度の趣旨を生かして、効率的な財務運営を行うことにより、自律的でかつ安定的な経営を確立し、それを基礎として、戦略的な大学運営を実現していくことが必要であると考えております。
標準運営費交付金について、二・五%の効率化係数を設けることとしておりますが、これは、以上のような考え方に基づきまして、法人が中長期的視点に立って、継続的に自主的努力を行っていくことを促すための措置でございます。
質問3
研究費についてお尋ねいたします。
首都大学東京の使命実現に、大学の柱の一つともいえる研究活動を推進していくことは重要な課題であります。
国は、平成十三年に策定した科学技術基本計画において、科学技術創造立国を目指し、科学研究費などの競争的資金を五年間で倍増させるという目標を立てています。実際、平成十七年度の国の予算案においても、競争的研究資金は、平成十六年度比約三〇%増の四千六百七十二億円の予算がついております。このように、所属する大学にかかわりなく、意欲のある教員が外部から研究資金を獲得してくる仕組みは、近年急速に拡充されてきているのであります。
翻って、都立の大学における研究費は、ここ数年、東京都の予算のもと、マイナスシーリングの対象となり、毎年度削減されてきました。新大学は、法人化に伴い、東京都に細かに使用使途を指定されることなく、法人独自の考えで財務運営あるいは予算編成を行っていくことが可能となりますが、研究費の確保についてどのように考えているのか、お伺いいたします。
答弁3
▼大学管理本部長
大学の研究費についてでございますが、首都大学東京の使命を実現するためには、それにふさわしい研究活動に対し、必要な研究費を確保していくことが重要であると考えております。
こうした観点から、十七年度の公立大学法人の予算におきましては、厳しい中ではございますが、一般財源を投入する研究費を、総額で十六年度水準を確保することといたしまして、その上で、首都大学東京にふさわしい研究テーマに対して重点的に研究費を配分し、意欲ある教員を励まし、研究の活性化を図っていく方針でございます。
あわせまして、外部資金を活用する研究につきましても、支援体制を整備し、国の競争的資金の積極的獲得や民間企業との共同研究の拡大を通しまして、これまで以上に研究活動を活性化してまいります。
終わりに、首都大学東京における研究は、首都大学東京の目指す都市環境の向上など三つのキーワードを主要テーマに、東京をよりよくするため、都と首都大学東京がタイアップして研究を推進していくべきと考えます。二十一世紀の科学技術化社会に向け、東京都としても、国の総合科学技術会議に相当する会議を構成して、長期的視点のもとに東京都の科学技術施策に取り組んでいくことを強く要望いたします。
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■新東京都歌の制定 |
質問1
東京には、かつて愛唱歌として親しく市民の間で歌われた、「紫にほひし武蔵の野邊に」で始まる、大正十五年制定の東京市歌がありました。
東京都歌については、昭和二十二年に制定され、全国公募で六千件を超える作品の中から選定されました。「あさみどり すみたるそらに とぶはとの しろきつばさも」で始まり、敗戦直後の世相を背景に、都民の願いを如実に表現したものとして時宜にかなったものでありました。
しかし、この都歌は、一方で、当時GHQの検閲を受け、パスした、無難な歌詞の内容でありまして、選考委員長小宮豊隆氏は、発表に当たり、コメントの中で余り評価しておりません。この都歌が今日、都民の間で、長野県歌「信濃の国」のように親しく歌われ、都の行事やさまざまのイベントに使われたことを耳にしたことはありません。
東京は今や首都として、世界都市として、経済的にも目覚ましい発展を遂げ、歌詞制定当時とは隔世の感があることは否めません。今回、戦後六十年という節目の年を迎え、憲法改正の動き、教育基本法の改正など、我々を取り巻く環境が大きく変化してきており、今の若い世代も含めた都民に本当に親しまれる歌かどうか、検証が必要な時期に来ていると思います。
東京都政は、石原知事のすぐれたリーダーシップにより、都民が安心して生活できる東京、だれもが創造力を発揮できる希望の持てる東京の実現が確実に進みつつあるこのとき、都民が、東京に住んでよかったとともに喜び、あすの希望に向かって羽ばたく東京賛歌、東京大好きと共感を持って歌える都民の愛唱歌、公式行事を初め、東京国体などさまざまのイベントに愛唱される東京都歌を、作家でもある石原知事の主導のもとでぜひつくってほしいと思います。知事のご所見を伺います。
答弁1
▼知事
新しい都歌についてでありますが、率直に申し上げて、私が今まで東京に関する歌で一番好きだったのは「東京音頭」でありまして、あれはどこで歌ってもいいんですけど、このごろ、どこかのプロ野球にとられてしまいまして、さながらその球団の応援歌みたいになってしまいましたが。
正式に決める都歌も結構でございますけれども、よほどうまくつくりませんと、高等学校の校歌がせいぜい甲子園、六大学の校歌も神宮球場でしか歌われないというのでは(「知事がつくれば大丈夫だよ」と呼ぶ者あり)いえいえ、だめだめ。(笑声)
私は今まで東京に関する歌を幾つか覚えておりますけれども、これは本当に有名な作曲家または作詞家によったもので、例えば服部良一さんの「東京ブギウギ」とか、それから「ウナ・セラ・ディ東京」とか、これは宮川君が今でも元気で頑張っています。それから「東京の屋根の下」とか、あるいは「東京ラプソディー」とか、時代時代に応じた、作詞家という専門家がその世相にマッチした歌詞をつくっていまして、限られた期間でも歌われましたし、それがカラオケにも残っている。そういう歌を都歌として構えないと、何でこんな歌をつくったんだというので、そしりを受けてもあれですから。
これは、しかし、私も含めて候補者が何人もいるでしょうから、大いに公募しまして、それで、今の時代に合った新しい東京の歌を歌うことで日本じゅうから人がやってくる、そういう試みを、少なくとも、前向きに、積極的に検討したいと思います。
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