知事は女性蔑視発言を謝罪せよ
都立病院改革の計画を見直せ |
かち佳代子(日本共産党) |
■知事発言裁判の判決 |
質問1
初めに、石原知事の女性べっ視発言について質問いたします。
知事が週刊誌で、これは松井孝典がいっているんだけれども、文明がもたらした最もあしき有害なものはばばあなんだそうだ。女性が生殖能力を失って生きているというのはむだで罪ですって、などと発言したことについて、女性たちが発言の撤回と謝罪、損害賠償などを求めていました。
先月二十四日、この問題に関する東京地裁の判決がありました。判決は、発言は女性一般についての見解の表明であって、原告個々人の名誉を傷つけたとはいえないと、請求を棄却いたしましたが、これは知事を免責するものではありません。判決は、むしろ知事の発言がいかに不適切であるかを厳しく批判しているのです。
まず、知事はこれまで、大学教授である松井さんの言葉を要約して人に伝えただけと居直ってきました。しかし、判決は、松井教授の話と知事の発言は内容的に一致していないことなどから、被告、知事個人の見解ないし意見を表明したと認めるのが相当と断定しています。
また、判決は、知事の発言は、女性の存在価値を生殖能力のみに着目して評価する見解が、個人の尊重、法のもとの平等について規定する憲法、男女共同参画社会基本法、その他法令や国際人権B条約、女子差別撤廃条約、その他国際社会における取り組みの基本理念と相入れないと明確に述べています。知事はこれを謙虚に受けとめるべきです。
さらに、判決は、東京都知事という要職にある者の発言としては不用意であったと認めています。知事の発言は、知事という立場上許されないものであることは明白です。にもかかわらず、知事は判決の翌日の記者会見でも、私ではなく大学教授がいったなどと、いまだに責任逃れを繰り返しています。もはやそのような逃げは通用しません。潔く発言を撤回し、謝罪することを求めます。お答えください。
答弁1 ▼知事
裁判の判決についてでありますが、あなたのご提言は大変ありがた迷惑でありまして、私もお互いに選挙を体験している人間ですから、あんなことは口が裂けてもいえるわけがない、私だっておば様たちの票をいただいているので。
しかし、私は、あの裁判はちょっとおかしいと思いますね。どうして人の言葉を引用したものが私の発言になるんですか。余計な前文だと思いますよ。
とにかく繰り返して申しますけれども、あれは私と松井さんとの対談で、松井さんが人間の文明が進むことで非常に不自然な循環、悪い循環が地球を覆うようになって、そして、いろんな結果が出ているということで、例えばどういうことですかといったら、あの人がそういったので、私はちょっとたまげまして、理は通っているようかもしれないけれども、それは大変な発言で、まあせいぜいあなたがいってくださいよといって、笑ったんですけれども、それはある会合で、環境問題の会合でしたので、中に共産党のシンパもいたんでしょう。右から左へあなた方に伝わって、いつかその発言になったようですけれどもね。いわないものはいわない。いったものはいう。いわないものをいったとし、いったものをいわないとして粛清されたり、逮捕されるというのは共産社会だけでありまして、私はやっぱり非常にあなた方のやり方というのはデマゴーグで、共産的の典型的なやり口だと思いましたな。
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■都立病院のあり方 |
質問1
石原知事は、十六あった都立病院を八カ所に縮小、削減する計画を改革だといって進めてきました。その結果、どうなっているでしょうか。世田谷区の母子保健院は存続を願う十万を超える署名が寄せられましたが、国立成育医療センターができるから大丈夫だといって、廃止されました。ところが、成育医療センターは救急患者がふえ、高度専門病院の機能に支障を来すとして、昨年四月、救急患者から四千二百円の特定療養費の徴収を始めました。
救急車で意識がない乳児が運ばれてきても、窓口で四千二百円必要ですといわれています。赤ちゃんをおんぶしたお母さんが、真っ青な顔をして氷嚢で頭を冷やしている女の子の手を引いてきましたが、やはり四千二百円必要ですといわれ、財布をのぞいて、足りなかったのでしょう。帰っていくという事態が起きています。
