平成16年度公営企業会計決算特別委員会 総括質疑

古館和憲(日本共産党)
■臨海副都心開発
 
 ▼古館委員
 それでは、分科会で小竹委員が臨海三セクについて質疑をいたしましたので、私は、臨海副都心開発そのものについて質疑をしたいと思います。
 臨海副都心開発に着手しましたのが十七年前、第一次公募が九一年からですから、それから十三年が経過しました。臨海副都心開発における有償処分面積は約百三十九ヘクタールあるとされております。このうち、いただいた資料によりますと、処分済みが七十八ヘクタールで、五六・一%であります。それで、処分見込みが七ヘクタールで、〇・五%。まだ未処分が約四割もあります。そこで、伺いますけれども、この内訳ですけれども、民間企業の進出分はどれだけになっているでしょうか。
 
 ▼港湾局長
 臨海副都心地域内の有償処分面積の中で、処分面積約七十八ヘクタールのうち、民間企業への処分割合は四四%、三十四ヘクタールでございます。
 

 
 ▼古館委員
 それでは、この処分済みの民間企業の中に三セクビルが入っていると思います。入っているとすると、何%に当たるのでしょうか。
 
 ▼港湾局長
 ただいま申し上げました民間企業三十四ヘクタールの処分面積のうち、第三セクターへの処分面積は九・九ヘクタール、二九%でございます。
 

 
 ▼古館委員
 結局、民間企業というけれども、三セクビルをこんなにも多く取り込んでの実績であります。今後、売却見通しについてはどうでしょうか。
 
 ▼港湾局長
 今後の土地処分の見通しでございますけれども、社会経済状況がかなり好転してきております。人口の都心回帰傾向も続いております。近年、都心の不動産市場も活発化しております。
 臨海副都心においては、都心部との交通アクセスも改善されるとともに、臨海副都心自体の開発が進みまして、サントリーや癌研究会有明病院など多くの事業者が進出する中で、まちとしての魅力が一段と高まってきております。こうした中で、特に臨海副都心に対する評価は、ここ数年一段と向上を見せておりまして、近年は有明南地区で具体的な応募があるなど、民間事業者からの手ごたえのある引き合いや問い合わせが増加しております。
 今後も、こうした引き合いを土地処分に具体的につなげていくように、積極的に努力していきたいと思っております。
 

 
 ▼古館委員
 答弁はできるだけ簡潔にしていただきたいと思いますが。
 結局、オフィスビルについてですけれども、今、オフィスビルが臨海副都心開発にはほとんどないといってもいいぐらいですね、三セク以外は。だから、ここが、将来のまちということを考えた場合に将来性が余りない、さらに苦戦は免れないというふうに私は思うんですね。問題は、こんな無謀な計画にしがみついている結果が、会計破綻が避けられなくなるということなんですね。
 そこで伺いますけれども、二〇〇一年度に羽田と埋立事業会計の二会計を臨海事業会計と統合させましたね。それで名前が今は臨海地域開発事業会計となっておりますけれども、そのときの羽田、埋立の二会計から幾ら臨海事業会計に回ったのか、その時点で現金と貸付金は幾らだったのか、これをお答えいただきたいと思います。
 
 ▼港湾局長
 埋立事業会計、羽田沖埋立事業会計の当時の資金残高は、合計で約八百五十億円でありまして、両会計から旧臨海会計への貸付金は、合計で三千六百三十億円でございました。
 

 
 ▼古館委員
 統合時八百五十億円の現金がこの二会計事業にあって、それといわゆる借りたお金が三千六百三十億円、合わせて四千四百八十億円が統合直後にあったんですね。これが全部、はっきりいって臨海事業の方に回ったというふうに私は思うんですが、今手持ちは幾らありますか。
 
 ▼港湾局長
 決算書の貸借対照表に記載してございますが、現金預金としては約一千四百六十億円ございます。
 

 
 ▼古館委員
 つまり三千億円がもう既になくなったということなんですね。この損失は臨海開発の投資と赤字の穴埋めに使われたものであります。我々は、統合が臨海副都心開発救済のためと指摘をしてきましたけれども、事態はその方向で動いている。
 そこで、お聞きしますけれども、手持ちの千四百億円は、臨海副都心分だけではなくて、臨海地域、すなわち港区、品川区、大田区、中央区など臨海地域全体の開発に伴うお金のはずで、都民共同の財産のはずであります。臨海副都心開発部分ではそのうちの幾らかをお答えいただきたいと思います。
 