成育医療センターは、救急患者を減らすために徴収を開始した、おかげさまで効果がありましたと回答しています。これは厚生労働省の通知で、緊急の患者から徴収してはならないとされているものです。救急患者から四千二百円も特定療養費を徴収するのをやめるよう、国立成育医療センターに申し入れるべきです。答弁を求めます。
答弁1
▼福祉保健局長
特定療養費の徴収についてでありますが、お話の特定療養費制度は健康保険法に基づくものであり、病院と診療所の機能分担の推進を図るため、他の医療機関の紹介なしに受診した患者から、初診時に費用を徴収できるものであります。
ただし、他からの紹介がない場合でも、緊急その他やむを得ない事情により来院した場合には、徴収しないこととされております。
特定療養費を徴収するか否かの判断は、病院において、個別の患者ごとに行うものとされていますが、仮に徴収に当たって不適切な取り扱いがあった場合には、国との連携のもとで是正指導を行うこととなります。
今、世田谷区では、次に廃止が計画されている小児精神医療の全国唯一の専門病院である梅ケ丘病院を存続し、小児科を設置して、夜間休日の入院にも対応できる小児救急を実施してほしいという声が広がっています。この願いにこたえることを強く求めておきます。
質問2
清瀬小児病院、八王子小児病院は、存続を求める住民の切実な声により、廃止計画は二年延期になりました。地元自治体は引き続き存続を求めています。
老人医療センターと豊島病院の統合民営化計画は、地元板橋区や区議会の要請で、統合については撤回されました。その後、豊島病院のあり方について、都と区の協議が続いていますが、昨年夏までに結論を出すといっていたのが、今になっても平行線のまま、協議は完全に行き詰まっています。地域の医療水準を維持するためには、老人医療センターも豊島病院も都立として存続することこそ必要であることがいよいよはっきりしてきました。
このように、石原知事のいう都立病院改革の失敗が各地で浮き彫りになっているのは、都民と地元自治体、医療関係者とのまともな相談も合意もなしに計画をつくり、押しつけるというやり方が間違っているのと同時に、東京都の財政支出削減最優先で、都立病院が地域医療から手を引いていくという計画の中身が間違っているからです。現時点に立って、計画を抜本的に再検討することを求めるものですが、知事、お答えください。
答弁2 ▼知事
都立病院改革についてでありますが、都立病院改革は、都と地元自治体、地域の医療機関などがそれぞれの役割を担い、密接に連携しながら、都民に対する総体としての医療サービスを充実し、強化しようとしているものであります。都民全体の医療ニーズを視野に入れた改革であります。
都は今後とも、都民の安全・安心を支える質の高い患者中心の医療を提供するため、都立病院改革を積極的に推進してまいります。
質問3
大田区にある都立荏原病院は、二〇〇六年度に都の監理団体である保健医療公社の病院として移管される計画です。
公社病院の現状はどうでしょうか。大久保病院は昨年公社移管されましたが、一昨年の病院の事業概要には、各医師の士気の低下が見られる。公社化に向けて、医師が生きがいを持って診療に打ち込めるような新たな体制をつくることが当面の課題ですと書いてあります。しかし、具体策をとらないまま公社化されたため、医長、部長級の医師が次々退職し、患者も減って、業績が伸び悩み、公社に対し十億円もの補助金の追加投入が必要になりました。医師を初め職員の皆さんは医療水準を維持するため必死に努力をしており、患者数が若干上向きですが、医師の欠員は改善されておらず、リハビリの強化のため、言語聴覚士を常勤配置に戻すことなどが切実に求められています。
東部地域病院の事業概要には、麻酔事故の防止、患者の安全の確保、円滑な手術室運営に対し、早急に手術室をふやすこととスタッフの増員が必要不可欠、また呼吸器系医師の定数増が強く望まれる、心臓疾患の救急治療を行うCCU病床をふやさなければ今後の需要にこたえられないなど、充実を求める職場の声が多数記述されています。公社病院の現場から上がっているこうした要求に直ちにこたえることを求めるものです。