 ▼港湾局長
 三会計の統合は、東京臨海地域を総合的、一体的に開発を進めて、また、その財政基盤を強化するという目的のもとに統合したものでございまして、現在その趣旨にのっとり、臨海副都心も含めた臨海地域全体の開発を進めてきております。そのため、貸借対照表の資金残高については、各地区別には計理しておりません。
 

 
 ▼古館委員
 これは、その三会計統合のときにも随分議論になったんですが、やはり幾ら一緒にしたからといいましても、埋立事業は埋立事業の使命があったわけですから、三会計ごとに区分をしておくのが当然のはずだと思います。きちんと仕分けすべきだと思いますが、改めてお聞きしたいと思います。
 
 ▼港湾局長
 三会計統合の趣旨については、先ほど答弁したとおりでございまして、全体として適正な会計の処理になるように努めております。
 

 
 ▼古館委員
 これはやはり私は原則としてきちんと--聞いてもこれはわからないというんですよね。先ほど、四千億ぐらいのお金があったわけですが、それがどんどん減って今一千四百億になったと。
 そこで、お聞きしますけれども、元金と利息の支払いですが、二〇〇五年から二〇一〇年までのこれから六年間では、幾ら支払うことになっているでしょうか。
 
 ▼港湾局長
 これから六年間の利息を含めた起債の償還額でございますけれども、約三千四百五十億円でございます。
 

 
 ▼古館委員
 先ほど千四百億円の手持ちだというふうにいいましたが、これではとても三千四百五十六億円を払い切れないですね。
 二〇〇四年度末の起債残高、元利合計では幾らになるでしょうか。
 
 ▼港湾局長
 五千九百十億円でございます。
 

 
 ▼古館委員
 つまり、およそ六千億円、今まで元利で借金しているわけですね。物すごい借金であります。どのように返済するつもりですか。
 
 ▼港湾局長
 先ほどご答弁したとおり、残された基盤整備を着実に進め、今後の土地処分収入をもって起債を確実に償還してまいります。
 

 
 ▼古館委員
 この質問は何度もやると、毎回同じ回答が返ってくるんですけれども、結局好転はしてないんですよね。
 そこで、質問しますけれども、十一月二日付の読売の記事に関連しまして、臨海副都心の中心に位置する五区画、実は読売では四区画となっていましたけれども、計十一ヘクタールのいわゆる都民提案街区につきまして、ここは実は石原知事が提唱するカジノ構想の用地で、同紙は、近隣の土地価格から一平米当たり百三十万円は下らないというふうに書いていまして、売却すれば一挙に千四百億円以上の収入になる、カジノ構想で塩漬けだという、こういう報道でありましたけれども、この真偽のほどはどうでしょうか。
 
 ▼港湾局長
 お話にある青海の区画も含めまして、臨海副都心内のどの土地についても、カジノのために塩漬けになっているという事実はございません。
 

 
 ▼古館委員
 今、周りでできない、できないといっているので、私は、できないと同時に、これはやるべきじゃないと思っているんですけれども、提案街区にしたのが一九九七年度ですね、既に八年経過しているんですよ。これまで一体どのような都民提案があるのか、その件数と、カジノの提案はあったのかどうか、お聞きしたいと思います。
 
 ▼港湾局長
 副都心広場などの、まちづくり都民提案制度対象街区といういい方をしておりますけれども、平成九年度に都民提案を実施いたしまして、総数で二千四百二十一件の応募がございました。
 この中から優秀提案を選定いたしましたけれども、提案につきましては、イベント空間を備えたにぎわいを演出するなど、環境と共生するまちづくりというものが非常に多かったものでございます。これらの中に、カジノに関する提案は一件ございました。
 

 
 ▼古館委員
 私は、カジノ構想は実際にはなぜ出てきたかというと、ゼネコンと業界が提案しているものなんですね、これは。都民の提案ではありません。いずれにしても、八年前の提案街区がいまだに具体化しない。これは、この臨海開発計画の計画の上でも破綻しているというふうに私はいわざるを得ません。
 石原都政の都市再生が臨海にではなく、今は汐留とか虎ノ門とか六本木、東京駅周辺のあの大手町・丸の内、こういう都心再生が基軸として展開されていることは周知のとおりであります。それが苦戦の、ある意味で大きな原因にもなっているんですね。
 我が党は、この臨海副都心開発計画について一貫して、負の遺産として都民の前に明らかにすること、そしてその問題の所在と反省を都民の前に明らかにしていく、これが出発点だということをいい続けてまいりました。そして、国の責任につきましても明らかにすること。もともとこれは金丸元副総理が深くかかわっていて計画規模が大きくなるなど、国の官庁が深くかかわっていることからも、国にも責任の一端を負わせることは当然のことであります。
 さらに、先ほど銀行の話がありましたけれども、銀行に対しても、きちんと責任をとらせることが重要であります。銀行がなぜ手を引かないかといいますと、銀行は基盤整備を進めた臨海副都心建設株式会社にゼネコンから人を派遣させて、金のかかる設計をやらせて、事業会計に六千億円もの借金をさせ、その利息でもうけ、さらにゼネコンにも資金を貸し付けて二重にもうけています。この間に銀行は、ちゃんと事業会計だけでしっかり、この臨海の事業会計だけですよ、二千億円もの利息が入っているのです。都民の財産を守る立場から、銀行に権利放棄をさせるとか、利用につきましては、都民参加で抜本的な再検討を行うことが求められるということを指摘しておきます。
 
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■水道事業
 
 ▼古館委員
 その次に、過大な投資について質問させていただきます。これは水道局です。
 二〇〇三年度の第四回定例会に八ッ場ダムの事業費を、それまでの二倍以上の四千六百億円に引き上げる提案がありました。我が党は、そもそも過大な水需要予測に基づく水資源は必要ないと主張してまいりました。また、戸倉ダムにつきましても、同様の理由によりまして、建設中止を国に求めるべきとの指摘を行ってまいりました。その後戸倉ダムにつきましては、我が党の指摘どおり、二〇〇三年十二月に中止が決まりました。
 しかし、依然として八ッ場ダムにつきましては、過大な投資であるばかりか、名勝といわれる吾妻渓谷の破壊、酸性の強い水質など問題が山積しているにもかかわらず、いまだに開発が進んでおります。なぜこの八ッ場ダムの水源が必要なのか、伺いたいと思います。
 
 ▼水道局長
 東京都が現在保有しております水源量、日量六百二十三万立方メートルの中には、取水の安定性に問題のある、課題を抱える水源が日量八十二万立方メートル含まれております。
 また、水源開発は、通常、十年に一回程度の割合で発生する規模の渇水への対応を目標に計画されておりますが、都の水源の約八割を占めます利根川水系では、五年に一回程度の割合で発生する規模の渇水への対応を目標に計画されておりまして、淀川水系、木曽川水系など他の水系に比べて、渇水に対する安全度が低い状況にございます。
 さらに、全体として少雨傾向にある中で、一時期に降雨が集中するなど、近年の気象状況を勘案いたしますと、現在の利根川水系では、河川の自流及びダムからの供給量が、当初計画していた水量よりも二割程度減少しているとのことであります。今後もこの傾向が続くものと予想されます。
 このような状況の中で、将来にわたり安定給水を求められる水道の使命を果たすため、平常時はもとより、渇水時にも対応できる八ッ場ダムの水源確保が不可欠であると考えております。
 

 
 ▼古館委員
 今の答弁によりますと、端的にいいますと、渇水に備えて開発するという返答でありました。最近は、渇水により水道が断水したというのは余り聞いていません。しかも、毎年の一日当たりの平均配水量も四百万立米で推移しております。水需要予測の六百万立米、これを大きく下回っていることはもう現実であります。
 そこで、質問しますけれども、水道局では最大配水量に合わせて水源を確保しようというのだろうけれども、最近十年間に日量六百万立米に達した年というのがありますでしょうか。
 