財政支出削減のために都立病院を公社に移管し、公社病院に対する都の財政支援は切り詰めるというやり方は間違いです。都立病院は都立として存続、充実し、公社病院は準都立病院として位置づけて、都の支援を強化し、医療水準をさらに充実させることこそ必要ではありませんか。知事、お答えください。
答弁3 ▼福祉保健局長
公社病院の現場の要求についてでありますが、ご質問で挙げられた現場の声のほとんどは公社病院の各診療科ごとの個別的な要望であり、組織として提出されたものではございません。
都は、保健医療公社とともに公社病院の運営状況を踏まえ、地域ニーズ等に即した適切な医療を提供するための効率的な体制整備に努めております。
次に、公社病院に対する都の支援についてでありますが、公社の地域病院は、地域医療連携を通じて二次医療を提供するとともに、地域に不足する救急やがん医療などを提供することにより、地域医療の充実を図ることを目的として運営されております。こうした観点から、都は公社に対しまして、人的、財政的な支援を行っております。
質問4
都立荏原病院は、城南地域における高度専門医療を担う中核病院としての役割を果たすと同時に、地域のかかりつけ医としての位置づけを持ち、紹介状なしでかかれる病院として、住民の大きな信頼を受けています。高度専門医療と地域医療の両方を大事にするという都立病院ならではの役割を果たしているのです。例えばSARSなどの新興感染症に対応できる都内有数の病院です。歯科口腔外科は、地域の診療所では対応困難な障害者や寝たきり高齢者などの治療と在宅訪問歯科診療への支援を行っています。小児救急医療で二十四時間対応できるのは、区内では東邦医大病院と荏原病院だけです。
少子化の中、荏原病院で扱う分娩数は毎年ふえており、出産前の両親学級や母乳外来に取り組んでいます。精神科救急においても、開放病棟を持つ荏原病院の存在は、近隣四区の中でもかけがえのないものとなっています。
中でも、荏原病院の脳卒中医療は、MRIやCTなどの検査が二十四時間即応できる体制を持ち、脳卒中専用病床SUを設置し、チーム医療を行うなど、全国的にも高い水準を持っています。
しかし、東京全体の脳卒中対策はおくれています。講談社が発行した医療書では、脳卒中対策において、日本じゅうで一番見劣りするのは東京だ。大学病院が群雄割拠して足並みがそろわない。だから、長く東京砂漠といわれてきたなどと指摘し、その中で、都立荏原病院が都内ナンバーワンと紹介しています。
脳卒中対策は、高齢社会に向け、ますます重要になっています。詰まった血管を開通させる新薬tPAは欧米で既に普及しており、発症してから三時間以内に注射をすれば、後遺症を残さず社会復帰できる可能性が飛躍的に高まります。日本でも発売は時間の問題であり、倒れてから三十分以内に搬入し、直ちにMRIを撮って治療ができる脳卒中の救急システムと専門的対応ができる脳卒中センターを東京全域につくり上げることが急務となっています。
救命救急センターで対応すればよいというこれまでの都の対応では時代おくれです。都立荏原病院と東京都が都内の大学病院、医療機関に働きかけて、直ちに脳卒中の医療救急システムの確立に向けた検討を開始すること、そのために、まず荏原病院を中心に、城南地域での体制整備を行うことを提案するものです。お答えください。
答弁4 ▼福祉保健局長
脳卒中の医療救急システムについてでありますが、脳卒中は発症直後の迅速な医療対応が重要であります。このため、都は、高度かつ総合的な診療基盤を有し、生命危機を伴う重篤な救急患者の治療を行う救命救急センター二十一カ所を中心に、救急医療体制を整備し、対応しております。
また、救命処置後の後遺症を予防、軽減させるためのリハビリテーションも重要であり、専門病床や地域リハビリテーション支援センターの整備などにより、体制の充実に努めております。
最後に、城南地域での脳卒中の体制整備についてでありますが、区南部保健医療圏には、既に二つの大学病院に救命救急センターが整備されており、脳卒中の救急医療については、これらの救命センターを中心に救急医療体制を整備することにより、対応しております。また、地域の医療機関との連携のもと、救命処置後の患者さんへの適切な医療提供に努めております。