 ▼水道局長
 平成七年度から平成十六年度までの過去十年間におきまして、一日最大配水量が最も多かった年は、平成八年度の五百七十七万立方メートルでございます。
 

 
 ▼古館委員
 つまり過去十年で六百万立米に達した日はないということなんですね。今後の人口減少を考えていきますと、将来とも六百万立米に達するとは思えません。大体五百万立米でも、この決算の年度で調べてみますと、一年間で十七日ですね、五百万立米を超えたのは。ことしは五日だけです。この点からも、過大な予測に基づく開発であることは明白であります。こうした過大な投資に巨額を投ずるのは問題です。
 八ッ場ダム建設に係る水道局の負担額、それでは、これまでどのくらい支出をし、さらに今後はこの八ッ場ダムにどれくらい負担をするのか、お答えいただきたいと思います。
 
 ▼水道局長
 八ッ場ダム建設に係る水道局の負担額は七百八億円でございます。このうち平成十六年度までの支出は三百億円でございます。
 

 
 ▼古館委員
 つまり三百億円もの費用負担をして、これからさらに四百億円以上の支出が必要だということなんですよね。だから、まだこれは撤退することはできるんですよ。
 このようなダム建設への浪費に加えて、六百万立米を前提とした施設整備を進めることで、事業費は非常に高どまりしていると思います。こうした結果、累積収支がどうかというと、二〇〇〇年度は八十二億六千万円のプラスであったものが、だんだん減っていて、〇一年度では七十四億円、〇二年度が六十億円、〇三年度が三十四億円、そして〇四年度が三十九億円、少し持ち直したんですが、減少し続けて、〇五年では、予算でいきますと、十五億円に落ち込むという見通しを示しております。
 これはすぐに水道料金の引き上げということが前提となるような、そのことを心配させるような事業計画になっておりまして、そのようにいわれても仕方のないものであります。現在のような厳しい生活環境の中で、都民に過度の負担を強いることになることは許されません。一刻も早くむだな支出をやめて、それを都民に還元すべく料金を値下げすべきことを、強くこの際申し述べておきます。
 
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■都営地下鉄
 
 ▼古館委員
 続けて、都営地下鉄につきまして質問いたします。
 まず第一番目の質問ですが、交通バリアフリーにつきましてですが、交通局がバリアフリーの促進に努力していることは承知しています。しかし、未設置駅が二〇〇四年度末の段階ではまだ四十二駅に上っていること。交通バリアフリー法によりますと、これから二〇一〇年度までに全駅エレベーターを設置することになっていますが、その見通しを伺いたいと思います。
 
 ▼交通局長
 エレベーターの設置につきましては、これまで地下鉄全百六駅を対象に、だれもがホームから地上まで移動できる一ルートの確保に取り組んできておりまして、平成十七年度末予定の確保駅数は七十駅となっております。
 残りの駅につきましては、地上出入り口用地の確保など課題はございますが、交通バリアフリー法の趣旨に基づき、平成二十二年度までの完了を目指すこととしております。
 

 
 ▼古館委員
 引き続き一〇〇%達成に向けて全力を挙げて取り組むように求めておきます。
 この数年間、都営地下鉄駅ではホームからの転落事故が多くなっております。この四年間で見ますと、三田線、浅草線、新宿線、大江戸線の四路線で、二〇〇一年度が五十四件、二〇〇二年度が七十一件、二〇〇三年度が七十件、二〇〇四年度が五十九件と転落事故が起こっています。その中にありまして、三田線はゼロになっています。
 そこで、三田線は、二〇〇〇年の十二月九日からワンマン運転を契機に、都営地下鉄のホームさくを設置しました。設置後、三田線の転落件数は、その効果でゼロと聞いております。まず、三田線と同じワンマン運転を行っている大江戸線について、ホームさくを設置すべきだと思いますけれども、どのように認識しておられるか、見解を伺いたいと思います。
 