脳血管疾患医療を重点医療としている荏原病院についても、こうした体制の中で、その機能が活用されているものと考えます。
質問5
荏原病院の現場では、今の水準をさらに発展させて、脳卒中診療部を確立することや、脳卒中専用病床SUをさらにレベルアップしたSCUを開設すること、専門医の育成、地域住民の予防医療に取り組むことを目指しています。こうしたことはコスト最優先でできることではありません。何よりも人材の裏づけが必要です。都立病院でこそできることです。脳卒中専用病床SUやSCUの整備、専門医の育成、予防医学の取り組みなど、都立病院における脳卒中医療の拡充が必要です。お答えください。
答弁5 ▼病院経営本部長
都立病院における脳血管疾患医療についてでございますが、都立病院改革マスタープランでは、救命救急センターを有します広尾、墨東、府中の三病院で、脳血管疾患を重点医療と位置づけまして、さまざまな症状に的確に対応をしております。
今後とも、この三病院を中心に、脳血管疾患に対する適切な医療提供に努めてまいります。
質問6
今、荏原病院を都立として継続、充実を願う「アイ・ラブ・荏原」のポスターが町じゅうに広がっています。この熱い期待にこたえるべきではありませんか。都立荏原病院の医療は一朝一夕にできたものではありません。長年にわたってつくり上げてきた都民のかけがえのない財産です。高度専門医療と地域医療の提供を兼ね備えた荏原病院は都立として継続し、さらに充実させることこそ都民の願いです。公社化の再検討を求めるものですが、お答えください。
答弁6 ▼病院経営本部長
荏原病院の保健医療公社への移管についてでございますが、荏原病院は、地域の医療機関との連携を通じまして、継続性のある一貫した医療を提供する地域の中核的病院として、公社に運営を移管するものでございます。地域全体の医療サービスの向上を図るため、医療ニーズを十分に踏まえつつ、引き続き荏原病院の公社への移管を着実に推進してまいります。
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■救急事業 |
質問1
東京都は、昨年十月から、民間救急コールセンターを試行し、緊急を要しない医療機関の転院搬送は民間搬送事業者を使うようにという対応を強化しています。現場では、透析中に腹痛が出現し、医師が緊急と判断し、救急車を要請したのに、医師が同乗できないなら民間救急でといわれたなどのトラブルが起きています。
民間救急は赤色灯は使えず、信号や速度制限など交通規則遵守です。しかも有料で、一時間七千円ほどかかります。第二次財政再建推進プランの見直し事業に救急搬送が例示され、転院搬送の一部有料化なども視野に入れると書かれています。救急車を要請しても、民間救急でとの対応が広がれば、事実上の有料化につながります。救急車に医師が同乗するかしないかは医師の判断であることを改めて確認したいと思いますが、答弁を求めて、質問を終わります。
答弁1
▼消防総監
転院搬送に当たりまして、救急車に医師が同乗する場合の判断についてでありますが、救急業務等に関する条例におきましては、転院搬送とは、医療上の理由により、医師の病状管理のもとに、緊急に他の医療機関等に移送する必要がある傷病者を迅速に搬送するための適当な手段がない場合に、救急隊によって搬送することと規定されております。
したがいまして、転院搬送の場合、医師の病状管理のもとに行われることが前提となっております。この医師の病状管理とは、救急車に医師が同乗して、転院先の医療機関に到着するまでの間、傷病者を管理することであります。ただし、医師が同乗する必要がないと認め、かつ搬送中における相当な処置が講じられた場合には、医師の病状管理があるものとみなしまして、転院搬送の対象としております。
医師が救急車に同乗するかどうかは医師の判断によることとなりますが、転院搬送で医師が同乗しない場合は、一例を挙げますと、看護師等を同乗させるなど、搬送中における相当な処置が講じられなければなりません。そのため、当庁では、転院搬送の要請があった際には、緊急性を初め、医師の同乗や搬送中の相当な処置につきまして確認しております。
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