 ▼交通局長
 今お話のありました都営三田線は、当初ワンマン運転を予定して整備されたものではないため、曲線が多いホームの形状となっておりまして、このため、運転台のモニター画面だけでお客様の乗りおりから発車後の列車運行までの安全確認を行うことは非常に困難になっていたわけでございます。このため、ワンマン運転を契機に、その支援設備としてホームさくを設置したものでございます。
 一方、大江戸線につきましては、当初からワンマン運転を予定しておりまして、運転台のモニター画面で安全確認を行うことを前提として整備されているため、ホームさくは設置しなかったところでございます。
 なお、大江戸線では、運転台のモニター画面による確認以外にも、乗務員、駅務員、運輸指令の密接な連携により、お客様の転落防止などについて安全確保を図っているところでございます。
 

 
 ▼古館委員
 大江戸線は三田線と同じワンマン運転でありまして、大江戸線のホームですけれども、私も春日駅なんかで乗りかえるんですが、とても狭いところもあったりして、混雑などで危険を感じることがあります。したがって、視覚障害者の方たちからも強く、まずここを設置してほしいと、いわゆる大江戸線ですね、要望されておりますので、ぜひ検討していただきたいと思います。これは要望にとどめておきます。
 
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■都立病院
 
 ▼古館委員
 次に、都立病院についてお聞かせいただきたいと思います。
 まず第一に、都立病院としての重要な役割の一つが、一般病院ではなかなか対応困難な、行政的医療と呼んでいますけれども、これを主として提供することであります。それを保障するためのものが一般会計からの補助だと考えますが、この点についていかがでしょうか。
 
 ▼病院経営本部長
 都立病院への一般会計繰入金についてですが、精神科救急医療あるいは感染症医療、周産期医療などの行政的医療を行うために必要な経費を一般会計から病院会計へ繰り入れているものでございます。
 

 
 ▼古館委員
 今お答えがありましたけれども、そういう重要な行政的医療を保障している一般会計からの繰り入れは、二〇〇四年度の場合に幾らになっていたでしょうか。
 
 ▼病院経営本部長
 平成十六年度決算における一般会計繰入金は、約三百七十億円でございます。
 

 
 ▼古館委員
 今この決算の年度の三百七十億円という金額が示されましたが、それでは、ちょうど今から十年前の九四年度は、一般会計からの繰り入れは幾らになっているでしょうか。
 
 ▼病院経営本部長
 平成六年度決算における一般会計繰入金は、約四百六十三億円でございます。
 

 
 ▼古館委員
 つまり、十年前は四百六十三億円で、現在の決算段階で三百七十億ですから、九十三億円も減らされているんですね。しかも、母子保健院がなくなった年度では、前年比で二十二億円も行政的医療に回す一般会計からの繰り入れが減りました。大久保病院が公社化された二〇〇四年度は、前年対比で約三十億円も減らされているなど、結局、都立病院改革がねらっている目的の一つは何かというと、この一般会計からの繰り出しをいかに減らすか、こういうところに大きなねらいがあって、それは同時に、都立としての質の高い医療と都民負担の軽減という都民が求めている医療行政をどんどん後退させてきているということであります。
 荏原病院の公社化に対しましても、また、分科会で質疑をした板橋にある豊島病院を区に移管を、この区の提案にいたしましても、その願いはどこにあるかというと、都立豊島病院と都立老人医療センターは今までどおりで運営をしてほしい、統合、民営化にはしてほしくない、こういう意思表示のあらわれでもありました。荏原病院も都立のまま存続を、これが都民、地域住民の願いであります。
 そこで、お伺いしますが、都立病院は、先ほど指摘した都立としての使命と役割に照らしても、一般会計からの財政支援を強めることがいよいよ重要になっていると思います。この増額については私どもも大いに要求をしていきたいと思っていますけれども、病院経営本部といたしまして、一般会計からの繰り入れの大幅増額を求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 
 ▼病院経営本部長
 一般会計から病院会計への繰入金についてですが、地方公営企業法にのっとり、その性質上、病院運営に伴う収入をもって充てることが困難あるいは適当でない経費について、一定のルールに基づいて適切に繰り入れているものでございます。今後も、こうした考え方に基づいて必要な財源確保を図ってまいります。
 

 
 ▼古館委員
 つまりそういう意味で、都立病院で、例えば精神疾患であるとか周産期医療だとかそういうことが、あまねくそういう病院で保障されていくということが必要なんだと思うんですね。
 同時に、今おっしゃいましたけれども、そのことの中で切り込みが厳しくなってきているというのは、あの都立病院のマスタープランの中でも明らかなんですね。したがって、私が今求めたのは、そういうことに対してきちんと、病院としてもこれだけの行政的医療が必要なんだから、だから財政保障してもらいたい、こういう論をきちんとしていただきたい、そのための応援は我々は大いにしたい、このように思っています。
 
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■下水道の震災対策
 
 ▼古館委員
 最後に、下水道局につきまして質問させていただきます。
 下水道局が昨年度策定いたしました新クイックプランにつきましてですが、重点的に取り組むものとして、先ほどもご質問がありました道路陥没対策とか臭気対策、それから震災対策を掲げているんですね。
 その中で、震災対策につきましては、避難所だとか災害拠点病院などの排水を受け入れる枝管管渠の耐震化を図ることとしております。例えば阪神・淡路大震災でもあるいは新潟中越地震にしても、被災者の声として一番多く聞かれるのが、トイレが足りないということであります。そこで、震災時の対応として、下水道局がトイレを確保するクイックプランへの位置づけということを私は率直に評価しています。
 そこで、お尋ねしますが、枝管管渠の耐震化につきましては、避難所など区部で約二千カ所行うこととしていますが、これまでの進捗状況についてお伺いをしたいと思います。
 
 ▼下水道局長
 震災時にトイレ機能を確保するために、枝線管渠につきまして、避難所や災害拠点病院などに指定される約二千カ所を対象に、マンホールとの接続部に衝撃を緩衝する材料を充てんしまして、耐震化を進めることとしております。
 この下水管の耐震化に当たりましては、例えば避難所などの排水設備の耐震化が具体的に計画され、進められているという箇所から、優先的に行っているところでございます。
 進捗状況でございますが、平成十六年度は二百二十七カ所の耐震化を行いまして、累計では五百カ所が完了しております。
 

 
 ▼古館委員
 二千カ所の目標ということも実は二十三区だけなんで、私はもっとふやしてほしいし、区市町村に対してもどうするかという問題も大変あるというふうに思っています。
 それで、聞きますが、二千カ所目標で現在四分の一の実績とのことですけれども、早急に一〇〇%達成を目指し、さらに促進させていくことが緊急の課題だと思います。そのためには局としての位置づけが大事だし、それにふさわしい体制が求められていると思います。そのための財政支出も必要だと思います。震災などでトイレが使えなくなることは、被災者にとりましても深刻なことであります。この取り組みの一層の促進をさせるべきと考えますけれども、改めて見解を伺いたいと思います。
 
 ▼下水道局長
 下水道施設の耐震化は、私どもも、再構築事業の中でも、機能の確保のための必要な事業として進めているところでございます。あわせまして、ただいまご質問ございましたように、震災時のトイレ確保の観点からも、大変重要な事業と思っております。
 この事業の進捗につきましては、下水道局のみならず、関係区等の協力が必要でございますので、連携を密にしながら事業を進めていく考えでございます。
 

 
 ▼古館委員
 震災対策は、本当に行政にとって差し迫った重要課題だと思っています。ましてや、私も今回公営企業でこのように議論しながら、実は、公営企業でやっていらっしゃる事業そのものが、震災をいかに減らしていくのかという点では一番大きな役割を持っているんだなということをしみじみ実感しながら質問させていただきました。
 下水道、水道、都営地下鉄、病院、これは全部、命やそれこそ健康などを守っていく、それで震災に対しても強いという点では、第一線にあるのが、私は公営企業の皆さんの仕事だろうというふうに思います。一般会計からの、必要であれば繰り入れなどの方策も場合によっては求めてもらいたいと思いますし、積極的な対応が重要だと考えています。公営企業各局の防災対策を一層拡充することを強く求めておきます。
 私自身、公営企業会計各局が行う震災、防災行政は極めて重要だと認識をしておりまして、総務委員もしているという関係から、今度は一般会計で大いに、こうした予算を計上するようにということも提案をさせていただきたい、このように思っています。
 
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